雷牙side
『今の雷門の穴はお前だ。稲魂雷牙』
鬼道から言われたあの言葉がずっと頭から離れねぇ。あの言葉を認める気はねぇが俺からのパスが繋がっていないのは確かだ。どうにかしねぇと試合に負けちまう…。
「あら随分と暗い顔をしているじゃない。一枚撮ってあげましょうか?」
「…うっせ。天才の雷牙くんにも調子が悪い時だってあるんだよ…。」
お嬢が俺を茶化しにくるが今だけはそっとしておいて欲しい。…これじゃいつも立場が逆だな。
「あらそう、ではスランプ中の天才君に1つだけ助言をしてあげるわ。あなたは本当に雷門のみんなを信じているの?」
雷門のみんなを信じているかだと?んなもん決まってらぁ、答えはYESだ。守と豪炎寺は言わずもがな、染岡は単体最強のシュートを持っているし、風丸は初心者ながら長距離の速さは俺をしのぐ。半田は俺の無茶振りにも必ず平均点を出してくれるし、マックスはおそろしいほどに器用でちょっと教えたら難しい技術もすぐに習得してくれる。影野は今はまだ荒削りだがコンプレックスの影の薄さは必ず本戦で役に立つと思っている。一年組は壁山以外はまだ発展途上って感じだが一日でも早く俺たちについてこようと努力している。目金はまあうん、最初は印象最悪だったけど秋葉名戸活躍でそこそこ見直した。少なくとも俺はアイツらの実力と努力はちゃんと認めている。もうあの頃の独りよがりでサッカーをしていた頃の俺じゃないんだ。
審判の笛で後半戦開始の合図が鳴る。だが相変わらず俺のパスはFWに繋がることはなく面白いように帝国に奪われていった。だがどうする?帝国の皇帝ペンギンってヤツはもう守には通用しないと分かっているはずだ。さっき控え室の前を通った時FWの佐久間ってヤツと鬼道が少し揉めている声が聞こえたがまさか何か方法があるのか?
「“プランOG”を開始する!佐久間、洞面、寺門!頼んだぞ!」
“プランOG”とかいう大層な名前の割に放ったのはただの“デスゾーン”じゃねぇか。…いや待て明らかに方向がおかしいぞ!狙いは守じゃねぇ、鬼道だ!
「ディフェンス!ヤツらの狙いは鬼道だ!鬼道にマークしろ!」
「ふ、もう遅い!円堂!これが俺達帝国の新たなサッカーだ!」
まるで“ツインブースト”のように鬼道目掛けて放たれたボールが、鬼道の正面にくると“皇帝ペンギン2号”を撃つ時と同じように口笛を鳴らす。すると地中ではなく空中から5匹のペンギンがボールに衝突し“デスゾーン”のエネルギーが今までと比較にならいない程増幅する。そのままシュートを打つと紫色のペンギンが再び5匹飛び出した後融合し1匹の巨大なペンギンのオーラとなって守のゴールに襲いかかる。
「これが俺達の新必殺技!“皇帝ペンギン
「すげぇシュートだ!でも止めてやる!“ゴッドハンドD”!」
守も巨大な右手で応戦するが鬼と化したペンギンのクチバシは右手を突き破りゴールネットを激しく揺らした。
『ゴーール!帝国の新必殺技が円堂の“ゴッドハンドD”を破ったぁぁぁあ!これで0対2です!もはや勝負は決してしまったのかぁぁぁあ⁉︎』
勝負が決しただと?笑わせんな勝負はこれからだろうが。
俺達のキックオフで再開するが相変わらず守りは固い。…!、染岡がブロックを崩している!だが距離が遠い、豪炎寺に出すようにパスを出せればいいがそれだと染岡じゃ取れねぇ!こうなったら一か八かだ。
俺は染岡にパスを出したががやっぱり距離が足りねぇ!ボールはDFの大野に取られちまったがそこにフォローしたのはまさかの豪炎寺だ。
「はぁ!“バーニングカット”!」
豪炎寺が円を描くように空中を蹴り上げるとそこから炎の輪っかが現れ大野を吹き飛ばす。シュートを撃つと思ったが豪炎寺は何故かボールを外に出して試合を中断させる。何故ボールを出したのかこの意味を俺はすぐに身をもって知ることになる。
「稲魂!」
「あん?ぐはぁ!」
豪炎寺が俺を呼んだかと思えば“ファイアトルネード”が俺の腹に炸裂する。
「何すんだ豪炎寺!」
「何しているだと?これはこっちのセリフだ!なんださっきの染岡へのパスは!俺に出すのと同じようなパワーで出していれば染岡にボールが回っていた筈だ!」
んなこと言ったってあの状態で本気のパスを出してたら染岡じゃとれねぇって…。
「稲魂、俺はこの前の秋葉名戸の試合を見てお前が選手によって出すパスのパワーに大きなムラがあることに気づいた。何故本気を出していない、選手によってパスのパワーを変えるようなプレーをするんだ⁉︎お前は染岡を、いや雷門のみんなを信じていないのか⁉︎そんなプレーで帝国に勝てると思っているのか!」
『雷門のみんなを信じていない』俺はいつもパスを出したヤツが100%の速度を出せるように調整していたつもりだった。それがチームを活かすプレーであると信じて、だが豪炎寺のあの怒りようはなんだ?俺が、父が目指したサッカーはそんなに怒らせるようなものだったのか?
「…薄々俺も気づいていたよ。俺へのパスは明らかに豪炎寺より弱いってな。この際ハッキリ言わせてもらうぜ稲魂、お前が俺達の限界を勝手に決めるな!俺達は今までお前に追いつくために努力を重ねてきたんだ!どんなパスを出しても、どんなプレーをしても必ずお前に食らい付いてやる!」
染岡…
「俺も同じMFの稲魂を目標にして今まで努力してきたんだ。だから見せてくれよお前の本気を!」
半田…
「最初の帝国との試合の時、右も左も分からなかった俺を何度もフォローしてくれたよな。その時の恩をこの試合で返させてくれ、失敗を恐れているのなら俺がなんとかフォローして見せる!」
風丸…
「影の薄かった俺にも話しかけてくれた…。俺の影の薄さを強みとして見てくれたのは稲魂が初めてだったよ…。」
影野…
「僕がサッカー部に入った理由の1つってサッカー部に変人がいるってのに興味があったからなんだよね。キャプテンもだけど君みたいな変人がいなかったらいつも通りサッカーに飽きてるよ。」
松野…
「“イナズマ落とし”の特訓の時、何度も俺を励ましてくれたっスよね!あれが無かったら俺絶対途中で投げ出していたっス!」
壁山…
「俺も何度も稲魂さんにフォローされたでやんす!でも稲魂さんは怒らずにアドバイスをくれたでやんす!」
栗松…
「どうしたらカンフーとサッカーを合わせたプレーをできるか相談に真面目に乗ってくれたの俺嬉しかったです!」
少林…
「豪炎寺さんが来て俺がスタメン落ち後した後も自主練に付き合ってくれましたよね!練習は厳しかったけどおかげでシュート技が使えるようになりました!」
宍戸…
「これって僕も言わなきゃいけない空気ですよね…、コホン最初は君のことが嫌いだったけど鍛えてくれたお陰で別の学校にいる双子の兄弟よりもサッカーが上手くなったのは感謝してるよ。…ありがとう。」
目金…
「雷牙、ごめん俺はずっと感じてたんだ。雷牙がサッカーに何か使命感みたいなのを持ってプレーしてたことを、別に理由を話したくないなら話さなくていい。だけどもう一度俺達を信じてくれないか?そして俺は見たいよ、お前がする“本当のサッカー”を!」
円堂…
俺はバカだ…みんなは俺を信じてくれているのに俺は心のどこかで溝を作っていたなんてな…は、ははは、
「はーはっはっはっ!バカだ!俺もオマエらも、本当のサッカーバカだ!いいぜ!もう“勝つためのサッカー”は辞めだ!これから“俺、稲魂雷牙の、稲魂雷牙にしかできねぇ、稲魂雷牙だけの本当のサッカー”をする!オマエら!俺についてこいよ!」
俺の言葉にみんなは力強く答えてくれる。親父…あんたが言いたかったのはコレなんだな。俺は“自分”を封印する必要はない。ついてきてくれる仲間達と一緒にプレーするこれが“本当のサッカー”なんだ!
雷門ボールで試合が再開する。鬼道は俺が何か変わったことを感じとって色々指示を出しているがそんなことは関係ねぇ、眠れる獅子を呼び起こしたことを後悔させてやる。
染岡が早速ボールを奪われたがそこは俺がフォローする。
「“ハンティングセンス”!」
俺にボールが渡ったことで今度は豪炎寺だけ厚いマークをつけ染岡がフリーになるが今度はさっきと違うってことを見せてやるぜ。
『こ、これは稲魂、染岡に向かってシュートを打ったぁぁあ⁉︎このままでは染岡が負傷してしまうぞぉぉ!』
これがシュートだって?ノンノン、ただのパスだよ染岡の限界を引き出すためのな。
「(スゲェパスだ…!だが稲魂は俺がこれを取れると確信して打ってくれたんだな…!それなら俺はその信頼に応えるだけだ!)うぉぉぉお!!!」
『と、とったぁぁあ!まさかあれはシュートではなく染岡へのパスだったぁぁあ!しかも染岡フリーです!』
「何人たりとも俺を破ることはできん!“パワーシールドV3”!」
「ここで決めなきゃFWじゃねぇんだよ!“ワイバーンクラッシュV2”!」
進化した
「くそ!すまないみんな点を許してしまった…!」
「顔を上げろ源田。俺もまさか稲魂があれほどのパスを出して染岡が追いつくのは予想外だった。次はそうはさせない。」
帝国キックオフで始まり帝国は見事な連携で攻め上がり再び“皇帝ペンギンOG”を撃とうとするが今度はそうはいかねぇよ。
「“ハンティングセンス改”!」
より洗練された動きでボールを奪うことに成功した俺はそのままドリブルで攻め上がる。
今の俺のハートは青色で満たされている。サッカーが楽しくて楽しくてたまらない。そうだ、これこそが俺が望んでいたサッカーだ。なんか分からねぇけどよ、今なら出せる気がするぜ…!そうすると俺は全身に気をめぐらせ背中から放出させる。
「“雷鳴の王 レグルス”!」
できたぜ…!これが俺の化身だ…!
「“レグルスブレイク”!」
俺は化身技で帝国のDF陣を吹き飛ばし、源田と対峙する。
「こい!俺とお前のリベンジマッチだ!」
「いいねぇ!その言葉ビリビリきたぜぇ!!!」
俺が放ったのはノーマルシュートであったがその威力は染岡の“ワイバーンクラッシュ”を遥かに超えている。源田は怯むことなく“パワーシールド”以上のエネルギーを両手に宿してジャンプする。
「“フルパワーシールドV4”!」
再び対峙した
『ゴーール!雷門ついに2対2の同点です!勝利の女神が微笑むのは果たしてどちらかぁぁあ⁉︎』
「「「雷牙(稲魂)!」」」
雷門メンバー全員が俺に駆け寄ってもみくちゃにしてるが俺は今はそれどころじゃない。やっぱり化身の体力の消耗は半端じゃない。後半いっぱいは持ちそうだがこのまま延長戦まで戦い抜ける体力は残っちゃいない。ここからが踏ん張り所だ!
鬼道 side
稲魂が例の現象…影山曰く化身という技術を再び発現させた。これは雷門が帝国の盾を砕く矛を手に入れたことを意味する。…面白い、やつの化身と俺達の“皇帝ペンギンOG”のどちらが先に決まるか勝負だ。
帝国ボールで試合が開始するが雷門は俺に厚いマークを付けている。そう簡単に撃たせてはくれなさそうだ。
「貰い!行くぜ“雷鳴の王 レグルス”…何!」
稲魂が化身を発動しようとするが十分なオーラが発生せずに離散してしまった。やはり化身を使うには相応の体力が必要なようだな。稲魂の隙を突いた五条がボールを奪いカウンターを始める。いかに俺のマークが厚いと言っても元の技術力が違うのだ。抜けるのはさほど苦ではない。
「し、しまった…!鬼道が抜けたぞーー!」
俺をマークしていた選手が大声で知らせるがもう遅い。3点目を取らせてもらう。
佐久間達が放った“デスゾーン”が俺を捉える。あとは俺が皇帝ペンギンを発動するだけだ。
「そうは問屋がおろさねぇぜ!」
稲魂だと…!何故奴がここにいる!先ほどまで奴は前にいたはずだ、まだ数秒しかたっていないぞ!
「驚いてんなぁ鬼道。覚醒した俺にポジションなんて関係ねぇ、フィールド全てが俺の狩場だ!」
なんだと…!それにこのプレースタイル…!やはり奴は
「お前達!もはや雷門はこれまでとは違う!各ポジションに1人ずつ人数が増えたと思え!」
大袈裟に聞こえるかもしれないがこれは事実だ。もはやMFというポジションの枠を超えた稲魂雷牙の行動は予想がつかない。これこそ本当の
現に帝国は落下地点が予測できない雷のような稲魂雷牙のプレーに完全に翻弄されている。幸い源田の頑張りでなんとか失点を防いではいるが源田の体力も無限ではない、いずれ限界が来るだろう。考えろ、どうしたら奴を捉えることができる?どうしたら奴の動きの予想がつく?
数秒間の考えの結果、俺は1つの結論に辿り着きトレードマークであるゴーグルに手をつける。
元々これは総帥…影山に初めて師事した際にあえて視野を狭めることで司令官に最も必須の必要な情報だけを集める能力を鍛えるためのものだった。
もう俺は影山の操り人形ではない。俺の道に進むために奴と決別する。
『な、な、な、なんとぉぉぉお!帝国学園の鬼道!トレードマークである筈のゴーグルを自ら外して素顔を曝け出したぁぁぁあ!これは一体なんの意味があるんだぁぁぁあ⁉︎そもそもゴーグルを付けていた意味はあったのかぁぁぁあ⁉︎』
俺の行動に雷門だけでなく帝国のメンバー、観客、このスタジアムにいる全ての人間が衝撃を受けている。
…久しぶりだな素顔で試合をするのは、周りの状況がよく見える。これならいける。
「き、鬼道お前ゴーグルを…」
「鬼道さんの素顔初めて見た…。」
「お前達!驚いている場合か!俺は勝つためにゴーグルを外した!稲魂のディフェンスには俺がつく!お前達はそれ以外の選手のマークにつき、いつでもカウンターができるように準備をしておけ!」
予想はしていたとはいえゴーグルを外しただけで鉄骨が落ちてきた時と同じくらい驚かれるのはショックだな。
「…それがオマエの覚悟ってワケか鬼道?」
「お前に対抗するには視野の広さが必要だった、それだけだ。」
「はっ!だとしても負ける気はしねぇぜ!勝つのは俺達雷門だ!」
ふん。言ってろ『絶対王者』として帝国も負ける気は無い!
円堂 side
鬼道がゴーグルを外してから展開は一変した。あれだけ帝国を翻弄してきた雷牙が鬼道に常にマークされるようになって攻撃の手がさっきよりも緩まってしまう。後半もあと少し、このまま延長戦まで持ち込まれれば多分体力とテクニックで劣る雷門は負けてしまう。だからなんとかして俺は点を取られないようにして、雷牙が点を取る。そうしないと勝てない。
“皇帝ペンギンOG”は“皇帝ペンギン2号”とは比較にならない威力だった。それに対抗できるのはもはや“マジン・ザ・ハンド”しかない。でも一向に完成する気配がないし、ハーフタイムに響木監督からコツを聞いても響木監督すらわからないって言われた。ただ1つ爺ちゃんは“マジン・ザ・ハンド”を左手で打っていたそれだけが俺が得た情報だった。
左手打つ…俺は右利きだから右手で“マジン・ザ・ハンド”を打とうとしていたけどそれじゃダメなのか?左手で打つことに何か意味があるのか?
「円堂そっち行ったぞ!」
風丸の声で我に返る。気づくと既に“デスゾーン”が放たれて鬼道が指笛を吹く直前だった。雷牙も間に合わない位置にいる。ここで止められなかったら俺達の負けだ…!
最後に俺は爺ちゃんのグローブを見つめる…あれ?右手のグローブには俺の試合でついたであろうコゲしかついてないぞ?…でも爺ちゃんは左手で打っていた
…そうか、そういうことだったのか…!俺はずっと右手でも左手と同じ感覚で気を溜めれば“マジン・ザ・ハンド”が出せるって思い込んでいた。けど、心臓の位置は体から見て左にある。だから右手に気が渡るまでの時間のロスがあったんだ!だったら右手に出すためにはこうすればいいんだ!
「な!後ろを向いただと勝負を諦めたというのか!」
「(違う、円堂はこんなところで勝負を諦める人間じゃない!奴は何かを掴んだのだ、面白い勝負だ円堂!)“皇帝ペンギン
今までないほど心臓に気が集まっているのを感じる。俺は捻った体を元に戻して右手を天に掲げると化身によく似た“魔神”が姿を現した。
「これが俺の“マジン・ザ・ハンド”だぁぁあ!」
俺の動きに連動するように“魔神”が右腕を突き出す。
次第にペンギンのオーラは消えていきボールが俺の右手に収まる。
「守!こっちにボールをくれ!」
分かった!雷牙決めてくれ!
No side
後半終了まで残り5分。雷門も帝国も互いに死力を尽くしてプレーをしている。ここまでくれば帝国の勝利条件は延長戦までゴールを守りぬくこと。雷門の勝利条件は雷牙にボールを託して化身シュートを決めること。
残り時間4分、3分、2分と着実に残り時間は減っていく。だが遂に雷門にチャンスが訪れた。
「ここだ!“クイックドロウ”!」
雷門のマックスが必殺技を生み出しボールを奪うことに成功する。ようやくボールが自身に渡った雷牙は最後の力を振り絞る。
「はぁぁあ…!“雷鳴の王 レグルス”…!」
これで全てが決まる、雷牙と源田は最後の勝負を行い源田の大楯を易々と粉砕する。
勝った…雷牙はそう確信し膝から崩れ落ちるが得点のホイッスルは鳴らない。ゴールまで下がっていた鬼道と佐久間が必死に持ち堪えているのだ。だが2人のキック力を持ってしてでも完全に止めきることはできずにコースを変えるので精一杯だった。ゴールポストに弾かれたボールは宙を舞い今度は帝国が勝利を確信する。鬼道とて例外ではなかった。…だが雷牙の目は死んでいない。寧ろこうなることが分かっていたと言わんばかりの笑みを浮かべている。疑問に思った鬼道は
「分かってたよ…オメーらがシュートを止めるってな…、だから油断すると思った。ジャックポットだ…。」
「…まさか!」
そう思い頭上を見上げた時には全てが遅かった。円堂は豪炎寺と壁山と共にジャンプし壁山を土台にしてさらに高度を上げる。そして豪炎寺と共にオーバーヘッドキックをゴールに向けて打つ。
「「“イナズマ1号落とし”!」」
青と黄色の雷を纏いながらゴールに襲いかかる。源田ももはや体力の限界であり“パワーシールド”すら出せずにノーマルキャッチで対応せざるを得なくなる。
「ぐっぐぐぐ…くそ…!見事だ雷門イレブン…!」
源田は最後に雷門がここまで成長したことへの賞賛の言葉を送ると限界を迎えボール諸共ゴールに吹き飛ばされてしまう。同時に試合終了のホイッスルが鳴り響く。
『し、試合終了…!雷門やりました…!『絶対王者』の帝国を破り!!!40年ぶりにFF本戦に出場決定です!!!!!私は今モーレツに感動しておりますぅぅぅう!!!』
「勝った…勝ったぞぉぉぉお!!!俺たち全国に行けるんだぁぁぁあ!!!!」
帝国に勝利したことを理解した円堂は雷の如き大きな声で叫ぶ。同じく状況を理解した雷門イレブン達も円堂に駆け寄り胴上げをする。ただ1人を除いて。
「ねぇみなさ〜ん、俺のこと忘れてなぁい…?体力使い果たして一歩も動けねぇんだけど…。」
「だったら次は稲魂を胴上げだ!いくぞみんな!」
風丸が音頭をとると今度は全員雷牙の方に駆け寄り胴上げをする。
胴上げが終わり雷牙もなんとか肩をかしてもらって立てるくらいに回復すると会場内から雷門が体験したことのない歓声が上がる。
「(夕香…お兄ちゃん帝国に勝ったぞ…!去年叶わなかった夕香との約束を守れたんだ…!)」
豪炎寺は感慨深そうにポケットに入れておいた妹の形見のペンダントを握りしめる。
「この胸の熱くなる感覚…そうだこれがサッカーだったな…!」
響木は40年前に果たせなかった夢を後輩達が叶えてくれたことに深い喜びと感謝が湧き上がる。
「稲魂、お前はなぜ俺達がシュートを止めることが分かっていた?あれは間違いなく死力を尽くしたシュートだった筈だ。」
「あぁあれ?ただの山勘。」
まさかの計算ずくではなくただの勘であったことにあっけに取られる鬼道だったがむしろそれの方が雷門らしいと思い笑みを浮かべる。
「ま、俺たち帝国の分も本戦で頑張ってやるから期待して試合を見ていな!ズババーンと優勝してやるぜ!」
「…お前知らないのか?俺達も本戦には出場するぞ。」
あまりの爆弾発言に雷牙だけでなく遠くから会話を聞いていた円堂も反応する。
「どういうことだよ?帝国も本戦に出られるって?」
「前回優勝者の特権って奴だ。前回優勝校とサッカー委員会会長が推薦したチームは無条件で本戦に出場できるんだ。まあ後者の学校が出るのは稀だがな。」
「だったら本戦でまた帝国と戦えるってことか!次も俺たちが勝つぜ!」
帝国とまた戦えることを知った円堂と雷牙はさらにモチベーションを上げ再戦の約束をし帝国を後にする。
だが彼らは知らない。その約束が果たされることは決してないことを。
???side
「ふーんあの帝国が負けたねぇ?」
「かなり接戦だったとのことです博士。」
どこかにあるビルの地下室で話し合う2人の人影が見える。
「それにしても影山さんに逆らった挙句雷門に敗北かぁ…これは影山さんは相当怒っているだろうねぇ…帝国の面々のその後に同情するよ。」
「影山は警察に逮捕されたのでは?」
「あの影山さんだよ?いったい過去40年間で何回“鉄骨落とし”によって帝国を
ケラケラと呑気に笑う科学者だが、顔色の悪い部下の男は影山には興味がないのか特に気にせずデータの入ったUSBメモリだけを置いて去っていく。
「おっと
「いえ、お構いなく。先生のお役に立てるならあのような復讐に狂った大金持ちの老人の部下になるのも苦ではありません。」
研崎と呼ばれた男の目には嘘偽りもなく科学者の男に心酔し切っている様子である。
「そういえば君の目標とする研究はなんだったっけ?この歳になると忘れっぽくてねぇ。」
「よくぞ聞いてくれました!私が目標とするのはまさに究極の強化人間を作ること!王も皇帝もこえる神の次元まで達する究極の生命体を作り上げること!先生が書かれた論文を初めて読んだ時からずっとそのことだけを考えて生きてきたのです!」
先ほどの冷静さが嘘のように興奮しながら自分の研究をプレゼンする研崎。だが科学者の男は作り笑いを浮かべて軽い拍手をする。
「素晴らしい目標だ。1つ聞きたいのだが君にとって人間が至れる最高地点とは神なのかい?」
「ええそうです!神とは古来より人間が崇め讃える存在!どうです?“雷帝”の異名を持つあなたを超えるための素晴らしい存在だと思いませんか⁈」
“雷帝”と呼ばれた男は興味が失せたのかモニターの前に座り直して作業を再開する。
「おっと、もうこんな時間ですか…では先生またの連絡をお待ちしています。」
再び1人になる男は独り言を呟く。
「神が人間の最高到達点ねぇ…哀れな男だ、神のレベルまでしか想像できず
とりあえず貰ったデータチップをPCに差し込み仮眠をとりに行く男。放置されたPCの画面には“プロジェクトZ”と書かれた計画書が映っていた。
結局鬼道が言っていた雷牙が雷門の穴ってのは今の雷門中の攻撃要は雷牙であり雷牙はパスを出す対象がボールを拾うことにトップスピードでなれるように計算してパス出していました。そのため出すパスの強さにムラがあり豪炎寺以外のパスは大した速度ではないため取りやすいって意味です。
〜オリジナル技紹介〜
♦︎皇帝ペンギンOG
属性:林
分類:シュート(オーバーライド)
使用者:鬼道
進化系統:究極奥義
≪概要≫
OGと書いてオーガと読む劇場版のチームは関係無いはず多分。威力は2号以上1号未満といった感じで1号ほどじゃないが足の負担はそれなりにかかる。
♦︎バーニングカット
属性:火
分類:ブロック
使用者:豪炎寺
進化系統:V2→V3→V4→A
≪概要≫
急遽追加した豪炎寺のブロック技。モーションは“ホワイトブレード”のディフェンス技と炎版と思ってください。