Beyond Dust 復興文明、幻想異界との衝突――「世界」が異なれば、やり方の違いで過ちは繰り返す   作:えぴっくにごつ

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チャプター7:「理解」

「コース、よくやった」

「へェへェ、どうもッ」

 

 逃走を図ったリーダー格の重装鎧兵を、えげつないまでの手段で無力化して見せたコース。

 そこへ、破壊されたゴンドラの開口部から。そのリーダー格の兵を追って――というには悠々とし過ぎているムーブだが――半身を覗き見せたジョンソンが。

 敵の逃走を阻止して見せたコースに、評する言葉を送る。

 対してコースが返すは、また別に嬉しくは無さそうな返事だが。

 

「……な、なに……?」

 

 そんな一方。ゴンドラの内部の奥から零れ聞こえたのは、透る声でのしかし困惑の声。

 それは窮地に陥っていた少年からのものだ。

 

「あぁそうだ、君」

「ッ」

 

 その声を聞き留め、思い出したように背後へ振り向き。ジョンソンは声を飛ばし掛ける。

 対して、その少年が最初に見えたのは、明確な警戒の色に姿勢。

 

「大丈夫か?怪我は無いか?」

「……え?」

 

 しかし、ジョンソンは少年の見せた姿勢にも。「まぁそうだろう」と言うように、慌てる様子動きは取らず。

 端的に、少年に安否を。不詳の有無を尋ねる言葉を向ける。

 

 それに当の少年が返したのは、少し意表を突かれたような、キョトンとした可愛らしさすら覗く色。

 

「外傷は、観察した限りないようだが。痛みや、不具合を感じてはいないか?」

「い……いや、それは……大丈夫……」

 

 続け、身体具合の詳細を訪ねるそれらの言葉に。

 少年は今度はまた戸惑いつつも、自身に深刻な負傷などが無い事を。一応といった様子で一度視線を降ろして確かめてから、回答を返した。

 

「あ、あの……キミらは、何者だい……?そしてここは……?」

 

 そして、また少し戸惑いつつも続けて。少年はジョンソンに、こちらの正体を尋ね返す言葉を寄越した。

 

「あぁ、自分等はVAC AF。自分個人にあっては第29複合隊 第121大隊、大隊長のジョンソン ナガイ少佐だ」

 

 それを受け、ジョンソンはまずは自身の所属。そして自身個人の姓名身分階級を名乗って見せた。

 

「……うん?」

 

 しかし、それを聞き受けた少年が見せたのは。目に見えての戸惑いの色。

 

「ここはVACの一方面地域、その中心であるナイスシーズの街だ」

 

 それを知りつつ、ジョンソンはひとまずは続け。この地がどこであるかの説明をする。

 

「ぶいえ……?なんて……?」

 

 が、やはりというか。続けてのそれを聞いた少年が見せたのは。

 眼に頭上に、ハテナがいっぱい浮かびそうな色での。多分に困惑を含めた様子での反応。

 

「やはり――もしやと想定はしていたが、VACの存在からして知らないか」

 

 しかしジョンソンは、それもまた予想していた事と。小さく溜息の混じる色での言葉をまた零す。

 

 ここまで見て来た正体不明の敵性軍勢の、その動きに様子から。

 相手からしてもまた、こちらが「未知」の存在であるらしき事は。すでに想像ができていた。

 

 そしてそれが、今現在相対する緑髪の少年にも該当することは。また理解に難いことでは無かった。

 

「少佐ァ?こっちの自己紹介もいいんですが、その可憐なボーヤにも一つ二つ三つ聞いといた方がイイんでないですかねェッ?」

 

 そこへ背後、壊れ空いたゴンドラの壁の穴より。コースがその巨体を屈めて顔を突っ込み覗かせ、皮肉気な声色でそんな促す言葉を寄越す。

 

「ぅわ……っ」

 

 その姿を見せたコースに。スーパー・ヒューマンのその厳つい姿や顔に驚いてか、少年は思わずの声を小さく零す。

 

「あぁ、忘れてはいない」

 

 ジョンソンはそんな少年に、一度「大丈夫」と促す目配せをし。それからコースの言葉に一言を返し。

 

「不明な点が多々ある事とは思うが、ひとまずこちらからも尋ねさせてくれるか?君は何者で、どこから来たんだ?」

 

 そして、一度断りを置いてから。今度はこちらより、少年に向けて尋ねる言葉を向けた。

 

「……」

 

 それに、少年は一瞬迷いを見せたが。

 

「……僕の名前はリーシェ、シャリェンの里の御子」

 

 しかし次には、他に選択は無いと言うように。そう、自身の名と身分らしきものを答えて見せ。

 

「魔帝軍の侵略を止める術を探すために、里から逃され。そしてここまでたどり着いたんだ」

 

 そして続けてそう、彼の目的なのであろうそれを、言葉にして伝えて見せた。

 

「――あぁん、なんてェ?」

 

 しかし、それはジョンソンにコースからすれば、聞いた事の無いワードが多々含まれ。大分要領を得ないものであり。

 そしてコースはそれに率直に、またいらない皮肉の色を混ぜた、訝しむ色を向けた。

 

「――リーシェ君と言ったね?申し訳無いがその「シャリェン」に「魔帝軍」など、地名に組織名と見るが?君の言ったそれらは、この近隣地域では聞かないものばかりだ」

 

 そしてジョンソンは、少年改めリーシェが今に紡いだワードの数々が。自分等が全く知らないものである事を、素直に返した。

 

「!……魔帝国に軍を知らない……?じゃあ、ここはやっぱり異界の地……!「飛転」自体はうまくいったんだ……っ」

 

 ジョンソンのその言葉を聞いたリーシェが。何か言葉を零すと同時に、合点が行くような色を見せたのは次。

 

「?」

「でも、まだ彼等が信用に値する存在かは……少なくとも、魔帝軍を退ける力を携えるみたいだけど……」

 

 その様子のリーシェに、ジョンソンは訝しむ視線を向けるが。

 当にリーシェは構わず、何か考えに潜っているのか、一人でぶつぶつ声を漏らし続けている。

 

「なんぞブツクサ、お一人サマ劇場開催してんでござんしょォ?」

 

 それに煩わしさを覚えたのか。コースが皮肉の色を混ぜた、ツッコミの言葉を割り入れるように向ける。

 

「……まだイロイロ、ワカンナイけど……」

 

 しかしリーシェ自身はそれに反応はせず。何かひとまず、一人で考えに区切りをつけた様子を見せると。

 

「……ひとまず、魔帝兵たちから救ってくれたコトにはお礼を言っとくから――『ありがたく思って』よねっ」

 

 次には顔に視線を起こし、そしてリーシェが寄越したのは。

 その端麗な美少年顔に、しかし何か少しの高慢な色を見せての。礼――と合わせての、そんな促す言葉であった。

 

「あーンッ?」

 

 そのそれに。当然の流れというべきか、まず一番に言葉を向け返したのはコース。

 その厳つい顔は一層顰められ、不快感丸出しのそれを作っている。

 

「なんゴトを、ほざき腐ってんだァそちらさんはァ?」

 

 そして。礼の言葉に合わせてしかし、こちらに「ありがたく思う」ことを促して来たリーシェに。

 いよいよ容赦の無い、皮肉に嫌味を混ぜた詰問の言葉を向け返した。

 

「んー?ひょっとしてワカんないっ?」

 

 それに対してまたリーシェが返して来たのは。悪戯っぽくもしかし煽る様な笑みをその顔に作っての、「しょうがないなぁ」とでも匂わせるような台詞。

 

「選ばれしシャリェンの御子であり、何よりこーんなに美しいこの僕にー。直々にお礼を言われるなんて中々無いコトなんだけどー?」

 

 次にはリーシェは、何か麗しくも愛らしいポーズに仕草をわざわざ作り。確かに美麗であるその美少年顔に、何か嘲るようなドヤ顔を作り。

 彼の身分であるらしきそれを改めて語りながら、そんな事を宣い訴える。

 

 それから聞き、見る所。そのリーシェは良い所の生まれ、何らかの良い身分らしく、少しワガママが認められる育ちでもしてきたのだろう。

 

「ふふんっ。だからー、ありがたく思ってよねーっ?」

 

 そして、愛らしくも小憎らしいドヤ顔でまた。そんな事を宣い、こちらに向けて寄越して見せた。

 

 

「――あン?――」

 

 

 しかし、それに向けて直後にジョンソンが返したのは。

 尖らせ凄味を利かせた視線と合わせての、ドスの利かせた一声であった。

 

「ぴぃっ!?」

 

 それを向けられて、リーシェは煽るドヤ顔から一転。(0□0´。)のような顔で、驚き鳴いた。

 リーシェはジョンソンのそれに、一発で「分からせ」られてしまったのであった。

 

 最もジョンソンは、少し難儀に思いつつも。リーシェの発現をイマイチ理解できないので尋ね返すつもりで、一言を返しただけのつもりであったが。

 

「クソガキイジメて遊んでる場合かよ」

 

 そんな様子に端からコースより、呆れを混ぜたツッコミの言葉がまた寄越される。

 

「そ、そんなメッチャ凄まなくてもぉ……っ」

 

 方やリーシェは。「ぴぃぃ……」と鳴き声でも聞こえて来そうな、臆し怖がる姿に様子を見せ。

 

「ただでさえなんか不気味なのに……ホントなんなんだよぉキミたち……っ?」

 

 そして、どこか可愛らしく加虐欲すらをそそる姿に仕草を見せながら。そんな抗議を混ぜた声を寄越す。

 

「君の言う事は色々、イマイチ理解できないが――できればもう少し、詳細を聞かせてもらいたい――」

 

 しかしジョンソンは、それにはあまり真面目に相手取る様子は見せず。

 微かに難儀するように零した後。しかし今の主題はそこでは無いと言うように、そう端的かつ遠慮の無い質問の言葉をまた向けようとした。

 

《――4-0から各隊。こちらは、敵の主力と思しき部隊を発見したッ》

「ッ」

「わっ!?」

 

 しかし、それを遮るように。ジョンソンの身に着ける簡易無線機より、通信が飛び込み響いたのはその時。

 それにジョンソンは意識を向け。相対していたリーシェは、その突然の音声を思いもしていなかったのか、驚きの声を上げる。

 

《敵性軍勢は、銀行前ロータリーに陣地を張ってる。少なくとも中隊規模以上、各隊へ応援願うッ》

 

 そして続け響く通信からの音声。それは聞こえた通り、敵の主力の発見と、それに伴う応援を要請するもの。

 

「な、なにいまの……?」

 

 その聞こえた通信音声に。リーシェは驚き怪訝に思う色を見せながら、尋ねる声を寄越す。

 

「すまん、話は後になる――再編成しろ、我々も向かう」

「了」

「へェへェ」

 

 しかしそれに今は詳細を答えることはせず。

 ジョンソンは近くに同伴、ないし警戒していたコースやフレキシオ。他、周りの隊員各員に指示の言葉を張り上げる。

 それにそれぞれの色で答えつつ、各々は行動に移る様子を見せ。ジョンソンも身を翻して踏み出そうとした。

 

「あ……!ま、待ってっ!」

「?」

 

 そこへしかし次には、困惑を見せていたリーシェが、少し慌てる様子でジョンソンへ声を向け呼び止める。

 

「よくわかんないけど、今の声が言ってた敵って魔帝軍でしょ!?なら、僕も一緒に行く!――」

 

 そしてリーシェが訴えたのは。ジョンソン等に同行を申し出る旨であった。

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