イナズマイレブンHEROS!!!   作:月兎タンク

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イナクロに登場予定の新アフロディがデウス・エクス・マキナモチーフっぽくて草。


どちらも傲慢な我儘兄妹(エゴイスト)【最高で最悪な華言葉】

???『ひっぐ…!えっぐ…!寂しいよォ…!』

 

 暗闇の中で“あの子”は泣いてた。

 

???『私はただ…愛されたいだけなのに…!』

 

 そこにあるのはただの輪郭線。

 言い換えれば私と同じ背丈ののっぺらぼうだ。

 

???『他にはなにも望まない…!“愛”さえ貰えればなにいらないの…!』

 

 けど…本能が私のこう告げる。

 

???『パパ…!ねェ…!どこにいるの…?パパ…!』

 

 “コレ”が私の『心の闇』なんだと。

 

???『コッチを見てよ…パパ…!私は…あなたのために、こんなに強くなったんだよ…?』

 

 認めたくない。絶対に認めるもんか。

 

???『パパ…?どうしてそんな目で私を見るの…?』

 

 こんな軟弱者が私の“心の闇”だなんて。

 

???『どうして…どうして私を否定するの…?』

 

 私はあんなヤツなんて大っ嫌いだ。

 

???『私はあなたに何か酷いことをした…?』

 

 身勝手に私を産み出した挙句…

 

???『ねェ…!なんで無視するの…?』

 

 偽りの“愛情”を注ぐようなヤツなんか。

 

???『ーー!!! そ、そこに誰か居るの…?』

 

 ……もう、しょうがないよね。うん。それもコレもアレもそれも、ぜ〜〜んぶパパのせいだ。

 

ーー“生きて死ね” この世には死ななければ辿り着けない領域もある、そして貴様は既にその一端を掴んでいる。

 

 そっかァ…そうだったんだね影山のおじさん…。

 

 …分かったよ。あの時言われた最初で最後の教えの意味が。

 

 私は……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 コレから“私”自身を否定する。

 

???『痛ッ…!・・・え?』

 

 あ〜あ…。まだそこまで暗闇に目が慣れてないからしくったじゃん。

 

???『なんで私を攻撃するの…!?私は…!』

 

 もうその被害者ムーブはウザいから動かないでくれる?声が私と一緒なのもあって普通にムカつくわ。

 

???『痛い…!やめて…!』

 

 アッハハ、オモロ〜。パッと見、白い輪郭線ののっぺらぼうなのに殴れる面積はちゃんとあるんだ〜。

 

???『痛い…痛いよ…。助けて……パパ……。お兄…ちゃん……!』

 

 黙れ。アンタが本当に“私”なら反撃してみせろ。

 結局、暗闇の中で頼れるの自分だけなんだから。

 

???『死にたく…ないよ…!』

 

 死を拒絶するな。アンタは忌み子なんだ、産まれた時から祝福すらされない、実に哀れで空虚で中途半端な模造品なんだ。

 

???『パ…パ…』

 

 殴る。ただ無言で無感情で無表情で私は“私”を殴り続ける。

 

 そこに“喜び”も“哀しみ”もありやしない。

 

 虫のように。何も考えずにただ淡々と為すべきことを為すだけ。

 

???『……』

 

 殴り始めてからどれくらい経っただろう?

 

 もうのっぺらぼうは動かない。喋らない。泣きもしない。

 

 たった今、私は“私”を殺した。

 

 私自身で選んだことなんだ。そこに“後悔”などある筈がない。

 

 けど“達成感”もありやしない。

 

 ただただ拳にべっちょりとした嫌な感覚だけが残ってる。

 

???『私ー……はただ……ー幸…せに……なりたかったーーだけ…なの……ーー』

 

 啜り泣くように小さい“私”の今際の言葉に、呼吸が乱れる。

 

 ……本当にごめんね。私は()()()()()

 

 ライトお兄ちゃんのように“弱さ”を素直に受け入れられるほど、心は強くない。

 

 雷牙お兄ちゃんのように確固たる“自分”を持てるほど、自分を好きになれない。

 

 結局……中途半端な模造品は私だったんだ。

 

 だから、“自分”を否定することでしか自分(わたし)を保てない。

 

 なんともまァ…実に哀れで空虚な人生だ。

 

???『……』

 

 遂に息を引き取った“私”は光の粒子となって私に吸収される。

 

 主を失った暗闇は、白い亀裂が入り始めて崩壊していく。

 

 もう二度と来ることはないだろう。

 

 何一つ名残惜しい要素はない筈なのに、意識が薄れていく度に不思議と“寂しい”が止まらない。

 

ーーそれでいい。それが君にとっての“正解”だ。

 

 最っ悪…。完全に意識が薄れる瞬間、私がこの世で1番嫌いなヤツの声が聞こえた。

 

♢♢♢

雷牙「さァ…!!決着を付けようぜ…!!!鬼乃子ォ…!!!」

 

 最早、“怪物”と“鬼”の独壇場と化した戦場にて立ち昇るのは、四色の気の柱。

 

 片や見る者に希望と勇気を与える勇ましき“金”と“銀”。

 

 片や見る者に絶望と恐怖を与える妖しき“新緑”と“紅桜”。

 

 歪な形で血を分けた兄妹が、これから“己”を貫き通す為の(あい)し合いを始めるのだ。

 

雷牙「よっ…!ほっ…!はっ…!」

 

 最終決戦を前に“怪物”は気合いを入れ直すべく、準備体操(ルーティーン)たる“稲魂ステップ”を行う。

 

雷牙「うしっ…!」(シュッ!)

 

 全ての下準備を終えた“怪物”は戦闘体制に移り、恒例のファイティングポーズを取る。

 

雷牙「……」

 

 “鬼”との間合いはまだ遠い。だが既に勝負は始まっている。

 

雷牙(こりゃあ…少しヤベェかもな…)

 

 目の前に刃物の雨霰が降り注ぐような殺気(プレッシャー)が“怪物”に襲い掛かっていたのだ。

 

 殺気(プレッシャー)とはいうが、あまりに強すぎる威圧感は“怪物”の眼に刃の姿を幻視させる。

 

 その刃先は皮膚と僅か1mmの距離をキープして止まっている。ほんの少しでも動けばたちまち“怪物”は串刺しとなり死を迎えてしまうだろう。

 

雷牙「……ハッ」

 

 しかし、目の前の刃は所詮、殺気(プレッシャー)が産み出した妄想の産物でしかない。

 その程度の幻など、“極”の領域へ到達した“怪物”には通用しない。

 

王将『稲魂が前に出たぞォォォ!!!これは先に仕掛ける気かァァァ!!?』

 

鬼乃子「ヘェ?流石はお兄ちゃん♪第一試練はクリアだね☆」

 

雷牙「悪ィが…。()()()()殺気(プレッシャー)は既に体験済みなんでなァ…」

 

 “鬼”の殺気(プレッシャー)を前に“怪物”はある人物を回想する。

 

 その人物とは、一度はこの時空を滅亡の危機に陥れた“黒薔薇の魔女”。

 流石に簡単に世界を滅ぼせる力を秘めた魔女に比べれば、“鬼”の殺気(プレッシャー)は明確に劣る。

 

 だが……裏返せば“怪物”が知る生物の中で、魔女以外の比較対象が見当たらない。

 

 人智を超えた存在を対象にして初めて比較が成立する…その事実だけで如何に彼女が規格外の存在であるかが分かる。

 

雷牙「スー…。ハァァァ…!!!」

 

 それでも、それはそれ、これはこれだ。

 

 今日、生き別れた筈の実の妹との因縁が可視化された以上、“怪物”には『勝負を放棄する』という選択肢は初めから存在しない。

 

雷牙「来いよ。お兄ちゃんとして先行は譲ってやるぜ?」

 

鬼乃子「そんなこと言われなくても(コッチ)のキックオフからだから、私の先行だっての。…まっ、気持ちだけ受け取っとくわ」

 

シュンッ!

 

 決戦の合図(ゴング)を鳴らしたのは、審判のホイッスルではなく、一陣の風切り音だった。

 

雷牙「しゃおらァ!!!!」

鬼乃子「しょうらッ!!!!」

 

 仲間達の反射速度を超えた速さで、2人の右脚がボール越しに衝突する。

 

豪炎寺「遂に始まったか…!史上最大の兄妹喧嘩が…!」

 

鬼道「もう俺達には…稲魂の勝利を祈る事しか出来ない…か」

 

 侍達が祈りを捧げるのは、幾度となく限界を超えて初めて到達できる“地平線(ホライゾン)”へ辿り着いた“怪物”。

 

 “怪物”と対峙するのは、心の内に潜む“闇”を徹底的に拒絶する事で歪な覚醒を果たした“鬼”。

 

王将『な、なんという光景でしょう…!?もう私の目では彼らの動きを追う事すら出来ません…!』

 

 彼らの戦いは文字通り別次元と呼べる代物だった。

 少年少女のスピードは音すらも置き去りにし、重力を無視しながら時には地面を、時には宙を戦場とし、縦横無尽に激戦を超えた超激戦を繰り広げる。

 

 RHプログラムを受けた黒衣の戦士達は強かったが、今となっては少年少女の足元にすら及ばないだろう。

 

雷牙「ハッ!!!オメーの力はその程度かよ…!?コッからビュンビュン上げてくぜッ!!!」

 

 驚くべき事に彼らは必殺技を一度たりとも使っていない。

 全て、純粋なフィジカルとテクニックだけを駆使して、異次元の超激戦を繰り広げているのだ。

 

鬼乃子「……」

 

雷牙「おっとォ…?コレまた随分と静かになっちまったじゃねェの…?もしかしなくても……ジョークをかます余裕すら無ェのかな?」

 

 さっきから不気味な程に黙りこくる妹に兄はワザとらしく挑発するが、同時に謎の違和感に襲われる。

 

雷牙(おかしい…。オルフェウスでの試合で、唯一の弱点だったメンタル弱さは克服している筈…。かといって、コイツが集中のあまり黙りこくるタイプでもねェのは確かだ…。一体今度は何を企んでやがる…?)

 

 真剣勝負の最中に突如として現れた“沈黙”…。しかし、“怪物”はその正体をすぐさま知る事となる。

 

ピチャ…

 

雷牙「ピチャ…?」

 

 突然、一粒の水滴が“怪物”の額に触れる。

 

雷牙(雨…?いや…今は曇ってはいるが、雨は降ってねェ筈…)

 

 空は光一つも通さない分厚い曇天に覆われているものの、幸いな事に雨模様は未だに見えない。

 

 では額に触れた水滴は何処から…?

 真剣勝負の最中にも関わらず、余計な思考が過ってしまう“怪物”…。全ての行動が全自動(フルオート)となる“極”を発動していなければ、今頃敗北を喫していただろう。

 

???「グスッ…!」

 

雷牙「ーー!!! オ、オメー…!もしや…!」

 

 音すらも置き去りにした世界の中で、微かな鼻を啜る音を耳にした事で“怪物”は水滴の正体を察する。

 

雷牙「このタイミングで()()()()()()()()()…!!鬼乃子…!!」

 

 そう……。“鬼”は泣いていた。

 

 今この瞬間こそがあれだけ待ち望んでいた決戦だというのに。

 

 親友である青鬼との永遠の別れがあった訳でもないのに。

 

 蒼き眼からは大粒の涙が溢れて止まらない。

 

鬼乃子「た゛っ゛て゛ェ゛ェ゛ェ゛ェ゛!!!!無゛性゛に゛寂゛し゛い゛ん゛た゛も゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ん゛!!!!」

 

雷牙「な、なんだコイツ…?」

 

 突然、人が変わったかのように大泣きし始めた“鬼”に“怪物”は真面目に引いている。

 されども決して動きの精度は落ちる事はない。その程度の驚きでは心の水面は揺らぎはしないのだ。

 

ズババーンッ!!!!

 

 稲妻の如し轟音が鳴り響き、ボールを中央とする半径数mの範囲内の何処かに“怪物”と“鬼”は姿を表す。

 

熱也「どっちが優勢だ…!?」

 

吹雪「いや…!全くの互角だ…!!」

 

 侍達の目に映るのは、若干引いたような顔をする“怪物”と目尻に大粒の水滴を浮かべた“鬼”。

 

 しかし……

 

鬼乃子「アッハハハハハッ!!!!!!最終ラウンド+αだよォォォォ!!!!」

 

 大粒の涙は即座に消え去り、狂気の高笑いへと変わる。

 

雷牙「泣いたと思ったら次は高笑いかい…!?なんつー気ン持ち悪ィヤツ…!?」

 

 さっきから“鬼”の様子が明らかにおかしい。

 

鬼乃子「最っっっ高だよォ!!!お兄ちゃんッ!!!………ハァ〜…。死にたい…」

 

 上機嫌で心ゆくまで兄との超激戦を楽しんでいると思ったら、何の前触れもなく気落ちし、瞳から光が消え失せたと思えば…

 

鬼乃子「そうだ…!来世は牡蠣になろう…!牡蠣はいいよねェ…。美味しいし…生で食べるとたまに当たるし…。・・・は?私の来世が牡蠣…?何言ってんの!?マジあり得ないんですけどッッッ!!!!!」

 

雷牙「俺は何も言ってねェよッ!!!」

 

 現世に絶望し今にも死にそうになってると思えば、自身の発言に激怒する。

 

 ハッキリ言って、彼女の行動は支離滅裂だ。

 

 まるで……

 

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

雷牙(一見すると支離滅裂だが…コイツの感情が切り替わる度にスピードもパワーもプレーのキレもグングン増してやがる…!)

 

 “極”の真骨頂は、常に強さを更新(アップデート)し続ける事。“本能”に突き動かされる事で際限無く増す強さによって、これまで“鬼”に喰らい付いてきた。

 

 だが……

 

 理論上、強さの上限に限界は無くとも、身体が付いて来れるかは話が別だ。

 ましてや、ボロボロに傷付いた肉体なら尚更だ。

 

雷牙「だったら…!もう小手調べは止めだッ!!!俺サマの全力…見せてやんぜェェェェ!!!!」

 

 これ以上の長期戦は不利だと判断した“怪物”は、一気に気を解放し両拳を勢いよく合わせると、その背より巨大な岩壁が隆起する。

 

雷牙「壁山ァァァ!!!オメーの技、ちょっち借りるぜェェェ!!!」

 

壁山「お、俺っスか…!?」

 

 岩壁(それ)はイナズマジャパン最強DFの得意技でもある。

 

雷牙「“ザ・ウォールッ”!!!」

 

鬼乃子「およよっ!!?」

 

 後方一帯に隆起した岩壁は雄大なパワーを以て、完全に“鬼”の進路を塞ぐ。

 だが、理の外を棲家とする“鬼”だ。この程度の防御壁など殆ど無いに等しい。

 

雷牙「まだまだァ…!!!風丸ッ!!飛鷹ァ!!オメーらの力も…!お借りしちゃうぜェェェェ!!!!」

 

 無論、阿保ではあっても、その程度で満足する程“怪物”は愚かではない。

 

雷牙「“スピニングフェンスッ”!!!プラスゥ…!“真ッ空魔ッ”!!!」

 

 たった一匹の“鬼”へ向かって蒼き疾風の監獄と、無数の真空の空間がその動きを封じんと襲い掛かる。

 

鬼乃子「キャハハハハハハッ!!!!!!その程度の技で私に勝とうなんてさァ…!自惚れてるにも程があるなァ!!!!!!!」

 

雷牙「ヌグッ…!」

 

 “鬼”が取った行動は実にシンプル…。ただ、気を解放しただけだ。

 “鬼”を起点に発生した衝撃波は一瞬にして、行手を阻む障害物を粉砕し、彼女の覇道を切り開く。

 

王将『駄目だァァァ!!!稲魂が繰り出した友情の必殺技も明星には通用しないィィィ!!!』

 

雷牙「ケッ…!一度で通用しねェならよォ…!!成功するまで繰り返すまでじゃァァァァァ!!!!」

 

鬼乃子「ヘェー…。私って同じ手がニ度も通用するおバカさんだと思われてるんだー…。メガトンショックー…。……でも舐めプは強者の特権だよネ!!“百鬼夜行…Ωッ”!!!!!」

 

雷牙「“スノォォォエンジェルゥゥゥ”!!!」

 

 地獄より這い出る妖どもの攻撃を、両脚に強烈な冷気を纏った“怪物”は次々と凍らせ、時には超スピードを駆使して躱わしてみせる。

 

王将『躱わす躱わす躱わすゥゥゥ!!!稲魂、明星の必殺技を紙一重で躱わしてドンドン前へ向かっていくぞォォォ!!!』

 

雷牙「デェリャァァァァッ!!!!」

 

 “怪物”の一閃(スライディング)が炸裂し、“鬼”…が持つボールを確実に捉える。

 

 だが……

 

 “怪物”の一閃は、“鬼”の肉体を擦り抜けた。

 

雷牙「残像…!?」

 

鬼乃子「隙ありィ!!!」

 

雷牙「グホッ…!?」

 

 必殺技でもなんでもない超絶スピードにより錯覚させられた“鬼”の幻は、“怪物”に致命的な隙を与え、その腹部に“鬼”の右脚がボール越しに突き刺さる。

 

 その衝撃は時速300kmのスピードでダンプカー(クラス)の質量が襲ってきたのとほぼ同等の重さ…。

 

 常人ならば即死レベルの攻撃。だが、“怪物”は直撃の瞬間に力その物を後方へ受け流す事でなんとかダメージを最小限に留め、数m程度吹き飛ばされたものの即座に戦線に復帰する。

 

 が……

 

雷牙「ゲホッ!ゴホッ!こんヤロー…!」

 

 最小限に抑えたとはいえ、そのダメージは決して小さくなく“怪物”の口から少量の血液を吐き出してしまう。

 

鬼乃子「アハハハッ!!!スゴい!スゴすぎるよお兄ちゃんッ!!!まさか私の全力の蹴りをモロに喰らっても生きてるなんてさァ!!!……クッッッソムカつくなァ…!!!」

 

雷牙「クッッッソ痛ェじゃねェかァ…!!!もうちょいお兄ちゃんに手心を加えろよォ…!クソ妹ッ!!!」

 

 全身に響く腹部の痛みを抑えながらも“怪物”は激戦を繰り広げる。

 

 その最中…。全ての感情が同時に解放されながらも“鬼”は歓喜に満ちていた。

 

 歪な形とはいえ、彼女が手に入れた力は父親が一切関与していない、人生で初めて得た“本物”だ。

 

 この力を名付けるとするなら“オーガモード”。

 

 稲魂雷斗の“モンスターモード”と同質の力に、“百鬼狂乱”を重ね掛けした上で“怪物”に挑んでいる。

 

 にも関わらず……“鬼”は兄を圧倒する事が出来ない。

 

 確かに最初こそは兄を上回っていた。しかし、自身が強くなればなる程、呼応するように飛躍的な速度で限界の壁を越え続ける“怪物”は、今や覚醒した自分と互角の実力を得ていた。

 

 だからこそ……“鬼”は()()()()()()()

 

鬼乃子「そうこなくちゃ面白くないよねェェェ!!!もっとォ…!もっともっともっっっっっとォ!!!!!私を楽しませてよォ!!!!!」

 

 “鬼”は産まれた時から強かった。…いや、強者として産み出された。

 

 故に苦戦らしい苦戦もした事がなく、好敵手とも呼べるような存在も居なかった。

 

 唯一、彼女の心にあったのは自分が産み出された“理由”であり、父の執着対象である顔も知らない兄だけ。

 

 彼女は信じていた。

 

 畜生の糞にも劣る存在である父があそこまで執着を向ける兄は、自分よりもずっと強い存在なのだと。

 

 だが、現実は違った。

 

 世界の大舞台で初めて顔を合わせた兄は強くなんかなかった。

 

 かといって決して弱くなんかもない。

 

 正直言って、一番反応に困るタイプの強さだった。

 

 “鬼”は強く失望した。

 

 こんなヤツのために自分は産み出されたのか…?

 

 こんなヤツに父は強い執着を向けているのか…?

 

 ふざけるな……と。

 

 なんならいっその事、物理的に殺してやろうとも思った。

 

 でも止めた。別に肉親としての情が働いた訳じゃない。

 

 ただ、気紛れで弱い兄を生かしてやっただけだ。

 

 その判断は大当たりだった。

 

 事実上の初戦で自分は兄に敗北を喫し、今この瞬間も大苦戦している。

 

 絶対に口には出さないが、父は正しかったのだ。

 

 稲魂雷牙こそ、この世界で最も“怪物(サッカーモンスター)”に近い存在である事が。

 

 だからこそ…だ。

 

 少女は兄は殺さなければならない。

 

 兄を殺す…それだけが彼女の悲願である“生”を得る唯一の手段なのだから。

 

鬼乃子「ココはあえての…!シンプルにいこうかッ!!!」

 

 全力を尽くして“怪物”を殺すべく“鬼”は指笛を吹き、三羽の悪鬼を召喚する。

 

鬼乃子「“滅 皇帝ペンギンXYZッ”!!!」

 

 この世に生を受けたばかりにも関わらず、常識を超えた巨体を持つ悪鬼の如き形相をした三羽のペンギンが“怪物”を喰い殺さんと、その嘴を光らせる。

 

雷牙「ペンギンかァ!!!んならよォ…!!!目には目をォ…!歯には歯をォ…!ペンギンにはペンギンだァァァァ!!!!」

 

ピューッ!!!

 

 “怪物”また、“鬼”に負けじと勢いよく指笛を吹き鳴らす。

 百獣の王の号令と共に現れたのは、()()()()()()()()5()()()()()()()()()

 

佐久間「なんだあの“ペンギン”…!?まるで“ファイアトルネード”と“皇帝ペンギン”を合わせたような必殺技だ…!!」

 

雷牙「その通りィ!!!豪炎寺と鬼道の夢のコラボレーションだよォ!!!」

 

 ペンギンに引き続き、爆熱の炎をその身に帯びた“怪物”は強烈な右回転と共に悪鬼達に向かって飛び上がり、渾身のシュートを叩き込む。

 

雷牙「“インフェルノペンギンGoBォォォ”!!!」

 

 三羽の悪鬼(ペンギン)VS五匹の紅蓮(ペンギン)

 

 “怪物”のペンギンは一匹一匹の力は悪鬼に劣る…。

 だが、勝負に賭ける執念の炎は、いとも容易く実力の差を埋めてみせた。

 

雷牙「しゃおらァァァァ!!!!」

 

 凄まじい爆音が轟き、ピッチは爆風に包まれる。

 巻き上がった砂煙により勝負の行方は分からなくてなるも、中から響き渡る鈍い激突音は、傍観者達に彼らの勝敗は未だに付いていない事を知らせてくれる。

 

雷牙「ウオォリャァァァァッ!!!!」

 

 “怪物”の咆哮により一気に砂埃の(カーテン)が上げられた。

 

 予想通り、未だに“怪物”と“鬼”は苛烈な激戦を続けている。しかし……

 

雷牙「うらっしゃァァァァッ!!!!」

 

鬼乃子「グギッ…!?」

 

 “鬼”の支配下にあった筈のボールは“怪物”の足元に収まっていた。

 

王将『稲魂がボールを奪ったぞォォォォッ!!!!残りは時間はあと2分と半分ンンンッ!!!ここまでくれば、あとは彼が耐え切ればイナズマジャパンの勝利だァァァ!!!』

 

 “鬼”の目的(ゴール)は“怪物”を殺す事だが、“怪物”の目的(ゴール)はこの試合に勝つ事だ。

 

 “怪物”の攻撃権が移り、残り時間も少ない以上、サッカーとは名ばかりの“鬼”による理不尽な攻撃を掻い潜り続けるゲームは、2分と少しの間“鬼”の猛攻からボールを保持し続けるゲームへと変わった。

 

雷牙「……」

 

鬼乃子「アハハハハハ…!少しコーフンしゃうなァ…!!そんな眼で私を見られちゃったらさァ…!!!」

 

 既に両者の格付けは済んだ。

 

 “鬼”の『最強』は、“怪物”の『最強』に通用せず。

 “鬼”は地面に片膝を付き、“怪物”は無言で妹を見下ろしている。

 

雷牙「……()()()()()()()()()()。オメーさん……あと一つだけ…()()()()()()()?」

 

鬼乃子「……にひっ!バレた?」

 

 “怪物”の指摘が合図となり、片膝を付いていた“鬼”は目にも止まらなく速さで立ち上がる。

 

 そう。“鬼”はあと一つだけ『切り札』を隠し持っていた。

 

雷牙「けど…。どうやらオマエさんとて、そう簡単には使いたくねェようだなァ…。じゃなきゃ、パッパと使って俺をぶっ倒してた筈だかんな」

 

鬼乃子「グスッ…!)そ゛う゛た゛よ゛ォ゛ォ゛ォ゛!!!……け〜ど〜♪流石の私でも〜♪……コレを使ったらどうなるか分かんないからさァ!!!!!まったく…ウケるよね〜☆」

 

 たった一言の間に喜怒哀楽全ての感情を表した“鬼”は、狂人にしか見えないムーブで兄の言葉を肯定する。

 

鬼乃子「けど…やっぱり、ウジウジと“未来”を考えるなんて性に合わないや☆ やっぱり私が見るのはいつだって“今”ッ!!だからさァ…特別に見せてあげるよ。私の……終極(クライマックス)ってヤツをさァ!!!!!」

 

 ただでさえ“百鬼狂乱”に“オーガモード”を重ね掛けしている以上、肉体に掛かる負担は尋常ではない。

 “怪物”でさえ彼女と同じような無茶をすれば、30秒も持たずに病院送りになるがオチだろう。

 

 そんな状態の中で、“鬼”は己の肉体に更なる無茶を重ねようとしている。

 

鬼乃子「ハァァァ…!!!!」

 

 “鬼”の背より膨大なオーラが溢れ出す。

 

 それは“鬼”の魂その物。

 

 それは“鬼”の想いその物。

 

 謂わば“鬼”の分霊とも呼べる“それ”は、歪な形を形成する。

 

鬼乃子「“百鬼ヶ王…!!!モノセロス…!!!」

 

 これぞ明星鬼乃子の化身“百鬼ヶ王 モノセロス”。

 

 神話の英雄をその身に宿す一般的な化身とは異なり、城門と寺院を掛け合わせたような独特なその姿はまさに異形。

 

 掴みどころの無い“鬼”の本質をよく表している。

 

 だが……

 

 一度、“怪物”に破れた存在が『切り札』になり得る筈がない。

 

鬼乃子()()()()()()()…!!!」

 

バキッ!!!メキメキッ…!!!

 

 硬く重い鍵で施錠されていた筈の扉が、鈍い音を立て開き始める。

 

王将『おおっとォォォ!!?これはまさか、化身シュートの応用技がァァァ!!?極限まで強化された“百鬼夜行”すらも突破してみせた稲魂に付け焼き刃の必殺技が通用するのかァァァ!!?』

 

 城門の開城…。それは亡者の大行進の前奏曲(プレリュード)…。

 

 だが……

 

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

??? 『ジュピラッ…!!!ルロオォォォォォォォイッ!!!』

 

 地獄の妖達が住まう異界…。現世との唯一の架け橋となる城門の内部より、身の毛がよだつ程に悍ましい咆哮が鳴り響く。

 

鬼乃子「さァッ!!!コレが正真正銘…!本日最後のスペシャルゲストッ!!!異界の国から遥々おいでませッ!!!」

 

『ジャッーーーハッハッハッ!!!』

 

鬼乃子「“百鬼ヶ覇王ッ!!!モノセロス・クライマックスッ!!!」

 

雷牙「モノセロス…クライマックス…!」

 

 扉を経由し現世へ顕現せしは、王を超えた王にのみ名乗る事を許された百鬼を統べし最凶の“覇王”。

 

染岡「鬼乃子の化身が…!」

 

立向居「進化した…!?」

 

 化身を使わずとも“鬼に金棒”と言わんばかりに“百鬼狂乱”と“オーガモード”によって唯一の例外を除いて、比肩する者など存在しない程のフィジカルを得ているというのに、その程度で満足しなかった“鬼”は己の化身すらも容易く進化させてみせた。

 

染岡「チクショウが…!俺達がどんなに強くなっても、その度にあいつは息をするように限界の壁を超えやがる…!一体、どんだけ強くなれば気が済むってんだよ…!」

 

 雷門イレブン、そしてイナズマジャパンはどんな強敵を前にしても、円堂大介より受け継いだ不屈の“イナズマ魂”を以て、勝ち続けてきた。

 

 しかし…()()()()()()()()()()()()()()

 

 彼らが想定しているのは、あくまで対人間での話…。

 

 だが、際限なく強さを増し続ける明星鬼乃子は、最早“人間”として枠組みから()()()()()()()

 

鬼乃子「ジャッーハッハッハッ!!!最高 of 最高ッ!!!まるで魂が剥き出しになったようなこの感覚ゥ!!!冗談抜きで癖になっちゃいそうだよォ!!!」

 

 “百鬼ヶ覇王”の顕現は、少女の自我(エゴ)が解放されたのと同義。

 

 “己自身”を否定した事で初めて、本当の自分を見つけ出した“鬼”はこの上ない幸福感を感じていた。

 

雷牙「……」(グッ…!)

 

 “百鬼ヶ覇王”を前に、“怪物”は眉一つ動かさず再度ファイティングポーズを取り、戦闘続行の意を示す。

 

 “怪物”は『極』と化身を同時に併用出来る程、強くなんかない。

 

 ただでさえ肉体に限界(ガタ)がきている中、これ以上“鬼”の進化に追従してしまえば先に壊れるのは間違いなく自分が先だろう。

 

雷牙「…それがどうした?」

 

 だが、“怪物”は合理的な思考すらも鼻で笑い飛ばす。

 

 もう目の前の妹は自分より強くなってるかもしれない。

 

 だからといって、逃げる理由にはなりやしないのだ。

 

雷牙「来いよ鬼乃子ォッ!!!お互ェ出し惜しみは無しだァッ!!!例え命を削る事になろともォ…!ココで決着を付けっぞォォォォォ!!!!!」

 

鬼乃子「言われなくても最初からそうするつもりだよォ!!!お兄ちゃァァァァァんッ!!!!!」

 

 両者の身体から発せられた気迫は、傍観者達に長きに渡った最終決戦の終幕(フィナーレ)を確信させる。

 

 片や黄金と白銀の鎧を身に纏いし“英雄”。

 

 片や新緑と紅桜の鎧を身に纏いし“悪雄”。

 

 思想を超え、言葉を超え、主義主張すらも超えた両雄は、ただ己の“夢”を叶える為だけに今の自分が出せる“最強”を繰り出した。

 

雷牙「“ゴォォォドッレグルスッ!!!GoB(ゴー・オーバー・ビヨンド)ォォォ”!!!」

鬼乃子「“CRYMAX・OF・MONOCEROS”!!!」

 

 両雄の“最強”のぶつかり合いは、中央に挟まれたボールを起点とし夥しい威力の衝撃波を発生させる。

 

雷牙/鬼乃子「「ヌグワァァァァァァァッ!!!!!!」」

 

豪炎寺「がっ…!ま、眩しい…!目が眩む…!!」

 

 “怪物”と“鬼”の衝突は衝撃波のみならず、眩い光まで発生させた。それにより傍観者達の目は誰一人例外なく眩んでしまい、勝負の行方はまたしても分からなくなってしまった。

 

王将『なんという凄まじい閃光だァァァ!!!サングラスとしての機能を持つ私の眼鏡を以てしても防ぐ事は出来ませんでしたァァァ!!!こうなったら肌で感じる雰囲気だけで実況を続けるしかありませんッ!!!頑張ってくれェェェ!!!稲魂雷牙ァァァァ!!!!』

 

雷牙「負けて…!!!たまるかってんだよォォォォォォ!!!!!!」

 

鬼乃子「私だってェ…!!!負ける気はサラサラないんだよォォォォォォ!!!!!!」

 

 互いの魂の叫びを繰り出すが、次第にその声すらも彼らによって引き起こされた気の乱気流により、掻き消されてしまう。

 

ガルシルド「ヌゥ…!?どっちだッ!!!どちらが優勢なんだッ!!!」

 

大介「全てを出し尽くすんじゃッ!!!稲魂の小僧ッ!!!サッカーの運命はお前さんに託されておるんじゃぞッ!!!」

 

 視界も、聴覚も、触覚すらも失った仲間達は、唯一自分達に出来る事である“応援”に徹し、聞こえる筈のない声援を力の限り送り続ける。

 

 そして……

 

ズガァァァァァンッ!!!!!

 

 巨大隕石が落下したかのような超轟音が轟き、目を眩ますだけだって、強烈な閃光が破裂する。

 

熱也「な…何が起こりやがった!?」

 

不動「チィ…!!“気の臨界点”ってヤツだ…!!クソライオンと脳筋ゴリラの限界なくボールに気を送り込んだせいで、大量の気が外部に放出されたたんだよ…!」

 

 不動の説明は少し分かり辛いが、この大爆発を引き起こしたのは、紛れもなく“怪物”と“鬼”の二名である事だけは間違いないようだ。

 

???「ガッ…!」

 

 両雄を心配したのも束の間。閃光の中より()()()()()()()()()()

 

豪炎寺「ーー!!! マズい…!!!鬼道ッ!!!」

 

 その“人影”の正体に気付いた豪炎寺は、満身創痍の身体に鞭を打ち、ギリギリの所で“人影”を受け止める。

 

秋「嘘…!」

 

大介「なんじゃと…!?」

 

冬花「そんな…!」

 

 豪炎寺と鬼道に受け止められた“人影”の正体を知った傍観者達は次々と、絶望に満ちた声を上げる。

 

 何故ならその“人影”は……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ボロボロの状態で“極”が解除された稲魂雷牙その人だったのだから。

 

ドスンッ!!!

 

鬼乃子「……」

 

 敗者となった稲魂雷牙にやや遅れて、勝者となった明星鬼乃子が地面に帰還する。

 

 …しかし、既に“百鬼ヶ覇王”は“怪物”によって討ち取られ、身体の至る所には擦り傷と切り傷塗れであり、お世辞にも勝者の風貌とは言い難い。

 

鬼乃子「…っけんな…!!!」

 

 だが、“鬼”の様子は少しおかしい。大きなダメージを負っている事を考慮しても異常なくらいに身体全体を小刻みに揺らし、手の甲から血が滴り落ちる程に強く両手を握り締めている。

 

鬼乃子「どうして…!どうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてッ…!!!!!!なんで“勝利の女神サマ”は私を嫌うのッ…!!!!!!」

 

 勝者となった筈の“鬼”は、この場に居ない存在に向けて強く憤慨していた。

 

綱海「何をあんなに狼狽えてるんだ…?あいつ…?」

 

大介「分からん…。じゃが…あの乱気流の中であやつにとって、何らかの()()()()()()()が起こったのは確実のようじゃ…」

 

 優れた観察眼を持つ大介とて全知ではない。しかし、詳細は分からなくも彼女が憤慨する理由は凡そ察する事は出来た。

 

鬼乃子「ねェ…!立ってよお兄ちゃんッ!!!!!!アンタがこんな幕引きで満足するワケがないでしょッ!!?もう一度立って、私と戦ってよッ!!!!!!」

 

 “こんな幕引き”に納得がいかない“鬼”は、語気を強めて再戦を申し込むが、気を失った“怪物”に届く事は終ぞ無かった。

 

鬼乃子「私は…!()()()()()()()()()()()…?他ならない…!アンタにッ…!!!」

 

 最後の“最強”同士のぶつかり合い…。

 “怪物”は9割9分“鬼”に勝っていた。

 

 “鬼”が更なる成長を果たそうが“怪物”の成長速度はそれを遥かに上回り、悉く“鬼”の最強を打ち砕いてみせた。

 

 だが……

 

 ()()()()()()()()()()()()()()()()

 

雷牙『ガッ…!グアァァァァァァァッ!!!!!!』

 

 “百鬼ヶ覇王”の金棒を完璧に撃ち返す直前…。全身を引き裂かれるような激しい痛みが“怪物”を襲った。

 

 その理由はただ一つ…。

 

 彼の肉体に限界がきた…ただそれだけだ。

 

 事実上、“鬼”に完全勝利していながらも、肉体限界などという実につまらない理由で“怪物”は負けた…。

 

 ある者は運も実力の内と言うだろう。

 

 しかし、“鬼”は運での勝利を決して認められなかった。

 

鬼乃子「もういい…。もう全てがどうでもいい…!!!この世界が私を徹底的に嫌うってのなら…!!!いっそのこと全て壊れてしまえッ!!!!!!」

 

 意図しない『勝利』を得てしまった事で、全ての情緒が歪みに歪んでしまった“鬼”は、父だけに向けていた“憎悪”の感情を、自身を生み出したこの世界その物へ向け始めた。

 

「ジャバァァァァァァッ!!!」

 

 “鬼”の憎悪に呼応するように、“怪物”によって討ち取られた筈の“百鬼ヶ覇王”も再び現世にて再誕を遂げる。

 

 その右手に携えられた鈍色の金棒が向けられるのは、“最後の砦(エンド)を守る者”。

 

円堂「……来いッ…!!鬼乃子…!!!」

 

 残された時間は僅か1分足らず。

 

 イナズマジャパンに待ち受ける未来は“破滅”か…?それとも“平和”か…?




あの展開から雷牙が負けるのは賛否が分かれると思いますが、これにはちゃんと訳がある為、とりあえず海よりも広い心で見逃してください。

【不定期掲載!イナっと裏話!】
♦︎実は“兆”と“極”は世界編の初期プロには存在しておらず、デストラクチャーズ戦の際に急遽後付けした設定。なお、ライトの“モンスターモード”は既定路線。

〜オリ技紹介〜
♦︎オーガモード
使用者:鬼乃子
≪概要≫
決戦終盤にて、精神世界にて自身の心の闇である“おに”(仮)を殺害し、無理矢理吸収した事によって覚醒した最強…いや、最狂形態。
ライトの“モンスターモード”とは原理を同じとする形態であり、流石に別人レベルの変化だった彼と比べると、髪型は若干ボリュームが増えて逆立ってる程度に留まっているが、身体から桜に色に妖しく輝く気の柱が立ち昇り、歪な覚醒をしたせいで喜怒哀楽全ての感情が同時に発生している為、側から見ると狂人としか思えないムーブを繰り返すのが特徴。

♦︎ 百鬼ヶ覇王 モノセロス・クライマックス
属性:林
分類:シュート
使用者:鬼乃子
≪概要≫
中の人が飛び出しちゃった鬼乃子の化身。以上。

……とまぁ、冗談は置いておいて…。
鬼乃子の覚醒に伴い、進化を果たした“モノセロス”。だが厳密には“百鬼ヶ覇王”こそが明星鬼乃子本来の化身であり、“百鬼ヶ王”は謂わば卵のような存在。
なお、扉の構造上、肝心の“百鬼ヶ覇王”本体は鳩時計の鳩みたいな姿勢で飛び出ている為、冷静に見ると結構シュール。
名前の由来は雷牙のレグルス(雷鳴の覇王=百鬼ヶ覇王)と、デュエマのCRYMAXジャオウガから。

<化身技>
♦︎CRYMAX・OF・MONOCEROS
≪概要≫
“百鬼ヶ覇王”の化身技。テンポの都合でモーションの描写は省いたが簡単に説明すると。

①鬼乃子がボールを軽く上に上げる。
②“百鬼ヶ覇王”がつんざくような咆哮を上げるとボールに灰色のオーラがチャージされる。
③最大までチャージされた所で鬼乃子が飛び上がり、“覇王”も右手に持った金棒を構える。
④シュートと金棒のダブルアタック炸裂。

といったモーションとなってます。
当然、威力は“真黒・曇怒淪”以上であり、奇跡でも起きない限り円堂は止められない。
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