Beyond Dust 復興文明、幻想異界との衝突――「世界」が異なれば、やり方の違いで過ちは繰り返す   作:えぴっくにごつ

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チャプター37:「新手」

《――オールユニット。降下進入した隊より、内部は制圧掌握、対象を確保回収とのこと。作戦は成功、繰り返す、作戦は成功だ》

 

 V-4Lの飛行隊各機が、「塔城」上空の確保から今も警戒監視のために、塔城を眼下に見ながら旋回する最中。

 同時に通信上には、進入したサミュエル等からもたらされた、救助回収対象の確保、及びそれに伴う作戦成功の報が伝わっている。

 

《周辺各隊、GW40及びGW42が進入降下する。接触に注意せよ》

 

 そしてその最中、宙空を。また新たに飛来した二機の中型ヘリコプター、GW機が塔城に向けて進入していく様子があった。

 

 

 ローターブレードを響かせ、GW機がホバリングにて塔城内の開けた場所に着陸。

 

「――」

 

 そこからハンドサインを伴いまず降り立ったのは、ジョンソン。

 そしてエドアンズやコースなどの指揮下各員が順次飛び下り、神経を張り詰めるものでは無いが、一応の警戒を敷く様子を見せる。

 

「っ」

 

 そして、そんな各員に追従するように降り立ったのはリーシェ。

 降り立ったリーシェは、他の者と同じく少しの警戒は保ちつつも。次には少し急く色で、何かを探す動きで視線を周囲へ走らせる。

 

「!」

 

 そして。VAC AFの掌握下となった今現在で、各隊各員がやや急かしく動き回る周辺の中。

 見つけたのは、向こうの塔城建物からちょうど出て来た数名のシルエット。

 

「ルーネ!」

 

 その中に知る顔を、探していた顔を見つけ。リーシェはその名を呼びながら駆け出した。

 

「!、リーシェっ!」

 

 それに受け答えたのは、翼人の騎士長ルーネ。今しがたに保護された流れから、今は貸されたシャツ類に羽織り物姿の彼女は。

 同じくリーシェを見つけて、その身で少し駆け出て。そして駆けこんで来たリーシェを受け入れ、二人は互いに抱き合った。

 

「よかった……また会えると信じてたよっ!」

「私も、君が無事であると強く願い信じていたっ……っ!」

 

 リーシェは自分より長身の女であるルーネに抱き着き。ルーネは己よりも小柄な少年リーシェを、また強く抱きしめながら。

 互いはまずは、再会を強く喜ぶ言葉を交わし合う。

 

「――ところでリーシェ、もしかして彼等が……君が見つけて来た「希望」なのかい?」

 

 それから少し間、抱擁で互いを確かめ合った後に。

 ルーネはリーシェの体をやんわりと解放しながら、続けて周りに視線を走らせ。少し困惑の色を交えた様子で、次にはそう尋ねる。

 ルーネが示すのは他ならぬ。

 自分を救ったサミュエル等に、今にリーシェと現れたジョンソン等、他各員。そして今にも上空を飛び交う戦闘機にヘリコプター――彼女からすれば得体の知れない数々を示してのもの。

 

「うん、そうだよ。「ヴイエーシー」っていう異界の大きな国家の彼等……僕もまだよくわかってないけど、すでにここまでで多くを救われたよ」

 

 尋ねられたそれに、リーシェは同じく回す視線でそのVACのそれぞれ各々を示しながら。

 そう明かす言葉を紡いだ。

 

「スティーア伍長、久しぶりだな。おおよそは聞いている。よくやってくれた」

「完遂するのが、コマンドーの仕事です」

 

 その傍らでは、ジョンソンとサミュエルが相対。すでに状況報告はジョンソン等の側にももたらされており。

 任務完遂を評する言葉をジョンソンは向け。しかしサミュエルは当然のことを成したのみと、端的に答えて見せる。

 

 補足すれば、現在こそサミュエルはコマンドー隊に所属しているが。過去には一時期ジョンソンの指揮隊に居た時期もあり、両名は面識があった。

 

「ルーネさん、ですね?VAC AFのナガイ少佐です。疑問が多くあることでしょう、しかしひとまずは後方まで移動をお願いしたく――」

 

 そして、ルーネに向き直り。ひとまずの説明を紡ごうとしたジョンソン――であったが。

 

《各隊ッ!レーダーか高速で接近する影を捉えたッ》

「ッ!」

 

 通信に、急き慌てる声色での。上空監視の航空機からの伝え警告する言葉が飛び込んだのは直後。

 

「なんだこれは……凄まじく速いぞ、間もなくここに来る――ッ!」

 

 そしてまた驚く声が張り上げ寄越され、その邂逅の時は間もなく訪れた。

 

 

 

 塔城から少し離れた地点。また狭い渓谷地形が続く内を、しかし高速で飛行している二つの「人影」があった。

 

「――ッ」

 

 一人は、漆黒の洋服に身を包む可憐な美少女。長い銀髪の元に覗く、キレのある端麗な顔を、しかし今は険しく染めて。

 そしてその美少女は、自らの背中から生えるコウモリのような「漆黒の翼」を用いて。自らの体にて、それもかなりの高速で飛んでいる。

 明かせば少女は、「吸血鬼」であった。

 

「シュステン……ッ、早いって……っ!」

 

 その吸血鬼の美少女を、少し離れしかし食らいつくように追いかける、また別の姿がある。

 何か品の良い女学生の制服のような衣装を纏う美少女。長い金髪の元には快活そうな顔が映え。

 そして彼女にあっては「箒」に跨り、それをもって飛び掛け。前を行く吸血鬼の美少女に必死について行っている。

 

「リーシェやルーネのことを考えれば、一刻の猶予もないッ」

「それはっ……わかってるさっ!」

 

 その二人はそんな互いに言葉を交わしながら。

 そしてしかし、曲がりくねる渓谷内を。しかし臆することなく、それぞれの形でかなりの高速で飛び進み続けている。

 二人は今、「友人たち」を救うべく。魔帝軍に襲撃された塔城を目指して飛んでいた。

 

「っ、見えた――!ぇ……何アレ……!?」

「!」

 

 そして間もなく、渓谷が開けて見えたのは二人が目指していた塔城の姿。

 そしてしかし同時に、思わぬ光景が二人の目に飛び込む。

 

 塔城に、魔帝軍の軍勢が多数跋扈していることを覚悟していた二人だが。しかし反して見えたのは、塔城周りに得体の知れぬ数々の飛行物体が飛び交う光景であった。

 

「なに……?魔帝軍の新しい何か……?」

 

 そして金髪の箒乗りの美少女は、多分に訝しむ言葉を零す。

 

「なんであろうと、二人を救い出す目的に変わりは無い――突っ込むッ!」

 

 だがしかし、次には吸血鬼の美少女は悩むことなくその意志を発し。そして飛び出すようにその飛行速度を一層上げる。

 

「あっ、シュステン!――っ、やるしかないか……っ!」

 

 そしてそれに驚きつつも、次には腹を括る様に零し。金髪の少女もその飛行速度を上げ、吸血鬼の彼女を追い。

 二人は間もなく、塔城へと飛び込んだ――

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