イナズマイレブンHEROS!!!   作:月兎タンク

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ライトってさ…。やぶてん版だったら100%出番が削られるキャラだよね。
初登場がやぶてん版ではカットされたエイリア編ってのも痛いし、話数の都合上大介みたく世界編からの登場もさせにくいし…。
まぁ、結局深く考えた所で大して意味のない妄想でしかないけど。


“X”を超える“3”!! これが最強の“ペンギン”だ!!

ライト「やったねフィディオ!コレで同点だよ!」

 

フィディオ「ああ!勝負はコレからだ!」

 

 鬼道の復活により、遂に同点まで追いついたオルフェウス。キャプテンの得点によりチームメイト達の士気は際限なく上がり、チーム内を包み込んでいた最悪の空気が完全に晴れる。

 

デモーニオ「あり得ない…!俺は…!俺は究極の力を手に入れた筈なんだ…!この力があれば…誰にも負ける筈がないんだ…!」

 

 一方で、チームKのキャプテンであるデモーニオは息を荒くしながら狼狽している。

 現実を受け入れられず、何度も“究極”という二文字を戯言のように呟き事実から目を逸らすその姿に、先程までの常に余裕に溢れていた強者の面影は無い。

 

デモーニオ「もういいッ!!“皇帝ペンギンX”で駄目なら次は化身だッ!次のプレーも俺にボールを集めろッ!キドウですらも成し得なかった化身すらも習得した俺ならば…!この程度の点差など、すぐに取り戻せる筈だッ!!!」

 

『あ、ああ…!』

 

 キャプテンの指示に対し、チームメイトが歯切れの悪い返事で返す時点で、精神的な有利がどちらのチームにあるのかは一目瞭然だ。

 だが、そこまで明暗がハッキリ分かれていても、今のデモーニオにはまともな状況判断が出来ないでいた。

 

ピーッ!!!

 

デモーニオ「ハァァァァ…!来ォい!!“電脳化身 プラズマシャドウッ”!!!」

 

 指示通り、キックオフ早々バックパスでボールを受け取ったデモーニオは、化身を発動し禍々しい(1)(0)の電子によって構成された人造化身(プラズマシャドウ)を顕現させる。

 

雷牙「ハッ!!なら俺ちゃんは…!“獅風迅雷・限界突破(オーバーハンドレッド)ォォォ”!!!」

 

 雷牙も負けじと“獅風迅雷・限界突破”を発動させ、デモーニオの攻撃に備える。

 

 陽炎の如く不定形な電子が揺らめく“鬼の影”と、太陽の如く光り輝く黄金の“怪物”は、互いに狙いを定め力強い一歩を踏み出す。

 

 だが……

 

円堂「雷牙ッ!!!」

 

 突如、円堂により両者に横槍が入る。円堂は力強い目で雷牙とアイコンタクトを取ると、雷牙は即座に頷きデモーニオを放棄して前線へ上がり始める。

 

王将『おおっとォォォ!?稲魂、またしてもディフェンスを放棄だァァァ!!!彼だけではないぞォ!オルフェウスのDFも前線へ上がりカウンターの姿勢に入っているゥゥゥ!!!そこまで自信があるのか円堂!?なら、その勇姿を我々に見せてくれェェェ!!!』

 

デモーニオ「馬鹿めッ!!既に貴様との格付けは終わっているッ!当然ッ!俺が“(うえ)”ッ!貴様が“(した)”だァァァ!!!」

 

円堂「勝負はやってみなくちゃ分かんねぇだろ!!俺の限界を決めるのは、いつだって俺自身だッ!!!」

 

 ディフェンスを放棄した“怪物”と入れ替わるように、円堂の背後から同等の輝きを放つ黄金の“魔神”が顕現する。

 

円堂「“魔神 グレイトッ”!!!」

 

デモーニオ「逃げ出さない勇気だけは褒めてやるッ!!だが俺には誰も敵わないッ!!!俺こそが世界最強なのだァァァ!!!」

 

 デモーニオがシュートフォームに入ると、背後に顕現する“人造化身”の胸が裂け、使い手の本質を表すかの如く虚空の穴が開く。

 

デモーニオ「“シャドウレッグゥゥゥ”!!!」

 

 虚空の穴から放たれし“鬼”の影による一撃が、円堂に向かって襲い掛かる。

 前半戦にて完膚なきまでに叩きのめされたこの一撃…。しかし、円堂の表情には“恐れ”はなく、その目に光を宿し右手を強く握り締める。

 

円堂「“グレイテスト…!フィストォォォ”!!!」

 

 偉大なる“魔神”の拳が、影を纏いしボールと衝突する。条件次第では100点満点中120点を叩き出す“イジゲン・ザ・ハンド”に対し、“グレイテストフィスト”に点数を付けるのならば満場一致で100点満点だろう。

 

 だが、理不尽な事に目の前で対峙するシュートの点数は101点…。不正によって僅かに数値を上回れてしまっている。

 このままでは円堂の敗北は確実だ。このシュートを止める為には、何としてでも“グレイテストフィスト”に2点以上の点数を加える必要がある。

 

円堂「なら…!オマケにも一つ…!」

 

 親友を彷彿とさせる言い回しで、左手を熱血の炎で包み込むと力強く地面を殴りつける。

 

円堂「“真 熱血パンチッ”!!!」

 

 雷門黎明期から円堂を支え続けてきた熱血の拳は、またしても円堂のピンチを救った。

 地面を殴った際の衝撃により、円堂の身体ごとシュートコースを逸らし、背面をゴールポストに激突してしまうという痛手こそ負ったもののゴールの死守に成功したのだ。

 

円堂「ゲホゲホッ…!痛って〜…!痛いけど…!なんとか止めれたぞ…!」

 

王将『円堂、塞いだァァァ!!!またまた背骨にダメージを負ってしまったものの、今度こそリベンジに成功だァァァ!!!』

 

デモーニオ「何故だ…?何故だ何故だ何故だ何故だ何故だァァァ!!!何故、貴様のような軟弱者に俺のシュートが止められるゥゥゥ!!!?」

 

 唯一残った化身シュート(プライド)すらも、今度は運ではなく実力で止められてしまった事実に、デモーニオは半狂乱となり取り乱す。

 

???「うわぁ…偽物の被験者の末路ってあんなんになるの…?やっぱ“神のアクア”って欠陥品じゃん…。良かった〜“本物”の方を受けといて…」

 

 何か怪しい薬を摂取したとしか思えないデモーニオの取り乱し様に、フィールドの選手のみならず、味方である筈のベンチの人間もドン引きしている。

 

デモーニオ「クソ…!もう一度だ!今度こそ「いーや、オマエさんじゃもう逆立ちしたって守には勝てやしねェよ!」…何だと…!!!」

 

 現実を受け入れられないデモーニオの目を覚まさせるかのように、雷牙の挑発が彼の言葉を遮る。

 

雷牙「影山の関係者って事で薄々察してたが、さっきので確信した。ど〜せ、オメーのその力はドーピングで手に入れた力なんだろ?オメーさんのプレースタイルと化身の傾向が真逆なのがいい証拠だ」

 

フィディオ「な…!ドーピングだって…!?」

 

 これまでのプレーでのデモーニオの能力のチグハグさと、世宇子や真・帝国学園を彷彿とさせる常軌を逸した力の渇望から、雷牙…いやイナズマジャパンの面々はデモーニオのドーピングを確信する。

 

不動「大方、神のアクアとエイリア石の技術を応用した肉体改造ってとこかぁ?どうりで薬品臭ぇと思ったぜ!」

 

デモーニオ「黙れェ!!!絶対的な力を求めて何が悪いッ!?力を得る為に薬を使って何が悪いッ!?」

 

フィディオ「当たり前だろっ!!!そんな薬の力で手に入れた力なんか、全然素晴らしくないっ!!血の滲むような努力の末に手に入る物…!それが本当の“強さ”だろっ!!!」

 

デモーニオ「黙れッ!!!」

 

 曇り1つないフィディオに正論に対し、デモーニオは声を荒げて否定する。

 

デモーニオ「ハァ…!ハァ…!そんな綺麗事(正論)を言えるのは…!いつだって“何か”に成れる資格を持つ者だけだ…!」

 

ライト「…それでも、キミの言葉は理解できないよ…」

 

デモーニオ「なら教えてやる…!何故、俺がそこまで力を追い求めるのかを…!」

 

 ライトの否定に触発されたデモーニオは、自身の“過去”を語り始める。

 

 チームKの選手達は数日前まで、ごく普通の少年達だった。

 

 早朝から眠い目を擦りながら学校に通い…

 

 時には宿題を忘れ、教師から叱られ…

 

 放課後は仲間と共にサッカーをする…

 

 そして…

 

 国の名を背負う代表となって世界の舞台で羽ばたく夢を持つ…

 

 そんな、どこの国にも居るごく普通の少年達だった。

 

 だが、代表に選ばれるのは“才能”を持つ極一番の人間だけ。サッカーが好きなだけで、実績も実力もない“それ以外”の人間には、代表候補にすら選ばれない。

 

 挑戦する機会すらも与えられず、勝手に“それ以外”の人間として定義付けられた少年達は、鬱屈した日々を送っていた。

 

 …あの男が現れるまでは……

 

影山『力が欲しくないかね?誰にも負けない絶対的な力が…!』

 

 彼らの前に現れた男こそ、ミスターKこと影山零治だったのだ。

 

 影山の師事したチームKの選手達は、見違える程の実力を手に入れた。

 

 …だが、デモーニオだけは現状に満足する事はなかった。

 

 更なる力を求めた彼は“RHプログラム”なる手術を受け、鬼道に匹敵する力を手に入れたのだ。

 

デモーニオ「そして…!極めつけはお前だッ!イナタマ・ライトッ!!!」

 

ライト「え!?ボクっ!?」

 

デモーニオ「お前だって俺達と同じ、何の実績も経験も無い人間だろうッ!!それなのに…!“怪物”の息子という事実だけで、世間はお前を持て栄し…!あまつさえ代表の切符を容易く掴んだ…!」

 

ライト「それは…!」

 

 この一言により、デモーニオがあれだけ“怪物”の血筋を嫌っていた理由の一端を理解する。

 

 確かに代表候補に選ばれた事自体は、“怪物”の(ブランド)による物だったかもしれない。

 だが、代表の座を掴んだのは間違いなくライト自身の実力なのだ。その実力は本物であると地区予選で証明されている以上、デモーニオの非難は詭弁でしかない。

 

雷牙「…理解出来ねーなァ、その理由(言い訳)…」

 

 この世で誰よりも大切にする兄を侮辱されて黙っていられる程、大人でなければ人として出来てもいない弟が黙っている訳がない。

 自らの怒りを低い声へと変換し、デモーニオの“過去”を“言い訳”だと言い放つ。

 

デモーニオ「言い訳だとォ!?お前も“怪物”の血を受け継ぐ者だろうがァ!!!」

 

雷牙「なら俺も教えてやんよ!!俺らもなァ!地区予選中にこの試合みてーに、あるチームと真の日本代表の座を賭けて試合をしたんだよォ!!」

 

 イナズマジャパン達の脳裏に浮かぶのは、地区予選中に突如として現れたもう1つの日本代表チーム(ネオジャパン)達の顔……

 

円堂「そのチームは…お前たちと同じで代表に選ばれなかった選手たちだった…。それでもあいつらは死に物狂いで努力して、俺たちに匹敵する実力を身につけたんだ!!誰1人…!お前みたいにドーピングに頼った奴は居なかった!!!」

 

雷牙「要するに…だ。『落ちこぼれだって必死に努力すりゃあ、エリートを超える事もあるかもよ?』ってこった!オメーらに足りなかったのは、“才能”や“血筋”でも…ましてや“実力”でもねェ、“努力”の二文字なんだよ!!」

 

デモーニオ「うるさい…!うるさいうるさいうるさいうるさいうるさいッ!!!」

 

 “鬼”による言い訳を、自身よりも遥かに知能が劣るサッカーバカ達に論破されてもなお、自身の非を頑なに認めない。…いや、認められないのだ。

 

鬼道「…不動、“()()()()()”をやるぞ…。それしかデモーニオを救う方法はない…」

 

不動「ケッ、どーだか?あの必殺技はまだ未完成だし、運良く成功したとしても、デモーニオの奴は嫉妬の余り気が狂うかもしんねぇーぜ?」

 

鬼道「…それでもやるしかないんだ。例え未完成でも…影山の野望を打ち砕くには、やはり“皇帝ペンギン”で決着を付けるしかない…!」

 

 最早、この試合は単なる真のイタリア代表チームを決めるだけの戦いではないと判断した鬼道は、影山の計画を阻止しデモーニオを救う為に最後の戦いへ挑む。

 

鬼道「いくぞッ!不動ッ!」

 

不動「お前こそッ!遅れんじゃねぇーぞ!!!」

 

 円堂からボールを受け取った鬼道は、不動と並走し巧みな連携を駆使して前線へ切り込んで行く。

 

ロッソ「行かせないッ!!!」

 

不動「邪魔だぁ!!“ジャッジスルー2”!!!」

 

ロッソ「グボォ!!?」

 

 ロッソのディフェンスを反則スレスレのプレーで強引に突破した不動は、間髪入れずに鬼道と息の合ったツインシュートを放つ。

 

雷牙「あのオーラ…!“キラーフィールズ”のシュート版か!?」

 

円堂「いや違う!全く別の必殺技だ!」

 

 鬼道と不動によって放たれた連携シュートは、“キラーフィールズ”に似た闇色のオーラをボールに纏わせゴールへ向かう。

 

インディゴ「させんッ!“真 ダイヤ…なっ!?逸れた!?」

 

 だが、ボールを包み込むオーラはゴールに到達するまで保つ事が出来ずに消失してしまい、あらぬ方向へ飛び去っていく。

 ここまで鬼道によっていいようにされているインディゴはブラフを警戒するも、彼の警戒とは裏腹にボールはシュートコースを大きく外れフィールドの外へ飛び出していった。

 

ライト「ああー!惜っしい!結構いい威力が出てたのに…!」

 

佐久間「今の技…まさか…!」

 

 皆がシュートの失敗を嘆く中、佐久間は何か心当たりがある様子で目を見開く。

 

佐久間「鬼道!今のは…!?」

 

鬼道「ああ…数日前からアルゼンチン戦に向けて、開発していた必殺技だ…。だが…見ての通り、まだ完成には程遠い…」

 

不動「チッ!一体何が足りねぇんだ!俺達の威力と速度は完璧なのによぉ!!」

 

佐久間「……」

 

 佐久間はシュートの失敗を本気で悔しがる不動を意外そうに見つめる。

 佐久間はずっと心の奥底では、不動はどこかで自分達に牙を剥くと思い込んでいた。

 だが、今の不動はどうだ?確かに常人と比べればタチの悪い面はあるものの、先程の影山への発言といい、今の彼には昔のような冷酷無比な邪悪さはない。

 

 不動の変化を認め、既に蟠りを解消している鬼道に対し、未だに過去に囚われている自分が滑稽のあまり、笑いが込み上げてくる。

 

佐久間「ククク…!ハーハッハッハッ!!」

 

不動「…あん?何がおかしいんだよ眼帯野郎?喧嘩なら試合が終わった後でいくらでも買うぜ?」

 

佐久間「ククク…!…いや、違うんだ…俺自身があまりにも滑稽でな…。…俺はずっと、お前が裏切るんじゃないかと疑っていた…。だが、もうその疑いはない…!鬼道、不動!俺もその必殺技に入れてくれ!俺達3人なら、必ずその必殺技を完成させられる筈だッ!」

 

鬼道「ああ!もちろんだ!俺達3人で、影山の野望を打ち砕くぞッ!」

 

 かつては影山の支配下に堕ち、時には争い歪み合った3人は互いの手を取り合う。全ては“X”すらも超える新たな“皇帝ペンギン”の完成に為に…。

 

ピーッ!!!

 

王将『チームKからのゴールキックで試合が再開ッ!このチャンスを物に出来るかァァァ!?』

 

フィディオ「遅いっ!!」

 

ロッソ「なッ…!」

 

 ロッソに競り勝ったフィディオは、“白い流星”の異名に違わない圧倒的なスピードで攻め上がる。

 

フィディオ(キドウ達のシュートは未完成…。なら、俺とライガとライトを中心に攻めるしかない…!俺の“オーディンソード”かライガの“ゴッドレグルス”ならインディゴを破れる筈だ…!)

 

 フィディオは先程のシュートを見て、鬼道達に得点を任せるのは不安定であると判断し、単身でドリブルを進める。

 

佐久間「頼むフィディオッ!俺に考えがあるッ!一度でいい…!あと一回だけ俺達にチャンスをくれッ!」

 

フィディオ「ーー!!! 分かったっ!!」

 

 一時は揺らいだ信頼だが佐久間の覚悟が灯った目を見た事で、再び信頼の炎が再点火する。

 彼らの覚悟に応えるべく、更に加速し敵陣へドリブルを進める。

 

 だが……

 

デモーニオ「俺は究極だッ!!!究極の存在なんだッ!!!だから…!敗北などあってはならないんだァァァ!!!」

 

 “究極”に縋る事でしか正気を保てなくなったデモーニオが、フィディオの前に立ちはだかる。

 

フィディオ「まだ分からないのか…!“究極”なんて存在しないっ!だけど、皆が“存在しないモノ(究極のプレー)”を目指して努力する…!だから人は進化するんだっ!!」

 

 前半の彼ならばフィディオと互角以上に戦えただろう。だが、“究極”という妄想に取り憑かれ、思想も視野も狭まった今のデモーニオはフィディオの敵ではなかった。

 

 更に追い討ちを掛けるが如く、自分なりの“究極”に対する答えを見出したフィディオに呼応するように…

 

ライト「フィディオの言う通りだよ!自分を“究極”だと認めて進化を止めたキミに…!」

 

 “怪物”の血を受け継ぎし“星迅のサッカーモンスター”と……

 

雷牙「俺達は負ける気がしねェんだよッ!!!」

 

 “怪物”の魂を受け継ぎし“雷撃のサッカーモンスター”が合流する…!

 

デモーニオ「黙れェェェェェ!!!俺は…!究極なんだァァァ!!!」

 

 自身のアイデンティティを否定されたデモーニオは、その内に宿した狂気がそのまま形になったかのように、禍々しい(1)(0)の電子によって構成された“人造化身”が再びフィールドに顕現する。

 

デモーニオ「そのボールを寄越せェェェ!!!フィディオ・アルデナァァァ!!!」

 

雷牙「下がってろフィディオッ!!!後は俺達がやるッ!!」

 

フィディオ「分かった!任せたぞライガ!!」

 

 友からボールを受け取った雷牙は、兄と共に気を限界以上に高め、二対の“レグルス”を顕現させる。

 

雷牙&ライト「「カモン(来て)!!“レグルス”!!!」」

 

 血は繋がっておらずとも、魂で繋がった兄弟を媒介にフィールドに顕現した二対の“レグルス”は、互いに共鳴し合い更に眩い輝きを放つ。

 

デモーニオ「それがどうしたァァァ!!!くたばれェェェェ!!!“怪物”の血筋共ォォォ!!!」

 

 偉大なる父を持つ兄弟に対し、嫉妬と殺意を剥き出しにしたデモーニオは、化身パワーを最大にして襲い掛かる。

 その鬼気迫る表情は、正真正銘“鬼”そのものだ。

 

雷牙「おっとォ!コイツは怖いねェ!まるで本物の“(デモーニオ)”みてェだ!」

 

ライト「そんな悪ーい鬼さんは…!ボクたちが退治しなくちゃね!いくよ雷牙!」

 

 怒り狂う“鬼”と“影”に対し、恐れを抱くどころか不敵な笑みさえ浮かべ立ち向かい並走する兄弟にシンクロするように、“レグルス”達は拳を握る。

 

王将『稲魂兄弟の化身が拳を握ったァァァ!?稲魂雷斗はまだ分かるが、稲魂雷牙の体制は見た事が……いや!違うッ!私は一度だけ見た事があったァァァ!!!だが、その必殺技は世宇子戦以降は使った事がなかった筈だぞォォォ!?』

 

雷牙「ハッ!!原点回帰ってヤツだよッ!!!」

 

 “レグルス”は握り締めた拳を一切の手加減も慈悲もなく、目の前の“人造化身”に向かって殴りつける。

 

雷牙&ライト「「“レグルスブレイクッ”!!!」」

 

デモーニオ「グオォォォォッ!!!?」

 

 化身同士の共鳴によって更に強化された“レグルス”の拳は、“人造化身”に回避する隙すら与えずに、圧倒的なパワーを以て“鬼”をその影ごと吹き飛ばす。

 

雷牙「突破口は開いたッ!ぶちかませェ!!!鬼道ォォォ!!!」

 

 ボールを受け取った鬼道は後方に不動と佐久間を配置させ、自分達の原点である三角形(トライアングル)を意識したフォーメーションで攻め上がる。

 

佐久間「鬼道!不動!お前達のシュートは“高さ”が足りないんだッ!」

 

不動「ヘッ!そういう事かよッ!どうりで地上でのシュートじゃ、持続力が足りねぇと思った!だが、そこに“高さ”が加われば…!」

 

鬼道「今までの“皇帝ペンギン”が“二次元”だと解釈すれば…!進化した“皇帝ペンギン”は“三次元”となるッ!!」

 

 息の合った動きで天高く飛翔し指笛を吹く。すると、何処からか5匹の紫色のペンギン達が出現する。

 

鬼道「見ていろ影山ァ!!これが…!お前の支配を抜け出した…俺達の新たな“皇帝ペンギン”だァァァ!!!」

 

 空中で紫色のペンギン達が泳ぎ回る事により渦が発生。そのエネルギーは徐々に渦の中心にあるボールにチャージされていく。

 そしてエネルギーが最大までチャージされたと同時に、3人のストライカーによる踵落としがボールを炸裂し、新たなる“皇帝ペンギン”が誕生する…。その名は…!

 

鬼道&佐久間&不動「「「“皇帝ペンギン3号”!!!」」」

 

 “1号”を超える威力と、“2号”以上の安定性を兼ね備えた新たな皇帝ペンギン…“皇帝ペンギン3号”は、影の眷属達による妨害を一切受け付けずにゴールへ辿り着く。

 

インディゴ「“ダイヤモンドアームゥゥゥ”!!!」

 

 最後の抵抗にと金剛石の長腕が立ち塞がるも、最強の皇帝ペンギンの前には、ありとあらゆる硬度も無意味と化す。

 ペンギン達の嘴は金剛石を容易く打ち砕きゴールに突き刺さった。

 

インディゴ「ヌォオオオオ!!?」

 

ピーッ!!!

 

王将『ゴォォォォル!!!鬼道、佐久間、不動の新必殺技“皇帝ペンギン3号”がインディゴを破ったァァァ!!!これでオルフェウスがリードだァァァ!!!』

 

 エースたるデモーニオの敗北とオルフェウスのリードは、チームKの心を折るには十分過ぎた。

 

雷牙「トロいぜッ!“雷獣義牙G5ッ”!!!もう1発ぶちかませッ!!鬼道ッ!!!」

 

 心が折れたチームKの選手達に雷牙を止めれる筈がなく、センタリングによってボールが上空に上げられる。

 その先に居たのは当然……

 

「「「“皇帝ペンギン3号ッ”!!!」」」

 

 またしても炸裂する紫のペンギン達…。戦意を失った影の眷属達は、呆然としシュートを見ているだけしか出来ない。

 

 …だが、最後の最後でペンギン達の前に狂気に侵された“鬼”が立ち塞がる。

 

デモーニオ「認めるかァ!!!認めてたまるかァァァ!!!俺が…!俺だけが究極なのだァァァァ!!!」

 

 精神が崩壊寸前のデモーニオは、目の前の“最強”に対抗するように甲高い指笛を鳴らし、“究極”である漆黒のペンギンを右脚に宿す。

 

デモーニオ「“皇帝ペンギン…!X(エーックス)V4ォォォ”!!」

 

 “最強”VS“究極”

 

 互いの“意地”と“誇り”を賭けた正真正銘最後の最終決戦…。どちらも譲らない攻防の末に勝負を制したのは……!

 

 

 

デモーニオ「グァァァァァ!!!」

 

 “最強”だった。

 

 自分達の自由意志を見出した“最強”によって、最後の“誇り”を打ち砕かれた影の操り人形たる“究極”はその身を巻き込み、ゴールネットを激しく揺らす。

 

王将『またしても“皇帝ペンギン”だァァァ!!!オルフェウス、更に追加点ンンン!!!残り時間はあと僅かァ!この数分でチームKが3点を取り返すのかァ!?それともオルフェウスが逃げ切るのかァァァ!?』

 

 この得点により、オルフェウスとの点差は2点、残り時間も3分を切っている。

 サッカーの世界に“絶対”は無いものの、心が折れた状態のチームKではここからの逆転は絶対にあり得ない。

 

デモーニオ「まだだ…!俺は…まだ…!負けていない…!」

 

鬼道「デモーニオ…」

 

 最後の“誇り”すらも打ち砕かれてもなお、デモーニオは敗北を受け入れられず醜く足掻こうとする。

 まるで影山の意志がからっぽの人形に強引に詰め込まれたかのような、勝利への執念…。

 その姿にありえたかもしれない“IF”の自分を見た鬼道は、彼に対し憐れみの表情を向ける。

 

デモーニオ「ボールをくれ…!俺に…!ボールをくれぇ…!!」

 

ビオレテ「あ、ああ…!」

 

 それでも鬼道の憐れみはデモーニオに届く事はなく、試合が再開しデモーニオにボールが回される。

 

 だが、デモーニオはボールに触れる事なく、送られたパスをスルーした挙句まるで暗闇を掻き分けるかの如くおぼつかない足取りでその場から倒れてしまった。

 

デモーニオ「ボールはどこだ…!?皆…?どこに居るんだ…!?見えない…!何も見えない…!」

 

ビオレテ「見えない…?何を言っているんだデモーニオ!?ボールはそこにあるじゃないか…!?」

 

 突如、倒れ込んだ思ったら要領の得ない発言を続けるデモーニオに、仲間達は困惑する。

 

鬼道「その反応…まさか…!」

 

 デモーニオの身に起こった“悲劇”を理解した鬼道は、彼を助けるべく駆け寄るが、彼の救援を遮るように“悪魔”が、その正体を淡々と答える。

 

影山「拒絶反応だ。貴様が受けたRHプログラムのな」

 

デモーニオ「拒絶…反応…?」

 

影山「貴様は鬼道を超える能力をプログラムをされている。だが、肝心の貴様の肉体と才能ではそれに耐えられなかったようだな。その結果が失明という形で現れたのだ」

 

 淡々とデモーニオに起こった状況を語る影山だが、その扱い方は明らかに人間に対する扱いではなく、もはや型落ちした機械に語りかけるそれだ。

 

鬼道「…前を向け、デモーニオ…」

 

デモーニオ「無理だ…。俺はもう…何も見えない…!視界が無くちゃ…ボールを追う事も、蹴る事も、ドリブルだって出来ないんだ…!」

 

 現実に打ちのめされた事で失意に暮れるデモーニオだが、それでも鬼道は構わずに言葉を進める。

 

鬼道「確かに目は見えない筈だ…。…だが、お前はまだ“感じる”事は出来る…!“聞く”事だって出来る…!“走る”事だって出来る…!耳を澄ませてみろ!お前の…!友の声を…!」

 

デモーニオ「声……?」

 

ビオレテ「そうだ!オマエはこんな所で諦めるようなヤツじゃなかっただろ!!」

 

デモーニオ「ビオレテ…!」

 

インディゴ「お前が究極でなくても関係ないッ!俺達のキャプテンはいつだってお前だけなんだッ!」

 

デモーニオ「インディゴ…!」

 

 前が見えなくとも、次々と耳に届く仲間達の激励の声。1つ1つの声を耳で“聞き”、脳で“感じる”事で、徐々に封印していた筈の楽しかった“過去”が蘇る。

 

鬼道「立つんだデモーニオ!!お前は俺より優れていると証明するのだろ!?まだ試合時間は残っている!決着を付けるんだ!今度は…正々堂々、お前のサッカーでな!」

 

デモーニオ「キドウ…!こんな俺を…お前は許してくれるのか…?」

 

鬼道「ああ…!俺もお前のように間違いを犯してきた…。だが、円堂達と出会って変われたんだ…!だから…お前も変わる事が出来る筈だ…!」

 

 デモーニオを影山の呪縛から救う為、そして本当のサッカーで雌雄を決する為に。

 鬼道は、鏡写しの“IFの自分”に向けて手を差し伸べ、和解の握手を促す。

 

デモーニオ「ありがとう…キドウ…!お陰で…大切な物を取り戻せた…!本当に…ありが」

 

バシュッ!!!

 

 

鬼道「・・・デモーニオ…?」

 

 だが和解の握手が交わされる事は終ぞなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

デモーニオ「カハッ…!?」

 

???「おっと!失礼失礼!ちょっと足が滑っちゃった!け〜ど〜…究極クンなら、“()()”程度の一撃で瀕死になるわけがないよね〜?」

 

 突如として放たれた戦場外からの凶弾が、無慈悲にもデモーニオを狙撃したのだ。

 

デモーニオ「ゲホ…!アグッ…!グハッ…!!!」

 

インディゴ「デモーニオ!おいデモーニオッ!!しっかりしろ!おい!!!」

 

 謎の少女のシュートをモロに受けてしまったデモーニオは、ダメージの余り、口から大量の血を吐血する。

 折れてはいけない骨が粉砕され、刺さってはいけない内臓に折れた骨が刺さってしまい瀕死の状態となってしまったデモーニオは、最後の力を振り絞り影山に視線を向ける。

 

デモーニオ「どう…して…?総‥帥…!?俺…は…!貴方の為に……!」

 

影山「私が求めるのは絶対的な強者のみ。RHプログラムに適応出来ず、鬼道に絆された貴様なぞ、なんの価値もない。“負け犬”と成り果てた貴様にあるのは破滅のみだ」

 

デモーニオ「そん……な………!」

 

 影山の人を人とも思わない冷酷にも程がある発言がトドメとなり、ギリギリのところで保たれていたデモーニオの意識は深淵の底に沈み、眠るように気を失ってしまった。

 

影山「何をしている?」

 

「ひっ…!」

 

影山「早く片付けておけ、そこで無様に死にかけている“負け犬(ゴミ)”をな」

 

「は、はい…!」

 

 自身の行いの因果応報と言わんばかりに、見るも無惨な姿で横たわるデモーニオはベンチの選手によってフィールドの外に運ばれる。

 仲間であるデモーニオの尊厳と誇りを破壊されても、彼の名誉を回復させようとする者は、チームKの選手達には居ない。…そうチームKには……

 

鬼道「影山…!貴様ァ!!!」

 

 デモーニオの末路を目の当たりにし、真・帝国学園での影山の蛮行がフラッシュバックした鬼道は、我慢の限界を迎え影山に殴り掛かろうとするが、ギリギリのところで佐久間によって阻止される。

 

佐久間「よせ鬼道ッ!!気持ちは分かるが落ち着くんだ!!例え相手が影山でも暴力を振るえば、代表から外されるぞ!!」

 

不動「頭を冷やせよ鬼道クン?そもそも、奴が影山の配下になってる時点でこの結末は予想出来ていた事だろーが」

 

鬼道「クソ…ッ!クソォォォ!!!」

 

 影山の被害者であるデモーニオを救えなかった悔しさの余り、地面を影山に見立てその顔を何度も殴りつける。摩擦により皮膚から血が出てもなお、何度も…何度も…。

 

フィディオ「まさか…こんな結末になるなんて…」

 

雷牙「…だが、コレで俺達の勝利は確定した…。残り時間はウィニングランだz「フッフーン!それはどうかな〜?」んだと…?」

 

 エースたるデモーニオを失ったチームKには億に一つも勝ち目がない……そう思い込んでいた雷牙を小馬鹿にするかのように、楽観さと傲岸不遜さを兼ね備えた声がフィールドに響き渡る。

 

???「審判さ〜ん!たった今、怪我しちゃったゴーグル君に代わって選手の交代をお願いしま〜す!」

 

 影山の支配下に置かれながらも、今の今に至るまで公正公平なジャッジを下してきた審判だが、ここに来て漸くその効力を発揮する。

 先程の蛮行を一切咎められる事なく、交代を許可された謎の狙撃手(スナイパー)は、悪びれる様子もなくパーカーを勢いよく脱ぎ捨て、中に着込んでいた寒色のユニフォームを露出させる。

 

雷牙&ライト「「女の子…?」」

 

佐久間「誰だ…?」

 

不動「アイツ…何処かで…?」

 

 皆の疑問と困惑の声を背景に、小刻みなスキップを刻みながらフィールドに入場する謎の少女。

 その背には、本来は1つしか存在しない筈の10番(エースナンバー)が刻まれており、デモーニオが立っている筈だったポジションに向かって歩みを進める。

 

 あまりに急すぎる展開の数々に皆が混乱する中、ただ1人だけ困惑とは異なる反応を示す者が居た…。

 

円堂「やっぱり…!お前は…!」

 

 試合前からその正体を薄々察していながらも、ここに来て漸く確信を持った円堂は少女を見るなり、顔に冷や汗を流し武者払いを始める。

 

 宝石を如き明るさを持つ黄緑色の頭髪……

 

 鬼を彷彿とさせる天を貫く二本の触覚……

 

 “怪物”と同色・同等の輝きを放つ蒼き瞳……

 

 少女を少女たらしめる要素の数々は間違いなく……

 

円堂「鬼乃子…!」

 

鬼乃子「はーい!!超天才最強美少女サッカー選手(プレイヤー)!鬼乃子ちゃん!まったまった猫又(ねっこまた)登場だよー!!!」

 

 かつて完膚なきまでに円堂を叩きのめした『鬼』の名を冠した少女は、海の超えた先にある模倣されたイタリアの地にて再会した。

 

 円堂と再会した喜びか、それとも念願の()と顔を合わせた事による満足か……少女は年相応の無邪気な笑顔を浮かべながらこう呟く。

 

鬼乃子「さ〜てと!第二ラウンド、始めよっか!!」

 

 影の呪縛から逃れた“鬼”は無慈悲にも没し、戦場(フィールド)に新たなる『鬼』(いず)る。

 『鬼』がチームに齎すのは勝利か?破滅か?それとも……




余談ですけど、不動は鬼乃子の存在を知りません。ラストの反応も単純に鬼乃子に“雷帝”の面影を見出しただけです。
そもそも、不動にとって“雷帝”はタ○ミーの派遣先の店長くらいの間柄なので。既に彼とは縁を切ってます。
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