イナズマイレブンHEROS!!!   作:月兎タンク

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お久しぶりです、月兎タンクです。
何の前置きもなく1週間も本小説を非公開にしてしまい本当に申し訳ありませんでした。

非公開にしていた理由としましては、ここ最近作品の評価を気にするあまり、執筆自体が苦痛となり、精神的にかなり大きな負担が掛かっていた事が原因でした。特に総合評価が赤バーからオレンジバーになってしまったショックがデカかったです。

流石に日常生活にまで影響を及ぼすのはマズいと考え、しばらく執筆活動を中断しようとしましたが、どうしても日常生活と執筆活動を切り離す事ができずにやむを得ず非公開にさせていただきました。

正直、最初はこのままひっそり引退する事も考えましたが、1週間休息を取った結果、やはり小説を書きたいという想いは消えなかった為、活動を継続する事に決めました。

それでも作者はメンタルが弱い為、これからもストレスが我慢の限界を迎える度に活動報告や前書きで愚痴る事が多々あると思いますが、せめてイナヒロ完結までは頑張ろうと思います。

最後に大変身勝手なお願いとなりますが、高評価やお気に入り登録、感想などをいただけますと非常に励みになります。皆様からの反応が執筆を続ける何よりの支えとなっておりますので、応援していただけますと幸いです。


熱戦と激戦と超激戦と PARTⅣ

雷冥「後悔するなよ?貴様は叩き起こしてしまったのだからな。最強にして最凶の……眠れる獅子をッ!!!!!」

 

シンフォニー「貴様の方こそ、後悔と共に思い知るがいいッ!!! そのまま永久に眠り呆けていた方が幸せであったとなぁ!!!!!」

 

ピィー!!!

 

 試合再開を告げる審判のホイッスルが、静寂を破ってピッチに響き渡る。

 【サンダーゲート】のキックオフ。ソーショットは一瞬の迷いもなくバックパスを選択し、後方のシンフォニーへとボールを預けた。

 

ーーーその直後……。

 

 荘厳なる鎧を纏い、圧倒的な圧迫感を放っていたシンフォニーの姿が、唐突に視界から消失する。

 彼が立っていた筈の芝生は深さ数十センチに渡って強烈に抉り取られており、僅か一歩の踏み込みにどれほど爆発的な脚力が込められていたかを雄弁に物語っていた。

 

イダテン「消えた……っ!?」

 

ジャック「違う……ッ!野郎のスピードがオレ達の反応速度を超えたんだ……!!」

 

バード「どうだ、キャット!?わかってると思うけど、僕の両目(カメラ)じゃ捉えきれなかった!」

 

キャット「・・・流石に、アタシでもムリ」

 

 並外れた動体視力を持つジャックをはじめ、両目に超高性能な光学センサーが搭載されているバード達ですら、その残像すら捉えることができない次元の超スピード。

 

 化身アームドを発動したシンフォニーの身体能力は、もはや生物の領域を完全に逸脱しており、その暴威の前に、敵味方の区別なく誰もが置き去りにされ、思考を凍り付かせる。

 

ーーーだが……

 

雷冥「・・・そこだッ!!!」

 

 静かに、だが熾烈に蒼き火焔を滾らせる“魔王”だけは、視覚を超えた知覚でシンフォニーの軌跡を正確に捕捉していた。

 “至高の領域”へ到達した事で、同じく生物の領域を逸脱していた“魔王”もまた、悪魔的な踏み込みで、その刹那の進路へ完璧に立ちはだかる。

 

ーーーズガァァァァァン!!!!!

 

 ピッチ全域を激震させる大爆発のような轟音が、スタジアムの天蓋を揺るがして響き渡った。

 

シンフォニー「初速(これ)に付いて来れるか……イナタマ・ライメイッ!!!」

 

雷冥「……今の私からすれば、()()()()()()()()()など地面に這いつくばるナメクジも同じだ」

 

 その言葉は決して強がりなどではない。

 今の雷冥の眼には、シンフォニーの超絶的なスピードすら文字通り『スローモーション』に映っているのだ。

 

 ……いや、彼だけではない。

 息をのむイダテンの表情、悔しげに歯噛みするジャック、冷や汗を流すバード、あくびを噛み殺すキャットーーーピッチ上のあらゆる事象、世界の時間の流れそのものが極限まで引き伸ばされ、濃密に圧縮されていた。

 

 これこそが、“至高の領域(ゾーン)”……もとい、“獅風迅雷・超限界突破(オーバーオーバーリミテッド)”の真価。

 

 極限まで高められた集中力により、思考を挟む間もなく『肉体が最適な解へ勝手に連動する』メカニズムを構築。

 それにより、あらゆる迷いや雑念を排し、最小限の予備動作で絶大なるパフォーマンスを発揮する……まさに洗練の極みに至った究極の奥義だ。

 

シンフォニー「ハァァァァァ……!!!!!」

 

雷冥「セイヤァァァァァ!!!!!」

 

 目の前で繰り広げられるのは、もはやサッカーの次元を超越した壮絶なる死闘。

 互いに『ボールの争奪』という目的が存在する事で辛うじてサッカーの体裁を保っているものの、姿なき闘争者達により、砂煙を砕き散らし、刈り取られた芝が宙を舞う、その光景は某有名バトル漫画並みの戦闘シーンそのものであった。

 

イダテン「……もしかして、ライメイの正体って別世界の宇宙人なのかな……?」

 

ジャック「……お前って、本っっっ当に大事(シリアス)なところで空気が読めないよな……」

 

 イダテンの天然にと程がある場違いな発言に、呆れ顔で頭を抱えるジャック。だが、そんな荒唐無稽な感想を抱いてしまうのも無理はない。それ程までに目の前の攻防は、異次元の代物であった。

 

 精鋭クラスの選手であれば、姿が見えずとも音の反響やピッチを裂く突風の軌跡から、二人の位置を辛うじて把握する事はできる。

 だが、認識できたところで肉体がその速度にまったく追いつかない。

 

 つんざくような激突音と衝撃波を感じ取った時には、既に二人は遥か別の地点へと移動し、次の打撃を交差させているのだから。

 

イダテン「あっ!見て!2人の姿が見えたよっ!!!」

 

 固唾を呑んで激闘の行方を見守っていた面々の視界に、遂にこの勝負の主役達がその姿を顕わす。

 だが、蒼髪の“魔王”の背後には、化身とは異なる、体表に禍々しい紋章を浮かべた紫の魔人が圧倒的な存在感を以て降臨していた。

 

雷冥「リベリオン……!」

 

シンフォニー「オリンポス……」

 

 雷冥の背後で咆哮を上げる魔人が凶悪な拳を振り上げ、対するシンフォニーの背後には、眩い神聖な光を放つ巨大な神殿が出現する。

 

雷冥「クラッシャァァァァァ!!!!!」

シンフォニー「ハーモニーッッッ!!!!!」

 

ーーーズババーンッ!!!!!

 

 先手を取ったのは“魔王”であった。

 魔人の振り下ろした凶悪な拳が、神聖なる大理石の神殿を跡形もなく粉砕する。

 しかし、砕け散る神殿から解き放たれた極大の聖光が、邪悪なる“魔”の存在を一瞬にして呑み込み、蒸発させた。

 

 相打つ二つの必殺の威力が完全に相殺され、衝撃波と共に互いの技が霧散していく。

 

雷冥「クッ!」

 

シンフォニー「グヌゥ……!!」

 

グリム『またしても白黒付かずーーッ!!!どちらも一歩も譲らない激しい攻防戦ッ!!手に汗握る名勝負とはまさにこの事だーーッ!!!』

 

 試合時間は、既に後半戦の残り5分を切っていた。

 一見すれば完全に拮抗しているように思えるこの攻防。……しかし、真に追い詰められつつあるのは雷冥の方であった。

 

 戦いの中で、シンフォニーは『化身アームド』の力に驚異的な速度で適応し始めている。

 時間が経過するごとにその出力と精度は増していき、ギリギリのところで水平に保たれていた天秤は刻一刻と傾き始めていた。

 

 今この瞬間、雷冥がなおシンフォニーと対等に渡り合えているのは、熟練のタイムエージェントとして修羅場を潜り抜けてきた『経験値』と『戦術眼』が、地力の差を埋めているに過ぎない。

 

 このまま同じ展開続けば、敗北するのは間違いなく雷冥であった。

 

ーーーだが。

 

シンフォニー(何だ……?この()()()()()()()()()()()()()()()()()……!?)

 

 既に技量や経験値でのカバーなど不可能な領域まで追い詰めている筈ーーーであった。

 ……しかし、目の前の“勝利”に近付けば近付く程、シンフォニーの精神は正体不明の“焦燥感”に襲われていく。

 

 その“焦燥感”の元凶は、当然目の前の“魔王”ーーー稲魂雷冥にあった。

 既に実力の天秤は完全にこちら側へ傾いている筈なのだ。しかし、追い詰められた筈の雷冥の動きは、この土壇場へ来てもなお、一層の洗練を極め始めていた。

 

ーーー『もしや貴様も適応し始めたのか?』

 

 一瞬、そんな思考が脳裏をよぎる。しかし、雷冥の放つ一撃の重さは単なる技の進化や上達とは明らかに異なっていた。

 それどころか、先ほどイダテンやジャックと対峙した際に覚えた『目に見えない異物に強引に引き摺り込まれる』あの不可思議な感覚に極めて酷似していたのだ。

 

 更に異様なのは、その肉体。

 雷冥の全身からは、気とはまったく質の異なる、過剰なまでの“()()()()()()”が絶え間なく吐き出されていた。

 

 当初は“超限界突破”の副作用かとも推測した。だが、雷冥の表情に刻まれた確かな疲労と、異常なまでに引き上げられていく謎の出力は、明らかに矛盾している。

 つまりこの異常事態はーーー雷冥自身にとっても意図しない、未知の現象に他ならなかった。

 

 そして何よりも……

 

雷冥「ハァァァ……!!!デェリャァァァァァ!!!!!」

 

 溢れ出る“熱気”の温度が跳ね上がっていくにつれ、雷冥の全身を覆う蒼きオーラ、そしてその蒼髪の一部が煌めく『銀色』へと侵食されていく。

 

シンフォニー(何なのだ、この物理的な熱さは……!?ライメイが発動した形態とは、このような変化が使用者に齎されるものなのか……!?)

 

雷冥「隙ありィッ!!!!」

 

シンフォニー「ウグッ!?しまった……!」

 

 思考の隙を突いた雷冥の一閃が、ついにシンフォニーの反応速度を凌駕する。

 完全に不意を突かれたシンフォニーは耐えきれずに大きく吹き飛ばされ、足元に保持していたボールは無情にもピッチ上へ転がり出た。

 

イダテン「シンフォニーの足からボールが離れたっ!!」

 

ジャック「最大のチャンスだッ!ここで一気に突き放せェェェ!!!」

 

シンフォニー「クッ……!そうはさせるかぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」

 

 敗北の深淵を前に、強者の誇りが牙を剥く。

 残された全オーラを脚部へと一気に暴走させたシンフォニーは、一時的に雷冥の超スピードすら上回る爆発力でピッチを疾走し、間一髪でボールを奪い返してみせた。

 

グリム『何とかボールの奪取に成功したシンフォニー選手ッ!……ですが、今ので全ての力を使い果たしたかァ!?既にシンフォニー選手は疲労困憊といった様子だーーッ!!!』

 

シンフォニー(クソッ……!今ので体力が大きく削られた……!!このままでは化身アームドを維持する事すらままならん……!!!)

 

ミスティープ「シンフォニーッ!残り時間は1分ッ!!何として追加点を取って延長戦まで持ち込むんだッ!!!」

 

 現在のスコアは【王魔雷帝】が2点、【サンダーゲート】が1点。

 【王魔雷帝】がリードしてはいるものの、この土壇場で同点に追いつかれれば、それまでの死闘はすべて無意味と化す。

 

 元より傷だらけの状態で“獅風迅雷・超限界突破”を強行展開した雷冥は、規定の後半戦が終了した時点でデュプリを維持できる体力が残っていないのは明白。

 もし同点で延長戦に突入し、デュプリが消滅してしまえば人数不足で試合続行不能ーーーすなわち【サンダーゲート】の不戦勝が決定してしまうのだ。

 

 故に【王魔雷帝】、そして雷冥はこの1分間、絶対に失点を許されない。

 

シンフォニー(もうライメイを抜き去り、ペナルティエリア内まで移動する体力は残っていない……!!・・・ならば、私に残された選択肢は“これ”のみ……!!!)

 

雷冥(あの顔……。残り時間と体力からして、次の一撃に全てを賭ける気か……。・・・だが、自分でも不思議なくらい『敗北』の二文字が一切頭に浮かばんッッ!!!)

 

 全ての決着を付けるべく、あえて距離を取るシンフォニー。対する雷冥は、蒼炎のオーラを揺らめかせながら不敵な笑みを深める。

 

シンフォニー「これで……最後だぁぁぁぁぁ!!!!!イナタマ・ライメイィィィィィィ!!!!!!」

 

雷冥「来ォい!シンフォニーッッッ!!!貴様の誇り……そして、命を懸けてかかってこいッ!!!!!!」

 

 真っ向からの挑発に応ずるように、シンフォニーもまたその口元に酷薄な笑みを浮かべた。

 右手の指で『輪』を作り、口元へと添えるーーー次の瞬間、息を大きく吹き込むと、静寂を切り裂いて響き渡る透き通った口笛(オーケストラ)が領域全体に鳴り響く。

 

ピィィィィィ!!!!!

 

 静寂を切り裂らき口笛(オーケストラ)が鳴り響いた瞬間……“偽り”の天を割り、眩い神聖な光と共に荘厳なる装飾を纏った皇帝(ペンギン)が姿を現す。

 

 現世に降臨せしは、絶対なる絶対無比の存在。シンフォニーは残された全ての気をボールへ注ぎ込み、魂を穿つ渾身の一蹴を解き放った…!

 

シンフォニー「“神ッ!!!皇帝ペンギン……!R(レクイエム)”ッッッ!!!!!!」

 

 遂に“神”の領域へと到達した皇帝ペンギンは、もはや飛行船と見紛うばかりの超絶的な巨体と質量を誇り、眼前に立ちはだかる『魔の王』ごとピッチを崩落させんばかりの勢いでゴールへと襲い掛かる。

 

ジャック「バカデケェ!!? あの野郎……!オレ達ごと潰す気かッ!!?」

 

イダテン「ライメイっ!おれたちも加勢するよっ!!!」

 

バード「ダメですッ!皆さんッ!!!」

 

イダテン「っ……!?どうして止めるんだよ、バードっ!?」

 

キャット「…今回ばかりは、お兄が正しい。アタシを含めて、ココに居る誰が加勢したって、マスターの脚を引っ張るだけ。負けたくなきゃ、ココで指を咥えて見ているしかない」

 

イダテン「でも……っ!」

 

キャット「・・・それに、マスターは小細工抜きで受けて立つみたいだし」

 

 ニヤリと口角を上げたキャットが視線を送る先ーー雷冥は迫り来る“皇帝(ペンギン)”の巨躯を前に、全身のオーラを激しく過熱させていた。

 

雷冥「………」

 

スッ…

 

 おもむろに右手を口元へ添え、指で象った『輪』を咥え込む。

 そしてーー前方に居座る絶望を切り裂くように、一気に息を吹き込んだ。

 

ピィィィィィ!!!!!

 

 ピッチを振るわせる“魔王”の口笛(オーケストラ)

 その高らかな音色に応ずるように、雷冥の足元を中心に禍々しい漆黒の魔法陣が展開される。

 

 陣の底から解き放たれたのは、邪悪な形相を浮かべた6羽の悪魔(ペンギン)達であった。

 

 黒きミサイルの如き軌道で宙を舞う6羽は、互いに交差し、1羽……また1羽と融合を重ねていく。そして地獄の底より現世に解き放たれたのは、巨大なる1羽の暴虐な悪魔(ペンギン)であった。

 

 巨大な悪魔をその背に背負い、“魔王”は単身で迫り来る皇帝(ペンギン)の巨躯へと躍り出る。

 宙で交錯する一瞬ーー雷冥は一切の躊躇なく、神聖なるペンギンが繰り出したボールへと強靭な右脚を叩きつけた…!

 

雷冥「“ペンギン・ザ……デーモン”ッッッ!!!!!!」

 

 悪魔(ペンギン)の体躯は、神の如き皇帝(ペンギン)と比せば二回り程小柄であった。

 だが、その身に秘めた凶暴性と負の質量は、遥かにそれを凌駕している。

 

 漆黒の悪魔は一切の怯みもなく、禍々しく尖り切った(くちばし)皇帝(ペンギン)の喉元へと喰らいつく。

 対する皇帝(ペンギン)もまた、神聖なる威光を放ちながら、牙を剥く悍しい悪魔を粉砕せんと反撃の体勢へと移った。

 

雷冥「グッ……!!ヌオォォォォォ!!!!!」

 

 しかし、シンフォニーが自らの全存在とエネルギーを爆発させた皇帝(ペンギン)の質量はあまりにも強大であった。

 内に秘めた凶暴性で肉薄した悪魔(ペンギン)すらも強引に押し返し、じわじわと雷冥の体躯を押し潰さんばかりに呑み込んでいく。

 

シンフォニー「無駄だぁ!!!この一撃は、私の“全て”を注ぎ込んだ究極のペンギン……!どれだけ限界を破ろうとも……!!撃ち返す事など絶対に不可能だッ!!!」

 

雷冥「ーーーか……?」

 

シンフォニー「何……?」

 

雷冥「貴様は……何を背負って戦っているか、と聞いたのだ……!!」

 

 押し潰されそうな激突の只中、“魔王”が投げかけた問いにシンフォニーは眉をひそめる。

 質問の意味が解らないのではない。この土壇場、命を削り合う死闘の最中に、何故そのような青臭い問答を投げかけてくるのか……その意図が理解出来なかったのだ。

 

シンフォニー「愚問だなッ!!!何を背負って戦うだと!?そんな事は決まっているッ!!全ては我が偉大なる主君・“GF”の為ッ!!!私の存在意義はそこにあるッ!!!」

 

雷冥「・・・そうか。ならば貴様は……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

永遠に私に勝つ事は出来んな」

 

 刹那、呑み込まれる寸前であった“魔王”の圧力が、再現無き底力をもって極限まで膨張する。

 それに呼応するかのように、これまで薄く揺らめくだけであった白銀のオーラが蒼きオーラを激しく侵食し、重なり合っていく。青髪もまた鮮烈な銀色へと染まり上げ、ピッチ全域を異次元の熱量が圧迫し始めた。

 

シンフォニー「馬鹿な……ッ!?馬鹿な馬鹿な馬鹿な馬鹿な馬鹿な馬鹿な馬鹿な、馬鹿なッ!!?? 貴様はとうの昔に限界を迎えていた筈……!!!?」

 

雷冥「私に……!稲魂一族に……!限界などあるものか……!!!私は……貴様よりも“大きなモノ”を背負っているのだから……!!!」

 

シンフォニー「何……ッ!!??」

 

雷冥「まだ()()()()()()……!?私の背中を押す……友たちからの“追い風(声援)”が……ッ!!!」

 

 好敵手の叫びに促されるように、シンフォニーは思わず耳を澄ませる。

 悪魔(ペンギン)皇帝(ペンギン)が火花散らす激突の渦中、ピッチ全体を振動させる轟音の嵐……。

 

 しかし、その暴風を貫き、激闘の渦中へ届く“声”があった。太陽のように熱く、力強く、響き渡る絆の鼓動が……!

 

バード「その程度で()を上げてどうするんですかマスターッ!!!貴方の未来は……貴方自身に掛かっているんですよッ!!!」

 

キャット「アタシがよく知るマスターなら……こんな所で諦めない筈。・・・だから、絶対に負けないで」

 

ジャック「オイコラ、ライメイッ!テメェ、手ェ抜いてんじゃねェだろうなァ!?テメェは“奈落(アンダー)”最強のオレ様に勝った男なんだ!もっと根性出しやがれッ!!!」

 

イダテン「……ライメイ、正直言って、おれはきみのことを深くは知らない……。・・・けど!きっとライメイなら……どんな絶望だって、絶対に……なんとかなるさっ!!!!!

 

 心の底から信頼を寄せる仲間たちの声援は、いつだって挫けかけた背中を力強く押し出してくれるのだ。

 

雷冥「ヌゥオオオオオオオオッ!!!!!!」

 

 雷冥の咆哮と共に、それまで点滅を繰り返していた『白銀』が完全にその姿を現し、“魔王”の瞳は、金剛石の如き硬質な煌めきを纏う。

 

 その瞬間ーーー絶体絶命の劣勢を強いられていた悪魔(ペンギン)が、突如として猛然と押し返し始める……!

 拮抗を破る鋭い破壊音が響き、大威勢を誇っていた皇帝(ペンギン)の嘴へ、一筋の亀裂が走り抜けた。

 

シンフォニー「な、何……ッ!!??」

 

雷冥「コレで終わりだァァァァァ!!!!!“ペンギン・ザ・デーモン……!NX(ネクストリーム)”ゥゥゥゥゥゥ!!!!!!」

 

 理屈や論理を超えた“不合理”とも呼べる未知の力への驚愕が、シンフォニーに致命的すぎる一瞬の隙を生む。

 コンマ一秒にも満たないその刹那を逃さず、雷冥は全身から溢れるエネルギーを爆発的に解放し、悪魔ペンギンへと注ぎ込んだ。

 

 白銀の濁流を呑み込んだ悪魔(ペンギン)は爆発的に巨大化を遂げ、遂には“神”の領域へ至った皇帝(ペンギン)をも遥かに凌駕する超絶的な巨体へと変貌する……!

 

雷冥「ハァァァァァァァァッ!!!!!!!!」

 

 白銀を纏う悪魔(ペンギン)は、その凶暴な大顎で皇帝(ペンギン)を一瞬にして噛み砕き、呑み込んでいく。

 大元の概念を粉砕されたボールは、漆黒と白銀の衝撃波と共にシンフォニー側へと完全に撃ち返された。

 

シンフォニー「ク……ッ!?ウ、ウオォォォォォォ!!!!!!」

 

 我に返ったシンフォニーは、眼前に迫る弾丸を撃ち返さんと即座に脚を振り抜こうとする。……だが、脚が、動かない。

 それもその筈であった。彼の持てる全てのエネルギーは、先ほどの“神 皇帝ペンギンR”の発動によって最後の一滴まで絞り尽くされていたのだ。

 

シンフォニー「う…!ウグワァアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!????」

 

 身動きすら取れぬまま、無慈悲に押し寄せる白銀と漆黒の波動。最後の抵抗の権利すら奪われたシンフォニーは、直撃の衝撃にその身を砕かれ、遥か後方へと吹き飛ばされた。

 

 被弾の凄まじさを物語るようにその身を纏っていた鎧は粉々に砕け散り、彼はピッチ上に倒れ伏したまま、ピクリとも動かなくなった。

 

 宿敵を破ってもなお、狂暴な悪魔(ペンギン)は次の獲物をゴールと見定め、猛烈な速度で空気を切り裂きながら突き進む。

 最後の砦たる守護神・チャイードは、最後まで己のプライドを貫き通すべく、残された全オーラを両手へ集束させて立ちはだかろうとする……が。

 

パチンッ!

 

 唐突に響き渡った一声の指鳴り(スナップ)

 その直後ーー軌道を歪められた白黒のシュートはゴールから大きく逸れ、背後のスタジアム外壁へと激突。豪快に壁面を崩壊させながら、爆煙の中でその勢いを止めた。

 

チャイード「何が起こった……?」

 

ミスティープ「まさか……貴様か……?イナタマ……ライメイ……」

 

雷冥「・・・生憎、私は貴様らと違って、敗者を痛ぶる趣味は無いのでな」

 

ピッ!ピッ!ピィーーーッ!!!

 

 外壁の崩壊と同時に、再開を待つ事なく即座に響き渡る三声の笛。激闘の終焉を告げる長いホイッスルがスタジアムの空気を振るわせた。

 

 死闘を終えたピッチに広がるのは、まさに十人十色の光景であった。歓喜の叫びをあげる者、敗北を喫しながらも晴れ晴れとした不条理な充足感に戸惑う者。

 抱く感情はそれぞれ異なれど、雷冥は側で倒れ伏すシンフォニーを一度だけ見下ろすと、静かに口を開いた。

 

雷冥「・・・あっぱれだ、シンフォニーよ。私は生涯、貴様という誇り高き戦士を忘れる事はないだろう」

 

 そう言葉を紡ぎ終えた瞬間ーーー雷冥の全身を包み込んでいた蒼と銀のオーラが、嵐の去った後のように急速に霧散していく。

 極限状態から解放された途端、濁流のように強烈な疲労感が全身を襲い、膝の力を失った雷冥はそのまま弱々しくピッチの上へと尻餅をついたのだった。

最近、新章から台本形式をやめて普通の形式に戻そうかなーって考え始めたんで、参考がてらにアンケートを取ります。投票期間は現在連載中のスピンオフ完結までを予定してます。

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