イナズマイレブンHEROS!!!   作:月兎タンク

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本当はアジア予選同様、最トーオマージュの開会式をしてからイギリスパーティーに入る予定だったけど、あんまいい実況が思いつかなかったから没になっちゃった。
そう長々する話でもないしね、しょうがないね。


突如勃発!! 日本VS世界!?

 開会式も終わった翌日。イナズマジャパンは宿舎内のミーティングルームに集まり、FFI本戦のルール説明を受けていた。

 

秋「もう皆FFI本戦のルールは知っていると思うけど、もう一度だけ説明するわね。」

 

 FFI本戦はAブロックとBブロックの2ブロックに分けられ総当たり戦を行う。

 勝てば3点、引き分け1点、負ければ0点。全ての試合を終えた段階で得点の高い上位2チームが決勝ブロックに進める方式だ。

 

音無「イナズマジャパンが所属するAブロックには、イタリア、イギリス、アメリカ、アルゼンチンといった強豪チームが多数所属しています!」

 

円堂「アメリカか…。」

 

雷牙「イタリアねェ…。」

 

 米国と伊国の名を聞いた円堂と雷牙の脳裏に浮かぶのは、かつて苦楽を共にし日本一に輝いた戦友達と“怪物”の血を受け継ぐ兄の姿…。

 自分達同様に予選での激戦を通して、更にパワーアップしているであろう好敵手(ライバル)達に思わず胸が昂ってしまう。

 

雷牙「ハッ!関係無いね!!つまる所全員ぶっ倒せばいいだけだろ?そう難しく考える必要は無ェさ!」

 

豪炎寺「フッ、お前らしい台詞だな。だが…その心意気には同意だ!」

 

 世界に名を轟かせる強豪達を前にしても、依然として自分達の勝利を疑わない雷牙の自信家っぷりに、チームメイトは呆れつつも同時に頼もしさも覚える。

 

秋「私達の初戦は2日後!対戦相手はイギリス代表の“ナイツオブクイーン”。ヨーロッパの中でもトップクラスの実力を持つ強豪よ。」

 

目金「イギリスですか…。正直、初戦では当たりたくなかった相手ですね…。」

 

 初戦から、強豪国たるイギリスと当たってしまった事に対し、不安に感じる目金だが、雷牙同様イナズマジャパンの表情には不安の色は無い。

 

鬼道「遅かれ早かれどの相手にも当たるんだ。順番なんて大した問題ではない。」

 

綱海「鬼道の言う通りだ!そっかくここまで来たんだしよぉ!どーせ闘るならそれくらい強ぇ相手じゃないよ面白くねぇからなぁ!!」

 

円堂「よーーし!!みんなーー!!全力でぶつかっていくぞーーっ!!!」

 

『おおーっ!!!』

 

 鬼道、綱海、円堂に発破により、イギリス戦へのモチベーションが上がったイナズマジャパンは、練習に励む。

 

 すると…

 

……………

…………

………

……

 

一同『親善パーティの誘いィ?』

 

 2日後のイギリス戦に向けて練習に励んでいる途中、秋から伝えられたのは、その対戦相手であるイギリスからの親善パーティの誘いだった。

 

秋「なんでも試合前に親睦を深めたいから、今日の6時にロンドンパレスで正装して来て欲しいって。」

 

 突然の誘いとはいえ、本来ならば相手側の善意の誘いを素直に喜ぶべきなのだろう。しかしイナズマジャパンの反応はあまりよろしくない。

 

壁山「パーティの誘いは嬉しいっスけど…イギリスの料理ってあんま上手くないって聞くっスよねぇ…。」

 

 イギリスと言えば世界でも屈指のメシマズ国として有名である。

 どれくらい不味いかは、日本一食い意地の張っている壁山ですらも、不味いと評判のイギリス料理を思い浮かべるだけで食欲が失せていると言えば十分、分かるだろう。

 

風丸「俺は食べた事はないから何とも言えないが、実際どうなんだろうな…?なぁ稲魂、お前は留学中に食べた経験はないのか?」

 

雷牙「遠征先の宿の料理が、味付けされてないマッシュポテトオンリーだった時の話でもしてやろうか?」

 

壁山「ひぃぃぃぃ!!!」

 

 国ごとで価値観が異なるとはいえ、日本では考えられない本当に料理かと疑いたくなる思い出話を聞いた壁山は身体を震わせながら絶叫してしまう。

 

鬼道「壁山を怖がらせるな稲魂。…確かにイギリス料理=不味いというイメージはあるが、ちゃんと金を掛ければ現地でも美味い料理は食べれる。少なくとも俺が以前行った現地の高級レストランの料理は美味かった。」

 

風丸「それ、安い店は不味いって言ってるようなもんじゃないか…?」

 

豪炎寺「…流石に代表主催のパーティだから変な料理は出ないだろ。…多分。」

 

 こうして、パーティーに出される料理に一抹の不安を抱えつつも、あちらにも体面がある手前、無碍に断る事も出来ずに親善パーティに参加する事になったイナズマジャパンは準備の為に練習を打ち切りとなり解散する。

 

 しかし…皆が6時のバーティーに向けて準備を行う中、何故か円堂と雷牙だけは、その場から立ち去り何処かへ向かうのだった。

 

♢♢♢

雷牙「ん〜どうしたもんかねェ…。」

 

 お〜す画面の前のみんな〜、愛しの雷牙さんだぜ〜。え?チームメイトに黙って何処に行ってるのかって?

 いやいや〜、別に大した場所じゃねェよ。ただグラウンド近くの森の木の上で寝転がってるだけっての。

 

雷牙「イギリス遠征の軽いトラウマがあるってのもあるけどよ〜。俺、あんま堅苦しいパーティ好きじゃねェんだよな〜…。」

 

 いやな?コレでも俺ちゃんは金持ちの出だから、そういうパーティーの経験が全く無ェってわけじゃないのよ?

 ただな〜…私服ならまだしも正装でのパーティーはどうしても性に合わねェ、例え件のパーティーが食べ放題のビュッフェ形式だったとしても。

 分かりやすく言えば、1000円くれェする高級ジュースよりも数百円程度の安いジュースの方が好きって感じか?

 

雷牙「フワァ〜…もうこんまま昼寝してすっぽかそうかな〜。」

 

???「こんな所で寝てると風邪引いちゃうよ〜雷牙。」

 

 …ん?この女子の声にしては割と低くて、男子の声にしてはかなり高すぎる絶妙な塩梅の声は…。

 

雷牙「あ〜ん…?な〜んで日本地区(ココ)にオマエが居るんだよ?……ライト。」

 

ライト「ヤッホ〜雷牙!我慢できなくて来ちゃった♪」

 

 ハァ〜…来たよ、俺と魂で繋がったブラコンお兄ちゃん(♀)…。言っとくけど俺、まだイタリア地区の人形の件許してねェーからな。

 後で調べてみたらあの人形と祭壇が、異質すぎてライオコット島のバン○シーって話題になってるらしいし。

 

 しかもコイツ、開会式の時に軽く問い詰めたら『押し活』の一言で済ませやがったからな。

 泣き虫弱虫の癖に、そういう変な所で思い切りのいい所は親父にクリソツなんだよな〜。ハァ…もういいやこの話はコレで終わりにしてやる。

 

雷牙「もしかしなくても日本のスパイ目的か?いや〜人気者は辛いねェ。」

 

ライト「違うよ〜!フィディオがさ〜、どうしても円堂君に会いたいっていうからボクも付いて来たんだ〜!」

 

 フィディオがァ?あ〜…そういやアイツ、この間守と会ってたな。時間にして数分程度の付き合いだった筈だけど、その短時間でそんなにアイツの事気に入ったのかァ?

 …いや、分かった。多分、俺がセイバーズに居た頃に散々守の凄さを布教してたから前々から注目してたんだわ。うっわ〜、俺もあんまりライトの事悪く言えね〜…。

 

ライト「それで?何か悩みでもあるの?お兄ちゃんで良かったら聞くよ。」

 

雷牙「べっつに〜?ただこの後あるパーティーに参加するか迷ってるだけっての〜。」

 

ライト「パーティー?」

 

 イマイチ状況が飲み込めてなかったようだから、仕方なーくライトに1から説明してやる。ライトに話した所で具体的な解決策が出て来るとは思えねェけどな!

 

ライト「よ〜し!それならサッカーをしよう!サッカーをすればそんな悩みも吹き飛ぶ筈だしね!」

 

 前言撤回。やっぱり持つべきは、血が繋がってなくても親身に相談に乗ってくれるお兄ちゃんだよな!特別に人形の件は許しちゃう!

 

……………

…………

………

……

フィディオ「やるじゃないか!」

 

円堂「フィディオもな!」

 

 日本地区のグラウンドで、久々にライトとPK戦をしようと思ったが、どうやら既に先客が居たようだねェ。守とフィディオがPKしてら。

 …そういや、フィディオってやたらと半田にクリソツだよな〜声もなんか似てるし。

 

雷牙「へいへ〜い!中々面白そうな事してるじゃねェかお二人さん!ちょっち俺ちゃんも混ぜてくれよ!」

 

円堂「おっ!いい所に来たな雷牙!」

 

フィディオ「この間ぶりだな雷牙!」

 

 う〜んこう見ると、中々にスゲェ面子の集まりだな〜。

 日本最強のGK、雷撃のサッカーモンスター、イタリアの白い流星に、星迅のサッカーモンスター…。

 この光景をファンが見たら、一瞬で卒倒すんじゃねェーか?

 

???「探したぜ!フィディオ!」

 

 すると、突然グラウンドの外から荒っぽい野郎の怒声が聞こえやがった。少なくとも俺も守も知らねェ声だ。

 俺らが視線を声の方向に移すと、そこに居たのはムサいケツ顎のおっさんだった。

 

雷牙「…誰?あのケツ顎のおっさん?」

 

円堂「知らないのか?アルゼンチン代表のキャプテン、テレス・トルーエだよ!世界最強のDFって呼ばれて超凄い選手!昨日の開会式でも居ただろ?」

 

 …居たっけ?こんなヤツ?マジで覚えてね〜。

 

ライト「雷牙に他人の顔を覚えさせるのは期待しない方がいいよ〜。興味の無い相手はとことん覚えないから。」

 

 違いますー、無駄なメモリの使用を控えているだけですー。天下のシャーロック・ホームズだって似たような理論で地動説すら知りませんでしたー。

 

テレス「あん?俺を知らねェとは随分なもぐりじゃねェか、そういうオマエらは誰だ?」

 

雷牙「ハッ!その言葉そっくりそのままお返しするぜ!俺の名前は稲魂雷牙!んで後ろのバンダナは円堂守!テメェらをぶっ倒して世界一になる予定の(モン)だよ!!」

 

テレス「イナタマ…!って事はテメェが“怪物”の息子か…!」

 

ライト「お〜い…ボクも居るよ〜…。」

 

 親父の息子としか認識されてねェのは少し癪だが、どうやら稲魂ステラの名を知らねェ程無学ではねェみてェだな。まあ、コイツは俺の事も実子だと思ってるみてーだけど。

 

テレス「へぇ!こいつは幸いてるぜ!!フィディオに続いて“怪物”の息子達もココに集まってるとはな!丁度いい、3人纏めて俺が相手してやる!!!」

 

雷牙「おいおい?いいのかよ?俺らに掛かればオメーさんなんて、チョチョイのチョイだぜ?」

 

フィディオ「いや…俺はまだ勝負を受けるとは言ってないけど…。」

 

 んな硬い事言うなって。女の前では軽くなる癖に、野郎同士じゃ若干押しが弱くなるのは変わってねェな〜。

 

???「それならミー達も仲間に入れてよネ!」

 

 あ〜ん?お次はなんだァ?なんでかは知らんが、今日はやけに知らん声がする日だなァ。

 

フィディオ「君達は…ディランにマーク!」

 

雷牙「守、解説ヨロ。」

 

円堂「ごめん…俺もよく知らないや…。多分、ユニフォームからしてアメリカ代表とは思うけど…。」

 

 あっコレ、メリケン代表のユニフォームなのね。USAの事だからもっと派手なカラーリングだと思ってたわ。

 

ライト「サングラスの彼が“ユニコーン”のエースストライカー・ディランで、隣のイケメンがキャプテンのマークだよ。」

 

雷牙&円堂「「へ〜!!」」

 

 俺はまだしも、守からすりゃあアメリカ=一之瀬と土門が居るチームってイメージなんだろうな。だとしても、ケツ顎の事をやたら詳しく知ってたのは謎だけど。

 

ディラン「おっ!そのクールなバンダナ!ユーがマモル・エンドウだネ!カズヤから話は聞いてるヨ!!なんでも世界最高のキーパーなんだってネ!」

 

円堂「い、一之瀬がそんなことを?えへへ…なんか照れるな…///」

 

テレス「…それで?何でアメリカのエース2人がこんな所まで来たんだ?まさか、オマエらもフィディオ目当てか?」

 

マーク「いや、俺達はエンドウに会いに来たんだ。イチノセがあそこまで注目するキーパーを一目見てみたくなってね。」

 

テレス「コイツが…?」

 

 おっ、ケツ顎の見る目が変わった。コイツに取って世界的な知名度は一之瀬>守なんだろうな。多分、日本じゃ逆なのに。

 そう考えると一之瀬って俺らが思ってた以上に有名な選手だったんだな〜。エイリア騒動の時は、割と扱い雑だったし、(主に浦部絡みで)散々な目に遭ってた気もすっけど。

 

雷牙「なら丁度いいじゃねェか!ソコのケツ顎はフィディオと、メリケン組は守と戦いたい…。なら、俺、守、フィディオの3人と残りの4人でミニゲームだ!勝利条件はどちらかが先に点を入れた方が勝ち!コレでどうだい?」

 

テレス「チッ!誰がケツ顎だ!いい加減名前を覚えやがれ!…だが、その提案には乗った!俺はフィディオと闘えればそれでいいからな!」

 

ディラン「ミー達も異論は無いヨ!」

 

ライト「…アレ?ボクは雷牙と一緒のチームじゃないの?」

 

雷牙「オメーはアッチだ。何せキーパー居ねェかんな。」

 

ライト「ムゥ〜!!!ボクも雷牙と一緒のチームがいい〜〜!!!」

 

 なんか目の前のなっさけねェ兄貴がほっぺを膨らませて文句を垂れてるが、そんなの無視だ無視。

 ケツ顎のテラスに、“バイコーン”のマクドと米国産鬼道…。ハッ!相手取って不足は無ェ!!少しは俺ちゃん達を楽しませてくれよ?

 

……………

…………

………

……

 それから俺、守、フィディオのAチームと、ライト、テラス、マクド、米国産鬼道のBチームは一進一退の攻防を繰り広げた。

 流石は世界トッププレイヤー達。俺らも化身や獅風迅雷を封印してるとはいえ、純粋な技量は同等以上。やっぱ、そう簡単には勝たせてくんねェは。

 特にケツ顎は思った以上に強くてよ、世界最強のDFの名は伊達ではねェ事がよーく分かった。

 

 そんなこんなで、一歩も譲らない勝負を繰り広げていたら、いつの間にか日は沈みかけ、夕方になっていた。

 

雷牙「ハァ…ハァ…!な、中々やるじゃねェーか…!」

 

テレス「ハァ…ハァ…!オマエもな…!」

 

フィディオ「凄いな…。アソコまでの体格差がありながらも、正面でテレスと張り合える程のパワー…流石は雷牙と言った所か…。」

 

ライト「当っ然!だってボクの自慢の弟だからね!」

 

 最初こそ、ケツ顎はフィディオに狙いを定めてたミテーだが、俺ちゃんがちょくちょくちょっかいを掛けてたら、知らん間に標的が俺に変わって、俺VSケツ顎みたいな感じになってら。

 そのせいで、守はメリケン組が攻めるからいいけど、ライトは未だに誰もケツ顎を突破出来てねェから暇してらァ。

 

テレス「おい…イナタマ。もうココまで来たら出し惜しみは無しだ…!全力でぶつかって来やがれッ!!!」

 

雷牙「ヘッ!!その心意気や良し(ベネ)!!全力全開オーバードーズでオメーをぶっ倒してやんぜェ!!!」

 

 ケツ顎…いや、テレスの勝負に乗った俺は残った体力(ガソリン)をフル稼働させ、全速力のドリブルを始める。

 

 その瞬間、俺ちゃんの目の前に分厚い鉄の壁が聳え立つ。

 

テレス「“アイアンウォール”!!」

 

フィディオ「出た!テレスの“アイアンウォール”だ!」

 

 ほぉ?その鉄壁がコイツの必殺技か…。単純な防御性能なら壁山すらも超えてらァ…。んなら…!

 

雷牙「ハッ!面白れェ!!!だったらコッチも遠慮なくッ!!“獅風迅雷ッ”!!!」

 

マーク「アレがイナタマ・ライガの切り札か!まるでコミックの中のスーパーヒーローだな…!」

 

ディラン「イッツ!ビューティフォー!!!」

 

 さぁ〜てと…。オメーの“鉄壁”と俺の“本能”…果たしてどちらが強ェかな?

 

雷牙/テレス「「ウォオオオオオ!!!」」

 

 両者が全てを出し尽くしすその様はまさに“魂”のぶつかり合い!!ぶっちゃけアジア予選じゃあ韓国を除いて、俺らを楽しませてくれるチームはなかったから、久々の強敵の出現に俺ちゃんのハートの鼓動は音量MAX!!

 

 さぁ…!決着を付けようぜッ!!!

 

ピーッ!!

 

雷牙/テレス「「んだぁ!?」」

 

 …と思ったのも束の間。突然、グラウンドの外からホイッスルが鳴り響いたせいで、驚いた俺らはつい動きを止めちまった。

 

雷牙「あ〜ん?誰だァ?こーんな良い所で水を指すような愚か者(おろかんちゅ)はよォ?」

 

 普段から温厚な俺ちゃんも、せっかくの勝負に水を指すヤツは誰であろうと許さん!鬼でも魔神でも掛かってきやがれッ!!!

 

 

 

 …そう考えてた時期が俺にもありました。

 

冬花「守君。稲魂君。もうパーティーの開始時間過ぎてるよ。」

 

雷牙&円堂「「……あ。」」

 

 結論から言おう。ホイッスルの音源はグラウンドの上に居る白いドレスを着こなしたフユッペだった。

 一見すると、服装以外には普段と変わらない清楚なフユッペだが、身体からは僅かに黒いオーラが流れて出て、目に至っては名前の通り、雪が降り頻る冬場の山奥のように冷たい目で俺ら見下してる。

 

 マズいな…アレ、100%怒ってるわ。分かるもん、だって死んだお袋も静かに怒るタイプだったから。

 

雷牙「ヤッベ〜…パーティーの件、すっかり忘れてた…!」

 

円堂「急ぐぞ雷牙!今から走ればまだ間に合う筈だ!ごめんみんな!俺たちこれから用事があるから、勝負はまた今度!」

 

雷牙「ホナ。バイナラ〜!」

 

 これ以上、フユッペを怒らせない為に強引に勝負を打ち切った俺達は、大急ぎでロンドンパレスへ向かおうとする。

 

テレス「おいイナタマ!今日の所は引き分けで手を打ってやる!決着は試合で付けるぞ!!」

 

雷牙「上等ッ!!まっ!俺ちゃんが100%勝つがな!アバヨ〜テレス〜!」

 

 こうして、突如始まった世界のトッププレイヤーとのミニゲームは終わりを告げた。

 パーティーには遅刻しちまったが、得る物はかなり大きかったから俺ちゃん的には結果オーライ!マイペンライ!

 特に、アルゼンチン代表のキャプテン、テレス・トルーエは中々面白ェヤツだったぜ、本戦での試合を楽しみにしといてやんよ。

 

円堂「急げ雷牙!走らないと間に合わないぞ!」

 

雷牙「まァまァ、そう焦りなさんなって守〜。もう約束の時間から1時間近く遅れてるんだぜ?ココまで来たら、1分の遅刻も30分の遅刻も大差無いって〜。」

 

円堂「遅刻魔の俺が言うのも何だけど、その考えは改めた方がいいと思うぞ…。冗談抜きで。」

 

 おっと、守君のガチトーン炸裂〜。流石にコイツにここまで言わせるのはライン超えの合図だし、少しは急ぐか。

 

 ってなわけで、フユッペを置いていかない程度に小走り気味にロンドンパレスに向かう俺達だったが、ここにちょっとしたトラブルが発生する。

 

冬花「きゃっ!?」

 

円堂「大丈夫かふゆっぺ!?」

 

 なんとフユッペの履いてたヒールの踵が折れちまった。まあ、そもそもヒールは走る事は想定してねェ靴だし、しゃあねェか。

 

雷牙「ヒールが折れちゃってオ〜ノ〜ってか!ガッハッハッ!!!」

 

円堂「笑い事じゃないだろ雷牙〜。大丈夫かふゆっぺ?歩けるか?」

 

冬花「…ううん、少し難しいかも…。」

 

円堂「そっか。じゃあ俺の背中に乗れよ!」

 

 きゃ〜!流石はサッカーのマモル君!略してさすマモ〜!麗しのレディに対して、大胆な事するね〜!

 

冬花「でも…。」

 

円堂「遠慮すんなって!その脚じゃ歩けないだろうし、そもそもこうなったのは俺たちのせいだからさ!」

 

雷牙「なら俺ちゃんは、その靴を持っててやるとすっか。」

 

冬花「…ありがとう。」

 

 こうして、守はフユッペをおぶって、俺は申し訳程度に折れたヒールと踵を手に持って、再びロンドンパレスを目指す。

 

冬花「……。」

 

 あん?何かフユッペの顔暗くねェか?心無しか目のハイライトも薄いような…?…いや流石に気のせいだろ。

 

冬花「…おの?」

 

 まるで魂が抜けたかのように、何かを呟くフユッペ。その声が聞こえていながらも、この時の俺達はその真意に気づく事が出来なかった。

 

♢♢♢

 雷牙達がロンドンパレスに到着した時には、既に太陽は完全に沈み月明かりが世界を照らしていた。

 現地では、イギリス代表に招かれた大勢の参加者達が正装を身に包み、パーティーを楽しんでいる。

 その中には当然、雷牙と円堂以外のイナズマジャパンのメンバーも漆黒のタキシードを身に包み、ナイツオブクイーンのメンバー達と親睦を深め合っている。

 

円堂「すみませーん!遅れちゃいましたー!」

 

雷牙「もう失った時間は取り戻せないけど、雷牙さんのイケメンフェイスで帳消しにしてくださーい!!」

 

 到着早々、円堂は素直に自身の遅刻を謝罪する一方で、雷牙は向かう途中に考えたモンスタージョークをかまし、場を和ませようとする。

 だが、小綺麗なタキシードとドレスを身に包まなければ参加が叶わないこの場において、2人の泥に塗れたユニフォーム姿は明らかに浮いている。

 

 TPOを弁えない日本から来た少年に、参加者達はやや冷たい目で彼らを見る中、1人の長髪長身の少年が近づく。

 

???「構いませんよ。知らせが遅れた我々にも多少の非がありますからね。」

 

雷牙「え〜と…誰?アンタ?」

 

???「失礼、私の名はエドガー・バルチナス。イギリス代表チーム“ナイツオブクイーン”のキャプテンです。以後お見知り置き。」

 

円堂「俺は円堂守!イナズマジャパンのキャプテンだ!」

 

 円堂はキャプテンとして、エドガーに握手を求めるが、当のエドガーは円堂の泥塗れの手を見ると、彼を小馬鹿にするように鼻で笑い握手を拒否する。

 

エドガー「フッ、取り敢えず服を着替えてきたらどうかな?」

 

円堂「あ〜、ごめんごめん!グラウンドから直接来たからさ〜!」

 

雷牙「……。」

 

 その後、正装をするように促された2人は、エドガーが呼び出した使用人に引き連れられ、指導を受けながらタキシードに着替える。

 

円堂「へぇ〜!少し窮屈だけど、思ったよりは動きやすいんだな〜!」

 

雷牙「うっへ〜…やっぱ慣れねェ〜…。」

 

 初めて着用するタキシードに円堂は、想定以上の動きやすさに感嘆の声を漏らしつつも、雷牙としてはやはり不満なようで、うんざりした表情で項垂れている。

 

 それからは、特に大きなトラブルもなく事前予想を覆す美味しい料理と、サッカーに造形の深いイギリス代表選手と交流し、心ゆくまで親善パーティーを楽しむ。

 

 円堂は風丸や立向居に先ほど対戦した世界の強豪達の凄さを語り、雷牙は壁山や染岡と共にイギリス料理を貪り食っている。

 

雷牙「ローストビーフ美味し!フィッシュアンドチップス美味し!その他モロモロの料理も美味し!」

 

染岡「がっつきすぎだろ…。料理は逃げねーからもっと大人しく食え!」

 

 お世辞にも品があるとは言えない、荒っぽい食べ方で料理を貪る雷牙を染岡が諌める。

 

 すると、先ほどまでイナズマジャパンのマネージャー達に付きっきりだった、エドガーが雷牙の前に現れると、彼の蒼い瞳に視線を移し、力強い目つきで雷牙を見つめる。

 

雷牙「あん?なんだァ?急に人の顔をジロジロ見て?もしかして俺ちゃんに惚れたかァ?」

 

エドガー「ご冗談を。ただ…貴方の持つ、その蒼い瞳…。それは英国人特有の物だが、どうやら私の思い違いのようですね。何せ、誇り高き我が祖国に、貴方のような品の無い人間は居ませんから。」

 

雷牙「おっとォ?これまた要領の得ねェ発言だなァ。もしかしてお宅の国語の教師はインプレゾンビかい?」

 

 味方が侮辱すれば静かに怒りを燃やす雷牙だが、自分を侮辱されれば普通に怒る。

 明らかに悪意の籠った皮肉を受けた雷牙は、怒りの皮肉を送り返した事で、エドガーは雷牙を見下し、雷牙はエドガーを見上げる形で、彼らの周囲は一触即発の空気となる。

 

目金「ちょっと待ってください。貴方、先ほどからやたらと失礼ではありませんか?円堂君を小馬鹿にしたような態度と、今の稲魂君への挑発的な発言…。どう考えても貴方の方に非があると思いますけどね。」

 

 意外な事に、普段は気弱な目金がトレードマークの眼鏡を光輝かせながら先陣を切り、エドガーの雷牙達に対する数々の非礼を指摘する。

 だが、当の本人は自身の非を詫びる所か、身に覚えがないと言わんばかりの態度を取り続ける。

 

エドガー「非礼?申し訳ありませんが、身に覚えがありませんね。私はただ事実を言っただけの認識でしたが?」

 

 エドガーの一貫して自身の非を認めない傲慢な態度は、イナズマジャパンの対抗心に火を付け、ただでさえ悪かった空気は更に悪化する。

 特に情に厚く、気の短い綱海は語気を強めてエドガーに抗議しようとするが、円堂が彼の前に立ち静止する。

 

円堂「やめろ綱海。」

 

綱海「円堂…!でもよぉ!」

 

円堂「怒る気持ちは分かるが、俺たちはサッカーをしにここまで来たんだ。この思いはグラウンドでぶつければいい。」

 

雷牙「俺ちゃんもどーかん。そ・れ・に〜?見た感じ、イギリスのキャプテンは、プライドの高さと口先だけは一丁前のヘボ選手って事が分かったかんな〜。そんなヤツらに俺らが負ける筈が無ェし〜。」

 

 円堂(キャプテン)の言葉によって、イナズマジャパンの敵対心が収まり、選手同士による試合前のトラブルだけはなんとか避けられる。

 その光景を見ていたエドガーは、まるで自身の予想が外れたと言わんばかりにやや顔を顰めると、すぐに元の表情に戻り、第二の計画を実行する。

 

エドガー「だったら…今ここで試してみましょうか?」

 

円堂「試す?」

 

エドガー「ええ。貴方が私のシュートを止めれるか…つまり簡単なPKですよ。貴方が私のシュートを止めた時は、私の非礼を認め謝罪しましょう。まさかとは思いますが…嫌とは言わないですよね?」

 

 明らかに何か裏がある様子のエドガーの挑発に乗るのは非常に危険だ。だが、言葉ではああは言いつつも、内心では親友である雷牙を侮辱された事による怒りは、依然として円堂の心の中にあった。

 暴力や陰謀による番外戦術を嫌う円堂だが、サッカーで正々堂々白黒を付けるのならば、話は別だ。

 

 数秒の思考の末に円堂が導き出した答えは…。

 

円堂「…いいだろう。受けて立つ!」

 

エドガー「Cheers(ありがとう)。さあ!楽しい余興を始めましょうか!」

 

……………

…………

………

……

 

 ロンドンパレス内にあるイギリス代表専用のグラウンドに移動した両チーム。

 既に円堂とエドガーは、代表ユニフォームに着替えゴール前にて対峙している。

 

綱海「おいおい!大丈夫なのかよ!?ここで円堂が負けちまったら赤っ恥だぜ!」

 

鬼道「円堂を信じろ。それに…この勝負は俺達に取っても、メリットが大きい。」

 

綱海「?」

 

 勝負の内容は1対1のシンプルなPK戦。だが、2人を取り巻く周囲の状況は大きく異なる。

 万が一、円堂が敗北しても彼ならばその敗北をバネに大きく成長するだろう。

 しかし、エドガーは違う。彼はサッカー発祥の地・イギリスの代表の主将を任された人物であり、世界的に見ても彼への注目度は非常に高い。それに加えて、大勢の観衆の前で、あそこまで大口を叩いた手前、勝たなければ彼の面子は丸潰れとなる。対面と誇りを何よりも大切にするエドガーにとって、この勝負は絶対に勝たなけれならないのだ。

 流石のエドガーもノーマルシュートで円堂を破る事は不可能だ。故に、100%彼は必殺技を使うだろう。つまり、ここである程度のエドガーの実力が分かるという事なのだ。

 対戦チームのエースストライカーの実力を把握出来るという、情報アドバンテージは実に大きい。必ず、イギリス戦での攻略に役に立つだろう。

 

エドガー「それでは…いきますよ。」

 

円堂「こい!!!」

 

 プライドの高さのせいで、イナズマジャパンの狙いに気づいていないのか、はたまた、そのリスクを飲み込んだ上で敢えて手の内を晒そうとしているのかは分からない。

 それでもエドガーは、ゴールへ向かってドリブルを始めると、即座にボールを軽く上空に上げ、自身も空中で一回転し右脚を天に掲げると、右脚が天に聳え立つ“聖剣”と化す。

 

エドガー「“エクス…!カリバー”!!!」

 

 振り下ろされた“聖剣”の刃と共に射出されたシュートは、凄まじい威力と速度と共に円堂へ襲い掛かる。

 

 円堂は怯む事なく、右手に気を集中させ飛び上がると、その背に黄金の魔神を降臨させ、振りかぶった拳を勢いよく振り下ろす。

 

円堂「“怒りのぉぉぉ!!鉄鎚ッV2”!!!」

 

 聖剣に殴り掛かった魔神の鉄鎚は、なんとかその刃を粉砕しようとするが、両者の力を拮抗し合い、周囲に軽い衝撃波が発せられる。

 

エドガー「フッ…!」

 

円堂「グギギギ…!負ける…!もんかァァァ!!!」

 

 自身の勝利を確信しているエドガーは、またしても必死に止めようとする円堂を小馬鹿にするような笑みを浮かべ、敗者の姿をその目に焼き付けようとするが、円堂はまだ喰らいつこうとする。

 

 その瞬間…

 

パンッ!!!

 

円堂「ドワァ!?」

 

 二方向から加えられる力に耐えきれなかったボールは、楽な道を選ぶかのように破裂し、力の行き先を失い体制を崩した円堂をエリア外まで転がり回す。

 

立向居「ああ…!ボールが…!」

 

熱也「おいおい!これって勝敗はどうなんだよ!?」

 

鬼道「ボールが破裂した以上、勝者も敗者も存在しない…。つまりは引き分けだ。」

 

雷牙「それマジンガ〜?」

 

 日本と英国の主将同士による一戦は、ボールの破裂による引き分けという誰も予想出来なかった結果に終わった事に、皆は唖然とするしかなかった。

 

円堂「これが…!世界トップクラスのシュートか…!…くぅ〜〜!!!スッゲェよ!!!」

 

 勝負が不完全燃焼に終わっても、円堂はその肌で世界の実力を実感していた。

 後1秒でもボールの破裂が遅れていたら、自分が負けていたかもしれない…常人ならば受け入れ難い結果を前にしても、円堂は目を輝かせながら歓喜の笑みを浮かべていた。

 

円堂「エドガー!もう一度だ!今度こそお前のシュートを止めてやる!」

 

エドガー「…いえ、もう結構です。これはあくまで余興、故に今ここにあるボールもそう多くはありませんからね。引き分けという結果で終わった事は残念でなりませんが、この決着は試合にて付けるとしましょうか。」

 

 自分から勝負を仕掛けておいて、手持ちのボールの数が少ないという理由で切り上げたエドガーはチームメイトの元へ戻る。

 その際に僅かに見えた表情からは、先ほどの悪意と侮辱が込められた嫌らしい笑みではなく、目の前の好敵手に期待を込めた喜びの笑みが浮かんでいた。

 

雷牙「…取り敢えず今日はもう帰るか。なんか色々ありすぎて疲れたし。」

 

 雷牙の言葉に賛同したイナズマジャパン一同は、パーティーを切り上げ日本宿舎へ帰って行く。

 この親善パーティーにて、改めて世界の壁の厚さを実感したイナズマジャパンは残り1日の練習に力を入れ、イギリス戦へのモチベーションを高める。

 

 そして…。

 

……………

…………

………

……

 

マクスター『さぁ!!!FFI本戦Aブロック初戦!日本代表・イナズマジャパンと、イギリス代表・ナイツオブクイーンの試合が今、始まろうとしていますッ!!!』

 

円堂「みんなっ!!この大舞台を心から楽しんでサッカーやろうぜっ!!!」

 

エドガー「誇り高き騎士達よ!世界の頂点に立ち!必ずや祖国に栄光を!」

 

 日の本の“想い”を背負う侍と、大英帝国の“誇り”を背負う騎士との一戦が幕を開ける。




ぶっちゃけパーティーの一件に関しては9割くらいは雷牙と円堂に非があると思う。

【不定期掲載!イナっと裏話!】
実は雷牙は祖母がイギリス人のクォーター(銀牙の髪色が白金色なのも祖母由来の隔世遺伝)。
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