イナズマイレブンHEROS!!!   作:月兎タンク

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 アニメ見て気づいたけど音無って目金より背が高いんですね。音無が年齢の割に大柄なのか、目金が年齢の割に小柄なのかは分かりませんけど。(多分後者?)


呪われた監督と小さな箱庭

円堂「ええ!?久遠監督がサッカー部を潰したぁ!?」

 

音無「間違いありません!サッカー協会の資料で見つけたんです!」

 

 突如響木に代わって監督に就任した久遠道也。響木が推薦した人物である以上彼の身元が白なのは明白だ。

 だが合宿初日のあの言葉とここ数日の練習風景を見て、久遠に対し不信感が爆発した音無は目金と共にサッカー協会に忍び込むというなんとも無茶な事をやらかし、その後なんやかんやあり久遠の過去の経歴が載せられた資料の入手に成功したのだ。

 

音無「久遠監督は10年前、桜咲木中の監督をやっていたみたいなんです。」

 

鬼道「聞いた事がある。なんでもその年の桜咲木中はFF予選を大差で勝ち進んでいたとか。」

 

音無「うん…。でも決勝戦前に久遠監督が事件を起こした事で桜咲木中は決勝を棄権…。」

 

円堂「何だって!?」

 

音無「詳しい事は資料に記述がなくて分からなかったんですけど…、桜咲木中の監督の事を調べていたら変な噂が出てきたんです。久遠道也は“呪われた監督”だって…!」

 

 “呪われた監督”…如何に科学が発展しオカルトの存在が否定されている現代においても“呪”という文字が持つ効力は絶大だ。

 ましてや自分達は日本国民全員の期待と夢破れた者達の想いを背負っている身なのだ。

 その事実はイナズマジャパンのメンバーに大なり小なり持っている久遠への不信感を増幅させるのには十分すぎた。

 

 たった1人を除いて。

 

雷牙「別にいいじゃねェか。“呪われた監督”でも“祝われた監督”でも。」

 

音無「稲魂先輩…?」

 

 1人離れた所で座り込んでいる雷牙はニヒルな笑みを浮かべながら話を続ける。

 

雷牙「初日に監督が言っただろ?『お前達の経歴など私には関係無い!(声真似)』っな。それは監督本人にも該当するってこった。」

 

目金「君みたいな人ならそれで済ませられるかもしれませんけどね!このチームは日本代表チームなのですよ!そんな大切なチームの監督席に座っているのが“呪われた監督”だなんていい訳ないじゃないですか!」

 

雷牙「んな事は知らん。俺にとって重要なのは監督が使える人材かどうかだけ、ソイツの経歴(過去)なんぞは関係無ェんだよ。」

 

 珍しく雷牙に喰いかかった目金だったが所詮は目金欠流だ。少し強い語気と目線で睨み付けるとすぐに心が折れてしまい木野の後ろに隠れてしまった。

 

雷牙「とまァ、柄にもなく小難しい事を語ったが俺が言いたいのは1つだけ。見限るのはまだ早ェってこった、俺たちは監督と出会ってまだ一週間も経ってねェんだぜ?そんなんじゃ好みの音楽すらも知れやしねェよ。」

 

 そう言い終わると雷牙は食堂から立ち去り自室へ戻った。“怪物”が居なくなった食堂を包み込んだのは久遠に対する“不安”と答えを見出せないもどかしさから来る“静寂”だった。

 

♢♢♢

『全国のサッカーファンの皆様こんにちは。これより全国の皆様お待ちかね、第1回FFIアジア予選組み合わせ抽選会を行います。』

 

 王将とは真逆の淡々とした機械的な実況により全国民、そしてイナズマジャパンが待ちに待ったアジア予選の対戦カードの発表が始まる。

 イナズマジャパンは全員食堂に集まり、備え付けられてあるテレビに釘付けになっていた。

 

 FFIは全世界を5つのエリアに分けて予選が行われる。イナズマジャパンが所属するのはアジア地区。そして予選は聖地FFスタジアム行われるのだ。

 他の地区予選は複数のチームが本戦に出場出来るがアジア予選だけは本戦枠が1つしか存在しない。

 よってこの地区予選を優勝するという事は世界への切符を獲得するだけでなく、アジア1のチームとなる事と同義なのだ。

 

 全国民が日本の動向を見守る中、次々と他国代表の監督達がクジを引き空白のトーナメント表が埋められていく。

 

『さあ!いよいよ日本代表イナズマジャパンの抽選です!果たして対戦相手はオーストラリアか?カタールか?それとも韓国か、サウジアラビアか?』

 

 自国の監督がクジを引くという事で先ほどまで無機質だった実況の声色が上がる。

 残りの枠的に日本がぶつかるのはオーストラリア、カタール、韓国、サウジアラビアの4国。その内のオーストラリアと韓国は優勝候補と謳われる強豪チームだ。

 つまり単純計算で二分の一の確率で優勝候補と当たる事になる。

 

 その結果は…

 

『日本代表“イナズマジャパン” 1-A。』

『決まりました!イナズマジャパン、一回戦の対戦相手はオーストラリア代表“ビッグウェイブス”です!試合は2日後!これは熱い試合になりそうです!』

 

 遂に対戦国と試合日程が決まりイナズマジャパンは世界への第一歩を踏み出そうとする。

 たかが第一歩でも日本にとってはあまりに偉大な第一歩である。だがイナズマジャパンには緊張を抱く者は誰1人としていない。

 

ヒロト「まさかいきなり優勝候補と当たるとはね。」

 

鬼道「だが相手にとって不足はない。」

 

雷牙「いいねェ!初戦の相手(噛ませ犬)としては丁度いい相手だぜ!」

 

円堂「よーし!みんな!オーストラリア戦に向けて明日から特訓だーーッ!!!」

 

『おおーーッ!!!』

 

 キャプテンの鼓舞により際限なくチームの士気が上がり、皆は明日から過酷な特訓に備えて自室に戻る。

 

 そして…

 

 

 

 

 

 

 

久遠「今日からオーストラリア戦までの2日間、練習を禁止する。合宿所から一切出る事も許さん。」

 

『ええ〜〜〜!!?』

 

 今日の天気は晴れ時々悲鳴。雲一つ無い青空には日本代表選手達の驚愕の大声が響き渡るのだ。

 

♢♢♢

雷牙「つーわけで今俺はイラついてんの。ドゥーユーアンダスタン?」

 

ライト『それは…中々に個性的な監督だね〜…。』

 

 練習を禁止されて自室に籠る雷牙はイタリアに居るライトに愚痴を溢していた。

 とりあえず様子を見るとは言ったものの流石の雷牙も練習を禁止されるのは予想外だったようで筋トレくらいしかやれる事のない閉鎖環境ではフラストレーションが溜まる一方だ。

 

雷牙「まァいいや、イタリア代表合格おめでとさん。天国で見てる親父もお袋も喜んでるぜ。」

 

 ライトも弟同様日本とイタリアの2国から代表への誘いが来ていたが、彼はイタリアに行く道を選んだ。

 そして激戦の選考試合の結果、彼も見事代表の座を勝ち取り今では日本とライバル関係にある訳だ。

 

ライト『ありがとう雷牙!次会う時はライオコット島だね!』

 

雷牙「ああ!俺たちと試合するまで負けんじゃねーぞ!」

 

 とりあえず言いたい事も終わった雷牙は電話を切りこれからの事を考える。

 既に何名かの選手は久遠の目を盗み練習をしようとしたがそれを見越していた久遠によって捕まりこっぴどく叱られている。

 

 雷牙としてはしょーもない行動で日本代表の座から降ろされるのは何としても避けたい。

 別にビッグウェイブスが怖い訳ではない。寧ろ今の自分達ならオーストラリアなど相手ではないと確信している。

 だがマグロの如く常に動き回らなくては生きていけない雷牙にとって練習を禁止させられるのは苦痛でしかないのだ。

 

雷牙「もう我慢出来ねェ!!!世の中の罪はバレなきゃ犯罪じゃねェんだ!こうなったら部屋でボールを蹴りまくってやる!」

 

 遂に我慢の限界を迎えた雷牙は持ってきたマイサッカーボールを手に持ち部屋の中で壁当てを始めた。

 日本代表用の宿舎とはいえ所詮は突貫工事で作られた臨時の個室だ。そこまで厚くない壁は隣の部屋まで音を響かせて雷牙の元へ戻って来る。

 

雷牙「くぅ〜〜!この合法か違法か分からねェグレーゾーンを綱渡りしてる感覚はたまんねェぜ!もう命令なんて知った事か!俺は俺の好きなようにやらせてもらうぜ!」

 

 禁断症状が発生した雷牙は後先考えずに狭い部屋の中で壁当てを続ける。その表情はもはや薬物中毒者にしか見えない。

 

 すると…

 

???「こっちだ雷牙!俺に向かってシュートを打て!」

 

雷牙「! しゃおらァ!!!」

 

 突如現れた謎の声の方向に向かって強烈なシュートを放つ。するとオレンジ色のバンダナを巻いた少年は素手でシュートを受け止め完璧に止めてみせた。

 

雷牙「ってなんで俺の部屋に勝手に入ってきてんだよ守…。」

 

円堂「いや〜隣でボールを蹴る音がしたから我慢出来なくなっちゃってさ…。それに鍵開いてたし…。」

 

 どうやら雷牙のセキュリティ感覚にはドアに鍵をかけるというプログラムはされていないようだ。

 何はともあれようやく掴んだ練習のチャンスに気分が高まった2人は部屋の中でPKを始める。

 

雷牙「せりゃ!」

 

円堂「どりゃ!」

 

 どちらかが先に壁にボールを当ててバウンドしたボールをもう一方がトラップで受け止め再び壁でバウンドさせる。それを繰り返し10回目にボールを持った者が攻撃権を得る。

 このような変則的なPK戦に夢中になるサッカーバカ達。2人が奏でる音色は1人、また1人と同じサッカーバカを引き寄せるのだ。

 

豪炎寺「遂に我慢が出来なくなって部屋の中で始めた。」

 

雷牙「おっ!豪炎寺じゃねーか!シャルウィーダンス?」

 

 怪物からダンスの誘いを受けた豪炎寺は不敵な笑みを浮かべると部屋に入室し、雷牙からボールを奪い即座に円堂に向かってシュートを放つ。

 

円堂「危なかった…!相変わらずいいシュートを打つよなぁ!豪炎寺は!」

 

鬼道「中々面白そうな事をやっているじゃないか。俺も混ぜてもらおうか。」

 

 今度は鬼道も加わり個室サッカーは更に激しさを増す。ただでさえ狭い部屋の中に4人も中学生が入り部屋の中をバウンドするボールを奪い合っているのだ。

 当然動きは大きく制限されるし、誰かの膝が誰かの頭に入る時だってある。それでも4名のサッカーバカ達は笑顔で練習を続け気がつけば雲一つない青空は夕映えが美しい橙色に染まっていた。

 

雷牙「流石に疲れた…。ちょっと休憩〜…。」

 

 満足した雷牙達は部屋の中で座り込む。最初は少し休憩するつもりだったが興奮が冷めた事でもうじき夕食の時間である事に気づいた4人は今日の練習はここまでにする事に決めた。

 

円堂「なぁ世界一って考えたことあるか?」

 

雷牙「当然!サッカープレイヤーとして生まれたからには誰もが一度は夢見るもんだからな!」

 

円堂「だよな!んでFFIには世界中から集められた最高の選手たちが俺たちの前に立ちはだかるんだぜ!くぅ〜〜!!!考えただけでワクワクしてきたぁ!」

 

豪炎寺「フッ、本当に変わらないなお前は。」

 

鬼道「だがそれでこそ円堂守だ。」

 

円堂「だからこそ!ジッとなんてしてられない!俺はみんなと一緒に見たいんだ!目の前の壁を乗り越えた先にある世界一の景色ってやつを!」

 

 円堂は立ち上がると右腕を天に掲げ、人差し指で『1』を現す。それが何を意味するかは言うまでもないだろう。

 

 円堂の意図を察した雷牙達も立ち上がり、豪炎寺は右手を、鬼道は左手を、そして雷牙は右小指を天に掲げ『1』を現す。

 

円堂「世界一に!」

 

豪炎寺「世界一に!」

 

鬼道「世界一に!」

 

雷牙「世界一に!」

 

ガラッ!

 

『世界一に!』

 

 部屋の前で円堂の話を聞いていた一部のチームメイト達が居ても立っても居られず部屋に押し入り、指で『1』を作り出し力強く宣言する。

 

円堂「へへっ!よーーし!みんなーー!天辺目指して駆け上がるぞーー!!!」

 

イナズマジャパン『おおっ!!!』

 

 こうして世界一を目指す為に結束を固めたイナズマジャパンは各々特訓を続け、遂にアジア予選一回戦が幕を開けるのだった…!




 最初に言っときます。どこぞの未来人のせいでインフレにインフレが進んだイナズマジャパンはアジア予選では韓国戦まで苦戦しません。
 だから次回のオーストラリア戦も多分1話で終わります。
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