現政奉還記 武将達との会合編 作:セイントドラゴン・レジェンド
[同盟の名]
国連軍本部にて、どうにか大
彼らは本部で身柄を引き受けた新世代型を多くとする一般の二次元人を、赤塚組が運航する義賊要塞 百鬼命義に搭乗させて本部より出向。太平洋を横断している真っ最中。
厳つい顔立ちが並ぶ国連軍とは違い、種族も顔ぶれも倍以上でそれ以前に穏やかな面子が揃う聖龍隊と赤塚組と合流を果たした二次元人たちはホッと胸を撫で下ろす。
しかし海上を運航する船の上で、真鍋義久たち二次元人たちがバーンズたち聖龍HEADと大将たち赤塚組の面々と何やら話していた。
「えええぇぇぇ!!」
「そ、それじゃ……アニメタウンには帰れないんですか!?」
「そうなんだよな。オレ達はこれから戦力を確保する為にも、またアジアに向かわなけりゃいけねえんだよなぁ。アニメタウンに帰るのは、もっと後なんだ」
なんとバーンズから真っ直ぐアニメタウンに帰るのは現状的に難しいと告げられ、二次元人たちは困惑していたのだ。聖龍隊の考えとしては、現政奉還の乱世を鎮める為にはもっと多くの協力者が必要であり、その為にもアジア各地の武将と会談して同盟を築かなければならないのだという。
「そ、それじゃ、赤塚組の皆さんは……?」
「いや、俺達もバーンズ達と一緒にアジアの武将達と会って話しなきゃならないんだよ。お前さん達をアニメタウンに送ってやりたいのは山々だがな……」
一方で赤塚組も聖龍隊同様、各地の武将と話をして同盟決議を決めねばならず、直接アニメタウンに向かえない事情を明かした。
すぐに故郷に帰れると思っていた二次元人たちの困惑と戸惑いは拡散し、皆ただただ混迷するばかり。
そんな混迷を吹き飛ばそうと、バーンズが二次元人たちに言い放った。
「まあ待てお前ら! そこでオレは考えたんだが、どうだ? 一緒にオレたちとアジア各地の武将に会ってみないか?」
この突然のバーンズの閃きに二次元人たちはもちろん、HEADや赤塚組も動揺した。
「ちょ、ちょっと待ってよバーンズ! 一般市民を同行させているだけでも問題なのに、一緒に旅路に付きあわせようって言うのかい? それはちょっと無理があるよ」
ジュニアの提言に二次元人たちも赤塚組も、その他のHEADも力強く頷く。
しかしバーンズは開き切った様子で、あえて明るく振舞いながら皆に語る。
「まあ待て待て、そう慌てなさんな。何もオレだって強引に付き合わせようとは思っちゃいないぜ」
「それじゃ、やっぱ無理してでもアニメタウンに帰すんですか?」HEADの堂本海斗が言うと、バーンズは語り返した。
「いやいや、今アニメタウンに帰すのは少しマズイ。既にアニメタウンでは現政奉還を起こした足正義輝への反感が根強くなっちまって、義輝と同じ新世代型も何かと非難の的にされちまっているらしい。そんな中でオレたち聖龍隊が送迎してやれば返って目立って反論や非難が飛び交うのは目に見えているだろ」
「それもそっか」セーラーマーズが頷いた。
「それに一番の理由だが……お前ら、共有感知はどうする訳?」
「あ!」「そういえば……」バーンズに問われ、新世代型の男子女子たちは思い出した。
するとバーンズの口調は一層と激しく淡々となり、彼は何処からか扇子を持ち出して語り出した。
「正直言って、今の共有感知を身につけたまま帰国させても日常生活を送れるとは到底思えない。そこでだ『パァン』、共有感知が治るまでオレらと一緒に旅しながら、共有感知を消す方法を探していくってのはどうだ? もちろん『パンッ』旅路にゃオレ達が責任を持ってお前らの身を護り続けるし、できうる限りの生活も保障してやるぜ! なにも取って食おうって訳じゃないんだよチミら、共有感知が消えるかその解決法を見出すまでの間で良いから、ちょっと付き合っていこうじゃないかって話なんだよ」
まるで落語家の様に淡々と扇子を叩き付けながら語り続けるバーンズの口実に、二次元人たちは確かに共有感知の問題を思い起こされる。
「確かに、この共有感知が残ってたんじゃ、生活に支障が出るのは目に見えている……」
「せめて治せるか治せないぐらいは判明してほしいわ」
共有感知のある生活には困惑を隠せないだろうと渋々ながらもバーンズの言っている事に理解するイオリ・タケシとイオリ・リン子夫妻。
「意外と大変なんだな、人の心が解るって言うのも……」
「毎回言っているでしょ。特に今は新世代型同士の共有感知で余計に頭がこんがらがる……」
「バーンズさんの仰るとおり、この共有感知が治まるかどうかだけでも調べる必要があるな」
話を聞いて改めてテレパシーなどの苦労を身をもって知る真鍋義久にそれを毎回述べている琴浦春香、そして日常生活をまた送れるためにもこの共有感知が治療できるものなのかだけでも調べる必要性があると踏む斉木楠雄。
「そうそう、何より二年前より有名になっている各地の武将と直に会えるんだ、滅多にない機会だぜコレ。それによ、各武将の話を聞いているうちに、コロッと共有感知の解決法も解るかも知れないし、儲けモンだよ」
バーンズのこの話に、飛び付く二次元人も結構いた。
「なるほどな。ここはいっちょ聖龍隊をボディーガードにアジア各地の武将に会ってみるのも面白いかもな」
「ぎゅ、ギュービッド様、なに言っているんですか!?」
「だって考えてみなチョコ。新世代型だけでなくアタイらもアニメタウンに送ってもらえないっていうんじゃ、自力で帰るしか方法がないじゃないか。どうせ学校も現政奉還の影響で授業もロクにできない状況だろうし、ここは旅行気分で聖龍隊の旅路に付き合ってみるのも面白そうじゃないか。ギヒヒヒヒ」
「笑ってる場合じゃありませんって。琴浦さんたちは最悪でも『共有感知』って能力が治まるまでは帰れないみたいだっていうし、そんな一大事に呑気に旅行気分で同行してたんじゃ申し訳ないですよ」
「あら、そう。それじゃチョコだけ先に帰れば? ここからアニメタウンまでは特殊な魔法か技術でしか二次元界には帰れないし、行きで使った特殊魔法の薬ビンもなくなっちゃったんだし、アタイはもう知~らないっ」
「トホホ、どうやら私たちも居残り決定みたいだなぁ」
聖龍隊をボディーガード代わりにこき使い、旅行気分で同行していく気のギュービッド。そんなノリノリの彼女に弟子のチョコが呆れ果てるものの、自力で他次元のアニメタウンに帰るのは困難を極めるため、結局聖龍隊が誰かをアニメタウンに送るまでは自分達も同行しなければならないのだと納得し、渋々ながらも皆と共に残る決定に下る。
「ご、ごめんなさいチョコちゃん。元はと言えば、私たちが誘拐されたのがいけないのに巻き込んじゃって……」
居残りに残念がるチョコに親友で新世代型の琴浦春香が元は自分達の誘拐行方不明事件が発端で巻き込んでしまったチョコたち三人に謝るが、当のギュービッドと後輩の桃花・ブロッサムは嬉しそうに振舞う。
「良いって良いって琴浦! 逆に今じゃ感謝してるぜ」
「そうですよ! アジアの戦国武将って強いだけじゃなくイケメンでカリスマも秘めた強い武人ばかりだって言うし、桃花いまから会うのが楽しみ~~! ほらっ、おねえちゃんもこうなったら最後まで皆さんと付き合いましょうよ! 学校や家の事だって、聖龍隊が後々話を付けてくれますって!」
「う、うん……そうだね、もう破れかぶれだ」
二人の黒魔女先輩に押され、チョコは半ば放心状態で涙目になってしまっていた。
「よし! そんじゃ全員を同行したままアジアを巡回するって訳だなバーンズ! そういう賑やかなのはオレ好きだぜ」
新世代型を含む二次元人たちの同行が決まった所で、赤塚組頭領の赤塚大作こと大将は賑やかになった船上で碇状の武器を振るい回しながら活気付く。
そして大将は同行が決まった二次元人達に歩み寄り、威勢よく声を掛ける。
「そんじゃまぁ、今後とも宜しくな。新世代型の坊主共に、それからオマケにプロト世代の女子供よ」
わざと荒々しい無法者の様な口調で話し掛ける大将に、今まで友好的に接してくれただけあって二次元人達の多くが大将の反応に吹いてしまう。
「ははっ、そうだそうだ! 辛い時、困った時は何かと笑えばそれだけで十分なんだよ」
大将は事態に混迷している二次元人達を少しでも励まそうと、彼らが笑ってしまうリアクションをしてみせたのだ。
と、その時大将はある事に気付いた。
「……そういや、今思い出したんだが、オレ達の同盟の名前どうするか決めてなかったな」
「? 名前?」バーンズが問うと大将は訳を返答する。
「そうさ、俺たち赤塚組と聖龍隊の同盟の名さ」
「名前なんてどうだっていいじゃない」
ミラーガールが言うと大将は強く反発する。
「良くはねぇ! こういう事はハッキリ決めておかないとな」
大将の言い分にその場の皆は呆れてしまうが、これにバーンズは快く承諾した。
「よし、分かった! そんじゃ、聖龍・赤塚同盟でどうだ!?」
「いや、そこは赤塚・聖龍同盟だろうが」
「どっちでも同じもんよ大将。それじゃ、改めて……今後とも何かと宜しくね、聖龍隊」
バーンズが発案した名称に大将は名前を逆にしてほしいと文句を言うが、赤塚組の幹部ミズキは改めて聖龍隊や旅路を同行する事になった二次元人達に挨拶を述べた。
[chapter:二次元人と異常者]
アニメタウンへの直帰が状況的に難しい理由と、大方の理由として共有感知の鎮め方を探索・研究する為に同行を許された一般の二次元人達。
一般の二次元人には、チョコ/ギュービッド/桃花・ブロッサム/海道ジンのプロト世代以外は全て世間より危険視されている新世代型二次元人という構成の元、彼らは百鬼命義の最深部に設けられた大広間に招かれていた。
大広間には聖龍隊の総長バーンズ・ウィングダムズ・キングズを筆頭とした聖龍HEADが二次元人達を取り囲む態勢で椅子に大人しく座していた。
「あ、あの……これは……」
自分達を取り囲むように椅子に座り込み、視線を向けてくるHEADの態勢に真鍋義久たちは緊張してしまう。
真鍋たちの反応に、同然の事だと理解を示すバーンズは笑顔で彼ら二次元人たちに申し伝えた。
「何々、そう緊張するなって。オレ達は単に君たちの事が心配なんだよ。タイのバイオハザードから始まってアジアの戦場に国連軍の襲撃と……本当に辛い思いしたな」
「当り前よ!」「ほんとに怖い思いばかりでしたわ!」
バーンズの言葉に新世代型の薙切えりなと花園まりえがお怒りの言葉を投げ返す。
「本当に辛い思いを経験させてしまい、俺たち聖龍隊は心よりお詫びする」
するとバーンズを皮切りに、HEAD全員が二次元人達に向かって頭を下げた。
お詫びに頭を一礼して下げたバーンズは、謝罪を申した二次元人達に再び話し掛ける。
「新世代型の二次元人たちよ! 君らの共有感知を抑える術をオレたち聖龍隊が一刻も早く探し出す。その間、少しだけオレ達のアジア巡回に付き合ってほしい」
「ええ、もう解りましたよ」
「ゾンビだの、国連軍だの、もう色々と見て疲れて飽きてませんし、もう安全を保証してくれるならどうでも良いですよ」
武将と会談し赤塚組同様、同盟相手に加える為にアジア巡回の旅路を一時で良いので同行してほしいとお願いするバーンズ。これに対し新世代型の真鍋義久と小野田坂道は目の下にクマを拵えてうんざりした様子で返事する。
「プロト世代の二次元人にも申し訳ないが、新世代型の共有感知をどうにかする術が見付かるまで同行してもらいたい。さっきも言ったが俺たち聖龍隊はあくまでも軍事組織、故にこの現政奉還の乱世を残れる勢力を拡散しておかなければならない。それまでアニメタウンに帰る事はないんだ」
「要するにっ、現政奉還が終わるまでアニメタウンには帰れないってのが本音って事だね!? それはそれで結構、その間アタイらの世話するなり戦闘の時は護ってくれるなら大歓迎だよっ」
バーンズの話を聞いて、少なくとも現政奉還の乱世が鎮まるまではアニメタウンへの帰国は叶わないと知ったすっかり旅行気分のギュービッドは嬉しそうに満足げ。それに反して、新世代型の面々はアニメタウンに帰れない大きな理由が自分達の共有感知が治まるまでだけでなく、自分達と同じ足正義輝が起こした現政奉還も帰国できない原因の一つと知って憂鬱になった。
するとバーンズは此処で二次元人たちに一つの提案を持ち掛ける。
「まあ、その間でも良いから……オレ達も少し君らと交流をもって仲を深めたいなとも思う、いわゆる親睦会みたいなものだ。確かにオレら聖龍隊は君ら新世代型を監視する役目を三次元政府に負わされているから、今まで聖龍隊と聞いていい気分にはなれなかっただろうと思う。そこで、交流を深めるためにもオレ達が答えられる範囲内で良ければ色々と質問してきても構わないぞ」
「質問って?」
質問と訊かれて新世代型の燃堂力が問い返すと、バーンズは明るく返答した。
「うむ。オレたち聖龍隊の事でも何でも良い。あっ、それとお前達が肌身離さず所持してくれているって言うオレたち聖龍隊の武勇伝を記した修司の自伝本についても訊いてくれて構わないぜ。本を読むのも大事だが、やはり此処は当事者であるオレ達に訊いてくれた方がより理解できると思うぞ」
聖龍隊のこと、自伝本のこと、何でも良いから質問してきて良いと言うバーンズの言葉を受けて、二次元人たちは何を質問するか考えた。
そして先ほど国連軍にも訊ねた、自分達のことを新世代型達は訊ねてみた。
「そ、それじゃ……さっき国連軍のオッサン達は応えてくれなかったんやが、ワテら新世代型二次元人っていったい普通の二次元人と何処が違うんや!?」
先ほど国連軍本部でモモンガ中将たちからは「何も知らなくて良い」と返されてしまった自分たち新世代型二次元人が如何に従来の二次元人と違うのか、新世代型の鳴子章吉が緊張しながら訊ねる。と、これに聖龍HEADは朗らかな表情を微塵も変えず、落ち着いた様子でバーンズが鳴子の質問に答えた。
「なるほど、確かに今の時代、二次元人は大きく分けられて三種類に分類されるな。オレ達HEADの様な古参のキャラクター、特に90年代から2000年代中期までの二次元人は主に旧世代と呼ばれている。そう、あのジュン達スター・コマンドーも旧世代型に分類されているな。その旧世代の遺伝子に特別な処置を施して
「そ、そうなんですか……てっきり
バーンズから三種類の二次元人の性質を聞かされ、その内容から自分たち新世代型は
すると説明を受けて、新たな疑問が二次元人たちの中に芽生えた。
「あ、あの!
説明を受けて
「う~~む、今は色々と難しいからな、
「なんで二次元人は
「元来、二次元人は三次元人の思想概念を元に生み出される特殊な生命体。それ故に三次元人の感情に影響を受けやすくなっちまっているのよ。三次元人の憎悪が二次元人の肉体だけじゃなく精神までも蝕み、正気を失った二次元人を人々は
「でも……今の
「それなんだよ……いつの間にか、いや修司が過激な犯罪取締行為に踏み出してから、
「何よ! それじゃ私みたいなブラック・リストに載っている二次元人は損じゃないっ」話を聞いて自分の様に過去に悪行でブラック・リストに名前が記載されてしまっている二次元人は損していると新世代型の森谷ヒヨリは真顔で訴える。
「ブラック・リストも問題と言えば問題だな。確かにテロリストなどの危険人物を記載している書物だけど、同時に過去に悪行を犯した二次元人の大半が記されちまっているから差別に繋がると修司も懸念してはいたんだが……その反面、更生したブラック・リストの人間はみんなの知っての通りマン・ヒールズに加盟して罪滅ぼししている訳だしな。ま、どっちにしろ過去に過ちを犯したのは逃れられようのない事実な訳だし、これからを真っ当に生きていれば後ろ指なんか指されずに済むってばよ。大変だろうが、今できる事はそれぐらいしかないぞ」
「うっ……」
正論を衝かされ、何も言い返す事ができなくなってしまった森谷ヒヨリを始めとする過ちを犯した新世代型二次元人の四宮小次郎に速水ヒロは口を重く閉ざして縮んでしまう。
[出会いと言う幸せ]
分別の難しい
「はいはーーい! 知らないから聞きたいんだけど、聖龍隊ってどんな活動してるの?」
この明るい燃堂力の質問に場は少しばかり明るくなり、燃堂の質問にバーンズは嬉々と答え返した。
「はいっ、いい質問ですね。オレたち聖龍隊はヒーロー組織らしく世界平和の維持に励んでいる……と、言いたいが結局は三次元政府から良い様にこき使われる性分。特に怪物に変貌した二次元人への対処として
「…………………………」
強制排除の権限を三次元政府から任された聖龍隊は、同じ二次元人と戦わなくてはならないと悲しそうに語るバーンズの話に、二次元人たちの心はキュッと胸が締め付けられる様な感覚に襲われる。
「お前さん達が熟読しているであろう修司の自伝本にも書かれてはいるが、最初聖龍隊は英雄による英雄のための、人々の平穏を護る集団に作り上げようと、修司は自分を鍛えながら模索していた訳だったんだよ。英雄の為にっていうのも、修司は三次元人の汚れた部分を見て育ってきたために三次元人を毛嫌いしていたけど、そんな三次元人が人類の全面戦争や環境破壊を後一歩のところで食い下がっているのは二次元人のお陰だと修司は思い込んでくれてた。だから二次元人である英雄を護る事が世界の平和に繋がると幼い頃から修司は思ってくれてたんだよ。二次元人には三次元人に夢や理想を与える力があるように、三次元人にある運命を切り開くすなわち運命を変える力を組み合わせて、聖龍隊を結成したのが始まりなんだよ」
「結成の時の話は大体、自伝小説を読んで知っています。現在の聖龍隊の活動方針に戻ってくださいよ」
新世代型の星原ヒカルが真顔でバーンズに問い掛ける。
「ああ、そうだったなゴメンゴメン。えーーと、聖龍隊の活動内容はというと……自国であるアニメタウンの治安維持と
聖龍隊の活動内容を述べていくバーンズに、また新しい質問が投げられた。アニメタウンの国家としての体制についてだ。これにもバーンズは即座に返答した。
「アニメタウンとは格差の解消を議題にオレたち聖龍HEADが管理している資本主義国家にして独裁民主主義の国だ。詳しく言うと、アニメタウンとは一人の人物を中心にピラミッド組織構成の上位に位置づけされている人々が話し合い、物事を決めていく体制なんだ。それで上位の立場であるのが、聖龍HEADであり、そのHEADでも中心的に話を進められるのが聖龍隊総長って事さ」
「へぇーーっ、つまりバーンズさんは聖龍隊だけでなくアニメタウンでも一番偉い人なんだね」新世代型の燃堂力が一驚した顔で言うと、バーンズはこれを否定する。
「いやいや、それも昔の事でね。オレが総長に就任する直前に前総長にして前市長でもある修司が法律を少し改善して、聖龍隊を取り仕切る聖龍隊総長の職務とアニメタウンを切り盛りする市長の職務をクッきり分けちまったんだよ。だから今の民事的な物議の決定権は市長に就任したウッズに一任されているって訳よ。まぁ、聖龍隊がアニメタウンに必要不可欠な重要なポストに位置づけているってのは今も昔も変わらないけどな。要するに民事と軍事の決定権は、昔は総長と市長を一任していた修司一人にあった訳だが、今ではそれが区分されて民事は市長のウッズ、軍事は聖龍隊の総長であるオレに一任されているって訳よ」
「ふぅん……な、何だか難しい」難しい話を聞いて困惑の表情を浮かべるプロト世代のチョコに、バーンズが優しく説き明かす。
「まあ、簡単に言えばアニメタウンを護る法律や仕組みを考え発案するのがオレら聖龍HEADで、市長はそれを現実的に行えるか最終的な判断を下しているって流れさ。ちょっと難しかったかな」
アニメタウンの国家体制の姿勢について説明するバーンズは、更に皆に語り明かした。
理想の町作りから、理想の国造りへ。理想の国造りから、理想の世造り。日本とは完全に独立している国家であると証明する為に、全ては世界の国家と対等に接する事ができる国へ。独立国家としての体制を築き上げる、それが国際社会に対する国造り。だがそれらは、皆の力があってこそ国の基礎が成しえるものであり、過去に己が祖国を思い、国を築いてきた者たちもまた、今の世を築いてきた者たちであると。バーンズ自身も、その内の一人でしかないという事を熱弁する。そして国家として認めて貰うために、日本にとって鍵である天皇から国として認められ、同時に守護する役目こそ要であると考えたかつての総長小田原修司はその役職を自分の弟子であるスター・コマンドーに就かせたという。
国と言う大掛かりなものを造り上げるのには並大抵の努力だけでは足りないと説き伏せられた二次元人たちは目を丸くしていた。
と、ここで。質問を投げかけ続けていた新世代型の女子たちがある大きな疑問に気付き、バーンズに問い質した。
「修司さんは三次元界からやって来たわけなんですよね!? それじゃ、つまりセーラームーンやキューティーハニー、ナースエンジェル達の正体を既に知っていたんじゃないんですか? それなのにアニメタウンに来てからスグに英雄探しをしていたなんて、可笑しくありませんか?」
新世代型の鹿島ユノの質問に他の一般二次元人達も賛同の意を示した。三次元界からやって来ているのなら、セーラー戦士やキューティーハニーの素顔や名前などありとあらゆる詳細を知り尽くしており、それによってわざわざヒロインを探す必要性も無かったのではないかと皆は疑問視する。これにバーンズが詳しい事情を説明した。
「ああ、その訳だが……実はアニメタウンにやっていた頃の修司は若干ながら記憶の一部を消されていたんだよ。それも、あのウォール・トゥーサムからね」
「!!」
この返答に一般二次元人達は愕然とした。アニメタウンにやって来た小田原修司は記憶の一部を消されており、アメリカのウォールド・ディズニーと日本のアニメの神様と呼ばれる手塚治虫、二人の魂が融合した超次元生命体にして二次元界の神として今なお多くの二次元人達から崇拝される神がまさか小田原修司の記憶の一部を消していた事実に誰しも驚愕した。
「な、なぜ……! 手塚先生の様な偉大な御方が記憶なぞ消しおったんじゃ!?」
半ば興奮した様子で新世代型のラルが問い詰める。二次元人にとってウォール・トゥーサムは完全な信仰の象徴であり、誰もが神と崇めている。そしてラルの疑問にバーンズは事情を語り続けた。
「まあ、これは仮説だけど一種の試練って奴だったんじゃないのかな。ウォール・トゥーサムは最初っから修司と接触しやすい様にするのは簡単すぎなだけでなく、もっと深い人との出会いを修司に体感させたくて三次元界にいたころの記憶とくにスーパーヒロインなんかの二次元キャラの記憶を消しちまったんだろう。ま、確かにスグに誰かも解らない奴と急に出会ってもお互い困惑するのは目に見えているしな。だからこそ、アッコやセーラームーンの事も最初は見ても気付かなかったし、完全に意気投合するのは実際かなり時間を要したもんだ。まっ、これは単なる憶測だがな。誰も神様の真意なんて知る由もねぇ」
憶測とはいえ、試練の名目と小田原修司に人との出会いを体感させる理由から、敢えて記憶を消して対面させたのだと語り明かされた面々は、二次元界の神である御二方の考えの深さに脳天を軽く叩かれたような衝撃を受けた。
と、ここで新たな質問が新世代型の
「私からも宜しいでしょうか。かの小田原修司が見出した正義の価値観を、ぜひ聞かせてほしいです」
「修司の正義……!」
「はい、国連軍でも聞かされましたが、小田原修司は非情の正義を掲げ、正直あの赤犬と変わらない正義感があったらしいのですが……」
皐月からの質問にバーンズは腕を組んで何やら気難しそうな物言いで答えた。
「ううん、修司の正義か……まあ、これは基本ではあるが、やはり弱者を第一に護るって言うのは基本中の基本だったぞ」
「なるほど! 他にはどの様な事を……」
まるで修司を尊敬しているかのように燃えるような熱い眼差しで問い続ける皐月に、バーンズは戸惑う事無く返答し続ける。
「まあ、これは言っても良いか不安だが……うん、修司はな、正義とは人間のエゴだと思っていた訳なんだよ」
「え!」「え、エゴだって!?」バーンズの発した話に皐月も纏流子も、他の二次元人たちも愕然とした。
するとバーンズは、何ゆえ小田原修司が正義をエゴの一種だと思っていたのかを語り始める。
「正義ってのは極端な話で単なる価値観、時代や世界観によっては共通していない一つの感情だと修司は思っていた訳だ。良く考えてみろ、一昔前は魔女狩りも黒人奴隷も正しい事で間違った行いではないと見られてきた。この様に時代によって人の価値観が違う点から、修司は人間が抱く正義感もまた一つの身勝手なエゴだと認識する様になっちまった訳なんだよ。正義は立場によっても多種多様に変化するからな」
立場や時代の価値観によって人の良いように解釈され変えられ続ける正義に、小田原修司は人間のエゴを感じ取っていたと言う。
「ま、だから修司の掲げてた『非情の正義』ってのは、相手や周囲の感情に流されず、ただただ自分の感情を押し殺して遂行するもんだとアイツは自分に言い聞かせていたらしいけどな」
小田原修司の正義の価値観をバーンズが語り終わると、今まで黙然とバーンズや皆の質問に対して聞き手に回っていたミラーガールが口を開いた。
「修司は人を救うには必ず落とし穴が有り、必ず犠牲がつかなきゃならないと小さい頃から悟っていたわ。本当なら平和を、人を護る正義ってのを簡単に受け入れれば楽なんでしょうけど、修司はもっと難しく考えちゃう性質だったから私たちも色々と大変だったわ」
幼い頃から正義の価値観に対して悟りを開いていた小田原修司の難しい考えについて行くのが大変だったと、今ではその小田原修司と婚約を交わしているミラーガールは語ってくれた。
すると気難しい話をして場の空気が重くなったのを察したバーンズは、かつての友である小田原修司についてもっと語り出してくれた。
「修司が見出した正義の価値観は難しいだろうから別の話だ。修司がオレたち二次元人を愛好してくれたのには、いわば化けの楽しみを教えてくれたからだと言われている」
「化けの楽しみ?」二次元人たちが始めて耳にする言葉きょとんとする中、バーンズは詳しく語る。
「言うなれば、自分でありながら全く別の人間に化ける楽しみの事さ。役者になったような気分の事。修司はオレたち二次元人の他者変身の能力に強く惹かれてな、自分をより良く変える事に修司は全身全霊注ぎ込んだって訳よ。オレやアッコの変身に憧れて、本場ハリウッドで特殊メイクを学んできたぐらいだしな」
「へぇーー……」
以前より小田原修司が二次元人に強い憧れを抱いていた話は聞いていたが、外国でメイクを学んで他者変身を疑似体験していた経緯も知って二次元人たちはただあっけらかんと頷くばかり。
更にバーンズは聖龍隊の職務や国連所有の人間兵器の任務以外で修司がやっていた政策についても述べ出した。
「更に修司は国際基準の法案としてサムライ法と呼ばれる民事法を全世界に共有させた。これにより少年/少女の犯罪者も通常の成人犯罪者と同じ処遇で罰せられ、重罪を負わせられる結果に相成った。更に
「小田原修司さんの法案に反対する国は無かったんですか?」修司の政策について述べていると、その政策に関する法案に反対する声は無かったのかと問う桃花・ブロッサム。バーンズは彼女の疑問に即座に答えた。
「修司の法案は、その殆どが所有財産を政府が没収する形だったんだよ。国にとっては治安維持に手のかかる
と、ここでバーンズはこう切り出した。
「修司はオレたち二次元人だけでなく多くの人と出会った事で、色んな事を思い体験した。その末に色んな法律を考え、更にそれを世界に施行させるほどの影響力と行動力を手に入れる事ができた訳だ! 聖龍隊でも多くの二次元人が種族を問わず共存しているのは、そんな多種多様な二次元人にも出会いと言う経験を積ませて、お互いに多くを学び、発展させていこうと言う考えがあってのことなんだ!」
更にバーンズは言う。
「確かに。見知らぬ人と触れ合うのは、最初は誰だって怖いし不安だろう……」
「………………………………」
「だけどな、そんな人と人との出会いが積み重なった事で、世界は此処まで発展してきた事を忘れないでくれ」
最後にメタルバードは二次元人達に対してこう強く述べた。
「人との出会いは確かに混乱も招いてしまう。だけど、出会いと言う形で得られた幸せも確実にあるんだ!」
人との出会い、交流こそ世界を発展させ、己の世界が広がる何よりの幸せ。そう説くバーンズの言葉に、二次元人達は壮絶な感銘を受けた。
[過去の小田原修司]
その後も親睦会を踏まえた問答は弾んだ。皆は思い思いの質問をHEADに投げかけ、それをバーンズが答えていく。
質問の内容なのだが、何故か新世代型は小田原修司の事ばかり訊ねてきた。彼らが異様に小田原修司の事について只ならぬ関心を抱いていたのをHEADは表情には出さなかったものの非常に重く捉えていた。
皆がかける質問は、過去の小田原修司――――自伝小説の『始まる伝説』から問い質された。
「なんか初登場時の小田原修司さんって、異様にテンションが高い様な気がします」
「テレビ映像や資料の修司さんって、もっと落ち着いた冷静沈着なイメージが強いんですが」
新世代型の瀬名アラタと細野サクヤからの、小説冒頭で登場する小田原修司が他の場面よりも格段に興奮している雰囲気が伺えるという質問にバーンズが当時を振り返りながら答え返す。
「そうだなぁ……あの頃の修司は確かにテンションが普通より高かった様な気がするな。あの時の修司は発達障害でテンションの上がり下がりが激しかったと聞いていたが……まあ、それ以上に念願だった二次元人の世界アニメタウンに来れた事が嬉し過ぎて最初はテンションが高かったんだろう」
続いて話題は、小田原修司が初登校した日の出来事について触れられた。
「転校初日から大将……そう、赤塚組の赤塚大作さんと揉めたっていうけど、その後はどうやって関係を修復されたんですか?」
「そういう事は当事者に聞こうじゃないか、なあアッコ」
「う、うん……」二次元人の問いにバーンズが話をミラーガールに振ると、彼女は当時の事を思い返してか少しばかり頬を赤らめていた。
「それと……大将! 大将ちょっと来てくれッ!」
バーンズは大声で大広間の外部にいる筈の大将を呼び続けた。
「なんだいバーンズ、いきなり大声で呼びやがって」
大将が大広間で唯一の出入り口からひょっこりやって来たのを見た途端、バーンズは大将に訊いた。
「なあ大将! お前が作ってくれた修司とアッコの馴れ初め話について詳しく聞かせてくれ」
「ば、バーンズ!?」「ば、ばばば、馬鹿なこと言ってんじゃねェよ! 馴れ初め話だァ?」
バーンズの言葉にミラーガールも大将も顔を真っ赤にして酷く戸惑う。
「そうだよ馴れ初め。ほら、お前が転校初日に修司と衝突して、それを止めに入ったアッコにキレちまったお前が石ころをアッコに投げちまって、その石ころを修司が素早く弾き飛ばして、そんでもって窓ガラスに飛んで破片が二人に降りかかった、あの事件だよ」
「あ、あの事件か……」
嬉々と喋り続けるバーンズに反し、大将はようやく話の本題が見えたことでより一層顔を赤くさせてしまう。
大将は当時の振り返りながら渋々語ろうとするが、彼が目を向けてみるとミラーガール自身も恥ずかしさの余り両手で顔を隠してしまっているのが視野に入った。
そして大将は覚悟を決めて当時の事を語り出した。
「ま、まぁ、なんだ……あの頃の俺は正真正銘のガキ大将だったからな。アッコにも素直に自分の気持ちを打ち解けられずに、いっつも周りに迷惑をかけてた。そこにあの修司が転校してきたって訳だ。転校初日から、人嫌いなあいつは俺や周りの連中はともかく、人付き合いの良かったアッコにすら不愛想にしているのが癪に触って。それで思わず……ケンカを止めに入ってきたアッコに石ころ投げちまった訳だよ」
「ほうほう、そん時の心情は?」
「言わせる気かよ……その、正直『ヤッちまった』って思ったよ。しかも運悪く修司が弾いた石ころが校舎の窓ガラスに直撃して、二人にガラスの破片が降ってきた時もヒヤヒヤしたもんだ。まあ、修司が二度に渡ってアッコを身を挺して護ってくれたから、アッコは無傷で助かったが」
「そんときアッコは?」
「わ、私は正直驚いちゃって上手く話せないわ。修司が実は優しくて、弱いものを護ろうとする人だってのはその頃からあったのは今では解っているけど」
「ふぅ~~ん」
大将、そしてミラーガールに当時の事情をニヤケ顔で話させるバーンズ。二人の思い出話を聞いて、HEADの女性らも二次元人の少女たちも思わず笑顔で修司とアッコの昔話に身を乗り出して聴き入れる。
すると大将は顔を火が飛び出るほど真っ赤に染めながら、バーンズに怒鳴り返す。
「こ、これでいいかッ!? 確かにあの頃の俺はガキんちょで本当に大人げなかったし、修司やアッコにも迷惑をかけっ放しだったのは解っているって! もう良いか?」
「ああ、分かった分かった。もう十分だぜ、かつてのガキ大将さんよ。ニヒッ」
バーンズが口元を思いっきり緩ませた笑顔で言ったのを認識した大将は、少し不機嫌なまま大広間の外へと飛び出していった。
「……まったく、男のやきもちほど見苦しいものはないってもんだぜ。なあ、みんな」
やきもちを妬く大将を見送ったバーンズの言葉に、HEADの面々はうんうんと中には笑顔で頷く者ばかり。しかし一人だけ、加賀美あつこことミラーガールだけは自分と修司のファーストコンタクトの思い出を皆の前で大将に語らせられ、未だに顔を赤くしていた。
こんな顔を赤くして恥ずかしがっているミラーガールを見て、新世代型は小田原修司の加賀美あつこに関する彼女のイメージについて訊ねてきた。
「小説では、小田原修司さんはアッコさん……あ、いいえ、ミラーガールの事をお節介で人が良すぎる女って書いてありますけど、女性に対してこの表現はどうかと思うんですけど!」
言い直しながらも新世代型の大宮忍は不満そうな顔で女性であるミラーガールを表現する一部の文章に異議を申し立てた。
するとこれに対してバーンズとミラーガールが返答した。
「ああ、それは別に。俺らHEADもみんなそうアッコの事は思っているし、アッコ自身も自分がお人好しだっていう自覚はあるから」
「うん、自覚はあるわ。それに修司だけでなく、HEADのみんなや他の隊士からもしょっちゅう言われているし」
この返答に二次元人たちは驚倒してしまう。
「ええ!? アッコさん、自分がお人好しだって自覚してるの!?」
「しかも修司さんだけでなく、他の聖龍隊の隊士からも言われちゃってるの!?」
衝撃を受けた新世代型の真鍋義久と琴浦春香は目を回しながら問い詰めると、ミラーガール自身はそんな嫌そうな顔をせず、むしろ朗らかな笑顔で答え返した。
「厳しい現実主義の修司からはよく言われてたわ、お前は人が良すぎるって。なんせ修司だけじゃなく聖龍隊の仲間からも同じことよく言われるのよ。まあ、これが私のスタイルだなって受け入れてはいるけどね」
「は、はぁ……」
お人好しも自分の一部と受け入れるミラーガールの気強い一言に、真鍋義久ら二次元人たちは唖然としてしまう。
話は変わって、小説に書かれている当時から今に至るまでアニメタウンで目を光らせている人工物について訊ねられた。
「うちの町って監視カメラが異常に多いけど、それってそう修司さんが市長になった時に増設された代物なんですか?」
普通の町よりも異常なほど監視カメラがあるのは、小田原修司が市長に就任した時に増設されたままだからなのかと新世代型で普段より周囲の視線に人一倍気を使う斉木楠雄が変わらぬ表情で訊ねると、バーンズも真顔で答え返した。
「ああ、今アニメタウンにある多くの監視カメラは修司が市長に就任した時に増設されたものがほとんどだ。アイツは昔から防犯とか治安とか、そっちの方を優先する傾向があってな。人民に自由な生活を送らせる事よりも、平穏で犯罪や争いのない世の中を目指した結果、監視カメラを町中に備え付けたって訳。しかもその後、修司は世界的権力と経済力を手に入れてからは、世界中に自分の発案した法案を施行させると同時に監視カメラを増設させたからな。まあ、肩身の狭い話だが、あのCIAも9・11以降、世界中のネットをハッキングしてユーザーや監視カメラを覗いているっていうしな。しかも世界はその事実を知っても、監視社会よりもテロリズムを敵視しちまっているから何とも難しい議題なんだよな。平和か自由か……今後の世界情勢最大の課題だ」
小田原修司が人々の自由よりも平和を優先していた思考の持ち主だったため、アニメタウンだけでなく世界中に監視カメラを増設させたのだと説明するバーンズの話に、皆は監視社会について考えさせられてしまう。
「と、ところでその……プッ、へ、変身怪獣って、なんでそう名乗ったんですか。フフ」
「ガァ~~~~~~ッン……や、やっぱ……笑っちまうか」
話題が重い監視社会から突如として全員が吹いてしまうバーンズの過去の偽名に関する話題へと移ろいで、バーンズ自身は過去の小っ恥ずかしい自分の過去に頭を抱えて暗鬱に陥ってしまう。
そんな暗鬱に浸るバーンズは、暗い表情で皆に当時なぜ自分が変身怪獣かだと名乗ったか赤裸々に語り出した。
「ふ、普通に本名のキングズとか名乗りたくなかったんだよ。まさしく王族って感じの名前でよ。咄嗟とはいえ他に名前が思いつかなかったから本名が明らかになる日まで変身怪獣で突き通したんだよ!」
バーンズは涙を延々と流しながら、過去に自分に対してつけたあだ名に深い後悔の念と悲観の哀愁で泣いてしまった。
そんな過去の自分の失態に涙を流して悲観してしまうバーンズに、彼と小田原修司の初接触について質問が投げ出された。
「ば、バーンズさん。バーンズさんが最初に小田原修司と会った時、少しはテレパシーで考えが解ったんですか? 最強のヒーローチームを結成する理由が、実は平和を護るって話じゃなかった様な……!」
新世代型のアリス・カータレットは『聖龍伝説 始まる伝説』からの質問を出し、それにバーンズは流していた涙を止めて彼女の質問に答えてあげた。
「んっ、ああ、修司が聖龍隊を結成させたかった理由か? 最初、修司はオレ……いや、セーラームーンやナースエンジェルのようなヒロインとかスーパーヒーローに憧れていたから、そんなヒーローを結成させて一緒に戦おうって考えだったけどな。その本質は誰かに自分を認めてもらいたいって考えから発足してたみたいだぞ」
「認めてもらいたい……!」一般二次元人たちが当時の小田原修司の真意を聞いて衝撃を受ける。
「ああ、修司は確かに人を護りたいとか誰かの助けになりたいって思ってはいた。だが、それはその人間の為にやっていた行為ではなく、自分を評価してもらい、認めてもらいたいって理由からだった。タイの地下研究所でも話したと思うが、修司は自分を評価してくれたり、自分が評価される為なら何だってやっちまう奴だったんだよ。まあ、それらは全て他人を犠牲にするような行為じゃなく、自分を犠牲にしていくやり方ばっかりだったから、オレ達にとっちゃかなり性質の悪い性分だったぜ」
「だ、だけど……自分を評価してもらいたい、認めてもらいたいってのは誰にでもあるんじゃ……」
新世代型の福原あんが、その考えは誰にでもあるものではないかと道理を述べると、バーンズは悲愴にも近い重い表情で語り始めた。
「確かに誰もが自分の存在を認めてもらいたいと願うのは当然の事だ。だが修司の場合は度を越え過ぎていた。奴が半ば人間でなくなるD-ワクチンを自ら投薬して強大な力を得たのも、その後オレ達の知らない間に国連に身を売って自ら人間兵器に身を落としたのも、全ては自分を評価してくれる人間を欲したからだ。軍の連中も国連のお偉いさん方も、最終的には自制できるDの力を持つ修司が国連所有の人間兵器になってくれた事に喜び、修司を評価してやった。その後、修司は聖龍隊を統括する役目もあった事から余り国連に御呼ばれする機会は滅法減ったが、それでも要請があれば修司は即座に国連の命令通りに破壊活動に専念するようになった。修司自身、強くなった自分の力に酔いしれていたしな」
「酔いしれてた?」新世代型のコウサカ・チナが一言発すると、それに対してバーンズは険しい顔付きで語った。
「小説にも少しばかし描写があったと思うが……修司は周りの人間と付き合いにくい性質から孤立しやすく、正直言えばいじめられっ子だった。そんな修司は自分をいじめたり疎外する連中よりも、そんな境遇に陥ってしまう自分の弱さを激しく憎んだ。修司にとって、弱さこそが最大の憎悪の象徴だったんだ。だから修司は力を手に入れられれば如何なる犠牲も惜しまないし、自分だけが犠牲になればそれで良いと勝手に判断する野郎だったから、オレ達は困り果ててたもんだよ」
「周りと孤立しやすかったというのは、やはり発達障害特有のものだったんですか?」
新世代型のイオリ・リン子が悲愴な面持ちで訊ねると、バーンズも居た堪れない表情で答え返した。
「ああ、それだよ。あの頃オレ達は知らなかったが、修司が孤立しやすかったり、逆に独りが性に合っているのはその障害が主な理由だったんだよ。それでも修司は孤独な状況下で常に不安や恐怖に苛まれていた。だからこそ誰かを護ったり救ったりする事で、周りから認められて自分の中の孤独感を薄めようとしていたって訳だ」
「………………」
「修司が言っていた、自分は生れ付き、誰にも心を開く事ができない存在だったと。修司は実の母親からも親族からも、周囲の人間と自ら距離を置くように生活してきたみたいだぜ。実際、オレたち聖龍隊にも、完全に心を開いてくれた奴はいなかったしな。まあ、アッコとウッズにだけは聖龍隊でも最も心を開いてくれてはいたがな」
「周りと距離を置いてたんですか……」過去に似た境遇を持つ琴浦春香が呟くと、バーンズはそれに答える様に話を進めた。
「そうだ。だけどな、それでも誰かを助けたり護ったりする事でその人の未来も同時に救えると考えた修司は、一生消える事のない障害というハンデを背負いながらも誰もが平等にそして平和に暮らせる世界を築ける可能性を持った存在に成り上がりたいという野望も抱いていた! だからこそ、同じ人を救いたいと願う同士をかき集めて聖龍隊を結成した訳なんだよ! オレ達も、そんな修司の野望と思想に強く共感して付いて行った訳なんだよ」
障害というハンデを背負いながら、誰もが平等にそして平和に暮らせる未来を想い、そして人を救いたいという共通の思想を抱く同士をかき集めて聖龍隊を結成させた小田原修司の野望と思想に、自分たち聖龍HEADも強く惹かれ、付いて行ったと熱く語り明かすバーンズの話に一般二次元人たちは圧倒された。
しかし一般の二次元人たちは、そんな誰もが魅了される思想を抱いていた小田原修司の恐るべき一面について訊ねた。
「だ、だけど……昔、まだアッコさんがミラーガールに変身できる様になる前に悪役達に襲撃された事件で、小田原修司が鬼の形相に変わっちゃったのは!? その時はバーンズさんもセーラー戦士も驚いて声も出せなかったんでしょ!?」
加賀美あつこの潜在能力に魅了された悪役達が彼女を襲撃した際、怒りで我を忘れた小田原修司が暴走、その際に顔に装着していた鬼の面が外れた小田原修司の素顔が鬼の様な恐ろしい形相に変貌した
『始まる伝説 狙われた光と暴走する闇』に新世代型のキャサリン・ユースが答えを求めた。するとバーンズはこれまた深刻そうな面持ちで詳細を述べた。
「そうだな、あの時の修司もまた一層と恐ろしかった。オレ達が目撃した恐るべき修司の一面は、それが初めてだった。だが、その頃の修司はまだ自分の怒りを制御できなかった。自分にとって大切な仲間が、あの時はアッコが攻撃を受けた事が切っ掛けで怒り狂っちまったんだ。修司の怒りは凄まじく、末恐ろしいが、それは同時に仲間を慈しむ心の表れだとオレ達は自負している。実際、あの時アッコが潜在能力で自分への攻撃を防げたから良かったものの、下手したら死んでいたからな」
バーンズから当時の事情を聞いた一般二次元人達であったが、それでも形相が変貌してしまうほど怒りに支配された小田原修司への懸念が募る。
すると当事者である加賀美あつこことミラーガールも当時の出来事を振り返り、一般二次元人たちに語り明かした。
「私もあの時は怖がったわ。ほとんど知らない悪役達が私を狙って……ダークキングダムの四天王に
「し、修司さんの事は怖くなかったんですか!?」
「確かに怖かったわよ。でも修司が怒ったのは、あくまでも私や聖龍隊の仲間が攻撃されたから怒った為で、私利私欲で感情を爆発させた訳じゃなかったわ。実際に一目見てスグに修司だって解った私は、必死になって怒るのを止めてほしいと訴えた。すると修司は私の言葉を理解した途端、静まってくれたわ。修司が怒ったりするのには、必ず理由があるのよ。そもそも修司は訳も無く怒る様な人じゃないわ」
小田原修司が怒るのには、必ず理由があると説くミラーガールの話に、一般二次元人たちはミラーガールが心から小田原修司に対して理解を示しているのだなとつくづく思う。
「……そういえば、修司さんは自分の弱さを嘆いていたっけ」
己の弱さを小田原修司は悲観していた事を、新世代型の神原秋人が呟いた。『聖龍伝説 伝説の始まり』の後半に乗っていた『業を背負う武人』と『傷付きながらも』を思い出したからだ。
そんな神原秋人たち新世代型が思い出した小説の後半の話を、バーンズも思い出しながら話した。
「修司が護りたいと思い描いていた対象は、自分と親しくしてくれている仲間だけでなく、その家族や友も入っていたからな。だがハニーの父親、如月猛の死を切っ掛けに、修司は自分ばかりを責め続け、咎め……後悔と自責の念に押されるようになっちまった。護りたかった相手を護れなかった自分の弱さを、修司は忌々しく感じるようになった。実のところ、修司は以外にも律儀で繊細な人間だ。同じ悲劇を繰り返さない様にと、護れなかった人命を供養の為にも決して忘れず胸に留め、常に後悔しながら深い業として背負う、そんな人間なんだ。例え万民を護り切るのが身勝手な思想でかつエゴであったとしても、救える命や存在は力が及ぶ限り、何よりも手が届く限界まで差し伸べて、弱者の側に立とうと奮闘していた。だが、そんな弱者を護る為ならば悪しき者を平然と斬り捨てる……つまりは殺す冷酷さも修司は兼ね備えていた。修司は命を悪しき命と善良な命の二種に分類し、正義をエゴと感じる前は『護るべき善』と『善を護るべき正義』そして『滅ぶべき悪』の三つにまで分け隔ててしまっていた。今の
バーンズに続いて、表情に影を落とすHEADメンバーの内の一人ミラーガールがその頃の小田原修司について重い口を開く。
「修司は悪を……いいえ、敵を斬り捨てる時は躊躇いや迷いを一切捨てて感情を押し殺して戦っていたわ。修司は感情を捨てていると言っていたけど、感情を捨てきれる人間なんて、そうそういないわ」
更にミラーガールは悲愴に満ちた面持ちで語り続けた。
「私は昔、いえ今でも命は平等じゃないかと思っているわ。だけど修司は悪人と私達の様な善人って呼ばれている人を一緒にする事を激しく拒絶し続けた。明らかに雲泥の差があると、修司は【護るべき善】【善を護る正義】そして【滅ぶべき悪】と見出し、修司は悪人を平然と斬り殺すことが昔からできたの。二次元人の多くが
自責の念で自分を押し殺す小田原修司を、誰よりも優しいながらも全てを背負い力強く前を突き進む人間と評するミラーガールの顔は、いつの間にか力強い面差しへと変わっていた。
ミラーガールの話を聞いて、一般二次元人達は今まで抱いていた小田原修司のイメージを払拭されてしまった。小田原修司は敵であれば、容赦なく斬り殺す冷酷なそれこそ鬼の様な恐ろしい人間性だと思い込んでいたからだ。
すると、そんな一般二次元人達の思想を御得意のテレパシーで理解したバーンズは、二次元人達に声を掛けた。
「お前たちはどうやら修司の事を深く勘違いしているようだな」
一般二次元人達がバーンズの方に一斉に顔を向けた瞬間、バーンズは小田原修司の人間性について熱く話し出した。
「修司は決して、正義の味方でも、英雄と呼ばれる事を望んじゃいなかった。アイツは、自分の信じたもの……そう信念というべきか、自分が信じたものを護る為に、純粋に強さを望んでいただけにすぎん」
そういうバーンズに続いて、ミラーガールも修司の人間性を述べた。
「修司という一人の人間の価値を計るなど、並の人間には不可能なのよ」
まさしく鬼神。人の器で計り知れるほどの器量ではなかったと語り明かされ、一般二次元人達は多大な衝撃を受けるのだった。
[HEADとの会合]
と、皆が小田原修司の人間性について再認識された丁度その時。
「もうすぐで中国に着けるぞーーっ!」と、赤塚組の子分の声が船内に響いた。
「え! もう中国?」「は、早い……!」
新世代型の真鍋義久とプロト世代の海道ジンは余りにも早い中国への到着に驚いてしまう。
「科学技術が発展している今の時代、アッという間に着いちまうもんよ」
バーンズはそういうと徐に立ち上がり、一般二次元人たちに言い放った。
「そんじゃ、話は此処まで。オレっちらは中国に上陸する準備を進めさせておかないと」
バーンズはこの時点で質問会を交えた親睦会の終了を告げた。
そして椅子から立ち上がり離れたバーンズは一般二次元人たちの前まで歩み寄ると、彼らに優しく話し掛ける。
「中国上陸まで、もう少しかかるからそれまでお前らは船内でも見て回ってろ。邪魔にならない程度なら、赤塚組の連中も見学ぐらい許してくれるだろう。あいつらは、ああ見えて気の良い連中だしな」
中国上陸まで船内を見学するようバーンズから言われる一般二次元人たち。すると上陸の準備のためか、バーンズ以外のHEADも立ち上がり続々と大広間から退室していく。
「……そんじゃ、お前らはお前らで自由に行動していいぞ。なにせ大事な客人には変わりないしな」
最後にバーンズもそう言うと部屋から出て行ってしまった。
大広間に取り残された一般二次元人たちも、一応は言われたままに部屋から退室してみる。
そして大広間を出た渡り廊下に出た途端、何処からとも無く小さな声が二次元人たちの耳に入ってきた。
「皆はんお揃いで。百鬼命義の船内を見にいくんやったら、ワテも付いていきまっせ」
「っ! だ、誰だ?」
声はするけど姿は見えない相手に、新世代型の真鍋義久ら一同は一驚し慌てふためく。
しかし徐に足元に視線を下ろしてみると、そこには五cmほどの大きさの鉄の板状のエンブレムが立って自分たちを見上げて話しかけていた。
「ワテはワテや。主はんらも小説読んで知っていますやろ。ワテはチップバード、王子の……あ、バーンズ・ウィングダムズ・キングズの側近中の側近や」
自らをチップバードと名乗るエンブレムは何処と無くバーンズのシルエットと瓜二つだったが、その名を聞いて新世代型二次元人達は共有感知も相まって全員が思い出した。
「あ、思い出しました! 確かバーンズさんがメタルバードに変身する際、胸に押し当てるアクセサリーだったあのチップバードですよね」
新世代型の室戸大智が語ると、チップバードは小さく頷きながら答えた。
「そやそや。ワテは超獣族の技術を結晶させて作られた王子専用のアイテムにして従者、チップバードや。本当は別の名前があるんやが、修司はんに長いと言う理由で今のチップバードに落ちついたんや」
「そ、それにしても良く喋る奴やなぁ」
巧みな口振りのチップバードに程ほど関心してしまう新世代型で同じ関西弁の鳴子章吉に対して、チップバードが言葉を返す。
「何を言うてますやん。そちらはんやて同じ関西弁やろうて。そもそもワテが関西弁なのは前国王、そう王子の御父上が地球上の言語を研究して、最も親しみやすい面白い言語が関西弁や大阪弁やと勝手にプログラムした訳やねん」
「そ、それでチップバードは何で此処に? バーンズに付いて行かなくていい訳?」
新世代型の薙切アリスがチップバードに問うと、チップバードはこう答えた。
「そやそや、王子からの言伝でな。皆はんが船内を見て回るっちゅうなら、一緒についていって何か解らない事を答えたり、危険な行動を取らないよう注意するよう言われてまんねん。なんで、船内を行く場合はワテもお付き合いさせてもらうさかい」
「要するに……バーンズの代わりに私たちを監視するって事ね」
「ッ、そ、そんな事はありまへんがな。ただ船が中国に上陸するまで、皆はんが知らない事をワテが解説していくだけの話なんやて」
新世代型の美都玲奈の発言に真意を衝かれたチップバードの反応を見て、新世代型達は冷めた面差しを浮かべる。
こうして船内をチップバードと共に見て回る事になった二次元人なのだった。
チップバードと合流した一同は渡り廊下を突き出ると、そこは船上で、青々しい空と眩しい日差しに顔が照らされる。
船上に出た一同が最初に見たのは、上陸に向けて隊士に指示を出したり、各々で話し合っている聖龍HEADの姿だった。そこには総長であるバーンズと副長のミラーガールだけが視認できなかったが、二次元人たちはウォーター・フェアリーと談話しているジュピターキッドに駆け寄り話しかけてみる。
「んっ、どうしたの君達?」
ジュピターキッドは質問を投げ掛けようとするものの、何から質問すればいいか悩んでいる二次元人たちの表情を読み取り勝手に説き始めた。
「結成当初は聖龍隊の仲間を統括して『隊員』と呼んでいたけど後々、同じ志を持つ同士という意味を込めて『隊士』と呼ばれるようになった。今では聖龍隊に加盟した主役級のキャラクターの身内なんかが隊士として活躍しているよ。例えばセーラームーンやナースエンジェルの弟に、さくらちゃんのお兄さんなんかがね。他にもモブキャラや、このpixivのオリジナルキャラクターも聖龍隊の隊士として日夜活躍しているんだ。主に聖龍隊の総長が最終的に入隊の許可を下す事もあるけど、他にも戦闘能力を買われて入隊を認められた隊士も多いね。何より隊士の中には魔法使いや獣人も普通にいるから、国連軍なんかよりも格段に隊士の質や量にレパートリーが多いんだ」
ジュピターキッドから聖龍隊の隊士について聞かされた二次元人たちは、次にそんな彼と談話していたウォーターフェアリーに小説にも書かれていた実際の物語とは違う顛末を迎えた経緯について訊ねた。
「私は確かに物語の最後には『命の泉』に身を投じて命を使い切ったわ。でもアッコさんのセイント・コンパクトのお陰でまた命を拾う事ができた……でも、その代わり大切な親友を亡くしてしまい、今では戦いに身を投じる日々を過ごしているわ。辛いけど、第二の人生を歩んだ時から過酷な人生が決まっていたのかもしれないわ。他の二次元人と同じ様に……。実際、ちせさんも死んでいたキャラクターだったし、そんな非業の最期を遂げていた二次元人が聖龍隊には多く加盟しているわ。死ぬはずだった、死ぬべきだった二次元人が生き延び、戦いに自ら身を投じるようになったのも修司さんの影響なのかもしれないわね」
死ぬ筈だった非業の最期を遂げる筈だった二次元人の多くが聖龍隊に加盟して、戦いという生き地獄に自ら身を投じる由縁を作ったのもある意味小田原修司が影響しているのではないかと説くウォーターフェアリーの言葉に、二次元人たちは言葉を失う。
一般二次元人たちは他のHEADにも話を聞こうと、次々に話し掛けていった。
「聖龍隊は家族を養えるくらいの給金も十分に出してくれるから、プリンも十分聖龍隊で活躍できるのだ!」
「聖龍隊は一応、アニメタウンという国家直属の軍隊ではあるからね。でも収入を得る為にも、昔からブロマイドなんかの写真撮影もさせられているわ。ま、際どい水着とかは修司さんは規制していたけどね。まるで父親の様に、私たち女性隊士が写真撮影する際は際どいシーンがないだろうかって心配してくれてたわ。……バーンズが総長に就任した今は規制が緩くなって、水着写真とかバンバン撮影されちゃっているんだけど」
組織としての収入や賃金は十分なので家族を存分に養えると兄弟姉妹が多いミュウプリンが語ると、聖龍隊の収入の一部には写真撮影なんかも含まれている事実をミュウザクロは苦笑しながら説いた。
「修司さんは私たち女性隊士を、女性としてではなく、まるで娘の様に大事に扱ってくれてたわ。けれど度が過ぎて心配性なところがたまにキズだったけどね」
「あの人はそれこそ聖龍隊のみんなを、僕も含んで家族の様に大事に慕ってくれてた一面が目立っていたよ。……まあ、これはHEADに昇格した時に知ったことだけど、修司さんは発達障害ゆえに実の家族と仲が上手くいかなかったからこそ、聖龍隊を家族の様に大切にしてくれたって聞いていたから複雑な所なんだけどね」
お互いに談笑しながら話をしていたミュウイチゴと蒼の騎士の話に、小田原修司が発達障害ゆえに実の家族と不仲であり、それ故に聖龍隊を実の家族のように扱っていた一面があった事を知る二次元人たち。
次に一般二次元人たちが話し掛けたのは、ちょうど新人隊士である【SAO】と【AW】の二組に先ほどの国連軍本部襲撃の際の戦闘での反省を踏まえさせているコレクターズの三人であった。
「……だからあれほど言ったじゃない! バーチャル世界と現実の戦闘は違うから注意しなさいって! いっくら重傷を負ったらナースエンジェルが治療して完治させてもらえるからって無理は禁物よっ」
コレクターユイがキリトや有田春雪たちに注意している所に二次元人たちが歩み寄ってきたのて、ユイたちコレクターズの注意が逸れ、新人二組はホッと安堵する。
「あら、みんなどうしたの? さっきはバーンズの長ったらしい話に付き合ってくれてありがとう。でもあなた達の質問に答えられたのは嬉しかったわ。
「まさか皆さんもアジアに同行させちゃうなんて、私たちも驚いてしまってますの」
「ホントにごめんなさい。バーンズったら、何を考えてあなた達を同行させたのか理解できないわ。共有感知の問題だって、他にももっと解決法とかあるかもしれないのに」
ユイ/ハルナ/アイの三人から言われて彼女達もバーンズの取った行動に考えが追い付いていない現状を二次元人たちは知る。
「バーンズは何であなた達を同行させたのかは詳しい事は解らないけど、バーンズはバーンズなりに考えがあったからこそあなた達を旅に同行させているんだと思うわよ」
「ああ見えてバーンズだって何かと考える奴だし、あなた達を思っての決断だった筈だから」
ユイ/アイに続いて最後にハルナも二次元人たちに言った。「今はとにかく、深く考えずゆっくり焦らず共有感知を治していきましょう」ハルナの落ち着いた物言いに、二次元人たちも少しばかり安心した。
そして次に話し掛けてみたのは、そんなコレクターズに現実空間での戦闘に対して注意された【SAO】と【AW】の新人達だった。
「あっちゃ~~、確かに現実とネットの世界は全然違うのは解っているつもりでも、オンライン空間と同じ様に体が動いちまうから失敗しやすいぜ」
「先輩達にも言われたとおり、無茶せず自分のできる事をできる範囲でやっていく方が無難だね」
コレクターズからの教訓どおり、自分のできる事をできる範囲でやって行こうと無難な考えに落ち着くキリトと春雪たち。
続いて一般二次元人たちは国を治める聖龍HEADの苦労をセーラームーンたちから訊いて見た。
「確かに国を治めるってすっごく大変な事だよ。だけどみんなが住みやすい国を造って、それを維持していくのは大切な事だし、修司君からの言い付けもあるからね。修司君はどんな人種や種族でも住みやすい、誰もが平等に暮らせる世の中を実現しようって言うほど凄い夢を昔から持ってて、いつか二次元人と三次元人が一緒に平和に暮らせる世界を築けたらなって思っていたんだよ。修司君自身が発達障害者と言う事で周りから差別されてきたから、差別のない平和な世の中を夢見ていたっていう悲しい理由もあるんだけどね」
「今でも修司の……いや、俺たちの理想は叶っていない。誰もが二次元人に対して、いつ危険な
セーラームーンとキング・エンディミオンの平和を願う想いを聴いて、二次元人たちは彼らHEADが本当に小田原修司の思想に惹かれている事を改めて思い知った。
HEADたちに話し掛けて行く二次元人たちの目に、船上の一角を借り切り、優雅にティータイムに更け込んでいるローゼンメイデンの五体が入ってきた。
二次元人たちがローゼンメイデンの茶会に歩み寄ってみると、彼らに気付いた真紅が物思いげな真剣な顔で逆に話し掛けて来た。
「さっきの話の続きだけど……あなた達は修司と言う人間を誤解しているわ。まあ、大半の人が小田原修司の人間性について誤解しているのが現実だけど。修司は好戦的であったけど、それはあくまでも武芸を極めた者同士での決闘を指していたの。醜い争いそのものは、修司は激しく嫌っていたわ。二次元人同士が善人同士で争っているのも、修司が割り入って強引に力尽くで争いを止めてしまうなんて事も多々あったわ。あの鹿目まどか達も、互いに争っている所を修司が参戦して全員を気絶させた事で今のように和解して一緒にいられるよう聖龍隊でも最善を尽くした訳なの。……私たちのアリス・ゲームも修司が止めてくれなかったら全員この場には揃っていなかったわ」
好戦的なイメージが定着している小田原修司でも、醜い争いは心から嫌っており、それが自分の敬愛する二次元人同士なら尚さら間に割り込んで戦いを自力で制止させていたと真紅は語った。
[マン・ヒールズとダーク・ラヴァーズ]
一般二次元人たちは、そろそろ中国に上陸してもいい頃ではないかと疑問に思い、バーンズの姿を探し始めた。
「王子でしたら、おそらく大将はんと一緒にいると思いまっせ」
同行するチップバードの言葉を頼りに、赤塚組の大将とバーンズの姿を探す二次元人たちは甲板から船内へと戻った。
そんな彼らの前に元敵役などで構成されたマン・ヒールズが現れた。
「あら、どうしたの君たち?」
マン・ヒールズの隊長であるミスティーハニーが二次元人たちに訊ねると、彼らはバーンズと一緒にいるであろう大将の事を訊ねた。
「ああ、バーンズと大将くんね。確かに二人なら一緒に船内を周っているのを私たちは見ているわよ」
これを聞いた二次元人たちは一礼すると、再び二人を探そうと歩き出そうとした矢先「あの、なんでお姉さん達はマン・ヒールズっていう悪者だったキャラクターがいる部隊にいる訳?」と、新世代型で唯一共有感知を通さないミステリアスバカの燃堂力が素気なく訊いた。
これには一般二次元人たちは一斉にズッコケてしまい、途方にくれた。
「ね、燃堂! 小説にも書いてあっただろう! ミスティーハニーにデューイさん、芹沢ルリ子さんは過去の悪行でそのまま聖龍隊に加わったって」
「うん、それはオレも知っているよ。だけどその頃はまだ一般の隊士だっただろう。なんでマン・ヒールズなんて元悪役の部隊が聖龍隊にできたのか気になって」
「言われてみれば、確かにそうだな……本来なら三次元政府によって処分されていても可笑しくないものの……」
突然の燃堂の問い掛けに親友の斉木が止めに入るが、念堂は何ゆえ聖龍隊という
すると、この燃堂の疑問ミスティーハニーが単刀直入に答えた。
「それはね、私たちが一般隊士として入隊した後からも、敵キャラだったり敵側に下ってしまう二次元人が続出したからなの。そういったキャラが改心した後も、三次元政府から
ミスティーハニーに続いて同期のデューイも一般二次元人たちに話した。
「まっ、ボク達としては
「あ、ああ、まあな。改心したとはいえ、やはり過去の悪行は消える事がない。三次元人たちも、自分たちに牙を向けられたくない一心でオレ達を処分しようと画策したんだろう。修司さんや海斗たちが庇ってくれなかったら今のオレ達はいない」
いつ凶暴性を発揮するか解らない元悪役達に対して危機感を募らせていた三次元人たちから擁護されていたのをデューイから指摘されたガイトは戸惑いながらも語った。
実際、三次元政府から目を付けられたブラック・ラヴァーズのガイト、沙羅、イズール、エリル、ユーリ、マリア、姉妹のシェシェとミミ、レディー・バット、蘭花、あらら。彼女らはもちろん、それ以降に聖龍隊に加わった森あい、プラス、月詠イクト、本郷唯、穴戸レナ、ハルカ・ヘップバーン、ジェラール・フェルナンデス。更にはニュー・スターズの卑怯番長にスター・ルーキーズの門脇将人にミヤビ、ゼブラまでも危うく殺処分されそうになったのを小田原修司が色々と根回しして救ったのだ。
「実際、オレとゼブラは刑務所に投獄されてたのを修司が保釈金を出して助けてくれた事から自由の身になれたんだ。その感謝も込めて、聖龍隊で活躍しないと」
「修司はオレと対面したとき言った……『俺もお前に適応するよう努力する! だからお前も俺を受け入れてくれるよう適応してくれ』ってな! あの時の修司の寛大さ、懐の広さにオレは圧倒されちまったのを今でも覚えている……!」
「そんな子なのよ、修司君は」
刑務所に投獄されていた身上の時に小田原修司が多額の保釈金で出獄させてくれた経緯から恩を感じているジェラールに、彼と共に刑務所から出獄させてもらったゼブラはその際小田原修司が自分に言った寛大な言葉と心の広さに圧倒された記憶を厳つい顔で語り明かした。そんなゼブラの話を聞いてミスティーハニーが一言付け足した。
すると此処でHEADの堂本海斗の双子の兄であるガイトがマン・ヒールズの前に一歩出ると、一般二次元人に語り出した。
「あんた達も疑問に思っていると思うから話すけど、オレはもちろんブラック・ラヴァーズいやダーク・ラヴァーズがなぜ生き延びているか不思議だろう。本来の物語では、オレ達も死んでいた二次元人だからな。そんなオレ達が生きているのは、全て小田原修司の影響だと思ってくれても構わない。むしろ、それが正しい事実だからな。あの人は凄い、自分の信念を決して曲げようとはしない芯の強い男だからな。そう、思えばあの時……オレも、いやオレたちもHEADや他の聖龍隊士の様に小田原修司の生き様に心底陶酔しちまったよ」
ガイトは語った。自分たちブラック・ラヴァーズが何ゆえ生き延びているのか。小田原修司の何に自分達は魅了されたのかを。
全てはあの時からだった。
るちあ達マーメイドプリンセスとの戦いを終え、ガイトはるちあや弟の海斗たちに別れを告げて自らの城と共に海底深く沈没していった。
「……ありがとう。沙羅、みんな、オレは幸せだ……」
王座に座るガイトの傍らには自分を愛してくれた沙羅、そして周囲には彼を慕ってくれるダーク・ラヴァーズの面々が元々の姿である深海魚の姿でガイトと運命を共にしてくれようとしていた。
ガイトは心の底より幸せだった。自分を愛し、自分を慕ってくれる者たちと安らかに永眠できる喜びを噛み締めていた。
と、ガイトたちがガイト城と共に海底へと沈んでいた、まさにその時。
なんとガイト城の城壁をぶち破り、ゴリラの五倍はあろうかという巨体の大男が城内のガイト達の許へと姿を現したのだ。
「なっ、なんだ!?」城壁をぶち破り、王座のある間までやって来た大男にガイト達は驚愕する。
すると大男は目前のガイト達に気付いた。「おっ、やっといたか」そう思ったのか大男は無言で泳いでガイト達の許へと近付く。
近付いた大男は両手から闇の鎖を出現させると、有無も言わさずガイト達を自身の巨体に縛り付け出した。
「わっ! な、なんだなんだ?」ガイト達は訳も分からないまま巨体に縛り付けられる現状に戸惑い、何もできずにいた。
そして大男はガイトたち全員を自らの巨体に縛り付けたのを確認すると(よしッ、急いで脱出するぞ!)と目で語った。
この大男の行動にガイトは激しく抵抗した。
「ま、待て! オレ達にはもう、生きる目的も無い……罪を償う為にも此処で果てるんだ! 邪魔しないでくれ!」
するとガイトの言葉を聞いた大男は、ガイトを鋭い眼光で睨み付けて威圧しながら目で言い返した。
(なんで……なんで、俺がお前の言うこと聞かなきゃならねェんだ……!)「!」
大男の眼差しと言動から発せられる威圧感に、ガイトは圧倒されながらも愕然と衝撃を受けた。
そして次の瞬間、大男は皆を縛り付けたままバタ足で急速水泳で海底に沈んでいくガイト城より脱出し、そのまま無言で海上まで一気に浮上しようと必死になる。
(も、もう少し……)水中での呼吸ができない大男は必死にバタ足をこぎ続け、海上へと目指す。
そしてもう少しのところで海上と言う所で問題が発生。「ゴポッ……」なんと大男の肺に溜まっていた酸素が途絶え、大男は海中で泡を吹いて溺れてしまった。
「お、おい!」
気絶してしまう大男にガイトが声をかける。するとガイト達を縛り付けていた闇の鎖は消滅し、ガイト達は自由となった。
「おい! しっかりしろ」
鎖から開放されたガイトは大男の肩を借りて、何とか海上まで浮上させようと試みる。それを見て、沙羅たちもそれぞれ肩や腰さらには足の裏を押し上げて大男を浮上させようと一生懸命に頑張る。
一方その頃、海上では聖龍隊の軍艦があった。
軍艦の艦上では聖龍隊の隊士達が懸命に海上に目を光らせていた。
「そっちはいたか!」「いや、いない!」
隊士達は必死に海上を隈なく双眼鏡で探しながら互いに声を掛け合っていた。
そんな隊士達を心配そうに見詰める一団も、艦上にはいた。
「タクッ、修司の奴め、余計な心配かけさせやがる……」
そう呟くのは当時聖龍隊の副長であるバーンズ。その傍らにはガイト城より脱出した海斗たちマーメイドプリンセス達の姿もあった。
聖龍隊の隊士が懸命に海上を探索していた、その時。
「ぷはっ……お、おおい!」
海上から浮かび上がった人影が声を発し、その声に艦上の隊士が気付いた。
「! 発見しました!」
隊士からの声にバーンズ達も艦上から海上を見下ろしてみると、そこには大男を必死に海上に浮かせ続けるガイト達の姿があった。
「あ、兄貴!」
海斗達が喜びの表情を見せたのも束の間、海上のガイト達は懸命に浮き続けながら訴える。
「は、早く……はやく引き上げてくれッ!」
ガイトの訴えに聖龍隊も早々に動き出し、ガイトたちダーク・ラヴァーズと大男の引き上げが完了した。
「全く、助けに行ったと思えば溺れやがって」
引き上げられた大男にバーンズはメタルバードに変身して、跳び上がると一気に丸くした頭部から真っ逆様に仰向けに倒れる大男の腹目掛け落下した。
「ブッ……ぷはっ、ぱぁ……」
腹に強烈な一撃を入れられた大男は水を吐き出し、再び呼吸を取り戻した。
「修司さん!」「総長!」目覚めた大男に、るちあや隊士達が駆け寄り声をかける。
弟達が大男に駆け寄っている最中、ガイト達は近くでその情景を静観していた。
すると目覚めた大男は徐に立ち上がると、助けるつもりが逆に助けてくれたガイト達にのっそりと歩み寄り彼らに声をかける。
「今の気分はどうだ?」
「はっ、さぁてね。死にたい所を強引に邪魔されたと思ったら、今度はそんなアンタを助けちまった。可笑しな気分なのは確かだ」
「そうか、それならお前達は正常だな」
ガイトと対話する大男に、ガイトは問うた。
「……なぜオレ達を助けた。こんな、どうしようもないオレ達を……」
すると問われた大男は毅然とした態度で答えた。
「……お前達の悪行は、単に愛情が暴走したゆえの行為だったと俺は思う。愛情を欲した、だからお前らは今まで悪行を積み重ねてきたんだろう」
「………………」
「俺はな、愛情という素晴らしい心を持つお前達をどう見ても極悪人には思えない。人の愛情は不思議だ、時に人を幸せにする事もあれば、お前達の様に過ちの発端にもなっちまう。だが、そんな愛情を俺は敬いたいと思っている」
「……何が言いたい」
ガイトが再び厳しい眼差しで問うと、大男は敢然とガイト達に言い放った。
「お前達は愛されている! 人を愛する事ができる! そんなお前達なら生きて罪を償える筈だ!!」
大男の言葉にガイトも、傍らで話を聴いている海斗やるちあ達も衝撃を受けた。だが大男の熱弁はそれだけではなかった。
「何よりもお前達の死を俺の仲間達が悲しむというならば、死ぬ事は俺が許さん! 死ぬ勇気があるなら、人を愛し続ける覚悟を持て!!」
そう熱く言い終った大男は何食わぬ顔でガイト達に背を向けて艦内へと立ち去っていった。
遠くなっていく大男の巨大な背中。だが大男が離れていくと同時に、次第に大男は縮んでいき、徐々に小柄ながらも筋肉質な男へと戻っていった。
聖龍隊の隊士は、そんな男に上着を手渡すと、男はその上着を羽織り、ずぶ濡れになった体が冷えないようにする。その上着の背広には、大きく『聖龍隊』と刺繍されていた。
聖龍隊を背負う男の名は、小田原修司。後に鬼神と呼ばれるまで人々に恐れられる武人だった。
「……と、まあこんな感じでオレと修司さんは意気投合したって訳だ。あの後も色々あった、ミケルは冥界に旅立つわ、天城みかるは今ではスクスク赤ん坊から育っては……今じゃ、本当に生きてて良かったって思えるよ」
「す、スッゲェ……と言うかカッコエェ! 死ぬ勇気があるなら愛する覚悟って、かっこよすぎじゃないですか、修司さんって!」
ガイトの昔話を聞いて、新世代型の燃堂力は目を輝かせた。
すると皆がガイトの話に耳を傾けていると、プロト世代のギュービッドが元の話に戻した。
「なあ、みんな。アタイらは今バーンズを探しているんだろう。昔話は放っといて、早くバーンズ探そうぜ」
「ガクッ、おいおい……」
放っとくと言う言葉を聞いて、ガイトは呆気に取られてしまう。
一般二次元人たちはマン・ヒールズに話を聞かせてくれた感謝を述べると、再びバーンズか大将を探し始めた。
[ニュー・スターズ]
バーンズの姿を探すべく、彼と一緒にいるであろう大将の姿も目視しようと再び甲板に出る一般二次元人たち。
すると彼らが出た甲板では、ちょうど聖龍隊ニュー・スターズの面々が、船の設備や自分達の装備を点検している真っ最中だった。
一先ずニュー・スターズ総部隊長にしてサイボーグのフロートに話しかけてみる事にした。彼はちょうど胸部を開いて内蔵されてる機械に好物のソーダを充填させて、口から冷気を放射して船の機械設備を冷やしながら調子を見ている真っ只中だった。
「んッ、なんだお前らは? どうした、こんな所に。此処はオレらニュー・スターズが赤塚組から借り切っている間取りだぜ。まあ、世話になっている分、今ちょうど設備の調子を見てやっているんだがな」
フロートは自身の肉体を過去に自ら改造した経緯を持っており、機械の修理や点検などお手の物なのだ。
「こ、此処にバーンズさん来ませんでしたか? または大将さんが……」
「いいや、どっちも来てはいないな……」
新世代型の神浜コウジが訊ねると、フロートは双方とも姿を見せていないと伝え返すが「……うっ、ウゥ……ッ」と、突然涙を流すのを堪え出したので一般二次元人たちは驚いた。
「わッ、ど、どうしたんすか、いきなり!?」
驚いた新世代型の真鍋義久が問い質すと、フロートは遂に堪えていた涙をボロボロと流しながら語り始めた。
「ウゥ、済まねェ。実はアニメタウンに一度帰ってから、お前さん達の詳細を総長に言われて読んだんだよ。そしたらよ……ウゥ! ほとんどの奴らが、何とも切ねェ過去を持っているじゃねぇかよ! お、オレ様、もう泣けちまうよ~~」
「………………」
韓国で二次元人たちと別れてアニメタウンに帰国した際、そこで総長バーンズに言われて保護した二次元人の詳細を書類を通して知り尽くしたフロートは、中には不憫な生き様を体験した二次元人たちの境遇に思わず感極まって泣いてしまった。これには当の二次元人たちも呆然としてしまう。
すると此処で新世代型二次元人の脳裏に一つの案が思い付いた。
「あ、あの……フロートさんはボク達の素性や過去を聖龍隊本部で知った訳なんですよね」
「ううぅ、そうだよ……大人の身勝手な都合で擬似戦争なんかやらされて、お前さん達も可愛そうだなぁオイっ!」
共有感知で全員の脳裏に思い付いた案を実行に移すためにフロートに何気なく問い掛ける星原ヒカルに対し、フロートはそんなヒカル達が体験したLBXを用いた擬似戦争に悲観し号泣しながら答えた。
「そ、それじゃ……! 私たち新世代型二次元人の初期型とも戦った事のあるフロートさんは、新世代型二次元人が何なのか御分かりでしょうか?」
「え……ま、まあな。でもよ、そんな過去の事気にしちゃいけねぇぜ。お前さんも実の母親の超能力で気苦労が絶えなかったんだろ? オレっちもスラム街で生きてきたからガキの頃の苦労の多さには叫喚できるぜ」
そう、この期に乗じて新世代型二次元人とは何なのか感情的になっているフロートから聞き出そうと狙っているのだ。そんな事とは露知らず、フロートは問い質してきた新世代型の御舟百合子に彼女の過去の辛苦と共に自らの境遇を語り合いながら、過去は振り返るなと話を誤魔化す。
しかしそうは問屋が下ろさないと、新世代型達は涙もろいフロートが感情的になっている間に何とか一番知りたい情報を聞き出そうと問い詰めようとした。
が、その時「アナタたち! もうそれぐらいにしなさーーいっ」と片言口調で話し掛けてくる女性が歩み寄ってきた。
それは今や原作とは完全にかけ離れ、フロートの影響でアメリカン・ガールに変貌を遂げたカトレアと、彼女の姉であるエレオノールとアンリエッタ、アニエス、ティファニアの五名だった。
「フロート! 感情的になって機密事項を外部に漏らすのはマズイでしょ! まったく、私たちの総部隊長なんだからもっとしっかりして!」
「ウグッ、すまねえな、エレオノール……」
エレオノールからきつく言いつけられたフロートは涙を指で拭う。
「あなた達! あなた方、新世代型に関する情報は聖龍隊内でも機密事項なんだから聞き出そうとしない! いいわねっ」
「ッ! は、はい……」
年齢や性別など全く気にせず頭ごなしに怒鳴りつけて来るエレオノールに一般二次元人たちは縮み込んでしまう。
「そうっ、そのトーーリでーーーーす! 種族や過去など気にせず、互いを受け入れ合うのが聖龍隊のリュウギというものなんデーース!」
そう元気一杯に聖龍隊の流儀について語るカトレアに、皆が原作の病弱で大人しい彼女とは真逆の変わり様に目を奪われているとカトレアはこう切り出した。
「ワタシたち、二次元人はお互いに出会う事で無限の可能性と成長を手に入れられる種族……そう、前総長の修司が仰ってました!」
二次元人たちは原作とはかなりかけ離れた容姿で元気一杯のアメリカン・ガールに変貌を遂げたニュー・スターズのカトレアに問い掛けた。
「無限の可能性と成長って……」するとカトレアは元気一杯に答えた。
「多くの二次元人と会うのはとても素晴らしいことでーース! 実際に私も、最初は病弱なキャラクターだったけど、フロートやみんなと出逢えた事でこんな元気一杯に変われたし!」
「変わりすぎだと思うんだけど……」ヴァリエール三姉妹の次女の変わり様に、長女エレオノールは妹のカトレアの変貌振りに呆れ果ててしまっていた。
「ワタシたち二次元人同士が出会った事で色んな世界に変革が……NO! 変化が表れました! ワタシ自身も変われましたし、妹のルイズも才人も強く立派になってくれました……まさか聖龍隊を出ちゃうとは夢にも思わなかったですが」
二次元人同士の出会いで自分だけでなく妹のルイズやその恋人の平賀才人も原作とは大きく変わったと豪語するカトレアだが、そのルイズも才人もスター・コマンドーもろとも聖龍隊を離反した事に悲観していたようだ。
聖龍隊より離反したスター・コマンドーがカトレアの口から出て、その場のニュー・スターズの空気が重くなった。
「村田順一……彼の様な人間との出会いが、私たち異世界の住人にも多大な影響を齎したわ。ジュンは種族を問わず、誰にでも心を開く純粋な一面が多い二次元人だったわ。そんなジュンと一緒に戦ってきたルイズや才人が変われたのも頷けるわ。正直、私もジュンたちが聖龍隊を離反したのがショックだわ」
そう語るのは次女カトレアと三女でありスター・コマンドーの一員であるルイズの長女であるエレオノール。彼女もまた、人間であり平民でありながらも純粋で武芸に長けた順一の事を高く評価していたのだ。
すると互いの思想や意見の喰い違いで分裂してしまったスター・コマンドーを悲愴する言葉が、王女であらせられるアンリエッタの口からも。
「才人さんだけじゃない、ルイズさんや多くの聖龍隊の仲間がバラバラになってしまった……そんな切ない想いが胸を貫いて辛いです」
平賀才人にかつて恋心を抱いていたアンリエッタも、今では普通に才人とルイズの仲を認めてはいるものの、そんな二人がスター・コマンドーごと聖龍隊より離反した経緯に胸を痛めていた。
そんなアンリエッタと同じく、才人に想いを寄せていたティファニアも己が真意を明かした。
「
フロートと【ゼロの使い魔】のキャラ達から語られる強いスター・コマンドーへの信頼の想いを聞いて、二次元人たちは如何に村田順一が彼らに慕われていたのか理解した。
スター・コマンドーの離別についての想いを語られた二次元人たちは、他の版権作品のキャラクター達にも話を聞いてみる事にした。
「ジュンは普通に強かったよ。私達ニュー・スターズと最初に組み手した時は今と違って日本刀だけで闘ったから凄かったよ」
「奴は人の弱さ、いや自分の弱さにも決して目を逸らさず向き合う強さを持った武人だった。最初おれ達がフロートの指揮の下、ニュー・スターズを結成した時も聖龍隊をなめ切っていたおれらに渇を入れる為にボコボコにされたのを覚えているぜ」
マカ=アルバーンとソウル=イーターに続いてブラック☆スターと
「あん時ほど悔しかった事は無かったぜ。なんせジュンはたった一人で、しかも日本刀一本だけでオレたち全員を相手に叩きのめしたんだからな」
「ジュンの装備していた日本刀は『純心』と呼ばれる、あの修司さんの聖龍剣の兄弟刀だったのよ。でもその切れ味だけで私達を倒せただけ訳じゃない、それを扱える技量も備わっていたわ」
この椿の言伝にデス・ザ・キッドが付け足した。
「だけど二年前のアジア対戦のとき、順一は『武力こそ争いの根源』と見出し、今のように手に装甲を嵌めて武器を持たずに戦うスタイルに変わった訳だ」
キッドの発言に続いて、パートナーのエリザベスとパトリシアのトンプソン姉妹が言った。
「何度かジュンと組み手してみたけど、日本刀持っているときほどの強さはなかったものの、強いのには変わりなかったのを覚えているよ」
「そうそう。拳から繰り出される衝撃波とか突風とか、凄すぎて何度壁に弾き飛ばされたか忘れちゃったよ」
鍛え抜いた肉体から繰り出される村田順一の剣術や格闘技を聞かされ、二次元人たちは改めて村田順一の強さを思い知る。
「私は一応、B.A.B.E.L.では先輩だけど薫ちゃん達の気持ちも解らなくないなぁ。確かに今の
村田順一たちスター・コマンドーが聖龍隊を離れた
「私たちの様に機動六課に属しながら、聖龍隊の活動もできる隊士は少なくないよ。どっちも人々を護るって言う大義名分を掲げているんだもの」
「修司は実力のある人材を見つけると、まずその人物が属している組織を聖龍隊の管轄化に置いて、自らの指揮でその人材を隊士として指示しようって魂胆があったのよ。まあ、それで聖龍隊という組織が大きくなったんだけどね」
そう語る高町なのはとフェイトの二人は、聖龍隊で働ける事を誇りに思う、そんな眼差しで一般二次元人たちに語ってくれた。
「小田原修司は自分の信念を貫き通す男だった。いくら政府の命令を受けていたとしても、聖龍隊の仲間の尊厳が失ってしまうのであれば、代わりに自らが率先して出動する事も山ほどあった! そんな修司を俺は男の中の男だと自負している」
威風堂々と語る金剛番長の力強い発言に、一般二次元人たちは圧倒されてしまう。
「修司の言っている、
灼眼のシャナは
が、ここで皆は百鬼命義に同乗している筈の【D.Gray-man】の面々がいない事に気付いた。
「なあ、フロートはん! アレンはん達は何処にいるんでまんねん!?」
チップバードがフロートにアレン・ウォーカー達が何処にいるのか訊ねると、フロートは大声で答えた。
「ああ! アレン達なら特別給料隊の所にメシ食いにいってるぜ!」
「? 特別給料隊?」
フロートが大声で言った特別給料隊を始めて聞いた二次元人たちはきょとんとすると、フロートに「おうっ、解ったで!」と返事したチップバードが特別給料隊について語った。
「特別給料隊っちゅうんは、要するに食糧と配膳の管理を一括している部隊の事や。別名、戦場の調理部隊とも呼ばれている台所やっ」
チップバードはその後も熱く語り続けた。
戦場で死力を尽くす聖龍隊の隊士の為に、小田原修司が選抜した菓子職人や料理人が、戦地で傷つき疲れ切った隊士を労う為に美味なる食品が拵えさせたという。
それは特別給料隊と呼ばれ、戦地での隊士はもちろん戦火に晒された人々への救済処置としても食糧補給には欠かせなかった。別名:戦場の調理部隊
隊士のやる気や士気を引き出させる為に普通の食料だけでなく甘美な糧食品の補充も大事にしていた。戦場で料理や菓子を作れる設備を、わざわざ戦場に設置しては隊士やその土地の人々に振舞っているという。
厳選された調理人たちは、著名な二次元人による調理人で構成されていた。日本を始め世界中の美味なる食が口にできるとして聖龍隊士からは絶大な人気を得ていた。
地獄の様な戦場で一時の安らぎを与える為に、我先にと押し寄せる隊士たちに余りの多忙さゆえに、他の手の空いている隊士らまでも手伝いに行く始末。
職人の頑張りが、聖龍隊の隊士を支えて、更には戦火に晒された万民にも生きる気力を分け与えた。心も体も飢えた隊士や戦地の人々に少しでも美味しいものを与えたいと願ってた小田原修司が考案した非戦闘部隊。
食糧班もいれば、パン職人も生菓子職人もいた。実際に人を本当に救えるのは……武力を持った人間ではなく、人の心を満たしてくれる調理人や技術者などの職人なのかもしれない。
そう熱く語り終えたチップバードは、アレン達が特別給料隊の所で食事に行っているのを把握して言葉を発した。
「……ニュー・スターズの皆はんの話は大体済みましたさかい。次は船首の方に行ってみまひょう」
同行するチップバードの言葉通り、一般二次元人たちは船首の方へと向かっていった。
[人魚の彼氏と先見の巫女]
船首へと向かう一行は、道中で聖龍HEADの宝生波音と洞院リナの恋人でもある聖龍隊の隊士の白井渚と浜崎雅弘の二人と遭遇した。
「おおっ、お二人はん」「よっ、チップバード」「やあ、皆さんご機嫌いかが?」
親しみを込めて気軽に呼び合うチップバードと渚に対し浜崎は一般二次元人たちにも声をかける。
「お二人はん、王子か、はたまた大将はん見てまへんか? ちょっくらワテら聞きたい事がありますさかい」
これを聞いた二人は思い出したように言った。
「ああ、総長ならこの先の船首で大将と何だか話していたぜ」
「ええ、どうも気難しい顔してましたね。珍しく大将さんも」
二人から話を聞いたチップバードは「そうっすか! それはありがとな」と礼を述べる。
そして渚と浜崎の二人はチップバードに答えると、船首とは逆方向に荷物を持って去っていった。
白井渚と浜崎雅弘見送った一同に、チップバードがひょいと気軽に昔話を聞かせてやった。
「あの二人のときは大変やったなぁ。なにせ波音はんとリナはんが人魚だって気付かせる為に、修司はんと王子が裏で糸を引いたりいして……まっ、最終的に二人とも、波音はんとリナはんが人魚だって気付いてくれたからこそ、こうして分け隔てなく恋人でいられるんやがな。まぁ、聖龍HEADに昇格した際には、HEADは条例に従って素性と本名を公開しなければならない決まりやったけど、その前に気付いてくれただけでも儲けもんや」
当時の気苦労を赤裸々に語るチップバードは、更にその後の二人の詳細も語った。
「しかも二人とも、恋人ばかりに危険な職務背負わせる訳にはいかんと、自ずと聖龍隊に志願して今じゃ立派な隊士の一員や。まぁ、ジュンはんの様に特別秀でた能力や武力は持ち合わせてないけど、聖龍隊内のカップルと言う事では波音はんとリナはんとはホンマ仲が宜しいさかい」
白井渚と浜崎雅弘の昔話を聞いた一般二次元人たちは船首の方へと向かっていった。
船首に続く甲板に出た一行は、今度はそこで各自準備体操をしているスター・ルーキーズと遭遇。
ルーキーズ総部隊長ミラールに話しかけて見ると、彼女は現状で起きている事態を率直に話した。
「ああ、あなた達ね。どうやら上陸予定だった中国のウェンリンで大規模な戦闘が勃発しているらしくて、簡単に上陸できなくなっているみたいなの。さっき聖龍隊の仲間から連絡があったけど、あいにく香港とか別の港では中国軍が準備していて万班みたいだからウェンリンにしか寄港できないんだけど、このままじゃ上陸できないから私たちで出陣して敵を一掃しようかって話が総長から提案されたの。今、総長はその事で大将と話している所よ」
ミラールより上陸する筈だった中国ウェンリンで大規模な戦闘が勃発した事で、上陸が難しくなった事。そして最悪の場合、聖龍隊により戦闘を鎮圧するかバーンズより提案が有りそれについて大将と議論を交わしている事を聞いたチップバードは慌てふためいた。
「それは大変やっ! もし戦闘なら、ワテが一緒にいて変身しなきゃならないかもしれへん! 悪いがワテは此処で王子の許に戻りまっせ」
そう言うとチップバードはそそくさとバーンズの許へと飛んでいってしまった。
戦闘になるかもしれないと聞かされた一般二次元人は、自分達も事の状況を確認するため急いでバーンズの方へと向かっていった。
各自、戦闘に備えて準備を進めるルーキーズ隊士の脇を通って、一般二次元人たちはバーンズの方へと駆けつけて行く。
船首に辿り付いた一般二次元人たち。そこには何やら大将と気難しい顔で話し合うバーンズの姿があった。
「バーンズさん!」「お前ら、ここは危険だ! 向こうに行ってろッ」
急いで駆けつけた二次元人たちはバーンズの名を呼ぶが、バーンズは危険だとして皆を向こうに追いやろうとする。
するとその時。甲板に一発の銃弾が着弾し、その音に二次元人たちは戸惑った。
「うわっ!」「こらあ! うちの船に傷付けるんじゃねェよ!!」
銃弾に驚く二次元人たちに反して、大将は自慢の船を傷付けられて立腹する。
一般二次元人たちが恐る恐る甲板の陰から遠くの対岸を見詰めてみると、そこでは大規模な戦闘が発起しており、銃弾も飛び交っていた。
「クッ、このまま手を拱いていれば双方共に死傷者が絶えない……大将、ここはオレたちで戦いを止めねえか?」
「い、いや……よそ者の俺たちが横から入れば、それこそ死人が山の様に出ちまうぜ。困ったもんだぜ」
バーンズと大将が手を拱いている、まさにその時。対岸向こうの山の中から桜色の光る無数の矢が飛んできた。
光の矢は対岸で戦うもの全てを絶命させ、更に勢いで飛んできた矢は百鬼命義にまで降り注いできた。
「うわっ」「危ない!」
バーンズも大将も、そして一般二次元人たちも身を低くして矢の射撃から身を護る。
「お、おい! この矢は……」「間違いねぇ……鶴の字だ!」
桜色の光の矢を間近で見たバーンズと大将は目の色を変える。
すると彼らが搭乗する百鬼命義の左右から、それぞれ船団がやって来て、百鬼命義を挟み撃ちにしてしまう。
「我々はウェンリン水軍! 赤塚組よ、戦闘の意が無ければ大人しく投降しなされッ」
ウェンリン水軍と名乗る水軍の武将が赤塚組に投降を迫る。
その間、突如現れた光の矢と水軍に肝を冷やした二次元人たちが物陰に隠れながらバーンズに問うた。
「ば、バーンズさん! 彼らは一体……それに、あの光る矢はいったい……」
新世代型の出雲ハルキが問い質すと、バーンズは静かに答えた。
「あいつらはウェンリン水軍。二年前の乱世で中国の軍隊とは独立して活躍している水軍だ。主に鬼神神社の参拝者に関係者で構成された、何とも厄介な水軍よ」
「鬼神神社?」真鍋義久が呆気に取られると、バーンズは続けて話した。
「鬼を奉っている社の事さ。奴らは先見の目、つまり予知の能力を持った巫女の指示の下、動いているんだ」
「鬼を崇めている神社の巫女……さぞ怖い女性なんでしょうね」
鬼を崇め奉っている神社の巫女と聞いただけで、怖いイメージが浮かんでしまう一般の二次元人たち。
そしてバーンズと一般二次元人たちはそっと甲板から上半身を覗かせて、自分達には戦意は無い事を水軍に示す。
すると水軍の一隻の船から女性らしき人影がひょっこりと出てきた。
「あ、あれが鬼神神社の巫女……」「どんな恐ろしい顔しているんだろう」
新世代型の室戸大智にイオリ・セイらが脅え切っている中、姿を見せた巫女は船首の先で祈りを捧げながら言の葉を申し開いた。
「御神託がありました、あなた方は嵐を呼ぶ雲であれ、と。だから! ズババババ~~ンと、振り払っちゃいますよ」
可愛くウインクしたその巫女は、持ち手に構える弓を引き伸ばすと唐突に名乗り出す。
「わたしは鶴姫! 白い翼で羽ばたく鳥です☆」
純白可憐 鶴姫 初陣
一般二次元人達の予想に反して、鶴姫と名乗る巫女はおかっぱ風のショートヘアーに前髪を姫カット出揃えた、紅白の巫女装束の上から青い銅鎧が目立つ、何とも可愛らしい少女だった。
鶴姫は水軍の船から物凄い跳躍力で跳び上がると、先ほど自らが放った矢を浴びながらも未だ戦い続ける野武士の真上を跳び越えていく。そして地上に降り立つと鶴姫は何の躊躇いもなく戦い続ける野武士に向けて光の矢を無数に放った。
「ぐはッ」「ぎゃあ!」
鶴姫の矢に射抜かれて、野武士達の残党は一人残らず死滅してしまった。
何の躊躇もなく敵を射抜いた幼子の様な無邪気な少女の行動に一般二次元人達が愕然としていると、鶴姫はそんな彼らに気付いたのかニッコリと笑顔を向けて再び跳び上がる。
「!!」
無邪気で天真爛漫な笑顔を向けられ、新世代型の男子達は思わずキュンとしてしまう。
そして鶴姫は水軍の船を跳び継いで、バーンズや新世代型たちが乗船する百鬼命義に跳び乗ってきた。
「お久しぶりです、バーンズさん! そして初めまして、新世代型の二次元人の皆さん」
「や、やあ、久しぶりだな巫女……って、なんでお前、新世代型のこと知ってるんだ!?」
挨拶を交わす鶴姫とバーンズだったが、バーンズは何ゆえ鶴姫が新世代型二次元人の事を知っているのか非常に戸惑った。
すると其処に大将が先ほどの襲撃に怒りを露にしながら鶴姫に怒鳴り込んでいった。
「こら鶴の字! テメェ、俺らの百鬼命義にまで矢を放つたぁ、どういう了見だッ!」
「あら、海賊さんもいらっしゃったんですか。目に入りませんでしたわ」
強面の大将を前にしても、鶴姫は無邪気な子供の様にそっぽを向くばかり。
と、そこにミラーガールやミズキがやって来て鶴姫と顔を合わせる。
「わあっ、アッコねえさまにミズキねえさま! お久しぶりですぅ」
「久しぶり鶴姫ちゃん!」「まさか、こんなところで再会できるとは」
「こんなところも何も、ここはわたしの社から一番近い海です。そしたらお告げがあって、近くの海に出陣しろって……」
「お告げ?」
鶴姫の一言にバーンズが首を傾げていると、そこに一般二次元人達が声を掛けてきた。
「あ、あの……」
この二次元人達の声にミラーガールが反応し、皆に鶴姫を紹介する。
「あ、みんなは初めてだったわね。彼女は鶴姫ちゃん、中国の神社で巫女をやっている女の子よ」
ミラーガールの紹介を機に、鶴姫自身も自己紹介を始めた。
「鶴姫です、初めまして皆さん。てへ☆」
愛らしい笑顔を振りまく鶴姫の言動に、彼女を始めて見た新世代型の男子達はほとんどメロメロになってしまっていた。
「鶴姫ちゃんは何でまた社から出ているの?」
ミラーガールが鶴姫に何ゆえ、また社から出て戦に出陣しているのか訊ねると、鶴姫は笑顔で返した。
「はい、そのことも含めてアッコおねえさま達に御相談がありまして……良かったら、こんなむさ苦しい場所ではなく、わたしの社でお話しませんか?」
「むさ苦しくって悪かったな!」鶴姫の一言に大将はまたしても御立腹してしまう。
その反面、鶴姫の提案を受けてミラーガールが言った。
「そうね、ちょうど私たちも上陸してから出陣の準備を整えたかった所だし、お邪魔になるわ」
「まあっ、お邪魔だなんて! アッコおねえさまなら大歓迎ですよ、あの鬼神様と
「い、いやぁ、鶴姫ちゃんたら……こんなところで、照れるじゃない」
鶴姫の発言にミラーガールは思わず照れる。
こうして一同は
[鬼神を奉る社]
社へと向かう石階段を登る道中、新世代型で教師の美都玲奈が鶴姫に申した。
「あなた……なんであそこまで平然と人を殺められる訳?」
「? おかしな事を聞きますね。清らかな海を醜い争いで汚そうとする輩を放っておく事なんてできません☆」
「い、いえ、そうじゃなくて……あなた自身は……」
「へへ☆ 海神の巫女の魂は、あれぐらいの戦いでは穢れません。むしろ海の平和をドドーンと護ったんですもの」
「………………」
人命を平然と殺生できる鶴姫の明るい言動に、美都玲奈たち二次元人たちは愕然としてしまう。
そんな一般二次元人たちに、バーンズとジュピターキッドが密かに訳を語り出す。
「あの鶴姫、小さい頃から社ン中で後生大事に育てられたから、人の心痛とか悲しみとかよく解ってないんだ」
「小さい頃は泣き虫だったみたいで、それを見た神主や関係者が巫女の鶴姫ちゃんを世間から隠して育て上げたみたいなんだ」
「………………!」
「だから情操教育とか、そんなの一切受けてないのと変わらないんだ。人を疑う事すら知らない純粋な子なんだが、どうも他人の悲痛や苦痛に対して理解しにくい傾向がある、ちょっと厄介な女の子なんだよ」
他人の苦痛や悲痛に鈍感な一面を鶴姫は持っていると聞かされ、一般二次元人たちは言葉を失うほど愕然としてしまう。
鶴姫の感情譲受に関して聞かされた一般二次元人たちは、そんな鶴姫率いる水軍の案内の元、ようやく神社の入り口に到着したのだが……
「ひぃっ」「な、何コレ!?」
神社の入り口の両側には、厳つい風貌をした木彫りの何とも悍ましい形相の鬼が二対在った。
更に社の奥の神殿に足を運んでみると、大仏の代わりに胡坐をかいた強面のこれまた厳つい形相の恐ろしい鬼の銅像が奉られていた。
「へへっ、どうですか? わたしの社の鬼神様もドーンとすごいでしょ」
恐ろしい形相をした鬼の銅像を笑顔で満足げに紹介する鶴姫に反して、一般の二次元人たちはその恐ろしい形相の鬼に愕然と震え上がっていた。
「な、なんでこんな恐ろしい鬼を崇めているの……?」
恐ろしさの余り思わず涙目で縮み込んでしまうキャサリン・ユースら女子達に、神社を護る水軍の若い武官が皆に説き始めた。
「古より鬼は、邪気を振り払う力の象徴として我が社では崇め奉っています」
これを聞いたバーンズも、二次元人たちに説いた。
「実際、日本の各所にも鬼を奉る社はいくつか確認されているからな。中国とか、アジアにも同じ様な神社があってもおかしくはない」
バーンズの説明を聞いて鶴姫がまたしても激しく言い回った。
「その通り! 鬼神様は誰にでも平等に邪気を振り払ってくれる、ありがた~~い存在なのです。皆さん、二次元人を死守してきた鬼神様……人の名で小田原修司も皆さんに降りかかる災いや邪気を一身に振り払って戦場を駆け巡った尊き御方でしょっ☆」
「い、いや……小田原修司はあくまで人間……」
鶴姫の言動に新世代型の猿田学が反論しようとするが、その猿田の肩を後ろからポンと叩いてバーンズが詳しい事情を遠い目で語り明かした。
「あの鶴姫、D-ワクチンで巨大化した修司を本物の鬼神と思い込んじまっているんだよ。そんで、人間の姿に戻った修司を仮初の姿だと今でも思い込んでいるみたいだ」
なんと鶴姫は筋肉増強剤のD-ワクチンで巨大化した小田原修司を正真正銘の本物の鬼神と思い込んでしまっており、普通の姿の時の修司は逆に人間に化けているものだと今でも信じて疑ってないのだという。
皆が神社に奉られている鬼の木彫りや銅像に震え上がりながらも、社の外では聖龍隊と赤塚組の同盟がアジアへと出陣を着々と準備していた。
そんな中、一行は鶴姫が言っていた事柄について話を始めた。
「鶴姫ちゃん、お告げがあったから海に出陣したってさっき言っていたけど……それもまた、先見のいわゆる予知能力なの?」
ミラーガールが訊ねると、鶴姫は不思議なことを彼女たちに語り出した。
「はい、周りの皆さんも余り信じてはくれてないんですけど……ある日、いつもの様に鬼神様にお祈りしていたら何処からともなく声が聞こえてきたんです」
「声が?」社の鬼神に祈祷していたある日に聞こえてきた声に反応するエンディミオン。
「はい、その声色は女性なのは確かなのですが姿だけは見えず……声もわたしにだけしか聞こえないみたいなんです」
「それはまた可笑しな話だな」HEADの洞院リナが言うが、鶴姫は話を続けた。
「しかも、その声の主はわたしの先見の目でも見えなかった未来を予知してきたんです! 現政奉還のこととか、先ほどの近くでの海の争いなんかもピタリと的中させちゃっているんです!」
「なんなんだ、その声って……」
バーンズが鶴姫の予知能力でも見えなかった未来の出来事を言い当てた声の主に関して関心を持つと、鶴姫は静かにその名を言った。
「その御方の名は……卑弥呼、古の王国、邪馬台国の女王であった方みたいなんです」
「卑弥呼!?」鶴姫が申し出した卑弥呼の名に、全員が一驚した。卑弥呼の名を知らない日本人などいないのが当然だからだ。
と、ここで卑弥呼を名乗る声の主に対して大将が反論を唱える。
「おい鶴の字! てめえ卑弥呼って、どう考えても可笑しいだろうがッ。お前さんの事だ、また誰かに唆されたり騙されたりして、利用されているんじゃねぇのか?」
「そ、そんなことありません! 卑弥呼様を疑うなんて、悪い海賊さんですっ」
卑弥呼の存在を否定され、鶴姫は子供の様に頬を膨らませて腹を立ててしまう。
「だけどな……大将の言うとおりなんじゃないのかな? 卑弥呼って……」
しかし大将だけでなく、バーンズら他の皆も一同に卑弥呼の存在について疑ってしまう。
「そ、そんな、海賊さんだけでなく皆さんまで!? ほんとなんですって! ついでに卑弥呼様の御神託に寄れば、新世代型二次元人を大事にするべきと仰ってました!」
「! あなたが新世代型二次元人の事を知っていたのは、卑弥呼からのお告げからだったのね!」
赤塚組のミズキは、なぜ鶴姫が新世代型二次元人の事を知っていたのか、その理由が判明して驚いた。
「ま、まぁ、鶴姫ちゃんが嘘を言っている訳ないし、みんな鶴姫ちゃんの事を信じてあげましょうよ。大丈夫よ鶴姫ちゃん、私は信じてあげるわよ、卑弥呼の事」
「わあ! さすがアッコおねえさまですっ。鶴姫のこと信じてくれるのはアッコおねえさまの様に、鬼神様に見初められた女性だけですよっ」
鶴姫は小田原修司に見初められたミラーガールに信じてもらえた事に、跳ねて喜びを表現した。
[疑心と予見]
全員が鶴姫の申した卑弥呼なる声の存在に異議を感じる中、軍が出立の準備を整えている最中、聖龍HEADは社の一角で秘かに密談していた。
「どういう事だいバーンズ」「そうだ、新世代型の子たちも同行させるだなんて」
ジュピターキッドやキング・エンディミオンらHEADは一同にバーンズに言い寄る。なぜ彼が新世代型二次元人を、無理を承知でアジアの旅路に同行させたのか問い詰めていたのだ。
すると皆に言い寄られたバーンズは、真剣な真顔でHEADの同士に話し出した。
「オレはな……あの子たちに世界の現実とやらを見てほしいのよ」
「世界の、現実……?」
セーラーマーズらが唖然とする中、バーンズは更に話し続ける。
「今の二次元人は、理想とは真逆の現実を生き抜かなければ先へは進めない。でも、現実の中で生き抜くのは並大抵の事じゃない。そこでだ、まずは現実の世界がどうなのか……いや、世界とはどんなものなのか。また人と巡り合って彼らの心を成長させたいとオレは期待しているんだ」
「心の成長ねぇ……」
バーンズの話にコレクターユイが首を傾げるが、そこにバーンズは更に熱く語り掛ける。
「オレ達だってそうじゃないか! 理不尽な現実を直視し、さらに大勢の人々と交流を積み重ねた事で今のように成長できた! オレは、そんな心の成長という可能性を彼らに……新世代型に賭けてみたい!」
「………………」
バーンズの熱弁を聞いても釈然としないHEADは黙り込んでしまうが、そんな彼らにバーンズは押しの一手を言った。
「修司だってそうだったじゃないか! 多くの現実を知り、多くの人と交流を持った修司がどんなに変わったか……そして、そんな修司はオレ達に現実を直視させて、現実の中で生き抜き、戦い続けられる強さを与えてくれたじゃないか。オレは、そんな強さを新世代型にも持ってほしいと願っている!」
「!!」小田原修司と同じ様に。そう言われたHEADは目が覚めた。
更にバーンズは最後にこう締めくくった。
「あの子らも、いづれ自分達に秘められた真実を知ってショックを受けるかもしれない。だけど、そんな理不尽な現実と直面した時に少しでも自分を保てる強さを持ってくれれば幸いだろう」
こうして聖龍HEADは、ありのままの世界を新世代型二次元に見せて、多くの事を知り学び取ってもらいたい。そんなバーンズの考えに賛同したのだ。
出立の準備もでき、聖龍・赤塚同盟は新世代型を含む一般二次元人を携えてウェンリンの社から発とうとしていた。
「それじゃ、鶴姫さん。どうもお世話になりました!」
「みやげ物も買えた事だし、文句はねぇぜ」
短い間だったとはいえ、世話してくれた鬼神神社の関係者や鶴姫に礼を述べるプロト世代のチョコとギュービッド。
「もう行ってしまわれるんですね。もう少し新世代の子たちとお喋りしたかったです」
別れを惜しむ鶴姫に、バーンズが説いた。
「鶴姫、オレ達はオレ達でアジアの戦乱を治めなきゃならねえんだ。ここでゆっくり寛いでいる余裕はないんだ」
「分かりました、では乱世の風が鎮まったあとにでも、一緒にお茶菓子つまみながらお話しましょ」
バーンズの説いた事情に鶴姫は朗らかに言葉を返した。
すると鶴姫は先見の目から見出したのか、此方の事情を知っている様な口ぶりでこう話した。
「新世代型の皆々様方には、苦難の道が待ち受けている事でしょう。わたしに言えるのは、乱世が終わった後も皆さんの苦難が続くといった道のりだけです」
人の苦心というものを殆ど理解していない鶴姫は、包み隠さず新世代型の未来を説き明かす。
更に鶴姫は、自分達の行く末を言い渡されて戸惑う新世代型二次元人を見てこう言った。
「それでは! 皆々様方の今後の行く末を願って、わたし鶴姫が未来を見通します! ううん……えいっ」
両手を印の字に結んだ鶴姫は、一瞬のうちに未来を見通し、その未来を御神託として一行に伝えた。
「御神託です。あなた方は行く先々で、様々な出会いを果たした後に大きな嵐に見舞われます。そして嵐が過ぎ去った後に残るのは、悲しきながらも変え様のない現実だと」
鶴姫の予見に一同きょとんとしてしまう。
「まったく、鶴の字のお告げって意味不明すぎて分かりにくいぜ」
「まあっ、わたしの予知をバカにして! これだから海賊さんは嫌いですっ」
難しい言葉を並べた御神託に鬱憤を吐く大将に、鶴姫は気に食わない顔付きで反論する。
かくして聖龍・赤塚同盟は鶴姫が居住する鬼神神社を後にし、亜細亜各地の武将たちの元へと行くのであった。
「バーンズ、これから何処に行く?」
「うむ、兎にも角にも、まずは聖龍隊の総力を挙げてモンゴルに向かう! ユキジが何かしらの決断を示してくれているだろうしな」
一団の先頭を行くバーンズと大将は、まずはモンゴルに向かう事に決めた。
「既に行く手に阻む戦陣の確認を、北麗たちに委ねている。先に戦闘をしている一派があれば、すぐに報告しに来てくれるだろう」
「そりゃそうだな! あいつらなら、きっとやってくれるだろう」
海神の巫女、鶴姫から不吉な予見を言われながらも、一行はモンゴルを目指して先へと進む。
その前に現れる一人の青年が、聖龍隊を、赤塚組を、そしてゆくゆくは新世代型二次元人の運命を大きく左右するとは知らずに。
[アレンジ武将]
名前:鶴姫
属性:氷
武器:弓
肩書:純白可憐(じゅんぱくかれん)
登場時の書き文字:初陣
一人称:わたし
出身世界:三次元界 中国
年齢:18
CV:小清水亜美
中国ウェンリンで鬼神神社という鬼を奉る珍しい社で生まれ育った、先見の目を持つ予言の巫女。
世間に隠して育てられ、社の外から出たことがないため世間知らずに育ってしまった。
二年前の乱世でも、自分が社の内側で平穏に暮らしているにいる間に世間では天下を二分する大戦が始まろうとしていることに気づき、純真な彼女は社の外から一歩踏み出すことを決意。
今回の現政奉還の乱世では、邪馬台国の古の巫女「卑弥呼」のお告げを聞いて各地の戦乱を治めるためにウェンリン水軍の皆と旅に出る。
性格はハツラツとしており天真爛漫。
世間知らずを通り越して天然ボケが入っており虎を見て「熊ですね?!」といってみたり、馬に乗る際には馬を見て「犬ですか?」と言ったりとけっこうズレた発言が目立つ。
加えて箱入りで育った弊害か思い込みの激しい一面がある
言動は10代の少女そのものであり「どーん」や「ビシッ」「バシッ」「バーンッ」など擬音語や擬態語を多用した話し方をするが、正義感と巫女としての責任感は強くウェンリン軍の大将としての務めもしっかりと果たしている。
ちなみに喋っている言葉は全部敬語な上にどんな相手にも敬称を付ける子なので、良くできた子であるようだ。
容姿
容貌・外見年齢は10代後半そのもの。
髪型はおかっぱ風のショートヘアーに前髪は姫カットで揃えられている。
衣装は紅白の巫女装束を基本に袴を学生服のスカート、青い胴鎧(これは鶴姫(史実)の記事にもあるように現存する日本唯一の女性甲冑・鶴姫の鎧を意識したものだと思われる)に桜色の大きなリボンがついた白い衣を纏い衣装全体が学生服に見立てられている。
交流関係
対外関係としては赤塚大作を海を荒らす海賊として、目の敵にしており対立関係にある。が、赤塚組の女性陣に対しては「おねえさま」と親しく接している。
聖龍隊とも親交は深く、ミラーガールを『アッコおねえさま』と呼んで慕っており、ルーキーズのミラールに関しては「ミラールちゃん」と呼んで双方ともに親しい間柄を築いている。
修司の事は、彼がD-ワクチンの力で巨大化した時に対面したことも相まって、彼を本物の鬼神と思い込んでおり「鬼神様」と呼び慕っている。
そのほかにもその予言能力の高さからひそかに有名となっており、彼女を『海神(わだつみ)の巫女』と呼び、その予言能力を頼るものは多い。