Beyond Dust 復興文明、幻想異界との衝突――「世界」が異なれば、やり方の違いで過ちは繰り返す   作:えぴっくにごつ

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すごい間空いちゃった。


チャプター15:「制圧」

 脅威たる、魔帝軍からすれば頼みであった闇魔獣は崩れて沈み。

 そしてAF側がトドメに始めた怒涛の如き押し上げに。魔帝軍が銀行施設周りに敷いていた防御はほぼ崩壊。

 

 それによって、ほとんど逃げ込む形で銀行への籠城を強いられる形となった魔帝軍に向けて。

 しかしAF側は、冷酷で執拗なまでの追い込みを開始。

 

 現在は防御の剥がれた銀行施設の包囲を完成させつつあり。

 そして魔帝軍の籠る銀行に、向けての苛烈な攻撃投射を行っていた。

 

 

「――装填、ヨシッ!」

「撃ェぁッ!!」

 

 その銀行の包囲体制の一点。

 元は魔帝軍が急造したものであった遮蔽個所に変わって配置した、大隊の対戦車火器の一個班の姿がある。

 2~3名で対戦車携行火器の一門を扱い、それがまた2~3チームからなる班。

 その各チームはそれぞれのサイクルで射撃、手早い再装填からの次弾射撃を。手加減無用といった様子で繰り返し行っている。

 

「次ッ、正面扉の近くのに叩っ込めッ!」

「了解ッ――発射ァッ!」

 

 今にはまた、再装填を完了した対戦車火器の1チームが。

 そのチーム長が打ち込む先を指し示し、射手はそれに呼応して該当箇所に砲口を向け。

 そして苛烈に撃ち放ち。

 また魔帝軍の籠る銀行施設の一角に、弾頭を叩き込み派手に吹っ飛ばした。

 

 その急かしい攻撃行動を見せている対戦車班の傍らを。A101重戦車がエンジンを唸らせ、ギャラギャラとキャタピラ音を唸らせながら通過。

 

 その進んだ先で、大隊の各隊に班の作る包囲の、ど真ん中前方に乗りつけ停止したA101は。直後には各隊に遅れは取らぬと言う様相で、120mm戦車砲を撃ち放ち咆哮を上げ。

 そして銀行施設の一角を、大きくそして盛大に吹っ飛ばして見せた。

 

 

 

「――ロクな抵抗も無いな」

 

 そんな、指揮下の各隊に班が銀行の包囲を作り、遠慮の無い苛烈な攻撃を行う中で。

 ジョンソンはその一か所で遮蔽し、各隊各所からの報告を聞きつつも。向こう前方の魔帝軍籠る銀行移設を観察していた。

 

 今の言葉にある通り、戦闘というか攻撃はAF側の一方的なものに終始しており。

 籠る魔帝軍からの反撃行動はほとんど無い。

 

「流石にすでに手が尽きましたか。そのまま押し込んで畳みましょうか?」

 

 傍らで自身の各隊に班の指揮を執っている、一個中隊の中隊長の大尉が。しかし同時に聞き留めたジョンソンの呟きを汲み、進言の言葉を寄越す。

 同時に向こう隣では、据え置かれた機関銃班の中機関銃が今も唸り、敵の籠る銀行に火線を注いでいる。

 

「ここまで来たら脅威度合いは低いと見えるが――一応背後も取っておく」

 

 しかしジョンソンは大尉の言葉を受け入れつつも、同時に二次案を口にする。

 

「上階裏手へ回り込み、敵の頭上を抑えられないか試してみる。数名、自分と来てくれ。フレキシオ、ジウォ――」

 

 ジョンソンはその詳しくを零し。次にはそれに当たる要員を周りの各員からピックアップ。

 

「中隊長、正面の指揮、突入のタイミングは任せる。自分等と数名で背後に周れるか試す」

 

 そしてジョンソンは中隊長にその場を任せ。面倒を伴う裏手への回り込み行動は、自ら指揮を執り向かう旨を告げる。

 

「了解、気を付けて」

「頼む。行くぞ」

 

 中隊長の了解の返答を聞くと。ジョンソンは各員に行動開始を促し。

 ジョンソン筆頭の各員は包囲を離れ、銀行施設の背後に回り込み侵入すべく行動を開始した。

 

 

 

「……ぐぅ……」

 

 銀行施設内。すでに逃げる道も閉ざされたも同然のその内で、魔帝軍の千魔団指揮官は、大変に苦く険しい表情をその兜の内で通っていた。

 それは、己が千魔団をほとんど失い、包囲された状況によるもの……だけでは無かった。

 

「接続を……閉ざされました」

 

 近くに立つ配下の兵が、また苦い色で発したのはそんな報告の言葉。

 

 「接続」。

 異世界の地よりこの世界へ渡ることを可能とした神秘の力、技術。

 それにより開かれたこの世界へのアクセスが、しかし向こうの帝国本国軍側より閉ざされたのだ。

 

 魔法による、世界を越える一種の通信にて。こちら側の窮地を伝えてから間もなくのことであった。

 

「本軍から見捨てられたのか……」

 

 報告、現状から嫌でもそのことを察し。また苦い声で漏らす指揮官。

 

「ふ、いっそ晒され処罰されるよりは温情かもな……」

「千魔団長殿……」

 

 しかし次に指揮官は、どこか皮肉気にそんな言葉を零し。それに兵はまた苦くも、気遣う言葉を向ける。

 

 こちらの現状は帝国軍より預かった千人団に、闇魔獣をも失い。手土産にできる戦利品の一つすら獲得できてない有様。

 魔帝軍は冷酷な組織だ。もし戻ったところで、「失敗」したそんな指揮官に対するまともな扱いは望めなかった。

 

「て、敵の攻撃です!」

 

 そこへ飛び来て聞こえたのは、外部の監視についていた兵からの知らせの声。

 この異界で相対した、不可思議でかつ強力な軍らしき組織が。現在籠城するこの施設の包囲の完了から、こちらを打ち崩すべく攻撃を開始したようだ。

 

「っ……覚悟を決めろ!最後まで魔帝兵として、戦士としての抵抗を見せるのだっ!」

 

 最早ここまで。指揮官は腹を括り、残る配下の兵たちにそう命令の声を張り上げる。

 しかし。

 

「ぐがっ!?」

 

 指揮官の近くにいた一人の兵が、突然悲鳴を上げて打たれ倒れたのは直後。

 

「!」

 

 そして指揮官は、己たちの「背後の頭上」に気配を殺気を感じ取る。

 背後頭上の中二階デッキ。気づけば侵入されたのか、そこに複数名の人のシルエットが見え。

 そしてその者等より、不可思議で苛烈な攻撃が降り注ぎ始めた――

 

 

「――」

 

 銀行施設の中央メイン空間。そこを見下ろせる位置構造にある中二階デッキ上。

 そこに配置したジョンソン率いる一チーム複数名が、それぞれの火器を突き出し眼下に射ち注ぐ姿があった。

 

 大隊本隊から分離別働し、銀行施設の裏手に回り込んだジョンソン等は。非常口、階段類を利用して銀行の上階内部へ侵入。

 逃げ込み籠った魔帝軍側の護り、警備はすでに無いも同然で、背後頭上を取ることは容易く。

 こうして今、メイン空間に集まる魔帝軍残存に攻撃を仕掛けたのだ。

 

 持ち込まれた軽機関銃を中心に、各員の火器がデッキから眼下に唸り。

 残存の魔帝軍兵士を面白いように次から次へと射ち、沈めていく。

 

 合わせて正面からの主力の突入もあり、銀行メイン空間に籠った魔帝軍残存の排除には。さほどの時間は掛からなかった。

 

「……ぅ……ぁ……」

 

 メイン空間の床には魔帝軍兵士の亡骸が広がり、その中心には指揮官の重装兵のみがただ残されていた。

 

「……!」

 

 狼狽え、呆然とする指揮官の目の前向こうに。

 デッキから飛び降りたジョンソンがダン、と着地して現れる。

 

「――武器を置き、投降しなさい。最低限の生命と扱いは保証する」

 

 そのジョンソンは、指揮官に向けて大口径リボルバーを向けて突き付けながら。

 冷たい声色と眼で、ただ最低限の通告の言葉を発し向けた。

 

「く……土人の慈悲など……乞うと思うかァっ!」

 

 しかし、指揮官が見せたのは拒絶と抵抗の動き。

 指揮官は己の下げていた剣を抜き、ジョンソンに向かって踏み出し切りかかろうとした。

 

 しかし、それが届く前に連続的な銃声が響いた。

 

「ゴぁっ!……ぁ……」

 

 指揮官は身を打たれるように須k沿い退き、そしてその口から血を零す。見れば纏う強固な鎧も、しかし無数の弾痕が開けられている。

 そして次には糸が切れたように、グシャリと床に崩れ沈み、それ以上動くことは無くなった。

 

「――ったく」

 

 撃ったのはジョンソン、では無かった。

 ジョンソンの背後頭上。デッキ上に配置した隊員が分隊支援小銃やサービスバトルライフルを突き出し構え。その銃口からはうっすらと白煙が上がっている。

 そして内の誰かから吐かれた、忌々し気な悪態。

 

 こうなる事は予想していた、と。

 ジョンソンを援護し備えていた各々が、ジョンソン自身の手を煩わせるよりも早く、抵抗を示した魔帝軍指揮官を撃ち抜き屠ったのであった。

 

「やれやれだな――」

 

 ジョンソンもまた少しの倦怠を見せつつ零し。周囲を見渡す。

 銀行施設内にすでに動く敵の姿は見えず。正面より踏み込んで来た大隊主力の手によって、手早く確保掌握されつつあった。

 

 

 ――これをもって。ナイスシーズの街を襲った未知の敵、魔帝軍の軍団は完全に排除され。

 街はVAC AFによって掌握奪還を果たした――




序盤の邂逅襲撃編はここまでです。次話は未定。
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