私に与えられたモノは全て“紛い物”だ。
“雷帝”『ハッピーバースデー。3歳のお誕生日おめでとう。そろそろ自我が発達してきた頃だろう?いつまでも“君”呼びだなんて不憫だし、プレゼントに名前を与えよう。そうだな…。キノコ…“明星鬼乃子”だなんてどうだい?』
3歳の誕生日に初めて付けられた名前も。
“雷帝”『お〜!スゴいじゃないか鬼乃子!もうレベル5をクリアしたのかい?ハッハー!こりゃ、スゴイねー!天才だねー!…進捗率は34%程度ってとこか…』
不器用な癖に父親ぶろうとする愛情も。
“雷帝”『うーん…コレは解釈違いだなァ…。目つきが悪すぎる。もっとおめめをパッチリさせなさい。髪も長いな…もう少し切ろう」
砂漠に咲く一輪の花のように清楚な美少女フェイスが自慢の容姿も。
全部 ぜーーんぶ。
あー…勘違いしないで欲しいんだけど、別に私は父親の愛情に飢えたファザコンモンスターじゃないよ?
あの人に父親らしいことを期待するのは小1に該当する年齢の時には諦めたし。今じゃ、ほぼビジネスライクな関係だしね。パパ大好きな美少女を演じてやってるのも、おじさんへの我儘を通すのに便利だからだし。
…けど、私が本当に欲しいモノはちゃんとある。
それはね〜、ズバリ!“命”!英訳するとライフ!ゲームに例えると…何になるんだろ?残機?いや…少し違うか…。
え?じゃあ今喋ってる一度負けたくらいでメンタルブレイクした超天才最強美少女は誰なのかだって?あ〜…ちょっと説明不足だったかな…?
確かに私は生きてるよ?脈もあるし、心臓だってドクドク動いてるし、怪我したら血だって出る。
けどさ〜それって『生物学的な視点では』って枕詞がつくじゃん?私はね〜そんなんじゃ満足できないんだよね〜。
だってそうじゃん。画面の前のアンタは、母親のお腹の中から生まれたのかすら怪しい美少女を生命として見れる?
…うん。普通に生命だわ。ごめん、流石にコレは例えが悪かった。
んまぁ、話すと長くなるから私の出生だとか過去だとかは今は言わないけどさ〜。1つだけ言えるのは、少なくとも私は“生きてる”って思ってないワケ。
“死んでる”んだよ私は。死んだように生きてるってヤツ?
だからこそ 私の願いただ1つだけ ただ私は“生きたい”んだ。
その為にお兄ちゃんを完膚なきまで叩きのめさなくちゃいけないの。
だって私は……
♢♢♢
「信じられない…!アレだけ激しくゴールポストに頭部を殴打したというのに、何一つ異常がない…!」
鬼乃子「だ〜か〜ら〜!さっきから言ってんじゃん!額の皮膚を擦りむいただけだって〜!ココ10分くらいの記憶が曖昧だけど、私は元気100倍です〜!」
互いに敗北を振り切りいざ真剣勝負!…というところだったが、流石に故意にとはいえ頭から大量の出血した鬼乃子を運営は放置する訳にもいかず、メディカルチェックという横槍が入り試合が中断されていた。
「…分かった。スポンサーから出来る限り貴方のわが…要望は聞くように言われてるし、試合に出場する事は許可します。…だけど、医者として言っておく。この試合が終わったら病院で検査を受ける事、それが条件だ。いいね?」
鬼乃子「ホイホ〜イ!ありがとね〜!」
医者からの許可を得た鬼乃子は、胡座をかいたまま跳躍し立ち上がると、軽く“稲魂ステップ”を行い身体を慣らす。
鬼乃子「よっ!ほっ!はっ!う〜ん!頭に昇った血を抜いて大正解!めちゃんこ頭が冴えちゃってるね〜!今の鬼乃子ちゃんの高IQならハーバードも夢じゃないかも?」
ここ数分間の記憶は曖昧ながらも、“本能”が選択した狂気としか言いようのないスイッチング・ウィンバック*1により精神ダメージを克服した鬼乃子は、まるで世界が自分を中心に回っているかのような高揚感に満たされていた。
雷牙「…なるへそ、今のイカれた行動はメンタルヒールの一環だったってワケか…。分かるぜ…!さっきよりも気が更に充実してやがる…!」
唯一の弱点であった精神的な弱さすらも克服した鬼乃子は、より気力に満ち溢れ、その身より放たれるプレッシャーは受けた相手の額から無意識のうちに冷や汗を流させる。
豪炎寺「…雷牙、さっきの謎の技術をもう一度使う事は可能か?」
雷牙「さァねェ、徐々にさっきの感覚を掴みかけてっけど100%入れるとは限んねェなァ。…例え入れたとしても俺1人で今の鬼乃子を抑えられるかは分かんねェ…。だが…!!」
おもむろに会話を打ち切った雷牙は、友に向けてニヒルに笑う。
雷牙「俺と
豪炎寺「フッ、相変わらず臭い台詞を吐く奴だ。…だが、それでこそ稲魂雷牙だ!!」
鬼乃子「ねェねェ!おじさ〜ん!私には何かアドバイスはないの〜?裏口入学とはいえチームメイトである鬼乃子ちゃんには助言をくれないとなると、めちゃんこ拗ねちゃうな〜」
影山「フン。貴様が私の指示を一度でも聞いた事があるか?まぁいい、貴様にピッタリの助言を送ってやる。…
これまで何度も見慣れたぶっきらぼうな影山の助言。だが、その言葉にこれまでの復讐者は居らず、そこに居るのは純粋にサッカー愛する者・影山零治だけだ。
詳細な経緯は分からなくとも、この数分間で過去の呪縛を振り解いた事を察した鬼乃子は、生き生きとした影山の表情に対し満足そうな微笑みで返す。
鬼乃子「にひっ!おじさんにしてはナイスなアドバイスじゃん!それに…とってもいい顔してる。羨ましいくらいにね☆」
影山「余計なお世話だ。治療が済んだならさっさとピッチに戻れ。“雷帝の娘”…いや、
鬼乃子「ホイホーイ!初めて名前を呼んでくれたお礼に、最後の勝利をプレゼントしてあげる。…影山のおじさん♪」
初めて影山の名を呼んだ鬼乃子は、この試合の後に彼に訪れる“未来”を察し、最後の最後で“生き返った”彼への手向けの為にピッチの上に立つ。
全ては闇から生還した“影”への鎮魂歌の為に
ピーッ!!!
雷牙「しゃおらァ!!!」
豪炎寺「ハァッ!!!」
前半戦ラストの審判のホイッスルが鳴り響くと同時に、“怪物”と“天才”は最大限に気を高め己の殻を破り“限界”を超える。それでもなお、己を高め続ける事は止めない。“限界”を超えた先の更にその先にこそ“至高の領域”があるのだから。
雷牙「“獅風迅雷・
豪炎寺「“バーニングフェーズ3”!!!」
“至高の領域”へと到達した2人の“最強”は、黄金と紅蓮の気の柱を天に立ち昇らせる。その視線の先に居るのは当然1匹の“鬼”だ。
雷牙「さ〜てと…!お待ちかねの第二ラウンド行こうかッ!!鬼乃子ッ!!」
鬼乃子「Good!Great!!Excellent!!!私に見せてよッ!!アンタらお得意の“絆の力”ってヤツをさァ!!!」
仲間よりボールを受け取った“怪物”は、“天才”と軽いアイコンタクトを取ると両者は一瞬にして姿を消す。
鬼乃子「そこッ!!!」
先陣を切ったのは“怪物”だった。無駄のない超スピードを以て左サイドから“鬼”を抜こうと試みるも、その動体視力を以て“怪物”の姿を捉えた“鬼”によって呆気なく阻止される。
雷牙「そうこなくちゃなァ!!合わせろッ!豪炎寺ィ!!」
豪炎寺「ちゃんと俺の動きに付いて来いッ!雷牙ッ!!」
コンマ1秒遅れて“天才”も合流し、勝負は“鬼”VS“怪物”と“天才”による最強コンビの1対2の戦いへと姿を変える。
雷牙「でぇりゃぁぁぁあ!!!だぁりゃりゃりゃりゃあ!!!」
豪炎寺「カァッ!!!」
鬼乃子「スゴい!スゴすぎるよ!!コレが“絆の力”ってヤツなんだね!!さっきよりも断っ然動きが良くなってるッ!!!ココまで苦戦したのは初めてだからさァ!!もっと私を楽しませてよッ!!!」
現代人類の最高到達点である“ゾーン”を極めた者を2人同時に相手しているにも関わらず、“鬼”は無邪気に笑う余裕を見せ、この戦いを単なる娯楽としか認識していない。
雷牙「チッ!“ゾーン”に入ってようやく互角だなんて理不尽な強さにも程があんだろッ!!こうなったら埒が開かねェ!!オイ豪炎寺ッ!“アレ”やっぞ!!」
豪炎寺「くそ!またあの恥ずかしい呪文を唱えなくちゃならないのか…!」
このままでは埒が開かないと察した最強コンビは、その背に“覇王”と“炎魔皇”を顕現させると、心を1つにする魔法の呪文を唱える。
雷牙「天丼ッ!!」
豪炎寺「カツ丼!!」
雷牙&豪炎寺「「親子丼ッ!!!」」
魔法の呪文により1つになった心に呼応し、“覇王”は黄金の“炎魔皇”は紅の光となり二色を螺旋を描き、1つに混ざり合う。
光の螺旋が晴れた先に新たに顕現したのは、白銀の鎧を身に包み、神をも屠る槍を携えた“凶戦士”だった。
雷牙&豪炎寺「「“神滅の凶戦士 ロンギヌスッ”!!!」」
マクスター『出たーーッ!!!ライガとゴウエンジの合体化身!“ロンギヌス”だーーッ!!!“
神殺しの槍の名を冠した“凶戦士”はこれまで何人もの強敵を打ち破ってきた。それを裏付けるように“凶戦士”から放たれる
だが…
鬼乃子「アハハハハハッ!!!いいねェいいねェ!!!最っ高だねェ!!!」
絆が産んだ“凶戦士”を前にしても“鬼”は笑っていた。彼女とて“凶戦士”が怖くない訳ではない。その証拠に額から一粒の汗が流れ、先程見せていた無邪気な余裕の笑みは、自身を奮い立たせるような狂気の笑みに変わっていた。
鬼乃子「感じるよッ!!そのパワー!そのプレッシャー!その強さ!!しかも“ゾーン”に入ってるときた!こりゃ〜最強で天才で美少女な鬼乃子ちゃんも負けちゃうかもね〜!…
『ッ…!?』
刹那、“凶戦士”とは比較にならない
その震源地となったのは言うまでもない。“凶戦士”と対峙する“鬼”だ。
豪炎寺「グッ…!なんだこのプレッシャー…!これが1人の人間から出せる気迫なのか…!?」
雷牙「耐えろ豪炎寺ッ!ちっとでも気を抜きゃァ!“ロンギヌス”が解除されっぞ!!」
直径100mを超えるスタジアム全域に到達する殺気を、至近距離から浴び続けている“怪物”と“天才”は、その衝撃により消えかける“凶戦士”を見てこれ以上の長期戦は不利だと判断し、早期決着をつけるべく一歩を踏み出しその槍を振るう。
しかし、神滅の槍を前にしても“鬼”は笑っていた。その笑みに数秒前の狂気は宿っていない。かといって笑っている本人ですらもその“感情”を理解できなかった。
鬼乃子「コレがなんて名前の“感情”なのかは分かんないけどさァ…。今はただアンタたちに純粋な感謝を」
その“感情”を『感謝』と定義つけた“鬼”は、身体より膨大なオーラを発し新たな“英雄”を形作る。
雷牙「コイツは…!何だ…?」
それは巨大な“門”だった。もしかしたら“寺院”かもしれない。形容し難い異形の化身を構成するのは鬼を模った仏像。その数はピッタリ100体。
その中心部に設置された霞んだ鈍色の重厚な鉄門からは、中に封印された妖共の呻き声が聞こえる…ような気がする。
遂に顕現した明星鬼乃子の、明星鬼乃子の為の、明星鬼乃子だけの化身…。それがどんな姿形をしているかは本体には知る術はないが、幼き日に父からそうされたように特別な名をつける。
鬼乃子「“百鬼ヶ王 モノセロス”!!!」
フィールドに顕現した“百鬼を統べし王”は、英雄ではなく異形の無機物の形を取りながらも、其が持つ絶大なパワーを全ての人間に強制的に理解させる。
鬼乃子「へー…コレが私の化身か…。うん!悪くないね☆このパワー気に入った♪」
“一角獣座”の名を冠した王は、一切動く事なく不可思議な結界を展開し“凶戦士”の攻撃を防ぐと凄まじい衝撃波が発生し、耐え切れなかった“怪物”と“天才”は遂に地面に膝を突く。
雷牙&豪炎寺「「ぐぁぁぁぁぁあああ!!!」」
正体不明の衝撃によって“怪物”の足元からボールが離れてしまい、主を失ったボールは何かに導かれるように“鬼”の足元へ至る。
鬼道「マズい…!皆ッ!徹底的に防御を固めろッ!ただでさえ強力無比なフィジカルを持つ鬼乃子が化身に覚醒したんだ!間違いなく奴のシュートはこれまで円堂が受けてきたどのシュートよりも強いぞッ!!!」
『おおっ!!!』
“鬼に金棒”ならぬ“鬼乃子に化身”状態となってしまった少女1人に対し、最大限の警戒を送るイナズマジャパンの侍達。
フィールドにはまだ辛うじて存在を保っている“凶戦士”のみならず、新たに“百鬼の王”に対抗する為に創世神の力を宿した大剣を携し“破壊神”と、漆黒の鎧を身に包んだ“魔帝”が顕現する。
ヒロト「“破壊神 アポカリプス”!!」
風丸「“魔帝 ダークエンペラー”!!!」
鬼乃子「わ〜お!なんという絶景!私1人に対し向けられる相手選手の敵対心!う〜ん!私の承認欲求が満たされるな〜☆あっ!そうだ!アンタたちに良いこと教えてあげるね〜♪私にとってこーゆー光景はさ〜」
自分1人に対し向けられた敵の警戒すらも承認欲求に変換した“鬼”は、ボールを軽く上空に上げると、あれだけ厳重に施錠されていた百鬼王の門がギシギシと鈍い音を立て開き始める。
鬼乃子「
完全に百鬼の扉が開かれる。謎に包まれていた門の内部には夥しい数の異形の妖が収容されており、地獄の苦痛から逃れるように出口に手を伸ばしている。一部しか見えないながらもその光景は正真正銘の地獄絵座だ。
鬼乃子「う〜ん…名前はどうしよっかな〜?今回は漢字統一にするか、横文字にするか、それとも折衷するか…。あっ!そうだ☆こういうのはどうかな〜?」
必殺技の名前を決めた“鬼”は、謎の力で空中に浮かぶとボールに灰色のオーラを注ぐ。それに反応するように地獄の妖達もその身を現世に乗り出すと、地獄絵図の最奥にて鎮座する真の“百鬼王”の眼光が光り輝く。
鬼乃子「“
『ジャハハハ…!ジャガルガァァァァァ!!!』
“鬼”による渾身のシュートが炸裂すると同時に“百鬼王”による咆哮が天に鳴り響き、放たれたシュートは地獄の妖を引き連れてゴールへ向かう。
雷牙「まだ終わってねェ…!終わってねェぞォォォ!!!」
豪炎寺「俺達に…!限界などあるものか…!!」
観客席の中には失神する者も居る“百鬼王”による咆哮は、逆に“怪物”と“天才”の飛んでいた意識を復活させる気付きとなり、“凶戦士”を立ち上がらせた最強コンビによる渾身の一撃が立ち塞がる。
雷牙&豪炎寺「「“神槍滅弾ッ”!!!」」
心の底から信頼しあった最強コンビによるツインシュートと“凶戦士”の槍が百鬼夜行の進行を妨げる。
だが…
雷牙「んだよ…!この威力…!」
豪炎寺「これまで色んなシュートを見てきたが…!ここまでの威力は初めてだ…!」
日本の地にてもう一体の“獅子王”を下し、世界の大舞台でもイギリスの“霧幻騎士”を圧倒した神滅の槍に亀裂が入って行く。“怪物”と“天才”は意地を見せなんとか耐えるも、その意地は数秒の時間稼ぎにしかならなかった。
バリンッ!!!
雷牙「クソッ…タレが…!!」
豪炎寺「時間は稼いだ…!後は任せたぞ…!」
抵抗虚しく撃ち返す事は叶わなかったが、稼いだ時間は無駄にはならない。既にシュートの直線上には創世神の大剣を振りかぶった“破壊神”と、漆黒の暴風を纏った“魔帝”が待ち構えていた。
ヒロト「“ジェネシス・ブレイカーッ”!!!」
風丸「“魔帝の逆鱗ッ”!!!」
“魔帝”の牢獄によって百鬼夜行を足止めし、その隙に“破壊神”の大剣を振り下ろされる。
全盛期にはやや劣るといっても、それでも日本トップクラスに強力な破壊神の一撃…。如何に“百鬼王”が率いる百鬼夜行といえど威力の減少は免れない筈だ。
…そう、その筈なのだ……
ヒロト「馬鹿な…!?“神槍滅弾”を受けた上でこの威力だって…!?まるで威力が下がっていない…!」
風丸「それどころか…!俺達の化身パワーを吸収して更に威力を強めているぞ…!!」
“鬼”はただ力任せにシュートを撃っただけだった。そこには何一つ思考や小細工などはなく、ましてや技術が入り込む余地もない。
だが、純粋なパワーから放たれたシュートは思わぬ結果を齎し、立ち塞がる障壁のパワーを逆に吸収し更に威力を強めていた。
ヒロト&風丸「「ぐわぁぁぁあああ!!!」」
化身によるシュートブロックが仇となり、敵に塩を送る事となったヒロトと風丸は化身ごと吹き飛ばされ、遂に中盤が突破されてしまう。
壁山「止められなくても少しでもキャプテンの負担を減らすっス!!だったぁ!!!“ザ・マウンテンV3”!!!」
飛鷹「失敗を恐れるものか…!俺は飛鷹征矢だッ!!“真空魔V4”!!!」
自分達では勝てないと分かっていても、侍達に“逃亡”という選択肢はない。だが覚悟を決めただけで百鬼夜行を止められるのならば、ここまで苦労はしない。
覚醒した“鬼”から放たれたシュートの前には彼らの覚悟は実にちっぽけなモノであり、一瞬の拮抗すら許さずにゴールへの道を譲ってしまう。
円堂「止めてみせる…!“イジゲン・ザ…!ハンドォォォ”!!!」
百鬼夜行を構成するのは純粋なパワーである事を看破した円堂は、パワーに対して強い効力を発揮する“超次元の結界”をゴール前に張り巡らせ、シュートを受け止める。
その目論見は正しく、特定の条件下において200%もの力を発揮する結界は百鬼夜行の進行を食い止めている。
円堂「みんながここまで頑張ってくれたんだ…!俺がやらなきゃ誰がやる…!!!」
仲間達の想いを受け取った円堂は、皆の努力を無駄にしない為に己の殻を破り壁を更に厚くし、シュートに加えられる別方向からの力も増幅させる。
だが、一向に百鬼夜行は終わる兆しを見せない。こうしてる間にも円堂は幾度となく限界を超え、当初の何倍にも結界を厚くしているというのに、シュートは弱まるどころか更に威力を強め、遂には結界に亀裂が入り始める。
円堂「なんだと…!?このシュートはパワー型の筈…!?エドガーやディランのシュートだって“イジゲン・ザ・ハンド”を破れなかったのに…!?」
テクニック重視の技には非常に脆いという弱点を突かれ破られた事はあっても、パワーによるシュートがこの結界を破った事は本番・練習含めて一度たりともない。
本戦での激闘を経て成長を重ねた今の円堂に判断ミスはない。にも関わらず、“超次元の結界”は純粋な力に屈しようとしている。
円堂守の常識からすれば、これはあまりにもあり得ない事であった。
鬼乃子「鬼乃子ちゃんのワンポイントアドバイス〜!“怪物”ってのはさ〜常識の範囲外に居るから“怪物”なんだヨ♪」
円堂「ぐ…!ぐあぁぁぁぁぁぁ!!!」
“鬼”の助言が決定打となり、遂に最後の砦ある“超次元の結界”が粉砕しゴールネットに突き刺さる…どころかゴールそのものを原型を留めない程に木っ端微塵にした。
ピ、ピーッ!!!
審判の動揺がよく現れた得点のホイッスルが鳴り響き、オルフェウスの得点を全世界に知らせる。
これにてオルフェウスは3点目。ただでさえ遠い勝利への道が更に遠くなる。
マクスター『ご、ゴール…!コレは…現実なのでしょうか…!?コレまで数多の名選手のシュートを耐えてきたゴールが…見るも無惨な姿となっております…!』
この世界の“常識”的に考えてもあり得ない光景を前にした人々は言葉を失っている。瞳の焦点を揺らしながら鬼乃子に向ける視線は先程の血塗れの“鬼”を見る目と同じだ。
綱海「ハーフラインからシュートを撃ったってのに、誰1人止められねぇなんて…無茶苦茶にも程があんだろ…!」
アンジェロ「ココに来てこう言うのもなんだけど…。彼女が味方になってくれた良かったと心の底から思うよ…!」
“敗北”という
観客達の脳裏に浮かぶのは、“世界最強”の四文字。これまでは少数とは異論が挟まれていた最強議論は、遂に終極の時を迎えようとしていた。
だが、敵味方の評価も“世界最強”の四文字も少女の“願い”からすれば些細な問題でしかない。
鬼乃子「コレで3戦2勝2敗だね♪稲魂雷牙!不戦勝の借りは返したよ〜!」
雷牙「……」
記憶が飛んでいる割には不戦勝をカウントしている“鬼”は、まるで兄に甘える妹のような可愛らしい
だが、少女の質問に“怪物”は答えない。その代わりに自身の右拳を握り締めている。
鬼乃子「アレ?もしかして…悔しがってる?」
雷牙「ああ…!今の俺はめちゃんこ悔しがってるさ…!けどなァ…!!俺はこんな所で立ち止まっちゃいられねェ…!今だけは…!この“悔しさ”すらも…“地平線”に行く為の燃料にしてやらァ…!」
湧き上がる悔しさすらも、目標の“地平線”へ到達する飛行機の燃料に変えた“怪物”は、瞳は金剛石の如き輝きを発し、消え去った筈の白銀のオーラが蘇り、気の柱は陽炎の如く揺めき始める。
豪炎寺「入った…!“ゾーン”のその先に…!」
雷牙「……」
“鬼”の覚醒に呼応するように、再度到達した限界を超えた“
雷牙「ようやく掴めてきた気がすっぜ…!“
鬼乃子「それだよ!そうだよ!!そうこなくっちゃ!!!いい感じに
互いに最高到達地点を更新した者同士は、向き合い雌雄を決するべく次のプレーに備える。
が…
ピッピー!!!
今度こそ正しく二度ホイッスルが鳴り響き、前半戦の終了が告げられる。
“怪物”VS“鬼”…どちらが真の“
ヤバいな…。コレ割と冗談抜きでヒデナカタの参戦を遅らせざるを得なくなるかも…。
〜オリ技紹介〜
♦︎百鬼ヶ王 モノセロス
属性:火
分類:シュート
使用者:鬼乃子
≪概要≫
実の兄から“敗北”という名の
容姿はデュエマのクリス=タブラ=ラーサみたいな感じっていうか、100個の鬼のオブジェクトで構成された寺院みたいな感じというか…。ちょっと作者の語彙力じゃ形容し難いけど、人型じゃない異形の化身である事だけは確かです。
名前の由来は『一角獣』を表す星座である“Monoceros”から。鬼関係の星座がな…なかったんや…。
<化身技>
♦︎真黒・曇曇淪
“モノセロス”の化身技。シュートモーションは
①鬼乃子が気を高めると、“モノセロス”の門が開く
②すると中に居る“何か”の眼光がキラりと光る
③鬼乃子がシュートを撃つと、“何か”の咆哮と共に魑魅魍魎の悪霊達が一切に飛び出し“ブラックフィールド”のようにシュートに追従しゴールへ襲い掛かる。
的なモーションです。ちなみにシュートのビジョンはサマーオイルの“うずまき”をイメージしてます。
イナMONに引き続き、ちょっとした作者の好奇心なんですけどオリキャラの中で誰が1番好感度が高いのかな〜って気になったんでアンケート取ってみまーす。別に結果によってこの後の展開が変わるとかはないので気楽に投票してください。
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稲魂雷牙
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稲魂雷斗
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明星鬼乃子
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“雷帝”