あんまりリアルのサッカーは詳しくないんで分からないんですけど、世界大会のスケジュールってそんなにタイトなんですかね?
フィディオ「準備は良いかライト?」
ライト「お、オッケー…!!いつでもバッチ来いっ!…って感じだよ!!」
日本が優勝候補ブラジルを下し、残るイタリアVSコトアールの準決勝が明日に迫る中…。
当のオルフェウスは、目隠しをした状態でゴールを守るライトの前に3人の選手が足元にボールを置き立ちはだかっていた。
ライト「スー…。集中…集中だよライト…。ボクならできる…ボクならできる…ボクならできる…」
自身を鼓舞する呪文をひたすら呟き、何とか目の前の緊張を解そうとするライトだが、ただでさえ数的不利にも関わらず視界を奪われている現状は、彼の豆腐のように柔らかい
フィディオ「怖いだろうが、耐えてくれライト。“
産まれたての子鹿のようにプルプル震える友の気持ちを理解しつつも、目的の為にある程度非情になると決意したフィディオは、一切の情けを掛ける事なくチームメイトに合図を送り、自身もシュートを放つ。
ライト(来た…!くっきりとイメージするんだ稲魂雷斗…!自分が完璧にシュートを止める姿を…!)
聴覚からシュートが放たれた事を察知したライトは、“
……だが、現実は残酷だった。
ーーガンッ!
ライト「ハンッ!?」
ーードンッ!!
ライト「グンッ!?」
ーージャッキーンッ!!!
ライト「アバッ〜〜!?!?!?」
如何にキーパーとして破格の才能を持つライトでも、視界を塞がれればその才能を十全に発揮出来る訳がない。
これまでの試合で世界に披露した有りし日の母を思わせる勇姿が嘘のように、全てのシュートが手からすり抜け、為す術なく痛めつけられるだけだった。
ライト「バタンキュ~…」
イタリア中から集めた精鋭達の全力シュートをモロに喰らったライトは、目を回しながらどこかで見た事のある、噛ませ犬特有のポーズで地面に伏し気絶する。
監督だった影山が居なくなったとはいえ、代表チームらしくない荒唐無稽にも程がある特訓…。
どうしてこんな事になったのか?その答えを知るには、数十分前に遡る事となる…。
……………
…………
………
……
…
ライト「えっと…ココに映ってる選手って、本当にボク?」
ミーティングルームのモニターにて映し出されたのは、金色の髪は怒髪天を衝き、弟を超える膨大なオーラを放出する稲魂雷斗…らしき選手の姿だった。
録画であるにも関わらず、モニター越しから発せられる稲妻が直撃したかのように痺れる気迫を前に、オルフェウスの仲間達は無意識のうちに冷や汗を流す中、当の本人は頭に『?』マークを浮かべ自身の身に起こった正体不明の変化に呆然としている。
フィディオ「あの後の反応から薄々察してはいたが、やはり本当に覚えていないのかい?」
ライト「う、うん…。もう“あの時”は無我夢中でなにがなんだか覚えてないんだ…。……強いて言うなら、頭の方がビリビリするなーレベル…かな?」
“あの時”…つまりはイナズマジャパンとの試合が終わるラスト数十秒。
“
雷牙『天まで轟けェェェ!!!“ゴォォォド!!レグルスゥゥゥ!!!GBォォォ”!!!』
“
それは間違いなくあの試合中最高の威力を持ったシュートだった。それこそ例えライトが化身を発動出来たとしても絶対に止める事が出来ない程に…。
しかし……
ライト『ボクは…!雷牙のお兄ちゃんなんだァァァ!!!』
兄としての魂の叫びがライトの口から放たれた瞬間、“
少女と見間違うショートヘアーはよりボリュームを増し怒髪天を衝き、その身からは精細さを極めた弟とは対照的に、荒れ狂う嵐の如き金色のオーラが大量に放出される。
フィディオ「……それでも君は止めて見せた…。実際に見ていたから断言出来る。アレは決して偶然じゃない、かといってライガが手を抜いた訳でもない。君自身の実力でライガに勝ったんだ」
だが、彼は自身の実力で最高の相棒であり、最強の好敵手である弟に勝った…。それだけは覆しようのない事実だ。
ライト「そ、そうかな…/// えへへ〜…!そう言われる照れちゃうな〜///」
父から受け継いだ調子にノリやすい一面を持つライトは、親友の称賛を素直に噛み締め、この場に弟が居ればハリセンで頭を強打されそうなだらしない笑みと共に照れる。
ブラージ「…それで?まさかライトを褒めるだけの為に俺達を集めたんじゃねェだろうな?」
フィディオ「まさか。本題はココからさ」
当然とも言うべきかブラージからの問いを受けたフィディオは、モニターのリモコンを操作し時間を数秒ほど巻き戻す。
雷牙『もっと上を目指せるからなァ!!!』
モニターに映るのは、より美しく洗練された気の柱を立ち昇らせ、人工的に染められた金髪と調和するように白銀色の髪が浮かび上がった雷牙の姿。
“兆”の更に上の次元へ至った瞬間、その背に異形の“百鬼王”を顕現させた“鬼”は見る見るうちに押し返され、遂には純粋な力で敗北を喫する。
ライト「鬼乃子ちゃん…」
フィディオ「…俺の見立てでは、化身に覚醒したキノコと“ビフォアー・ホライゾン”なる技術を発動させたライガの実力は完全に互角だった筈だ。だが、キノコは負けた…。この姿になったライガにね」
フィディオが知る限り、覚醒した鬼乃子に真っ向から戦えると断言出来るのは、世界広しと言えど本来のキャプテンであるヒデナカタしか存在しない。
その彼すらも、勝てる勝てないの話となればフィディオでも断言する事は難しい。
それ程までに彼女の実力は世界の
ラファエレ「ったく…頭が痛くなるぜ…。下手すりゃキャプテンを超えるかもしれないって
アンジェロ「インフレもココまで来ると、逆に笑えてくるね…」
FFI本戦が開催されてから、何らかの“意志”に導かれるように世界のレベルはこれまでとは比較にならない速度で跳ね上がった。
間違いなく
フィディオ「ハッキリ言おう。このままでは俺達はイナズマジャパンに勝てない」
代理とはいえ、明日準決勝を控えたチームメイトに掛ける言葉とは思えない厳しい現実をフィディオは突き付ける。
フィディオ「この間のイナズマジャパンとの試合…。俺達が同点に持ち込めたのは、間違いなくキノコのお陰だ」
『……』
自身の実力不足を悔いるキャプテンに同調するように、チームメイトは沈黙で返答する。
日本戦でオルフェウスが獲得した点は3点。その内訳はフィディオの“終極のグングニル”が1点で、それ以外は鬼乃子が齎した点だ。
しかし、初戦こそ円堂を破った“終極のグングニル”だが、二戦目では仲間の想いを受け取った“グレイテストフィスト”によって早くも止められている。
それに対して鬼乃子はどうだ?最終的に“極”を発動した雷牙に敗れはしたものの、あの試合で円堂は一度たりとも彼女のシュートを止めれていない。
この事実は、鬼乃子が裏口入学していなければオルフェウスはイナズマジャパンに敗北していたと言われているも同然だ。
フィディオ「勘違いしないで欲しい。俺達だって、世界の強豪との試合を経て着実に強くなっている。…けど、イナズマジャパンの成長速度は段違いだ。恐らく、決勝で再会する頃には前よりも数段は強くなっているだろう」
本戦が始まるまでは、世間から注目すらされていなかった日本も今や、世界トップクラスの実力を持った強豪チームとして認識されている。
地区予選が終わってまだ数ヶ月も経っていないにも関わらず…だ。言葉を選ばずに言えば、彼らの成長速度は異常としか言いようがない。
フィディオ「だからこそ、ライトの力が必要なんだ。あの試合で俺は確信した。ライトの中に眠る潜在能力は、間違いなくライガとキノコを超えている。あの力を完全にモノにする事が出来れば、必ずイナズマジャパンとの試合を有利に進められる筈だ」
ライト「ボクの潜在能力が…雷牙を…?」
鬼乃子を雷牙が制し、雷牙をライトが制した…。
もはや非常識とさえ思ってしまう超激戦の末に、最後の勝者となったライト。
それは彼がその気になれば、この世界の誰よりも強い事の証明に他ならない。
ブラージ「ホントかねェ?あんな気持ち悪ィニヤけ顔をするようなヤツが、キノコ以上の潜在能力を持ってるか甚だ疑問だがな」
アンジェロ「正GKの座をライトに譲ってる時点で、ブラージよりも強いのは確定だけどね〜。もしかして…ライトが僕と同じ美少年だからって嫉妬してるの〜?」
ブラージ「んな訳ねェだろ!流石の俺も人の容姿に嫉妬する程器は小さくないっての!……まァ、ライトが俺よりも強いってのは認めるがな…」
フィディオ「よし!!それじゃあ早速練習だ!!」
…
……
………
…………
……………
ライト「バタンキュ~…」
…そして、冒頭の荒唐無稽な特訓に繋がるという訳だ。
フィディオ「だ、大丈夫か…?ライト…?」
ライト「う…うん…。一瞬、パパとママが居る三途の川が見えた気がするけど…ボクは大丈夫だよ…」
イナズマジャパン戦の録画を何度も確認した事で、ライトが追い詰められた時にこそ“あの力”が覚醒すると判断したフィディオは、視界を遮る事で強制的に精神を追い詰める状況を作り出したが、どうやらあまり効果は無かったらしい。
フィディオ「今ので何か感じた事はあるかい?例えば…頭の方がビリビリするとか…?」
ライト「いや〜…。特にない…かな?あるとしたら、顔とお腹と左脚辺りがジンジン痛むくらい…」
ブラージ「おいフィディオ…。試合は明日だってのに、あんな危険極まりない特訓は流石に無茶じゃねェか?ライトが怪我でもしたら、オルフェウスの攻守はガタ落ちだぜ?」
フィディオ「…そうだな、流石に今の練習は危険過ぎるか…。すまない、ライト。俺も少し焦り過ぎてたみたいだ、“例の力”の習得は一旦保留にして今日は軽い調整だけで済ませよう」
ライト「う、うん…!」
ブラージの助言を素直に聞き入れたフィディオは、一度練習を打ち切り残りの時間は、チームの連携を再確認する為の練習に費やす。
ダンテ「そういや、コトアールってどこにある国なんだ?」
ラファエレ「さぁな。俺も詳しい事は知らないが、南米のどっかにある国らしいぜ?」
彼らの瞳に映っているのはコトアールとの“
果たして、それは強者故の“慢心”か?それとも己の死すら偽装してみせた監督の“策略”か?
…その答えは、明日にならば自ずと分かる事になるだろう。
♢♢♢
ライト「ハァ〜…。ダ〜メだ〜…。どんなに頑張っても全っっっ然、兆しすらも掴めないや…」
他のみんなは、明日に備えて早めの休息に入ってるけど、ボクはまだグラウンドで自主練を続けていた。
…ボクたちの準決勝の相手のである“リトルギガント”…。試合に備えて何度も彼らの試合を見て分析を繰り返したけど、やっぱりお世辞にもそこまで強いとは思えない。
けど…なんでだろうね?なんて言ったら分かんないけど、ボクの中にある『危険センサー(?)』的な何かがずっ〜と反応しっぱなしなんだ。
別に油断や慢心をしているワケじゃないけどさァ…。こう…よく分かんないベタベタした何かが心にへばり付いてる感じがするんだよね…。
ライト「…そう言えば、アッチの監督さんってどんな人なんだろう?って…今更調べるのもおかしい…かな?」
よくよく考えたら、今の今まで相手チームの監督を調べるってのも相当おかしいよね…。…まぁ、影山のせいでそこまで頭が回らなかったってのも大きいだろうけど。
ライト「え〜っと?なになに…?コトアールの監督の名前は“アラヤ・ダイスケ”…」
…聞いたことない名前だ。代表チームの監督って基本的にその国でトップクラスの実力を持つクラブチームの監督から選ばれるから、一定の知名度はあるんだよね。
例外があるとすれば、久遠さんくらいなんじゃないかな?たった今、そこにアラヤ・ダイスケさんが加わったけど。
…ん?“ダイスケ”…?
ライト「いやいや…。流石に偶然だよね〜!日本じゃダイスケなんて名前はそう珍しいモノじゃないし〜!そもそも、あの人は40年前に亡くなってる筈だし〜!」
“ダイスケ”と聞いて真っ先に思いつくのは、やっぱり円堂くんのお爺ちゃんの円堂大介さんだね。
思い出すな〜!昔、パパに見せてもらった大介さんの試合映像!アレを見てから、“ゴッドハンド”とか“マジン・ザ・ハンド”の特訓を雷牙に隠れてやってたんだよね〜!…完成させる前にあの事故に遭っちゃったけど。
ライト「ブッ!?ってアレェ!?コレって…!?」
スマホの画面に表示された、コトアールの情報が載せられたデータをパラパラめくっていると、ボクの視界に少し見覚えのある少女の姿が映る。
ライト「この子って…雷門さん…だよね…?」
全身像が映ってるワケじゃないけど、そこに居たのは間違いなく雷門イレブンのマネージャーの雷門夏未さんだった。
代表ジャージじゃなくて、私服姿でベンチに居るってことは…もしかして雷門さんがコトアールのマネージャー…?
ライト「ってことは…もしかして…?」
彼女が居ることで、ボクがアラヤ・ダイスケさんに抱いていた微かな疑惑が確信へと変わってしまう。
だって、そうじゃなきゃ…彼女がイナズマジャパンじゃなくてリトルギガントに居る理由がない。
ライト「大介さんは…生きてる…?」
その瞬間、ボクの背筋を嫌な寒気が襲う。
“何か”に導かれるように現れた雷牙と血を分けた妹…。
“何か”に仕組まれたかのように命を散らした影山…。
“何か”に誘い込まれるように数十年の沈黙を経て蘇った大介さん…。
この大会中に起こったバラバラに点在していた事件が、一本の線で繋がっていく。
ライト「…神サマって本当に残酷だよね…。そんなに雷牙のことが嫌いなら、最初から作らなければいいじゃん…」
一見するとバラバラの別軸に見える事件…。けど、ボクは分かってる。この背後には確実に“怪物”に取り憑かれた狂人が潜んでいることに。
アイツが一枚噛んでいる以上…必ず雷牙に良くない
ライト「そんなことは絶対にさせない…!ボクは…お兄ちゃんとして雷牙を護る責任があるんだ…!それに…ヒーローなら…こんな時、絶対に諦めない筈だから…!」
ーーキミは本気で
刹那、ボクの心の中から聞き覚えのある声が聞こえた気がした。
♢♢♢
マクスター『さぁさぁ!!!先日の日本対ブラジルとの試合の興奮が冷めやまない中!!ココ、コンドルスタジアムにてイタリア代表・オルフェウスとコトアール代表・リトルギガントとの準決勝が行われようとしていますッ!!!』
遂に試合当日を迎えたコンドルスタジアム。その会場内を包み込む熱気は、日本とブラジルとの試合以上だった。
それもその筈、この試合を制したチームが、決勝の地で日本と世界一の称号を賭けた最高の大舞台に上がる権利を得るのだ。
その事実を前にすれば、否が応でも興奮のボルテージが上がってしまうという物だ。
???「うっわぁ…!コレがサッカーなんだね…!」
???「…そうさ。そして、コレから登場するのがレイジ・カゲヤマ…いや、Kのおじさんが作り上げた最高のサッカーチームさ」
その一席にて、無垢な笑顔でイタリアの戦士達の入場を待つのは深い緑色の瞳を持つイタリア人の少女。
その隣には、いつもヒデナカタと行動を共にしているルカと呼ばれる少年も居る。
…だが、肝心のヒデナカタ本人は何処にも居ない。
ルカ「ルシェ、しっかりその目に焼き付けておくんだ。おじさんは今は遠くで旅をしているけど、その信念は
ルシェ「うん!!分かったっ!!!」
自身に再び光を取り戻してくれた恩人が、既にこの世から居なくなっている事など知りもしない少女は、純粋な笑みでルカに笑い返し人生で初めて目にする“サッカー”を今か今かと心待ちにする。
……………
…………
………
……
…
フィディオ「皆、聞いてくれ」
スタジアムの内部に設置されたオルフェウスの控え室。試合まで残り僅かという中で、フィディオはキャプテンとしての試合前最後の役目を果たすべく、チームメイトを集めた。
フィディオ「世間は俺達じゃなくてキノコの活躍を観に来ているだろう。恐らく、彼女が既にチームを去っていると知れば少なからず落胆の声が上がる筈だ」
フィディオは悟っていた。この大歓声の大半は“鬼”の圧倒的な実力に惹かれた観客による物であると。
フィディオ「それでも、俺達は俺達のサッカーを貫き通そう。例え心無い言葉を投げ掛けられても、相手へのリスペクトを忘れずに悔いの残さない試合を続けるんだ。そうすれば…必ず観客達の心を動かせる筈だから!」
『おうっ!!!』
チームメイトの心に僅かにへばり付いた“鬼”への劣等感を完全に払拭したフィディオは、仲間を引き連れ控え室を後にする。
その瞳に決勝の舞台でイナズマジャパンと再戦するという硬い決意の炎を宿しながら…。
…
……
………
…………
……………
ロココ「僕がリトルギガントのキャプテン、ロココ・ウルパだ。今日はいい試合にしよう、フィディオ・アルデナ」
フィディオ「ああ!よろしく頼むよロココ!!」
互いにアップを済ませた両チームは、二列になりセンターラインを境目に並ぶ。
ライト「……」(ジーッ…)
ゴーシュ「あん?そんなに俺をジロジロ見つめてどうしたんだ?俺の顔に変なモンでも付いてるってのかよ?」
ライト「あっ…!い、いや全然!!ただ…ちょっとキミたちに異常なまでの既視感があるな〜って思っただけです…」
オルフェウスの対面に並ぶリトルギガントの選手達…。そのどれもがライトにとって日本の地で出会った選手の面影を宿している。
もしもこの場に雷牙が居れば、100%の確率で『○○もどき』との渾名を付けていたであろうくらいにそっくりだ。
こうして、一通りの挨拶を済ませた両チームは、各々のポジションに着き審判が合図を鳴らすその時を待つ。
今回のオルフェウスのスタメンは以下の通り。
FW:ラファエレ、フィディオ
MF:アンジェロ、ダンテ、アレサンドロ
DF:ベント、ジョルジョ、ジャンルカ、アントン、マルコ
GK:ライト
ピーッ!!!
待ちに待った審判の開始の合図がスタジアム中に鳴り響き、最高の舞台への切符を賭けた決戦が幕を開ける。
先行を獲得したのは、リトルギガント。その2トップを務めるのは、龍を思わせる強面が特徴のドラゴと、炎のように爆発したヘアースタイルが特徴のゴーシュだ。
ドラゴ「ほらよゴーシュ!!監督からの指示だッ!!アレだけ馬鹿にされたオマエの真の力を世界に見せつけてやれッ!!」
ドラゴは隣に立つ最大のライバルであり、最高の親友でもある仲間に向かって、軽いパスを回す。
彼からのパスを受けるのは、当然その背に
ゴーシュ「フッ!!言われなくてもそうするつもりさッ!!」
フィディオ「ーー!!! 皆ッ!!ゴーシュが何か仕掛けてくるぞッ!!ココは一旦、守備に徹して様子を見る…」
ジュン
リトルギガントの攻撃を警戒し、仲間に指示を出す為にフィディオがゴーシュから僅かに目を離した瞬間…。
彼の指示は、小さく鳴り響いた“ある音”によって遮られる。
その音は、謂わば風切り音であった。何か鋭利な物体が凄まじいスピードで射出され、空気を切り裂きながら一直線に向かう…まさにそう形容するしかない実にシンプルな音であった。
『なっ…!?』
その音が鳴り響いた直後、あれだけ熱気に包まれていたコンドルスタジアム内は静寂に包まれる。
そして、彼らはある方向に視線を釘付けにされる事となる。……
ライト「グッ…!あ…危なかった…!」
彼らの視線の先に居たのは、ほんの1秒前までゴーシュの足元にあった筈のボールを両手で受け止めた稲魂雷斗の姿。
彼の顔から大量の冷や汗が流れ、母親からの形見であるキーパーグローブから僅かに煙が立ち昇っている。
ゴーシュ「ヘェ?ほぼ遊びとはいえ、俺のシュートに反応するとはな。流石に“怪物”の息子を舐めすぎたか?」
ハーフラインからシュートを放ったにも関わらず、オルフェウスの精鋭達が反応すら出来なかった挙句、一切の威力を落とさなかった。
そんな世界で片手で数えられる程度しか使えないであろう、強力無比なシュートすらも“遊び”と断じるゴーシュ・フレアに対し、オルフェウスに極度の緊張が走る。
大介「フッフッフ。少し脅かしすぎてしまったかな?」
最高潮に高まっていた興奮のボルテージが冷め、会場内が静寂に包まれるまでに要した時間は、僅か10秒。
遂に“手加減”のベールを脱ぎ捨てた未知の強豪“リトルギガント”…。
小さな肉体に強大なパワーを秘めた巨人を相手に、イタリアの戦士…そして“怪物”の遺伝子を継ぐ者は、太刀打ち出来るのか?