イナズマイレブンHEROS!!!   作:月兎タンク

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遂に…!遂に…!イナヒロが200話を迎えました!!!ここまで続けてこられたのも応援してくださる読者様のお陰です!!!本当にありがとうございます!!!

-追記-
英雄たちの叙事詩編に投稿していた雷冥のスピンオフを消したので話数がズレてます。そのせいで本話が198話になっていますが、事実上の200話はこっちの方です。


俺達は同じ朝日を見上げている

フィディオ「“超オーディンソードッ”!!!」

 

円堂「“ゴッドキャッチッ”!!!」

 

 時刻は絶賛昼下がり。日本代表専用のグラウンドにて、黄金の剣と黄金の魔神が激突し合う。

 

 相対した少年達は笑っていた。その笑みはこの上なく純粋で、心の底からサッカーを愛する者にしか出来ない笑みだ。

 

ズババーンッ!!!!!

 

 フィールド一帯が金色の光に包まれる程に激しい拮抗の末に勝負を制したのは……

 

円堂「にひっ…!!今回は…!俺の勝ちだ…!!」

 

 我らがキャプテン円堂守だ。

 

ピッ!ピッ!ピッー!!!

 

久遠「試合終了ッ!2-1でイナズマジャパンの勝利ッ!!」

 

 試合終了のホイッスルが鳴ったと同時に、両チームの選手達は地面に尻餅を付く。特にオルフェウスは激しく消耗している様子だ。

 

フィディオ「どうだったマモル?コレがリトルギガントのサッカーだ」

 

円堂「ああ!!お前が言ってたことがようやく分かったぜ!!」

 

鬼道「練習試合の提案感謝する。世界最高峰の選手の実力……、とくと堪能させていただいた」

 

ヒデ「礼には及ばないさ。俺も君達と一度は手合わせをしてみたかったからね」

 

 何故、イナズマジャパンとオルフェウスが練習試合をしていたのか?

 それは円堂の前に現れたフィディオからの提案だった。

 

『リトルギガントと戦いたくないか?』

 

 オルフェウスは惜しくも準決勝で敗北した。

 …いや、厳密には『惜しく』はない。あの試合は間違いなくヒデナカタの参戦とライトの覚醒が無ければ大敗を喫していた。

 それ程までにオルフェウスとリトルギガントの実力差は隔絶していたのだ。

 

 それでもリトルギガントの本気を引き出したという事実には変わらない。

 だからこそ、彼らは立ち上がった。全ては道半ばで途絶えた“世界一”の夢を最高の好敵手へ託す為に。

 

円堂『これが…!リトルギガントのサッカーか…!!!』

 

 実際に練習試合を行った円堂…引いてはイナズマジャパンは度肝を抜かれる事となる。

 

 何せ、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 加えてライトが骨折で離脱しているとはいえ、ヒデナカタが合流したオルフェウスはとにかく強かった。

 それこそブロック戦時点で彼が合流していれば確実に負けていたと思ってしまう程に。

 

 チームGとの決戦を経て大きく成長した円堂から、1点をもぎ取っている事実がそれを証明しているだろう。

 

風丸「攻撃に11人…防御に11人…。合計22人を一斉に相手しているような感覚が1時間も続くのか…。これはそう簡単にいきそうな相手じゃないな…」

 

染岡「なーに言ってんだよ!ここまで来て、楽に勝てるチームが相手じゃあ張り合いがないってもんだぜ!!!」

 

 流石のオルフェウスも、常人では絶対に不可能なサッカーをフルタイムで続ける事は出来ず、試合時間は15分ハーフの合計約30分。普通の試合の半分の時間だ。

 

 それでも、リトルギガントの凄まじさを知るには十分過ぎる時間だった。

 

雷牙「ハーハッハッハッ!!!!実質相手が22人だァ?ハッ!!んなモン俺らにゃあ、関係無ェよ!!!どんなチームが相手だろーが全身全霊を以て挑むだけだッ!!!」

 

ライト「うんうん!その痛いほどの自意識過剰!それでこそ雷牙だよね〜!!」

 

 決勝の大舞台で対峙する最強のライバルの実力を把握してもなお、イナズマジャパンの闘志の炎は消えるどころか更に燃え上がる。

 

フィディオ「とりあえず…アレがリトルギガントのサッカーだ。俺達の実力じゃコレ以上同じプレーを続ける事は不可能だが、伝えたい事はまだまだある。今日はこのまま俺達と合同練習をしないか?」

 

円堂「もちろん!!いいですよね?監督!」

 

久遠「許可する。だが、試合は明日だ。疲れを残さないように気を付けろ」

 

『はい!!!』

 

 こうして決勝戦前日の練習は急遽、イタリア代表との合同練習へ変更されたが、今は丁度昼時だ。

 『腹が減っては戦はできぬ』の諺に従い、マネージャー手作りのおにぎりを昼食に休憩時間に入る。

 

バリッ!ザクッ!

 

雷牙「んっ!このおにぎり……うっま!!!いい感じに塩が効いてんな〜」

 

ライト「ホントだ〜!美味し〜!」

 

夏未「そのおにぎりは私の手作りよ。よく味わって食べなさい」

 

音無「稲魂さんの超次元的な味覚って、義理の家族由来だったんですね…」

 

秋「音無さん、シッ!」

 

 どうやらコトアールでのマネージャー業を通して心身共に成長した夏未であったが、料理の腕前は一切変わらなかったようだ。

 大事な試合の前日にも関わらず、おにぎりではまずあり得ない咀嚼音に、一同は一抹の不安を覚えながらも決戦までの時間は刻々と過ぎていく。

 

 ()()()()()()()……

 

ライト「そういえばさ…。雷牙は“()()”の特訓はもうしてないの?」

 

 ライトの口から衝撃の発言が飛び出したのは。

 

雷牙「アレェ?んだよアレって?」

 

ライト「忘れちゃったの?アレだよアレ!!パパがボクたちに教えてくれた“最強の必殺技”!!!」

 

『!!!!』

 

 “最強の必殺技”…。その言葉を聞いた瞬間、皆に落雷が直撃したかのような衝撃が走る。

 

豪炎寺「稲魂ステラが遺した…!」

 

円堂「最強の必殺技…!?」

 

 無類のサッカーバカである円堂やヒデナカタを筆頭に、冷静なフィディオ、豪炎寺、鬼道ですらもその“最強の必殺技”の存在に目を輝かせている。

 

 それもその筈。世界が認めた“怪物(サッカーモンスター)”の口から語られたという『最強の必殺技』なのだ。これで期待するなという方が酷という物だ。

 

雷牙「あー…アレか〜…」

 

 だが……当の雷牙は父が遺した筈の必殺技に対してどうも反応が薄い。

 

雷牙「…先に言っとくが、んな大層なモンじゃねェーぞ?親父の事だしどーせ、その場の思い付きで考えたデタラメな必殺技だろーしなァ」

 

ライト「パパはサッカーでは最強だったけど、人に何かを教えるのは本当に苦手だったもんね〜」

 

円堂「いやいやいやいや!!!!それでも稲魂ステラが遺した必殺技なんだろ!?習得できればメチャクチャ戦力になるんじゃないか!?」

 

豪炎寺「落ち着け円堂。考えてもみろ、力に貪欲な雷牙が今日の今日まで存在を忘れるレベルの必殺技なんだぞ?そのレベルならば、必殺技自体に重大な欠点…もしくは何らかの事情があるに違いない」

 

雷牙「ンthat's right!!!勘の鋭い豪炎寺クンには、はなまる100点をあげちゃう!!!」

 

 傲岸不遜な“怪物”が世界で唯一純粋な尊敬を向けると言っても過言ではない存在である父親…。

 そんな彼が遺した必殺技を雷牙は何故、今日の今日まで忘れていたのであろうか?

 

雷牙「答えはシンプル。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

『????』

 

 雷牙の返答を聞いた一同は頭の上に大きな?マークを浮かべながら困惑する。

 

 雷牙が必殺技の詳細を知らないのならまだ理解出来る。だが、間違いなく雷牙は『父親』が詳細を知らないと言った。

 必殺技を伝授した本人が肝心の肝を理解していない意味が分からないのだ。

 

雷牙「親父が俺らに伝授したのは()()()()()()()。『どんな時でも“絆”を忘れるな。心が1つになった時、“その技”は必ず理屈を越えた超パワーを発揮する筈だ』……以上!!!」

 

鬼道「いや…もっとこうあるだろ…?流石の総帥も少し頭を刎ねれば理解出来る説明をしてくれてたぞ…?」

 

雷牙「いンや?その必殺技が単独技なのか連携技なのか…。そもそも技の種類すらも不明だね。当然!守のじーさんみたいな秘伝書すら無し!!!」

 

『……』

 

 あんまりにもあんまり過ぎる雑な伝授の仕方に皆は頭を抱えてしまう。

 

 雷牙の話から、サッカーの世界では“最強”と謳われた稲魂ステラも、私生活ではだいぶ残念な人間であった事は知っていたが、まさかここまで適当な人間であるとは夢にも思っていなかったのだ。

 

雷牙「…あっ、そうだ。名前自体はちゃんと付けられてたんだった。…聞くか?一応」

 

風丸「なんで体言止めなんだよ…。…まぁ、気にはなるし聞かせてくれ。一応」

 

雷牙「おっQ〜!“怪物”・稲魂ステラが遺した必殺技…!!その名も…!!!」

 

『その名も…!』

 

 一切の詳細は不明ながらも、内心ではその“謎”に惹かれていた一同は無意識のうちに生唾を飲んでしまう。

 

雷牙「……」

 

染岡「このタイミングで黙んな!!!早く言え!!!」

 

雷牙「わ〜ったわ〜った。んじゃ、今度こそ行くぜ〜?その名は〜…!!」

 

『ごくり…!!!』

 

雷牙「バンバカバンッ!!! “イナビカリレジェンド”だッ!!!!!」

 

『お〜〜!!!』

 

 稲魂雷牙という残念なネーミングセンスの例がある為、一体どんな奇天烈な名前が飛び出すか心配されていたが、意外や意外。普通にセンスのある技名に対し、拍手が巻き起こる。

 

円堂「“イナビカリレジェンド”か〜!なんどか親近感の湧く名前だな!!」

 

雷牙「そういやそうだな〜。親父の師匠は守のじーさんと同期だったらしいし、もしかしたら影響されてんのかもな〜」

 

 こうして唐突にその存在が明らかになった“最強”が遺した必殺技『イナビカリレジェンド』…。

 だが、決戦までにそれを習得するには、情報も時間も足りなさ過ぎる。

 

 結局、それ以上“イナビカリレジェンド”は触れられる事なく、オルフェウスとの合同練習を以て決戦前日は終了したのであった…。

 

<翌日>

 

雷牙「…ハハ。柄にもねェなァ。この雷牙サマが緊張してるなんてよォ…」

 

 オルフェウスとの合同練習から一夜明けた早朝。

 まだ朝日すらも昇っていない時間の中、雷牙は1人で日本エリアの街中を歩いていた。

 

雷牙「…そういや、こんな朝っぱらから街中を歩くだなんて初めて経験だな」

 

 雷牙が起きたのは、徐々に星々の光が消え去っていく時間帯なのだ。

 それ故に店も開いてなければ、海を越えて遥々やって来た観光客すら居ない。

 

 この光景を見た者の脳裏に浮かぶのは“静寂”のみ。

 

 だが……

 

 この静寂こそが今の“怪物”にはこの上なく心地良い。

 

雷牙「昂ってんなァ、俺の(ハート)。…いや、俺だけじゃねェ。イナズマジャパン皆も一緒だ」

 

 “静寂”の中に身を置いているからこそ、際限なく昂り続ける心臓の鼓動がよく聞こえる。

 

 何も同じような状況に陥っているのは、雷牙1人じゃない。

 

 円堂はいつもの浜辺で特訓を繰り返し、豪炎寺は仲間と共にミニゲームに没頭し、鬼道は取り憑かれたように自室でリトルギガントの映像を見入っている…。

 

 世界一を決める最高の大舞台を前にした者達は、例外なく(ハート)が昂り眠る事を拒絶しているのだ。

 

???「あら?他の皆は練習に明け暮れているっていうのに、あなたはこんな所で散歩?最強の“怪物”さんは随分と余裕なのね?」

 

 ・・・前言撤回。街を歩いていたのは雷牙1人ではなかった。いや…()()()()()()()と言った方が正確か。

 

雷牙「……ハッ!そのとーり!!超天才の雷牙サマは散歩だけでウォーミングアップになっちゃうのだよ〜!……そう言うオマエさんの方こそ、1人でこんな場所に居るだなんて意外だなァ。……()()

 

 今、この瞬間だけは孤独である事を望んだ“怪物”の前に現れた少女の名は雷門夏未。

 出会った当初は険悪な仲だったが、幾度となく苛烈な戦いを共にし、今では大切な仲間の1人だ。

 

夏未「別におかしな事じゃないでしょ?今の私はイナズマジャパンのマネージャーなんだから、チーム屈指の問題児を監視するのは当然よ」

 

雷牙「へいへい。そーですかよ」

 

 雷牙がロクでもない問題を起こし、理事長代理である夏未がシメる…。雷門中サッカー部に所属する者にとって見慣れた光景だ。

 

雷牙&夏未「「……」」

 

 しかし、今の雷牙はこれといった問題を起こさず、口うるさい夏未も黙り込んでいる。

 苦楽を共にした少年少女は、ただ並び立って目的もなく街中を彷徨うだけだった。

 

雷牙「…なんつーか…」

 

 先に“沈黙”を破ったのは、雷牙だった。

 

雷牙「この1年…本当に色々あったよな〜…」

 

夏未「…ええ。本当に色々とね」

 

 雷門中サッカー部がまともな活動を始めたのは今年からだ。

 当時の雷門イレブンは、悪く言えば円堂と雷牙におんぶに抱っこのツーマンチーム…。そのせいで一時期は大半の部員がサッカーの情熱を失くしていた。

 

夏未「もしも…雷門イレブンのターニングポイントがどこかと聞かれたら、間違いなく帝国学園との練習試合からじゃないかしら?」

 

雷牙「…まっ、それが妥当だろうな。…一般的にはな」

 

夏未「?」

 

 錆びついていた運命の歯車に油を刺したのは、間違いなく急遽組まれた帝国学園との練習試合だ。

 

 当時、影山の傀儡であった鬼道は、伝説のストライカー・豪炎寺を引き出すべく徹底的に雷門イレブンを痛め付けた。

 

 だが、それこそが悪手であった。

 

雷牙『テメェらがァ…!サッカーを語ってんじゃねェェェェェ!!!!!』

 

 サッカーを愚弄する帝国…いや、影山の無情(サッカー)は“怪物”の逆鱗に触れ、眠っていた筈の稲妻の王を呼び起こした。

 

雷牙「俺と守と豪炎寺の大大大活躍で、絶対王者である筈の帝国学園はまさかの引き分け!いや〜!今思い出しても痛快だぜ〜!!!」

 

夏未「はぁ…。本当に相変わらずね、あなた…」

 

 どう考えても主人公がしてはいけない性格の悪さだが、当時の帝国は影山の支配下にドップリ浸かっていた為、どっちもどっちだろう。

 

夏未「けど、世宇子との試合に勝てたのはあなたの頑張りがあってこそ…。特別にそれだけは認めてあげるわ」

 

 帝国引いては鬼道に見切りを付けた影山の第二の策・世宇子中。

 “神のアクア”と呼ばれるドーピング薬を用いて、神の如し力を得た彼らはその圧倒的な力を以て帝国を下し、雷門を苦しめた。

 

 一時は雷牙以外の全ての選手が戦闘不能になる程の大惨事を前にしても、雷牙は諦めなかった。

 

雷牙『そっちこそ分かってねェみてーだなァ!!!テメェらは既に踏んでいるんだよォ…!!!獅子の尻尾をなァ…!!!』

 

 たった1人で神の蹂躙を耐え抜き、限りなく0に近い“奇跡”を呼び起こした。

 

 “怪物”は呼び起こした奇跡は…伝説の序章にピリオドを打つ事となる。

 

雷牙「おっ?夏未嬢が素直に認めた〜?もしかしなくても明日は天変地異でも起こるか?」

 

夏未「どういう意味よ、それ!!!」

 

雷牙「ダハハハッ!!!怒った怒った〜!!……とまァ、冗談は置いといて…だ。天変地異と言やァ、やっぱしエイリア騒動だよな〜」

 

夏未「話を逸らさない!!!」

 

 “エイリア騒動”…。それは数ヶ月前に起こった日本史に残る一大事件だ。

 

レーゼ『我らの名はエイリア学園!!!偉大なるエイリア皇帝陛下の命に従い、この惑星を侵略する!!!』

 

 突如として日本に現れたエイリア学園と名乗る奇天烈なコスp……ゲフンッ!ゲフンッ! 人間を遥かに越えた力を持った超兵士達。

 

 日本一となったばかりの雷門も、ジェミニストームのサッカーには大苦戦し、最終的に引き分けに持ち込むのがやっとであった。

 

夏未「…私、まだあの時のことは許してないわよ」

 

雷牙「あの時ィ?何だっぺ〜?」

 

夏未「私たちに黙って別行動をしてたことよ!!!そのせいであなたがエイリア学園に洗脳されたんじゃないかって、すっごく心配したのよ!!?」

 

雷牙「あ〜…ソレね…」

 

 ジェミニストームとの初戦にて雷門イレブンは事実上彼らに勝ったいたが、スコア上の点数は同点で試合を終えてしまった。

 故に傘美野中の破壊を止める事が出来ず、飛んで来た木片から風丸を庇ったばかりに雷牙は意識不明の重体となってしまった。

 

 だが、神は雷牙を見捨てなかった。

 

 当時、過去の記憶を取り戻していたアケボシこと、生き別れた義理の兄・稲魂雷斗がエイリア石を用いて弟を助けてくれたのだ。

 

雷牙「いや〜、マージでアレに関してはライトに感謝だぜ…。下手すりゃあ、今頃もベッドの上で眠り続けてただろうかんなァ…」

 

 復活した雷牙は、響木の提案で雷門イレブンとは別行動を取る事となり、エイリア学園にもバレない秘密の特訓場所として選ばれたのが……孤島・神鳴り島であった。

 

雷牙(そういやシュウは元気にしてっかなー?…いや、アイツは推定幽霊だし元気もクソもねェのか…?)

 

夏未「…何よ?突然考え込んで」

 

雷牙「ちと、懐かしい顔が思い浮かんだだけだっての」

 

 神鳴り島に地縛する亡霊・シュウによって鍛え上げられた雷牙は、以前とは比較にならないパワーアップを果たし、エイリア学園最強チーム・ジェネシスを圧倒し、先の見えない戦いに希望の光を灯した。

 

雷牙「まァ、いいじゃねェか。俺ちゃんはライトのお陰で復活出来たし、吉良の企みも阻止したし、ヒロト達とも和解出来た…。長く苦しい戦いだったけど、最終的にハッピーエンドに辿り着けたんだ。いつまでグチグチ文句を言うのは野暮ってモンだぜ?」

 

夏未「…まぁ、それはそうだけど…」

 

雷牙「はい!それじゃあ、この話は終わりッ!!!終わりったら終わりーー!!!」

 

 誰よりも夏未のめんどくささを知る雷牙は、強引にエイリア騒動の話題を切り上げさせ、反撃の隙を与えない。

 

夏未「はぁ…もういいわ。でも、皮肉なことにエイリア騒動があったから、あなた達はこの大舞台に立つことが出来たのよね…」

 

雷牙「そこは俺ちゃんもどーかん。俺や一之瀬とかはまだいいが、エイリア騒動が無けりゃあ、日本の水準(レベル)は低いままだったろうかんな。あの戦いにもちゃんと意味はあったってこった」

 

夏未「…エイリア石で強化された超兵士が、世界トッププレイヤー以下の実力しかないってのも少しおかしい気がするけどね…」

 

雷牙「…細けェ事は気にしちゃいけねェの」

 

 日本一から宇宙一、そして次に目指すは世界一…。なんか明らかに目指す方向性がおかしかった気もするが、知らないったら知らない。

 

雷牙&夏未「「……」」

 

 エイリア騒動を回想し終えた2人は再度無言となり、宿舎へ向かう。

 FF、エイリア騒動ときて次に話すべき内容は当然、FFIの話題だろう。

 

 しかし、夏未はどうしてもこの話題に触れる気になれない。

 何故なら、この話始めれば、“彼女”について触れざるを得ないのだから。

 

雷牙「…怖いのか?」

 

夏未「え…?」

 

雷牙「()()()()()()()()()()()()()()()って聞いてんだよ」

 

夏未「…ええ。正直言って、今でも怖いわ…。あなたに実の妹がいた挙句、死んだと思っていた父親が生きていたなんて…。そんな現実…私だったら耐え切れないもの…」

 

 世界中のサッカーを愛する少年少女の夢の舞台は、数十年にも渡った因縁の終着点であった。

 

 FFIの主催者であるガルシルド・ベイハン…。彼は初めからサッカーを微塵も愛しておらず、夢の舞台は世界各国の関係に亀裂を入れ、戦争を引き起こす為の“きっかけ”として利用されていた。

 

 雷門イレブンの宿敵・影山零治ですらも彼の捨て駒の一つでしかなく、40年前にイナズマイレブンを襲った悲劇にも深く関与していた。

 

 つまる所、ガルシルドは雷門イレブンの物語の全ての黒幕だったのである。

 

 それだけにとどまらず……

 

鬼乃子『流石の鬼乃子ちゃんもそれはできないナー。そもそも『妹=命令に従う存在』って考え自体が古いんダヨ♪ら・い・が・お・兄・ち・ゃ・ん?』

 

 因縁の最終決戦にて姿を現した明星鬼乃子…。

 そしてガルシルドの口から放たれたのは衝撃のカミングアウトだった。

 

ガルシルド『よく聞けェ!!!イナタマ・ライガァ!!!貴様とアケボシ・キノコはァ!!!血の繋がった実の兄妹なのだァァァァァ!!!!!』

 

 雷牙の心の中で朧げな靄がかかっていた一つの“謎”が一気に晴れ渡り、その正体を現した感覚は生涯忘れる事はないだろう。

 

雷牙「…んじゃ、先に謝っとく。俺は別に鬼乃子が妹だった事には、そこまで引きずってねェ」

 

夏未「え…?」

 

雷牙「チームKとの試合で最初に出会った時から、薄々アイツとの繋がりを感じてたんだ。ガルシルドはそれを明確にしただけ。こうなった以上、どんなに否定しよーが、アイツと血が繋がってる事実は変えらんねェ。んなら、もう受け入れるしかないのさ」

 

夏未「稲魂君…」

 

 互いの魂をぶつけ合った数日前の最終決戦…。

 あれで雷牙は確信した。目の前に居た少女は間違いなく自身の妹であると。

 

 ならばもう、雷牙に拒絶する理由などありやしない。

 これから先の人生で、何度自身の前に立ち塞がり牙を剥こうが、正々堂々立ち向かってやるだけだ。

 

雷牙「あの日の試合は、守に渦巻いてた因縁の終着点(ゴール)であって、俺の因縁の出発点(スタート)でもあんのさ。だけど… 例え敵が実の父親でも妹だろーと、正面からぶち抜いてやっさ!!!だって…それが稲魂雷牙のサッカーだろ?」

 

夏未「……ええ!その自信に満ち溢れたサッカーこそが稲魂君よ…!!」

 

 雷牙の返答を聞いた夏未は、何故か目尻に小さな涙を浮かべていた。

 

 雷牙の幼少期より刻まれた深い心の傷…。それこそが夏未の最大の心配であった。

 だが、蓋を開けてみれば、既に彼は過去を振り切り未来を見つめている。

 その事実が、まるで自分の幸福のように嬉しかったのだ。

 

夏未「……なら、“あの日” あなたに託された物を返すわ」

 

雷牙「あの日…?・・・あ」

 

 刹那、夏未の手から黄色のブレスレットが雷牙に向かって投げ渡される。

 

雷牙「…なーるほど」

 

 完全に不意を突かれる形となった雷牙だが、性格は悪くとも日本を背負う代表選手だ。

 

雷牙「ほいっと!!!」

 

 容易く投げ渡された物体を右手で掴み取ると、慣れた動作でボロボロのブレスレットを右手首に装着する。

 

雷牙「フゥ!!!や〜〜っと帰って来たな〜?いや…ココは敢えての“おかえり”…ってトコか?」

 

 雷牙の手首に装着されたのは、亡き兄との友情を示す形見…だった鮮やかな黄色がトレードマークのリストバンド。

 

 夏未がコトアールへ向かう際に、どんなに遠く離れた場所でも仲間達との友情を繋ぎ止める為に送った大切なリストバンドだ。

 

雷牙「ホヘ〜、随分と綺麗に手直しされてんじゃん。そんなにコレが役に立ったのかい?」

 

夏未「ええ。とってもね」

 

雷牙「…そっか。んなら、良かった!」

 

 元の持ち主の手元にリストバンドが戻った瞬間、ようやく太陽がその全貌を現し、漆黒の夜空を鮮やかな空色へと染め上げる。

 

雷牙「おおーーっ!!!感動的だねェ、まさか決戦の日にこ〜んな綺麗な朝焼けを見れるなんてよォ!!!」

 

夏未「本当…。こんなに綺麗な朝日は初めて見るわ…!」

 

 他の者が今の朝焼けを見れば、“普通”という感想を抱くだろう。

 しかし、少年少女の目に映る朝焼けだけは格別だった。

 

 その感動が“何”によって齎されたのかは2人にはまだ分からない。

 

 ただ一つ言えるのは……

 

夏未「……稲魂君。絶対に勝ち取るのよ、世界一の称号を…!」

 

雷牙「言われなくとも。俺の(エゴ)の為…そして美女(レディ)の祈りの為に勝利を捧げてさしあげやがりますよ。夏未お嬢様?」

 

 少年少女の夢を賭けた最高の決戦は、もうすぐそこまで来ている。




FF編が40話、エイリア編が67話で完結…。んで世界編が82話でラスボス付近…。世界編はコンパクトにまとめる予定でしたけど、オリジナル展開を挟んだ影響で結構長引きましたね。

この際ぶっちゃけておくと、世界編はあと10話くらいで終わる想定ですが、イナヒロ自体はまだまだ続きます。
多分、シリーズ完結までは良くて2〜3年。下手すれば数年くらいかな?

まだまだ未熟な所が多い作者ですが、シリーズ完結を目指して頑張ってまいります!!これからもイナズマイレブンHEROS!!!の応援をよろしくお願いします!!

イナMONに引き続き、ちょっとした作者の好奇心なんですけどオリキャラの中で誰が1番好感度が高いのかな〜って気になったんでアンケート取ってみまーす。別に結果によってこの後の展開が変わるとかはないので気楽に投票してください。

  • 稲魂雷牙
  • 稲魂雷斗
  • 明星鬼乃子
  • “雷帝”
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