Beyond Dust 復興文明、幻想異界との衝突――「世界」が異なれば、やり方の違いで過ちは繰り返す   作:えぴっくにごつ

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チャプター43:「第三」

 驚愕の邂逅に始まり、そして紆余曲折から。この異世界の地へと進出することとなったVACであったが。

 

 実際の所VACは元世界に置いても、拡大の成果からいくらかの安定を得たとはいえ、未だ少なくはない課題を抱える状態であり。

 領土的野心の未だ強い傾向はあれども、それでも世界宇宙を越えたこの異世界においてまで、領土に資源を新しく狙うことは流石に時期尚早と判断しており。

 

 状況に目途が立てばVACは方針を順次、この世界の国々や組織への支援をメインとする形にシフト。

 VAC自身はこの世界での矢面での活動を、限定的なものへと収束させる算段をすでに立てていた。

 

 しかしだ、事態は急変した。

 

 それこそ、危険な過激派組織であるPartyに、そして仇敵とも言えるToBとの遭遇。

 向こうの元世界で退けるに至ったはずのそれらが、この異世界へと逃れ存続している事実の発覚。

 

 その、PartyにToBがこの異世界を拠り所として勢力の再興を図り。

 そして併せて、この幻想の世界に存在する多くの強力な「力」に「術」を、再興のために我が物として利用しようと企んでいる可能性は。

 想像に難くない。

 

 VACは、これを放置することはできなかった。

 

 

 それらの問題の浮上から。まずは目下の事態への対応解決に当たるべく。

 

 VAC AFの異世界方面隊である「遠地展開隊」は、幸い当初の相手であった魔帝軍の進行が、AFの作戦の甲斐あってか停止したこともあり。

 大陸中央の古代の遺跡を占拠するToBに対応、これを「排除」するための作戦を新たに始動。

 

 急遽として、第29複合隊から二個大隊、及び支援のための各隊を選抜し。これへの対応を指示した。

 

 

 

 場所は、荒れ地に存在する「古代の遺跡」からいくらか離れた地点。

 

 小規模な交易路が隣接するこの地点を、進出して来たAFは前進拠点と定め。

 乾いた土地が広がり目立つ物などなかったはずのこの周辺は、一変して現在にあっては仮駐屯地が展開。野戦指揮所及び各仮駐屯施設が広がる物々しい様相となってた。

 

「――どこに消えたかと思えば」

 

 その仮駐屯地にて野戦指揮所となっている、仮設建造物の内にて。

 ジョンソンは呆れの混じった声色で、そんな言葉を零した。

 

 現在。野戦指揮所内にはジョンソン始め、今回の「作戦」に参加する各隊各所の将校幹部、隊長が調整のために集合していた。

 

 その中で、囲う作戦卓に広げられたこの周辺の地図を指しなぞりながら、ジョンソンはやや険しい顔を見せている。

 その顔に、今に零した言葉の理由は他でもない。

 元世界にて退けたはずのToBが、この異界にて存続しており遭遇に至った、歓迎し難い状況について。諸々の感情が滲み出たものであった。

 

「遺跡を占拠しているToB部隊の規模は増強中隊ほど、大隊まではいかない程度か」

 

 そんな零すジョンソンの横隣、作戦卓の中心では。

 低くも尖る色の声色で、現在の所入手出来ている状況情報を言葉にして整理する、巨体の存在がある。

 

 その人は、スーパーヒューマンの中佐。名をラエという。

 

 ジョンソン等と同じくの第29複合隊にて、しかし別の大隊である第14大隊の大隊長を務める人物であり。

 先任者であることから併せて、此度のために抽出編成された二個大隊を基幹とする作戦群の指揮官を兼任していた。

 

「規模こそその程度ですが、案の定パワーアーマーにエネルギー系を主とする重装備を多数装備していると見られます。昨晩の時点での配置は、ここと、ここ――」

 

 そのラエを補足するように言葉を飛ばすは、作戦卓を挟んで相対するアクイア少尉。

 そして、彼の小隊が昨晩の威力斥候から持ち帰って来た情報が。アクイアの説明からまた、本部要員の手でまた地図に書き加えられ、そして卓上の駒が動かされる。

 

「それと――ToBとは「別の存在」を目撃しました」

 

 さらにアクイアは、そんな言葉を告げると同時に。

 自身の側の手元に控えていた複数枚の写真を、ラエを始め皆に見えるように差し出し広げる。

 

「これは?」

 

 ラエ始め各員が、その写真に視線を落とす、

 撮影されていたのは、「古代の遺跡」の周辺各所の写真。

 夜間に撮影されたものであり、鮮明とは言えないものだが。

 それぞれにはToBの兵たちに混じり、何か様相の異なるものたちが共に居る光景が映っていた。

 

「この世界の人々か」

 

 推察から、零したのはジョンソン。

 映っているのは、何か大げさなローブに大きな杖を持つ人影や。また大げさな「御伽噺の魔女」のようなトンガリ帽子を被る人影など。

 鮮明では無い写真でも、目に見えてこの幻想魔法の異世界の民であることが判別できるその数々。

 

「ちょい、見してっ」

「ごめんね~、っと」

「っと」

 

 しかし次に、そのジョンソンの両脇からそれぞれ、頭一つ小柄な人影――可憐な男の子たちが顔を突きこんで来た。

 それは他ならぬ、先日に出会った吸血鬼の美少年のシュステンに。魔導士の美少年のクイン。

 さらにその背後からは、リーシェにルーネの姿もやはりあり。

 それぞれはジョンソンの隣や背後周りから、写真を覗き見る。

 

「あぁ――やっぱり……」

「『クリフィエン連盟』……それも『魔法学園』の生徒だな……」

 

 そして次にはリーシェに、そしてルーネが。

 あからさまに「嫌な予感が当たった」という色で、併せてそんなワードを口にした。

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