「クソッタレが!!!あんなバケモン相手にどう勝てって言うんだよ!!!」
前半戦も終わりハーフタイムに突入した現在。雷門のベンチに熱也の怒声が鳴り響く。
彼も怒鳴りたくなるだろう。ようやく勝ち筋が見えたと思ったら更に切り札を隠していたグランによってまたしても勝利への道が遠ざかってしまったのだから。
「2種類の化身を操るだけでなく俺達も知らない技術…。挙げ句の果てには“ロンギヌス”すら通用しない…。ここまで勝機の見えない試合も久しぶりだな…。」
流石の鬼道もグランの規格外の強さに対して思わず弱音を吐いてしまう。
これまで幾度となく規格外の相手と戦ってきた雷門イレブンだが今回に関してはあまりにもレベルが違いすぎる。
現在の雷門イレブンのチームレベルを50とするならばジェネシスのチームレベルは70。その中でもグランだけのレベルは99になっている…とでも表現すれば分かりやすいだろう。
勝てる勝てないではなく絶対に勝たなければならないこの一戦。なんとしてでも突破口を開かなくてはならないが雷門が誇る賢人達の知恵を集めてなお何1つ良い案は浮かばない。
「…唯一の救いがあるとするならばグラン以外の選手の能力は俺達と互角であるところだな。それでもジェネシスの連携力は一級品だがな。」
確かにグランの暴れっぷりに目を奪われがちだがジェネシスの連携力は一級品だ。
各メンバーにダイヤモンドダストならスピード、プロミネンスならパワー、レグルスなら防御力といった何か突出している要素はないもののその分全体能力のバランスが取れており弱点らしき弱点も見当たらない。
流石はエイリア学園最強の称号を持つチームといったところか。
「…それは少し違うと思うわ。」
だが鬼道の意見に異議を唱える者が現れる。
「…どういう事だ?雷門?」
異議を唱えた人物は夏未だった。少なくとも彼女はジェネシスを連携力の高いチームだとは思っていない様子だ。
「実際に試合をしている皆からはどう見えているか分からないけど…、外からはあまりジェネシスの連携は上手くいっていないように見えたわ。」
「は?そりゃねーぜ夏未。オメーだって見てただろ?確かに前半戦は
「そこなのよ。上手く言葉にできないけど…あれはフォローに徹しているというよりかは全員
「なるほど…全然分からん。」
雷牙は夏未の感想の意味を理解出来ていないようで物理的に頭上に『?』マークを浮かべている。
「…もしかしたら雷門さんの言葉は当たっているかも。」
「あん?どういう事だライト?」
「…元々グランはエイリア学園の中でも特に優れた才能を持つ子だった…、だからか父さんもグランには人一倍強い愛情を注いでたんだ。そのせいかエイリア学園じゃグランを嫌う子もいる…。」
父から寵愛を受けていたグランに仲間が離れて行く様を間近で目撃していたライトはグランに対して哀れみの感情を持っていた。
「バーンやガゼルは言わずもがなだったけど、特にグランを嫌っているのはウルビダなんだ。」
「ウルビダって…そいつジェネシスの10番じゃねーか。んじゃあなんだ?アイツ顔も合わせたくないようなヤツのチームでプレーしてるって事か?」
「まあ身も蓋もないことを言えばそうだね。元々彼女は負けん気が強いタイプだからグランをライバル視してるってのもあると思うけど。」
「…なるほど。少しだけ見えてきたな、ジェネシスの弱点が。」
「え待って、俺まだ全然理解出来てねーんだけど。ちょっと分かってねぇヤツ手を上げてみ。」
すると雷牙以外に円堂、熱也、壁山が手を上げ、噛み砕いた説明を求める。
「…要するにだ。確かにグランは強い、だが強すぎるあまりチームメイトとの間に溝が生まれてしまいジェネシスの長所であった連携が崩れてきているんだ。特に
「はへー分かりやっす。」
鬼道の簡潔な説明で雷牙達はようやく理解出来たようで納得の表情を浮かべている。
「…いやいやそれでも肝心のグラン対策が出来てねーじゃねぇか。アイツには“ロンギヌス”すら通じなかったんだぞ?100歩譲ってなんとかグランの隙を突いて点を取れたとしても次のプレーでまた蹂躙されるのがオチじゃねーか。」
「…いや実は1つだけある。グランを倒す手段が。」
「あんのかよ!?んじゃあソレを先に言ってくれよ!…んで?何よその作戦って。」
「簡単な事だ合体させるんだ化身を。ただし今度は2体ではなくて
「3体…そうか…!“イレブン”か!」
FF決勝戦にて発現した円堂、雷牙、豪炎寺の合体化身“稲妻の超英雄 イレブン”。
そのパワーは不完全とはいえ化身アームドの領域に到達したアフロディの“ゴッドノウズ”を軽々と止め雷門を優勝に導いたまさに雷門最大最強の
「なるほどね…。確かにいい考えかもしれない、“イレブン”のあのパワーならグランの化身を超えられる可能性がある。」
誰よりも“イレブン”の強さを知っているアフロディは鬼道の作戦に賛同する。しかし雷牙にはある懸念があった。
「でもよォ、“イレブン”ってキーパー用の化身じゃねーのか?決勝の時に使った必殺技だってキーパー技だったしよォ、そんなんでグランに勝てんのか?」
「知らん。だがここまで来たら“
「えー…ココに来てまさかの大博打…、まーそっちの方がワクワクすっからいっか。」
「円堂、後半は積極的に前線に上がって化身合体に集中しろ、お前が抜けた穴は俺がカバーする。」
「分かった!よーし!やるぞ!雷牙、豪炎寺!絶対に“イレブン”を完成させてヒロトに勝とうぜ!」
「…まっ、こうなったら確率が低かろーが大博打を打つしかねーか。しゃあ!ジャックポットで大当たりで
「俺達なら絶対に出来る。勝って平和なサッカーを取り戻すぞ!」
絶対に“イレブン”を完成させると決意した3人は互いの拳を合わせ更に結束を固めた。
そして後半の作戦を考え終えた雷門イレブン達は残りの時間を休息に当てる。
「…そういえば福岡で合流してからずっとその首飾りをつけてるよね。」
これが兄弟との最後の会話になるかもしれないにもかかわらずライトが選んだ話題は雷牙が掛けている首飾りについてだった。
「あーコレ?特訓中に出会ったダチに貰ったんだよ。本人(?)曰く“お守り”だってさ。」
雷牙は得意げに神鳴り島でシュウから貰った首飾りをライトに見せる。首飾りそのものデザインはシンプルなものだが埋め込まれた青色に輝く水晶によってどことなく神聖さを感じさせる。
「お守り?コレが?ふーん…、ちょっと貸してよ。」
「ほい。」
「綺麗だねー。でもこんなデザイン見たことないなー。…アレ?」
ライトは首飾りを受け取ると観客席に座っている人影を発見する。
…だが何かがおかしい。何故か観客席が設置されている星の使徒スタジアムだが当然ここには生徒を除けば従業員しか入る事が出来ない。
そして従業員はエージェントか科学者しかおらず彼らの服装もキチンと決められているがその人影はフードを深々と被り黄色の稲妻模様が入った黒のパーカーと随分ラフな恰好をしている。
少なくともライトの記憶にはそのような恰好でここに入れる人間は存在しない。
「おーいライトー?どうしたー?」
「いや…アソコに見たことのない人がいたから…。」
「は?アソコってどこだよ?あっちの観客席には誰もいねぇぞ?」
「え?」
ライトは再び観客席に目を向けると謎の人影は姿を消していた。
ピーッ!
「おっ、遂に後半開始かー。しゃあ!最後にいっちょかまそうぜライト!…ライト?」
「…! そ、そうだね!かましちゃおうよ雷牙!」
突如消えた謎の人影が気になりつつもライトは最愛の弟の未来を守る為に目の前の戦いに集中する。
泣いても笑って後30分で全ての人々の運命が決まってしまう。だが雷門イレブンにはそんなプレッシャーに負ける人間は誰1人としていなかった。
♢♢♢
ピーッ!
遂に始まった雷門VSジェネシス互いの未来を賭けた後半戦。キックオフ早々グランにボールが渡る。
「“凱亜の創世神 ジェネシス”!そしてソウルウェポン・“アポカリプス・00”武装
グランは間髪入れずに切り札を使い追加点を取らんと攻め上がる。
「守!豪炎寺!やるぞッ!!!」
「「応ッ!!!」」
雷牙達は一斉に気を最大限まで高め化身を発動する。
「“魔神 グレイト”!」
「“雷鳴の覇王 レグルス・マキシマム”!!!」
「“炎魔帝 ガザード”!」
「3人でかかっても無駄だ!」
「そいつはどうかな?」
化身を発動した3人は雷牙直伝の魔法の呪文を唱え心を1つにし“イレブン”の完成を目指す。
「天丼っ!」
「カツ丼ッ!」
「親子丼!!!」
呪文を唱え終わると“ロンギヌス”の時と同様に“魔神”はオレンジ色、“覇王”は黄色、“炎魔帝”は紅色のオーラとなり三色の螺旋を描きながら混ざり合う。
「「「ウォォォォォォォ!!!」」」
だが…
「んだと…!?」
「なんでだよ!?」
「クソ!2体の時とは勝手が違いすぎる!」
“ロンギヌス”を完成させた呪文を使ったにも関わらず三色の螺旋は“超英雄”を形作る事なく四方に分散してしまい合体に失敗する。
「それが君達の切り札なのかい?だったら期待はずれもいいところだな。…破壊。」
「「「ぐわぁぁぁぁぁ!!!?」」」
雷門の作戦の失敗を見たグランは落胆した表情で双剣を振るい雷牙達を吹き飛ばす。
だが未完成でも3体合体のパワーはそれなりにはあったようでグランの足元にあったボールも彼の足元を離れてしまった。
「おっと。」
グランはすぐさまボールを拾い再び蹂躙を始める。
…と思われていたが。
「…何の真似かな?…ウルビダ。」
グランがボールを拾う直前に割り込んだのは味方である筈のウルビダだった。
ジェネシスの不利益を生む彼女の行動の意図を理解出来なかったグランは声を低くして彼女に問い詰めるがウルビダは逆に彼を睨み返す。
「…貴様こそ勘違いしてないか?ジェネシスはエイリア学園最強のチームに与えられる称号なのだ。それなのに貴様はさっきから1人で雷門を蹂躙してばかり、いつからジェネシスは貴様だけのチームになった?」
どうやらウルビダは自分達を蔑ろにして雷門を攻撃するグランに怒り心頭の様子だ。
彼女の視線は到底味方を見る眼差しとは思えないほど憎しみが込められていた。
「うーん…、そう言われてもなぁ。君じゃライトを破れないだろ?さっさと俺にボールを回すんだ、ジェネシスが雷門に勝ち俺達の強さを日本に知らしめる…それが父さんの願いなんだから。」
「黙れェェェェェ!!!」
グランの飄々とした態度が最後のスイッチを押したのだろう。突如ウルビダは青筋を立てながら叫び出す。
「貴様はいつもそうだ!常に私の一歩も二歩も先を行き私を見下す!何が父さんの願いだ…!貴様はただ父さんの寵愛を受けたいだけだろう…!」
怒りを爆発させたウルビダは普段から感じていたグランへの不満と劣等感を爆発させる。
そして…
「見ておけグラン…!私は今から…!
ウルビダはグラン不在時に研究主任である研崎から伝えられたある言葉を思い浮かべる。
『グランを超えたいのなら胸のスイッチを押しなさい。そうすれば貴方達は本当の意味で人間を超える事が出来るでしょう。』
(超える…!私も人間の限界を超えてみせる…!そして…グランに勝つ…!!!)
この命を犠牲にしてでもグランを超える覚悟を決めたウルビダは声高々に宣言する。
「聞け!誇り高きザ・ジェネシスの戦士達よ!私は今から人の限界を超える!貴様らも本当に父の役に立ちたいと思うのならば…その命を捨てろ!!!そして超えるのだ!人間の壁を!」
「何を言ってるんだ…?ウルビダ…!」
ウルビダの言葉に感激を受けたジェネシスの戦士達はユニフォームに備え付けてあるスイッチを一斉に押す。
すると彼らの肉体に凄まじい負担がかかりジェネシス達は苦しみだす。
『グ…!グォォォォォ!!!』
「な、なんだ…!?」
「ウォォォォォォォ!!!」
ウルビダは前半とは比べ物にならないスピードで駆け上がる。そのスピードは既にグランすら超えていた。
突然のウルビダ達の変わりようにグランは驚きを隠せないでいた。だがこの場にいる人間の中で最も唖然としていたのは彼ではなく元締めである
「な、なんだジェネシスのあの変化は…!?あんな改造は指示していない筈だぞ…!」
星二郎が計画していた“ハイソルジャー計画”はエイリア石で強化させたセカンド、ファーストランクチームを特訓相手にさせ生まれつき人に備え付けられてある
だが今のジェネシス達のあの変化はどうだ?まるで強制的に限界を外されたかのように苦しみ出しスタミナを一切考えない強引なプレーばかりしている。
これでは彼らが潰れるのも時間の問題だろう。
「ほぉ、“
唖然とする星二郎に対し研崎はウルビダ達の暴走に感心している様子だ。
「け、研崎!貴様か!貴様がユニフォームにあんな機能を仕込んだのか!?」
この暴走の元凶が部下によるものだと気づいた星二郎は凄まじい剣幕で研崎を問い詰める。だが当の本人は悪びれるどころか不敵な笑みを浮かべながら答える。
「ええそうですよ。私の独断でグランを除いたジェネシスのユニフォームに“リミッター解除”機能を導入させていただきました。」
「その機能は
「貴方も言っていたではありませんか。
研崎に自身の矛盾を指摘された事で星二郎は言葉を失ってしまう。彼の言う通りそもそもこの戦いは日本政府の首脳陣に自身が開発した兵器の力を認めさせる為のプレゼンテーションでしかないのだ。
「…そうですね、私が間違っていました研崎…。ですがお前の独断行動は少々いきすぎています、後日相応の処分を下します…。」
「…ハッ。お館様の意思のままに…。」
反省の意志を示すように深々と頭を下げる研崎だがその顔に反省の意志は一切見えない。
それもその筈、彼は既にエイリア学園に居座るつもりはないのだから。
「邪魔だァァァァァ!!!」
リミッター解除したウルビダは荒々しいプレーで鬼道を吹き飛ばす。クールビューティと評された彼女の顔は同一人物かと疑いたくなるほど苦悶と怒りの感情に満ちており見ているこちらの方も思わず目を逸らしてしまう程痛々しかった。
「土門!お前の技を借りるぞ!“ボルケイノカット”!」
一ノ瀬は彼女を止める為に親友の必殺技である“ボルケイノカット”を発動しウルビダを止めようとする。
だが…
「その程度の技で私を止められると思うなァァァァァ!!!」
ウルビダは灼熱の壁を必殺技すら使わずに突き破り中盤を突破する。
「クッ…!絶対に止めろ!今の10番は明らかに先ほどとは別人だ!何があるか分からんぞ!」
グランにも匹敵するスピードで攻め上がるウルビダに対して鬼道は沖縄で暴走したデザームと同じものを感じ取ったようで冷や汗を流しながら必死に指示を飛ばす。
「“超 ザ・ウォール”!!!」
「“超 アイスグランド”!」
壁山が“ザ・ウォール”で進路を塞ぎ、吹雪の“アイスグランド”によってウルビダの動きを止める。
日本屈指のDFが力を合わせウルビダを止めるようとするが彼女の執念は2人の想像を絶するものだった。
「私ハ…!人間を超エたのダァァァァァ!!!」
もはや流暢な日本語すらも話せなくなるほど正気を失っているウルビダは身体から凄まじい気を放出させ強引にDFを突破した。
「来イ!ウィーズ!ゲイル!
DFを突破したウルビダはウィーズとゲイルを呼び寄せるとボールを中心部に置き三角形を描くように立つ。
そした闇色のオーラを纏わせ空中に打ち上げると巨大なエネルギーの塊と化す。
「こレが…!ジェネシスの力ダ…!」
彼らの足からエネルギー刃が放たれ、闇色のエネルギーの塊が動き出す。
「「「“スーパーノヴァ”!!!」」」
これこそがザ・ジェネシス最強のシュート技“スーパーノヴァ”。リミッターを外した戦士達によって放たれたシュートは対となる“ビックバン”を超え化身技にも迫る威力だった。
「うぉぉぉぉぉぉ!!!“メガトンヘッドG2”!!!」
土壇場でシュートブロックに入った円堂は“メガトンヘッド”を進化させ撃ち返そうと試みるが神の拳を持ってしても叶わなかった。
「グァァァァァァァ!!!」
「円堂!くそ!次は俺だ!」
風丸は5人に分身し1人1人が強烈な旋風を発生させる事で5つの風の障壁を発生させる。
「“スピニングフェンス”!!!」
化身を除いた風丸最強のブロック技“スピニングフェンス”が炸裂し旋風が超新星爆発の威力を落とそうとするがこのシュートの前には旋風すらもそよ風にも等しい。
「くそ…!雷斗…!あとは頼んだぞ…!」
風丸はゴールをライトに託し宙を舞う。彼の想いを受け取ったライトは背後に2人のマジンを出現させ
「“雷・トーガG2”!!!」
兄弟は互いの手を合わせ数千度を超える熱気を纏った超新星爆発を受け止めんとするがその質量はマジンの許容範囲を完全に超えている。
「クッ…!」
「無駄ダ!!!貴様が元エイリア最強ノGKであろウと私の“スーパーノヴァ”を止メられルものカ!!!」
徐々にマジンの肉体に亀裂が入り始めライトの限界を知らせる。それでもライトは最後の1秒まで諦めない。
“負ける”前から“勝つ”事以外を考えない。それが父から受け継いだ“怪物”の魂でありキーパーとしての矜持だからだ。
「力を…!ボクに力を貸してくれ…!…
ライトが最後に祈った相手は尊敬する父でもなく最愛の弟でもなく、愛情を注いでくれた母だった。
サッカーの頂点に辿り着く事を夢見つつも不幸な事故によってその道を絶たれた母・雷夏。
彼女が残したキーパーとしての教えはライトの
「グ…!グァァァァァァァ!!!」
遂に兄弟の限界を迎えマジン達の肉体は崩壊する。これを見た戦士達は敵味方問わずジェネシスの追加点を確信する。
「まだだ!まだ終わってないだろ!!!
「まだだ!まだ終わってねぇだろ!!!ライトォ!!!」
一度負けたからって何になる?
たった一度の敗北だけで人生は終わりか?
違うだろ。
負ける事で自身の限界を超える。それが人間だけが持つ特権だろう?
要するにだ…
「
奮起したライトは更に気を高めると彼の背後に兄弟のマジンよりも数倍の大きさはあるマジンが出現する。
そのマジンはこれまで雷門が使っていたマジンと比べると細身の女性型だ。
その姿はまるで…
「アレは…お袋…!?」
「“マジン・ザ・サマー”!!!」
土壇場で発動した新たな必殺技“マジン・ザ・サマー”。その腕は超新星爆発の名を冠したシュートさえも一瞬にして吹き飛ばし
「な…ン…だと…!」
『止めたァァァァァ!!!稲魂雷斗の新必殺技“マジン・ザ・サマー”によってジェネシスが誇る最強のシュートを止めた見せたァァァァァ!!!この土壇場での急成長!これぞ“怪物”の血を引く者の証明だァァァァァ!!!』
まさか全てを賭けた必殺技すらも止められるとは夢にも思っていなかったウルビダは現実を受け入れられない。
すると彼女の意思とは無関係に力が抜け地面に膝を突いてしまう。
「な…!ウ、動け…!動くんダ…!私ノ身体…!」
ウルビダだけじゃない。“スーパーノヴァ”を放ったウィーズとゲイルも彼女と同じく突如力が抜け思うように動けない様子だ。
「何故だ…!何故動かない…!?」
『貴方には過ぎた力だったようですねウルビダ。』
「お父様…!違います…!私はまだやれます…!だから見捨てないでください…!」
明らかに自身に失望している声色の星二郎にウルビダは必死の形相でまだやれると訴えかける。
だが星二郎の返答はあまりにも残酷なものだった。
『チャンスなどありませんよウルビダ。貴方は所詮私の兵器でしかないのです。使えなくなった兵器は廃棄するのが世の摂理、それは貴方とて例外ではありません。』
「そんな…!」
研崎によって自身の目的を思い出した星二郎にもはや人の心は残っていなかった。
彼はウルビダに事実上の
「ふざけんなよ…!」
人を人だと思わない星二郎の言葉に円堂は怒りをふつふつと湧き上がらせる。
「サッカーはなぁ…!人を笑顔にするために使わなくちゃいけないんだよ…!でも吉良星二郎…お前は違う…!サッカーでたくさんの人を傷つけて…!仲間も簡単に切り捨てて…!なんでお前はそんな酷いことを平然とできるんだよ…!!!」
『世界を変える為には必要な犠牲なのですよ。寧ろ感謝してほしいものです。私がいなければどこかで野垂れ死んでいた運命だった
「なんだよ…それ…!」
人の理解から遥か遠くまで外れた星二郎の詭弁にあれだけ彼に対して怒りを抱いていた円堂ですらも言葉を失ってしまう。
しかし…
「だったら…なんで貴方は“サッカー”に拘るんですか!!!」
彼の詭弁に異議を唱えたのはライトだった。彼は円堂の言葉を代弁するかのように星二郎に訴えかける。
「本当に世界征服したいのなら力で支配すればいい!でも貴方はボクたちにサッカーで支配する事を命じた…!それは…本当はこんなことをしたくなかったからじゃないんですか…!心のどこかでは間違っているって分かっていたんじゃないですか…!!!」
『…黙りなさいライト。貴方に私の何が分かると言うんですか?所詮は赤の他人でしかない貴方に。』
星二郎はライトの訴えすらも一喝するがその声色には少しだけ動揺が混じっていた。
その言葉を聞いたライトは確信する。星二郎にはまだ人の心が残っていると。
既に自身の間違いに気づいている彼は復讐鬼を演じる事でなんとか心の平静を保っているだけなのだと。
ならばライトに与えられた選択肢は1つしかない。
「みんな…最初に謝っとく…。ごめん!」
そう言うとライトはキーパーとしての役目を放棄してドリブルを開始する。彼が目指す目的地はジェネシス陣のゴールだけだ。
『ゴールを…放棄しただと…?』
ライトの意図が理解できない星二郎は思わず困惑の声が漏れマイクに拾われてしまう。
「馬鹿め!!!遂に勝利を諦めたか!!!」
正気とは思えない行動に出たライトに対してアークはボールを奪い追加点を取らんと襲い掛かる。
だがライトは巧みなテクニックを用いて必殺技すらも使わずにアークを突破する。
「なっ…!」
「よし!」
アークを突破したライトだが雷牙は今のライトのプレーに違和感を覚えていた。
今のテクニックは父が使っていたものでもなく自分が使っていたものでもないのだ。
そもそも稲魂家のサッカーはフィジカルを主体にするものである為テクニックが疎かになりやすい傾向がある。
ではこのプレースタイルは誰から教えられたものか?考えられるとするならばエイリア学園だがジェネシスはリミッター解除による副作用も大きいだろうが誰もライトのプレーに付いて行けていない。
つまりエイリア学園もこのプレーに馴染みがないという証拠だ。
…だが。この場にたった1人だけライトが真似ているプレーに強烈な既視感を持っている者がいた。
それは…
「ヒロト…?」
星二郎の目に最愛であり自身の復讐の
気がつけば星二郎の目から一粒の涙が流れていた。
(思い出してください父さん!貴方は…本当はサッカーが大好きだった筈だ…!)
「これ以上先には行かせないよライト。」
ゴールまであと少しという所でグランがライトの前に立ち塞がる。もしここで彼にボールを奪われれば確実に点を取られるだろう。
まさにここ1番の大勝負。ライトは負けるわけにいかない。
「手は抜かない“凱亜の創世「レグルスゥゥゥゥ!!!」何だと!?」
グランが化身を発動する直前。まだ“創世神”を形作る前に“レグルス”の大斧がオーラを切り裂く。
“創世神”に勝てないのなら顕現する前に倒せばいい。それが雷牙が考えついた勝利への方程式だった。
「くっ…!汚い真似を…!」
「行けェ!!!ライトォ!!!」
「サンキュー…!雷牙!!!」
グランの隙を突いたライトはボールを天高く上げ自身も跳躍した後縦横無尽に蹴り続けボールにエネルギーをチャージする。
そして最高地点まで到達した瞬間にシュートを叩き込む。
「“ジ・エクスプロージョン”!!!」
放たれたシュートは“流星ブレード”を思わせる大爆発を巻き起こしながらゴールに襲い掛かる。
「“真 時空のか…ま、間に合わないっ!!!」
グランの“流星ブレード”にも匹敵する“ジ・エクスプロージョン”のスピードはネロに必殺技を使わせる隙も与えずゴールを奪う。
『ゴーール!!!突如ゴールを飛び出した稲魂雷斗が巧みなテクニックと新必殺技でゴールを奪いましたァァァァァ!!!これで点差は1点差となり勝利への道が見えてきたぞォォォォォォ!!!』
雷門は待望の追加点に湧き上がりライトを賞賛する。
すると…
『何故お前がその技を知っている…!!!ライト…!!!』
ここに来て初めて星二郎は“怒り”の感情を見せライトを問い詰める。ライトは悲しそうな表情を浮かべ答える。
「…スパイ活動中、貴方の屋敷で偶然あるビデオを見つけたんです。…貴方の最愛の息子の活躍が録画されたビデオを…。」
『クッ…!』
「お父さん!もうこんな事はやめて!
瞳子は涙を流しながら必死に父に計画を中止するように懇願する。だが…
バチンッ!
「よくないなぁ瞳子姉さん。まだ試合の途中なのに勝った気でいられちゃ。」
「ヒロト…!」
グランは軽く指を鳴らすとスピーカーの電源が切られこれ以上瞳子達の声が星二郎に届かなくなる。
「俺達はさ、ずっと父さんの復讐を遂げる為に生きてきたんだ。それをこんな横槍を入れられて中止されちゃ嫌なんだよ。」
「ヒロト…!キミだって分かってるんだろ!こんなことは間違ってるって!!!」
「いや?俺にとって父さんの言葉は世界の真理さ、父さんの憎しみは俺の憎しみ、父さんの悲願は俺の目標。父さんが少しでも世界に憎しみを抱く限り俺は止まらないんだよ。」
そう淡々と語るグランの瞳には光が一切入っていない。その姿はまるで父親の怨念が“基山ヒロト”の形をした人形にそのまま乗り移ったかのように生気を感じられない。
「ようやく分かったぜ…!コイツの中身は“空っぽ”なんだ…!ただ親父の願いを叶えるだけの“空虚な人形”…!それがコイツの正体なんだ…!」
あまりにイカれている思想に染まっているグランを雷牙は“空虚な人形”と評する。
「“空虚な人形”か…、いいねその表現。気に入ったよ。」
“空虚な人形”という表現が気に入ったグランは微笑を浮かべて元のポジションに戻って行く。その後ろ姿は影山すら超える深い闇が滲み出ていた。
「…守。豪炎寺。」
「…ああ、分かってる。」
「絶対に“イレブン”を完成させるぞ。」
正面から彼を打ち破らなければ本当の意味で平和なサッカーを取り戻せないと悟った雷牙達は改めて“イレブン”を完成させる決意を固めた。
ピーッ!
「“凱亜の破壊神 アポカリプス”。“凱亜の創世神 ジェネシス”。」
開始早々グランは2種類の化身を発動する。そして今度は“創世神”がオーラに戻ると“破壊神”の前に“創世神”の意匠が施された純白の大剣が地面に突き刺さる。
「ソウルウェポンコンプリート。武装名“ジェネシス・カリバー”。」
鈍い音と共に“創世神”の名を冠した大剣を引き抜いた“破壊神”は漆黒のオーラを全開にして主人に更なる力を与える。
「これで全てを終わらせる…!!!行くぞ!雷門イレブンッ!!!」
グランは化身パワーを全力にして攻め上がる。彼の背後にはリミッター解除の副作用によって地面に倒れ伏したジェネシス達がいた。
「勝負だ!円堂君!!!」
もはやチームとは建前のグランを指し示す称号と化したジェネシスは狂気に満ちた空虚な瞳と共に円堂に襲い掛かる。
「行くぞ雷牙!豪炎寺!」
「「おおッ!!!」」
円堂は仲間と共にグランに立ち向かいどちらの
そうグランは期待していた。
「な…!何故だ!何故
円堂達はグランを無視して前線へ走ったのだ。それを“逃亡”だと認識したグランは声を荒げて円堂に問い掛ける。
「…悪いグラン、まだ俺たちはお前には勝てない。あと少し…ほんの少しだけでいいから時間が欲しいんだ。」
「そういう事だ。まずは俺達を倒してから円堂に挑むんだな。」
グランの前に立ち塞がったのは円堂、雷牙、豪炎寺以外の雷門イレブン達だった。
その先鋒として鬼道、アフロディ、一之瀬のMF陣がグランに挑む。
「ハァァァァァ!“絶対神 デウス・エクス・マキナ”!」
「行くぞ一ノ瀬!!!」
「ああ!最後の勝負だ!!!」
アフロディ、鬼道、一之瀬はボール目掛けて3人でキック入れるが日本屈指の化身使いと天才MFの力を持ってしてもグランはびくともしない。
「邪魔だァ!!!」
“破壊神”は大剣を振るい“鬼”と“天馬”と“絶対神”をまるで埃を祓うかのように軽々と吹き飛ばす。
「鬼道、一ノ瀬、アフロディ…!お前達の犠牲は無駄にしないぞ…!ハァァァァァ!!!“魔帝 ダークエンペラー”!!!」
次に立ち塞がったのは風丸、壁山、吹雪兄弟のDF陣+αだ。
風丸は“魔帝の逆鱗”を発動しグランを暴風の牢獄に閉じ込める。その隙に壁山は“ザ・ウォール”を発動し吹雪は“アイスグランド”を応用して暴風に氷雪の刃を纏わせる。
「本当に君達は愚かだね…。“アポカリプス”単体でも勝てなかったのに…俺に勝てる筈がないだろッ!!!」
グランは大剣に純白のオーラを込めると凄まじい大爆発が発生し一瞬にして風丸、吹雪、壁山は蹂躙されてしまった。
ここまでは雷門の作戦通りである事も知らずに。
「隙有りだぜッ!!!もらったァァァァァ!!!」
気配を消して隠れていた熱也がトップスピードでグランに襲い掛かる。これこそが雷門が立てた作戦。
最初に風丸、吹雪、壁山が必殺技でグランの注意を惹きつける。それでボールが奪えるならそれでいいが恐らく本気を出したグランには通用しないだろう。
だから伏兵として熱也を仕込んでいたのだ。そしてその読みは的中した。
そう的中
「グハッ…!ちくしょうが…!」
「ふぅ、流石に少し焦ったよ。君本当に速いんだね、あとコンマ1秒早ければボールを奪えていただろうに残念だったね。」
確かに雷門の作戦はグランの予想を超えていた。だがグランには不意を突かれても即座に対応出来る頭脳とフィジカルを持っていた。
兵器として完成されたグランにとってこの程度のアクシデントはアクシデントですらないのだ。
「さて…あとは君が最後かライト。」
「…そうみたいだね。」
雷門を蹂躙し最後に対面したのはグランにとって唯一の親友と言っても過言ではないライトだ。
ライトは力強い眼差しでグランを見つめ戦闘体制に入る。
「…逃げないか…。」
「悪いけど後退のネジは外してるんでね。」
「ハハ、いいジョークじゃないか。だったら遠慮なく…!」
グランは化身を操り大剣から先ほどとは比べ物にならない膨大なオーラを発し、ただでさえ“破壊神”の身の丈程あった刀身は更に巨大化し天を貫いた。
「“雷星拳牙 レグルス”!!!」
ライトは臆する事なく自身が思い描く“英雄”を顕現させ最後の決戦に挑む。
「さようなら…ライト。」
グランは誰にも聞こえない声量でそう呟くとボール目掛けて大剣を振り下ろさせる。
「“ジェネシス・ブレイカー”。」
“創世神”の名を冠した大剣が目の前の獣を一刀両断せんと襲い掛かる。そのもはや光景はサッカーの域を超えている。
それでもライトは天高く右脚を上げ力強く地面を蹴り黄金の拳を突き出す。
「“スターダストブレイカァァァァァァ”!!!」
奇しくも互いに
「無駄だ…無駄なんだよ!君じゃ俺を超えられない!君は俺に勝つ事は出来ない!常に誰かに頼らなければ何も出来ない負け犬のライトではねぇ!!!」
グランは誰かに頼らなければ何も出来ないライトの事を“負け犬”の評する。
「…それの何が悪いんだい…?」
確かにライトは弱い。夜は1人でトイレに行けないし。何もないところでよく転んで立ち上がれなくなる事はしょっちゅうだ。
「誰かと助け合って生きるのがそんなに悪いことか…!!!」
それでも彼は今日まで生きてきた。それは何故か?
「確かにボクは弱いさ…!弱くて…泣き虫で…怖がりだ…!でも…!」
いつも手を差し伸べてくれる誰ががいたからだ。
「ボクはそれを恥じたことは一度もない…!互いに助け合って…!繋がり合って生きる…!それが“人間”だァァァァァ!!!」
自分の中の“人間”としての解を導き出したライトは“創世神”の刃を押し返し始める。
「何だと…!?」
「思い出せヒロトッ!!!キミは“神”でもない!“宇宙人”でもない!ましてや“侵略者”でもないッ!!!キミは…!1人の“人間”なんだァァァァァ!!!」
友への想いをぶつけるとライトの周囲に“ライガ”、“ライト”、“ライカ”の三魔神が出現し“レグルス”を助けるように協力し合ってシュートを受け止める。
まるで1つの家族のように。
「“ビースト・ザ・ファミリア”!!!」
ライトは新たな必殺技“
「嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だッ!!!何故お前が俺のシュートを止められる!!!?何故お前の心は折れないんだ!!!ライトォ!!!」
「…“人間”だからだよ。君の言う通りボクは1人じゃ何も出来ない。でも…誰かがいるからこそ自分の限界を打ち破って更に強くなれるんだ。」
「グッ…!そんな綺麗事…!認めてたまるかァァァァァ!!!」
絶叫したグランの身体から大量のオーラが発せられると10の塊に分かれ後ろで倒れ伏しているジェネシスのメンバー達の身体に吸収される。
すると肉体の限界を迎えていたジェネシス達が再び立ち上がり猛烈なスピードで前線へ上がる。彼らの顔に意志が宿っていない状態で。
「…皮肉なものだね。アレだけ他者との繋がりを否定していたキミが最後に頼ったのが“仲間”だなんて。」
「黙れッ!!!幾ら前線に円堂君達がいてもお前1人でボールを繋げる事は出来ない!!!この試合…俺の勝ちだッ!!!」
「それは…どうかな…?」
勝ち誇るグランの背後からは本来聞こえる筈のない声が聞こえる。身体全細胞に嫌な直感が走り後ろを振り向い先にいたのは立ち上がれなくなった筈の雷門イレブン達だった。
「何故だ…?君達の肉体はもう限界の筈…!」
「“限界”…?フッ、それが何だというんだ?俺達は常にその“限界”を破って強敵に打ち勝ってきた…!」
「倒れる度に強くなってまた立ち上がる…それが“イナズマ魂”だ!!!」
(俺が…震えている…?まさか…雷門に恐怖を感じているのか…!?)
まるでゾンビの如く立ち上がる雷門イレブンに対してグランは生まれて初めて“恐怖”を感じていた。
「…ヒロト。これで…全てが決まる!」
ライトは動揺するグランの隙を突き吹雪にボールを回す。
「吹雪君!」
ライトから吹雪に
「壁山君!」
吹雪から壁山に
「風丸さん!」
壁山から風丸に
「一之瀬!」
風丸から一之瀬に
「ナイスパス!アフロディ!」
一之瀬からアフロディに
「熱也君!」
アフロディから熱也に
「ヘマしたらただじゃおかねぇぞ!鬼道!」
熱也から鬼道に
雷門イレブン全員の想いを乗せたボールが次々と繋がっていく。
「決めろ!!!円堂ォォォォ!!!」
そして遂に鬼道から円堂にボールが渡る
「感じる…!みんなの想いが…!…行くぞ!雷牙、豪炎寺!俺たちの力を合わせるんだァァァァ!!!」
「応ッ!!!俺にズババーンと任せとけェ!!!」
「俺達の化身よ…!今こそ1つになれェェェェェ!!!」
雷門全員の想いが込められたパスによって“魔神”と“覇王”と“炎魔帝”が三位一体となり今ここに英雄を超えた英雄…“
「「「“稲妻の超英雄 イレブン”!!!」」」
遂に完成した究極にして最強の超英雄“イレブン”。その右手には黄金に輝く神槍が握られていた。
「これで終わらせる…!」
3人は“イレブン”とボールを中心にそれぞれ向き合い祈るように手を合わせると残りの8人の想いが中心に吸い込まれていく。
100%チャージされたエネルギーはまるで大樹の如く上に伸び地球を思わせる青い球体を実らせる。
3人は“イレブン”と共に果実の真上まで飛び上がると超英雄の神槍と同化し“地球”に激突した。
「「「“ジ・アースッ”!!!」」」
その瞬間、“地球”は破裂し11の光の槍となりジェネシスのゴールに降り注ぐ。
「ク…!うぉぉぉぉぉぉ!!!」
“ジ・アース”が放たれた直後、最後の力を振り絞りなんとかシュートに追いついたグランは再び化身を発動し“創世神”の大剣を顕現させる。
「ソウルウェポン!武装“ジェネシス・カリバー”!!!」
この惑星に住む全ての人間の想いを受け継ぎ“地球”そのものとなったシュートを撃ち返さんとグランは右脚を大きく天に上げその名を叫ぶ。
「“ジェネシス・ブレイカー”!!!」
“
互いに譲れない物を賭けた最終決戦だったが…
背負っているものの大きさは雷門が遥かに勝っていた。
「これが…“想い”の力なのか…?」
“地球の想い”は一瞬の拮抗も許さずに“創世神の大剣”を粉砕し守護神無きゴールを射抜く。
ボールは確実にゴールラインを割りゴールネットを激しく揺らす。だが雷門イレブンは誰1人として息をする事が出来ないでいた。グランが強制的にチームメイトを復活させ、ようやく思いで“イレブン”を完成させ、圧倒的な力でグランに押し勝ちゴールを決めた。そのあまりに情報量の多すぎる展開に脳の理解が追いついていないのだ。
「入った…!」
「グランに勝ったんだ…!」
「〜〜…!いよっしゃぁぁぁぁぁあ!!!」
永遠にも思えた数秒が経過しようやく脳の理解が追いつき始めると次々に歓喜の声が湧き上がる。
『決まったァァァァァ!!!円堂、稲魂、豪炎寺の3人が遂に“イレブン”を完成させジェネシスから点を奪ったァァァァァ!!!遂に…!遂に…!同点だァァァァァ!!!小生!あまりの感動でもう前が見えませんッ!!!』
チーム全ての力を結集させ遂に同点まで追いついた雷門イレブン。後半戦の残り時間はあと数分。もう勝利への出口は目と鼻の先だ。
だが…
既にフィールドに立っている戦士は誰1人としていなかった。
次回!ジェネシス戦完結!
〜オリ技紹介〜
【必殺技】
・マジン・ザ・サマー
ライトが使う火属性のキーパー技。ライトの背後に巨大な女型のマジンを出現させ彼女の腕でボールを薙ぎ払った後ライトの左手にボールが収まる。原作にある技だとヴィクロの“女神降臨”が近い。
作中で言及されている通り稲魂兄弟の母・稲魂雷夏をモチーフにした技。母は強し。
余談だが初期案では“風神雷神ゴースト”を元ネタしようとしていたがいい名前を思いつかなかった為この形になった。
・ビースト・ザ・ファミリア
ライトが使う山属性のキーパー技。3体のマジンに加えて化身を出現させ4体で相手のシュートを止める正真正銘ライト最強の必殺技。
モーションは“風神雷神ゴースト”にもう一体のマジンを追加した感じ。
【化身】
・稲妻の超英雄 イレブン
世宇子戦が初出だけど記載。原作主人公とオリ主とエースストライカーによる主人公補正でキーパーだけでなくフィールドプレイヤー用化身としても使えるチート化身。
キーパー時は素手だが、フィールドプレイヤー時は金色の神槍(ロンギヌスの槍と色違い)を持ち顕現する。
どうでもいい余談だが作者はこの化身の名前を割と気に入っている。
化身技:ジ・アース