だって、cv日野聡の大ボスの中身があんなデザインだと普通思わないじゃん。いや、序盤から妖精だとは言われてたけどさぁ…。
ワンダバード「起きてくださいマスター!“元の時代”に到着しましたよ!」
雷冥「…やっと着きましたか」
本部から支給されたタイムマシンに揺らされる事数時間。……時間を超えられるタイムマシンに数時間という表現は少しおかしいかもしれないが。
とにかくだ。父親との静かな親子喧嘩を終えた雷冥が本部を後にしてから体感時間で数時間…。彼は生まれ育った故郷へ久方ぶりに帰還した。
そう。円堂守とその仲間達が“イナズマ伝説”を打ち立ててから80年が経った未来だ。
雷冥「ん〜〜!!!」
バキバキバキッ!!!
バイクを思わせる形状のタイムマシンから降りた雷冥は、アイマスクを取り大きくけのびをすると、全身からおおよそ人の身体から出てはいけない音が周囲に木霊する。
ワンダキャット「いつ聞いてもうるさ…。マスターって本当に人間なの?」
雷冥「私は関節が鳴りやすい体質なだけですよ。…と言っても、肉体の構成割合が綿と機械で9:1である貴方達には理解出来ませんか」
タイムマシンが着陸した場所は、稲妻町の裏山にある人が寄り付かなそうな森の広場。
タイムスリップの技術が実用的な段階まで確立されたこの時代においても、タイムマシンはまだまだ
故に現地の平穏と技術流出を防ぐ為に、そう簡単にはおおぴっらにする事は出来ないという訳だ。
雷冥「バード。現在の日にちと時刻は?」
ワンダバード「21○◇年の◇※月○○日です。獣牙様の七回忌は明日ですね」
どうやら雷冥は万が一に備えてかなり早めに到着するようにタイムマシンのタイマーをセットしていたようだ。
遅刻こそせずとも、基本的に当日ギリギリまで準備をしないどこぞの曽祖父も見習って欲しいものだ。*1
ワンダバード「どうします?時間も空いていますし、久しぶりに夏未ひいお婆様にお会いに行きますか?よろしければ僕がアポを取っておきますよ!」
雷冥「…いや、流石の私も今回の密輸犯の確保に随分徹夜を重ねましたし、ひいお婆様への挨拶は明日に回しましょう。とりあえず今日は私の家に帰って早く寝るとしましょう」
如何に“伝説のイナズマイレブン”の一員であり敬愛する曽祖母であっても、10徹にも及ぶ激務から来る睡魔には勝てなかったようで、自宅への帰還を優先される。
ワンダバード「ラジャー!!!」
ワンダキャット「フワ〜…。ラジャー…」
今日の予定を決めた雷冥一向は、コンビニで弁当を買って帰路に着く。
雷冥「…この家に帰るのも久しぶりですね」
雷冥は既に実家を出て都内にあるマンションにて一人暮らしをしている。
…といっても、多忙な身である彼は基本的に捜査中は本部で寝泊まりしている為、帰る事は稀も稀だが。
ガチャ!
雷冥「ただいま帰りました。…といっても誰も居ませんがね」
数ヶ月ぶりの帰省となる自宅に主人の挨拶が虚しく鳴り響く。
彼の住むマンションの一室は、彼の太い実家からは想像も付かない、実に平凡な部屋だった。
室内に配置された家具は父の執務室と同様に必要最低限しか置かれていない。結局、どれだけ嫌悪していても、彼らは血の繋がった親子であるという事だろう。
ワンダキャット「久しぶりの帰省だってのにずいぶん綺麗じゃない?」
雷冥「雷紋お祖父様が掃除用ロボットを雇ってくださったからですね。ホラ、アソコで充電してますよ」
ワンダバード「マスターは整理整頓が苦手ですからねー」
雷冥「うるさいですよバード」
そんなこんなで久しぶりの安息の時を経た雷冥は、家族同然の
ワンダキャット「zzz…。zzz…」
ワンダバード「グー…。グー…」
夕食を食べ、入浴を済ませるとすぐに雷冥はベットに入り、ペット達も充電ケーブルをコンセントに繋ぎ
雷冥「・・・眠れない」
だが、あれだけ徹夜を重ね強烈な睡魔に襲われていた雷冥は不思議と眠る事が出来なかった。
眠くない訳じゃない。寧ろベットに入った事でより一層、肉体に溜まった疲労感を強く感じている。
雷冥「……コレはアレですか。疲労が溜まりすぎて逆に寝れなくなってるパターンですね…」
いっその事ここまで来れば10徹も11徹も変わらない気がするが、明日は母親の七回忌だ。大切な催しの最中に爆睡してしまうという事だけは何としても避けたい。
雷冥「……仕方ないですね」
眷属達を起こさないようにそっと起き上がった雷冥は、静かに寝室から退出しベランダへと移動した。
雷冥「この世界の社会情勢は不安定だというのに、相変わらずこの夜景は綺麗ですね…」
雷冥の視界いっぱいに広がるのは、高層ビルが所狭しと敷き詰められ、目が眩んでしまう程に強く光り輝く絶景の夜景。
20年程前、第三次技術革新を迎えた世界は、科学技術の水準を飛躍的に向上させた。その最たる結果がタイムマシンの開発だろう。
だが、光ある所に影あり。進化した科学技術は、ギリギリの綱渡りで保たれていた“平和”を容易く崩壊させ一時期世界は混乱に包まれた。
先人達の尽力により、世界の再編を行う事で再び平和を取り戻す事に成功したが、一部の発展途上国ではまだ悲惨な紛争が続いている。
そんな不安定な世界でも、日の本の夜景は今日も眩しいくらいに光り輝く。
雷冥(…そういえば、ヒビキ提督とその一派がタイムマシンの開発に注力しているという噂を耳にしましたね)
ヒビキ提督とはこの世界でも有数の権力者であり、王牙学園の理事長も務める軍人である。
どことなく“伝説のイナズマイレブン”の監督であった響木正剛と似ているが、彼と血縁関係があるかは未だに不明だ。
雷冥(根っからの軍人である彼の事です。この国の享楽主義の元凶はサッカーにあるとか言い出しかねませんし、この機会にヒビキ提督を
ヒビキ提督のサッカー嫌いは軍のみならず、世間でも有名だ。
一度、“サッカー禁止令”の法案を無理矢理通そうとした…と言えば、彼がどれだけサッカーを憎んでいるかがよく分かるだろう。
雷冥(ヒビキ提督の子飼いには、あのバダップ・スリードを隊長とする精鋭部隊もいる…。彼らが本気を出せば、私1人で対処するには少々
お分かりだろうか?雷冥の心の声には自分が“負ける可能性”などこれっぽっちも見られない。
それを魔王の“傲慢”と受け取るか、彼なりの“褒め言葉”と受け取るかは人それぞれだろう。
そんな思案に耽っている最中だった。突如、雷冥の後方から“何か”が落下した音が聞こえる。
音源の距離はおよそ2〜3m。少なくともバードかキャットが寝返りを打ってクッションから落ちた音ではない。
雷冥「…そうですか。貴方は早く寝ろと私に語りかけているのですね」
落下物の正体に気付いた雷冥は、ベランダから離れ床に落ちていた
写真立ての中に入っていた写真には、1人の女性が写されていた。
快晴の青空を思わせる美しい髪色に、満面の笑みを浮かべた女性だ。
一枚の写真から伝わってくる女性の雰囲気からは、どことなく曽祖父の面影を感じさせる。
雷冥「分かりましたよ。今日は貴方の言いつけに従って、大人しく寝るとします。また明日お会いしましょう。……ママ上」
彼女の名は
そして……
明日の七回忌の主役である。
写真立てを通して母の霊がおせっかいが焼いたと解釈した雷冥は、大人しくベットに戻り、目を瞑り、頭の中でカラスと白猫の数を数える事にする。
やや手こずったものの、カラスと白猫の合計が1000を超えたあたりでようやく雷冥の意識が深淵へと沈んだ。
だが…。
その日の彼の夢に出てきたのは、母親ではなく父親の姿であったという。
???「あっ!やっと来た!!おーーい、冥兄ーーっ!!!こっちだよーー!!!!」
母に捧げる花を携え、集合場所である曽祖母の屋敷へ辿り着いた雷冥を出迎えたのは、非常に聞き覚えのある少年の声だった。
雷冥は
雷冥「久しぶりですね。カノン」
カノン「うん!冥兄も久しぶり!!!」
少年の名は円堂カノン。姓からお分かりだと思うが、数々の功績を打ち立て一時代を築き上げた伝説のサッカー
雷冥「活躍はかねがね聞いてますよ。何でも、“新世代のホープ”として大層期待されてるそうで」
カノン「えへへ〜/// 冥兄にそう言われると照れちゃうな〜///」
曽祖母、祖父、父親、部下…。名門一家に生まれたが故に他者との会話中はどこか一線を引いている印象を受ける雷冥であるが、
それだけカノンの事を数少ない気を許せる相手であると信頼している証であろう。
雷冥「再会早々悪いですが。ひいお婆様達へ挨拶回りに行かなければならないので、ココらで失礼します。また後で会いましょう」
カノン「うん!!またね〜!!!」
謂わば七回忌の準主役である雷冥は、曽祖母と祖父を初めに母親の為に遠方から集まってくれた参加者に感謝の念を伝えるべく
…だが、そこに本来誰よりもこの場に居なくてはならない父親の姿は無かった。
……………
…………
………
……
…
カノン「ひと段落ついたね〜、冥兄〜」
雷冥「と言っても、ある意味コレからが本番ですがね」
一通りの用事を済ませた参加者達は、夏未の屋敷へと移動し、食事会の準備に勤しんでいた。
その中で、雷冥はカノンは敷地内に建設されたサッカーコートの付近にて座り駄弁り込んでいる。
カノン「それにしても稲魂家の法事って変わってるよね〜。料理なんてお料理ロボットに任せればいいのに、集まった一族全員で作るのが義務だなんて」
雷冥「雷牙ひいお祖父様の代からの伝統だそうです。生前の本人曰く『一緒に飯を作る事で団結力ってモンが爆上がりすんだよ』…との事です」
カノン「アハハ!!破天荒で有名な雷牙ひいじいちゃんらしいや!!」
雷冥は雷紋の子孫であり、カノンは銀牙の子孫である為、両者の間に血の繋がりはあるし、雷牙が曽祖父である事も共通だ。
にも関わらず、カノンの方に雷牙由来の大胆不敵な破天荒さが遺伝しなかったあたり、余程円堂家の遺伝子がちょうどいい感じに中和してくれたのだろう。*2
雷冥「…ですが、どうせ貴方の目的は獣牙ママ上ではなく、私とサッカーをする事でしょう?」
カノン「あれ?バレちゃった??」
雷冥「バレバレです。何処の時代に法事にスパイクを履いてくる馬鹿が居ますか。バレにくいように、黒く染めているのがムカつきますね」
カノン「ハハハ…」
前言撤回。どうやら祖先由来の破天荒さは同じく祖先由来のサッカーバカ加減に統合されていただけのようだ。
カノン「う〜ん…。正直に言えば、冥兄と久しぶりにサッカーをしたかったってのが五割。獣牙おばさんのことが気になったからってのが五割って感じかな?」
雷冥「ママ上の事を?」
カノン「だってそうじゃん?おばさんって円堂家から見ても、稲魂家から見ても、割と謎の多かった人なんでしょ?おばさんが死んじゃった時、オレはまだ6歳だったし、あんまり覚えてないんだよね」
雷冥「なるほど…」
無類のサッカーバカである従兄弟がまさかここまで母に興味を持っている事に雷冥は驚きを隠せない。
確かに母は一族全体で見ても一際“自由”な人間だったが、まさかカノンの曲線に触れるとは夢にも思っていなかったのだ。
雷冥「そうですね…。私が覚えている限り、彼女は一族でも輪をかけて“変人”でしたね」
カノン「・・・へ???」
雷冥「・・・ん?」
従兄弟の度肝を抜いたカノンだったが、雷冥の口から出た叔母の第一印象により今度はカノンが驚かされてしまう事となる。
別に叔母が変人であった事に驚いた訳じゃない。問題なのは変人と評したのが、大概癖の強い性格もとい個性を持っている雷冥である事に驚いたのだ。
今は理性で押さえ込んでいるが、素の性格は自らを“魔王”と評する程に傲慢極まりない彼が母親を“変人”だと評したのだ。他者見れば、どの口がほざく?以外の感想が浮かばない。
カノン「う、ううん!!そうかー獣牙おばさんはそんな人だったのかー(棒)」
雷冥「…ハァ…。もういいです、私も少し他人よりも変わっている自覚くらいはありますから」
カノン(少しどころじゃない気がするけど…)
カノンの反応の意味を察しつつも、大人として一旦不満を飲み込んだ雷冥は、母との昔話を続ける。
雷冥「ママ上も幼少期はひいお祖父様達と同様にサッカーが大好きだったようでしてね」
カノン「あっ、それは知ってる。けど、高校でサッカーを辞めちゃったんでしょ?色んな名門校からスカウトがきてたらしいのに」
雷冥「何でも型にハマるのが嫌だったようで、中学卒業と同時に世界中を旅してたとの事です」
カノン「わーお。慎重で真面目な雷紋大おじちゃんとはえらい違いだー」
曽祖父を思わせる大胆不敵な人生を歩んでいた叔母にカノンは別の意味で度肝を抜かれる。
その人生は彼女の父である雷紋とはまさに真逆。というよりも、博打上等、後は野となれ山となれな稲魂家に似つかわしくない気質をした雷紋が
雷冥「それで帰国後は様々な職を転々としていたそうでーー」
それからというもの、雷冥は栓が壊れた蛇口のように“稲魂獣牙”という人間が紡いだ
肉体年齢にして2歳年下の従兄弟に母親の叙事詩を語り続ける雷冥はとても誇らしげだ。
カノン「え、何??サーカス団で主役になった後に、稲妻町のお巡りさんになったの??その間の脈絡が無さすぎない???」
雷冥「事実だから仕方ありませんよ。私だって初めて聞いた時は耳を疑ったモノです」
時には自由にも程がある
カノン「あ〜!なるほど〜!!そこで冥兄のお父さんと出会ったんだね〜。……ヤベ」
雷冥「……すみませんカノン。
カノン「ご、ごめん……」
うっかり魔王の地雷を踏み掛けてしまい気まずい空気になりかけたり……
雷冥「……以上が彼女が歩んだ“歴史”です」
カノン「中々に中々な人生だったんだね…」
一筋縄ではいかなかったが、雷冥は自身が知る中で最高の“
カノン「…ありがとね冥兄。冥兄にとって辛い出来事もあったのに、オレに教えてくれて…」
雷冥「構いません。ママ上が生きていたという証さえあれが、彼女は永遠に私達の心に生き続けるのです。その為ならば、多少の苦痛くらいは我慢出来ますよ」
カノン「……へへへっ!そうかもねっ!!!」
雷冥の強がりの微笑みに対し、カノンは太陽のように明るい満面の笑顔で笑い返す。
これで彼の目標の“五割”は達成した。ならば、残りの“五割”を今ここで実行するだけだ。
カノン「よーーしっ!!!それじゃ冥兄!!オレとサッカーやろうよっ!!!サッカーが大好きだった獣牙おばさんも、オレたちの
雷冥「ハハハ。どうせ、最初から
カノン「いやったぁぁぁぁぁ!!!!!それじゃあ、着替えてくるからちょっと待っててねーー!!!」
ビュンッ!!!
尊敬するサッカー
雷冥「……」
1人になってしまった雷冥は、おもむろに立ち上がるとこの空き時間を使って“ある場所”へ向かう。
現在、雷冥が着ている喪服のスーツは彼の業務用スーツの同一の物…。というよりも彼は基本的にこのスーツしか着ない。
見た目はビジネススーツその物でも、伸縮性・機動性は並のスポーツウェアを遥かに超える機能を備えている為、彼は着替える必要は最初から無い。
雷冥「最低でも10分、最大で30分でしょうね…」
曽祖母が所有する屋敷はとにかく広い。幼少期から慣れ親しんでいる雷冥ならまだしも、そこまで回数を重ねていないカノンが真っ直ぐここまで戻って来れる訳がない。
恐らく、10分以上屋敷中を迷いまくった末に、使用人の
そう判断した雷冥は、母に捧げる従兄弟との
そう…。少し離れてすぐに帰って来る…。
雷冥「………!」(ピクッ!!)
母親の墓が目と鼻の先の地点へ到着した瞬間、突如として彼の顔は“法事の参加者”から“タイムエージェント”としての顔つきへと変わる。
何故なら、自らの進路上に突き刺さるように鋭い“殺気”が流れ込んでいたのだから。
雷冥「………」
ザッ!ザッ!ザッ!
ここまでの“殺気”は並大抵の人間が出せる代物ではない。常人ならば足がすくんで動けなくなってしまい程だ。
それでも雷冥は歩みを止めない。止める訳にはいかない。
雷冥「………猫騙しからの左ストレートですね……」
正体不明の悪漢が、一族の敷地を跨いでいる以上、エージェントとして捉える義務があるのだから。
一歩、また一歩、雷冥は歩みを進め“殺気”の発生源へと向かう。不思議な事に、進んで行く度に本来の目的地であった母親の墓碑に近付きながら。
そして……その時は来た。
雷冥「ココが誰の敷地か
???「………」
偶然か否か。“殺気”の発生源と本来の目的地は全く同じ場所であった。
“稲魂獣牙”の四文字が彫られた墓碑の前に立つのは、全身を漆黒の布地に真紅のラインが走ったローブで纏ったシンプルな不審者。
少なくとも雷冥の記憶にこんな低俗な
雷冥「一応の確認ですが、まさか火葬と仮装を間違えた狂人ではありませんよね?今日は法事であって葬式ではないのでマズあり得ませんが…」
一族直伝の小洒落たジョークで時間を稼ぐ中、雷冥は目の前の不審者を分析する。
身長はおよそ180後半から190前半程…。ローブの隙間から僅かに見える腕や脚は常人以上に太く、仮装パーティーと間違えた狂人の線は一瞬で消える。
雷冥「警告です。今すぐそこから離れなさい。私には貴方を拘束する権利と相応の実力があります。少なくとも…貴方の腕一本へし折ったくらいで罪には問われませんよ」
淡々とタイムエージェントとしての警告を告げる雷冥だが、内心では今にも“理性の仮面”が剥がれそうだ。
それ程までに悪人が母の墓碑の前に立つという行為は、魔王にとっての最大の地雷なのだ。
???「稲魂……雷冥……」
雷冥「………」
不審者が己の名を呼んだ事で、雷冥の警戒心は一気にMAXとなる。
“稲魂雷冥”の名を知っている事、その声が不自然な程に電子染みている事、そしてなによりその立ち姿が明らかに戦闘慣れしている事……。
タイムエージェントとしての本能が告げる。目の前の男は間違いなく違法トラベラー及び時空犯罪者である…と。
???「おめでとう。貴様は選ばれた」
雷冥「何……?」
『選ばれた』…確かに目の前の不審者はそう言った。
だが、雷冥からしてみれば、他者に選ばれるような事をした覚えはない。黒ローブの不審者相手はもっとだ。
???「選ばれし貴様を招待しよう…。私が作り上げた究極の“楽園”に…!!!」
謎の不審者が行ったのは軽く指を鳴らす…。ただそれだけ。何か異常があるとしたら、その音色は不気味な程に無機質的であった事くらいか。
しかし……
雷冥「なッ…!?コ、コレは…!!?」
突如として、雷冥と不審者以外の景色が歪み始める。
雷冥「貴様ァァァァァ!!!!!」
遂に“理性の仮面”が完全に剥がれ落ち、魔王としての人格が表出した雷冥は、その背に“魔皇”を顕現させローブの男へ襲い掛かろうとするが……
???「貴様では私には勝てんよ…。この“
雷冥「ガッ…!!?め、目が…!!」
超新星爆発を思わせる凄まじい閃光によって魔王の眼が絡んでしまう。
???「ようこそ…。私の“楽園”へ…!!!」
その日…。稲魂雷冥は全ての次元から姿を消した。
突如雷冥の前に現れた“グランドファーザー”なる不審者…!その正体は一体、どんなK・Rなんだ…!!?