なんかねー、銀牙がねー、マージで問題児すぎるんですよねー。
思考回路が理解出来ないキャラを主軸に添えるのは難しい。
『新しい必殺技の習得ゥ?』
鬼道「ああ。これまでの2試合は既存のプレーと必殺技で何とか対抗出来たが、恐らく本戦からは求められる水準が一気に引き上がるだろう。予選では通用した必殺技も世界相手に通用するとは限らない。その時に備えて早期の内から新必殺技を習得しておいて損はない。」
お世辞にも高いとは言えなかった世間から評価を跳ね除け破竹の勢いで勝ち進むイナズマジャパン。
先日のカタール戦を制した事で決勝に進出した今、日本は本格的に海の向こうに居るまだ見ぬ強豪を意識しなければならない段階へ到達していた。
鬼道「風丸、お前が選考試合でパスカットした時の動きを覚えているか?」
風丸「選考試合での動き…?」
円堂「あー!あれか!凄かったよなー!“疾風ダッシュ”とはまた違うスピードでブワーってなってビューンっと綱海を抜いてたよな!」
鬼道「…まぁ多分それだ。あの風に更に磨きを掛ければ、新たな必殺技になる筈だ。既に久遠監督に自主練習の許可は取ってある。」
風丸「分かった、その技を完成させればいいんだな。」
鬼道「そういう事だ。それから熱也と土方には連携技を習得してもらいたい。」
熱也「別にいーけどよー、ぶっちゃけ攻撃力は足りてんじゃねーか?だってイナズマジャパンには本職がFWの奴が6人も居るんだぜ?シュート技を使える奴ならもっとだ。」
熱也の言う通りイナズマジャパンは元のポジションがFWの選手が選手が多い。
それに加えてFW以外のポジションにもシュート技を使える選手が多い、攻撃のバリエーションの一点に限れば世界でも屈指のチームだろう。
鬼道「熱也の言いたい事は分かる、だが連携技は単なる技同士の足し算じゃなく掛け算だ。完全にモノにすれば必ずイナズマジャパンの武器になる。」
雷牙「俺ちゃんは鬼道に賛成。特にイタリアにはアイツが居るしな〜。」
『アイツか…。』
一部のメンバーを除いたイナズマジャパン達の脳裏に浮かぶのはそこに居る“怪物”の魂を継ぐ者とは対になる“怪物”の遺伝子を継ぐ男の娘の顔。
数ヶ月前に雷門中で起こったサッカー史史上最大の兄弟喧嘩にて“怪物”の強さをこれでもかと見せつけられた一同はほんの少し顔を青くする。
彼のサッカーセンスを持ってすれば本戦で再会する頃には以前とは比べ物にならない程パワーアップしているだろう。
鬼道「稲魂の言う通り、この特訓の仮想敵は稲魂雷斗だ。間違いなく奴は世界で5本指に入るキーパーだ、本戦で当たれば苦戦は必須だろう。」
雷電「面白ぇ!やろうぜ!熱也!」
熱也「上等!俺たちのシュートで吼え面かかせてやらぁ!!!」
これからのチームの方向性も決まりより一層決勝戦へのモチベーションが上がるイナズマジャパン。
特に熱也と雷電という珍しいコンビの結成は彼らに良い刺激を与えたようで食堂は連携技の話で持ちきりとなる。
すると…
ヒロト「ちょっといいかな?雷牙君。」
雷牙「マイペンラーイ。俺ちゃんに何の用かね?」
ヒロト「俺と君で作ってみないか?新しい必殺技を。」
雷牙「……。」
ヒロトの提案に雷牙は少し考え込んでしまう。ヒロトはスピードとテクニックに優れた選手、それに対して自分はパワーと瞬発力に優れた選手だ。
まるで“水と油”、“コインの表と裏”、そう形容される程に真逆の性質を持つ2人がコンビを組もうとしているのだ。
ハッキリ言って合理的であるとは到底思えない。練習だってそう簡単にはいかないだろう。
ヒロト「君の答えは“YES”?それとも“NO”?」
その全てを鑑みた上で雷牙に与えられた選択肢たった1つしかない。
雷牙「おいおい?俺をおちょくってんのか?答えは当然…“YES”しかないっての。」
ヒロト「君ならそう言ってくれると思ってたよ。」
雷牙「くぅ〜〜ッ!!!い〜い展開になってきたァ!!!しゃあッ!!!
“ワクワク”の為なら合理的な思考すらも一切の躊躇も無く捨て去る。それが稲魂雷牙という男なのだ。
こうして様々な凸凹コンビが結成されたイナズマジャパンは、厳しい特訓に励むのだった。
♢♢♢
雷牙「つわ〜〜…、ダーメだ。日が暮れかけるまで練習したってのに、全っ然完成の兆しすら見えね〜〜…。」
ヒロト「まだ初日さ、そう焦る必要はない。時間を掛けて完成させよう。」
う〜ん、流石は元ザ・ジェネシスのキャプテン。人の上に立つ者としての余裕ってヤツを感じるぜ。
雷牙「なぁヒロト〜〜。」
ヒロト「何だい?雷牙君。」
雷牙「どうして俺を選んだんだ?」
ヒロト「『どうして』か…。」
いや別にヒロトとコンビを組むのは嫌じゃ無ェのよ?コイツの強さはエイリア騒動の時に身をもって知ってるし。
エイリア学園からの呪縛から解放されたからか、あの時ほどの理不尽なパワーは感じねェが、それを補って洗練されたスピードとテクニックは世界でも屈指の実力だろうしな〜。
ヒロト「…『君の事を知りたかったから』かな?」
雷牙「俺の事ォ?」
ヒロト「君と俺はさ、少し似ているから。その…境遇がさ。」
あ〜…、ソッチでシンパシー感じてたのね。思い返せば確かにそうだな、確か稲魂家に引き取られたのが3歳くれーの時で、そっから9歳の時に親父たちを亡くしてんだ。
ヒロト「君と俺は実の親の愛情を受けられなかった者同士だ。…でも父さんに依存していた俺とは違って、君はずっと自分の意志を持って生きてきた。その“強さ”の秘密をどうしても知りたくなったんだ。」
雷牙「ハァ〜…、ヒロト最初に言っとく。別に俺は“強く”なんかねェよ。」
ヒロト「意外だね、てっきり君の事だから『当然!何故なら俺は生まれつきの強者だからだ!』とか言うと思ってたけど。」
一体俺の事をどんな傲岸不遜自己陶酔ナルシスト野郎だと思ってんだよ…。
俺だって多少の謙虚さくれェあるっての。…1mmくらいは。
雷牙「俺だって親父、お袋、ライトを亡くしてからはずっと家族と繋がる為にサッカーをしてた…。笑っちゃうよな、巷では“サッカーモンスター”だなんて呼ばれてる癖に本当の意味でサッカーを楽しんだ事は一度も無かったんだ。」
思い返せばマジでサッカープレイヤーとして終わってたな。
守に絶対的な信頼を置いていたのもアイツにライトの面影を見出したから。
日本一を目指したのもそれがお袋の夢だったから。
人一倍努力を続けたのも親父に少しでも近づきたかったから。
俺の全ての行動には俺自身の意志なんてこれっぽっちも無かったんだ。
ヒロト「でもライトは生きていた。」
雷牙「そうだ。あの時、俺の中にあった大切な何かが壊れたような音がしてさ。まともにサッカーボールに触れなくなっちまった。その時、大切な人の声が聞こえたんだ。んで言われたよ『オマエは1人じゃない、仲間がついてる。だから前に進め。』ってな。だからこそ立ち直れたんだよ。」
ぶっちゃけアレが本人の魂だったか、俺が作り出した幻かは知らんけど、本人だった事にしとこう。ソッチの方がロマンがあるし。
雷牙「結局だ。俺はオマエが思ってるほど“強く”無ェ、けど“弱く”も無い。それは全人類同じだ、誰かの“強さ”が誰かの“弱さ”を補い合って生きていく…、それが“人間”ってモンだろ?」
ヒロト「…やっぱり君はライトの兄弟なんだな。」
雷牙「ああ、魂で繋がった最高の兄弟だ。」
血の繋がりなんて関係無ェ、大切なのは魂で繋がってる事…それだけで十分だろ?
ヒロト「やっぱり君とコンビを組んだのは正解だったよ。よし!そろそろ夕食の時間だから練習はここまでにしよう。」
しゃあ!晩飯!っとその前にシャワー浴びねェとな、土まみれで食堂に行ったら夏未に怒られ…
雷牙「いや、夏未は留学中か…。」
ヒロト「雷牙君?どうかしたかい?」
雷牙「…なんでもねェよ。パッパとシャワー浴びて食堂に行こうぜ。」
♢♢♢
翌日、今日も今日とてイナズマジャパンは連携技を極める為に特訓に励む。
雷牙とヒロト、綱海と壁山、熱也と雷電…etcといった珍しいコンビ達は汗水を流しながら幾度となく失敗と改善を重ねている。
その中で最も完成に近いのは間違いなく彼らだろう。
豪炎寺「いくぞ!虎丸!」
虎丸「はい!タイガー…!」
虎丸が拳法を思わせる独特な構えを取ると背後に巨大な猛虎のオーラが現れる。
間髪入れずに空中に居る豪炎寺に向かって渾身のシュートを叩き込むと猛虎は嵐の如き咆哮をあげボールにオーラを纏わせる。
空中で待機していた豪炎寺は紅蓮の魔神を顕現させ向かって来たシュートに灼熱の右足と紅蓮の拳を叩き込み、猛虎の咆哮に新たな力を与える。
豪炎寺「ストームッ!!!」
“タイガーストーム”と名付けられたシンプルイズベストな必殺シュートは猛虎のオーラと灼熱の炎が見事に調和し合いゴールへ向かう。
だがペナルティエリアに入った瞬間、先ほどまでの調和が嘘のように2つのオーラは反発し合い、遂には飛散してしまう。
虎丸「すみません豪炎寺さん…。俺が貴方と一緒に連携技をやりたいと言ったのに何度も失敗しちゃって…。」
豪炎寺「いや、今の“タイガードライブ”の入りは完璧だった。力の調整上手くいっていないのは俺の方だ、すまない。」
0から新たな技を生み出そうとしている他のコンビとは異なり“タイガーストーム”は既存の必殺技の集合体…それ故に打ち手の力調整がその完成度を大きく左右する。
10年に1人の天才である豪炎寺の才能を持ってしてでも簡単にはいかないのだ。
豪炎寺「次は6:4の割合でいくぞ。虎丸が6、俺が4だ。」
虎丸「はい!よろしくお願いします!」
若き虎の元気のいっぱいの返事がグラウンドに木霊する。
失敗すれば成功するまでやり直せばいい。何度倒れて立ち上がる雑草魂は早くも若き才能に受け継がれている。
虎丸の返事に触発され他のメンバーも練習に力を入れようとした直後、18人の選手の中で円堂だけを狙った鋭いシュートが飛んで来る。
円堂「! “ゴッドハンドッ”!」
不意を突かれても流石は日本最強のGK、即座に十八番の“ゴッドハンド”で対応し謎の人物からのシュートを完璧に止めてみせた。
吹雪「駄目じゃないか熱也。隙あらば円堂君を試す癖は治せって言っただろ?」
熱也「ちげーよ!今のは俺じゃねー!てかずっとグラウンドの中に居ただろ!?」
円堂「誰だ!?」
後ろで行われている兄弟漫才を無視してシュートの持ち主を問う円堂。その視線の先に居たのは長身の黒髪の男だった。
我々はその男を知っている。
多少の見てくれは変わっているものの、その闘志に溢れた瞳は忘れられる筈がない。
???「久しいな諸君…!私は帰ってきたぞ…!」
熱也「あいつは…!」
綱海「えーと…、確か沖縄で試合した…。」
円堂「デザーム…!いや…砂木沼…!」
その男こそ沖縄の地で雷門と激闘を繰り広げた、エイリア学園の誇り高き戦士デザームこと
雷牙「一体何しに来たんですかね〜、オサーム様?」
砂木沼「フハハハ!我らが対峙した以上、やるべき事はただ1つ!円堂守!今度こそ貴様と決着を付ける事だ!」
すると砂木沼の背後に15人の選手が現れる。そのメンツは偶然か否か全員かつて雷門と激闘を繰り広げたライバル達だった。
突然の異常事態に驚きを隠せないイナズマジャパン一同だが駄目押しと言わんばかりに最後の衝撃が姿を表す。
瞳子「久しぶりね円堂君。」
円堂「ひ、瞳子監督〜〜!?ど、とうして監督がここに…!?」
瞳子「あら?このメンバーを見てもまだ分からない?」
得意気な笑みを浮かべながら円堂を小馬鹿にする瞳子だが厳密には大半のメンバーは大方察しは付いている。ただあまりに強引な手段すぎて脳が理解を拒んでいるだけである。
瞳子「私達はイナズマジャパンに挑戦します!真の日本代表の座を賭けて!」
円堂「え…!」
『ええ〜〜!!?』
今日の天気は晴れ時々挑戦者。どうやら神様はイナズマジャパンに理不尽な試練を与えるのが好きらしい。
子供の頃なんで緑川は代表に選ばれて砂木沼は候補にすら選ばれなかったん?子供心ながらに疑問に思ってたんですけど、よくよく考えてみるとデザーム様って割と中途半端な人材なんですよね。
・FWとして起用した場合:チームに彼よりも強いであろう豪炎寺、吹雪、ヒロトの3人が居る。よしんば候補に入れたとしてもイナズマジャパンはFWの層が厚すぎてデザーム様が採用される未来が見えない。
・GKとして起用した場合:主人公とポジションが被る時点で不遇。そもそも彼以上に強い立向居が(本戦では)アルゼンチン戦しか見せ場が無かった事を考えると例え採用されたとしてもベンチウォーマーになるしかない(悲しい事にオリオンで証明済み)。
とまぁ、イナズマジャパンの環境はデザーム様にとってあまりにも逆風すぎるんですよね。そうなる事が分かってたから響木監督はまだMFとして適正なありそうな緑川を選んだんじゃないでしょうか?
まぁ!この小説じゃ緑川の枠すらも雷牙にぶん取られたんだけどな!ゲハハハッ!