イナズマイレブンHEROS!!!   作:月兎タンク

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実は今作のリトルギガントは戦神イナズマジャパンを意識して書いてます。ゴーシュの“ラストリゾート”とかが良い例ですね。
イタリア戦の際にも書いたけど、マジでアレオリの必殺技って国際色豊かだし、不用意にオリ技を増やしたくない時なんかは超便利なんですよね。
・・・アレ?そう考えたら、アレオリって神作品?



魂のGONGをかき鳴らせ!!!

 ……なァ、親父……。“あの時”の言葉は一体、どーゆー意味だったんだ?

 

雷牙&ライト『『最強の必殺技ァ…???』』

 

 俺はコレまで、アンタに依存しない程度の距離感を保ちながら“怪物”への道を歩いてきた。

 

雷牙『んで?どうやったら、その技を使えるようになるんだ?教えてくれよパピー』

 

ステラ『ーーーーー』

 

雷牙『んだよソレ!?』

 

 だけど、やっぱし分かんねェんだよ。どんだけ考えても、どんだけ悩んでもな。

 

ライト『ねェねェ!それじゃあボクたちがその“必殺技”を使えるようになれば、もっとサイキョーになれるかな?』

 

ステラ『ーーーーー』

 

 ……ハッ。多分、アンタがこの場に居れば悩みに悩む俺の顔を見て、鼻で笑い飛ばすんだろうな。

 

ステラ『ーーーーーーーーーーー』

 

 上等だよ…!!! オイ、親父。どーせ、今頃あの世とやらで最愛のお袋と一緒に見てんだろ?

 

 俺が完成させてやる。親父が夢見た“最強の必殺技”ってヤツをなァ…!!

 

 だからよ……

 

………

……

鬼道「…どうした稲魂?心のここに在らずといった様子だったが?」

 

雷牙「……俺に一つ策がある」

 

 俺達(イナズマジャパン)を世界のテッペンまで連れて行ってくれ。

 

♢♢♢

ピーッ!!!

 

 15分に及んだ短い休息時間(ハーフタイム)を終え、各チームの精鋭達は戦場へ帰還し、各々のポジションに着く。

 

ロココ「なッ…!?」

 

大介「なぬッ…!?」

 

ザワ…ザワ…

 

観客「な…なんだよ“アレ”…!?」

 

観客「正気か…??」

 

 しかし何故だろう?これまで幾度なくこの瞬間を目にしてきた者達は、突如として“何か”に度肝を抜かれ、騒めき始めている。

 

マクスター『な、な、な…!!なんという事だァァァァ!!!?』

 

 衝撃的な光景のあまり皆が言葉を失う中、世界中の視線を釘付けにしたのは、日の本の国より海を超えてやって来た最強の侍達(イナズマジャパン)…。

 

 それもその筈だ。何故なら……

 

マクスター『各選手のポジションが……!見事なまでに()()()()()()()()()()()ォォォォ!!!?』

 

 イナズマジャパンの陣形は、論理は元よりまるで知性すら感じられない程に出鱈目なフォーメーションなのだから。

 

 世界中の度肝を抜いた後半戦のメンバーは以下の通り。

 

FW:雷牙、壁山、吹雪

MF:染岡、熱也、豪炎寺

DF:虎丸、鬼道、不動、ヒロト

GK:円堂

 

 攻撃の要であるFW陣を後ろへ下げ、守備の要であるDF陣を前線に上げたイナズマジャパン…。自らの首を絞めるような選択をしてもなお、威風堂々と立つ姿は控えめに言っても異常である。

 

 その時だった……。

 

大介/ロココ((“彼”だ…!))

 

 冷静に現実を俯瞰していた両名の脳裏に同時によぎるのは“怪物”の名前…。

 

大介(根拠は無い…、証拠も無い…。じゃが…、儂の“直感”が告げておる…!!!)

 

ロココ(この自殺行為同然のフォーメーション…。それを考えたのは…!)

 

大介/ロココ((稲魂雷牙/イナタマ・ライガだ…!!!))

 

 巨人達の直感は何度も何度も、痛いくらいに目の前の『出鱈目』を創り出したのは“稲魂雷牙”であると告げる。

 

 そして……直感(それ)は大当たりだ。

 

鬼道(フッ…。この1年近くで俺も随分変わったものだな…)

 

………

……

 時はハーフタイムが半分を過ぎた頃にまで遡る。

 

風丸「…正気か?稲魂…」

 

雷牙「マジマジの本気(マジ)。いつだって、俺は大マジだぜ?」

 

 心ココに在らずといった調子から一転して、己の策を話し始めた雷牙に仲間はあまり良い顔をしていない。寧ろ、ドン引きしているまである。

 

 それ程までに“怪物”が導き出した最後の策は荒唐無稽にも程があるのだ。

 

鬼道「……」

 

 だが、鬼道だけは顎に手をやり“何か”を考え込んでいた。

 

不動「…おい鬼道クンよォ…。まさかアンタはクソライオンのカスみてぇな作戦に乗っかるとか言わねェよなァ?」

 

雷牙「おっとォ?普通に暴言を吐かれちゃったねェ。…まっ!カスでクソな自覚はあるし、言い返せねェんだけどな!!!」

 

染岡「その自覚はあんのかよ!?」

 

 雷牙が提案した策は2()()。1つは既にご存知の通り、円堂を除いた全てのフィールドプレイヤーのポジションシャッフル。

 

 しかし……、数分後に世界中を“混乱”に巻き込む事となる荒唐無稽極まりない策ですらも、彼にとっては()()()()()()

 

 “怪物”にとっては世界に齎す“混乱”ですらも通過点の一つでしかないのだ。

 

綱海「俺が言うのもなんだけどよー…。流石に稲魂の作戦はリスクが大き過ぎやしねぇか?」

 

 あの脅威の人格者と謳われた綱海ですらも、雷牙の作戦には簡単に賛成出来ない。というよりもチーム内で否定的な意見を言っていないのは本人を除けば、円堂・豪炎寺・鬼道、そして久遠の4名しか居ない。

 

円堂「う〜ん…」

 

豪炎寺「雷牙らしい…と言えば実にらしい策ではあるな」

 

鬼道「……」

 

 本来ならば、こんな荒唐無稽な策は放っておいて真面目な議論に花を咲かせるのが正しい時間の使い方なのだろう。

 だが、今この瞬間においてはそう簡単に雷牙の策を切り捨てる事も出来ない。何せ、正攻法でロココ・ウルパを破る事は絶対に不可能なのだから。

 

 そして……。

 

鬼道「…皆、聞いてくれ」

 

 遂に思案に耽り続けていた鬼道の口が開く。

 

鬼道「稲魂の提案……、俺は()()だ」

 

『……』

 

 鬼道の口から出た言葉はまさの『肯定』。しかし、チームメイトは彼の判断に驚く事はない。ノリと勢いでしか発言しない“怪物”とは異なり、鬼道には確固たる信頼があるのだ。

 

鬼道「今の俺達に必要なのは圧倒的な攻撃力(オフェンス)でも、堅固な防御力(ディフェンス)でもない。リトルギガントの想像を超えるサッカーだ」

 

 リトルギガントが行うサッカーは、伝説のサッカー選手(プレイヤー)・円堂大介の指導の元で徹底的に鍛え上げられた“王道のサッカー”だ。

 恐らく、“王道のサッカー”が至れる最高到達点こそがリトルギガントというチームなのだ。

 

鬼道「奴らの総合力は俺達より上だ。このまま真正面からぶつかり続ければ先に潰れるのは俺達が先だろうな」

 

不動「…それを覆すのが、クソライオンの作戦って訳か?」

 

鬼道「ああ。ハッキリ言おう、稲魂(こいつ)は馬鹿だ。それも世界一のな」

 

雷牙「そっかそっか〜!俺ちゃんは世界一のバカなのか〜!なんか照れるぜ〜///・・・ってオイ!!!!」

 

 自分の作戦を肯定したと思えば、突然愚弄された事に不満を抱いた雷牙は、ジト目で鬼道を睨み付けるが……

 

鬼道「だが……、稲魂が持つ、試合の裏に潜む可視化されていない要素を正確に嗅ぎ分ける“嗅覚”…。それだけは間違いなく本物だ」

 

雷牙「俺の“嗅覚”ゥ…?どゆこと?」

 

鬼道「稲魂、お前は稀に俺や監督の指示を無視して勝手にプレーする時があるな?それは何故だ?」

 

雷牙「あン?別に深い意味は無ェーよ。ただ俺の中の“本能”がそうしろって叫ぶから従ってるだけっての。・・・あっ」

 

鬼道「フッ、漸く気付いたか。“本能(それ)”こそが可視化されていない要素を確実に嗅ぎ分ける優れた嗅覚なんだ」

 

 思い返せば雷牙は基本的には司令塔の指示に従うが、稀に“何か”に取り憑かれたように自由気ままプレーする事が多々あった。

 今日まで本人を含め皆は、その要因を『稲魂雷牙』は超が付く程の自由人だからで片付けていたが、事実は大きく異なっていた。

 

 “怪物”は無意識のうちに嗅ぎ分け辿っていたのだ。人間には決して目にする事の出来ない『勝利』への道筋を。

 

鬼道「いいか?もうここまで来れば、まともな思考なんぞ何一つ当てにならんッ!!俺は稲魂の“嗅覚”に全てを賭けるッ!!」

 

音無「お、お兄ちゃん…」

 

 今の鬼道有人を見た者は口を揃えてこう言うだろう。『彼らしくない』…と。

 だが、不思議な事にこの場に居る誰もがそう思わなかった。初めからその思考すら過らなかった。

 

鬼道「…以上が俺の意見です。監督、最終決定権は貴方にあります。貴方の意見を聞かせてください」

 

雷牙「別に俺はどっちでも良ーすよ〜。この試合に限り、愉悦(たの)しければそれで良しッ!!」

 

風丸「身勝手だなぁ…」

 

久遠「……」

 

 最後の判断を任された久遠が口を開くのは、鬼道よりも遥かに早かった。もしかしたら彼は最初から答えを決めていたのかもしれない。

 

 自分を信じて付いて来てくれた教え子達を“世界一”に導く策を。

 

久遠「…センターバックに入れた豪炎寺をインサイドハーフに変えろ。そうすれば稲魂(お前)の夢にもう一歩近付く」

 

雷牙「ーー!!! それって…!!!」

 

久遠「世界一になるぞ。絶対に」

 

雷牙「……はい!!!!!」

 

 イナズマジャパンが誇る司令塔、そして名将が揃って“怪物”の策を肯定した以上、侍達に『荒唐無稽』を拒む理由などありやしない。

 

染岡「…ヘッ!鬼道と監督にここまで言われちゃしょうがねェ!!見せてやろうぜッ!!スカした巨人達に日本の底力をよォ!!!」

 

円堂「よーーし!!!それじゃあ、()()()()()()()()()()()!!!稲魂ステラが遺した……“最強の必殺技”をっ!!!!!」

 

『おうっ!!!!!』

 

……

………

 

雷牙「………」

 

 後半戦が始まる数十秒前。“怪物”は感慨深そうに周囲を見渡す。

 “怪物”の蒼い眼に映るのは、自分を信じてココまで付いて来てくれた最高の仲間達だ。

 

 時には衝突し、時には憎しみをぶつけ合った事もあったが、サッカーを通じて分かり合い、今では文字通り魂で繋がった自慢で大切な仲間だ。

 

雷牙「よっ!ほっ!はっ!」

 

 そんな仲間達に感謝を伝えるかのように、“怪物”は軽快なステップを刻み最後の準備運動(ウォーミングアップ)を行う。

 

マクスター『おおっとォォォォ!!!!イナタマ!後半戦(ココ)で本日初めての“イナタマステップ”だァァァァァ!!!!!』

 

 そのステップは科学的に正しい根拠など何一つ無い。

 

 それでも“怪物”には気にせずに今日も今日とてピッチの上でリズムを刻む。

 

 そのステップの一つ一つが、今日まで“怪物”の旅路を支え続けてきたのだから。

 

雷牙「…さァ!!!始めようぜ!!!俺達の……最後のサッカーをッ!!!」

 

『応ッ!!!!!』

 

ピッー!!!

 

 長きに渡った世界一の夢を賭けた大舞台を締め括る最後の決勝戦…。

 その後半戦の開始を告げる最後のホイッスルがフィールド全域に鳴り響く。




ちと早いですが今回はここまでです。
本当は今回から本格的に後半戦に入る予定だったんですけど、このままいくと2万字とか普通に超えそうだったのでキリのいい部分で終わらせました。次回から後半戦開始です。
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