イナズマイレブンHEROS!!!   作:月兎タンク

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原作よりも円堂が強くなりすぎたせいでまともに円堂と戦おうとしない奴が多くて困る。


本物のサッカー

No side

 

雷門と御影専農の試合が始まるが序盤は攻める雷門に興味は無いとばかりに動かない御影専農。しかしその余裕はすぐに崩されることになる。

 

「“ファイアトルネード”!」

 

「“シュートポケット”!」

 

先日の決闘の再現のようにシュートを止める杉森だが明らかな違和感を覚える。シュートの威力がデータの想定を超えているのだ。豪炎寺だけではない、先ほどワザと攻め上がらせた時も全員のスピードがデータよりも向上しており、予想された成長度合いを大幅に上回っている。

 

「…監督、雷門の身体能力がデータの予想を上回っております。修正を要求します。」

「…何?そんなことはありえない!総帥から受け取ったデータを疑うと言うのか杉森⁉︎奴らの成長は私の予想の範囲内だ!シミュレーション通りに試合を進めろ!」

「…了解。」

 

監督の指示を受けた杉森はメンバーに指示を出し、帝国に勝るとも劣らない精度の連携で攻め上がる。

 

「こい!今度こそは止める!」

 

「俺の必殺技がコピーだけと思ったら大間違いだ。」

 

エースストライカーの下鶴がボールを上空に上げるとボールがミサイルのような挙動をしゴールに襲いかかる。

 

「“パトリオットシュート”。」

 

「“ゴッドハンド”!」

 

油断せずに最強技で対抗するが予想していたシュートコースを大きく外れてしまう。

 

「し、しまった!間に合え!」

 

円堂の願いも虚しく、ゴールネットを揺らしてしまう。

点が取られたなら取り返せばいい。雷門はそう意気込んだが御影専農は1点とった時点で雷門とまともに戦おうとはしていなかった。

 

「コイツらずっとパスを回してやがる…!」

「1点を取った時点で試合をする気が無いってことか…!」

 

御影専農は雷門にボールが渡らないように延々とパスを回し続ける。雷門にはブロック技を持つ選手が雷牙しかいないため極力雷牙がいる方向を避けられれば雷門にボールを取る術が無くなる。

 

「くそ!いいのかよこんな試合で!こんなのサッカーじゃないだろ…!」

 

あと2〜3分で試合が終わる。そう確信した御影専農一同だったが億が一にも予想しなかった伏兵が現れる。

 

「何!」

 

「嘘だろ⁉︎」

 

「な、何故だ⁉︎なぜお前がボールを奪う⁉︎円堂守!」

 

なんと御影専農のプレーに痺れを切らした円堂がゴールをガラ空きにしてボールを奪ったのだ。これには御影専農だけでなく新入りの土門もドン引きしている。

 

「どりゃぁぁあ!」

 

「なんだこれは…こんなものデータに無い!」

 

一瞬硬直していた杉森だったがシュートが打たれていることに気づくと体勢を整えてシュートを止める。それと同時に前半が終了する。

 

「何考えてんだよ、あのキャプテン…。GKがゴールを空けるなんてありえないっての…。」

「スゲェヤツだろ守は?雷門(・・)のメンバーになった以上、アレに慣れることだな土・門・くん?」

 

若干皮肉が籠った雷牙の言葉に土門は自分がスパイであることがバレたと勘繰るがとりあえず試合に集中するためにベンチに戻る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「オマエら聞いてくれ、この俺に超絶ズババーンとしたアイデアがある。」

 

雷牙の言葉に耳を傾ける一同だがその内容はあまりに衝撃的なものすぎて雷が落ちたような衝撃を受ける。

 

「いや無理だろ!そんなことをして御影専農のシュートを止められるわけがないだろ!」

 

「…いや、一理はある。御影専農が持っているデータはあくまで俺たちフィールドプレイヤーの物。あいつ(・・・)のデータはおそらく持っていないだろうからな…。」

 

あまりの博打すぎる作戦にチーム内でも賛否が分かれる結果になるものの雷牙の必死の説得により渋々全員納得する。

 

『さぁ後半戦開始…おや?な、なんと雷門!GKの円堂がMFに入ってるぞぉぉお⁉︎(・・・・・・・・・・・・・)代わりにゴールを守るのは稲魂雷牙(・・・・)だぁぁあ!』

 

円堂をフィールドプレイヤーに配置し自身はGKになる、それが雷牙が唱えた作戦である。理由としては主に2つ、1つ目は先ほどの円堂のプレーで杉森の動きが止まったこと。2つ目は御影専農の猛攻により円堂の手が限界を迎えこれ以上プレーすればサッカー生命に関わる可能性があること。

 

「…ありえない。円堂守をフィールドプレイヤーにするなどというデータは存在していない筈だ…。さっきのプレーと言いなぜお前達は我々の理解を超えるのだ…!」

 

「データ、データってサッカーはデータが試合するんじゃないんだぞ!試合をするのはいつだって俺たちサッカー選手なんだよ!」

 

慣れないフィールドプレイに初めはぎこちない動きをする円堂だったがすぐに適応し、相手陣地に走り駆ける。御影専農は自分達の知らないデータに明らかに困惑しており前半戦で見せた連携が崩れ去ってしまう。

 

「そこだ!いっけぇぇ!」

 

「データにない…こんなものデータにはないぞぉぉお!」

 

一瞬杉森の反応が遅れたもののなんとかシュートを止めることに成功する。

 

「くっ!お前たち!オフェンスフォーメーションシルバー1だ!」

 

杉森はなんとか冷静を取り戻しメンバーに指示を送る。キャプテンの指示を受けたメンバーはある程度の冷静さを取り戻し攻め上がる。

 

「“パトリオットシュート”!」

 

「守から託されたこのゴール、守りきってみせる!」

 

ミサイルと化したシュートがゴールに突撃している中、まるでゴールを放棄するように走り出す雷牙。だがその目は逃げている者の目ではなく覚悟を決めた目である。シュートがペナルティエリアに入った瞬間雷牙はシュートに蹴りを入れ込むが止まらない。

 

「無駄だ!俺の“パトリオットシュート”はそう簡単に蹴り返される威力じゃない!」

 

「一度でダメならよぉ…さらに十回!十回でもダメなら何百回!それでもダメなら何度でも止まるまで蹴り続けてやらぁぁあ!」

 

雷牙の諦めない怒涛の連続蹴りがついに“パトリオットシュート”の威力を殺すことに成功した。

 

「何度も蹴りを入れることでシュートの威力を相殺する…!“シュートブレイク”と名付けましょう!」

 

「その名前、貰い!カウンターだ!オマエら!」

 

「行くぞ!そりゃ!」

 

「“シュートポケット”!」

 

円堂が放ったのはただのノーマルシュートであるがあまりに計算外のことの連続によりいつもの調子がでないのか必殺技を使っても止めきることができずに弾かれてしまう。

 

「守!構えろ!」

 

「雷牙!…分かったいくぞ!」

 

なんとゴールから上がってきた雷牙が円堂にツインシュートの体勢に入るように指示を出した。円堂は特に驚くことなく指示に従い同時にシュートを放つと“イナズマ落とし”以上の稲妻を纏ったシュートが放たれる。

 

「そ、そんな…バカなぁぁあ!」

 

杉森を吹き飛ばしゴールネットを激しく揺らし、1対1の同点になる。

 

「やったな雷牙!ナイスシュートだったぞ!」

 

「オマエもな守。よく俺の指示に合わせてくれたな!ビリビリきたぜ!」

 

念願の1点を取ったことで雷門の勢いがついたのとは対照的に御影専農の動きは完全に止まってしまう。

 

「ここだ!“ワイバーンクラッシュ”!」

 

温存していた染岡の雷門単体最強シュートである“ワイバーンクラッシュ”により遂に雷門が逆転する。

 

『君達には失望させられた。命令を守らない駒は私には必要無い。消えろ。』

 

「そ、総帥⁉︎ど、どうかご慈悲を…!」

 

御影専農の失態を見ていた影山の無慈悲な言葉が監督の富山に告げられる。リストラ宣言を聞いた富山はまるで狂ったように笑いだした後、頭につけていた通信用の装置を捨て逃げるように去っていった。

 

『監督…監督!我々に指示を!このままでは雷門に負けてしまいます!監督!』

 

外されたヘッドギアから杉森の声が聞こえてくるが誰もその声を聞くものはいない。

 

「終わりだ…。」

「勝てっこない…。」

「もうダメだ…。」

 

杉森に接続された装置から御影専農の負けを確信するメンバーの声が聞こえてくる。それもそのはず、雷門には幾度となくデータ外の行動をとられ、逆転までされたのだ。所詮データによって支配された偽りのサッカー選手なのだ。そのデータに裏切られ続ければ気持ちが持つはずもない。御影専農は負けたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

それで…本当にそれでいいのか?

 

頭に浮かんだのは長らく忘れていた感情。

富山が監督になった時から捨て去った筈の感情。

昔はデータではなく感情に従ってサッカーをしていた筈だ。

 

「…ぃやだ…嫌だ!俺はまだ負けたくないぃぃぃい!」

 

杉森は自分でも出したことがない大声を発しながらゴールを飛び出し染岡からボールを奪う。まさか杉森もゴールから飛び出してくることを想定していなかった染岡は反応できずにボールを奪われてしまう。

 

「させるか!「いやいい風丸!杉森を通させてくれ!」稲魂…⁉︎」

 

杉森を通せと指示を出す雷牙の目を見る風丸だが、雷牙は今までに見たことがないほど好戦的な目をしていた。

 

「うぉぉぉぉお!」

「“シュートブレイク”!」

 

杉森はシュートを止められたもののそこに悔しさの感情は一切無くあるのはまるど憑き物が落ちたような清々しい表情だった。

 

「ハァハァ…、お前達!ここで諦めていいのか!まだ試合は終わっていないのに負けだと決めつけていいのか⁉︎俺は嫌だ!俺は勝ちたい!雷門に勝ちたい!」

「俺もだ杉森さん!俺も勝ちたい!雷門に勝ちたい!」

「俺も!」

「僕も!」

 

今までの杉森では考えられないほど感情の籠った言葉に意気消沈していたはずの御影専農のメンバーは気力を取り戻した。

 

「…すまなかったな雷門、我々は間違っていた。サッカーとはデータに管理されてするものではない。自ら考えてやるものであることを思い出せた…!礼を言う。」

 

「言えたじゃねぇか杉森。だが俺たちも負ける気はねぇぜ!勝つのは俺たち雷門中だ!」

 

偽りのサッカーから本当のサッカーを取り戻した御影専農と雷門の攻防はまさに両者一歩も引かぬものだった。御影がボールを奪えば雷門もボールを奪い返す。永遠に思える時間だったが確実に終わりの時は訪れる、最後にチャンスを掴んだのは御影専農の下鶴だった。

 

「なんとか延長戦まで持ちこさせる!“ファイアトルネード”!」

 

下鶴が模倣の炎を放とうとした瞬間同じく炎を纏いながら対峙するものがいた。

 

「“ファイアトルネード”!」

 

模倣(コピー)本物(オリジナル)。2つの旋風が衝突した結果は両者相打ちの形で終わる。

 

「豪炎寺!大丈夫か⁉︎」

 

「よそ見をしている場合か!稲魂!」

 

高所から落下した豪炎寺を気にかける雷牙だったがそこに再び上がってきた杉森がボールを奪う。

 

「これが俺のサッカーの答えだ!“サイバーブラスト”!」

 

ここにきて新技を生み出した杉森。その威力は明らかに“シュートブレイク”を上回っておりDFも止めようとするが間に合わない。

 

「雷牙!諦めるな俺がいる!」

「守…!ああ!決着をつけようぜ!」

 

雷牙と円堂も2人のツインシュートで応戦し、持ち堪える。

勝負が決するまでにかかった時間は僅か数秒だが、3人にとっては先ほどの攻防よりも長く感じる時間であった。勝ったのは…

 

 

 

 

 

 

『試合終了ーー!雷門対御影専農両者とも一歩も譲らない攻防の結果勝利の女神が微笑んだのは雷門だったぁあ!2対1で雷門の勝利です!』

 

「お前達!確かに俺達は負けた。だがこれで終わりじゃない!ここから俺達の本当のサッカーが始まるんだ!」

 

負けたことに悔しがるメンバーに言葉を送るキャプテン杉森。彼も悔しくないわけじゃない。だがそれ以上に今まで失っていたものを取り戻したことへの感謝と喜びが悔しさを上回っていた。

 

「杉森!またサッカーやろうな!今度は初めから本気で!」

 

「ああ!次は負けない!」

 

円堂と杉森は試合前に交わすことができなかった握手を行いグラウンドを後にする。

 

 

 

 

 

 

 

「次の試合は出場できなぃ⁉︎」

 

「すまん…。しばらくは絶対安静だそうだ。」

 

怪我をしたことで次の試合に出れなくなった豪炎寺。これが次の試合にどのような結果を齎すのか?




雷牙を一時的にGKにするのは前々から考えていた展開なんで、やっと書くことができて楽しかったです。
雷牙をGKに置いたのはやぶてん版の“爆裂パンチ”のシーンのオマージュをしたかったからです。あれ漫画版の中じゃ1番好きなシーンなんですよね。
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