Beyond Dust 復興文明、幻想異界との衝突――「世界」が異なれば、やり方の違いで過ちは繰り返す   作:えぴっくにごつ

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チャプター44:「連盟」

 『クリフィエン連盟』。

 

 現在この異世界の地にて、VACが味方する「同盟」、そして敵対する「魔帝国」。

 その双方ともまた勢力圏に思想を違える、大きな国家連盟勢力であるらしい。

 

 在り方、傾向としては。

 血統、血族を非常に重視し。そして『魔法魔力による秩序と支配』を主義として掲げる勢力であるとのこと。

 

 同盟、魔帝国の双方とはまた、良好とはお世辞にも言い難い関係であり。

 此度の魔帝国による同盟への侵略も、クリフィエン連盟にあっては被害を間逃れていることから現在は傍観の立場を取っており。

 そしてどころか此度の戦争にて両者の衰退、共倒れすらを望み。

 漁夫の利にての覇権を狙っているという噂すら。荒唐無稽のものではないと懸念、警戒されているとのことであった。

 

 その思惑の疑い。

 そして言ってしまえば、選民思想の強く差別主義的な傾向を有するその特性は。ToB過激派の考えにも似通るものがあり。

 

 その「連盟」はまた、VAC にとっても「敵」と成り得る存在であった。

 

 

「サイアク……っ」

「そんな予感はしてたんだよね~……」

 

 遺跡にてToBと共に居るのが、そのクリフィエン連盟の者たちであることが高確率となり。

 その発覚からシュステンにクインはそれぞれその可憐な顔を、苦い色に染めて零す。

 

「その、聞く限り気色ワリぃ連中の存在が、ワザワザここまでカワイ子ちゃんボーイズがくっついて来た理由かッ?」

 

 そこに背後から、倦怠混じる言葉が割り入る。その声の主は、ジョンソンのお守りのついでに作戦調整に同席していた、他ならぬスーパーヒューマン隊員のコース。

 

 リーシェにシュステンたち異世界の彼らは、此度の対ToB作戦が開始されるにあたって。

 共有情報として伝えられたToB関係の事情の影に、クリフィエン連盟の存在を感じ取り。その存在をVACに教え説明し、作戦に同行を願い出た。

 

 そして今、彼らの嫌な予感は見事に的中したのであった。

 

「前々から、連盟の動きには怪しいものがあった……そして今、えっと『血盟の装甲騎士団』?君等の仇敵と連盟が、遺跡で共にいるということは……」

「何らかの良からぬ企みがあることは、確立として高いだろう……まして、ちょうど諸君等のおかげで、魔帝軍の進行が停止した今の頃合いでだ」

 

 判明したクリフィエン連盟の存在から、リーシェにルーネはその背後にある想像に容易い企みを、それぞれ口にして見せる。

 

「あいつら、前には俺にもちょっかい出して来たからな。いけ好かない連中だ」

「考古学の選考としては、クリフィエンの連中が遺跡でなんかしてるのもヤナ感じなんだよね」

 

 続けシュステンにクインは、状況に反して何か深刻さに欠ける様子で。それぞれの思う所を示す。

 

「俺等の世界も三つ巴なら、この摩訶不思議世界でも三つ巴かよッ。やぁれやれだぜッ」

「人のどうしようもなさは、宇宙を越えても変わらないのかね」

 

 そんな聞かされたこの異世界の諸々の情勢事情から、それを自分等の世界とすり合わせて、コースは隠さぬ悪態をいつもの調子で吐き零し。

 またジョンソンのお守りを兼ねて同席していたエドアンズも、端的な声色でそんな言葉を紡いだ。

 

「その勢力が、ToBに協力してるというのなら。ToBの重火力重装備だけでなく、この異世界の未知の力も十分警戒しなければならない」

 

 作戦調整中のそれぞれの発言をしかし咎める事無く、貴重な参考と聞いていたラエ中佐は。

 それが一区切りするのを確かめるようにした後、話を元の作戦についてに戻して紡ぎ始め。

 まずはそう訴え、忠告する言葉をこの場の各員に向ける。

 

「おおよその動きは所定から変更しない。遺跡の維持の関係から、重火器重火力の使用投射は注意を払うよう言われているが――しかし差し迫った状況にて、躊躇うことはするな」

 

 続け、ラエはそう注意事項を紡ぎ。

 

「遠慮も、容赦もするな」

 

 そしてそこで一度区切り括るように。低く重い声で、しかし尖る確たる様相で、ラエ中佐は各員を見渡して紡いだ。

 

 

 ラエは普段は温厚な性格であり、隊員等からは「ラエおじさん中佐、大隊長」などと軽く、しかし親しみを込めて呼ばれることすらある人柄であるが。

 

 過去にはToBによって友人、同胞であるユーダイドやスーパーヒューマンを、凄惨に殺された過去があり。

 自ら争いを好み望む性質では無く、諍いを悲しく愚かなものとすら考える人であったが。

 それでもToBに対して抱く復讐心は、決して小さいものでは無かった。

 

 今に発した尖る色での確たる言葉は、それが色濃く表れてのものであった。

 

 

「伝えた通り、現場の直接戦闘指揮はナガイ(ジョンソン)少佐が執る。作戦開始も変わらず、明日の日の出前。参加の各隊各員は十分な準備と休養を――質問は?」

 

 ラエの見渡し尋ねる視線に言葉に。しかし質問の類は特には上がらず、心構えはできているという様相で各々は返す。

 

「疑問点は、後からでも聞くように――解散」

 

 補足の言葉からのその指示号令をもって、作戦調整の場は解散となり。

数時間後に迫る作戦開始に備え、各々はそのための時間へと入った――

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