Beyond Dust 復興文明、幻想異界との衝突――「世界」が異なれば、やり方の違いで過ちは繰り返す 作:えぴっくにごつ
「PAが……!キャプテンたちが……!」
「クソぉ、どうなって……!」
要であるPA兵を立て続けに撃ち沈められ、ToBの攻勢隊形の中では兵たちに動揺が走る。
「がァっ!?」
「ぐァ!?」
しかしそこへ、さらに追い打ちを掛けるように。向こうの崖上の方向から、数多くの狙撃攻撃が襲来。
今度は防御の軽度な軽歩兵たちが主に狙われ、兵たちがまた立て続けに撃ち崩される。
「!?、スナイパー!崖の上からだ!」
「クソぉ、こんなっ!」
状況を巻き返そうと、討って出た先をしかし苛烈な攻撃で崩され。兵たちに動揺がさらに電波する。
「っ、狼狽えるな!隊形再構築!ボットの火力を、敵狙撃の推定個所に向けろッ!」
しかし。攻勢隊形の中段中央にて、自らも討ち出てそれを指揮していたオルスレーが。
事態に苦い顔を作っていたのも一瞬、すぐさま指示の言葉を張り上げた。
「は、は!」
オルスレーの一声で、混乱に陥りかけていた兵たちはなんとか戦意を取り戻し。また残るPA兵を中心に隊形を組み直し始める。
そして、そんな兵たちをサポートするため。隊形の両翼を、2機づつに分かれて担っていた4機のファイヤサポートボットは。
備える誘導弾のランチャーや、多連装ロケットポッドの類を各敵方へと向け。
次にはそれらを、噴射の音を立てて一斉に撃ち放った。
そしてさらにポッドの各機はガトリング砲や機関砲を、また各敵方へと唸らせ撃ち注ぎ始め。
それに合わせて続くように。ToB各隊の各兵たちも、我武者羅の様相で各火器を向けて撃ちばら撒き始めた。
崖の上、狙撃班の配置個所。
PA兵を多く撃ち沈められながらも、未だ完全には崩れないToB隊形は。ファイヤサポートボットの火力を要に、また反撃の強力な火力を撃ち向けて来た。
「ッぅ!」
近くでロケットポッドからの無誘導弾が着弾して炸裂。さらにガトリング砲からの銃火がこちらの頭上を掠め、エドアンズ等は身を沈め庇う。
《臆するな、手当たり次第にばら撒いてるだけだ》
しかしそんなエドアンズ等に、背後で配置するストロングコマンドーからそんな言葉は寄越され。
その彼等のユニットは寄越される敵火力に臆することなく、戦闘狙撃行動を続けている。
「ッ、とんでもない」
背後頭上の崖上に、彼等のそんな様子を見て。エドアンズは皮肉交じりの声を零す。
そんなエドアンズをよそにコマンドーユニットの彼等は、据え置いた30mm狙撃砲をまた、苛烈な砲音を響き上げて撃ち放った。
ガァンッ!ガンッ!
「がはッ!?」
「ごゥっ!?」
こちらが、ToB側が隊形を組み直し、我武者羅の苛烈な火力を向けている中にも関わらず。
敵VAC AF側からの強力な狙撃攻撃は止むことなく、またPA兵が二名程立て続けに撃ち貫かれて沈む。
「ウォーリアっ!」
「クソぉ!なんなんだよ!?」
隊形からは、必死に銃火器を撃ち戦う兵たちから、しかし悲鳴に近い声が上がっている。
「くっ、面白くないな!」
「あ、おい!」
そんな中、同行していた一人の連盟の学園生徒が、苦い声を上げながら前へと出る。
言葉通り、こちらに不利な状況に不服を感じたのだろうその生徒は。
止める声も聞かず、兵たちの横を抜けて前へと出ると。杖を翳して自分の前に、眩く光る『魔法の盾』を大きく広げ展開させた。
「ぎゃァ!?」
「!?」
しかし直後。その『魔法の盾』には、何か異質な音を生じるとともに、歪み崩れて大穴が空き。
そして同時に、その学園生徒もその体にも大穴が開き。そして生徒は血肉を撒き散らして吹っ飛び崩れた。
「これは……!抗反射弾か!?」
ここまで、学園生徒たちの『魔法の盾』の類は、銃砲弾の類すらを跳ね返し退けて見せていた。
しかし、それが今に貫通された事実から。オルスレーは即座にその攻撃の正体に思い当たる。
「抗生反射弾頭」。
元は、先日のナイスシーズの街でVACなども用いて見せた、「重力・光学複合反射」機構など、特殊なシールド防護の類を。
もしも敵側がそういったものを利用して来た際に、それを貫通するために用意された対現象弾だ。
そしてそれは、今この瞬間。この世界の魔法防御にも有効であることが証明された。
「!、なんてこと……」
己たちの自慢の魔法防御が破られ、そして同胞である学園生徒が撃ち沈められた事実に。
オルスレーの背後では、さすがにヴァネッサもその顔に微かな驚愕を浮かべている。
「下がっていろ、邪魔だ!」
そんなヴァネッサ始め学園生徒たちを、荒々しい声で一応は下がらせ。前に出て行くToB兵たち。
ガゥァンッ!!
「がゴっ!?」
「ぎゃェ!?」
「あぎァ!?」
「!」
しかし、そんなヴァネッサの目の前で直後に起こったのは。
なんと前に立つPA兵が敵の重狙撃に貫通され、さらにそれが背後の軽歩兵たちまでもをまとめて貫通して撃ち沈めた光景だ。
周りでは、無数の銃砲火の音と、怒声に阿鼻叫喚の声が響き上がっている。
「っ……不愉快ね……!」
しかしそんな中にあって、ヴァネッサが見せたのは怯える小娘の様では無く。
忌々し気に険しく作った表情であった。