Beyond Dust 復興文明、幻想異界との衝突――「世界」が異なれば、やり方の違いで過ちは繰り返す   作:えぴっくにごつ

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チャプター9:「火力」

 ジョンソンの告げた突撃攻撃開始の命令。そして鳴らし響かせたホイッスルの音。

 それを合図に中隊の各小隊・班が、その各員が。各々、呼応の声を張り上げ轟かせ、突撃攻撃の行動を開始した。

 

 まず一番に遮蔽を踏み越え飛び出し、正面を務めて押し上げ始めたのは、各スーパーヒューマン隊員。

 そして続き飛び出し。その合間をカバーするように展開して進むは、プレートアーマーを装着する装甲工作員。

 さらに小銃手に、ショットガンやサブマシンガン装備の近接戦闘要員が。数名ごとのチームを組んで、各スーパーヒューマン隊員の背後に付いてカバーの恩恵を受けながら随伴する。

 

 その形で隊形を作り、そして各員からは向こう正面の敵陣地に向けての。それぞれの装備火器による射撃攻撃が開始された。

 

「行けるな――コースッ、自分等もだッ」

 

 まず初っ端。中隊の突撃が早々に頓挫すること無く、スタートを切った事を確認すると。

 ジョンソンは待機していたコースに、端的に告げる。

 それは自分等も中隊主力に続き、突撃にて押し上げることを示すもの。

 

「あぁ了解了解ッ、身を晒さねェよぉにお気をつけアソバセッ!」

 

 その指示に、コースは待っていたと言うように。皮肉気に返しながらも、装備火器の20mm機関砲を繰り出し構えると。

 直後にはそれ以上のジョンソンの言葉は待たずに、遮蔽物の瓦礫を飛び越えて向こうへと踏み出し。

 さらにコマンドー隊員のフレキシオ三等曹や、ユーダイド系小銃手のジウォ等長士も続いてそれを追う。

 

「ヒューケ一等曹、ここは任せるぞッ」

「了」

 

 そして。この場に残り機関銃援護など始めている班の、その班指揮官の曹にこの場を任せると。その返事を聞くが早いか。

 ジョンソンもコースを追いかけ、遮蔽物を踏み越えて飛び出した。

 

 

 

 突撃攻撃の火蓋が切られた一方。

 ロータリー空間のAF側の背後、角に立つビル建造物の内でも急かしい動きが見えた。

 

「――行け行け行けッ」

 

 ビル内の階段を駆け上がるは、AFの機関銃班と。そしてエドアンズを含む狙撃チームの狙撃要員。

 高所へ配置するべく階段を上がる各員は、間もなく上層階へと至り。近場の適当な部屋に踏み込んで、その内の各所へと展開配置する。

 

「――視界は十分」

 

 エドアンズは窓際の一点にポジションを取り、窓から眼下の向こうを一度見る。

 向こうには銀行施設と、その周りに構えられた敵部隊の陣地が一望でき。狙撃ポイントとしては適切な場所だ

 

「各個、準備出来次第自由に始めろッ」

 

 同じく配置し、その状況光景を確認した狙撃チームの長を務める少尉が、チームの各員に任意射撃を許可。

 それに「もちろん」と答えるように。それぞれ窓際や、崩落して開けた個所に位置取った各狙撃要員は。

 次には各々の狙撃火器を突き出し構え。そして素早い照準から、銃声を響かせ始めた。

 

 眼下の向こうへ撃ち込まれた狙撃の各銃線は。構築された防御陣地の向こうで動き、戦闘行動を見せる敵兵を。

 一体、二体、三体と立て続けに撃ち抜き、吹っ飛ばして沈めた。

 

 頭上、無防備な角度から襲ったそれに。慌て狼狽し、身を伏せ隠れ逃れようとする敵の姿が見える。

 

「設置ヨシッ」

 

 それを観測していたエドアンズ等に、側方より伝える声が届く。

 それは窓際の一点に、機関銃班の汎用機関銃が配置完了したことを知らせるもの。

 

 そして次には、その据え構えられた汎用機関銃が。眼下向こうの敵陣地へ、遠慮容赦は無用と制圧銃火を注ぎ降ろし始めた――

 

 

 

 張り上げ轟く声が。そして無数の銃砲音が響き上がり。

 それらを奏でながらAF中隊の突撃の隊形は、向こうを敵陣地目掛けて押し進む。

 

 敵の突貫造りの陣地まで、その距離はここまでで半分を切り、それに伴い攻撃の応酬は激しくなり。

 向こう正面の敵陣地からは。矢撃の数々に、そればかりか火炎弾やら、軽火砲の砲撃の如き雷までもが繰り出されて襲来する。

 

 しかしそれを封じるべく、背後のビル建造物に配置した狙撃チームに機関銃班から。

 苛烈な阻止銃火が寄越され、向こうの敵陣地へと注がれる様子が見える。

 

 それを受けながらAFの中隊、各小隊に班の各員は果敢に押し上げ、進み続ける。

 

 

「――ッ」

 

 少し遅れ飛び出した、コースを正面に進むジョンソンの一チームが。

 突撃の最前線を務めて押し上げる各隊の隊形に、ちょうど追い付いた。

 

「ちっと大人しくしてろやァッ!」

 

 そしてそこから間髪入れずに。ジョンソンのチームの正面を務めるコースは、いつものような口調で張り上げながら。

 敵陣地に向けて20mm機関砲を薙ぎ撃ち、砲火をばら撒く。

 

「気張れェッ、敵の懐まであと少しッ!」

 

 ジョンソンは、促す声を周囲に張り上げながらも。

 コースのそのスーパーヒューマンの巨体に、カバーの恩恵を受けながら。その背後より向こうに自身の大口径リボルバーを突き出し向け。

 発砲。

 

 向こうの敵陣地の影より、番えた弓矢でこちらを狙っていた弓兵を。しかしその攻撃を認めるよりも早く、撃ち仕留め屠った。

 

「排除ッ」

「左、ダウンッ!」

 

 同じように、コースの巨体にカバーの恩恵をもらいながら続くフレキシオやジウォも。

 しかし同時に、こちらを狙う敵を各方に素早く発見し、そしてすかさずの射撃発砲から撃ち仕留め沈め。

 正面を務めるコースを敵の攻撃より守り、フォローする。

 

 そのような形で、各員の特性の元連携し。

 向こうより防御のための攻撃を寄越し見せる敵部隊、兵を。

 しかし的確に撃ち沈め、退けながら押し進むジョンソン等。

 

「――っぁ!」

「ッ!?」

 

 しかし、そんなように押し進めていたジョンソン等の元へ。背後より何者かが追い付き、飛びこむように現れたのは直後。

 ジョンソン等と比べて小柄で、なにより目に飛び込んで来た緑の髪色と衣装格好から、すぐにそれは判別できる。

 それはリーシェであった。

 

「ちょ、キミッ!ついて来てはダメだッ!」

 

 思わぬ人物が、都合の良くないこの場に飛び込み現れた事に。

 サブマシンガンをばら撒き行っていた牽制射撃を続けながらも。咎める声を発したのはフレキシオ。

 

「そうはいかないよっ!僕は奴らと戦う事が使命っ!」

 

 しかし間髪入れずにリーシェが返して来たのは、そんな訴える言葉。

 彼にも彼なりの理由があるらしい、その手元には細身の剣が控えられている。

 

「ッ、身を晒すなッ!」

「ぅぁっ!」

 

 しかし、ジョンソン等から言わせれば。状況に、戦い方の違いからもここに居られては都合が悪く。

 とにかくとジョンソンは、遠慮もしていられないとリーシェの首根っこを掴み。彼の身を、コースの巨体の背後に押し込んで可能な限り隠し。

 そしてリーシェを片手間に押さえ込んだまま。

 またリボルバーを向こうに突き出し向け。防御陣地の影から矢撃を放とうとしていた黒衣装備の敵兵を、それよりも速く撃ち仕留めた。

 

「ぁぅ、ちょ……放してよ……っ!」

「一旦遮蔽するッ」

 

 聞かない子のように、抗議の声を上げて身を捩るリーシェだが。しかしジョンソンはそれには耳を貸さず。

 リーシェの首根っこを捕まえたまま、コース始め自分に同伴するチームの各員に告げる。

 このままリーシェを連れたまま、敵陣地に踏み込むには不都合だ。

 

「ったくッ」

 

 コースが状況に悪態を吐きながら。コースを筆頭にジョンソンのチームは少し進路を変え。

 途中の近場にあった適当な瓦礫を遮蔽個所として、一時退避遮蔽した。

 

「ッ――まったく、驚かせてくれるなッ」

 

 一時退避し。

 そこより20mm機関砲を瓦礫に据え構えて、また砲火をばら撒き始めるコースや。各方へ牽制や、他隊への支援射撃へと移行するフレキシオやジウォを見つつ。

 ジョンソンはリーシェに、隠さぬ悪態を吐く。

 

「もぅっ……!侮らないで!僕だって戦えるし、その義務があるんだっ!」

「だとしても、君と自分等では戦闘形態が異なるッ。悪いが君の都合にまで今は配慮できないッ」

 

 身を捩り、首根っこを掴むジョンソンの腕からようやく逃れたリーシェは。そう文句と合わせて訴える言葉を返すが。

 ジョンソンはそれにピシャリと返し。言い聞かせる代わりに、ジェスチャーでここに留まっているよう示す。

 

「――踏み込むぞォッ!」

 

 その間にも。

 すでに一つの小隊が、敵部隊の防御陣地間近まで接近を果たしており。

 そして直後には、知らせの張り上げと同時に。向こうの敵陣地にその小隊が、隊員各員が至り。

 そして飛び越え、押し込む姿を見せた――

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