Beyond Dust 復興文明、幻想異界との衝突――「世界」が異なれば、やり方の違いで過ちは繰り返す 作:えぴっくにごつ
場は、ジョンソン等の元へ。
「――!」
取り残されている小隊の間近まで迫っていたToBの攻勢隊形。
だがそれが、寄越された通信を合図に始まった、味方後方からの苛烈な数々の攻撃によって。
詳細を明かせば。到着し、周辺各所に配置したストロングコマンドーからの大口径火力による狙撃。
そしてそれに続いた、VAC AF各隊各員の攻撃によって。
面白いまでに立て続けに沈み始めた。
「少佐、お待たせを」
「ッ!」
その光景に視線を釘づけにしていたジョンソンの元へ、背後から特徴的は掠れた声が掛かる。
そして同時に背後に気配を感じて振り向けば。
ちょうど背後の向こうから、駆け近づいてくる二つの特徴的な姿が。
ストロングコマンドーのサミュエルに、フィアーブロウの補助コマンドーのティヴィスが。
そしてさらにはその二人に続くように、一際大きなシルエットが。
A101重戦車 ドーンベヒーモスが一輛。エンジンを唸らせ近づいてくる姿が見えた。
「自由判断で撃て」
「了解」
サミュエルとティヴィスは、まずはこちらの近くに駆け込んで来て遮蔽すると同時に。
サミュエルは半自動狙撃銃を。ティヴィスはその巨体を利用して扱う、航空機関砲改造の20mm狙撃砲を。
それぞれ突き出し構えて、射撃戦闘を開始する。
「周辺各隊、こちらは前に出るッ。取り残されている小隊の後退援護を開始するッ!」
そして続いていたA101にあっては停止することなく。通り抜けざま車上の戦車長が伝える声だけを張り上げ寄越し。
言葉通り、取り残されている小隊の後退援護のため、そのまま各隊各員の間を割って抜けて、正面へと押し進んでいく。
「伍勤どのォ、来てくれてドーモぉ!ついで、弾倉もらえるとありがてェんですがッ」
「いいよ、ただ慎重に撃って。ボクのは狙撃砲だから、あまり数は持って来てない」
傍ではコースが、到着したティヴィスに皮肉なのか本当の感謝なのかわからない言葉を向けながら。併せて弾薬の共有を要求。
ティヴィスはそれに特に不快を見せる事は無く返事をしながら。両名は巨大な20mm機関砲弾の弾倉を、しかしそれぞれの巨大な腕で軽々と投げ渡し、受け取る。
「スティーア伍長、よく来てくれたッ」
そんなコース等のやり取りを側方の向こうに見つつ。
ジョンソンは場のど真ん中で、シュステンの『闇の盾』の内でその恩恵を受けて戦いながらも。
駆け付けてくれ、近くに遮蔽したサミュエルに、感謝の言葉をまずは向ける。
「遅れて申し訳ない。それと私事ですが、来る前に臨時士官に上げられました」
そのジョンソンに、サミュエルは戦闘行動を行いながらも。
到着が遅れたことを詫び。そして自身が臨時昇進した旨を、ついでといった様子で返す。
「それはご苦労なことだッ」
臨時昇進について、ジョンソンはそんな軽口で返しながらも。ちょうど弾が切れた大口径リボルバーに、スピードローダーにて再装填を行う。
「応援が来てくれた今がチャンスだッ。1中、第1小隊は自分と来てくれ、正面の小隊を回収するッ!」
そして、応援が到着した今、成すべき行動をジョンソンは張り上げ。直後にはジョンソンは踏み出し前進を開始。
再装填を完了させた大口径リボルバーを撃ち向けながら、押し進み始め。
そして要請を受けた小隊各員も、苛烈な銃撃弾幕の展開を始めながら、ジョンソンに続いた。
「防御隊形!各部隊ごと順に後退しろ!」
「撃て、撃ちまくれ!」
オルスレーは、これ以上の攻勢押し返しを断念。
隊形を防御のものへと移行させ、戦いながらも順次部隊ごとに後退へと転じさせていた。
「戦車ァーー!」
「!」
だがそこへ、兵の誰かの張り上げる声が響く。
その知らせの通り、正面向こうに現れていたのは一輛の重戦車。その砲身はこちらを向いている。
そして。
――ガゥンッ!ドッゴォ!
一瞬聞こえた空気を切り裂く音が、金属を鈍くも過激に殴打する音へと変わったかと思った瞬間。
それは爆発音へと変貌。
「ッぅ!?」
オルスレーが身を庇いつつも見れば、後退のために前に出させていたファイアサポートボットの一機が。
敵戦車の砲撃を受け、爆散。大破炎上していた。
「くゥ!」
要のファイアサポートボットが撃破される事態に、いよいよオルスレーは険しく苦い顔を作る。
「シニア、各部隊は後退。あとは殿の我々だけです!」
そこへ指揮下のPA兵が駆け寄って来て、後退行動の進行状況を伝える。
「了解……我々も後だ退!防御体形に戻る!」
それに了解、そして併せて指示で返し。
オルスレーたちも動きを転じ、防御本陣へ戻るべき。銃火器を撃ちばら撒きながら後退していった。
「急げ、急げッ」
「負傷者を戦車に乗せろ!」
AF側は、戦車を中心とする隊の押し上げによって。取り残された味方小隊の元へと合流が叶い。
同時に味方の火力支援によって、敵射撃の釘付けが解けた今を狙い。味方小隊の回収、負傷者の収容が急ぎ行われている。
「ToBが再構築、いや――後退しているッ」
その最中で、自身も陣頭指揮に立ちつつ。同時に戦い、大口径リボルバーを撃ち向けていたジョンソンは。
その正面向こうに、討って出て来たToB隊形が、後退に転じた様子を見た。
「どーすんですゥ?またこっちから、押し上げかましますかァッ?」
「いや。負傷者の回収が完了次第、我々も一度後退するッ」
近くで戦いつつ、同じくToBのその動きを見たコースが、そんな尋ねる声を寄越すが。
ジョンソンはそれを否定、こちらも後退する旨を答え伝える。
「こっちも取る物取らずで駆け付けて来た、これ以上やるには不十分だ」
「だろうよッ」
続け、またその近くで戦っていたサミュエルが、またいまに狙撃射撃を撃ち放ちながらもそう答え。
それにコースは、いつもの悪態染みた声で返す。
「少佐、大隊長ッ。負傷者の回収は完了ですッ」
「了解、第1小隊は自分と殿を務めるッ。牽制を行いながら全隊後退するッ」
そこへ、ジョンソンに指揮下の隊員から回収作業の完了の知らせが届き。
それをもって、ジョンソンは残る各隊各員に後退指示を張り上げる。
「皆さんも後退を!」
「うん、わかった!」
「承知!」
続けジョンソンは、今も近く周りで支援の動きを続けてくれている、リーシェたち四人に呼びかけ。
リーシェたちもそれに承知する旨で答える。
「聞いたな、牽制しつつ後退ッ」
「後方ラインに後退するぞッ、引けーッ!」
ジョンソンの指示は各員の張り上げる声で、伝え広げられ。各隊各員は隊形を作り、牽制戦闘を行いながら後退を開始。
苛烈なものとなったその戦闘地帯一体を、ようやく後にした。
「――」。
最後に正面に残る味方が、ようやく後退を始めたその光景を、崖の上からエドアンズは狙撃銃のスコープ越しに見守っていた。
「エドアンズ。我々にも別隊と監視を代わり後退、再準備せよとの命令だ」
「了。ただ、大隊長や皆が引くまでは援護します」
「いいだろう」
そのエドアンズにも、狙撃班の長から後退指示の旨が伝えられたが。
エドアンズはそれに了解しつつも、ジョンソン等が後退を完了するまでは、自分も残る意思を示し。
そしてジョンソン等が、AFが。そしてToB側も。
両者が一旦完全に後退し。戦場となった一帯が、元の殺風景な景色へと戻るのも見届けた後。
エドアンズも配置を解き、その場を後にした――