雷牙 side
「…なんで守までついてきてるんだよ…。」
説明しよう。今俺は病院にいる理由は今日の試合でどこか怪我をしていないか調べてこいとマネージャーの木野からお達しがあったからだ。そこまではいい、だが問題はなぜか守がわざわざ『木枯らし荘』に迎えにきて病院まで付き添いに来ていることだ。
「俺は雷門のキャプテンなんだから副キャプテンのお前の怪我を把握しておくのは当然だろ!それに…。」
ははぁーん…さてはコイツ帝国と試合で俺に負担をかけたことに責任を感じているな?
「はぁ〜〜…、おい守、別に今日の試合で俺に負担がかかったのは気にする必要はねぇよ。どっちにしろ日本の覇者が相手だったんだぜ?ある程度はフォローに入らなきゃもっと酷い結果になっていたかもしれねぇんだ、残念だが今の雷門の実力はそんなもんなんだよ、FF予選までに鍛えればいいさ。」
「そうだな…。とりあえず明日は今日の試合で出た課題を話し合うか!」
「稲魂さ〜ん、稲魂雷牙さ〜ん、○番室にお願いしま〜す。」
俺の名前がアナウンスで呼ばれたから指定された番号の部屋に入る。
「稲魂雷牙君だね、検査結果は特に異常無しだだが少し足に疲労が溜まっているから1週間は…」
とりあえず怪我の心配はなさそうだな。しかしこの先生どっかで見たことがあるようなないような…そう思いながら名札をチラッと見ると見覚えしかない文字が目に入る。
“豪炎寺”
下の名前はよく見えなかったが今日の試合に来た豪炎寺と同じ苗字だけは目に入った。
「稲魂君?聞いているのかね?」
「あっハイ。すんませんちゃんと聞いてるっす。」
「ならいいが、聞けば君はサッカーをしているそうじゃないか私の息子も昔はサッカーをしていてね少し懐かしくなったよ。」
ビンゴ〜、この人は豪炎寺の親父さんだ。アイツがなんでサッカーを諦めたのか少しだけ気になるしちょっとだけかまかけてみるか。
「へぇ〜、息子さんもサッカーされてたんすか、今は何をされてるんですか?」
「……。今は君と同い年だが、私と同じ医者の道を進むと約束していてね、最近はドイツ留学に向けてドイツ語の勉強に励んでいるよ。」
少し豪炎寺先生からこれ以上踏み込むなオーラが見えたからこれ以上の詮索はやめる。誰にも触れられたくないことはあるしそこにズカズカと踏み込むほど俺ちゃんは常識知らずじゃない。
「そうですか、まぁ怪我してなくて何よりっす。ありがとうござっした〜。」
元いた席に戻ると守は暇そうにボケーっとしていた。どうせ明日どんな特訓するか考えていんだろうな。
「おいっーす守〜。特に足に異常は無いってさ。」
「そっか!よかったな雷牙!よーし明日から練習頑張るぞー!」
「それもいいけどよ、さっき俺を担当した先生が豪炎寺の親父さんだったんだ。」
「豪炎寺の⁉︎へぇーそうなんだな!あれ?あそこにいるの豪炎寺じゃないか?」
守の声に反応して振り返るとどこぞの超戦闘民族の如く逆立った髪型をした雷門中の制服を着た生徒が見えた。間違いねぇ豪炎寺だ。
「ちょっとついていってみようぜ!」
医者の息子だからってこんな夜遅くに病院にいるのは少し気になるな、まぁやばいと思ったら引き返せばいいだろ。
んでついて行った結果の終着点は病室だった。…こりゃまじいな、さすがにそこまで踏み込むのは良くねぇ。そう思った俺は守と一緒に引き換えそうとするが守の姿が無い。
「あんのバカ…!」
俺が連れ戻しに行く前に病室の扉が開いてしまい豪炎寺と鉢合わせてしまう。
「何やら外が騒がしいと思ったらお前らか…。」
「いやー、その、えーっと…。」
自分から言い出したくせにいざ本人と鉢合わせるとしどろもどろになる守だが、俺は豪炎寺の後ろにいる人物に目が行く。
「何をしに来たんだ?」
「こんな夜遅くに病院に行ったから怪我でもしたのかなって思って…、もしかしたらそれが原因でサッカーを辞めたんじゃないのかなって…。いや!別にサッカー部に勧誘しにきたんじゃないんだ!なんとなく心配でさ…。ごめん!」
「豪炎寺夕香…。オマエの妹の名前か?」
「…そうだ。豪炎寺夕香、俺の妹だ。」
豪炎寺は俺たちに呆れるようにため息をつくと病室の扉を開けて入るように促す。そこにいたのは俺が想像していた状態とは真反対で目に見える範囲には傷ひとつついていない。ただし彼女はまるで死んでいるように眠っているのだ。
「もう1年近く眠り続けている。診断した医者が言うには奇跡でも起こらない限り目を覚ますことはないらしい。」
「…なんか悪りかったな豪炎寺。」
「円堂、稲魂、少し話を聞いてくれないか…?俺がサッカーを辞めた理由を。」
豪炎寺曰く、夕香ちゃんは兄のサッカーを見るのが大好きな子で兄の試合の日は必ず応援に来ていたらしい。
しかし、去年のFF決勝の日事件は起きた。応援に行く途中の夕香ちゃんは交通事故に合い救急車で搬送された。幸い命に別状は無かったらしいがその代償にいつ目覚めるかわからない植物状態になってしまった。
試合の直前に知らせを聞いた豪炎寺はいてもたってもいられず妹の病院に向かった結果、エースを欠いた木戸川清修は帝国に惨敗。
全てが終わった後豪炎寺は自分を責めた、妹が事故にあったのは自分がサッカーをしていたせいだと思い妹が目を覚ますまでサッカーを辞めることを誓い、雷門中に転校、かねてから親に言われていた医者への道を進むことにした…と。
「何故なんだろうな?あの時俺は自分でも知らないうちにグラウンドに足を運んでいた。そして気がついたら試合に出場していた。」
「辛い話をさせちゃったな。俺何も知らなくてサッカー部に勧誘してごめんな…。」
豪炎寺に辛い思いをさせたことを反省したのか守は謝罪の言葉を送る。しかし今の俺のハートは守とは真反対の感情で満ちていた。
「…理解できねぇな、その誓い。」
「何?」
「妹が事故にあった原因を自分のせいにするのはまだいい、だが何故オマエはサッカーを辞めるのが妹のためになると思ったんだ?」
「お前に…、お前に俺の何がわかるんだ!」
「あぁ!わかんねぇなぁ!!オマエは妹のためにサッカーを
「ッ!…出ていけ…!お前のような奴に話したことが間違いだった!」
「言われなくてもそうさせてもらうぜ…!」
「おい、雷牙待てよ!」
俺は豪炎寺に言われるがまま病室を出ていく。
豪炎寺 side
『オマエがサッカーを諦めた今日は、誰かがサッカーをしたかった明日だってことを一度でも考えたことはあんのか⁉︎』
先ほど稲魂に言われた言葉が俺の脳内を何度も反射する。俺がサッカーを諦めただと?そんなことはない、俺がサッカーをしていなければ夕香はあの日事故に遭うことはなかったはずだ。これは俺への罰なんだ俺がサッカーを辞めるこれが夕香へのためになるはずだ
『本当にそれでいいの?お兄ちゃん?』
「ッ!夕香!」
突然聞こえた
「本当にそれでいいの…か。」
分からない。分かるはずがない。いや、本当は分かっているはずなんだ、サッカーを辞めたことは俺の自己満足でしか無かったって、事故への怒りをどこにぶつければいいか分からなかった悩みの末に決断した
円堂 side
「おーい雷牙ー!待ってくれよー!」
病院を出るなり駆け出した雷牙を追って河川敷まで行ったところでやっと追いつけた。それにしても本当にどうしたんだ雷牙の奴?今日の帝国戦といい、さっきの豪炎寺との言い合いといい、あそこまで怒りをぶつける雷牙の姿はここ1年で初めて見た。
「なぁ雷牙本当にどうしたんだよ?せっかく豪炎寺は辛い思い出を話してくれたのにあんなことを言うなんて…。」
「…さすがにアレは言い過ぎたって思ってる。だけどな、
雷牙は俺に背を向けながら静かに理由を話す。その姿は小学生の頃に鉄塔で初めて出会った時のことを思い出す。…そうだ!
「なぁ雷牙!PKしようぜ!ちょうど河川敷の前だし!気分転換にちょうどいいんじゃないか?」
「…そうだな、今日はいろんなことがありすぎたし気分転換にちょうどいいな。よし!3本先取だ!負けた方はラーメン奢れよ!」
「望むところだ!負けないぞ!」
PK戦を終えた後、俺達は雷雷軒でラーメンを食べて解散した。
No side
「帝国戦で俺たちの問題点は分かった!それで「問題点もなにもまず体力無さすぎ」…先に言われちゃったな…。」
松野ことマックスの正論に暗くなる。
「あれ?ごめん今のへこんだ?」
「いやマックス大丈夫だ、残念ながらこれが今の雷門の現状だ。これからは徹底的に体力をつけるトレーニングをするぞオマエら!」
「まぁ、それも大事だけど新しい雷門のフォーメーションを考えてきたんだ!」
円堂はそう言うとホワイトボードに番号を書く。4-3-3のこのフォーメーションは円堂曰く祖父の大介の特訓ノートに書かれていたものを円堂なりにアレンジしたものらしい。
「あの〜キャプテン?この間の豪炎寺さんってもう来てくれないんですか?」
宍戸の言葉に染岡は険しい顔をするが、それに気づくことなく何事もなかったかのようにサッカー部に戻っていた目金も同調する。
「あんなのは邪道だ!俺が本当のサッカーを見せてやる!」
「必殺技打っても帝国のキーパーに止められてた染岡さんにそんなことできるんでヤンスか?」
「んだと栗松!」
「ステイだ染岡。栗松もそう言うことは思っても口にだすなよ、まぁどっちみち今の染岡じゃ全国に通用しねぇだろうからな向上心があるのはいいことだろう。」
「それは褒めてんのか貶してんのか、どっちなんだよ…?だがな稲魂お前にも言いたいことはあるんだよ!なんでこの前の試合はもっと俺たちに頼らなかった!そしたらあんなにボロボロになることは無かっただろうが!」
この言葉で雷牙は染岡がイラつく理由を理解する。要するに染岡がイラついているのは豪炎寺の存在ではなく、帝国相手に何もできなかった自分自身なのだ。深海中での試合で全ての点をFWではない雷牙に全て取られやっとのことで必殺技を編み出したと思ったら、帝国戦では渾身のシュートを源田のノーマルキャッチで止められた。無力なFWの自分が許せないのだ。
「言うねぇ染岡、だが少なくとも俺はあの試合では勝つために必要なことをやっただけだ。結果的にワンマンプレーになってしまったことについては悪いとは思っているが、俺と守におんぶに抱っこ、それがオマエらの現状なんだよ。」
「くっ!」
やや空気が悪くなる中マネージャーの木野が部室に入る。
「みんなー、お客さんよ…ってあら?何かあったの?」
「いや…まぁ、ちょっとな。」
「そう…あっ!お客さんこちらへどうぞ…!」
部室に入って来たのは、雷門中理事長の娘、雷門夏未であった。まさかの来客に驚く雷門イレブンだったが、本人は特に気にすることは無く円堂に向かって話しかける。
「帝国との試合、運良く廃部だけは免れたわね。まぁほとんど稲魂君と円堂君だけでプレーしてたようなものだけど。」
「言ってろ、俺たちはこれからガンガン練習試合をしてレベルアップしてやるんだよ!」
「ならいい知らせを持って来てあげたわ。特別に私自ら次の対戦校を決めてあげたわ。」
「対戦校を⁉︎なんで理事長の娘がそんなことを勝手に決めるんだよ!」
サッカー部と縁も関わりも無いはずの雷門夏未が勝手に次の対戦校を決めたことに半田は驚きの声を出す。
「次にオマエさんはこう言う『負けたら廃部です。』だr..「ええ、負けたら廃部です。」…オレ、コイツ、キライ。」
ノリの悪い夏未の反応に雷牙は相変わらず下手くそなイタリア語で陰口を叩くが本人は気に求めず話を続ける。
「嫌いで結構。ただし、この試合に勝てたら雷門サッカー部のFF出場を認めましょう。」
「FF出場…!よーーしみんな次の試合絶対に勝つぞーーー!」
念願のFF出場の権利を貰えると聞いた円堂はテンションを上げ大声をあげる。言うことを終わらせた夏美はいつのまにか部室を退出していた。
その後、いつもどおりグラウンドを使わせて貰えなかったため河川敷で練習する雷門サッカー部だがその光景を遠くから見守る人物がいた。ドレッドヘアーにゴーグルをかけた少年…帝国学園のキャプテン鬼道有人である。
「(昨日のあの現象の正体を直で確かめたかったが、やはり使う気配を見せないか…まぁいい、予定通り
突然の声に普段の冷静さを崩す鬼道。それもそのはず、声の主は今決して自分と会ってはいけない者、実の妹音無春奈だからだ。鬼道は顔を合わせないように背を向けて返答する。
「なんでここにいるの、今まで連絡もくれなかったのに…。」
「たまたま通りかかっただけだ、もう帰る。」
「待ってよ…!お兄ちゃん!どうして急に連絡をくれなくなったの⁈それにこの前のあのプレーは何⁈昔のお兄ちゃんはあんな乱暴なことをする人じゃなかった!」
「…それが総帥の意思だからだ。俺に敗北は許されない勝利こそが絶対なのだ。」
あまりの兄の変わりように質問を立て続けに行う音無、本人は総帥…影山零治の意思であると言うが記憶の中の兄はたとえ監督の命令であってもそのようなことを行う人間ではないことを信じている音無は納得がいかない。
「ふざけないで!私の知っているお兄ちゃんは優しくて、人を傷つけるようなことは絶対にしなかった!なんで…?なんでそこまで変わっちゃったの…?」
「…俺はお前が思うほど立派な人間じゃなかったということだ。じゃあな春奈。」
背を向けながらも今の音無は目に涙を浮かべているのが分かる。だが鬼道は顔を見せるわけにはいかなかった。脳内に浮かぶのは養父に言われた言葉を思い出す。FFで3年連続で優勝し、その間は妹の春奈との連絡を断ち切ること。それが養父が出した妹を鬼道家に引き取るための条件であった。故に今春奈と顔を合わせるわけにはいかない。鬼道は音無を冷たく引き離しその場を立ち去る。
「うぉぉぉお!ドラゴンクラッシュ!」
「いいぞ染岡!ゴッドハンド!」
ドラゴンクラッシュを超える必殺技を編み出そうとする染岡だが上手くいかずただ時間だけが過ぎていく。日も落ちて街灯が照らされる時間帯になっても染岡は1人で練習を続けていた。
「頑張ってんじゃん染岡。でも少しは休んだ方がいいって体は言ってるぜ。」
「稲魂…。」
相変わらず呑気な態度で染岡に話しかける雷牙であったが、対照的に染岡は暗い顔のままだ。
「稲魂…お前はなんでそんなに強いのに雷門中になんか入ったんだ?お前ほどの選手だったら帝国や木戸川清修に行っても十分レギュラーを取れるだろ。」
「別に、そもそも俺は日本でサッカーをすることに拘っているわけじゃねぇしな。」
「あ?じゃあなんでだよ?」
「俺は守とサッカーをするために日本に戻ってきたんだ。絶対王者とか名門だとかに興味はねぇよ。」
「円堂とサッカーをするために…。」
「なぁ染岡。俺は今日お前に今の雷門は俺がスタンドプレーしなければならないのが現状だって言ったよな。だがな俺もそんなのはサッカーじゃねぇってのは分かってる。だから1日でも早くオマエらが俺に追いついて欲しくてあんなことを言ったんだ、他の奴らはそれでやっと火がついたがお前だけは違った。最初から先を見ていた、俺や豪炎寺を超えるストライカーになるって目標をな。それだけですげぇって思うよ本当に。」
「…この前深海中で初めて試合した時、バンバン点を決めるお前を見てすげぇって思った。同時にあそこにいるのが俺だったらなっても。だからアレ以降今まで以上に努力をしてやっと“ドラゴンクラッシュ”を編み出せた。だがそれも帝国には通じず、結局シュートを決めたのはお前と豪炎寺だけだった。自分の力不足を実感した…だからこそ俺は人一倍努力してお前らを超えるシュートを打てるようになりてぇんだ。」
「はっ、言えたじゃねぇか。だったら見つけようぜ!俺でも豪炎寺でも違う、染岡の染岡だけの染岡オリジナルなサッカーを!」
「稲魂…。よーーし!やってやろうじゃねぇか!編み出してやるぜ!“ドラゴンクラッシュ”を超える新必殺技を!」
時間は過ぎ当初の予定通り、体力と連携を重視したトレーニングを行い着実に雷門の実力は上がっていった。その最中…
「今日からマネージャーになります!1年の音無春奈です!よろしくお願いします!」
音無がマネージャーに入り。
「くらえ“ドラゴンクラッシュ改”!」
「“ゴッドハンド”!」
「“雷鳴の王 レグルス”!」
「…何も出てないぞ。」
染岡はちゃくちゃくと成長を重ねているある日。
「こんにちは豪炎寺君。」
「!…どうも。」
「この道はあなたの通学路だったかしら?私の見間違えじゃなかったら今サッカー部の練習を見ていたようだけど。」
「気分転換に違う道を通ってただけだ。たまたま見知った顔がいたんでちょっと見学してたにすぎな..「哀れね。」…何?」
「失礼だけどあなたのことは調べさせてもらったわ。妹さんのこともね、あなたはこのままでいいの?あの諦めの悪い連中とプレーしたい、だからこの道を通っている!本当にあなたはサッカーを辞めることが妹さんの償いになると思っているの⁉︎」
「…お前もあいつと同じことを言うんだな。」
「まぁいいわ、ただこれだけは言わせて。あなたに1番サッカーをしてほしいのは誰なのかよく考えてみなさい!」
夏未が車を発進させ1人になった豪炎寺はもう一度雷門イレブンの練習を見る。
「あと少しだ…!あと少しで何かが掴めそうなんだ!」
「染岡さん!」
少林からパスを受け取る染岡の動きは今までとは明らかに違った。シュートを撃つ時に現れる
「これが俺の新技だぁぁあ!」
“ドラゴンクラッシュ”とは比較にならない速度でゴールに向かう。あまりのスピードに円堂は反応することができず技を出す暇もなくゴールネットが揺れる。
「できた…!できたぞ!これが俺の新技だぁぁあ!」
「染岡!凄いシュートだったな!反応しきれなかったぞ!」
「まさにドラゴンを超えたワイバーン、そう“ワイバーンクラッシュ”と名付けましょう!」
「いいな!それ!」
染岡の新技“ワイバーンクラッシュ”の完成に湧き立つ雷門イレブン一行。その前についにあの男が現れる。
「オマエは…豪炎寺。」
「何⁉︎」
「稲魂、俺と勝負しろ。」
突然現れたあげく稲魂に勝負を仕掛ける豪炎寺。
だが、
「やなこった、俺の本職はMFだ。FWは選択肢の1つでしかねぇ、それに…雷門中には俺よりもすごいFWがいるんだぜ?だろ染岡?」
「!…ああ、豪炎寺!そんなに勝負がしたいなら俺が相手だ!」
「…いいだろう。雷門中のFWの力がどの程度か試させてもらう。」
雷牙 side
いや〜、驚いたね正直。アイツがいきなり俺に勝負を仕掛けるとは思わなかったぜ。多分豪炎寺はこの前俺が言った言葉について考えてたんだな。流れ的に俺が勝負を受けるべきだが、おそらくアイツの目的は俺じゃなくて雷門のサッカーなんだろうな。んなら今最も適任なのは染岡だ、俺はそう信じている。
「いくぜ豪炎寺!」
「こい!」
勝負の内容はシンプルな1on1。要するにボールを奪い合って先にシュートを決めた方の勝ち。だけど染岡が押されているな〜
「くっ!(なんてプレッシャーだ!何度も抜こうとしても全然隙が見えねぇ!これが10年に1人の天才ストライカーかよ!だがな俺は雷門のストライカーなんだ!これくらい抜けなきゃ全国なんて目指せねぇんだよ!)」
染岡が持ち前のパワーを活かして突破しようとするがさすがは天才ストライカーだ。テクニックで染岡のパワーを完全に殺してやがる。どうする染岡?
「そこだ!この勝負決めさせてもらう!“ファイアトルネード”!」
「ああ!染岡さんが負けた…!」
「やっぱり天才ストライカーさんは凄いっスね…、染岡さんもあんなに特訓してたのに歯が立たないなんて…。」
先に豪炎寺にシュートを打たれたことで1年は染岡の負けを確信する。だが付き合いの長い俺たち2年、特に守は染岡がここで終わるわけがないと確信していた。
「まだだ!諦めるかぁぁぁあ!“真ドラゴンクラッシュ”!」
ギリギリのところでボールに追いついた染岡は十八番の“ドラゴンクラッシュ”を成長させて“ファイアトルネード”を蹴り返そうとするが豪炎寺の方はブランクがあるとはいえ元々の地力の差がでたのか蹴り返すことはできなかったが、かろうじて威力を殺すことには成功する。
「今度こそ俺がシュートを撃ってみせる!」
「まだだ!勝負に勝つのは俺だ!」
空中に跳ね上がったボールを取ろうと染岡と豪炎寺がぶつかり合う。勝ったのは……染岡だった。染岡はすぐにシュートの体勢に入り新技の名を叫ぶ。
「これが俺の…!“ワイバーンクラッシュ”だぁぁあ!」
染岡渾身のシュートがゴールネットを揺らす。マジですげぇなあのシュート、スピードも威力も“キングレオーネ”や“ファイアトルネード”を完全に超えている。ただ今の染岡には体力の消耗が大きそうなのが欠点だけど。
「勝った…!やったな染岡!あの豪炎寺に勝ったんだぞ!」
「すげぇよ!染岡さすが“雷門の点取り屋”だな!」
他のメンバーが染岡に集まる中俺は座っている豪炎寺に近づき手を貸す。
「…いいプレイだったろ、あいつここ最近ずっとお前を超えることを目標に頑張ってきたんだぜ。」
「本当にいいチームだな雷門は。実際に体験して分かった、ここには他のチームにはない何かがある。だから俺をこのチームに入れてくれないか?」
「我ら雷門サッカー部は来るもの拒まずがモットーだぜ豪炎寺。これからよろしく頼むぜ!」
「あぁ!よろしく頼む。」
「…それと悪かったなこの前は、つい感情的になっちまって。」
「気にするな。お前ともう1人の言葉で俺の考えが間違っていたことに気付いたんだ。むしろ感謝している。」
もう1人?俺たちの他に豪炎寺と接触したやつがいたんだろか?まぁいいや!俺たち雷門サッカー部こっから生まれ変わるんだ。待っていやがれ尾刈斗!テメェーらをぶっ倒してFF出場権を絶対ェにとってやっからよ!!
本当は5000字くらいで終わらせる予定だったんですけど気付いたら9000字超えてました。