ここはウミネコスタジアム。その名の由来となったウミネコ達が空から選手達を見守るこの地にて今日行われるのは、イナズマジャパンとジ・エンパイアとの試合。
このスタジアムに集まった観客達は、日の本を背負いし侍と雄大なる山脈を棲み家とする闘士達による矛と盾のぶつかり合いに胸を躍らせる。
筈だった……
雷牙?「フ〜ン?結構粘るじゃん。旧人類にしては中々タフだけどさ〜、もうそろそろ降参した方がいいんじゃない?」
テレス「ざけんじゃねェ…!俺達は国の名を背負ってフィールドに立ってんだ…!死んでも降参なんぞしてたまるかよ…!」
豪炎寺「悪意の籠ったサッカーをするお前に…!俺達は屈しない…!」
紛い物の“怪物”の蹂躙対象となったのはジ・エンパイアだけではなかった。味方である筈の豪炎寺を始め、満身創痍の状態で“紛い物”を睨み付ける日本の侍達…。
本来、11対11による選手同士の魂のぶつけ合いである筈のサッカーは、この地に現れた“怪物”の紛い物の介入により、1対21という形式にて得体の知れない“怪物”による蹂躙劇に耐えるだけのゲームへと変貌していた。
無論、この大会の裏に潜む
だが電話の先に居る部下は、何故か主人の命令に応じる事なく“何か”に操られているかのように要領の得ない発言だけを繰り返し、話に応じないのだ。
雷牙?「ハァ〜…。オレ、そういう熱血クンは大っ嫌いなんだよね〜。ガルシャア達はフランを回収したようだし、
遠方にて発生した“黒薔薇の魔女”による世界滅亡の危機により、興が削がれた“紛い物”は、この
その時……
???「チェストォォォォ!!!」
何者かが大勢の警備員達を吹き飛ばし、混沌に包まれたフィールドに参上する。
その“何者”の容姿は人工的に染められた金色の頭髪、獅子を思わせる吊り上がった目、その瞳は青空の如き蒼色に輝いている…。
その姿はまさしく…
雷牙「会いたかったぜェ!!!俺ちゃんの偽者クンよォ!!!」
ライト「うっわァ…!実際に見ると、本当に雷牙そっくりだね…!」
80年後の未来から現れた蒼炎の魔王の救援により、黒薔薇の魔女を退けた2人の“怪物”が、遂に“紛い物”と対峙した。
マクスター『こ、コレはどういう事だーーッ!?フィールドにもう1人のライガ・イナタマが現れたぞーッ!?側には兄であるライトもいるーッ!?まさか彼らは三つ子だったのかーーッ!?!?!?』
突如スタジアムに現れたもう1人の“怪物”に会場内は騒めき始める。
雷牙?「……」
雷牙「レディースアーンドジェントルメーン!!聞いて驚けェ!!!そこに居る“ライガ・イナタマ”はニセモンだッ!!!本物は当然、この俺!稲魂雷牙様だよッ!!!」
遅れてやってきた“雷牙”は目の前の“ライガ”を偽者と断じ、自分こそが本物の“稲魂雷牙”であると宣言する。
大半の観客達は真贋の判断がつかず混乱するだけだが、これまで苦楽を共にしてきた仲間達はその受け答えと雰囲気から目の前の“雷牙”こそが、本物の“稲魂雷牙”であると確信する。
豪炎寺「雷牙…!無事だったんだな…!」
雷牙「待たせて悪ィな豪炎寺ッ!!色々あったが、何とか元気ピンピンだぜッ!!!」
自身の“紛い物”によりボロボロとなった仲間達を励ますように、力強いサムズアップで応えた雷牙は、“怒り”と“殺意”の籠った目つきで“紛い物”に視線を移す。
雷牙「さ〜てと…。ようやく追い詰めたぜ?偽者クンよォ。土下座して謝るってんなら、その顔面に100発拳を叩き込むだけで許してやっけどよ?そこらへんどーよ?」
雷牙は両手の関節をポキポキと鳴らしながら懺悔の時間を与えるも、“紛い物”は引き攣ったような笑みを浮かべ余裕を崩さない。
雷牙?「ハァ〜…マ〜ジでムカつく面してんねェ♪ あんまりにも憎たらしすぎてさァ…。つい殺したくなっちゃうよ♪」
ライト「コロ…!?そ、そんなことはさせないよ!」
雷牙「へェ?だったらやってみるかい?今の俺ちゃんはちゃむちゃくムカついてっからよォ!返り討ちにあっても知らねェぞ!!!」
“紛い物”の殺害宣言にライトは弟を守るべく立ちはだかるが、つい先程まで世界滅亡の危機を目の当たりにしていた弟にその程度の脅しが通用する筈もなく、好戦的な笑みを浮かべ戦闘体制に入る。
だが、“本物”と“偽物”による戦闘が繰り広げられる事は終ぞなかった。
鬼瓦「国際警察だ!雷牙の坊主の偽者!お前を拘束する!」
雷牙「鬼瓦のおっさん…!?何でアンタがココに…!?」
鬼瓦に引き連れられた国際警察が乱入し、“紛い物”を包囲したのだ。
鬼瓦「詳しい説明はまた今度だ!本物のお前さんが居る以上、奴に好き放題はさせねぇ!大人しくお縄につきやがれっ!!!」
雷牙?「はいはい♪こーさん、こーさん♪」
意外にも“紛い物”は抵抗する事なく、太々しく両腕を上げ降伏の意志を示す。あまりの呆気なさに“紛い物”の罠を疑うものの、その疑念も杞憂に終わり両手に手錠がかけられた。
雷牙「最後に聞くぜニセモン。…オメーは誰だ?」
雷牙?「ん〜?そうだなァ…。一言で言えば、俺はキミにとっての『絶望』ってとこかな〜?んじゃ♪ジャババ〜イ♪」
去り際に自らを“怪物”にとっての『絶望』だと言い放ち、混沌を齎した“紛い物”は、現代の平和を守る警察に連行されウミネコスタジアムから姿を消す。
雷牙「…後は任せたぜ、雷冥…!」
“紛い物”の証明を終えた雷牙は、残りの処罰をひ孫へ任せ、目の前の試合に集中する。
だが……
マクスター『ただいま本部より連絡がありましたッ!どうやら部外者の乱入による処置の為に試合を一時中断するとの事ですッ!観客の皆様ッ!今しばらくお待ちくださーい!!!』
選手の偽者が現れるという前代未聞の事態を前に、運営側も大混乱に陥ってしまい試合が止まってしまったのだ。運営が『待て』と言っている以上、観客そして選手達はその命令に従う他ない。仕方なく選手達は、ベンチへ戻り試合の再開を待つ事となる。
…それこそが雷牙にとって、かなりめんどくさい時間になるとも知らずに……
染岡「で?一体何があったんだよ?何故かイタリア代表のライトも居るし…何か身体もボロボロだし…。絶対よくねぇ事に遭遇したんだろ?」
暇になった仲間達に聞かれるのは当然、ここまでの経緯だ。
雷牙「いや〜…そのォ…何て言えばいいのかな〜…?」
だが、経験者である秋はまだしも、それ以外の仲間達に『未来人の襲撃に遭って、80年後の子孫の手を借りて試合をしてた』などと言っても信じてもらえる筈がない。
かといって変に誤魔化しても偽者と疑われる可能性だってある。まさに八方塞がりだ。
ライト「…あっ!そうだ!影山です!影山が全部悪いんです!あの人に部下にあ〜んなことやこ〜んなこととか、色々されちゃいました!」
雷牙「そうだ!そうだ!守達が試合に出れなくなったのも、俺ちゃんのニセモンが現れたのも、ぜ〜〜んぶ影山ってヤツの仕業なんだよな〜!」
染岡「やっぱり影山のせいか!野郎…!汚ぇ真似しやがって…!!!」
ライトの機転により、本来嵌まる筈のなかった“
実際、後者に関しては濡れ衣でしかないが、前者は事実である為、自業自得でしかないだろう。
こうしてなんとか仲間達の説得を終えた雷牙は、少しでも体力を温存する為にベンチの上で胡座を組み再開の時を待つ。
そして1時間後……
マクスター『お待たせしました皆さんッ!結論から申し上げますと…!突然の日程変更を考慮し、試合は継続ッ!ですが当然、前半戦の得点は無効!イナズマジャパンには特殊なレッドカード対応が下り、ライガ・イナタマは退場となりますッ!!!』
『なっ…!?』
1時間を超える議論の結果、本部から出された結論はまさかの雷牙の退場…。無茶を通して試合の日程を強引にずらしている以上、試合を続行させるまでは理解出来るが、100%被害者である雷牙の退場処分まで下すとは思ってもいなかったイナズマジャパン達は唖然としている。
染岡「ふざけんじゃねぇ!!!これまでのアクシデントは全部偽者の仕業だろーが!なのに、どうして稲魂が退場にならなきゃいけねぇんだよッ!!!」
風丸「…どうやら、この騒動の黒幕は何としてでも
もはや露骨とも言える悪意に塗れた介入の数々に、一部の選手は唖然を超えて呆れすらも覚えている。
壁山「…つまり、俺たちはジ・エンパイア相手に10人で戦わなくちゃいけないってことっスよね…。キャプテンも鬼道さんも監督も居ない以上、勝てるビジョンが浮かばないっス…」
木暮「唯一の救いはアッチのキャプテンが、大怪我を負って全力を出せないって事くらいか…。…てか!?何であんな大怪我を負ってまだ動けてるんだよ!?普通、病院行きだって!!」
本当に気休めにしかならないが、イナズマジャパン程ではないがジ・エンパイアも“紛い物”の介入により、多大な被害を受けていた。
特に深刻なのはチームの核であるテレスの負傷。本人の強い希望で、フィールドに立ち続けているが、ハッキリ言って試合を続けられている事が異常だ。
刹那、皆の不安を掻き消すように何者かが強く手を叩き、軽快な接触音を鳴らす。その音の持ち主は……
雷牙「はい!皆さん!ちゅーもーく!」
出所不明のロックなサングラスを装着し、太々しくベンチに座る雷牙だった。
雷牙はホワイトボードに後半のスターティングメンバーを書き込み、皆の前に差し出す。
雷牙「後半のキャプテンは基山ヒロト!オメーさんに委任するッ!」
ヒロト「あ、ああ…!」
雷牙「それと立向居ッ!」
立向居「は、はいッ!!!」
雷牙「オメーさんは肩の力が入りすぎ!もっと気楽にいこうぜ?じゃなきゃ気難しい“魔王”サマは出てきちゃくれねェぞ?」
立向居「肩の力を抜く…!」
何らかのスイッチが入った雷牙は、矢継ぎ早にチームを包み込む不安を1つ1つ徹底的に潰す。その姿はまるで監督だ。
雷牙「…オメーら。今、この状況において1番焦ってるのは誰だと思う?」
熱也「あん?何だよ急に?」
雷牙「いいから答えなさい!」
豪炎寺「…強引に日程を変更したにも関わらず、雷牙の偽者によって計画を台無しされたこの騒動の黒幕…だろ?」
雷牙「YES!イエスイエス!んザッツライトッ!!!」
イナズマジャパンに下された数々の不利な裁定は、素人目に見ても運営側に強い悪意がある事は明らかだ。
例え本来の計画通りにジ・エンパイアが勝利したとしても、運営側に強い非難が浴びせられる事は間違いないだろう。
雷牙「エヘン!エヘン!まぁ、つまりだ…。この絶体絶命の大ピンチの中で俺らが勝てば、ヤツらの計画は大破産…。慌てふためく黒幕!冷や汗を流す影山!ん〜!想像しただけで愉快・痛快・新世界!」
風丸「あ〜…お前が言いたい事が大体分かってきた…」
雷牙「なら話が早ェ!俺らは10人…お相手は満身創痍の選手ばかり…。互いの前提条件は五分五分だッ!ココでバカでけェジャイアントキリングを巻き起こしてよォ!!実況・観客・黒幕を驚かせてやろうぜッ!!!」
すると雷牙は皆の前に右手を出す。彼の意図を察した豪炎寺が友の右手の上に自身の右手を重なると、仲間達も続き次々と手が重ねられていく。
雷牙「さァ!!!本当の第二ラウンドを始めようぜッ!!!」
『応ッ!!!』
本物の“怪物”により最高潮に士気が高まったイナズマジャパン。ここから本当の
ちなみに雷牙の偽者を見た時、鬼乃子は解釈違いを起こしてメチャクチャブチギレております。
兄想いの出来た妹ちゃんだネ!
イナMONに引き続き、ちょっとした作者の好奇心なんですけどオリキャラの中で誰が1番好感度が高いのかな〜って気になったんでアンケート取ってみまーす。別に結果によってこの後の展開が変わるとかはないので気楽に投票してください。
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稲魂雷牙
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稲魂雷斗
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明星鬼乃子
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“雷帝”