熱也「くそ…!動きやがれ…!俺の身体ァ…!」
豪炎寺「ハァ…ハァ…!もう限界だ…!」
“ジ・アース”によってようやく同点まで持ち込んだ雷門だったが誰1人として立つ事すら出来なかった。
もう彼らの体力は底をついているのである。この決戦にて強力な化身を使うグランとリミッターを解除し限界を超えたジェネシス達と互角の勝負を繰り広げられたのは実力差を根性と火事場の馬鹿力によって補っていたからだ。
しかしそれも遂に限界を迎えこれ以上の消耗による命の危険を感じた脳が本人の意志に反して身体にストップサインを出しているのだ。
だが動けなくなっているのはジェネシスも同じ事だった。彼らは雷門が倒れるよりも先にリミッター解除による副作用で動けなくなっていた事に加え先ほどのグランによる強制復活が決定打となり既に意識を失っていた。
グラン「俺は…まだ…戦える…!」
グランはふらつきながらボールに近づく。その身体は度重なる化身の乱用と“イレブン”との敗北により既に限界を迎えているのは誰の目からも明らかだった。
それでも彼は歩みを止めない。全ては愛する父の野望を叶える為、そして…
鬼道「クッ…!駄目…だ…!奴を…ボールに触らせる…な…!」
鬼道はグランをボールに触れさせない為に恥や外聞を捨てて
狂気を心の支えにしてまで試合を続けようとするグランの姿はあまりに痛々しく観客達は思わず目を背けてしまう。
木野「もうダメ…!これ以上は見てられない…!」
音無「こんなことってないですよ…!あんなにボロボロになってまでサッカーを続けるなんて…!」
我慢の限界を迎えた木野と音無は戦士達から目を逸らしてしまうが、それでも夏未は試合から目を背けなかった。
夏未「…目を背けちゃ駄目よ2人共。私達は雷門イレブンのマネージャー、
夏未は力強い目で試合から目を逸らさない。彼女は信じているのだ。
グラン「さらばだ雷門イレブン…!君達は…俺の記憶の中で…!永遠に生き続ける…だろう…!」
グランは自分をここまで追い詰めた雷門イレブンに最大限の敬意を払い、決着をつけんと最後の力を振り絞り“流星ブレード”の体制に移る。
ライト「来い…!この命に変えても…!絶対に…止めみせる…!」
ライトはなんとか立ち上がるとグローブのストッパーをキツく締め直し気合いを入れる。
グラン「“流星…!ブレード”…!!!」
グランの執念が宿った流星の刃が無慈悲にもゴール目掛けて放たれた。
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パワーを…俺に…最後の力をくれ…あと少しなんだ…
ああ…そうだ…。俺に出来る事ならなんだってする…。
いいぜ…俺の命1つで
んじゃあ…何が欲しいんだよ…?
へっ…!だったらお安いご用だ…!死ぬほど面白れェ話を書いてやらァ…!
サンキュー…!……
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♢
グラン「な…何故お前がここにいる…!」
“流星ブレード”が放たれる直前、戦士の前に1匹の獣が立ち塞がる。
黄金色の稲光を立ち昇らせ
今にも戦士を喰い殺さんと鋭い牙を剥き出しにし
見た者全てを恐怖させる瞳で獲物を睨み付ける
金色の“怪物”が。
雷牙「“獅風迅雷・
グラン「命を削る気かァ!!!稲魂雷牙ァ!!!」
雷牙「ああそうだよォ!!!オメーをぶっ倒す為なら喜んで命でもかつおぶしでも…!なんでも削ってやんぜェェェェ!!!ゲハハハハッ!!!」
死の淵から甦り戦士と相対した“怪物”はその身に“獅子”の魂を憑依させその名を雷鳴の如し声で叫ぶ。
雷牙「“神 キングレオーネェェェェェェェェ”!!!」
この土壇場で再び“神”の領域へ到達した“王者の獅子”は流星の刃を喰らい尽くさんとその口を大きく広げボールに噛み付く。
…だが自身の限界を超えていたのは戦士も同じだった。
グラン「“流星ブレード♾️”ィィィィィ!!!」
戦士もまた己の殻を破り流星の刃を更に上の領域へと押し上げ“王者の獅子”を狩らんと鞘を抜き切り掛かる。
雷牙/グラン「「ウォォォォォォォ!!!」」
互いに進化の極地へ達した必殺技の威力は完全に拮抗し、ボールを起点に凄まじい衝撃波が発生する。
鬼道「稲魂ッ!」
吹雪「稲魂くん!」
熱也「稲魂ァ!」
豪炎寺「雷牙!」
壁山「稲魂さん!」
アフロディ「稲魂君!」
一ノ瀬「稲魂!」
風丸「稲魂っ!」
雷門イレブン一同『稲魂(さん)!!!』
円堂「頑張れーーッ!!!雷牙ァーーーッ!!!」
仲間達は次々と“怪物”の名を呼び続け1人で戦う彼を少しでも勇気付けようとする。
雷牙「グギギギ…!」
仲間の声援を受けた“怪物”は更に己の限界を破るがほんの少しの差で戦士に押され始めた。
グラン「もう…諦めろ…!俺は…!君より…強いんだ…!」
己の強さに絶対の自信を持つ戦士は“怪物”の息の根を止める為にその首元に刃を突き立てる。まるで
だが戦士は忘れていた。…いやワザと記憶の奥底に封印していたのだ。
他者との繋がりを否定したいが為に。
この世で信じられる存在が父しかいないが故に。
そして…手を差し伸べてくれる仲間がいる“怪物”への嫉妬心のあまりに。
ライト「まだだ…!雷牙にはボクがついてるっ!!!」
雷牙「ライト…!」
“怪物”と魂で繋がれた“兄弟”は自身に課せられた使命を放棄してでも弟を助ける為に駆け寄る。
“兄弟”は左脚に白銀の稲妻を纏いその名を叫ぶ。
ライト「“スターダストレオーネェェェェェェェェ”!!!」
“星屑”の名を冠した獅子が弟の首筋に立てられた刃を弾き飛ばしなんとか弟の救出に成功するが、2匹の“獅子”の力を持ってしても流星の刃は折れない。
グラン「無駄だ…!2人の力を合わせても…!俺には敵わない!!!」
戦士は流星の刃の刀身を更に巨大化させ狂気に満ちた笑みと共に2匹の首を同時に狩らんとする。
雷牙「まだ…届かねぇのかよ…!」
ライト「も…もう…ダメだ…!」
兄弟の力を合わせても戦士には通用しない現実に思わず弱音が溢れてしまう。
もう
勝利の女神が微笑んだのは
神は人類を見限ったのか?
夏未(お願い神様…!雷門に…稲魂君に奇跡を…!)
“怪物”を慕う少女が神に祈りを捧げた時…
神ですらも予想出来なかった奇跡が起こる。
グラン「何…!?」
雷牙「コレは…!?」
ライト「この光は…一体…?」
兄弟の想いに呼応するように雷牙の首飾りが輝きを放つ。
そして…
???『ここまで来て弱音を吐いてどうすんだ!!!』
謎の声が諦めかけた兄弟を叱責する。兄弟は僅かに後ろを振り返るとそこには黄の稲光のラインが走った黒のパーカーを着た男が兄弟の背後に立っていた。
謎の男は即座にパーカーを脱ぎ捨てユニフォーム姿となりその素顔が露わになる。
太陽の光を思わせる明るい黄金色の髪
決して消える事の無い闘志の炎が込められた瞳
身長は170前後ながらも神話の英雄の如く鍛え上げられた肉体
兄弟はその男を知っている。いや忘れられる筈がない。
何故ならその男は…
雷牙/ライト「「親父/パパ!?」」
伝説の“
ステラ『世界の未来はオマエらの手にかかってんだ!後はもう無ェんだぞ!』
彼が息子達の危機に現れた亡霊なのか息子達の弱さが作り出した幻影なのかは分からない。
ただ1つだけ確かなのは彼は息子達を助ける為にここに現れたという事だ。
グラン「何をぶつぶつ言っているッ!!!そんなに死んだ父親と会いたいなら諦めろォォォォ!!!」
この期に及んで父親の幻影を見る兄弟に苛立ったグランは怒りを爆発させ更にパワーを上げる。だがまるで見えない何かに支えられているかのようにボールはピクリとも動かなかった。
ステラ『雷牙!パワーが足りてないぞ!もっと本気を出せェ!!!』
雷牙「ぐぬぬ…!ヌウォォォォォォォォ!!!」
ステラ『ライト!もっと力を引き出すんだ!オマエの限界はこんなもんじゃないだろ!!!』
ライト「う、うん!!!ハァァァァァァァァ!!!」
グラン「グ…!?な、なんなんだ…!このパワーは…!?もう君達は限界だった筈…!」
先ほどまで死に掛けていた筈の2匹の“怪物”達は更に力を増して息を吹き返す。まるで何かの意志に導かれるかのように…。
ステラ『オマエらの…!
雷牙&ライト「「グ…!ウオァァァァァァァ!!!」」
父の最後の
兄弟に呼応するように金色の獅子と白銀の獅子は混ざり合い1匹の巨大な
グラン「俺が…負けた…?人間の限界を超えた俺が…完膚なきまでに…?」
人の限界を超えた筈の自分の敗北したという現実を受け入れられなかったグランは徐々に意識を失い始める。
その刹那、彼は見た。自身を打ち負かした兄弟に“怪物”の姿を…。
グラン(これが“繋がり”…そして…“絆”の力か…。ハハ…負けた…完敗……だ)
自分が信じていた物全てを否定されたグランはゆっくりと目を閉じて眠りにつく。その顔はまるで憑き物が落ちたかのように穏やかなものだった。
ピーッ!!!
最後の障壁を打ち破り自由を得た
あまりに現実離れした光景だがそれでも得点は得点。雷門のスコアボードに『5』の数字が刻まれる。
そして…
ピッ!ピッ!ピッー!!!
審判はホイッスルを三度鳴らし試合の終了を皆に知らせる。ここに長き渡って繰り広げだられた死闘は幕を閉じたのだ。雷門イレブンの勝利という形で。
円堂「勝った…のか…?」
豪炎寺「ああ…!やってくれたんだ…!雷牙と雷斗が…!俺達の仲間が…!」
円堂「〜〜…!てことは…守れたんだよな…!サッカーを…みんなの未来を…!〜〜…!!!ぃやったぁぁぁぁぁぁ!!!」
僅かに遅れて勝利を実感した雷門イレブンは歓喜の声を上げる。そして観客席で試合を見ていた仲間達はグラウンドに駆け寄り戦士達を祝福する。
染岡「信じてたぜお前ら!!!よーしみんな!俺達のヒーローを胴上げだ!まずは円堂から行くぞ!!!」
雷門一同『おうっ!』
円堂「どっひゃっあーー!!!?」
染岡の提案により地球を守りし英雄達への胴上げタイムに突入し何人もの英雄達が空を舞う。
もう疲労で動けない英雄達は苦笑いを浮かべながらされるがままにされるしかなかった。
一方その頃、体力の残量が0どころか−100ぐらいまで減っている稲魂兄弟はその場で寝転んでいた。
それでも彼らの表情には世界を守った事による充実感と己の限界を超えれた事による喜びが溢れている。
ライト「ねぇ…雷牙…。」
雷牙「…んだよ。もう…喋るのもダルいんですけど…。」
ライト「…聞こえたよね…?パパの言葉…。」
雷牙「ああ…聞こえたさ…!んで…見せた…!
そう答えた雷牙は何かを感じ取ったのかおもむろに首飾りを取り出すと青色の宝石は粉々砕けていた。
それを見た雷牙は友から受け取ったお守りがその役目を終えたのだと悟り天を見る。
雷牙(来てくれたんだよな…?親父…。…ありがとよ。)
雷牙は黙祷し父に感謝の念を送る。最後に現れた父の幻影が本物だと信じて。
遂にラスボス戦も終わり残すはエピローグだけ!いや〜長かったな〜!
え?ダークエンペラーズ?そんなものウチにはないよ。