Beyond Dust 復興文明、幻想異界との衝突――「世界」が異なれば、やり方の違いで過ちは繰り返す 作:えぴっくにごつ
視点は、またToB側へ。
「火力投入効果、大!敵を押し止め、一部は後退していきます!」
防御陣地により向こう正面に周囲を観測する兵が、見えるその敵VAC側の様子を知らせている。
「各部隊ごと、PAを前に攻撃隊形を準備!このまま押し上げ、ヤツ等を追い返すぞ!」
聞こえたそれに返すように、命じる声を発し伝えるオルスレー。
言葉通り、ToBはこの絶好の機を利用してこれより討って出て、敵を蹴散らし追い返す企てだ。
「行くぞ!」
「俺たちの力を見せてやる!」
状況がまた好転し、兵たちはまた士気高く奮い立つ様子を見せている。
「この機を逃すな!こちらの強靭さを演じ見せて、ヤツ等に攻勢を断念させるぞ!」
そんな兵たちに向けて、オルスレーも鼓舞する声を張り上げる。
「――あら、危機と聞いて来て見たけど。大分奮い立っている様子ね」
「っ」
そんな所へ、オルスレーの背後より声が掛かった。
振り向きそこに居たのは、『連盟』の魔法学園からの魔法使いの少女、ヴァネッサと他何人かの魔法使いの学園生徒。
今まで別方で戦っていた、というかほぼ高みの見物を決め込んでいたヴァネッサたちに。
オルスレーは隠さぬ歓迎しない顔色を見せる。
「ヴァネッサ嬢、冷やかしか?ここは危険だぞ」
そしてヴァネッサに、皮肉を混ぜた一応の警告を伝えるオルスレー。
「あら、失礼な。これでも手を貸しに来ましたのよ?」
しかしそれに、ヴァネッサは妖しい笑みを浮かべながらそんな様な言葉を返すと。
次にはオルスレーの横を、「どいて」と傲慢の垣間見えるまでの色で、抜けて前へと出た。
「おいっ」
状況がToB側に好転したとはいえ、今も敵側からの攻撃銃火は少なからず来ている状況だ。
その中で、不用意にも見える動きで出て行こうとするヴァネッサを。流石に危険と、オルスレーは止めようとした。
しかしそのヴァネッサは、銃火が飛び来て近くを掠める中に、臆する様子も無く堂々と立つと。
何か小さなステッキ、杖を取り出し。それを持つ片手を向こう正面へと突き出し向ける。
「眩き閃光よ……悪しき敵を討ちたまえ……!」
そして、ヴァネッサが何か言葉を紡いだかと思った瞬間。
その杖の先端、いやヴァネッサの体の前の全体で、大きな「光」が発生。
そしてそれの発光は発生とほぼ同時に、まるで巨大な砲火の如き様相で向こうへと射ち放たれ飛んだ。
「な!」
思わず驚きの声を上げるオルスレー。
その「光の砲撃」は向こう正面の、古代の遺跡の付随施設に叩き込まれ命中。
そこで爆散を体現して見せ。さらにはそこに遮蔽していたVAC AF隊員を、撒き込み撃破する様までを見せた。
「……ふふん、いかが?」
驚くオルスレーに、ヴァネッサは振り向き。妖しくも自信を見せる顔色で、そんな声を寄越す。
「……支援には感謝する。だが、あまり前に身を晒さないことだ」
「あら、可愛げがないのね」
それにオルスレーは、一応の感謝と。しかし合わせての改めての忠告で答え。
ヴァネッサはそれに、やらしく揶揄うような声を返す。
「シニア!各部隊、準備完了です!」
そんな所へToB兵の一人が駆け寄って来て、報告の声を寄越す。
ToB各部隊、分隊規模ほどのそれぞれは。各部隊ごとにPA兵たちを前に立て、それに軽歩兵たちが追従する形で、攻撃開始隊形を完了していた。
「よし、これより討って出る!勇敢に舞い戦って見せるぞ、気合を入れろ!」
兵からの報告を受け、オルスレーはそれ以上ヴァネッサを相手にすることは無く。
周りの各兵に命じ、鼓舞する声を張り上げる。
「始める――突撃、前へ!!」
そして、オルスレーが攻撃開始の命令の声を張り上げ。ToBの兵たちはそれに雄叫びにて答え。
前進を、討って出る巻き返しのための攻撃行動を開始した。
「――押し進め!踏み潰せ!」
防御から反転、討って出ての攻撃を開始した、オルスレーを筆頭とするToB。
「両翼部隊は各担当方向に火力を集中!」
「正面、臆さず進め!抉じ開けろ!」
PA兵を前に立てた各部隊が、部隊ごとに距離を取りつつ踏み出し進みながら、各火器の火力を各方向へ苛烈に撃ち向け。
同時に追従前進を始めた、ファイアサポートボット各機からも強大な火力支援が提供される。
「光よ、怨敵を貫きなさい!」
さらに、半ば勝手について来たヴァネッサたち『連盟』の魔法使いたちも。それぞれ好きな動きで、魔法火力を見せびらかすように撃ち放っている。
「来やがったァ!あるモンばら撒けッ!」
「負傷者を下げろッ!」
まずそのToBとぶつかったのは、前線正面に孤立し取り残されていたVAC小隊の生き残り。
彼等は果敢に、押し迫ったToBを相手取り。とにかく持つ火力をばら撒いての抵抗を試みたが。
「――ガァッ!?」
「おい!――グォッ!?」
しかしそれは功を成さず、彼等は襲い来たToBの火力に撃ち抜かれ。
あるいは肉薄にて迫ったToBのPA兵に直接踏みつぶされて退けられ、儚く潰える。
そしてToBはそれにて押し留まることなどなく。より苛烈な様相で、火力を展開しながら押し進み続けた。
同時刻。
場に視点は、VAC側の展開させる前線の側方。小高い崖の上に配置した狙撃班より。
「まァずいッ!連中、大挙して討って出て来やがったッ!」
狙撃員の内の誰かが。眼下の向こうに嫌でも見える、ToBが大掛かりな隊形で討って出て来た光景を見て張り上げる。
「ッ、援護をッ!」
それに答える形で発し上げたのはエドアンズ。
前線正面の味方を、取り残されている隊の後退を少しでも援護すべく。エドアンズ等は各狙撃火器を急く動きで突き出し構え、狙撃援護を始めようとした。
しかし、
「!――ヅッ!?」
向こう眼下で、何か「光」が瞬いたかと思った直後瞬間。
エドアンズ等が陣取る崖上の縁が、「爆散」。衝撃に、舞った埃に破片が襲い、エドアンズ等は反射で身を沈め隠した。
「のォ……――んだ今のはッ!?」
「今の、魔法……向こうに与している、魔法使いの物!」
悪態と困惑の声を上げた狙撃員に、エドアンズがその正体を推察して答える。
「ただでさえ厄介な状況に、余計なものまで」。エドアンズはToBに与する魔法使いの存在に、そんな思いを浮かべたが。
「ッォ!?」
「身を隠せ、掃射だッ!」
しかし間髪入れずの直後、さらなる脅威がエドアンズ等を襲う。
敵のファイヤサポートボットの向けて来た、ガトリング砲の砲火。さらにはToB、PA兵たちの向けてくる各銃火火力。
それらがまたこちらの崖の縁、周囲に各所を叩き。あるいは頭上を豪雨の如きで掠め始めたのだ。
こちらからも数名の狙撃員が、狙えずとも各狙撃銃を突き出し向けてのブラインド射撃を続け行うが。
やはり焼け石に水だ。
「ッぅ……――狙撃班よりHQ!敵攻勢部隊が味方正面大隊に接近、こちらも敵銃砲火の影響で援護困難ッ!」
エドアンズは遮蔽に身を沈めて敵の銃砲火を凌ぎながら、身に着ける簡易無線機で後方指揮所へ現状を捲し立てて伝える。
《掌握しているッ。狙撃班は退避し身を守れ、そこも危険だッ!》
それには後方指揮所、ラエの声で返答が。狙撃班に後退退避を命じる声が寄越された。
「しかし!正面の大隊がッ、少佐がッ!」
だが味方大隊が、自身の上官であるジョンソンも正面にいることから。それ等への援護を捨て置いて、見捨てての自身等の後退に難色を訴えるエドアンズ。
《手は打っているッ!――》
しかしそれにラエからは、後退指示を念押しする色に気迫を含めての声で。そんな旨が言葉にして寄越された――