イナズマイレブンHEROS!!!   作:月兎タンク

125 / 183
えー、またやらかしました。作者はずーっと“なつみ”の「み」は美しいの「美」だと思い込んでたんですけど、どうやら未来の「未」が正しかったようです。
誤字報告してくれた方ありがとうございます。


長靴の国での出会い

ライト「はへ〜!カタール相手に4-0で圧勝か〜!やっぱり雷牙たちは凄いな〜!」

 

 こんにちは!稲魂雷斗です!今、ボクはイタリア代表選手としてヨーロッパの強豪チームと戦ってます!

 

 …う〜ん、やっぱり文字にしてみると変なカンジ…。確かにパパはイタリア人だけどボク、生まれも育ちも日本なんだよねー。…数年くらい記憶喪失だったけど。

 まぁ、イタリアに留学してただけの雷牙にも招待状来てたしイタリア代表の選考基準は緩いんだろうね〜。

 

フィディオ「今回の試合で特に素晴らしかったのはトラマル・ウツノミヤだね。前半はぎこちないプレーが多かったけど後半からは人が変わったような大胆なプレーだった。こんな凄い選手がいたなんて、まったく世界は広いよ。」

 

 あっ!紹介するね!この子はフィディオ・アルデナ!“イタリアの白い流星”の異名を持つ、イタリア代表チーム“オルフェウス”の副キャプテン!そしてイタリアで初めて出来たボクの友達!

 

フィディオ「間違いなく今の日本は世界でも屈指の水準(レベル)だ。恐らくアジア地区には彼らと互角に戦えるチームは片手で数える程しか居ないだろうね。」

 

 フッフーン!当っ然!だって日本にはボクの最大で最高で最愛の弟が居るんだもんねー!イケイケ雷牙!イケイケ イナズマジャパン!この調子で世界へ羽ばたいちゃえー!

 

ライト「……。」

 

フィディオ「ん?どうしたんだいライト?急に黙り込んで?」

 

ライト「…たい。」

 

フィディオ「え?」

 

ライト「雷牙に会いたいよ〜〜!!!」

 

 ハァ〜、ダーメだ。ホームシックならぬ雷牙シックがぶり返しちゃった…。

 だってしょうがないじゃん。イタリアはご飯は美味しいし、サッカーも強いし、チームメイトはいい人ばかりだけど雷牙は居ないんだから。

 

フィディオ「ハァ…、落ち着けよライト。イナズマジャパンが予選を突破すれば本戦で会えるだろ?」

 

 それもそっか。雷牙シック終了ー!

 

フィディオ「相変わらず立ち直りは早いな…。…前々から気になっていたんだけど君は日本代表候補にも選ばれていたんだろ?どうしてイタリア代表を選んだんだ?」

 

 …まぁ、そうなるよねー。普通に考えて日本生まれ日本育ちの人間が選ばれたとはいえ一度も地面を踏んだことのない国を選ぶなんてどうかしてるし。

 けど…、お兄ちゃんとしての役目を放棄してでもイタリアに行きたかったんだ。だってココはパパが生まれ育った故郷なんだから。

 

フィディオ「…尊敬出来る父親が居るってのはいい事だね。よし!それじゃあ俺達ももっと頑張らないとな!」

 

ライト「おー!」

 

 待っててね!雷牙!絶対にボクたちも勝ち進んでキミに会いに行くから!

 

 だから…また“明日”!

 

 

♢♢♢

ライト「さてと…、そろそろかな?」

 

 フィディオと別れ1人グラウンドに残ったライトは母親の形見であるキーパーグローブを装着しそっと目を閉じる。

 目を閉じるという事は暗闇を受け入れるという事。ただ目を閉じながらゴールの前に佇むという行為に意味があるとは思えないが不思議な事にライトの表情には笑みが溢れている。

 

ライト「! ()()…!」

 

 誰かの来訪を感じ取ったライトは目を見開き臨戦体制に移る。

 

 だが彼の前には誰も居ない。この場に居るのは稲魂雷斗ただ1人。今宵も彼は独りぼっちだ。

 

 それでも…、確かに彼の瞳は捉えていた。

 

 黄金の髪を靡かせ、自分こそが最強だと言わんばかりの不敵な笑みを浮かべる金色の“怪物”の姿を。

 

ライト「待ちくたびれたよ。ボクのマイフェイバリットヒーロー…!」

 

 最高にして最強の英雄(マイフェイバリットヒーロー)にして最愛の弟の姿を瞳に映したライトは左指を捻り“怪物”を挑発する。

 

 敢えてその挑発に乗った“怪物”はいつの間にか足元に置いていたサッカーボールを天高く上げ自身も飛翔する。

 すると見る見るうちに“怪物”の姿は背に翼を生やした巨大な獅子へ姿を変え最高到達点へ達すると獅子の口の中から“怪物”が飛び出し渾身のシュートを叩き込む。

 

“怪物”「“ゴッドレグルスッ”!!!」

 

 これこそが“怪物”…否、稲魂雷牙の最強の必殺シュート“ゴッドレグルス”だ。

 

 “神”の領域まで達した獅子は雷鳴の如し咆哮を天に向かってあげゴールへ襲い掛かる。

 それを前にしたライトは一層笑みを強くし、自身の背後に二柱のマジンを顕現させる。

 

ライト「“雷・トーガG4”!!!」

 

 二対のマジンは互いに手を合わせ神獅子の咆哮を受け止めようとする。だがその威力はマジン達の許容量を超えており一瞬の拮抗すらも許さずに黄金色と翡翠色の腕を粉砕した。

 

ライト「うっわ…!マジか…!」

 

 ボールはライトとマジン達を吹き飛ばしゴールネットに突き刺さる…事はなかった。

 当然だ。だって目の前に居る“怪物”、そして彼から放たれたシュートは全てライトが作り出した()なのだから。

 

ライト「ハァ…ハァ…、やっぱり強いなぁ…雷牙は…。」

 

 成長した自分すらも易々と破って見せた弟のパワーにライトは地面を背にしながら感嘆の声を漏らす。

 あの“怪物”は兄が作り出した幻であって、本物の稲魂雷牙ではない。それでもライトからすれば本物の実力は幻以下である事はあり得ない。

 エイリア騒動終了後から短期間で自身を超えてみせた弟の成長ぶりを兄として誇りに思うが同時にライバルとして悔しくも思う。

 

???「ヘソの下に力が入っておらん。そんなへっぴり腰じゃ止められるシュートも止められんぞ。」

 

 物思いに更けている途中、見知らぬ声がライトの耳に届く。後ろを振り向いた先に居たのはやや目つきの悪い小柄な老人だった。

 恐らく実年齢は70〜80はいっているだろうが、老人から発せられる“闘気”としか形容しようのない雰囲気はその顔つきも相まって日本に居る弟の面影を見出してしまう。

 

ライト「え〜と…、アナタは…?」

 

???「…ただのお節介な老耄じゃよ。オマエさん稲魂雷斗じゃろ?稲魂ステラの息子の。」

 

ライト「! パパを知っているんですか!?」

 

???「イタリアでヤツの名を知らぬ者は居らんよ。…特にワシはな。」

 

 ハッキリ言ってこんな夜遅くに代表宿舎近くのサッカーコートを徘徊している老人など怪しさの塊でしかないが、良く言えば純粋、悪く言えば警戒心の薄いライトは父の名を出されただけで謎の老人に心を開いてしまう。

 

 気づけばライトは今、会ったばかりの老人にキーパーとしての特訓をつけられていた。

 

???「これで以上じゃ。今日教えた事を毎日欠かさずにやり切ればオマエさんはもっと強くなれる。」

 

ライト「ハァ…ハァ…!あ…ありがとう…ござい…ました…!」

 

 老人の特訓は一言で言えば効率化と合理性を突き詰めた代わりに人間性と倫理観を徹底的に排除した恐ろしくハードなものだった。

 エイリア学園の地獄の訓練を突破したライトですらも息が上がっている辺りその恐ろしさが分かるだろう。

 

???「…やはり似ておるな。」

 

ライト「ふぇ…?」

 

???「オマエさんはワシの息子に似ておるんじゃよ。…数年前に死別した息子にな。」

 

 老人は言った。

 

 自分には2人の息子が居たと。息子達はサッカーが大好きだったと。

 

 息子の1人は天才だった。それこそサッカーをする為に生まれてきたかのような天賦の才能を持っていた。

 

 だが神は人に二物を与えなかった。息子は志半ばで不幸な事故に遭って帰らぬ人となったという。

 

ライト「…なんかパパに似てますね…その息子さん…。」

 

???「…偶然じゃろう。天賦の才がありながらも志半ばで倒れた人間は歴史上に何人もおる。」

 

ライト「…もう1人の息子さんはどうしてるんですか…?」

 

???「…知らん、数十年前に家出して以降行方不明じゃ。」

 

 老人の身に起きた不幸にライトは絶句してしまう。大切な人を亡くす苦しみと絶望は彼もよく知っている。

 まだ精神的に未熟な雷牙でさえ、一度は死を選びかけた程の絶望なのだ。その老人が受けたショックは自分てさえも計り知れない。

 

???「…少しシンミリとし過ぎたな。お詫びといっては何じゃが、オマエさんにコレをやろう。」

 

 老人が差し出したのは円堂が持つ大介の秘伝書と同じくらい古ぼけたノートだった。

 ただ1つ異なるのは中に書かれてある内容は人類にも識別可能だという事だ。

 

ライト「コレは…!秘伝書…!?」

 

???「そんな大それた物じゃない。ただワシが暇つぶしに考案した必殺技を書き記した物じゃ。まっ、参考程度に見といてくれ。」

 

ライト「お爺さん…!ありがとうございました!お爺さんから教えられたことは絶対に忘れません!」

 

 見ず知らずの老人に向けて最大限の感謝を伝えたライトはいつか来る“明日”で最愛の弟と再会する為に宿舎へ戻る。

 老人は希望に溢れた少年の後ろ姿をただ見つめるだけだった。

 

 その後ろ姿に亡き息子の面影を見出しながら。

 

???「息子か…。オマエさんは今どこで何をしておるんじゃろうな…。…()()。」

 

 行方不明となった実の息子の身を案じる老人。その顔には息子と向き合ってやれなかった自分への憎しみと父親としての後悔が滲み出ていた。

 

♢♢♢

 同時刻の日本。都内某所にある秘密の研究所の奥深くで1人の男が佇んでいた。

 その男は科学者然とした衣装と反比例するかのように日本人の平均身長を大きく超える身長とデスクワークに不向きそうな適度に引き締まった肉体を有している。

 普段はただひたすらPCと睨めっこを続ける毎日を送る男だが、今この瞬間だけは睨みつける相手はPCではなかった。

 

ラボス「? 珍しいじゃないですか。まるで人間のような目で写真を見つめているだなんて。」

 

“雷帝”「…いやなに、少ーし昔を思い出してね。」

 

 “怪物”を自らの手で作るという狂気に人生と人間性を捧げた科学者の視線の先には幸せに満ちた笑みを浮かべる真面目そうな少年とその父親が映されていた。




 はい。カタール戦は全カットです。
あー!やめて!石を投げつけないで!試合内容は原作と変わってないから!ちゃんと虎丸もトラウマを克服してるから!だってイナズマジャパンが強すぎるからこうするしかなかったんだもん!許して!やめてー!
…と冗談はここまでにしといて次回は遂にあの男が帰ってきます。ちゃーんと彼らには良い意味での見せ場を用意している為、ご期待ください。

あと完全に余談ですが、世界編からのライトの容姿はデュエプレに出てくるヴィヴィというキャラに似せてます。理由はそっちの方がモチベが上がるからです。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。