Beyond Dust 復興文明、幻想異界との衝突――「世界」が異なれば、やり方の違いで過ちは繰り返す 作:えぴっくにごつ
「ジョーぉダンッ!ハイテク蛮族ドモの火力に、摩訶不思議攻撃まで混ざりやがったッ!」
視点、場は前線正面のジョンソン等の元へ。
討って出てきたToB、それから寄越され襲い掠める無数の強力な火力に。さらには魔法使いたちの魔法攻撃までもが混ざり。
コースはいつもの、しかしより切羽詰まった色での悪態を吐いて張り上げている。
「少佐!ToB隊形、正面の取り残されている小隊に迫っていますッ!」
近くの遮蔽個所からは、通信員のラーンがまた己のサービスバトルライフルを我武者羅に撃ちながらも。向こうに見える光景状況をジョンソンに伝えて来る。
「可能な限り援護の火力を向けろッ!支援が来るまで少しでも時間を稼げッ!」
それにジョンソンは、指示命令の声で張り上げ答えながら。
自信も大口径リボルバーを遮蔽から突き出し向け、我武者羅に向こうへと撃ち放っている。
「あぁッ、そういきてェが――チクショウが、弾倉がこれでカンバンだッ!」
しかしそれに、コースから悪態交じりでの状況を伝える声が返る。
コースに限らず各隊各員は、突然の敵の攻勢を少しでも延滞させるため、先程から我武者羅に火器火力を撃ちばら撒き。
その影響で、それぞれの所有弾薬は底を尽きかけていた。
今にジョンソンの傍では、その知らせを寄越したコースが、20mm機関砲に最後である弾倉を叩き込む動きを見せる。
「ッ」
その歓迎し難い状況に、ジョンソンは険しい顔色を作り、舌打ちに近い色で口を鳴らす。
「――ジョンソン!」
「ジョンソン殿!」
しかしそんな所へ、背後より思わぬ声が聞こえ届いた。
「ッ!皆さん!?」
ジョンソンが振り返り、背後の向こうに見えた姿、向こうより「飛び」来て現れたのは。リーシェにルーネ、シュステンにクイン等、異世界の面々だ。
翼人のルーネと吸血鬼のシュステンは、自らの背の翼で羽ばたき。
リーシェはクインが操る箒に二人乗りし。
それぞれは低く取る高度で飛来し、今まさにジョンソン等の背後近くへと、急な動きで降り立った。
「ヌォいッ!ガキンチョども、なんで来てんだッ!?」
思わぬ顔ぶれの、それも危険極まりない現在の場への登場に。まず張り上がったのはコースの怒号。
「ッ!まずは身を隠すんだッ!」
そしてジョンソンはその彼らに隠れるよう促し、招き誘いながら。
同時にジョンソンにコースは、彼等の援護のために、慌てリボルバーや機関砲を敵方に向けて撃ちばら撒く。
「それは心配無用!」
だがなんと、退避の促しに受け答えず。ジョンソン等の横を抜けて駆け出たのは吸血鬼のシュステン。
そして彼はなんと、その身を堂々と戦場のど真ん前に立って晒したのだ。
「ヌォァいッ!?」
その行動に、驚愕とそして咄嗟の警告も含み。コースからはそのスーパーヒューマン独特の低音声での、ドスの利いた声が張り上げられる。
「ッ」
そしてジョンソンは、そのシュステンを引きずり退避させようと瞬時に駆け向かったが。
しかしその直後。正面の向こう遠くに、一瞬だが光が瞬くのが見えた。
それはここまでにも寄越され来た、ToB側に与する魔法の使い手のその攻撃の予兆。
「まずい」、ジョンソンがそう思った瞬間。その光源から一閃が、レーザー光線の如き光の攻撃が撃ち放たれるのが見えた。
――異質な音が、鈍い衝撃が響き上がったのは直後だ。
「ッ!」
到来した光の攻撃に飲まれ、消し飛ばされることを一瞬覚悟したジョンソンは。
しかしそれが「阻まれ」た事実を、光景を。今に響いた音に衝撃と同時に見た。
ジョンソン等の視界の前は、「漆黒」の何かに覆われていた
正しくは薄暗い半透明のそれは、よく見れば巨大な紋様――「魔法陣」。
それにより今まさに、光の一閃の攻撃が弾き反らされたのだ。
その魔法陣の、「魔法の盾」の中心の後ろには、まるでその魔法陣を支えるように。片腕を突き出し立ち構える、吸血鬼美少年のシュステンの姿があった――
「――あら、向こうにも使い手が?」
その片や、攻勢を開始したToB隊形の一点で。
今に放たれた光魔法の射ち手であったヴァネッサは。少し不服気な、しかし同時に興味を示す色でそんな言葉を零した。
「――ッ、君!」
ジョンソンは、数秒を要して状況を理解。
それからシュステンを呼びながら、その背後の横へと駆け近寄る。
「いったっしょ?心配無用だって」
そのシュステンはそんな言葉を寄越しながら、片手で支えるかのように展開させる巨大な『闇の紋様の盾』にて。
襲い来た光の一線を退けて見せただけでなく。今も同時に混じり飛び来る、ToBの銃砲弾類までもを弾き退けている様子を見せていた。
「君等の技――闇による、守りの技か」
「そーいうことっ。闇は、全てを飲み込み守れるのさっ」
驚きのその姿を見て、感嘆の色を混ぜてのジョンソンのその解釈表現の言葉に。
シュステンは説明を交えて肯定。そしてその美少女にしか見えない顔に、しかし男の子らしい自慢げな色を見せて答える。
「だとしてもだッつのッ!」
そこへ、張り上げてのそんな声が飛んでくる。
それはコースからの、考え有りとはいえ心臓に悪い今のシュステンの行動に、苦言を呈すもの。
そして今には遮蔽個所から身を乗り出したコースは、そこからまた20mm機関砲を突き出し向け。残弾を慎重に気にしながらの、敵への牽制射撃を再開する。
「どっへ、やっぱシュステンの闇魔法は段違いだなっ!」
同時に背後のその中では、リーシェやルーネやクイン等が。シュステンの守りを受けながらも、そのシュステンに続くように散会から位置に着く姿が見える。
その中から、今に飛んで来たのはクインの声。それから聞くに、今の御業を見せた吸血鬼のシュステンの技は、やはり特異なものであるらしい。
「しかし今の……上位の光属性魔法だったっ」
「それもクリフィエン連盟の学園生徒の発動パターンに見えた……やはり連中が与しているようだな!」
そしてリーシェにルーネなどは、向こうのToBに与する魔法使いの正体を推察から確信しながらも。
彼等は戦うための位置取りを完了。
「風よ……切り裂け!」
「雷よ……槍と成れ!」
次には、翼人のルーネや魔法使いのクインは、それぞれの体得する魔法のものであろう。風の刃や、雷の槍を生み出し、それを向こうから迫るToB隊形に向けて撃ち放ち始めた。
だが向こうのToB側でも、こちらのシュステンの『闇の盾』程では無いが。中規模の魔法のシールドと思しきものを発生させて見せ。
それが今のルーネやクインの魔法攻撃に。他、撃ち向けられるVAC AF側からの銃砲撃を防ぎ弾いだ。
「くっ……!」
「やっぱ連盟相手だと……厄介だな……!」
こちら側への魔法の扱い手の登場から、ToB側も少なからず驚いたのか、その様子が動きに垣間見えたが。
しかしそれでも敵側も、それくらいではで揺るぎはしないという気配を同時に見せ。それを見て苦い声を上げるリーシェたち。
「ToB隊形、取り残されている小隊の間近ッ!」
「ッ」
そこへ響き届く、隊員の内の誰かからの知らせの声。
こちらからの魔法の攻撃にいくらか驚き、そして数々のAF側からの押し止めを図る攻撃を受けながらも。ToB隊形は「影響はない」というように前進を続けて迫り。
向こう正面に取り起こされた味方小隊の元へと、いよいよ踏み込む寸前であった。
「まずいッ。援護、火力をッ!――」
その味方の危機を見止め、ジョンソンは苦い声を零し。そして優先しての支援援護の指示を張り上げようとした。
《――ジョック10へ、こちらはホヴ-アラ》
「!」
しかしそこへジョンソンの持つ簡易無線機に、掠れた音声での呼び掛ける声が届いたのは瞬間。
《ホヴ-ユニットは全て配置完了。これより援護支援を開始する》
そして返答を待たず、続けて端的な声で伝えられたのはそんな旨であった。