イナズマイレブンHEROS!!!   作:月兎タンク

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 スカウトシステムという目玉システムのせいで一般人でも日本代表になれるゲームがあるってマジ?


集結!日の丸を背負う戦士達!

 少年はただ歩いているだけだった。

 

 サッカー部指定のジャージを着て

 

 学校指定の鞄を背負って

 

 一丁前にズボンの両ポケットに手を入れている

 

 ただそうして歩いているだけ。

 

 それにも関わらず道行く人々は少年が通り過ぎる度に思わず二度見をしてしまう。

 

 それはおかしいだろう だってその少年はただ歩いているだけなのだ。

 

 “歩く”という人類が普遍的に行う動作をただ黙々と繰り返しているだけなのだ。

 

 にも関わらず通行人からこれだけ注目される少年とは一体何者なのだろうか?

 

 まず目につくのは稲妻のように逆立ったヘアースタイルと金髪。まるで有名な格闘漫画に出てくる戦闘民族の強化形態を思わせる髪型は驚くべき事に一切セットしておらずただの癖毛らしい。

 

 髪色も本来の色は茶髪なのだがある事情により染め始めた結果、今では少年のトレードマークとなっているとの事だ。

 

 そして次に目につくのは蒼に染まったその瞳。まるで空色のダイアモンドを思わせる美しい蒼眼はカラーコンタクトでは出せない独特の色味を持ち、その双眸が天然物である事を示している。

 

 こうして整理してみるとまだ14歳の少年にも関わらず情報量の多い容姿である。

 

 しかしだ。所詮はその程度の個性しかない少年だ。

 

 やたらと情報量の多い容姿もこの世界の人間からすればそう珍しいものでもない。

 

 では何故、通行人達は少年をまるで道のど真ん中に“怪物”が練り歩いているかのような視線を送っているのだろうか?

 

 その答えは彼が身体中から放っているピリついた殺気にあった。

 

雷牙「まだ尾行()けてやがる…。一体何者なんだコイツは…?」

 

 色々あって人が持つ『気』を完治出来る能力を得た少年は先ほどから自身を尾行する1人の人間に対してピリついていたのだ。

 

 謎の人物の気の大きさはそう大きくはない。だが勘の鋭い自分ですらも姿を捉える事の出来ないその尾行技術に少年は小さくない緊張を感じていた。

 

雷牙「ここまで完璧な尾行で俺を付けているとなると…。もしかしてエイリア学園の残党じゃねーだろーな…?」

 

 エイリア学園とは数ヶ月前日本を襲ったテロリスト集団の事である。だが金髪の少年とその仲間達の活躍により組織は壊滅し諸悪の根源も断ち切った筈だ。

 元構成員も改心し今では平穏な生活を送っている筈だが残党が自分達の命を襲う可能性も捨て切れない。

 特に今日という日は少年にとっては絶対死ぬ訳にはいかない日なのだ。

 

雷牙「…ここはちょっち大胆にいってみっか!」

 

 少年は両ポケットから手を取り出すと姿勢を深く落とし所謂クラウチングスタートの体制を道のど真ん中で取る。

 

雷牙「3…!2…!1…!…GOッ!!!」

 

 少年は勢いよくアスファルトの地面を踏み込むとなんと地面に僅かながら凹みが出来てしまう。

 そのままロケットスタートを切った少年は服が破れないのが不思議なレベルのスピードで50m程爆走する。

 

雷牙「ゲハハハッ!!!どーだ謎の人物Aよ!如何に完璧な尾行スキルを持つ貴様でも俺ちゃんの超スピードには付いてこれまい!俺の勝ちだッ!!!ダーハッハッハ!!!」

 

 どこの誰に向けての勝利宣言なのかは分からないがとにかく少年は楽しそうに高笑いをしながら自身の勝利を確信する。

 ぶっちゃけ彼が世界を救った英雄の一員でなければ普通に通報案件の危ない中学生である。

 

雷牙「ダーハッハッハッh…ん?んな…!?ば、バカな…!?」

 

 突如バカうるさい高笑いを止めた少年は驚愕の表情を浮かべる。

 

 少年の視線の先にあったのは何の変哲のない電柱。しかし重要なのはそこではない。その裏から感じられる気が謎の人物Aと同一の気なのが問題なのだ。

 

雷牙(嘘だろ…!?今の全速力の俺に追いつけるヤツなんか日本に何人も居ないレベルだぞ…!?…もう直接確かめるしかねェ!ココまできたらその面を拝んでやらァ!!!)

 

 例え謎の人物Aの正体がエイリア学園の残党で自分を殺す気であっても好奇心を刺激された少年には関係のない事だ。

 覚悟を決めた少年は抜き足差し足で電柱まで近づくと目にも止まらぬ速さで後ろへ回り込んだ。

 

雷牙「観念しやがれエイリア学園ッ!!!」

 

???「ごめんなさい!反省してますから母さんの命だけは許してください!!!」

 

雷牙/???「「…え?」」

 

 互いに予想していた反応と違う事に違和感を覚えた2人は顔を見合わせ素っ頓狂な声をあげる。

 

 人は“未知”という概念に強い猜疑心を持つ生き物である。それは巷では“怪物(サッカーモンスター)”と評される稲魂雷牙ですら例外ではなかったという事だ。

 

♢♢♢

雷牙「んだよ〜!雷門中までの道が分かんねーのなら最初から言えっての〜!」

 

???「ごめんなさい…。初めて本物の稲魂さんを見て少し緊張しちゃって…。」

 

 誤解の解けた雷牙と謎の少年は談笑しながら共通の目的地である雷門中へと向かっている。

 本人曰く雷門中に呼び出されたが肝心の場所が分からず途方に暮れていたところ、偶然雷牙を見かけた為気配を消して尾行していたようだ。

 

雷牙「…そういやオメーの名前は?今日雷門中に呼び出されたって事はオメーも代表候補なんだろ?」

 

???「は、はい!俺、宇都宮虎丸と言います!得意なポジションはFW!憧れの選手は豪炎寺修也さんです!」

 

雷牙「へェ?虎丸ねェ…、良〜い名前じゃねェか!気に入った!…憧れの選手が俺ちゃんじゃなくて豪炎寺なのが少し気に食わねェが。」

 

 相変わらず選手としての人気がない雷牙。ぶっちゃけこの島国で純粋に彼を尊敬しているのは師弟関係にある立向居と天馬くらいじゃないだろうか。

 

 そんなこんなで歩く事10分。遂に2人は今や日本少年サッカーを愛する者の間では知らぬ者はいないとも言われるサッカーの聖地、雷門中へ辿り着く。

 

虎丸「ここが憧れの雷門中…!やっぱり他の学校とはオーラが違う…!」

 

雷牙「ウェルカ〜ム虎丸。伝説のイナズマイレブンを産んだ聖地、雷門中へ!そして…日本代表選手を決める為の戦場へ!」

 

 そう今日の雷門中はただの聖地ではない。世界へ挑戦する為の戦士達を決める熾烈な戦いの舞台となるのだ。

 

豪炎寺「ようやく来たか雷牙。円堂を除けばお前が最後だぞ。」

 

雷牙「時間通りに来ただけマシだろーが。そもそも俺ちゃんは早くても5分前にしか来ねーの。」

 

虎丸「あわわ…!本物の豪炎寺さんだ…!」

 

 道中どれだけ自分が豪炎寺に憧れているか力説していたにも関わらず虎丸は豪炎寺を見るや否や雷牙の後ろに隠れてしまう。

 

豪炎寺「…お前の後ろで隠れているのは誰だ?」

 

雷牙「ああ、コイツは宇都宮 虎丸ってんだ。なんでもオメーさんの大ファンらしい。」

 

虎丸「は、初めまして豪炎寺さん…!宇都宮虎丸も申します…!今日はよろしくお願いします…!」

 

豪炎寺「ああお互いにベストを尽くそう。」

 

 互いの健闘を祈り豪炎寺は虎丸に手を差し出し握手を求める。虎丸は一瞬躊躇していたが雷牙が視線で遠慮するなと促した事で憧れの選手との握手に応える。

 

雷牙「それにしても凄ェメンツだな〜。流石は日本代表候補、日本が誇る精鋭達が集められてやがる。」

 

 雷牙が周囲を見渡すとグラウンドにはエイリア学園の騒動で共に戦ったサッカープレイヤー達が集結している。

 白恋の吹雪兄弟と鳳凰院或葉、陽花戸の立向居勇気、etc…俗に言う地上最強イレブンのメンバーが集められているが中には雷牙でさえ見知らぬ顔の選手もいる。

 

 その筆頭候補は間違いなく赤髪の彼だろう。

 

???「久しぶりだね、雷牙君。」

 

雷牙「おお〜!グラ…じゃなかった基山じゃねェか!ひっさしぶりだな〜!」

 

 赤髪のショートヘアーのイケメンこと基山ヒロト 彼は元エイリア学園最強のチーム、ザ・ジェネシスを率いていた選手であり、現在は永世サッカー部のキャプテンを務めている日本でも5本指に入る名プレイヤーだ。

 

ヒロト「ヒロトでいいよ。俺としてはそっちの方が落ち着くからさ。」

 

雷牙「んじゃあそうするわ。それにしても永世から選ばれたのはオメーだけか?てっきりデザームやレーゼも選ばれてるって思ってたが…。」

 

ヒロト「残念だけど永世から選ばれたのは俺だけさ。それだけ日本代表候補に選ばれる倍率は高いって証拠だろうね。」

 

 事実何百を超える学校の中で選ばれたのはエイリア騒動に関わった数校だけ…別に彼らの実力を疑問視する者はいないだろうが些か不公平感は否めない印象だ。

 

ヒロト「そういえば君の所にもイタリア代表の招集が掛かったそうだね。日本に残って良かったのかい?」

 

雷牙「いーんだよ。俺はイタリアンじゃなくてジャパニーズとして世界の頂点を目指しに行く!そう決めたんだよ。」

 

???「へぇ?流石は“怪物”、もう受かった気になってやがる。」

 

雷牙「おっとォ?コレまた面白いヤッこさんが現れたなァ。」

 

 雷牙の言葉に茶々を入れたのは中学としてはあまりに挑戦的なモヒカンヘアーに白のメッシュが入った人相の悪い少年だった。

 

雷牙「久しぶりだなー!アッキー!」

 

不動「その名前で俺を呼んでんじゃねーよ。ったく憎たらしさは相変わらずのようだな。」

 

 彼の名前は不動明王 彼もエイリア騒動で雷門と関わり真・帝国学園の一員として雷門を苦しめた思えば、マスターランクチームとの総力戦では助っ人として3rd雷門に参加しその卓越した司令塔としての能力で雷門を勝利に導いた天才MFだ。

 しかしトリックスターに近い立ち位置のせいで雷門でも彼に対する好感度は二分されており、特に帝国のチームメイトを傷つけられた鬼道は彼の事を毛嫌いしており、先ほども彼に突っかかっていた程だ。

 

雷牙「アッキーをアッキーって言って何が悪いんだよ?ソッチの方が可愛いだろ?」

 

不動「選考試合中は背後に気をつけろよ?どこから悪魔の右脚が飛んで来るか分からねーぜ?」

 

 “怪物”と“悪魔”は互いに目線を合わせバチバチに睨み合う。その空気はまさに一触即発。このままでは選考前に怪我人が出る可能性だってある。

 

 すると…

 

???「その殺意は収めた方がいいお二人方。暴力は何も生み出さない。」

 

 突如不動にも負けない独特なリーゼント頭の少年が二人の仲裁に入る。

 

不動「あん?誰だ?テメー?」

 

???「…俺の名前は飛鷹征矢。響木さんからスカウトされて今日の選考に来た。」

 

雷牙「飛鷹?聞いた事ねェ選手だな。まっ、いいや!よろしくなー飛鷹!」

 

飛鷹「あんたが稲魂雷牙か噂は響木さんから聞いている。今日はよろしく頼む。」

 

 飛鷹の介入により雷牙への殺意が薄れた不動は舌打ちをしながらその場から立ち去る。

 

 そして我らが主人公、円堂守がやっとグラウンドに到着すると同時に雷門サッカー部監督である響木が姿を現した。

 

響木「ようやく全員集まったな。今日お前達をここに呼んだのは他でもない!世界初のU-15の少年少女を対象とする世界大会…フットボールフロンティア・インターナショナルの開催が発表された!そしてお前達はその日本代表強化選手に任命された!」

 

 既にサッカー協会から手紙で伝えられた事だが、サッカー界の重鎮である響木正剛の口から伝えられる事で目の前の現実が夢ではないと改めて実感する。

 

響木「だがお前達はあくまで“強化選手”…つまり日本代表候補でしかない!真の日本代表に選ばれるのはこの中からの18人だ!」

 

円堂「18人…!」

 

響木「今この場にいるのは丁度22人。よってお前達を2チームに分け紅白戦を行う!」

 

 すると雷門のマネージャー達からそれぞれの選手に日本代表チームのユニフォームが配られる。

 選考チームAのユニフォームはまるで晴天の青空を思わせる鮮やかな青、選考チームBのユニフォームは晴天の中を漂う雲を思わせる純白の白だ。

 

 それぞれのユニフォームに着替えた強化選手達はグラウンドの両端に整列し代表候補の座を奪い合うライバル達と見つめ合う。

 

雷牙「こーんなに早くこの間のリベンジチャンスが回って来るとは思わなかったぜ!守!」

 

円堂「おうっ!ドーンと来い!雷牙ッ!!!」

 

 再びライバルとして向き合った“怪物”と“伝説”。両者の瞳には激しく燃え上がる闘志の炎に満ちていた。




 以前感想で今作で1番不遇なの吹雪兄じゃね?という意見を頂いたのですが、作者的に1番不遇なのはレーゼこと緑川だと思ってるんですよね。

【イナヒロのレーゼのここが不遇!】
・初戦で雷門が怒涛の追い上げを見せ試合には勝ったものの出鼻を挫かれる。
・2戦目は強化されて再登場するも豪炎寺からの失点を許してしまい、ただでさえ低かった評価が更に下がる。
・3戦目で遂に力関係が逆転しボコボコにされた挙句前半戦で退場させられる。
・そもそもジェミニストームだけ歴史改変の影響がマイナスにしか働いておらず、レーゼにも化身やソウルのような超次元強化がない。
・オリキャラのライトにヒロトの親友ポジを寝取られる。(一応ヒロトからは親友として扱われてはいるが。)
・大した活躍が出来ていないのが影響して代表候補にすら選ばれない。

…マジでどうしてこうなった?流石に可哀想だからネオジャパンには入れてあげよ。
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