イナズマイレブンHEROS!!!   作:月兎タンク

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最後の砦(エンド)を守る者

 まるでガルシルドの思想そのものが形となったような最凶最悪のタクティクス“グリッドオメガ”…。

 

 サッカー自体を全否定する真紅の大嵐を喰らったイナズマジャパンは、満身創痍の状態に陥りながらも辛うじて立ち上がり、サッカーを守るべく試合を続ける。

 

 だが……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そこから先はただの蹂躙劇であった。

 

ヘンクタッカー「“デーモンカットV4ッ”!!!」

 

鬼道「ガッ…!」

 

 悪魔の如き形相の衝撃波が、司令塔を吹き飛ばし…

 

オウル「“ジャッジ…スルーッ”!!!」

 

不動「グッ…!!カハッ…!!」

 

 最早、隠す気も微塵も無いボールという凶器が、反逆児の腹部へ突き刺さり…

 

マンティス「“シザースボムッ”!!!」

 

風丸「うわぁぁぁぁぁ!!?」

 

 大量の石礫が紛れ込んだ粉塵が疾風を掻き消す。

 

円堂「みんなァァァァァァ!!!!」

 

 もう、この試合はサッカーであってサッカーではなかった。

 

 1人を除くイナズマジャパンはまともに動けず、ディフェンスが機能しておらず…。

 

ガルシルド「フハハハッ!!!いいぞォ!!!我が僕達よォ!!だが、まだ足りんッ!!!徹底的に奴らを痛め付けるのだァ!!!」

 

 まともに動けるチームGには絶好のシュートチャンスが吐いて捨てる程に転がっているにも関わらず、相手を傷付ける事だけに集中している。

 

雷牙「ざけんじゃねェ…!もうこんなのサッカーですらないだろうが…!!!」

 

 遂に我慢の限界を迎えた“怪物”は、仲間達の救援に向かおうとするが、そこに……

 

鬼乃子「だ〜か〜ら〜!ダメだって〜!アンタの相手は私なの〜!」

 

 “鬼”によって救援を阻まれる。

 

雷牙「しつけェぞ鬼乃子ォ!!!いい加減、そこを退きやがれェ!!!!」

 

鬼乃子「べー!嫌でーす!そんなに邪魔なら退かしてみればァ?お得意の力づくでさァ!!!」

 

 “怪物”は未だに“鬼”の執着から逃れられないでいた。

 あまりに粘着性の強過ぎる束縛は、“憎しみ:を超え“愛情”と見間違えてしまう程だ。

 

雷牙(クソッタレが…!もうただの“獅風迅雷”じゃコイツを振り切れねェ…!使うしかないのか…!?“極”を…!!)

 

 仲間達が傷付けられてなお、“怪物”は切り札を切る事を躊躇してしまう。

 

 彼とて使えるものなら一刻も早く切り札を使いたい。

 

 だが…… 使いたくとも使()()()()()()

 

 別に発動が出来ない訳ではない。この煮えたぎる怒りを燃料にすれば、間違いなく“地平線”に到達する事は可能だろう。

 

 しかし…()()()()()()()()()()()

 

 “地平線”に辿り着く為に必要なのは、大きな翼を備えた飛行機…。

 だが、 旅路の途中に遭遇した真紅の大嵐により、“地平線”へ向かう機体(からだ)は既にボロボロだった。

 

 使わずにとも分かる。もし、この状態で“極”を発動してしまえば仲間を救う事は出来ても、未来を護る事は出来ない…と。

 

雷牙「だからって…!このまま見捨てられワケないだろうがァァァァ!!!!」

 

 そう。“理性”では理解している。このタイミングで切り札を切るのは、致命的な下策中の下策であると。

 

 しかし、“怪物”の魂は『正解』ではなく『不正解』を敢えて選んだ。

 

 “怪物”だって人間なのだから。

 

鬼乃子「おっ☆ そろそろ“(ビヨ)”っちゃう〜?んじゃあ、私も休憩タイムはしゅーりょー!」

 

雷牙「目に物見せてやんぜ…!!“獅風迅雷・究極極ーー」

 

 『人間』として不合理を選んだ“怪物”は、友を助けるべく傷付いた機体を無理矢理、動かし“地平線”へと向かおうとする。

 

 その瞬間(とき)だった……

 

「俺達に構うなッ!!雷牙ッ!!!」

 

 何者かの声が“怪物”の旅路を止める。

 

雷牙「なッ…!何言ってんだよ…!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

()()()ッ!!?」

 

 “怪物”の旅路を遮ったのは、他でもない、仲間であり親友であり戦友である豪炎寺修也だった。

 

豪炎寺「いいか雷牙…!お前は俺達の“希望”なんだ…!」

 

雷牙「俺が…“希望”だと…!?」

 

豪炎寺「他の選手など端から()()()()()()…!サッカーを凶行に使うような奴らに…!俺達は負けないからな…!」

 

ヘンクタッカー「ホォ?よく言うではありませんか?絶賛、私達に痛め付けられている最中にも関わらずにねェ!!!」

 

豪炎寺「グアァァァァ!!!!」

 

雷牙「豪炎寺ィィィィ!!!!」

 

 弱者に侮辱された事により怒りが頂点に達したヘンクタッカーのシュートが豪炎寺の鳩尾に入り、吹き飛ばされる。

 普通の試合ならばレッドカード間違いなしの反則でも審判の笛は鳴らない。

 

 生憎、これは“普通の”試合ではないのだから。

 

雷牙「テメェらァ…!!」

 

豪炎寺「やめろ…雷牙…!」

 

 下手すれば二度とサッカーが出来なくなるかもしれないラフプレーを喰らっても豪炎寺は相棒の怒りを抑える。

 

豪炎寺「いいか雷牙…。鬼乃子に勝てるのはお前しかいない…!だから…!“その時”がくるまで体力を温存していろッ…!!」

 

雷牙「豪炎寺…」

 

 “怪物”は今すぐにでも仲間を傷付ける外道達に復讐したい。

 

 未来から捧げられた御技を使って、調子に乗る彼らをボッコボコのメッタメタにしてやりたい。

 

 それでも友は言うのだ。

 

『今はまだ“その時”ではない』と…。

 

王将『ああっとーーッ!!?どうした稲魂ァァァ!?突然、()()()()()()()()()()ォォォォ!!!?』

 

 “怪物”は友を『信じる』事にする。

 

豪炎寺「それで…いい…!」

 

 仲間よりも勝利を優先した薄情者と罵られても構わない。

 

 仲間を見捨てた裏切り者だと失望されても構わない。

 

雷牙「……」

 

 今はただ“その時”を待つ。

 

 それが友の…仲間の…“願い”なのだから。

 

ガルシルド「フン!何か企んでおるようだが関係無いわッ!!!ヘンクタッカーよッ!イナタマ・ライガは最後だッ!!まずはエンドウ・マモルを潰せェ!!!」

 

ヘンクタッカー「ラジャーッ!!!」

 

 遂に黒衣の戦士達の矛先が、最後の砦を護る守護神へ向く。

 

円堂「絶対にゴールをやるもんか…!俺はキーパーなんだ…!」

 

 9つの殺気を一身に受けた円堂は、己を奮い立たせる為にヘソの下に力を入れる。

 

コヨーテ「先ずは私からだァ!!“爆ガンショットッ”!!!」

 

 天より放たれしは山吹の弾丸。強烈なスピンが掛けられた必殺シュートは、最後の邪魔者を始末せんと襲い掛かる。

 

円堂「止める…!“超…!ゴッドハンドVッ”!!!」

 

 不意を突いた事で“イジゲン・ザ・ハンド”を破ってみせた“ガンショット”だが、素の威力はそこまで高くない。

 万全の状態の円堂なるば、十分に止められる範疇にある。

 

 そう…()()()()()()()()()()

 

円堂「ぐっ…!クソ…!!」

 

冬花「そ、そんな…!守君が押されてる…!?」

 

大介「ぬぅ…!心が乱れておる…!今のあやつじゃ、本来の力を発揮出来ておらん…!守ッ!!心を落ち着かせるんじゃ!!怒りに呑まれたままではガルシルドには勝てんぞッ!!!」

 

円堂「分かってる…!頭じゃ分かってんだよ、じいちゃん…!」

 

 祖父の助言は理解出来る。しかし、それでも円堂は割り切る事が出来なかった。

 

円堂「ぐっ…!でぇりゃぁぁぁぁっ!!!」

 

王将『円堂、止めきれずゥゥゥ!!!だが、キーパーとしての意地を見せ、何とかボールを弾き飛ばしたぞォォォ!!!』

 

円堂「はぁ…!はぁ…!くそっ…!くそぉ…!!!」

 

 円堂は怒っていた。

 

 サッカーを“つまらない球技”と言い放った悪の帝王に。

 

 サッカーを他人を傷付ける悪事に使う黒衣の戦士達に。

 

 それでも、円堂は彼らに敵わなかった。

 

 渾身の“怒り”を込めた必殺技すらも、サッカーを侮辱する悪人達には通用しなかった…その事実が円堂守の心を蝕み苦しめていた。

 

円堂(俺は初めてサッカーと出会ってから、寝ても覚めてもサッカーを愛し続けてた…。でも、サッカーを愛していないチームGから点を許した…。分からない…一体俺に何が足りないんだ…?)

 

ヘンクタッカー「よそ見をしている場合ですかッ!?お次は私が相手をしてやりましょうッ!!!」

 

円堂「ーーッ!!!来ぉいっ!!!」

 

 シュートの体制に入ったヘンクタッカーは、気を高めると身体より漆黒の稲妻が発生し、空に亀裂を入れる。

 

鬼乃子「アッレ〜?その必殺技って、オニオンなんちゃらが使ってた技じゃーん!」

 

ガルシルド「その通りィ!!オリオン財団は実に良いデータを持っていたからなァ…!!!私の計画の組み込んだやったわッ!!!」

 

 宙に浮かぶ漆黒の空間内にて蠢めくのは、これまた不気味な無数の“腕”。全ての準備が整ったヘンクタッカーは、渾身のシュートを叩き込むとボールは漆黒の魔弾と化し、円堂の元へ向かう。

 

ヘンクタッカー「“ブラックフィールドッ”!!!」

 

 既に“鬼”の記憶からは抹消されているが、エイリア騒動の裏で繰り広げた正義無き世界の命運を賭けた前哨戦にて披露された必殺シュートが、時代と時空を超え、円堂守に牙を剥く。

 

円堂「負けるもんかぁぁぁぁぁ!!!!!“魔神ッ!!グレイトォォォ”!!!」

 

 今の“ゴッドハンドV”では止めきれないと判断した円堂は、不調の差を埋めるべく体力の消耗度外視で化身を発動する。

 

円堂「“グレイト・ザァ…!ハンドォォォ”!!!」

 

 “魔神”の屈強な右手が無数に飛び掛かる漆黒の“腕”を受け止めるが……

 

円堂「お、重い…!いや…!俺が軽いのか…?」

 

 円堂守最強クラスの必殺技を用いても、簡単には止められない。

 

円堂「まだだ…!気持ちが負けたら勝てる勝負も勝てなくなるんだ…!踏ん張れぇ…!!!円堂守ぅぅぅぅ!!!!」

 

 魂の叫びが勝利の女神に届いたのか、あれだけ心細かった“魔神”の右手は徐々に魔弾を押し返し始める。

 

秋「いける…!いけるわ!!円堂君っ!!!」

 

円堂「うおぉぉぉぉぉっ!!!!ド根性ぉぉぉぉっ!!!!」

 

 円堂の咆哮に呼応するように、“魔神”もまたパワーを増していきボールを覆っていた漆黒のオーラが剥がれていく。

 

円堂「俺の…!勝ちだぁぁぁぁっ!!!!」

 

 短い拮抗の末に、遂に“魔神”の右手にボールが収まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そう()()()()()()()

 

ヘンクタッカー「ヌフフ…!!!一見すると正しいように見えたその選択…。だがそれは!!大いなる間違いなのですよッ!!!」

 

円堂「何ッ!?きゅ、急に突風が…!?」

 

 完全に円堂の右手にボールが収まったと思った瞬間、突如ボールから突風が発生し、右手から離れコーナーへ向かって飛んで行く。

 

音無「ど、どうしてっ!?円堂さんは完璧に止めた筈じゃ…!?」

 

大介「マズいぞッ…!恐らくヘンクタッカーはシュートの直前にボールに強力なスピンを掛けて、突風をコーティングしておったんじゃ…!例えシュートが止められても確実に点を取れるようにな…!」

 

ヘンクタッカー「フハハハッ!!!貴方は“勝って兜の緒を絞めよ”という諺を知らないのですかァ!?日本の守護神が聞いて呆れますねェ!!!」

 

円堂「くそっ…!間に合えぇぇぇぇぇ!!!!!」

 

 完全に思考の不意を突かれた円堂は、文字通り飛んでボールへ向かうが、その判断はあまりにも遅過ぎた…。

 

円堂(くそ…!くそくそくそくそくそくそ…!!!俺がもっと冷静だったら…!じいちゃんの助言を素直に聞き入れていれば…!この程度の罠に気づけたってのに…!全部…!全部、俺の責任だ…!!)

 

 円堂は心の底から悔やむ。

 

 仲間の仇を討てなかった事を…。

 

 己が弱いばかりにガルシルドの言葉を否定出来なかった事を…。

 

 様々な“後悔”が脳裏を過ぎるが、今更どんなに悔やんでも、全ては“IF(たられば)”でしかない。

 

円堂(ごめん…みんな…!)

 

 円堂守は人生で初めて“諦める”という選択をしてしまった。

 

 だが、誰も彼を責める事は出来ない。

 

 円堂は本当によく頑張った。

 

 仲間達が倒れ伏す中…たった1人で戦ってみせた。

 

大介(守…!)

 

 次第に視界が暗くなる。

 

 気を失いかけている訳ではない。

 

 ただ、彼は見たくなかった。

 

 己の不甲斐なさを。

 

 己の弱さが招いてしまった結果を。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

???「まだだ…!まだ終わってないぞぉぉぉぉ!!!!」

 

 円堂の心が折れかけた、その時……

 

 

 

 ゴールに蒼き疾風が吹き荒れる。

 

円堂「風…丸…?」

 

風丸「ウオォォォォオオオォォォ!!!」

 

 満身創痍の身体に無理を効かせ、冷静な彼らしくもない無茶を重ねた蒼き疾風は、その肉体全てを使ってシュートを受け止める。

 

風丸「ぐぅ…!!!“魔帝…!ダークエンペラァァァ”!!!」

 

 大半の機能を削がれても、魔弾は魔弾。満身創痍の風丸ではそう簡単に受け止め切れる事が出来ず、更に無茶を重ねる事となってしまう。

 

ヘンクタッカー「無駄ですよォ!!!貴方のような凡人如きにィ!!!私のシュートを止められる筈がありませんッ!!!」

 

風丸「諦めるもんか…!絶対に…!俺は…!いつも円堂に助けられてきた…!!だから…!!今度は俺が助ける番だァァァ!!!」

 

円堂「風丸…!」

 

 友への助けになりたい…。“エゴ”と“エゴ”がぶつかり合いであるこの戦争においては、あまりにも純粋で尊い願い…。

 

 それが…奇跡を起こした。

 

風丸「だぁりゃぁぁぁぁぁ!!!!」

 

ガンッ!!!

 

 ゴールに吹き荒れた疾風は、シュートの軌道を僅かに逸らした。

 

 たかが“僅か”…。それでも“僅か”…。

 

 今この瞬間においては、その“僅か”があまりに効果的だった。

 

王将『止めたァァァァ!!!!円堂すらも破られ万事休すかというタイミングでブロックに入った風丸一郎太がシュートの軌道をズラしたぞォォォ!!!それによってシュートはポストを直撃ィ!!!イナズマジャパンッ!急死に一生を得ましたァァァ!!!』

 

ヘンクタッカー「馬鹿なッ…!?」

 

 『究極の力を得た私のシュートが止められるなんて…!?』的な唖然とした表情を見せるヘンクタッカーだが、なんて事はない。

 

 風丸一郎太の“覚悟”が中身も信念も持たない薄っぺらな戦士に勝っただけだ。

 

鬼乃子「ププッwww 一丁前に言ったことわざがそのまま返されてんじゃ〜ん!マジウケるんですけど〜♪お兄ちゃんもそう思うよね〜?」

 

雷牙「……」

 

 敵同士であるにも関わらず、親しげに談笑しようとする妹の言葉に、兄は答える事はなかった。

 

 流石の“怪物”とて体力回復の為に寝ている訳でもない。

 

 彼はちゃんと一連の流れをその目で見ていた。

 

 ただ…

 

 今の“怪物”の表情は不気味な程に無機質なのだ。

 

鬼乃子「ノックしてもしも〜し?私の声が聞こえてますか〜?お兄ちゃ〜ん?」

 

雷牙「…最初に言っとくぜ…?」

 

鬼乃子「ん〜〜???」

 

雷牙「言葉には気を付けた方がいい。今の俺を下手に刺激すると、後がどうなるかマジで分かんねェぞ?」

 

 まるで魂が抜けたかのように感情を面に出さず、低い声で淡々と説明する“怪物”には、“その時”が訪れた暁には文字通りの意味の“殺す”事すらも厭わない…そんな凄味があった。

 

風丸「円堂…。俺は…シュートを止めれたか…?」

 

円堂「ああ…!!ほら見ろ…!これがお前が止めてくれたボールだ…!」

 

 円堂の両手に収められたボールを見た風丸は、安心したのか口角を上げ微笑む。

 

円堂「けど…!なんであんな無茶を…!お前の身体はもう、“グリッドオメガ”のせいでボロボロなんだぞ…!?」

 

風丸「構わないさ…。俺は…いつもお前に助けられてばかりだったからな…。その恩を返せるのなら…何度だって、この身体を犠牲に捧げてやる…!」

 

円堂「そんなこと…!冗談でも言うなよ…!」

 

風丸「ハハハ…悪いな円堂…。もう俺はこれ以上戦えないみたいだ…。そろそろ意識を保つのもキツくなってきた…」

 

 願うならば数十年にも渡った因縁の決着を見届けたい風丸だが、願いも虚しく徐々に意識を薄れ、言葉も途切れ途切れになっていく。

 

風丸「だから…!最後に聞いてくれ…円堂…!“弱さ”を見せる事は…!決して悪い事なんかじゃない…!誰にだって…“弱さ”はある…!本当に大切なのは…その“弱さ”を受け入れるかどうかだ…!」

 

円堂「弱さを…受け入れる…」

 

風丸「俺は信じているぞ…!お前…なら…円堂守なら…!必ず“弱さ”を受け入れられるって…!だから…護ってくれよ…!俺達の…サッカーを…!!!」

 

 これまで胸中に溜め込んでいた全ての“想い”を友へ託した風丸は気を失う。

 

大介「交代じゃ!!風丸一郎太に代わって木暮夕弥との交代を認めろ!ガルシルドッ!!!」

 

ガルシルド「フン。好きにしろ」

 

 気を失い試合続行不可能な怪我を負った風丸は仲間達に運ばれ、フィールドを去る。

 

夏未「…よろしいのですか監督?円堂君はほとんど“答え”を掴んでいます。貴方が一言助言を送れば、彼なら必ず正解まで辿り着ける筈では?」

 

大介「…そんな野暮な事はせんよ。もしも儂が守に助言を与えてしまえば、風丸少年の想いを無駄にする事となる…。そうなれば守は更に悩んでしまうじゃろう…。己の殻すら破れずに…な」

 

 大介とて理解はしてる。

 

 夏未の言う通り、ここで自分が助言を与えれば、自身のサッカーセンスを色濃く受け継いだ孫は、この窮地を切り抜けられる必殺技に開眼する事には。

 

 だが、所詮は()()()()()()

 

 “未来”を掴み取った、更にその先にある。自分の教え子達との最終決戦…。

 

 そこで必ず孫は苦悩し葛藤する事になるだろう。

 

 だからこそ大介は敢えて助言を与えない。

 

 この戦争は、永きに渡った因縁の終着点であり、円堂守の最後の試練でもあるのだから。

 

ピーッ!!!

 

王将『さぁッ!!!イナズマジャパンのゴールキックから試合が再開……ですが、大半の選手は未だに動けず、稲魂は太々しく座っているゥゥゥ!!!もう円堂がパスを出せる選手は木暮しか居ませんッ!!!』

 

木暮「“しか”ってなんだよ!!“しか”って!!!俺だって、やる時はやる男なんだからなっ!!!」

 

コヨーテ「ホォ?だったら…」

 

スコーピオ「その実力を見せてくれよ?」

 

木暮「ヒィ〜〜〜!!!?」

 

円堂「……」

 

 円堂に取れる選択は2つ。

 

 1つ。交代から僅か10秒でチームGの威圧感にビビりまくっている木暮にパスを出す。

 

 2つ。遥か遠くで無表情を保ちながら“その時”をひたすら待ち望んでいる“怪物”にパスを出す。

 

 木暮は言わずもがな、太々しくピッチに座り込んでいる“怪物”の周囲には厚いマークが付けられており、どう考えてもパスは通らない。

 

染岡「オイ爺さんッ!!なんで俺じゃなくて木暮を出したんだ!?この状況であいつじゃ、荷が重すぎるぞッ!!!」

 

大介「…お前さんは駄目じゃ。何せ、備流田以上に気性が荒いからの。下手すりゃ手を出して退場されかねん」

 

染岡「クソが…!今日ほど生まれつきの短気を悔やんだ事はねぇぜ…!!!」

 

 フィールドの外には混乱が。ピッチの中では沈黙が。

 

 まるで鏡合わせのように対照的な状況が続く。

 

円堂「……」(スッ…)

 

 永く短かった思案の末に、遂に円堂は覚悟を決める。

 

円堂「俺の選択は…!これだぁぁぁぁぁ!!!!!」

 

 皮と皮が強く衝突した鈍い音がピッチに木霊する。

 

 一挙手一投が世界の運命を大きく左右する中で、

 “賽は投げられた”…ならぬ、“ボールは蹴られた”。

 

 親友の犠牲の末に円堂が達した結論…。

 

 その終着点は……

 

王将『蹴ったァァァァァ!!!!!円堂がボールを蹴ったぞォォォォ!!!!この絶対絶命の状況でパスを送ったのはァ……!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

木暮夕弥ですッッッ!!!』

 

 円堂は確信していた。

 

 まだ“その時”は訪れていない…と。

 

 ならば自分が引き寄せるしかない。

 

 “怪物”の怒りが爆発する“その時”を。

 

ヘンクタッカー「ヤケになったかエンドウ・マモルゥ!!!いいでしょうッ!!お望み通り、完膚なきまで叩きのめしてあげましょうッ!!!」

 

 一瞬で木暮からボールを奪ったヘンクタッカーは、コヨーテと共に並走する。

 

コヨーテ「ハァァァ…!“人工化身 プラズマシャドウ零式”…!!!」

 

 円堂抹殺の序章曲(プレリュード)となるのは、禍々しき影法師。

 

コヨーテ「“シャドウ…レッグゥゥゥ”!!!」

 

 極限まで強化された影法師から放たれるのは、これまで幾度となく円堂を苦しめてきた漆黒の魔弾。

 

 そこに……

 

ヘンクタッカー「“ブラックフィールドV4ィィィ”!!!」

 

 円堂の心を折りかけた影の百鬼夜行が、最凶出力を以て漆黒の魔弾と融合する。

 

冬花「守君っ!」

 

秋「円堂君っ!!」

 

染岡「円堂ォ!!!」

 

音無「円堂さんっ!」

 

立向居&虎丸「「円堂さんッ!!!」」

 

綱海&土方「「円堂ッ!!!」」

 

佐久間「円堂!!」

 

大介「守…!」

 

 戦場の外で決戦の動向を見守っていた仲間達は次々と円堂の名を叫ぶ。

 

ガルシルド「今更、どんなに足掻こうが無駄なのだァァァ!!!祖父の意志と共に…!くたばれェェェェ!!!!エンドウ・マモルゥゥゥゥ!!!!」

 

 比喩でもなく円堂守の命すらも奪いかねない無情の百鬼夜行…。

 

 肌で感じる威力は、例え化身を使っても()()()()()()()()()を暗に告げている。

 

円堂「俺は……サッカーが大好きだ……!!!」

 

 それでも円堂守は逃げない。

 

円堂「サッカーは俺に“出会い”をくれた…!!!」

 

 祖父から受け継いだボロボロのキーパーグローブを付けている限り…

 

円堂「サッカーが紡いでくれた仲間たちとの“出会い”の全てが…!!!」

 

 その胸に脈々と受け継がれた“イナズマ魂”を宿している限り…

 

円堂「今の俺をつくっている…!!!」

 

 彼は“最後の砦(エンド)を守る者”なのだから。

 

円堂「これが俺のぉ…!!“ 解答(答え)”だぁぁぁぁぁ!!!!!」

 

 円堂守が辿り着いたサッカーへの“解答(答え)”…。

 

 彼の気迫は凄まじい気の奔流となり、稲妻を纏いし新たな魔神を形作る。

 

秋「あれって…!“マジン・ザ・ハンド”…!?」

 

大介「いや違う…。あれこそ守が辿り着いた“解答”じゃ…!!!」

 

 限界の殻を破り降臨した魔神は、荘厳なる紅のマントをはためかせ、その両手を力強く突き出す。

 

円堂「“ゴォォォドッ!!!キャッチィィィ”!!!」

 

 円堂守が見つけ出した、円堂守の為の、円堂守だけの“解答”…。

 

 まるで彼の持つ心の強さがそのまま顕れたかのような必殺技は、本来絶対に敵う筈の無かったシュートを、一瞬の拮抗すら許さずに受け止めてみせた。

 

ガルシルド「と…!」

 

ヘンクタッカー「と…!?」

 

王将『止めたァァァ!!!我らが円堂が、この土壇場で新たな必殺技を生み出しチームG渾身のシュートを止めてみせたぞォォォォ!!!!』

 

 チームGが放てる最強のシュートが止められた事実を前に、先程まだ余裕を見せていた黒衣の戦士とその親玉は、現実を受け入れられていない様子で円堂を見る。

 

ガルシルド「ありえん…!!あり得る筈が無いッ!!!RHプログラムによって最高まで強化されたシュートだぞ…!!?それが…ただの人間如きに止められるなど…あってはならぬのだァァァァァァ!!!!!!」

 

 帝王の“余裕”を支えていた土台が跡形もなく粉砕された事により、裏社会を支配していた帝王はただの人と成る。

 

大介「人間だからじゃよ…。人は常に前へ進み続ける生き物じゃ、借り物の力で偽りの“完璧”を受け入れた時点で、貴様らは成長を止めた…。その時点で守に勝てる道理など無かったのじゃよ!!」

 

ガルシルド「黙れ…!黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ……黙れェェェェェ!!!!!」

 

 人となったガルシルドは発狂する。

 あれだけ時間と金を費やした最高のプログラムが、ただの人間の手によって否定されたのだ。

 

 それも忌まわしき怨敵の血を継ぐ者に。

 

 もはや、彼のプライドは粉々に粉砕されているだろう。

 

 そして……因果応報と言わんばかりに追い討ちを掛けるように……

 

円堂「さぁ…!!!クライマックスだ…!!頼んだぞ…!雷牙ぁぁぁぁぁ!!!!!」

 

 “その時”は(きた)る。

 

雷牙「“獅風迅雷…!究極極限界突破(ビヨンド・ザ・ホライゾン)…”!!!」

 

 遂に切られた“怪物”の切り札…。

 

鬼乃子「うっひゃ〜☆ 殺気がビンビンじゃ〜ん♪よっぽど“怒り”を抑えてたんだね〜♪」

 

雷牙「……」

 

 極められた超スピードにより外道の妨害も“鬼”の束縛からも逃れた“怪物”は、友の想いが込められたボールを受け取り、静かに歩き始める。

 

雷牙「…最初に言っとくぜ…?俺は守とは違って聖人君子でもなけりゃあ、甘くもねェ…!!!ダチが受けた苦しみは…!!100億万倍返しで受けて貰うぜェ…!!!」

 

 “怪物”は溜め込んだ怒りの感情を決して表に出さなかった。

 

 感情の制御こそが“地平線”へ到達する為の必須条件なのだから。

 

 それでも…だ。

 

 “怪物”は仲間を傷付けた外道共を、絶対に許さない。

 

雷牙「(テメェ)の罪を…!!!その身で味わいやがれェェェェ!!!!」

 

 一歩を踏み出した“怪物”はその姿を消す。

 だが、彼の目的地は()()()()()()()()()

 

鬼乃子「うわマジ…!?仮にも主人公がそれやっちゃうんだ…!」

 

 姿無き“怪物”の軌跡は、嵐を呼び起こし、竜巻を構成し、ハリケーンが吹き荒れる。

 

 その旋風はまさに…。

 

雷牙「“グリッドォ…!オメガァァァァ”!!!」

 

 侍達を深く傷付けた“グリッドオメガ”その物だった。

 

ヘンクタッカー「馬鹿な…!!?蒼い“グリッドオメガ”だと…!?グ…!グワァァァァアアァァァア!!!!?」

 

 フィールドに吹き荒れる蒼き大嵐…。仲間達を巻き込まないないように調整された大嵐は、無意識のうちに誘導されていた黒衣の戦士達を全員巻き込み、罪の報いを受けさせる。

 

ヘンクタッカー「ガハッ…!カハッ…!」

 

 大嵐が消え去った後には、大勢の黒衣の戦士が地面に倒れ伏し、苦痛のあまり悶絶している。

 

 …ただ1人の例外を除いて。

 

鬼乃子「アッハハハハハッ!!!ゴメンゴメンッ!!!私は少しアンタを舐めてたよッ!!!やっぱりアンタは私のお兄ちゃんだよッ!!!」

 

 兄の目的を察していながらも、仲間に告げる事なく1人安全地帯へ避難していた“鬼”は黄緑色のオーラを煌めかせながら、“怪物”へ襲い掛かる。

 

 だが……

 

雷牙「もうオメーは…!俺には勝てねェ…!!!」

 

鬼乃子「・・・は?」

 

 “怪物”はまたしても消えた。

 

 突然、目標を見失った“鬼”は空中で体制を崩し、地面に転げ落ちる。

 

鬼乃子「私が…()()()()()()()()…?」

 

 ただ消えるだけならば、もう驚く者は少なくなってる。

 

 しかし……

 

 “極”へ到達した“怪物”のスピードは、既に“鬼”の動体視力を超越していた。

 

フォクス「ど…どこだ…!?」

 

 どのような戦闘が繰り広げられたかは分からずとも、またも“鬼”が敗北した事だけを察知した黒衣の守護神は、姿の見えない“怪物”に強い恐怖を覚えながら周囲を見回す。

 

雷牙「コッチだよ…!!」

 

フォクス「なッ…!!グハァァァ!!!?」

 

 “怪物”の声が聞こえたと同時に、端正な顔立ちだったフォクスの顔面にボールが叩き込まれる。

 

雷牙「豪炎寺の仇ィ…!!!」

 

 直撃したボールはフォクスの顔面をグシャグシャに潰し、その頭ごとゴールネットに叩き込んだ。

 

ピーッ!!!

 

王将『ゴォォォォルッ!!!遂に…!遂にこの瞬間が訪れましたァァァ!!!イナズマジャパン…!逆転ですッ!!!』

 

『いよっしゃぁぁぁぁ!!!!』

 

 “伝説”と“怪物”による逆転劇…。

 それを目にした戦場の外の仲間達は盛大に喜び、意識を取り戻したフィールドの仲間も静かに喜ぶ。

 

雷牙「……」(グッ!)

 

円堂「へへっ…!」(グッ!)

 

 逆転劇を繰り広げた当事者達は、これといった言葉を交わす事もなく、ただ力強いサムズアップで、その喜びを分かち合った。

 

ヘンクタッカー「なんたる…!なんたる許しがたい現実…!」

 

 ハッキリ言ってチームGは崩壊寸前だった。

 

 怒り狂った主人は大声で罵詈雑言の嵐を部下達にぶつけ、大半の選手は“怪物”のグリッドオメガにより戦闘不能となり、切り札であった“鬼”はあの時のように俯き動かなくなっている。

 

 唯一、ヘンクタッカーだけは“グリッドオメガ”の対処法を知っていた為に比較的軽症で済んだが、それでもダメージは大きい。

 

ヘンクタッカー「私は…!人の限界を超えた筈なのだ…!それなのに…!あんなガキ共にいいようにされるなんて…!」

 

 その表情は、“怪物”によって味わされた『屈辱』と『憤怒』によって酷く歪んでいる。

 

 彼はフラフラとした足取りで歩き始める。

 

 だが、その細い目に映るのは“怪物”ではなかった。

 

ヘンクタッカー「オマエの…!オマエのせいですよ…!アケボシ・キノコォ…!!!」

 

 怒りの矛先を年端もいかぬ少女にぶつけたヘンクタッカーは、“鬼”の胸ぐらを掴み上げる。

 

染岡「鬼乃子のせいだとォ!?それは間違ってるぜヘンクタッカァ!!お前らはその気になれば、いつでも点を取れたじゃねぇかッ!!!この逆転は全部、お前らの油断が招いた結果なんだよッ!!!」

 

 染岡の言う通り、チームGは円堂が覚醒する前に点を取る事など幾らでも出来た。

 確かに兄に執着していた“鬼”にも非はあるが。それは彼らも了承していた事だ。

 彼らが優越感を満たす事に固執せずに、サッカーに徹していたならば、こんな事にはならなかっただろう。これを彼ら自身のミスと言わずに何と言う?

 

ヘンクタッカー「黙れェェェェェ!!!!!そもそも、私は最初からコイツが気に入らなかったのですよォ!!!もうサッカーなどどうだっていいッ!!!今ココでコイツに責任をとらーー」

 

 ヘンクタッカーは主人同様怒り狂っていた。

 

 しかし何故だろう?

 

 突如として、彼の言葉が止まってしまった。

 

 アレだけ“鬼”に理不尽な怒りを向けていたにも関わらず…だ。

 

 ……もう、回りくどく説明するまでもないだろう。

 

 彼の怒りは既に消えていた。今のヘンクタッカーの心を支配するのは『後悔』と『恐怖』。

 

 彼は無意識のうちに踏み抜いてしまったのだ。

 

 “鬼”の逆鱗を。

 

鬼乃子「黙れ」

 

 無邪気な仮面が引き剥がされた“鬼”の声は、凍るように冷たく、刀剣の鋭く、その低音は聞く者全てに恐怖を与える。

 

ヘンクタッカー「ヒッ…!」

 

鬼乃子「邪魔」

 

 無礼者の手を押し除け地面に帰った“鬼”は、無礼を働いた小太りの男を一瞥すらせずにゆっくりとセンターラインに向かって歩き始める。

 

 彼女は彼を許したのか?

 

 …いや、違う。

 

 “鬼”は逆鱗に触れた者を決して許さない。

 

 だって既に……

 

 

 

 

 

 

 罪人への裁きを終えていたのだから。

 

ヘンクタッカー「ミ…ミギャァァァァァァ!!!?わ、私の両脚がァァァァァァ!!!?」

 

 突如、ヘンクタッカーは両脚を抱えて苦しみ始める。

 

 見たところ、彼は五体満足ではある。

 

 脚はキチンと付いているし、両腕だって繋がっている。

 

 ただ……

 

 両脚の脛の辺りが、()()()()()()()()()()()

 

 まるで、その場所だけ骨が無いように…。

 

豪炎寺「ヘンクタッカーの骨の一部が…!粉々に粉砕されている…!?」

 

 名医の息子である豪炎寺が誰よりも早く、ヘンクタッカーに起こった悲劇の正体を察する。

 

 そう。ヘンクタッカーは骨を砕かれていた。

 それもただの骨折じゃない。文字通り“粉々”の粉砕骨折だ。

 

 偶然な事に…。砕かれた骨の範囲は歩みを進める少女の足と全く同じ大きさだ。

 

鬼乃子「〜〜♪〜〜♪〜〜♪」

 

 それでも“鬼”は後ろで悶えている弱者など気にも止めず、手にボールを持ち鼻唄を歌いながら、ハーフラインに到着する。

 

鬼乃子「…ねェ、お兄ちゃん。アンタはさ…“心の声”を聞いたことがある?」

 

 目的地へ到着した“鬼”は元の声へ戻り、唯一フィールドに立つ兄に向かって問いかける。

 

雷牙「心の声…?……生憎、俺はいつだって自分に正直な性格なんでねェ。俺の言葉は心の言葉で、俺の感情は魂の感情さ」

 

鬼乃子「そっか…。けど、私はね…アンタに負けてからず〜〜っと頭の中に声が響くんだ〜。その声はね〜…()()()()()()()()

 

雷牙「…それは意外だなァ。てっきり、オマエさんの事だからムチャクチャ傲慢なんだと思ってたよ」

 

鬼乃子「それは私もどーかん。初めて“声”が聞こえた時はビックリしたな…。私の心の中にあんな感情があるって知らなかったもん。だからこそかな…?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私は“感情(それ)”を絶対に認めない」

 

『ッ…!?』

 

 刹那、“鬼”を起点にこれまでとは比較にもならない強大な殺気(プレッシャー)が放たれる。

 

鬼乃子「だからさァ…。私は……()()()()()()()()()()ッ!!!」

 

雷牙「んだと…!?オメー…!まさか…!!」

 

 “怪物”は完全に失念していた。

 “心の声”、“認めたくない感情”…気づける要素は至る所にあったというのに。

 

鬼乃子「見ててよお兄ちゃんッ!!!コレが私のォ…!最高到達地点(ゼンリョク)だからさァァァァァッ!!!!!!」

 

雷牙「ガッ…!」

 

 その瞬間、殺気(プレッシャー)に続き“鬼”から放たれたのは、桜色の閃光。

 

雷牙「クソッタレが…!まだ…コイツには上があるってのかよ…!」

 

 桜色の閃光がフィールド全域を照らしたのはそう長い時間ではなかった。

 

 腕から僅かに漏れ出る閃光が止んだど同時に、“怪物”は“鬼”が居た場所に視線を移す。

 

 そこに居たのは……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

鬼乃子「コレかァ…。コレが私がずっと追い求めてた“本物”なんだね…」

 

 更なる領域へと至った“鬼”の姿であった。

 

 稲魂雷斗と同様に、髪はボリュームを増しやや逆立ったヘアースタイルとなり…。

 

 稲魂雷牙と同様に、迸る黄緑色のオーラには妖しい桜色のオーラが重ね掛けされている。

 

雷牙「…なるへそ…。コッからが第二ラウンド…いや、最終ラウンドの始まりってワケかい…!」

 

 因縁の終わり(ゴール)が確実に近付いていると確信した“怪物”は、血と血で繋がった因縁に決着を付けるべく、黄金と白銀のオーラを天に立ち昇らせる。

 

鬼乃子「良いね良いねェ!!!“(ビヨ)”まってんねェ!!!もう邪魔者は居ないッ!!だからさァ……思う存分、(あい)し合おうよォ!!お兄ちゃァんッッッ!!!!」

 

雷牙「さァ…!!決着を付けようぜッ…!!!」

 

 遂にクライマックスを迎える“怪物”と“鬼”の最終決戦…。

 

 少年少女に与えられた時間は……僅か5分だ。




もしかしてだけど…。チームG戦で1番メンタルにダメージを負ってるのって雷牙じゃなくて円堂?

〜オリ技紹介〜
♦︎ゴッドキャッチ
属性:山
分類:キーパー
使用者:円堂
進化系統:究極奥義
≪概要≫
既存の技だが作者独自の設定が入っている為、オリ技として記載。
威力・モーション共に原作と同じだが、パワー・テクニックどちらのシュートに対応可能であり、円堂の心の強さに応じて際限なく強さを増すという特性を備えており、まさに円堂守最後にして最強の名に相応しい必殺技。
その特性上、化身以上に円堂の精神状態がダイレクトに威力と直結する必殺技である為、時と場合によれば化身をも凌駕する威力を発揮する(その逆もまた然りだけど)。

余談だが、イギリス戦前の円堂と大介の会話が原作と大きく違った理由の7割がこの技の存在。
イギリス戦であんだけ円堂守オリジナルの必殺技の葛藤を描きながらも、結局大介の助言で“ゴッドキャッチ”を習得した事に対して長年モヤモヤを感じていた為、イナヒロでは展開を大きく変えてます。

イナMONに引き続き、ちょっとした作者の好奇心なんですけどオリキャラの中で誰が1番好感度が高いのかな〜って気になったんでアンケート取ってみまーす。別に結果によってこの後の展開が変わるとかはないので気楽に投票してください。

  • 稲魂雷牙
  • 稲魂雷斗
  • 明星鬼乃子
  • “雷帝”
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