読者の皆様ッ!!ここまでお付き合いいただきありがとうございました!!!
ピッ!ピッ! ピィーーッ!!!
グリム『試合終了ォォォォォ!!!!!苛烈な死闘の末に、勝利を……!そして……未来を掴み取ったのはァ……!!!我らが【天魔革命軍】だァァァァァーーーッッッ!!!!!』
三度のホイッスルが鳴り渡った刹那、熱狂する実況グリムの声も、ベンチも、観客席も、広大なサッカーコートも……“狂気に堕ちた神”と対峙した幻想の全てが眩い光の粒子となって霧散していく。
そして、静寂の中で元の崩壊した神殿へと姿を戻っていった。
イダテン「勝った……?おれたちが……勝ったの……?」
雷牙1「……ああ、そうみてーだなァ……」
ゆっくりと勝利の実感を噛み締める戦士達であったが、そこに歓喜の大喝采が湧き起こる事はなかった。
あまりにも絶大な“マインドイーター”の存在、そして狂気に堕ちた神を前に繰り広げられた死闘の凄惨さを思えば、胸を占めるのは勝利の歓び以上に、ただ無事に生き残れた事への深い安堵が勝っていたのだ。
シンフォニー「そ、そうだ……!“マインドイーター”はどうなったのだ……ッ!?まさか……このまま我らの世界を侵略する気では……!」
キャット「……いや、
ジャック「あン……?どういう事だ?」
バード「ーー!!! 皆さん!空を見てください……!」
バードの声に促され、戦士たちは一斉に頭上へと視線を向ける。そこには……。
ーー『・・・・・』
時空の裂け目から僅かに顔を覗かせていた“マインドイーター”は、力尽き無様に地面に倒れ伏す影山へ向けて理解不能な未知の音節を呟くと、何事もなかったかのように静かに姿を消していく。
天地を歪ませていた次元の亀裂もまた、瞬く間に修復され、青空の彼方へと跡形もなく消え去っていった。
シンフォニー「“マインドイーター”が……消えた……!?」
雷冥「……恐らく、影山が敗北した事で私の肉体を乗っ取る事は不可能だと悟り、同盟関係から手を引いたのだろう。破壊の神とはいえ、最低限の判断力はあったという訳だ」
そう淡々と結論づける雷冥であったが、彼とて“マインドイーター”の意図を正確に推し量れている訳ではない。そもそも、破壊神の思考など解明する気すらなかった。
それは、ただのいちエージェントによる推測に過ぎない。ーーーしかし、あるいは人間達の示した不屈の意志が上位存在の予想を上回り、この世界も捨てたものではないと証明してみせた……のかもしれない。
すると、上位存在が去った天空の虚無と入れ替わるように……
ーーヒュウウウウン!!!!!
ジャック「オイオイ……。お次は何だよ……」
無数の戦闘機や巨大な飛行船群が、まるで水面を透過するかのように次元の壁を突き破り、崩壊した居城の全周囲を瞬く間に埋め尽くしていく。
戦士達は“GF”に続く新たな敵の襲撃かと一瞬身構えるが、飛来した飛行物体の独特なフォルムと、その側面に刻まれた見覚えのある紋章を目にした事で、すぐにその警戒を解いた。
雷冥「……そう身構える必要はない。彼らは……我々の
イダテン「味方……?ーー!!! ってことは……!」
イダテンの理解とほぼ同時に、上空に静止した大型戦闘機から完全武装した兵士達が次々と旋回降下し、力尽きた影山を包囲するように統制された動きで降り立っていく。
「こちら鎮圧部隊第1班。ターゲット・影山零治の包囲を完了」
降下した部隊の隊員たちは、満身創痍となり動く事すら叶わない影山に対し、万全を期すべく重厚な金属製の拘束具を瞬時に装着させ、その身動きを完全に封じ込めていく。
シンフォニー「一体……何が起こっているというのだ……?」
雷冥「………」
???「驚かせてしまって、申し訳ない。影山零治は時空犯罪者であると認定された。後の始末は我々に任せて欲しい」
目まぐるしく変化する事態に大半の戦士達が困惑を深める中、その目前に姿を現したのは、どことなく雷冥と似た途轍もない威厳を漂わせる一人の男であった。
雷冥「……コレは中々珍しい光景だな。時空管理局のトップが自ら現場へ赴くなど、滅多にお目にかかれるものではない。……なあ、No.777よ」
No.777「肉体はこの上なくボロボロのようだが、上司へ向かって悪質な皮肉を叩き付ける余裕はあるようだな、No.66」
その男の名は、コードNo.777。時空管理局の頂点に君臨しながらも、今回の『No.66捜索チーム』の総指揮を執り、そして……稲魂雷冥の実の父でもある男であった。
雷冥「何故、ココまで早くこの世界へ突入出来た?私の予想では、どんなに早くても2ヶ月は掛かると踏んでいたが……」
No.777「……No.10の協力を得れたのだよ。彼女が影山が展開した妨害電波を無力化させたお陰で、稲魂雷牙達を先に送り込む事が出来た。……まあ、多少、手痛い出費を伴ったがな」
雷冥「あのジャジャ馬娘が……?にわかには信じられんな……」
雷冥はNo.10が力を貸したという事実が、“マインドイーター”の降臨よりも信じ難いといった様子を見せるが、眼前に立つNo.777と鎮圧部隊の存在こそが何よりの動かぬ証拠であった。
一先ず危険が去った事を確認した雷冥は、“魔王”の人格を解除すると、疲弊した身体を押して静かに立ち上がる。
シンフォニー「……ライメイよ。これから……“GF”ーーいや、カゲヤマ・レイジはどうなるのだ……?」
雷冥「……ヤツは並行世界の侵略を企てた時空犯罪者です。恐らく……死刑などでは生温い、“生き地獄”とも言うべき極刑が待っているでしょう」
シンフォニー「……そうか……」
これから影山に訪れるであろう無情な結末を理解したシンフォニーであったが、その表情には言葉にし難い陰りが落ちていた。
無論、彼とて影山が犯した罪の重さが、この世界の法で裁ける規模を超えている事くらいは十分に理解している。
……それでも、今日まで自分を造り育ててくれた男であるという事実は、どれほど時を重ねようとも消し去れるものではなかった。
雷牙2「……元気を出せよ、神dーー間違えた……シンフォニー!アイツはオマエさんの“父親”ではあったかもしんねェけど、“親父”ではなかったんだ。あんなクソ野郎は、早めに忘れるに限る」
雷冥「祖先2殿の言う通りです。コレから、この世界がどのような統治形態になるかは分かりませんが、貴方はその中心に立つ資格を持つ人間なのです。“GF”という暴君を反面教師にして、世界をより良いモノにしていけばいい」
シンフォニー「……ありがとう。別世界の友たちよ……」
“ “GF”が植え付けた狂気という名の大樹は、根源たる男が去ったからといってすぐさま枯れ果てる訳ではない。
この歪んだ世界が真の意味での平穏を取り戻すまでには、果てしない年月と多大な苦難を要する筈だろう。
……だが、シンフォニーならば必ずや人々を導く優れた統治者となれる。少なくとも、雷冥はそう確信していた。
……その
???「ククク……!
“時空を超えた絆”の前に完全敗北し、今や自らの狂気の“奴隷”と成り果てた哀れな悪魔が、シンフォニーの描く未来を執念深く否定する。
雷牙1「チッ……。この期に及んでも、まだ減らず口を叩く余裕があるってか。嫌だねェ、どれだけ歳を食おうが、こんな老害にだけはなりたくねェモンだ」
雷冥「安心してください、ひいお祖父様。ヤツには既に指一本動かす力すら残っていない筈です。所詮は負け犬の遠吠え……いや、それ以下の吐瀉物です。好きなだけ吐かせてあげましょう」
浅からぬ因縁を結んだシンフォニーを除き、もはや狂気に落ちた老害でしかない影山に対し、同情の目を向ける者は誰一人として存在しなかった。
彼に待ち受ける運命は、永遠の“絶望”のみ。自ら大切なものを全て捨て去った哀れな狂人の言の葉など、どのような呪詛を並べ立てられようと、今更心を揺さぶられる者などいる筈がなかった。
……だが。
影山「ククク……!フハハハハハッッッ!!!!!私が負け犬だとッ!?大きな勘違いをしているなぁ!!稲魂雷冥ィ!!!私は
雷冥「………」
影山「教えてやる……ッ!!此度の苦戦は、天が気まぐれに貴様らに味方をし、天は私を見放した……ただそれだけだッ!!!」
雷冥「項羽ですか、貴方は……」
影山「そしてェ……!!裁きを下すのは時空管理局などではない……ッ!!!」
雷冥「ーーッ!!! まさか……!!皆さんッ!!今すぐ影山から離れてくださいッ!!!!!」
狂人が目論む“最後の悪足掻き”の真意を察知した雷冥は、傷ついた声帯を振り絞り、周囲の全員へ退避を叫ぶ。
影山「私に裁きを下すのは……!他ならぬ
刹那、影山の全身から、もはや見慣れた禍々しい薄紅色の閃光が溢れ出し……
ーーズドォォォォォン!!!!!
周囲の空間ごと圧殺するような大爆発を引き起こすと、狂人はその肉体もろとも、跡形もなく消滅し、文字通りこの世から姿を消した。
No.777「自爆か……ッ!いや……目眩しをして逃げた可能性もある……ッ!!鎮圧チーム!直ちに影山零治の生命エネルギーを追跡せよッ!!!」
『ハッ!!!』
No.777は影山が自爆に見せかけて脱出した可能性を疑い、部下達へ即座に周囲の捜索を命じる。
しかし、直前まで影山零治という男の執念に直面していた戦士達には、彼が生き延びているなどとは到底思えなかった。
雷牙1「……ココまでクソ老害ムーブをかましてた影山だがよォ……。今の一瞬だけは、俺らがよく知る“影山零治”に見えたのは、俺ちゃんだけかい?」
雷冥「……もしかすると……。最後の最後で、再び“己”を取り戻し、そして“己”を貫いたまま逝った……のかもしれませんね」
一体何故、彼らの前に現れた影山零治が“GF”という名の狂気に骨の髄まで侵されてしまったのか、今となってはその真相を知る者は誰一人として存在しない。
……だが、雷冥は信じたかった。暗闇の中でしか生きられなかった哀しき男が、死の淵の僅かな瞬間にだけは、確かな“光”を抱く事が出来たのだと。
イダテン「これで……全てが終わったんだね……」
全ての元凶たる影山零治の陰謀は阻止され、時空管理局の救援部隊も無事に到着した。
ならば、この過酷な旅路を共に歩んできた雷冥とイダテン達に待ち受ける結末は、ただ一つ……。
イダテン「……ねぇ、ライメイ……。やっぱり、きみは元の世界に帰っちゃうん、だよね……」
雷冥「……ええ、無理矢理この世界に招かれたとはいえ、なさねばならない使命を果たした以上、私は己の帰るべき場所へ戻らねばなりません」
『別れ』ーーーただそれのみ。
それは、影山の野望を阻止し、平和を取り戻した以上、絶対に避けては通れない必然の結末であった。
イダテン「そっか……。そうだよね……っ!」
ポチャン……
雷冥「イダテン殿……」
『別れ』が避けられない運命である事を理解したイダテンの両目からは、大粒の涙がとめどなく溢れ落ちていく。
イダテン「嫌だよ……っ!!きみと……お別れしたく、ないよ……っ!!せっかく……!きみと友達になれた、ってのに……!」
雷冥がこの世界に滞在した期間は、僅か一週間程度……。
その歩みも決して満ち足りたものではなく、過酷な苦難の連続であったが、この短い日々の中で二人の間には間違いなく切っても切れない“友情”が芽生えていた。
雷冥「……失礼。そういえば、
イダテン「え……?」
雷冥「バード、コチラへ」
バード「は、はいッ!!!」
バードを呼び寄せた雷冥は、イダテンがポケットしまっていた“ある物”を手際よく抜き取ると、戸惑うバードへと手渡す。
それは……
イダテン「おれの……ペンダント……?」
まだ幼子であったイダテンが実の両親より託され、この地で真の姿を取り戻した“両親の形見”であった。
雷冥「貴方が言ったのでしょう?自分の実の名前を知るのは、“全て”が終わった後だ、と……。……今が“その時”です」
刹那、バードの両目から淡い青白の光線がペンダントへと照射され、内部に記録されていたデータがホログラムとなって空中に投影される。
イダテン「うわぁ……!これって……!」
浮かび上がった光のモニターに映し出されていたのは、生まれたばかりの息子の姿であった。
時折画面に覗く両親の温もりある表情には、愛おしい我が子への偽りない“情愛”が満ち溢れていた。
すると……画面の片隅に新たな記録が浮かび上がる。
イダテン「……これは……手紙……?」
思い出の写真群で満たされたデータの中に、ひとつだけ異彩を放つ記録が遺されていた。
それはデータの中でも最も日付が新しく、末尾に遺された……愛する息子へ宛てた母親からの最初で最後の
イダテン「マズったな……。おれは機械いじりは得意だけど、文字は読めないんだよね……」
満足な教育環境すら存在しない“
……だが、不幸中の幸いというべきか。幸いにもこの世界で用いられている言語体系は、雷冥の故郷の言葉とさほど大きな差異はなかった。
雷冥は静かに微笑むと、友が何よりも待ち望んでいた言葉をそっと口にする。
雷冥「イダテン殿。その手紙の末尾には、貴方の両親が名付けてくれた本名が記載されています」
イダテン「やっぱり……!ねぇ、ライメイっ!!教えて……!おれの……本当の名前を……っ!!!」
雷冥「……いいでしょう。貴方の『真名』……それは、私の故郷の国では『
“
イダテン「テンマ……!それがおれの本当の名前かぁ……!」
少年は何度も己の真の名を口に噛み締める。
過酷な“
奇しくもその名は……雷冥の故郷において、かつて銀河を救い英雄と謳われた存在と同じ名であった。
ポロ……
イダテン「あ、あれ……?おかしい、な……?今のおれは……探し求めてたものがようやく手に入って、うれしいはずなのに……。また涙が止まらなくなってる……」
少年の瞳から再び溢れ出した涙は、先程までの寂しさによるものではなく、胸の奥から湧き上がる誇らしさと温もりによるものであった。
仮初の名前しか持たなかった少年は、今この瞬間に亡き両親の愛と、かけがえのない親友からの祝福を受け、真の“
雷冥「……忘れないでください、イダテン……いや、テンマ殿。例え離れ離れになろうとも、私はこの名を、そして貴方という英雄と過ごした日々を永遠に忘れません」
イダテン「うん……! おれも絶対に忘れない……! ライメイ……おれの最高の友達……ッ!」
ーーパシッ!!!
互いに言葉を交わし、力強くハイタッチを交わす二人。
少年達の“友情”が真に結ばれた瞬間を見届けた者たちは、この温かな時間がいつまでも続いてほしいと、誰もが心の中で祈っていた。
……だが無情にも、あらゆる物語には必ず“終焉”の刻が訪れる。この一刻とて例外ではなかった。
No.777「……No.66。帰還命令だ。影山零治の捜索は後続部隊が引き継ぐ。お前は直ちに本部へ戻り、負傷の治療に専念しろ」
雷冥「……承知しました」
命令を静かに受け入れ、頭を下げた雷冥は、今度こそイダテン達と別れを告げ、待機していた飛行船へと歩みを進める。
すると……。
雷牙2「……待てよ、雷冥。ちょっち話がある」
感情を押し殺して去ろうとする雷冥……そして、
雷牙2「……俺は、オマエさんと孫娘の婿の間に何があったかは知らねェけどよォ。オマエも一度……憎しみも偏見も無くして、親父と向き合ってみてもいいんじゃねェかァ?」
雷冥「……残念ですが、私は既に何度も父と向き合おうと試みました。ですが……先に目を背けたのは、父の方です」
雷牙2が己を気にかけてくれている理由は、重々理解していた。だが、雷冥とて初めから向き合う事を諦め、拒絶の壁を築いた訳ではない。
自身に出来る限りの歩み寄りを重ねた末に、無情にも拒絶し離れていったのは父親の側であったのだ。
雷牙2「オマエさんの気持ちはよく分かる。俺の実の父親も……とんでもねェクソ野郎だったかんなァ」
雷冥「なら……ッ!」
雷牙2「……けど、長い月日が流れてからようやく理解したよ。悪意の権化みたいに見えたアイツも、
雷冥「ッ……!」
雷牙3「雷牙2だけじゃねェぜ?双子の
雷牙1「ちょっと……俺ちゃんだけ、蚊帳の外なのはシンプルにムカつくんですけど……」
雷冥は純粋に困惑した。
記録の上では、単純な残虐性だけで言えば影山すらをも凌駕するであろう曾祖父の父を、その息子は既に受け入れ、理解に達していたのだから。
父親との間に深い隔たりを抱える雷冥にとって、それは俄かには信じがたい事実であった。
だが……各時代を生き抜いてきた曾祖父が、こうして自分の背中を温かく押してくれている。ここまで示されてしまえば、もはや拒む理由はどこにもなかった。
最後にもう一度だけ……仮にその結果がこれまでと変わらず、徒労に終わるのだとしても。
今度こそ完全に縁を断ち切るという覚悟を胸に、雷冥はこれまでの“憎しみ”も“過去の呪縛”も捨て去り、初めてひとりの人間として実の父親と向き合う事を決意する。
そしてその歩みは……父親たるNo.777にとっても、避けては通れぬ自らとの対峙でもあった。
雷冥「No.777……」
No.777「……今回のお前の度を越した独断専行は、すでに上層部の知るところとなっている。治療が終わり次第、山のような始末書を書かされる羽目になると思え」
雷冥「まったく……。心身共に疲弊していたとはいえ、己の暴走を否定するつもりはありませんが……相変わらず、ただ“職務”にのみ忠誠を捧げた、無血のお方だ」
No.777「当然だ。組織の長たる者が目の前の規律違反を見過ごしては、全体の風紀に関わる。如何にお前が優れたエージェントであろうと例外はない。……だがーーー
……
雷冥「ーー!!! 今……何と……?」
No.777「……私は同じ事を二度も反復するのは好きじゃない」
それだけ言い捨てると、No.777は気まずそうに視線を背け、口を閉ざしてしまう。
これまでの雷冥であれば、その頑なな態度に諦念と失望を重ねていただろう。……しかし、今の雷冥の口元には、不思議と穏やかな微風のような笑みが浮かんでいた。
ほんの僅かで、あまりにも不器用な一歩。
それでも……永きに渡り二人を隔てていた深い溝が、確かに一つ埋まった瞬間であった。
雷牙1「しゃあッ!!!なんか、丸く収まった事だし、そろそろ
雷牙2「ハッ!!一番乗りは俺だッ!!!鈴鹿サーキットで鍛えた、動体視力を舐めんなよッ!?」
雷牙3「オーオー、若いヤツらは元気なこった。アラフォーの年寄りは、ガキと一緒に帰るとしようかねェ。よっこいせっと!!」
バード「うわぁ!?きゅ、急に抱えないでくださいよ、雷牙サマ!……そもそも!僕らは自力で歩けますから〜!」
キャット「おお……!この広い背中……!なんか、ものすっごく落ち着く……!」
雷冥の決意を見届けた異時代からの助っ人たちは、賑やかに掛け合いを交わしながら次々と飛行船へと乗り込み、その姿を消していく。
ジャック「なんつーか……出会いから別れまで、嵐みてーなヤツらだったなァ……」
シンフォニー「……いや、寧ろ、嵐のような存在だったからこそ、“GF”に打ち勝てたのだろう。まさに……この世界を支配する“狂気”を吹き飛ばす、革命の嵐だ」
“現地民”と“異邦人”を隔てる境界線。その中央に取り残されるように佇むのは、“魔王”と“ペガサス”であった。
イダテン「……ライメイ。もう……おれはきみに『行かないで』とは言わない。……ただ、またいつか……おれたちは会えるよね……?」
雷冥「……古き英雄は言いました。『諦めさえしなければ、いつの日か必ず“願い”は叶う』と。イダテン殿、貴方ならば、きっといつか私の前に現れる事を……
期待してます」
かつて“母親”から贈られた温かな言葉を異世界にて出会った友へ継承し、雷冥もまた、颯爽と船へと乗り込む。
ーーブオォォォォン!!!!!
重厚なエンジン音を響かせながら天空へと飛び立つ船を、見えなくなるまで最後まで見送っていた“ペガサス”は……小さく言葉を溢す。
イダテン「本当にありがとう……!ライメイ……っ!!!」
いつ訪れるかも知れぬ“どこかの未来”にて、かけがえのない親友と再び巡り合える事を、心から祈りながら。
♢♢♢
こうして……ある日突然訪れた、時空を超えた冒険は終わりを告げた。
私自身は……狂人の理不尽に巻き込まれたイチ“被害者”でしかないが……同時によりよい学びを得た事も事実です。
この世界の大半は……きっと、説明の付かない“不合理”で構成されているのだろう。
ーー「オッスー!皆の衆〜。人気者の雷牙さんが帰って来たぜ〜」
ーー「おっ!今日はちゃんと部活に来たな、雷牙!!それじゃ、早速PK戦やろうぜ!!!」
そんな“不合理”か基準だからこそ、どの世界でも“犯罪”がなくならなければ、“戦争”だって簡単には終わらない。
ーー「お久しぶりです!先生!!突然、稲妻町に来るなんて、いったいどんな風の吹き回しですか?」
ーー「……いんや、ちぃ〜とばかし、愛弟子の顔を見たくなってな」
……ですが、“不合理”に塗れているからこそ、人間は人間なんだと思います。
ーー「ただいま〜。愛しのパピー様が帰って来ましたよ〜っと」
ーー「父さま〜!聞いてくださいよ〜!!コイツが今日も学校で〜!」
ーー「お帰りパピー。お兄の説教はテキトーに聞き流して、買ってきたお土産ちょーだい」
“合理”だけでは人の心までを動かす事は難しい。
時には言葉に出来ない“感情”をぶつけ合って……人と人は互いに成長し、繋がっていくんです。
???「zzz……。zzz……」
きっとそれが……亡きママ上が私に伝えたかった事なのでしょうね。
雷冥「……以上が、今回の旅で得た教訓です。・・・聞いているのですか?
カノン「んがっ!?き、聞いてる聞いてるっ!!!」
まったく……。カノンの刺激にもなると思って、
カノン「い、いや〜!確かに冥兄の話は面白いんだけどね!?結構、話長めだから、せめて、バードとキャットとの解説動画風の授業形式にしてくれた方がありがたいな〜って……思ったり思ってなかったり〜……」
雷冥「生憎ですが、バードとキャットは“ヒューマノイドモード”の負荷による副作用でダウンしている為、現在はメンテナンス中です」
カノン「そ、そんな〜!ガックシ……」
雷冥「OK!それでは、もう一度1から説明して差し上げましょう!そう……それは、時空窃盗団との戦闘を終えた直後ーーー」
カノン「座学はもうゴリゴリだ〜〜〜!!!!」
……まあ、“不合理”すぎるのも考えもの……なのかもしれませんね。
fin.
【次章予告】
「俺たちがーーーーっ!!!!」
「世界一だァァァァァァ!!!!!!」
激闘の果てに世界一の座に登り詰めたイナズマジャパン。
それぞれの学園に戻った代表選手達はいつも通りの日常に戻り、各々の青春を謳歌していた。
………筈だった。
「ハロー!旧世界の皆さ〜ん!相変わらずクソほどムカつく顔ぶればっかだね〜!」
「この気……!この気配……!テメェはあの時の……!」
突如、未来から来訪した狂気の
「オ〜♪旧人類の割にやるじゃ〜ん!オレもほんのちょっぴり本気を出しちゃったよ〜!」
「クソッ……タレが……ッ!!!」
世界の頂に立ってもなお、悠然も聳え立つ200年の壁。
更に……
「俺の名はガルシャア!誇り高き“ツキガミの一族”を率いる最強の戦士だ!!!」
「僕の名前はヴァンフェニー・ヴァンプ。気高き血統“ヴァンプティム”の当主さ」
「REONの為に……。そして……最愛の弟達を取り戻す為に……!私があなた達を倒す……!」
次々とイナズマイレブンの前に立ちはだかる未来からの刺客達。
だが……希望の炎は消えちゃいない。
「あなたは私にとっての最後の“希望”……」
「光栄に思うがよい叛逆者共、貴様らは“
「お久しぶりです稲魂雷牙、お元気でしたか?」
時空を超え、雷門イレブンの元に集いし最高の仲間達。
そして……!!!
「貴様……。何者だ……?」
「「さァてねェ、オレ自身もイマイチ、自分が何者なのかは分かんねェや…。ただ一つ確かなのは……テメェをぶっ倒すモンだってくらいだよッ!!!!」」
過去・現在・未来の絆が繋がる時、最強の戦士が誕生する……!
「「おっと!コッから先は瞬き厳禁だぜ?ボヤボヤしてっと見逃しちまうからよォ!!!」」
「「その程度?もっと僕に出させてよ……。本気ってヤツを」」
時空を超えた旅路の果てに、サッカーを愛する者達は何を見る?
「さァ、REON!!決着を付けようぜッ!!!」
「さァ、始めようか……
これは絶望に抗う者達の物語。
イナズマイレブンHEROS!!! Re:クロノストーン篇
近日公開
その手で未来を掴み取れ。