Beyond Dust 復興文明、幻想異界との衝突――「世界」が異なれば、やり方の違いで過ちは繰り返す   作:えぴっくにごつ

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チャプター17:「計画」

 それからまた日時が経過。

 街には本格的な救助支援が。AF、民間組織の双方から到着して活動を拡大すると合わせて。

 『異世界に渡る術』を確立するための、各種調査が現地入りした。

 

 そして結果から言えば、リーシェも協力しての調査により。

 『道筋』を。リーシェの『御子としての力』によって、世界間を渡る上での灯台である、向こうの世界の『古代の遺跡』の導を見つけ手繰り寄せることに成功。

 言い換えれば、異世界への接続点が観測から掌握された。

 

 併せて同時に行われた検査にて。

 リーシェや、他にごくわずかに確保に至った魔帝兵から採取されたサンプルから。未知の病原体などの脅威が無い事の確認が行われるなど。

 

 「未知の世界」へ踏み込むための準備が、ちゃくちゃくと進められて行った。

 

 

 そんな、各状況が急かしく動く中。

 向こう、異世界へと降り立つ第一陣を務める事となったVAC AFもまた。そのための準備に追われていた。

 

 場所に視点は、ファーストコンタクトの舞台となったナイスシーズの街から少し離れる。

 

 ナイスシーズの街も含まれるこの周辺広くの地域は、「ザ・ヒューヴ」と呼ばれるVACの主要州の一つだ。

 そのザ・ヒューヴの州都――ヒューヴ・スタート。

 ジョンソンも所属する第29複合隊の上級組織である、「ヒューヴ方面隊」。その司令部も置かれる都市にて。

 その異世界への進出、調査に向けての計画調整は進められていた。

 

 

「――その「接続」とやらをした向こうは、半島地形か」

 

 司令部庁舎の一室、会議室を兼任する多目的室にて。方面隊の主要士官が集い雑多に卓を囲い、言葉を交わしている。

 現在は、「異世界に進出」するための作戦会議の只中。

 その最中でそんな言葉を零したのは、会議の主導を務めるグラウレーだ。

 

 リーシェからの話によれば。

 リーシェのこちらの世界への「飛転」は、急を伴い到着地点は博打となるものであったらしく。

 帰路にあっては魔帝軍も用いた「古代の遺跡」の在りかを、灯台のようにして辿るらしい。

 

 そして向こうの世界では、その「古代の遺跡」施設は魔帝軍が押さえている。

 そのことから、AFには向こうに降り立ってすぐの戦闘が予期された。

 

 そのため、リーシェのもたらしたものや。魔帝軍のわずかな捕虜、もしくはが残していった情報を頼りに。

 向こうの遺跡施設周り――「着地地点」の地形が起こされ。

 「降着作戦」のための計画が練られていた。

 

 

「艦艇隊も投入する運びで、すでに進んでいる。これはデカい作戦になるぞ」

 

 グラウレーの言葉に続け、言葉を発したのは作戦卓の中心に立ち構える壮年男性。

 歳を感じさせない長身で尖る容姿が特徴の彼は、ヒューヴ方面隊の方面隊長である将軍――ブレディ中将だ。

 

 此度に開始された、異世界への進入調査作戦の主導指揮官に任命されている。

 

 そのブレディが言葉にしたのは、向こう異世界の「降着予定地」が半島地形であることから。艦艇の投入計画が進められていることを明かす旨。

 VAC AFは現在の組織編成上、陸軍、海軍などといった大きな軍区分を設けてはいない組織であるが。

 水上戦闘部門は設けられており、いくつもの艦艇隊を保有していた。

 

「海上戦力の融通が利くんですか?この近隣だと、地域隊のフリゲート隊しかいませんが」

 

 その艦艇隊への言及に、しかし言葉を割り返したのはジョンソン。

 言葉通り、ヒューヴの近隣には近海防衛のためのフリゲート隊がいる程度だ。

 

「いや。アドヴィア市の港に〝誘導弾巡洋艦ロードジャーニー〟の戦闘群が、先日から寄港しているだろう。艦艇隊司令部と調整して、そこから割いてもらえることになった」

 

しかしジョンソンの言葉に、ブレディは心配無用と説明の言葉を返す。

 

「他にも都合調整がつき次第、各方面隊から順次艦艇を割いて回してもらえる事になっている」

「いよいよ、大事だな」

 

 ブレディから説明された、すでに各手配調整は進んでいる旨。

 そしてそれが示す規模から、いよいよ作戦が巨大なものとなることを改めて実感し。言葉を零すジョンソン。

 

「少し前までのゴタついてた時期だったら、こうはいかなかっただろうな。まったく、その『魔帝国』とやらも、「良い」タイミングでその異世界とやらからお邪魔してくれたモンだッ」

 

 そこへ続けてブレディ将軍は、魔帝軍に向けてそんな皮肉を多分に交えた言葉を隠さず発する。

 

 VACはここ最近、抱えていた数々の情勢問題をようやく解決し。落ち着き、平穏を手にしたばかりであった。

 そんのようやく手にいれた平穏の元に。ある意味で、VAC側に余裕がある時に踏み込んで来た異世界の国家に。

 その色々な意味でのタイミングのよさに。誰もがその皮肉を否定することは無かった。

 

「第一陣の地上戦力は、そのまま第29複合隊から一個大隊戦闘群を編成する形で予定している――」

 

 その皮肉を挟んで、しかしさておき。

 作戦卓ではまた計画の調整が再開、各々の言葉が交わされ始める。

 

「……ねぇ、大丈夫なの?」

「?」

 

 そんな所へ、ジョンソンに隣から小声の透る声で言葉が掛けられた。

 声の主は他でもないリーシェだ。今はやはり重要参考人、助言人として作戦計画の場に同席している彼。

 しかしその顔は、懸念を示すもの。

 言葉は、同席しているリーシェ。

 

「そちらは大軍を投入する予定でいるみたいだけど……前にも言ったように、僕が一緒に『飛転』できるのはせいぜい飛空船一隻が限度だ……」

「あぁ」

 

 リーシェが発現したのは自身が「導ける」者の限界を示し、心配する言葉。

 また聞くに、向こうの世界で『古代の神殿』を抑える魔帝軍側は。その力を利用して、世界感の大量移送を成し得たのだと言う。

 だが現状、こちら側にそういった施設の恩恵は無い。

 輸送力の格差をリーシェは懸念しているようだ。

 

「あぁ、そこをご心配ですか」

 

 しかし、それを隙無く聞き留めたのはブレディ。

 

「少佐、その世界を繋ぐ現象の「特性合致」は判明したと報告を受けているが」

 

 そしてブレディは、次にはジョンソンにそんな確認の言葉を向ける。

 

「えぇ。空間を貫通する根本的な原理は、非常に類似したものでした」

 

 それにジョンソンが答えたのは、そんな回答。

 ジョンソンはまた、技術資格枠の士官である身分として。その「世界接続」の技術原理の調査に関わっており、そして調査の結果からある確信に至っていた。

 

「端的に言います――異世界へは、こちらの技術にて「飛べます」」

 

 そして、シンプルかつ堂々とした言葉で。ブレディにむけてそう言い切って見せた。

 

「……っ」

 

 そんなジョンソンを、隣で目を若干丸くして見上げるリーシェ。

 

「案ずるな――「インデュスティリア」の遺産が、こんな形で日の目を見ようとはな」

 

 そんなリーシェの頭一つ分低くにある、端麗な顔を見下ろし見返し。

 ジョンソンはその尖る顔に、しかし少しニヒルな色を見せて。何か皮肉気かつ不敵な言葉を零して見せた。

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