イナズマイレブンHEROS!!!   作:月兎タンク

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 今回から世界編に入りますが1話だけオリジナルストーリーを挟ませてください。


世界への挑戦!!!編
未来への約束


キ~ンコ~ンカ~ンコ~ン

 

 1日の授業スケジュールが終了した事を告げるチャイムが校舎全域に響き渡る。

 窮屈な授業を終えた雷門中の生徒はある者は友とこの後の娯楽の為の相談をし、またある者は塾という名の残業時間を憂鬱に思い暗い顔をしている。

 そんな中、今雷門…否、日本一有名なバンダナの少年は雷鳴の如し大声と共に仲間達の元へ向かっていた。

 

円堂「遂に…!遂に来たぞォォォォォォ!!!」

 

 普段からやたらとテンションの高い彼だが今日の円堂はいつにも増して興奮しているせいで5割増しで喧しい。

 通行人の鼓膜を痺れさせながらも遂に部室へと辿り着いた円堂は壊れんばかりの勢いで扉を開けた。

 

円堂「みんな!俺も来たぞ!日本代表候補の手紙が!!!」

 

 その勢いのまま円堂が仲間達に見せた手紙には円堂守の名前と彼が日本代表選手候補に選ばれた事を知らせる内容が書かれていた。

 

風丸「おお!円堂も選ばれたか!」

 

鬼道「フッ、円堂は日本最強のキーパーなんだ。選ばれて当然だろう。」

 

 すると豪炎寺、風丸、鬼道、染岡、壁山、松野、闇野の7人も同じ手紙を円堂に見せ、自分達も代表候補に選ばれた事を知らせる。

 だが同時に円堂はある違和感を覚える。確かに雷門中から選ばれた候補選手は間違いなく日本トッププレイヤーばかりだ。

 しかしあと1人だけ間違いなく代表候補に選ばれているであろう人間が居ない。

 

 その人物の名は…

 

円堂「なぁ雷牙!お前はどうだったんだよ?」

 

雷牙「……。」

 

 円堂は部室の奥で太々しく座っている親友に選考結果を尋ねる。その瞳には親友の選出を確信している曇りなき光が灯っている。

 雷牙は不敵な笑みを浮かべると鞄をゴソゴソ漁り、中から1枚の封筒を見せつける。

 

雷牙「当っ然合格!」

 

 仲間達はやけに勿体ぶって選出を知らせた事に違和感を感じつつもどうせいつもの悪ふざけだろうと結論付け素直に“怪物”の選出を喜ぶ。

 

 だが…

 

雷牙「…オマケにも1つ。」

 

円堂「…え?」

 

 雷牙は裏で手紙を掴んでいる親指を横にスライドさせると()()1()()の手紙が姿を現す。

 

 その手紙には外来語でこう書いてある…

 

 “イタリア代表候補選出”と。

 

円堂「え…」

 

雷門一同『ええ〜〜〜!?』

 

 雷門イレブンの驚愕の声は部室を超え、半径50mの範囲で雷門中内に響き渡る。

 皆が驚く中、雷牙は仲間達に初めて見せる複雑そうな表情をしていた。

 

♢♢♢

 2国から代表候補選出の手紙が届いたのは今から1週間前。

 

 前々から世界大会が開催されるって噂話は聞いてたがまさかこんな熱烈なラブコールを受けるとは流石の俺ちゃんも予想してなかった。

 

 俺は今、ひっじょ〜に揺れている。だってそうじゃん、サッカー先進国であり第二の故郷のイタリアとサッカー発展途上国で第一の故郷の日本から代表の話がきたんだぜ?普段は即断即決の俺も悩むって。

 

 流石に気が滅入った俺はその日のウチにアイツに連絡を入れた。多分、アイツは今の俺と同じ状況だろうかんな。そしてたら案の定…

 

ライト『いや〜本当によかった〜!雷牙も選ばれたんだね!イタリア代表に!』

 

 俺の予想通りライトも日本とイタリア代表に選ばれてた。まぁこの間の生存報告は日本だけじゃなくて世界でも騒がれてたからな。

 

 え?なんでイタリア留学してた俺はまだしも何も実績のないライトがイタリア代表に選ばれてるかって?

 知らねーよ、やっぱアレじゃねーか?“怪物”稲魂ステラの息子だからじゃねーか?

 スポーツを才能や血筋で片付けんのは少し野暮ってもんだがライトの強さはそこら辺で語るしかないからな。アイツの強さはマジで異常だし。

 まっ!スポーツの世界には俺のような超突然変異の雑種もちょくちょく存在するんだけどな!ガッハッハッハ!!!

 

 おっと、少し話が逸れちまったな。結論から言うとライトと話し合っても俺は答えを出せなかった。ただ、ライトはもうイタリアに行く決意を固めてるめてーだ。

 スゲェよな、だってアイツ数年前イタリア行きの最中に事故って生死不明になったんだぜ?そんなトラウマを克服してイタリアに行くって言えるって相当なもんだよ。しかも…

 

ライト『ボクは雷牙と一緒にイタリアに行きたい…。でも、それを決めるのはボクじゃない。キミがどちらを選んでもボクはその考えを尊重するよ。』

 

 わ〜お、なんて聖人。まさに兄の鏡だな。…歳は一カ月しか変わんねェけど。

 誤解のないように言っとくと決して日本は弱くねェ、寧ろ逆だ。エイリア学園を倒した今の日本の精鋭が集まれば世界とも必ず渡り合える筈だ。

 …だからこそ俺は悩んでるんだよ。

 

 たま〜に夢を見るんだ。満員のスタジアム、大歓声の中俺は稲魂ステップをして真正面を見る、そこには俺とは違うユニフォームを着た守が居るんだ。

 夢ってのは人の深層心理が影響してるってよく聞くし、多分守と戦う事が今の俺の望みなんだろうな。

 つまりイタリア代表の話はその最大のチャンスっつーわけよ。

 

 …でも同時に守と一緒に世界に挑戦したいって想いもある。

 

 守だけじゃない。今まで苦楽を共にしてきた仲間達と一緒に世界の舞台で大暴れして注目度の低い日本を世界一に導きたいんだよ。

 

 くっそ〜!悩ましすぎる…!その悩みの何がタチの悪いって多分どっちを選んでも俺は後悔をしない点なんだよな〜。

 後悔はしないがチャンスは1度キリ…、返事の締め切りの都合上、日本代表に落選した場合イタリア代表になるって手段も無理…。

 あ〜〜!!!ダメだ!!!決めらんねェ〜〜!!!

 

 とりあえず今日はもう解散!本筋に戻る!終〜了〜!

 

♢♢♢

豪炎寺「雷牙が…イタリア代表に…?」

 

雷牙「…まだ決まった訳じゃねェよ。日本とイタリアから声が掛かった…そんだけだ。」

 

 雷牙はぶっきらぼうに答えるが雷門イレブンに不安が広がる。

 

 雷牙は雷門一の問題児であるものの、ここぞという時はいつも頼りなってくれた。

 世宇子との決戦の時も彼がたった1人で時間を稼いでくれなければ雷門は日本一にはなれなかっただろうし

 ジェネシスとの最終決戦の時も命を削る覚悟で立ち上がってくれなければ今頃世界はエイリア学園の支配下に置かれていた筈だ。

 

 まだどちらを選ぶか未確定とはいえ日本最強とも名高い選手が日本代表(自分達)の前に立ちはだかるかもしれないのだ。

 多少の不安を感じてしまうのも当然だろう。

 

円堂「…いつまでに決めなきゃいけないんだ?」

 

雷牙「…日本はまだ余裕があるがイタリアを選んだ場合は3日後までにイタリアに渡らなきゃいけねェ。」

 

鬼道「つまり猶予はあと3日か…。」

 

雷牙「…まっ!そう暗い顔すんなよ!まだ3日もあるんだ!今は選考に受かる為の特訓に集中しよーぜ!」

 

 雷牙はいつもの明るいトーンに戻り練習を促す。その声を聞いた仲間達は彼が無理に元気を出している事を察しながらも自分達に出来る事はどちらを選んでも快く彼を送り出す事だと思い、普段通り振る舞う。

 

円堂「……。」

 

 その中で円堂は物思いに耽りながらグラウンドに向かう仲間達の後ろ姿を見つめていた。

 

≪2日後≫

 

雷牙「あ〜…ダメだ〜…。全っ然決まらねェ〜…。」

 

 あれから2日が経過しても未だに雷牙はどちらを選ぶか決めかねているまま重い足取りで雷門中に向かっていた。

 イタリア代表の選考を受けに行くなら絶対に明日のイタリア行きの飛行機に乗らなければならない。つまり悩める時間は今日までなのだ。

 あまりに悩むあまり眠れていないようで雷牙の目元には黒いクマが浮き出ている。

 

雷牙「ハァ…、もういっそコイントスで決めるか?…いや流石にそれは論外か。」

 

 悩みすぎるあまり重大な結論をコイントスで決めかねた雷牙。それほどまでに追い詰められているのだろう。

 

 そんなこんなで雷牙は雷門中に到着する。今日は祝日という事もあり校舎に居るのは部活動生のみ。

 サッカー部以外の部活動生は今日も今日とて練習に励んでいた。

 

雷牙「おい〜す、雷牙さんの到着だぜ〜。」

 

 呑気な挨拶と共に部室の扉を開ける。しかし部室内には誰も居なかった。

 

雷牙「あんれ?今日の練習場所は河川敷じゃなくて学校だよな?…うんやっぱそうだ、イナッターにも学校のグラウンドって書いてある。」

 

 一瞬練習場所を間違えた可能性が脳裏をよぎったもののイナッターを見る限り雷牙は間違えていない。

 だが部室内に誰も居ないのも事実だ。今の時刻は練習が始まる20分前、遅くもなければ早くもない時間である以上誰か1人は人が居る筈だし、もしもなんらかの事情ですれ違いになっていても鞄くらいは置いている筈だが鞄置き場は空っぽだ。

 

雷牙「…ん?置き手紙?」

 

 ここでようやく部室のど真ん中に意味ありげに置かれてある置き手紙に気づいた雷牙は手紙を読む。そこに書かれていたのは…

 

『俺と勝負だ雷牙!グラウンドに来てくれ!待ってるからな!円堂守より』

 

雷牙「守と勝負ぅ?コレまた唐突な…。…だが面白ェ!最近悩みすぎて気が滅入ってたんだ、コレを気に気分ブチ上げて上がったテンションで決めてやるぜ!!!」

 

 雷牙はお馴染みのユニフォーム姿となるとグラウンドにて待つ親友との一戦に心を躍らせながら意気揚々と部室を飛び出す。

 そしてグラウンドに到着した雷牙を待っていたのは…

 

栗松「ククク…!ようやく現れたでやんすね稲魂さ〜ん!」

 

雷牙「あん?なんだオマエら、それにその恰好は?」

 

 グラウンドで待っていたのは円堂ではなく何故か既視感のある黒いローブを纏った栗松、壁山、宍戸、少林の一年組だった。

 

雷牙「守は何処に居るんだよ?もしかしてトイレか?」

 

壁山「フフフ…!キャプテンの居場所を教えて欲しければ…!」

 

宍戸「4対1でサッカーバトルを行い…!」

 

少林「俺たちから一点を取れたなら教えてあげますよ…!」

 

 なにやら変なスイッチが入っている一年組は不気味な笑みを浮かべながらボールを雷牙に差し出しサッカーバトルを申し込む。

 

雷牙「へェ…?珍しく俺相手に強気じゃねェーの?…いいぜ!オメーのその勝負、受けてやるッ!!!」

 

 やる気になった雷牙は恒例の稲魂ステップで身体を慣らし4対1という圧倒的に不利なサッカーバトルに挑む。

 

雷牙「行くぜ!!!手加減はしねェぞ!!!」

 

 一年相手にも容赦せずに本気でドリブルで駆け上がる雷牙。それを見た少林と宍戸は彼の気迫に圧倒されながらも勇気を振り絞り彼の前に立ち塞がる。

 

宍戸「あれをやるぞ少林!」

 

少林「いっくぞー!アチョー!」

 

 宍戸は腰を落として両手を組むと少林がその手を飛び台にし天高く飛び上がる。

 そして雷牙に狙いを定め閃光と共にライダーキックを繰り出した。

 

少林「“シューティングスター”!」

 

 流星と化した少林は凄まじいスピードで雷牙に襲い掛かるが少林の足と雷牙の身体が激突する寸前、雷牙は突如少林の前から姿を消す。

 

雷牙「“雷獣義牙G2”!!!」

 

少林&宍戸「「速っや…!」」

 

 流れ星に対抗するように稲妻の獅子と化した雷牙は文字通り目にも止まらぬ速さで少林と宍戸を突破し残るは栗松と壁山だけとなる。

 

栗松「“スピニングカットV3”でやんす!」

 

壁山「“超 ザ・ウォール”っス!!!」

 

 青色の衝撃波の壁と雄大な岩山が雷牙の行手を阻む。しかし雷牙は躊躇する事なく障壁に突っ込むと手始めに“スピニングカット”を何の必殺技も使わずに突破してみせた。

 

栗松「嘘でやんしょ!?」

 

雷牙「ハッ!オメーが俺からボールを奪おうなんて100万年早ェよ!!!」

 

壁山「栗松が破られてもまだ俺がいるっスよ!」

 

 まだ1年ながらに雷門一のDFとして君臨している壁山相手では流石の雷牙も正面突破は難しそうだ。

 

 そう正面突破は…

 

雷牙「おいおい壁山〜、いつも言ってるだろ?正面だけに意識を集中させんなって。じゃないとこうなるからよッ!!!」

 

 正面突破を避けた雷牙は持ち前の脚力を駆使して少林以上の高さまで飛び上がると右脚に膨大な稲妻の気を集中させると即座にシュートを叩き込んだ。

 

雷牙「“真 イナビカリブレイカー”!!!」

 

 破壊者の名を冠した必殺シュートは地面を抉りながら岩山へと突撃し一瞬にして目の前の障壁を崩壊させゴールネットに叩き込まれた。

  

雷牙「ピッピー!ゴーール!天才最強イケメンプレイヤー・稲魂雷牙選手!圧倒的な実力でゴールを奪い取りましたーッ!コレにて雷牙様の勝利です!とっとと守の居場所を教えやがれください!」

 

栗松「痛ってて…、キャプテンは商店街裏にあるグラウンドで待ってるでやんすよ。」

 

雷牙「おーし!待ってろ守!すぐに行くからよー!」

 

 一年組を下した雷牙は今度こそ親友と雌雄を決する為に学校を飛び出し商店街へ向かう。

 

≪20分後≫

 

雷牙「“オーバーサイクロン”!!!」

 

半田「本気出しすぎだろ〜〜!!!?」

 

 薄々勘づいていた事だが案の定、商店街裏のグラウンドには円堂は居らず代わりに染岡、半田、闇野、松野の2年組が待ち構え、先ほどの1年組と同様にサッカーバトルを仕掛けてきた。

 

 結果は、詳細に語るまでもなく雷牙の勝利だ。

 

染岡「てか、なんで俺達の勝負は全カットなんだよ!?もっと語るとこあっただろーが!」

 

雷牙「許せ染岡、今日の回は1話に収めたいんだ。これ以上長々やると途中で作者が飽きて次回に回されかねん。悔しいだろうが仕方ないんだ。」

 

 謎のメタ発言とタフな語録で染岡を宥めた雷牙は彼らから聞き出した次の目的地へ向かう。

 次に円堂が居ると伝えられた場所は河川敷のグラウンド。今度こそは本人と会いたいと望む雷牙だが人生はそう甘くはいかないらしい。

 河川敷で彼を待っていたのは豪炎寺、鬼道、風丸、一ノ瀬、土門の雷門が誇る精鋭メンバー達だった。

 

雷牙「くっは〜!こういう時どんな気持ちになればいいんだろうな〜?オメーら相手に1対5でやり合えるって信頼されてる事に喜ぶべきなのか、数の暴力で俺を叩きのめそうとするオメーらを恨めばいいのかな〜?」

 

豪炎寺「フッ、その感情は自分で決めろ。」

 

鬼道「それでも全力でいかせてもらうがな。」

 

風丸「本気で来い!稲魂!」

 

一ノ瀬「考えてみれば、君とは本気で勝負した事は今までなかったな!」

 

土門「まっ、そう気負わずにいつも通りやればいいんだよ!」

 

雷牙「ヘッ!上等ッ!ハァァァァァ!!!」

 

 ボールを持った雷牙は一切手加減する事なく全力で気を高めると徐々に彼の身体から黄金のオーラと蒼色の稲妻が溢れ出す。

 それを見た豪炎寺も彼と同じく気を最大まで高め身体から紅蓮の炎を溢れ出させる。

 

雷牙「“獅風迅雷・限界突破”!!!」

 

豪炎寺「“バーニングフェーズ2”!!!」

 

 グラウンドに黄金と紅蓮の柱が立ち昇り、両者相見える。“怪物”はこれから起こる目の前の“英雄達”との激戦に期待を馳せ、不敵な笑みと共に駆け出すのだった。

 

♢♢♢

円堂「ふぅ…。ウォーミングアップはこれくらいにしておくか。」

 

木野「お疲れ様、円堂君。」

 

 ウォーミングアップを終えた円堂は木野からスポーツドリンクを受け取りもうじき現れるであろう“怪物”との決戦に向けて小休憩を挟む。

 

響木「それにしても相変わらず思い切った事をする奴だ。各地にグラウンドの申請を頼むのは大変だったんだぞ?」

 

円堂「アハハハ…、ありがとうございます監督…。でも…どうしても今やらなきゃいけなかったんです。今の雷牙に必要なのは考える時間じゃなくて雷門イレブン(俺たち)と対話をする時間なんだって思ったから。」

 

 あの日から円堂は考えた。どうすれば後腐れなく親友がどちらを取るか決めれるかを。

 悩みに悩やんだ末に思いついたのが一度サッカーで仲間達と対話を行う事だった。

 その策は功を成し、隠し撮りしている試合に映る雷牙の顔はここ数日シケた顔でサッカーをしていた人間とは同一人物とは思えない程、楽しんでサッカーをしていた。

 

響木「…もし稲魂がイタリア代表を選んだ場合はどうする?」

 

円堂「何もしませんよ。だってどんなに離れていても俺と雷牙は親友でライバルだってことは変わりませんし!」

 

 円堂は響木に向かって曇りなき笑顔を見せつける。それを見た響木は円堂に尊敬してやまない円堂大介の面影を見出さずにはいられなかった。

 

夏美「円堂君。休憩中のところ悪いけど遂に“怪物”が来てしまったみたいよ。」

 

 夏美から“怪物”の襲撃を知らされた円堂はすぐさま立ち上がり親友が居る場所を見る。

 そこに居たのは満身創痍の状態でなんとか100段以上の階段を登りきった“怪物”が軽い笑みを浮かべながら円堂を見つめていた。

 

雷牙「悪ィ、ちょっと遅くなったわ…。」

 

円堂「心配すんなよ。いくらでも待つさ、お前との勝負のためならな!」

 

 互いに軽口を言い合い守護神と怪物は近くのサッカーコートまで移動する。

 今までの多勢に無勢のサッカーバトルとは異なり、最後の勝負は純粋なPK戦の形となる。

 ルールは簡単(シンプル) な三本勝負。先に1点でも取れば雷牙の勝ち、全てを止められれば雷牙の負けだ。

 

円堂「…なぁ雷牙。」

 

雷牙「…んだよ?」

 

円堂「みんなとサッカーしてみてどうだった?」

 

雷牙「…熱かった。俺から言えるのはそれだけだ。」

 

円堂「それで十分だ。さぁ!来い!俺とお前の最後の勝負だ!」

 

 円堂は祖父の形見であるキーパーグローブのストッパーをキツく締め直し気合いを入れ直す。

 雷牙も稲魂ステップを行い既に慣れている筈の身体を更に慣らして気合いを入れる。

 

雷牙「ハァァァァァッ!!!“雷鳴の覇王 レグルス・マキシマム”!!!」

 

 初っ端から化身を発動し一瞬で勝負を決めようとする雷牙。それに対し円堂はただ悠然と立っているだけだ。

 

雷牙「しゃおらァァァァァ!!!」

 

 小手調べと言わんばかりに雷牙は化身技ではなく渾身のノーマルシュートを放つ。

 ただのノーマルシュートでも化身によって強化された雷牙の脚から放たれれば並大抵の必殺シュートを凌駕する威力となる。

 円堂はそんなシュートに対して右手で拳を握り左脚を天高く上げ、力強く地面を踏み締めた。その勢いのまま拳を突き出すと円堂の背後から黄金の右拳が炸裂する。

 

円堂「“正義の鉄拳G3”!!!」

 

 久方ぶりに炸裂した“正義の鉄拳”は衰えるどころか更なるパワーアップを果たして日本のゴールを守る盾として蘇る。

 “覇王”の一撃と衝突した黄金の拳は数秒の拮抗の末にシュートの威力を殺しボールを弾き飛ばす事に成功した。

 

雷牙「ハッ!いいねェ!!!オメーとの勝負はそうこなくっちゃ面白ねェ!!!」

 

 ボールを確保した雷牙は間髪入れずに“覇王”を操り黄金の大斧を振り上げさせる。

 そのまま雷牙がシュートを叩き込むと“覇王”も大斧を振り下しボールに膨大な量の稲妻を纏わせる。

 

雷牙「“マキシマム・オブ・レグルスゥゥゥ”!!!」

 

円堂「やっぱりそうきたか!だったら俺も!ハァァァァァッ!!!」

 

 円堂も膨大な気を身体から放出し黄金の“魔神”を顕現させる。

 

円堂「“魔神 グレイトッ”!!!」

 

 “魔神”を顕現させた円堂は“正義の鉄拳”と同様に右手で拳を握り、左脚を天高く上げ力強く振り下ろし拳を突き出す。

 主人の動きにシンクロした“魔神”も黄金の拳を突き出し“覇王”の最大級の一撃と衝突させる。

 

円堂「“グレイテストフィストォォォォォォ”!!!」

 

 今度は一瞬の拮抗も許さずに“覇王”の稲妻を掻き消した“魔神”の拳は再びボールを遥かに彼方に吹き飛ばし主人の勝利を知らせる。

 

 筈だった…。

 

雷牙「そうくる事は読んでいたぜェェェェェッ!!!」

 

円堂「何ッ!?」

 

 今の自分ではまだ円堂を破る事が出来ないと分かっていた雷牙はこの瞬間を待っていた。そう…円堂が“グレイテストフィスト”を放ち一瞬だけ隙を晒すこの時を。

 “怪物”は身体から化身とは異なる黄金色のオーラを激しく煌めかせその名を叫ぶ。

 

雷牙「獅風迅雷…!超限界突破(オーバー・オーバー・リミテッド)ォォォッ!!!」

 

 極限まで肉体を酷使した事により限界の遥かにその先にある領域(ゾーン)に到達した雷牙はその身体に誇り高き獅子の魂を宿らせ円堂に対して牙を剥く。

 

雷牙「“キングレオーネ…!ReB(リミットブレイク)ッ!!!」

 

 “神”の次元すらも超え人の限界を超えた雷牙渾身の一撃が円堂と0距離の地点から放たれる。

 完全に円堂の不意を突き、更なる進化を果たした一撃を叩き込んだ。

 

 観客であるマネージャー一同と響木は完璧な雷牙の奇襲に対し彼の勝利を確信していた。

 

 …だが皆は1つ忘れている。

 

 “怪物”と相対しているのは誰であったかを。

 

 目の前の男は土壇場においても常に限界を超え続け幾度となく0.1%以下の確率でしか起こらない奇跡を呼び起こし続けた“怪物”に勝るとも劣らない規格外の存在なのだ。

 

 そして今、男はまたしてもその奇跡を呼び寄せた。

 

円堂「まだだァァァァァ!!!」

 

 円堂は身体全体を大きく一回転させる事で体制を元に戻す事に成功。そしてその回転力を踏み込みの力へ変える事でその黄金の右手を突き出しもう1人の必殺技の名を叫ぶ。

 

円堂「“グレイト・ザ・ハンドッ”!!!」

 

 偉大なる右手が“王者”名を冠した獅子の牙を受け止め黄金と蒼の稲妻が観客の目を眩ませ勝敗の結果を先延ばしにしてしまう。

 

 観客の視界が戻った時に立っていたのは…

 

円堂「へへ…!今日は俺の勝ちだな…!」

 

雷牙「ふへ〜…!負けた〜…!完敗だ…!」

 

 完敗した雷牙は緊張の糸が緩んでしまい弱々しくその場に座り込む。しかし彼の表情には悔しさ等は一切なく、久しぶりに全力を尽くして親友と戦えた清々しさだけが現れていた。

 

円堂「雷牙!」

 

雷牙「へいへい…?なんでございましょうか〜?円堂守さま〜?」

 

円堂「約束だ…!例え…俺とお前が離れ離れになっても…!俺たちはずっと親友だからな…!だから…お前が進みたい道を行けっ!!!」

 

雷牙「守…!」

 

 円堂の激励を聞いた雷牙の心に稲妻が走る。すると心にこびりついていた鯖のような異物感は一瞬で取り除かれていき、雷牙の脳裏に1つの結論が浮かび上がった。

 

雷牙「…サンキューな守。俺、決めたぜ…!俺が進むべき道を…!」

 

円堂「へへっ!ならよかった…!…それじゃあ雷牙!世界の舞台でまた会おうぜ!」

 

雷牙「ああ…!約束だ…!」

 

 夕陽に染まった空の下で2人は熱い握手を交わし、互いの旅路に幸運があらん事を願い別れる。

 そして次に会う時は世界の舞台での再会になる事を願いながら…!

 

≪次の日≫

円堂「あっ!飛行機!もしかしてあの飛行機に雷牙が乗ってるのかな?」

 

豪炎寺「さあな。もしかしたらさっき通った飛行機かもしれないな。」

 

 雷門イレブン総出での送別会から一夜明け、今日も今日とて雷門は日本代表選考に向けて特訓をしているが、そこに雷牙の姿はない。

 それでも誰1人悲しそうな顔をする者はこのチームには居ない。どれだけ離れていても雷牙は雷門の一員なのだ。魂で繋がれている限り皆との絆は途切れない。それが雷門イレブンだ。

 

円堂「雷牙ーーッ!!!海の向こうでまたサッカーやろうなー!!!」

 

???「OK。んじゃあ昨日のリベンジマッチといこうぜ?守。」

 

豪炎寺「ハハッ、聞こえてるわけがないだろう円d…ん?」

 

 聞こえる筈のない声、聞こえる筈のない返答に強烈な違和感を覚えた円堂達は思わず身体ごと声がした方向に向けてしまう。

 そこに居たのは稲妻の如き逆立ったヘアースタイルに、人工的な色合いの金髪がトレードマークの少年だった。

 

 彼らはその少年の事をよ〜く知っている。だが本来この場にいる事はあり得ない。何故なら彼は今空の上に居る筈だからだ。

 

 しかし現実には奴はここに居る。それも唖然とする仲間達を小馬鹿にしたような笑みを浮かべながら。

 

???「おっとォ?この俺が誰か分からねェって顔してんなァ?オーケー!それじゃあ最初から説明してやる。コレが最後だから耳の穴かっぽじって聞いとけよ〜?俺の名前は…!

 

 

 

 

 

 

 

 

稲魂雷牙だッ!!!」

 

 こうして…円堂守と稲魂雷牙の世界一を目指す挑戦が幕を開ける。




 雷牙って才能あるから強いっていうよりかはサッカーに懸ける覚悟がガン決まりすぎてるから強いってイメージ。
 まぁ“雷帝”しかり、雷紋しかり、雷冥しかり、獅天王寺の系譜は全員サッカーに対してクソでか感情を持ってるんで一種の呪いみたいなもんなんでしょうね。

〜オリ技紹介〜
・ReBシリーズ
ReBと書いて“リミットブレイク”と読む。エイリア騒動終了後、雷牙が修行を経て完成させた進化形態。
ゾーンに入らなければ到達する事が出来ないという厳しい条件はあるものの、強化倍率は“神”、“♾️”、“GO”以上であり、雷牙にとって正真正銘の切り札となっている。
命名法則は改進化、V進化、G進化関係なしに“(元の技名)+ReB”となる。
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