イナズマイレブンHEROS!!!   作:月兎タンク

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俺たちはとことん止まらないッ!!!

雷牙「行くぜ!行くぜ!!行くぜェェェェ!!!!ヒィロトォォォォ!!!!」

 

ヒロト「そんなに熱苦しく叫んだって、俺は逃げないさ!!!」

 

 苦労の末に巨人達のディフェンスを突破した“怪物”と“彗星”は空中にて仲間割れとさえ見間違う程の荒々しいパス回しを繰り返す。

 

 すると、2人の軌跡は次第に真球の形を形成し、遂には一つの小宇宙を創り出した。

 

雷牙&ヒロト「「“コズミックブラスターG3ッ”!!!!」」

 

 天空(そら)より降り注ぐのは、人類にとって未知の領域たる小宇宙(コスモ)。 

 その圧倒的な質量は、並大抵の必殺技ならば発動させる事すらも許さず容易く粉砕するだろう。

 

 そう…相手が“並大抵”ならば……。

 

ロココ「させないッ!!“タマシイ・ザ・ハンドォォォ”!!!」

 

 その胸に大きな『夢』を宿した巨人の“魂”は小宇宙すらも容易く握り潰す。

 

マクスター『またしても止められたァァァァ!!!!ロココの鉄壁の防御にはイナズマジャパンも為す術が無いィィィ!!!』

 

 ロココが化身に覚醒して以降、リトルギガントのディフェンスはより一層堅固となっていた。

 鬼道の策を以て何とか数少ないシュートチャンスを得たとしても、全てのシュートはロココによって止められる。

 

 とはいえ…だ。

 

ゴーシュ「“真ラストリゾートォォォ”!!!」

 

円堂「“ゴッドキャッチ…!G2ッ”!!!!」

 

 攻め手に欠けているのは、巨人(アチラ)も同じだ。

 

マクスター『今度はエンドウだァァァァ!!!!ロココがシュートを止めれば、エンドウも負けじと限界を超えるゥ!!まるでこの少年達は運命の赤い糸で繋がっているかのようだァァァァ!!!!』

 

大介「ヌッフフ…!その表現はあながち間違ってないかもしれんのぉ…」

 

 予想を超える実力を持つイナズマジャパンを前にしても大介は上機嫌に笑い飛ばす。

 何せ、この状況こそが大介が心の底から待ち望んでいた展開(シチュエーション)なのだから。

 

ゴーシュ「…まさか俺達がココまで手を焼くとはなァ…!」

 

ウィンディ「ヒデナカタが参戦したオルフェウスも強かったが…。イナズマジャパンはもっと強い…!!」

 

 リトルギガントは純粋なフィジカルではイナズマジャパンを上回り、加えて自ら“縛り”を掛けていた煩わしい20kgの重りを脱ぎ捨て、完全体となった。

 

 にも関わらず、数値上の実力が劣っている筈のイナズマジャパンは巨人達に喰らい付き、時には傷跡すら残す。

 

 今この瞬間は間違いなく、狭い祖国にて敵無しであったリトルギガントが初めて体験する対等な戦い(サッカー)であった。

 

雷牙「どうした小さな巨人共?まさかオメーらの力はこんなモンじゃねェよなァ?」

 

ゴーシュ「ヘッ…!!んなワケねェだろうがッ!!!」

 

雷牙「ハッ…!んなら…思う存分楽しもうじゃねェかッ!!!」

 

 久方ぶりとなる『争い』の為のサッカーではなく、『愉しむ』為のサッカーを前にした“怪物”は誰よりもこの試合を愉悦(たの)しんでいた。

 

雷牙「“雷獣義牙GXッ”!!!」

 

ゴーシュ「速ェ!!?」

 

 円堂守にとってのラスボスがリトルギガントならば、稲魂雷牙にとってのリトルギガントは謂わば裏ボスだ。それも物語(メインストーリー)の進行には何一つ影響しないタイプの。

 

 故にそこに『哀しみ』も無ければ『怒り』も無い。あるのは強者に己が培ってきた“全て”をぶつけ合える『喜び』だけだ。

 

キート&シンディ「「“デュアルツイスターV2”!!!」」

 

雷牙「YES!!イエス!!yeeeeees!!!それを待ってたんだよォォォォ!!!!」

 

 その『喜び』を全身で体現するかの如く、双極の嵐すらも己の力に変えてみせる。

 

マクスター『なんとォ!!?イナタマに襲い掛かった巨人の嵐が…!()()()()()へと変貌したぞォォォ!!!誰もが口を揃えるがァ!!この男!やる事なす事全てが、予想外にも程があるゥゥゥゥ!!!!』

 

雷牙「まだまだァ!!!も一つオマケにィ…!!!」

 

ピィィィィ!!!!

 

 フィールドに鳴り響くのは“怪物”の指笛。お世辞にも美しいとは言えない音色は、紅蓮の人鳥(ペンギン)を現世に召喚する儀式だ。

 

雷牙「“インフェルノ…!ペンギンーーーッッッ”!!!」

 

 5匹のペンギン達の嘴が突き刺さったボールは、“怪物”の蹴りによって推進力を獲得し、爆熱の旋風を纏ったシュートなる。

 

 だが、ペンギン達の行き先は()()()()()()()

 

雷牙「シュートチェインのお時間だぜェ!!豪炎寺ィ!!!」

 

 だってコレはシュートではなく…。最高の相棒・豪炎寺…、そして()()()()()へのパスなのだから。

 

豪炎寺「行くぞッ!()()!!()()!!」

 

熱也「おうよッ!!俺達のシュートでキーパーの薄ら笑いを止めてやらァ!!!」

 

吹雪「僕達のこのシュートを…!日本に居る或葉君に捧げるッ!!!」

 

 燃ゆるペンギンに追い付いた三人のストライカー達は、銀狼は利き足に極寒の冷気を纏わせ…。豪炎寺は右脚に灼熱の炎を宿しバイシクルシュートの体制に入る。

 

円堂「あの必殺技は…!!!」

 

 そう。この体制(フォーム)は“あの必殺技”の序章曲(プレリュード)だ。

 

豪炎寺&熱也&吹雪「「「“パラドックスブレイクG5”!!!」」」

 

 最北端の戦士達のみが放つ事を許された“矛盾”。悠久の時を経てここに再誕。

 

 “矛盾”が重ね掛け(オーバーライド)された五匹のペンギン達は、その身体に“炎”と“氷”の元素(エレメント)を宿し巨人が護るゴールへ向かう。

 

ロココ「コレも素晴らしい必殺技だね!……けど!まだまだ僕には叶わないよッ!!“爆ゴッドハンドXッ”!!!!!」

 

 ロココの宣言通り、“神の御手”と衝突した矛盾(ペンギン)は一矢報いる事すら叶わずに、一瞬で光の粒子となって消滅してしまった。

 

熱也「チィッ!!これでもダメなのかよ!?」

 

吹雪「そう熱くなっちゃ駄目だよ熱也。諦めずに攻め続ければいつか突破口が見えてくる筈さ!」

 

ロココ「そう上手くいくかな?今度は僕たちの番だよっ!!!」

 

 お返しと言わんばかりにDFのマロンへボールが渡ると、シュートと見間違う激しいパス回しの応酬がイナズマジャパンを翻弄する。

 

キート「マキシッ!!!」

 

風丸「見えたッ!そこだァ!!!」

 

 キートのパスに僅かな隙を見出した風丸がカットに入るが…。

 

鬼道「ーー!!! 待て風丸ッ!!そのパスは()()ッ!!!」

 

 それこそが巨人が仕掛けた(トラップ)であった。

 

「「「「“サークルプレードライブッ”!!!」」」」

 

 風丸がボールを奪うと同時に巨人達が周囲を囲み、風丸の周囲に強烈な乱気流が発生する。

 皮肉な事に暴風の砦の看守たる風丸は、逆に乱気流の牢獄へと封じ込められたのだ。

 

マクスター『出たァァァァ!!!!“サークルプレードライブ”ゥゥゥ!!!暴風の牢獄がイチロウタ・カゼマルを閉じ込めたぞォォォ!!!』

 

風丸「クソッ…!これがリトルギガントの必殺タクティクスか…!何か突破する手段は無いのか…?」

 

 ミスを挽回するべく出来る限り抵抗を試みるが、努力虚しく徐々に自陣へ誘導させられる。

 

 このタクティクスの最も嫌らしい要素はまさにそこだ。

 

 圧倒的なフィジカルを誇る選手達が生み出す乱気流は、外部からは元より内部ですら化身のパワーを以てしても余程の差が無ければ力押しでの突破は不可能。

 

 一度捉えられてしまえば、後はゴール前までボールを運ばされる哀れな囚人となるだけだ。

 

風丸「ーー!!! いや…!あるぞ…!一つだけ攻略法が…!!」

 

 乱気流にぽっかり空いた“ある弱点”に気付いた風丸は、ボールにスピンを掛けると真上に向かって勢いよく蹴飛ばす。

 

風丸「“北風の矢”!!!」

 

 日本一のDFとなるべく己の可能性を模索している最中に開発した必殺技は、思わぬ場面で風丸の危機を救う命綱となる。

 

 だが……

 

ウィンディ「そうくる事はお見通しだッ!!!」

 

 鉄壁の監獄に唯一空いた穴を突かれる事くらい円堂大介が想定していない訳がない。

 北風を纏ってボールは、乱気流の中から飛び出して来たウィンディによりカットされてしまい、リトルギガントにボールが回ってしまった。

 

風丸「クッ…!読まれていたか…!」

 

ウィンディ「そーゆーことだッ!!決めろォ!!ゴーシュッ!!!!」

 

 10番(エースナンバー)を背負う男へパスが繋がる。必殺タクティクスによってゴーシュは既に中盤を突破し終えている。

 灼熱の巨人の行手を阻むのは日本最強のDF()()()

 

ゴーシュ「しゃらくせェ!!!コッから直接、ゴールに叩き込んでやらァ!!!!」

 

 灼熱の巨人のその判断は純粋な“惰性”か、それとも単純な“傲慢”か?

 

 ゴーシュは両足が利き足である事を巧みに活かした、流れるように美しい三連劇をボールに叩き込む。

 

ゴーシュ「喰らいやがれェェェェ!!!!“爆ラストリゾートォォォォ”!!!!」

 

 この土壇場で進化を果たした土龍はより一層牙を尖らせ、最後の砦(エンド)を護る者を喰らうべく、ゴールへ向かう。

 

壁山「イナズマジャパンの守りはキャプテンだけじゃないっス!!!」

 

飛鷹「俺達が少しでもキャプテンの負担を減らすんだッ!!!」

 

 だが、土龍の威嚇を以てしても日の本の侍達は怯む事はなかった。手始めに土龍の前に立ち塞がるのは、壁山と飛鷹だ。

 

壁山「だったぁ!!!“ザ・マウンテンV4”っスぅぅぅ!!!」

飛鷹「これが俺の全力だァァァァ!!!!“真空魔S”!!!!」

 

 前方には真空の空間が、後方にはどデカい山脈が。土龍の行手を阻むのは二重に張り巡らされた完璧な布陣だ。

 

 だが……

 

ゴーシュ「その程度のディフェンスで俺の相手になると思ってんのかよォ!!!」

 

壁山&飛鷹「「うわぁぁぁぁぁ!!?」」

 

 土龍の顎は完璧な布陣すらも容易く噛み砕く。

 

円堂「壁山っ!!飛鷹っ!!」

 

壁山「ごめんなさいっ!キャプテンっ!!あとは任せるっス!!!」

 

 抵抗虚しく大きく威力を削ぐ事すら叶わなかった壁山達は円堂に後を託すが、日本のDFはまだ残っている。

 

綱海「まだまだァ!!俺らを忘れてもらっちゃいけねェぜ!!!!」

 

 第一陣を突破した土龍の前に立ち塞がったのは“銀狼”と“海人”だ。

 

吹雪「“超トリニティブリザードッ”!!!」

綱海「“ザ・タイフーンV4ォォォ”!!!」

 

 DFには似つかわしくない強力なダブルシュートがブロックに入るも、壁山と飛鷹の妨害が入った土龍の牙は折れる兆しが一向に見えない。

 

吹雪&綱海「「ぐわぁぁぁぁぁ!!!!」」

 

 幾度となく自身の進路に立ち塞がる“小粒”達を煩わしく思ったのだろう。土龍はボールを起点に突風を引き起こすと邪魔者達を盛大に吹き飛ばした。

 

マクスター『コレでも駄目だァァァァ!!!!イナズマジャパン全てのDFがブロックに入ったにも関わらず、私の目にはシュートの威力が落ちているようには見えないィィィィ!!!!』

 

 いや、確かに“ラストリゾート”の威力は落ちてはいる。ただDF達の決死のディフェンスを以てしても、その減少量が誤差の範囲内でしかないだけだ。

 

ゴーシュ「先制点は頂いたぜェェェ!!!エンドウォォォ!!!」

 

 残すは最後の砦を護る者(ゴールキーパー)・円堂守のみ。

 だが…仲間達の“想い”は円堂に更なる力を与えてくれる。

 

円堂「みんなの頑張りはムダにはしない…!!!ハァァァ…!!!」

 

 何百倍にも増幅させた円堂の気は、ピッチに魔神を超えた魔神…超魔神を降臨させる…!

 

円堂「“ゴッドキャッチG3”!!!!!」

 

 巨人達と同じくこの短時間で限界の壁を乗り越えた円堂は、その両手を突き出し力強く土龍を受け止める。

 

円堂「ぐっ…!!!」

 

 仲間達のブロックが入ってもなお、“ラストリゾート”の威力は一級品。

 たった一発受けただけにも関わらず、まるで何千発ものシュートを受けたかのような痺れが両手を襲う。

 

円堂「負けるかぁぁぁぁぁ!!!!!」

 

 それがどうした?

 どんなに両手が痺れようと円堂守にはこれっぽっちも関係無い。

 例え手の感覚が無くなろうと、祖父から受け継いだグローブを付けている限り、彼はイナズマ挑戦者(チャレンジャー)なのだから。

 

円堂「どぉりゃぁぁぁぁぁ!!!!!」

 

マクスター『惜しくも決まらずゥゥゥゥ!!!!エンドウ!またしてもスーパーセーブな炸裂だァァァァ!!!!』

 

ゴーシュ「マジかよ…!」

 

円堂「……」

 

 痺れる両手にボールを完璧に収め終わった円堂は、静かに後方を確認する。 

 自身の踵とゴールラインまでの距離はおよそ数mm…。

 結果こそ円堂の勝利(セーブ)で終わったものの、勝利(セーブ)敗北(失点)は文字通り紙一重の差であった。

 

円堂「これがリトルギガントの底力……か」

 

 リトルギガントの強さを噛み締める度に円堂の両手が震えてしまう。

 無理もない。自分達が持てる力を全て活用した上での紙一重の勝利…。その事実は自分1人では100%点を許していたと暗に伝えられているのと同義なのだ。

 

 マジマジと見せつけられる隔絶した実力は、凡人ならば嫉妬に狂ってしまうだろう。

 

 最も…今の円堂に“嫉妬”など無縁の代物であるが。

 

円堂「やっぱり…!スゲェよ…!じいちゃんが作った夢のチームは…!!!」

 

 その両手の震えは『歓喜』の震えだ。またの名を“武者震い”とも呼ぶ。

 

 ガルシルドの魔の手から逃れた祖父が、南米の小さな国で見つけ出したダイヤモンドの原石達…。

 それを日本最高のサッカー選手(プレイヤー)によって一つずつ丁寧に磨かれたのだ。

 リトルギガントというダイヤモンドが放つ強さ(輝き)はまさに世界最高峰。少しでも気を抜けばたちまち目が眩んでしまいそうだ。

 

円堂(だからこそ絶対に勝ちたい…!世界一になりたい…!!ここまで俺と一緒に戦ってくれた、素晴らしい仲間たちと…!!!)

 

 しかし、その輝きはイナズマジャパンも負けちゃいない。ここまで旅路で出会った素晴らしい仲間達の後光がリトルギガントの輝きを中和してくれるからこそ円堂は“前”を見ていられる。

 

円堂「じいちゃんっ!!!俺は超えてみせるぜっ!!!あんたも…ロココも…!どっちも乗り越えて……最高のキーパーになってやるっ!!!」

 

大介「フハハハッ!!!相変わらず口の減らん孫じゃわいッ!!!なら…やってみるがいいッ!!出来るもんならなッ!!!」

 

 気付けば前半戦の残り時間は5分を切っている。

 恐らく、このプレーが前半戦におけるラストワンプレーとなるだろう。

 

円堂「よーし。行くぞみんな……。反撃だァァァァーーーッ!!!!

 

『おおおおーーッ!!』

 

 円堂の号令は稲妻となりチームメイト全員に伝わる。

 するとどうだろう?リトルギガントの眼にはあれだけ小さな存在であった侍達が、自分達よりも遥かに大きく、強大な存在のように映ってしまう。

 

円堂「吹雪ィ!!!」

 

 円堂から吹雪にボールが繋がり…

 

吹雪「風丸君ッ!!」

 

 吹雪から風丸へボールが繋がり…

 

風丸「豪炎寺ッ!!!」

 

 風丸から豪炎寺にボールが繋がる。

 

マクスター『スゴい!スゴい!!スゴォォォォいぞォォォォ!!!!エンドウがシュートを止めて以降、明らかにイナズマジャパンの動きが違うゥゥゥゥ!!!!一体、彼らに何が起こったというんだァァァァ!!!?』

 

 瞬く間に自陣のゴール前から巨人のゴール前まで到達したイナズマジャパン…。無論、その間にリトルギガントもディフェンスに入っている。

 だが、侍達はこれまでとは比較にもならないパワー・スピード・テクニック…その全てを以て彼らのディフェンスを悉く躱しているのだ。

 

マキシ「なんだ!?ヤツらの動きが急に変わったぞ!?」

 

ドラゴ「まだこんな力を隠し持ってたのかよ!!?」

 

 予想を遥かに超えるイナズマジャパンの実力に驚きを隠せないリトルギガントだが、たった1人だけ侍達の力の源を察した者が居た。

 

 それは…

 

ロココ(マモルだ…!マモルの勢いがそのままチームの勢いになってるんだ…!)

 

 円堂大介の愛弟子あるロココは、侍達の勢いの正体が円堂によって齎された物であると察知していた。

 

 …いや、正確には()()()()()()()()()と言った方が正しい。

 以前から師より円堂の勢いはそのままチームの勢いとなる事は聞いていた。

 

 だが、まさかここまで大きな波を引き寄せるとは夢にも思っていなかった。

 

ロココ(恐るべし…!エンドウ・マモル…!!)

 

大介「気圧されるなッ!ロココッ!!!稲魂の小僧が来とるぞッ!!!」

 

ロココ「ーー!!!」

 

 円堂の気迫に気圧された僅かな一瞬。最後の記憶では豪炎寺が持っていたボールが“怪物”・稲魂雷牙へと移されている。

 

雷牙「……」

 

 ボールを持つ“怪物”の表情は不気味な程に無表情だ。

 

 まるで……。

 

 心の底から湧き上がる感情を抑え込んでいるように。

 

ロココ(コレは…!まさか…!!)

 

 ロココの全神経に悪感が走った瞬間、加えて強大なプレッシャーが彼に襲い掛かる。

 

 その発信源となるのは……当然、目の前の“怪物”からだ。

 

雷牙「“獅風迅雷……。究極兆限界突破(ビフォアー・ホライゾン)”…!!!」

 

 その気迫(プレッシャー)は、限界を超えた先にある“地平線(ホライゾン)へ至った証。

 

雷牙「どうした“小さな巨人”…?まさかこの俺に怖気付いてるなんて言わねェよなァ…?」

 

ロココ「…怖気付く?勘違いしないで欲しいな…。この震えは“武者震い”だよ!!!」

 

雷牙「ハッ…!なら安心した…。恐怖で萎縮した子鹿を喰らっても味気ねェからなァァァァ!!!!」

 

 刹那、フィールドに白金の稲妻が轟き、漆黒の旋風が吹き荒れる。

 

雷牙「受け止め切れるモンなら、受けてみなァァァァ!!!!コレが俺の全力じゃぁぁぁぁいッ!!!!!」

 

 稲妻は“白金の雷神”に、旋風は“漆黒の風神”へと姿を変え、その屈強な右腕・左腕を大きく振り被る。

 

雷牙「“ザ・MONSTERS GB(ゴー・ビヨンド)ォォォォ”!!!!」

 

 雷神の右拳、風神の左拳…そして“怪物”の両脚がボールを捉え、全体重を乗せた渾身のシュートが叩き込まれる。

 

 白黒二色の弾丸と化したシュートは、軌跡上に白金の鉱物と漆黒の羽毛を生み出しロココへ襲い掛かる……

 

ロココ「嬉しいよ!!それが君の全力なんだねッ!!!なら僕も…“タマシイ・ザーー」

 

 ()()()()

 

ドヒュンッ!!!

 

ロココ「なッ……!!?」

 

 ロココが“タマシイ・ザ・ハンド”を炸裂させようとした瞬間、タイミングを見計らったかのように弾丸は天に向かって直角に曲がった。

 

雷牙「なーんなァ!!!こーんな楽しい試合なんだぜェ!?昂る感情を燃料にしてちゃあ勿体ねェにも程があるってモンだぜッ!!!!!」

 

ロココ「今のは(ブラフ)か…!!!」

 

 まんまと“怪物”の演技に引っ掛かったロココは即座に空を見上げる。

 

 煌びやかな白黒の弾丸が主役(シュート)ではなく脇役(パス)となってまで繋ぎたかった相手…。その正体がそこにあるのだから。

 

雷牙「ハッ!!この雷牙サマがココまでお膳立てしてやったんだ!!後はおまかせヒカリゴケだぜェ…!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヒロトォォォォ!!!!」

 

 天に煌めくのは“紅の彗星”。

 

 その身に神秘さすら感じる紫のオーラを宿した“彗星”は、ゴールに向かって渾身のシュートを天空(そら)から落とす。

 

ヒロト「“天空…!落としィィィ”!!!」

 

 この土壇場で完成させた基山ヒロトの新たな必殺シュートは、その軌道上に宇宙を映しゴール一点に目掛けて飛ぶ。

 

ロココ「ココで新必殺技だとッ!!?クッ…!もう“タマシイ・ザ・ハンド”は間に合わない…!それなら…!!“爆ゴッドハンドXゥゥゥゥ”!!!!」

 

 完全に不意を突かれたロココは、苦肉の策で神の御手で受け止めようとするが、瞬く間に御手に亀裂が入り始める。

 

ロココ「なんだとっ!!!?」

 

 妥協の必殺技とはいえ、“ゴッドハンドX”はフィディオの化身シュートすら止めてみせる威力を誇る。

 にも関わらず、自慢の“ゴッドハンドX”は完全にノーマークであった基山ヒロト1人の手によって破られようとしている。

 

『ロココッ!!!』

 

ロココ「まだだァァァァ!!!!」

 

 だが、真のイナズマ挑戦者(チャレンジャー)は最後の最後まで決して諦めない。それが師からの教えだ。

 

ロココ「“未知なる巨人 エクスドリーム”!!!」

 

 紅の御手が崩壊した直後、化身を発動する事で更なる追撃が行われる。

 化身技を使わずとも、“巨人”の腕力は地球一。“ザ・MONSTERS”にシュートチェインした“天空落とし”でも“巨人”を撃ち破る事は叶わず、ロココに右手でボールが収まってしまった。

 

ヒロト「クッ…!これも止めてみせるか…!!」

 

ロココ「へへっ!そう簡単にゴールはやるもんかっ!!」

 

ピッ!ピッー!!!

 

 その瞬間、審判のホイッスルが二度(にたび)フィールドに鳴り響く。その音色が示すのはただ一つ…。

 

マクスター『ココで前半戦が終了ォォォ!!!両者アレだけ激しい攻撃を繰り広げながらも、前半戦はどちらもノースコアで終わってしまったぞォォォ!!!一体、後半戦はどうなってしまうのかァァァァ!!!?』

 

 激しい必殺技の応酬を繰り広げながらも、終ぞ得点は叶わずに前半戦を終えてしまった…。

 

 点を取っては取り返すシーソーゲームが当たり前であったこれまでの試合とは明らかに毛色の異なる試合展開に、観客達はかつてない高揚感を感じている。

 

 遂に折り返し地点に突入した最高の決勝戦…。互いに一歩も譲らない超激戦を制し、『世界一』の称号を得るのは果たしてどちらか?




そういや、マクスターの実況スタイルは王将との差別化の為に伸ばし棒を多用したスタイルにさせていたのですが、決勝戦は彼の興奮を表現する為に敢えて王将と同じスタイルにさせてます。

ちなみに解説役のマードックですが、一応彼も実況席に座ってはいます。てかこれまでの試合も居ました。ただ、作者がサッカーにそこまで詳しくないのと実況役はマクスター1人で十分という事情があった為、空気になってしまっているだけです。
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