Beyond Dust 復興文明、幻想異界との衝突――「世界」が異なれば、やり方の違いで過ちは繰り返す   作:えぴっくにごつ

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チャプター2:「序盤」

 火の手がそこかしこから上がるナイスシーズの街に、ジョンソン等は到着。

 街の手前で各機は、リスク分散を優先していくつかに散会分散。それぞれの判断での行動に入った。

 

 ジョンソンの乗るGWの指揮官機は今、一本の街路に沿って街の上空スレスレを飛行中。

 そして同時にGW機は、降下進入の態勢に入り高度を落とし始めていた。

 

「少佐、スマートでは無い降下着地になりますッ」

「だろうな、各員備えろッ。機は要員の降下次第離脱するようにッ」

 

 コックピットから機長が、降着が乱雑なものになるであろうことを張り上げ伝える。

 それを受けてジョンソンは搭乗の各員に告げ、合わせて機長に指示を伝える。

 

 先程から地上からや建物、街のそこかしこより。攻撃の手が上がり機へと寄越されている。

 それは銃撃――ではなく、驚くことに弓矢や『炎の弾』。

 それらが時折機の胴をカンと叩き、あるいは掠め抜けていた。

 

 いよいよ正体の掴めない「敵」の存在を感じながらも。ジョンソンはホルスターより愛用の、.44口径の大口径リボルバー拳銃を抜いて備える。

 

「ファイトを前に、ご機嫌なナンバーが欲しいトコです」

 

 機内、ジョンソンの背後隣でユーダイドのエドアンズが。淡々とした顔に口調のまま、しかしそんな軽口を叩く。

 真面目な顔で、反したそんな軽口を叩くのは彼女のいつもの事であった。

 

「ああそうか、残念だなッ。そんなモンは無いッ」

 

 それに彼女に、またいつものそれであるピシャリとした一言だけを返すジョンソン。

 

「間もなく――」

 

 その間にもGW機は建物に挟まれる街路に、急ぎしかし慎重な飛行で降下進入。街路の向こうにある、着地地点と定めた大きな交差点に数秒後には至り。

 そのど真ん中に、乱雑にかつ堂々と着陸脚を付けて降着した。

 

「――よし、降下ァッ!」

 

 GW機が地上へ降着した瞬間。

 ジョンソンは指示を張り上げ。そして大口径リボルバーを持つ手を掲げながら、自らが最初を務め地上へと飛び降りた。

 それに遅れを取らぬようにと、搭乗していたAFの一個班が次々に降下、地上へと飛び降りる。

 

「展開しカバーに着けッ、手早くッ」

 

 飛び降り足を着けると同時に、ジョンソンはまた間髪入れずに声を張り上げ、そして同時進行で駆ける。

 

 また不幸の中での幸いか。着地した交差点周りは荒らされ崩れていた影響から、遮蔽物には事欠かず。

 ジョンソン及び一個班の各員は、広い交差点の各所へ散会展開。瓦礫などの遮蔽物に飛び込んでカバー。

 

「ッ」

 

 ジョンソンが建物の瓦礫に飛び込んだ瞬間。襲い来たのは攻撃――放たれた矢の数々や、さらには火の弾。

 向こう、交差点の周辺の各所に、それを寄越した影が見えた。

 

 それらはいずれも、異様な姿であった。

 

 まずいくつも目につくは、漆黒色の衣装・軽防具を纏う者たち。

 剣を翳し上げる者に、弓を番え構える者。見るに散兵に値するものか。

 しかしそれはまだ理解できた。

 

 他に見えるは、同じく漆黒色のローブを纏った、戦場に似合わない何かの儀式を行うような格好の者。

 

 果ては。また同じく漆黒色の、古風で重々しい見た目の大きな鎧に身を包む者までが見えた。

 重装兵の類であろうそれにあっては、ジョンソンは最初。この世界に存在するパワーアーマー兵かと思った程であった。

 

 そんな、漆黒色に統一されたそれぞれの姿形からなる、異様な「敵」の集団が。近くで活動か、もしくは屯でもしていたと思われるそれらが。

 降着したジョンソンと一個班に向けて、襲撃攻撃を仕掛けて来たのだ。

 

「あんだありゃッ?PA(パワーアーマー)じゃなくてマジの鎧じゃねぇかッ?」

 

 目撃から、ジョンソンの思い浮かべた事を代弁するように。隣近くにカバー配置したAF隊員の一名が、重奏鎧の兵についてそんな訝しむ言葉を零し上げる。

 しかし同時にその彼は、サービスバトルライフルを。VAC AFの配備する7.62mm口径の主力小銃を突き出し構え、間髪入れずに遠慮も躊躇も無しに撃ち放った。

 

 向こうで、こちらに向けて矢を番え放とうとしていた敵弓手が。しかし脳天に銃撃を受け、もんどり打って向こうに吹っ飛ぶ。

 それを皮切りに、AF各員の各火器が唸りを上げ。いくつもの銃声が響き始めた。

 

《上空に離脱する、GW40は離脱するッ》

 

 その戦闘行動の開始を見届け、入れ替わるように。

 ジョンソン等を降下させたGW機はローターの回転を上げて、ふわりと交差点より脚を放して浮かび。

 一度態勢を整え直して上空監視に着くべく、上昇離脱して行った。

 

「左、一匹ッ」

「建物の根元ッ、撃ち注いで抑えろッ」

 

 GW機が飛び去って、エンジンにローター音が一帯から止むのと入れ替わりに。

 ジョンソン等の銃撃攻撃の音は本格さを増し。その音に威力をもって、居座っていた正体不明の敵勢力に成り代わって、交差点周囲の支配を開始した。

 

 ジョンソン等の展開した交差点ど真ん中から各方に向けて。各ライフル手のサービスバトルライフルの集中砲火や、分隊支援小銃の掃射が注がれ襲い。

 その度に各方向の向こうで、正体不明の敵が動きを封じられ、そして次から次へと射貫かれ崩れる姿が見え。微かに悲鳴が聞こえ届く。

 

「少佐、右手に動き」

 

 その戦闘行動の最中で。

 またジョンソンの近くに位置取り、狙撃行動を行っていたエドアンズが告げる。

 

 十字路の端で、何か敵の指揮官級と思しき重装鎧の兵が。声を荒げて手招きをしている姿が見える。

 その重装鎧の指揮官らしき敵にあっては直後には。エドアンズが狙撃にて撃ち込んだ銃弾が、恐るべき精度で兜の開口部を抜けて頭部に至り。

 眉間に大穴を開けられて、打ち崩れ屍となったが。

 次にはその向こう奥に、手招きに呼ばれていたものの正体が明らかになった。

 

 現れたのは、4~5体程の巨体の生物――モンスター。

 2mは優に越え、ふんだんな筋肉を宿した巨体を緑色に飾っている。

 そんな存在たちが、大斧などの獲物を手にドカドカと荒々しく駆け迫っていた。

 

「あん?ミュータントかッ」

 

 それを目撃し、隊員の一名がその正体の推察を張り上げる。

 それは新手のそのモンスターが、またこの世界に存在するミュータントと呼ばれる存在であることを推察するもの。

 

「――いや、どこか特徴が違う」

 

 しかしエドアンズは向こうのモンスターの様相から、相手がまた違う種の存在である事を見抜き。

 その旨を零しながらも、しかし次には狙撃銃の引き金を再び引いた。

 

 撃ち込まれた銃弾が先頭一帯のモンスターの脳天を直撃し、モンスターは地面に突っ込み崩れるが。他のモンスター達は走り迫ることを止めない。

 

「考察は後だ。数名位置を変えろ、十字砲火を実施しろッ」

 

 またその様子を見ながらも、ジョンソンは指揮下各員に告げる。

 それを受け、班の内の数名が指示を実施するべく。カバー配置を一旦解いて、移動から位置を変える。

 

「さらに接近」

 

 エドアンズの知らせる声。モンスター達は恐れを知らぬ姿で迫って来る。

 しかし間もなく隊員の配置転換が完了、隊形が整い。変わらずに荒々しく駆け迫るモンスターに向けて――直後には、再び銃火が唸った。

 

 そして、勇敢に迫っていたモンスターたちは――しかしその姿を、吹っ飛び弾かれ、狼狽に悲鳴の声を上げる姿へと変えた。

 

 それぞれの方向で配置した、分隊支援小銃及び軽機関銃。小銃等のそして各員の装備火器。

 それが形作り始めた十字砲火が、モンスターたちを襲ったのだ。

 

 見るからに強靭な身体を持つモンスターたちであったが。しかし強力な十字砲火の前に、それすらも無力となり、次に次にと脆くも儚く崩れていく。

 

「――グォォォォっ!!」

 

 その中で、最後に残った一体のモンスターが。勇猛のそれか、もしくは自棄か。

 最後の力を振り絞って駆け迫って来た。

 肉薄攻撃の意志、白兵距離まで踏み込み、暴れる腹積もりか。

 

「――ご゜ッ!?」

 

 しかしそれはまた、儚くも無謀に終わった。

 モンスターは瞬間、妙な悲鳴と合わせてもんどり打ち仰け反った。よくよく見れば、モンスターの脳天が潰した果実のように砕かれ弾けていた様子が見えた。

 

 そして、そのモンスターから辿り反対を見れば。

 そこには見えたのは立ち構え、大口径リボルバーを突き出し構える――他ならぬジョンソンの姿。

 ジョンソンの瞬時に、しかし精密に行われた一撃により。オークは脳天を撃ち抜かれたのだ。

 

「悪いな」

 

 淡々と、少しの皮肉を混ぜてジョンソンが発した直後。

 オークはもんどり打った姿勢から、そのままぐしゃりと崩れて地面に沈み、動かなくなった。

 

「他は?」

 

 それに歓喜するでもなく。ジョンソンは周囲の各員に状況報告を要請する。

 

「――排除ッ」

 

 直後には一発だけ、隊員のサービスバトルライフルが甲高く鳴り。

 向こうで逃走を図ろうと背を向けていた、漆黒色のローブの兵、炎の弾を生み出し放って来た主が。しかし撃ち仕留められて崩れる。

 

「他はナシッ」

「排除、クリア」

 

 それを最後に。各員から返され上がって来たのは、そういった報告の言葉の数々。

 戦闘行動、AFからの射撃攻撃の数々によって。交差点周囲から、敵性存在は排除されて無くなっていた。

 

「ヨシ、半数は配置警戒。少し調査する」

 

 それぞれからの報告を受け、そこから続けてジョンソンはそう指示、及び促す言葉を発し向ける。

 状況は、早急な街の住民の発見・救助が優先であるため時間は掛けられないが。

 今に初遭遇から戦闘を行った相手、「敵」についてを、できるなら少しでも調べておく必要があった。

 

 今に指示した通り、班の半数に警戒を任せ。ジョンソン等は簡易ではあるが、倒した敵の調査を実施。

 

「――まるで、魔法の世界から来たみたいな恰好」

 

 その最中で、エドアンズが倒れ沈んだ敵たちの姿を見下ろしながら。そんな率直に感じ思ったことを呟いた。

 

「この巨体たちは、ミュータントじゃなくてオークかも」

「オーク?神話からゲームまで常連のアレか?」

 

 続け、緑肌のモンスターの正体に当たりをつけ零したエドアンズ。

 それに近くに居た別の隊員が、訝しむ色で返す。

 

「推察でしかないけど――いよいよ不可解ですね」

 

 隊員にエドアンズはまたそう返し、それから向こう近くに居たジョンソンに一言を向ける。

 

「より探る必要があるが――優先は捜索救助だ。行くぞ」

 

 それに、ジョンソンはそう現状の行動方針を改めて言葉にして周りに告げ。

 大口径リボルバーを持った腕を翳し、行動再開を促した。

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