雷牙 side
「次の試合までに監督が必要〜〜〜〜〜⁉︎」
雷よりも大きな守の声がオンボロ部室に響き渡る。ことの経緯を説明すると不愉快で、不愉快だけど、不愉快な冬海をサッカー部から追い出しようやく帝国戦に向けて練習に集中できるも思ったとたん目金がFFの規約書を見るなり試合を行うためには監督が必要だと言い今に至るってワケ。
「なぁお嬢?アンタ試合するのに監督が必要って知ってたわけ?」
「と、当然でしょ!だからあなた達はこれから新しい監督を探してくることを命じます!これは理事長の言葉と思ってもらってかまいません!」
あーはいはいこれは忘れてたパターンだわ…。まぁ今回に関してはサッカー部で1番マトモな豪炎寺すらも知らなかったわけだし特に責める気はないけど。めんどいけど一回くらい規約書読んどいた方がいいかな…めんどいけど。
「今更くよくよしても仕方がない!こんなところで敗退するに訳にはいかないんだ!新しい監督を探そう!」
「誰か他の部活の顧問でやってくれる先生いないかな?」
「いや、次の相手はあの影山だしそこいらの人間じゃとてもじゃないけど務まらないんじゃねぇか?最低でも影山の圧力に屈せずにサッカーの指導ができる人材。それが最低条件だな。」
さすがにこれくらいの条件をつけないと第2、第3の不愉快…おっと冬海を生み出すだすけだ、だが最低条件の高度が高すぎるなどーしたもんかねぇ〜?
「…!そうだ円堂!雷雷軒の親父さんは円堂の祖父のことを知っていた。もしかしたらイナズマイレブンの関係者じゃないのか?」
確かにそうだ。俺がイナズマイレブンについて話した際のあの反応は間違いなくイナズマイレブンに何かしらのトラウマを持っている証拠だ。裏を返せば何かしら接点があったに違いない。なんならイナズマイレブン本人の可能性だってある。
「そうか!よーーし善は急げだ!さっそく雷雷軒に行くぞ!」
さすがは守、行動力の化身。さっそく俺たちは全員で雷雷軒に押しかけた。
「監督になってください!」
「仕事の邪魔だ…。」
そりゃそうだよな。客がボロいコートを着たおっさんしかいないとはいえ多分稼ぎ時だし。
「あの
おじさん俺の爺ちゃんのことを知ってましたよね?秘伝書のことだって!だったらサッカーも詳しいんじゃないかなって!」
「もしくはイナズマイレブン本人なんじゃないっスか?」
「それ本当か雷牙⁉︎」
ただの勘だって。だが少なくとも俺はこの人がイナズマイレブンのメンバーだったって確信している。
「…あの時俺が言ったことをもう忘れたようだな。イナズマイレブンは災いをもたらすと言っただろう。」
「でも俺たちはここまで努力してやっとここまでやって来たんだ。あと一歩で全国に行けるんだよ!」
「俺には関係の無いことだ。注文をしないならとっと出ていけ!」
「だったら注文するよ!ラーメン1つ!…あ!財布部室だった…!」
遂に堪忍袋の緒が切れた親父に部員全員が摘み出される。どーしたもんかねぇ?
〜数日後〜
「守。ノートと睨めっこしても監督は見つからないぜ?」
「分かってるよ!でも監督も大事だけど帝国の皇帝ペンギン2号を止めるために“ゴッドハンド”を超える必殺技を生み出さなくちゃいけないだろ?だからいい感じの技ないかなぁ〜って。」
「ほ〜んなんかよさげな技があったら言ってみ?俺が翻訳してやるよ。」
「1つだけあるんだけど多分雷牙でも理解できないと思うんだよな…。この“マジン・ザ・ハンド”ってやつ!」
マジン・ザ・ハンドォ?そういや守の化身技は“グレイト・ザ・ハンド”って名前だしなんか関係性あんのかねぇ?まあいいや聞くだけ聞こう。
「爺ちゃん曰く“ゴッドハンド”を超える最強のキーパー技らしいんだけどこの技だけ説明がほとんど書いてないんだ…。あるのは心臓の部分の赤丸にココがポイントって文章だけ。雷牙は何が分かるか?」
ふんふん。ふんふふ。ふんふふんふん。ふふふんふふん。ピッコーン。
「分かったぞ守!“マジン・ザ・ハンド”の使い方が!」
「本当か雷牙!」
「ココがポイント”の意味、これはおそらく心臓に気を溜める動作だ!」
「心臓に気を溜める…!」
「That's right!んでもってあとはズバーンとしてドッカーンだ!」
「ごめん雷牙もうちょっとわかりやすく教えて。」
「あん?だから気を溜めたらそれを放出すれば“マジン・ザ・ハンド”の完成なんだよ。」
「そうか…!ありがとう雷牙、早速試してみようぜ!」
早速“マジン・ザ・ハンド”を試すためにイナビカリ修練場に向かい練習するが“マジン・ザ・ハンド”のまの字も見えない。
「くっそ〜何でだ?雷牙の翻訳は間違ってないよな?」
「知らねーよ、俺が分かるのはあくまで動作だけで“マジン・ザ・ハンド”みてぇな抽象的にしか書いてないヤツの真意までは多分理解できねぇからなんかが足りねぇんじゃねぇか?」
「まぁ練習あるのみってことだな!もういっちょ行こうぜ雷牙!」
結局その日は大きな収穫もなく解散となった。
〜次の日〜
気分転換もかねて久しぶりに河川敷で練習をすると見覚えのあるゴーグルが目に入る。鬼道だ、偵察にでもきたのか?いやそもそもそれをあいつだけでやるか?とりあえず代表して守と俺が話を聞きに行くと意外な返事が返ってきた。
「すまなかったな、冬海のことと土門のこと。」
意外と律儀なとこあるんだなコイツ。別にそのことは怒ってないけどやっぱり練習試合の遺恨が残っているからか俺は素直に喜べてないのを察した守が先に返答してくれた。
「もうそのことはいいよ。土門もさ今は本当に俺たちの仲間になってくれたから今度は負けないぞ!」
「…羨ましいよお前達がそれに比べて俺達は…」
なんかコイツ落ち込んでないか?そう言えば土門がバスに細工したことは鬼道ですら知らなかったって言ってたな。もしかして今までの勝利は全て影山の策略のお陰って思ってるんじゃないか?俺の予想は的中していた。鬼道としては自分達は王者としての誇りを持っていたが影山が裏で謀略を巡らせた結果勝った試合もあることを知り自分達の努力を否定されたことにショックを受けている。そんなところか。
「そんなことは無い!帝国の強さは俺が1番知っている!」
「お前に何が分かる!「分かるよ!」何⁉︎」
「俺はお前のシュートを何度もくらっているんだ!特にあの“皇帝ペンギン2号”!俺の“ゴッドハンド”が破られた衝撃は今でも忘れたことはない!だから帝国の強さは俺が1番知ってるぜ!」
「…ふ、今度のお前達との試合久しぶりに楽しめそうだ。」
守の言葉が響いたのか鬼道は憑き物が落ちたような表情をして去っていく。
「よーーし!俺もがぜんやる気が出てきた!“マジン・ザ・ハンド”の練習しようぜ雷牙!」
守は眩しいほどの笑顔で俺を練習に誘っているが、今の俺はどうだろうな?ハッキリ言って未だにあの帝国のプレーを許すことができていない自分がいる。これが試合で変な方向に暴走しないといいが…
円堂 side
試合まであと3日に迫ったから雷牙に練習を任せて俺は最後の望みをかけて雷雷軒のおっさんを説得しに行く。すると正門前で鬼瓦っていう刑事さんに会って話があるって言われたから鉄塔の方に向かう。そこで40年前のイナズマイレブンについて色々教えてくれた。雷雷軒のおっさん…響木さんは俺と同じGKでイナズマイレブンのキャプテンだったこと、イナズマイレブンがなくなったのは40年前のFF決勝での事故が原因だったこと、鬼瓦さんは決勝にかかったという棄権の電話が事故と無関係ではないことを確信して40年間調べ続けていること。色々な情報を一気に聞かされたからちょっと頭がパンクしそうだけどとりあえず俺のすることはただ1つ、響木さんを説得することだキーパー同士なら話し合える筈だ!
「…またお前か…何度来ても答えは変わらんぞ。」
「刑事さんから聞いたよおじさんイナズマイレブンのキーパーだったんだろ?」
俺が言った刑事さんが鬼瓦さんと気づいた響木さんは溜め息をつくけど相変わらず興味がなさそうに新聞を読み続けている。
「…昔のこと聞いたよ。1回試合に負けたからってそれがどうした!人生まだまだ終わってねぇぞ!」
「ふんガキが…!知ったような口を…!」
「確かに俺はまだ試合も数えるくらいしかやったことないけど思うんだ。キーパーは足を踏ん張って臍の下に力入れる。そうしないと守れるゴールも守れないだろ?」
俺のキーパーの持論を話すと少しだけ響木さんの表情が柔らかくなって爺ちゃんも似たようなことを言っていたって言われた。間違いない…響木さんは心の奥底ではサッカーを諦めてないんだ。
「だったら俺と勝負しようよ!おじさんがシュートを3本打って俺が全部止めたら俺の勝ちで監督になってもらう。どう?やるのやらないの?」
「3本中3本だと?たいした自信じゃないか…!いいだろう受けてやる。だが約束しろ、1本でも止められなかったら2度と監督の話を持ち出すな。」
響木さんは勝負を受けてくれたからとりあえず河川敷に移動する。響木さんは体を慣らすようにリフティングしているけど明らかに40年ぶりのリフティングじゃない。現役時代はこれ以上だったって思うと心臓が熱くなるのを感じる。
「とりあえず…手始めにこうだ!」
1本目のシュートは至って普通のシュートだったが急にコースを変えて左端襲いかかる。けど今まで何度もフェイントにかけられてきたから体も慣れている。なんとか止めることができたけどあそこまでカーブのかけれる選手は見たことがない。
「今のコースに反応するか…ならば本気を出してやるか。」
間をおかずに2本目のシュートが放たれる。
すげぇ…!ただのノーマルシュートのはずなのに染岡の“ドラゴンクラッシュ”にも負けない威力だ…!なら!
「“ゴッドハンド”!」
「…ほう、鬼瓦の親父が言っていたことは嘘ではなかったようだな。」
なんとか止めることに成功したけど1本目以上に手が痺れる。
「3本目だ。泣いても笑ってもこれで決まる。」
最後のシュートを打とうとする響木さんの目はサングラスごしだけど明らかに違っているのが分かる。
「“イナビカリショット”!」
響木さんが出した必殺技シュートはさっきの2本とは明らかに威力が違いすぎる。これは“ゴッドハンド”でも止めるのは厳しいかもな…。だったらアレを試してみるしかない!右手に胸を当てて気を溜め、そしてズバーンとしてドッカーンだ!
「“マジン・ザ・ハンド”!」
土壇場で挑戦した今まで一度も成功したことがない“マジン・ザ・ハンド”。だけど今までにないほどの気の高まりを感じ俺なりの仕方で放出した。そうしたら“ゴッドハンド”とは明らかに違う右腕が出てきた!右腕がでたのは一瞬だったけどなんとか“イナビカリショット”を止めることに成功したぞ!
「…なんてこった、俺でも使うことが出来なかった“マジン・ザ・ハンド”を未完成とはいえここまで使いこなせる奴がいるとはな。おい孫!お前の名前はなんて言うんだ?」
「円堂守!俺が3本止めたから監督になってくれるんだよね!」
「円堂守か…いい名前だ…!まさにGKになるために生まれてきたような名前だな!監督は任せろ!お前のチームをビシバシ鍛えてやる!」
やった…!遂に新しい監督が決まったぞ!そうと決まれば早速みんなに報告だ!
「円堂、少し待ってくれお前に渡したいものがある。」
俺に渡したいもの?何だろう?もしかして響木さんが持っている爺ちゃんの秘伝書とか⁉︎雷雷軒まで戻った後響木さんは店の奥に入っていって数分後に戻ってきた。
「ふぅやっと見つかった。円堂、これは俺が大介さんに託された大介さんが現役時代に使っていたグローブだ。お前が持つのに相応しいだろう。」
爺ちゃんのグローブ…!さすがに年季が入っているけど全然使えるぞ!ん?よく見ると左手の手首のところに何が文字が書いてある。…!“イナズマチャレンジャー!” 爺ちゃん、俺絶対にFFで優勝してイナズマイレブンになってみせるよ!天国で見といてくれよ!
No side
「どうだ鬼道?雷門中の攻略は思いついたか?」
深海、尾刈斗、野生、御影専農、秋葉名戸全ての試合を何度も研究しついに鬼道は1つの結論に辿り着く。
「ああ、分かった。雷門中の穴は…
稲魂雷牙だ。」
鬼瓦さんって大介さんと同級生だから最低でも60なんなら80くらいいってる可能性があるけど、明らかに作中の描かれ方が響木世代よりちょっと年上程度だから、幼馴染じゃなくて雷門総一郎みたいに響木世代の雷門OBじゃダメだったのかって未だに思ってしまうのは自分だけ?