イナズマイレブンHEROS!!!   作:月兎タンク

240 / 250
新☆章☆開☆幕!
はい、今話からイナヒロ第四章こと『Re:クロノストーン篇』の開始です!
ちなみにRe:クロノストーン篇の『Re』とはリメイクの意ではなく、Re:ストーリーのような2周目というニュアンスとなってます。何故、2週目なのかは本編を読み進めれば分かると思います。
スピンオフ同様、これまでの章以上に独自色の強い作風とはなりますが、どうかお付き合いください!


Re:クロノストーン篇
世界一の『イナズマ世代』……解散の危機!?


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CHARACTER SELECT

▶︎繝ャ繧ェ繝シ繝阪�繧カ繝ウ繝€繝シ

 ???

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《繝ャ繧ェ繝シ繝阪�繧カ繝ウ繝€繝シ side》

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ピッ!ピッ!ピッィィィィィ!!!!!

 

実況『試合終了ォォォ!!!激戦の末に最終決戦(ラグナロク)を制したのは……!!我らが【クロノストーム】だァァァァァ!!!!!』

 

 あ〜あ……。ま〜た、この“夢”かァ〜☆ マジでいい加減にしてくんないかなァ?もう見飽きたっての。

 

天馬「勝った……!俺たちが……サッカーを守ったんだ……っ!!」

 

SARU「馬鹿な……ッ!?新人類である僕が……人間に負けた、だと……ッ!?」

 

 Oh〜!久しぶりだねェ、SARUよ!新世界の王となる資格を持ちながらも、人の身に堕ちた“裸の王様”よ〜。そして、かつての我が皇帝(ツァーリー)!!

 

メイア「……ええ、確かに負けたわ……。けど、とっても楽しかった……」

 

ギリス「SSCといっても、根底はあれだけ忌み嫌っていた人間と“同じ”……って事か……」

 

 メイアとギリスも久しぶり〜。甘ったるいくらいのラブラブっぷりはお変わりなく。末永く毎秒間隔で爆発しな。

 

SARU「結局……僕達が本当に求めていたのは、“世界”ではなく“仲間”だったんだね……」

 

 ブラボ〜!グッド!トレビア〜ン!死闘の果てに超能力者(ミュータント)達が“本当に求めていたモノ”を再確認する……!う〜ん!涙なしには見られない、感動の名シーンだねェ!!!

 

 そしてそして〜?そうそうたるメンツの最後(トリ)を飾るのは〜〜〜???

 

???「ふざ……ッ!!!けるなァァァァァァ!!!!!!」

 

 そう、“オレ”さ。模造品でも、複製品でもない……正真正銘のね。

 

 ヤッホー、か(・)つ(・)て(・)の(・)“オレ”よ。そんなに顔を歪ませてどうしたんだい?せっかくのイケてる色男が台無しじゃないか?

 

SARU「REON……」

 

REON?「オレはオマエを信じていたんだぞ、SARUッ!!?オマエならば……こんな腐った世界を作り直せるって……!それなのに……たった一度負けたくらいで諦めるっていうのかッ!!??」

 

 ……やっぱ嫌なモンは嫌だねェ。一番トンガってた頃の“自分”を見るってのは。

 『認めたくないモノだな、若さ故の過ちは』って気分だよ〜。

 

SARU「確かに僕も、クロノストームと戦う前はそう思ってた……!けど、違ったんだッ!!僕達が本当に欲しかった物は……ずっと、近くにあったんだ……」

 

REON?「認められるか……ッ!認めてたまるか……ッ!!!こんな“終わり”なんて……!認められるワケがないだろォォォォォ!!!!!」

 

ーーバシュゥゥゥゥゥ!!!!!

 

天馬「うわぁ!?」

 

サカマキ「い、いかん……ッ!!案の定、暴走しよった……!狙撃部隊ッ!!今すぐ奴にワクチンを打ち込めェ!!!」

 

 ハァ〜……本当に大人って汚いよね〜、ラグナロクの勝敗がどうなろうと、エルドラドの連中はオレ達を無力化させるつもりだったんだからさァ。まァ、その魂胆は最初からバレバレだったワケだけど。

 

 コレだから、“大人”ってのは大っ嫌いなんだよ。

 

REON?「チッ……!もういいッ!!ココは一旦引いてやる……ッ!!!だが、覚えていろよ……ッ!オレは必ず世界に復讐を果たす……ッ!!!例え……何年、何十年、何百年……ッ!!途方もない時間がかかったとしてもだ……ッ!!!」

 

SARU「待ってくれッ!!REONッ!!!」

 

ーー「……ON!ーーて!」

 

 おっと、時間のようだ。名残惜しいけど、“過去のオレ”とはそろそろお別れのようだね〜☆

 

 ……だ〜け〜ど〜!

 

 喜べ、“過去のオレ”よ。キミの望みはもうじき叶う。

 

REON「フワ〜……よく寝た〜……♪それで?キミが起こしに来たってコトは、もう全員集まった感じ?……フラン」

 

フラン「ええ。ガルシャアもヴァンファニーも……みんな集まっているわ……」

 

REON「そっか、そっか☆ それじゃあ、早速・出発・超特急〜♪レッツらゴーゴー!!!」

 

 さァ、始めようか?旧人類、未来人、そして……SSCよ。

 

 あらゆる時代に生きた全ての生命へ捧げるーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーー100年前(ラグナロク)の復讐を。

 

 

 

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CHARACTER SELECT

▶︎INATAMA・RAIGA

 ???

 ???

 ???

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《No side》

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 サッカーの楽園・ライオコット島に聳え立つ、タイタニックスタジアム。

 少年サッカー世界一の座を賭けた夢の大舞台ーーそこには、全世界の視線を集める二人の少年が居た。

 

雷牙『まだ試合は終わってねェんだよォォォォォォ!!!!!!』

 

 一人。数多の悲劇に見舞われながらも、“己”を貫き通し、今や“怪物”の名を冠する名選手(プレイヤー)にまで成長した金髪の少年。

 

円堂『最後の1秒になるまで決して諦めない…!!それが…!!!』

 

 一人。世界……いや、宇宙で誰よりもサッカーを愛し、数々の激闘を乗り越え、新たな“伝説”を生み出したバンダナの少年。

 

雷牙&円堂『『本当のイナズマ挑戦者(チャレンジャー)だってもんだろォォォォォォーーーーッ!!!!!!!!!!!!!』』

 

 彼らはこれまでの旅路で出会った、仲間、好敵手、故郷……その全ての“想い”を受け継ぎ、今、最強の守護神へと挑まんとする。

 

雷牙『“イナビカリレジェーーー』

 

 最高の展開(シチュエーション)、最高の好敵手(ライバル)、最高の戦友(パートナー)……幾つもの“最高”が最高潮に高まった瞬間……“始祖の怪物”が遺した最強の必殺技が炸裂すーーー

 

<リ〜ヨ!!!リ〜ヨ!!!リ〜ヨ!!!リ〜ヨ!!!

 

雷牙「どわぁ!!?スンガラモッコイ!!??」

 

 ……る事は終ぞなかった。

 少年の意識が急浮上した瞬間、先程まで鮮明に存在していた、スタジアム・観客・最強の守護神ーーそして、最高の仲間達は一瞬にして霧散し、真っ白い天井が視界を埋め尽くす。

 

雷牙「カァ〜!んだよ!最っ高に燃える展開(シチュ)だったってのに……夢オチかよ……。……いや、夢ではねェか」

 

 自分でセットしたスマホのアラームにビックリして、ベッドから転がり落ちた金髪の少年ーー稲魂雷牙はジンジン痛む腰をさすりながら立ち上がる。

 

 だが、彼が見た夢は空想が生み出した夢幻(ゆめまぼろし)などでは決してない。紛れもなく彼自身が体験した“過去の出来事”だ。

 

 数ヶ月前ーー石油王ガルシルド・ベイハンによって開催された、U-15サッカーの世界大会・FFI。

 その日本代表チーム『イナズマジャパン』の一員として選ばれた雷牙は、世界の強豪達、そして大会の裏に潜む邪悪な陰謀を見事打ち砕き、最高の仲間達と共に“世界一”の称号を手に入れたのだ。

 

 そして今から約1ヶ月前、日本に帰国した代表選手達はそれぞれの学園へと戻り、各々の青春を謳歌している。当然、雷牙もまたその内の1人だ。

 

 だが、今日は……久方ぶりとなる一(・)夜(・)限(・)り(・)の(・)非(・)日(・)常(・)が(・)待(・)っ(・)て(・)い(・)る(・)。

 

雷牙「あ〜……そうだった……。今日は、前々から言われてたフランスとの親善試合の日だったワ……」

 

 雷牙が所属する雷門中サッカー部は、日本を震撼させた大事件『エイリア事件』を見事解決に導いた立役者であり、代表選手の選出数もトップクラス……今や名実共に日本サッカー界の代名詞となっていた。

 

 故に世界からの関心も非常に高く、日本少年サッカー史上初となる『親善試合』の日本代表として、彼らが選ばれたという訳だ。

 

 代表チームよりかは劣るとはいえ、相手はフランスでも屈指の実力を持つユースチーム。久しぶりに“世界”と戦える事に喜びを覚えた雷牙は、夜の試合へ向けて自主練に励むーーー

 

 ……筈(・)だ(・)っ(・)た(・)の(・)だ(・)が(・)。

 

雷牙「・・・ってアレ?ど(・)こ(・)だ(・)……コ(・)コ(・)……?」

 

 夢と現実の境界線が明確となった雷牙は、“ある違和感”に気付く。

 何故なら、視界に入る景色の全ては身(・)に(・)覚(・)え(・)の(・)な(・)い(・)光(・)景(・)な(・)の(・)だ(・)か(・)ら(・)。

 

 確かに室内に配置された家具やサッカーグッズの趣味趣向は自分とベストマッチしている。

 だが、その間取りは明らかに自分が住む『木枯らし荘』の一室とは異なっていた。

 

雷牙「不思議な感覚だ……。明らかに『木枯らし荘』とは違うってのに、なんつーか……記憶の片隅にあるような、ないような……?イマイチ言葉に出来ねェ、もどかしい感じだ……」

 

 とはいえ、だ。

 如何に自身が今居る場所に見覚えがなかろうとも、『今日の夜に親善試合がある』……それだけは紛れもない“事実”であり“予定”だ。

 

 いつまでも、ベッドの上でウンウン悩んでいては、始まる話も始まらない。

 雷牙は腹を括ると、恐る恐る自室のドアへと手を掛けた。

 

ギィ~…

 

雷牙「あン?なんかフツーに開いたわ」

 

 ドアノブを捻って内側に引くと、呆気ないほど簡単にドアが開く。

 一先ずこれで、厄介なファンか何かに誘拐・監禁されたという筋は一旦消えた。

 

雷牙「とりま……一階に行ってみっか……」

 

 ほぼ直感で一階に目指す“モノ”があると判断した雷牙は、廊下へ出ると迷わず左へ曲がり、そのまま一階へと通じる階段を下りていく。

 

雷牙「なんか……前にも似たような場所に来た気がすんなァ……。・・・ダ〜メだ……全っ然思い出せねェ……。けど、この既視感はなんだァ?」

 

 この場所自体にかなりのデジャヴを覚えつつも、どれだけ思考を巡らせようと一向に答えは浮かばない。

 らしくもなくウンウン唸っているうちに、雷牙はいつの間にかリビングへ続くであろう扉の前に立っていた。

 

カチャ……

 

 ドアに耳を近づけると、その奥に居るであろう“誰か”が食器のような物をテーブルに置く音が聞こえた。

 その音と微かな気配からして、リビングに居る人間は1人だけ……。しかも、雷牙が部屋から出た事にはまだ気付いていない様子だ。

 

 そして……出口はちょうどその真逆。見たところ、罠(トラップ)が仕掛けられている気配もない。

 

 つまり、雷牙はこのまま無音で歩み去れば、この家から余裕で脱出する事ができる。

 

 だが……

 

雷牙「やべェ……。超気になる……!」

 

 いとも容易く合理性をドブに投げ捨て、思考すら介さずに己の欲するまま生きてきた人間が、心の奥底から込み上げてくる“好奇心”という名の毒に抗える筈がなかった。

 

雷牙「ゴク……ッ! 何をビビってやがる、稲魂雷牙……!俺は誰だ?そう!“世界一”となった“怪物(サッカーモンスター)”・稲魂雷牙サマだぜ……!?こんな誘拐犯如きにビビってるワケにゃあ、いかねェっての……!」

 

 恐らく、この場に風丸あたりが居れば、怒涛のツッコミが入っていたであろうが、しょっちゅう言動と行動が矛盾するのが、この男なのだから今更案件だろう。

 

雷牙「よし……ッ!稲魂雷牙……行きまーーす!!!」

 

ガチャ……!

 

 再度腹を括った雷牙は、今度は威嚇も兼ねてドアを奥へ向かって思いっきり押し開けた。

 そして即座にリビングへ躍り出ると、呑気に朝食を食べているであろう人物の面(ツラ)を拝む。

 

 そこに居たのはーーー

 

???「あっ、お(・)兄(・)ち(・)ゃ(・)ん(・)!オッハ〜♪」

 

雷牙「んな……ッ!!?」

 

 だが、雷牙は“その人物”の面(ツラ)を拝んだ瞬間、鳩が豆鉄砲を食ったような顔で絶句する。

 

 何故ならーー

 

雷牙「テ、テメーは……!鬼(・)乃(・)子(・)……ッ!?なんでオメーが……ココにいやがるッ!!?」

 

 雷牙の目の前で、呑気に朝食のベーコンエッグトーストをモグモグと口に運んでいる少女。

 

 黄緑色の髪と、頭頂部から生えた鬼の角の如き触覚ーーそれらを持つ彼女こそ、FFIの表と裏の大舞台にて激戦を繰り広げた最凶の好敵手(ライバル)であり、血を分けた実の妹でもある……『明星鬼乃子』その人だったのだから。

 

???「いや……そりゃ居るに決まってんじゃん。だって、ココ私の家でもあるし。そもそも……」

 

 だが、目の前の少女は実の名前を呼ばれたにも関わらず、さ(・)も(・)身(・)に(・)覚(・)え(・)が(・)な(・)い(・)と(・)い(・)っ(・)た(・)様(・)子(・)で(・)首(・)を(・)傾(・)げ(・)た(・)。

 

???「キ(・)ノ(・)コ(・)っ(・)て(・)誰(・)?」

 

雷牙「・・・は???」

 

 あまりにも予想外すぎる返答(レスポンス)に、雷牙はより一層困惑する。

 もしや、目の前の鬼乃子もどきは、更に生き別れていた双子の妹なのか……? ーーそんな頭雷牙な思考が一瞬脳裏をよぎるが、どれだけ見渡しても目の前にいる少女は、雷牙のよく知る『明星鬼乃子』その人だ。

 

雷牙「オメーの名前だよ!!オメーの!!悪鬼の『鬼』!よく分からん漢字の『乃』!んで子・牛・虎の『子』!コレをぜ〜んぶ合わせて出来た名前が『鬼乃子』だよ!!!」

 

???「え、何?そのダッサイ名前……。そもそも、私の名前は……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

雷夢(ライム)だけど?」

 

雷牙「・・・は?」

 

雷夢「だ〜か〜ら〜!!ラ・イ・ム!!!『雷(かみなり)』に『夢』って書いて『雷夢』だっての!!!え、何? 前々からバカだな〜とは思ってたけど、まさか実の妹の名前を間違えるレベルまで知能指数が低下したってワケ!?」

 

 ただでさえ目が覚めたら知らない場所に居たというのに、今度は姿形こそ宿敵(キノコ)そのものだが、名前だけが違う『妹もどき』が現れたときた……。

 

 既に低スペックな雷牙の脳ミソはパンク寸前であったが、全身をヒシヒシと襲う、ある種の同族嫌悪にも似たムカつきーー。

 己の本能は、この不快極まりない感覚こそ間違いなく『鬼乃子』本人のものだと告げていた。

 

雷夢「ハァ〜……。そもそも……真っ当な親なら、自分の子どもに『鬼』なんて不吉な漢字を使わないでしょ?読みからして適当名付けた感が漂うし」

 

雷牙「……ちょっと待て、鬼乃ーーいや、雷夢」

 

雷夢「……何?」

 

雷牙「……ちょっと俺らの姓を言ってみろ……」

 

雷夢「え……。マジで頭大丈夫、お兄ちゃん?流石の辛口で有名な雷夢ちゃんでも、そろそろ真面目に心配になってきたんだけど……」

 

雷牙「いいからッ!!!」

 

雷夢「ハァ……あ(・)〜(・)け(・)〜(・)ぼ(・)〜(・)し(・)〜(・)!私たちの姓は『明星』!!ったく……稲妻町じゃあ、“明星兄妹”の名前でブイブイ言わせてんのに、忘れちゃうとか何事??」

 

雷牙「………」

 

 薄々察していたとはいえ、突きつけられた真実に雷牙は本格的に頭を抱え込む。

 『明星』ーーそれは、稲魂雷牙の人生における最大の宿敵・“雷帝”こと明星帝牙の姓だ。

 つまり今……というより、雷夢の認識の中での自分は、『稲魂』雷牙ではなく『明星』雷牙になっているという事になる。

 

雷牙「オイオイ……一体全体、何の冗談だ……?」

 

 一口に宿敵と言っても、鬼乃子自身にそこまで恨みがある訳ではない。寧ろ、最凶でありながら最強の好敵手(ライバル)だとさえ思っている。

 だが、“雷帝”に関しては話が別……どころか並行世界の領域だ。

 

 ハッキリ言って、雷牙はあの男に対して並々ならぬ怨念を抱いている。それこそ、実物を前にすれば今の立場もこれからの未来すら投げ打ち、躊躇なく殴り殺しかねないほどに。

 

 そんな男と同じ姓を名乗らされているーーその事実は、雷牙にとって悪夢以外の何物でもなかった。

 

雷牙「……なんか気分悪くなってきた……。朝ションしてから、もっかい寝るわ……」

 

雷夢「うっわ……最っ悪……。年頃の妹が目の前に居るんだから、言葉選べっての……」

 

雷牙「うっさい、バ〜カ!!!※※※〜〜〜〜(物凄く品のない言葉です)!!!!!」

 

雷夢「死ねっ!バカ兄!!!」

 

 『争いは同レベルの者同士でしか発生しない』とはよく言うが、この兄妹の関係ほどその言葉を体現している存在もそういないだろう。

 

 とりあえず一眠りすれば次のシーンで元の世界に戻れている筈ーーそんな現実逃避にも程がある結論を出した雷牙は、再びベッドへ潜り込む前にまずはトイレへと向かう。

 

雷牙「……チッ!どーして、初めて訪れた家のトイレの場所が分かっちまうんだよ……!」

 

 徐々に並行世界の自分の記憶に浸食されつつある現実に、苛立ちを隠せないままトイレのドアを開ける。

 

ガチャ!!!

 

 ……す(・)る(・)と(・)。

 

???「あ〜!オレ先に入ってたのに〜!んもうっ♡ 稲魂雷牙のH〜!」

 

雷牙「パナマッ!!??」

 

 なんと、雷牙よりも先に、近未来チックな緑のパーカーを着た少年が便器の上に座っていたのだ!

 

雷牙「なんだコイツ!!?変質者ーーいや……!B(ベンキ)・W(ウォーマー)は!!??」

 

???「ブッwww あ〜!愉快・痛快・奇々怪々!!!早速、キミの間抜け面が見られて、大満足だよ〜!!」

 

雷牙「クソッタレが……!!そもそも、誰だ……!オメーは……!?」

 

???「オレかい?う〜ん……そうだなァ、オレは……『キミにとっての“絶望”』……とか?な〜んてね☆」

 

 そう言うと、便器の上に座った少年はケラケラと笑いながら、頭のフードを脱ぎ捨てる。

 

 そこに現れたのはーー

 

???「ハ〜イ☆ ご開帳〜!」

 

雷牙「んな……ッ!?オ、オマエ……!俺にそっくり……!?いや、どちらかといえば鬼乃子寄、りか……?」

 

 なんとそこにあったのは、雷牙と鬼乃子を足して2で割った後に、更に鬼乃子の要素を+1したような顔立ちを持つ、白銀髪の少年であった。

 

???「本当はもう少し、キミをおちょくりたいトコなんだけどさ〜。もうそろそろ、この世界が定(・)着(・)し(・)そ(・)う(・)だ(・)し(・)、“回収”させてもらうね〜」

 

雷牙「“定着”……?“回収”……?オイコラ、一体どーゆー事だ……!オメーだけで話を進めんじゃねェ……ッ!!!」

 

???「んじゃ☆ まったね〜♪」

 

ーーピカッ!!!

 

雷牙「ガ……ッ!!ま、眩ッ!?」

 

 白銀髪の少年がポケットから取り出した“何か”が眩い光を放ち、雷牙が思わず目を背けた瞬間ーー突如として足元の床が抜け落ち、途方もない浮遊感が全身を襲う。

 

雷牙「ヌオォォォォォ!!!?お、落ちるゥゥゥゥ!!?」

 

 抵抗虚しく、果てしない闇へとその身が呑み込まれる中……雷牙の意識は、そこでぷつりと途絶えた。

 

……………

…………

………

……

…

???「ーーい!!!ーーー魂ッ!!!ーーろって!!!」

 

雷牙「ウ〜ン、ムニャムニャ……。落下する……床が壊れて……落下する……」

 

???「オイッ!稲魂ッ!!!いい加減起きやがれッ!!!」

 

雷牙「ムニャ……あと5分ーーー」

 

染岡「いつまで寝てんだ、稲魂ッ!!!もうすぐアップの時間だって言ってるだろーがッ!!!!!」

 

雷牙「・・・ハッ!!!キュアミルキー!!??」

 

染岡「どんな寝起き文言だよ……。ったく、試合に向けてイメトレしてんのかと思いきや、ガチで熟睡してんじゃねェ!!!」

 

雷牙「ア、アレ……?ゆ、夢か……??」

 

 染岡の怒鳴り声によって跳ね起きた雷牙は周囲を見回すと、そこはFFスタジアムの控え室だった。

  

 入念にワックスで髪型を整える豪炎寺に、黙々とゴーグルのレンズを磨く鬼道。そして、世話焼きなツッコミを飛ばしてくる染岡ーーこれまで幾多の苦楽を共にしてきた、いつもの戦友達の姿がそこにあった。

 

風丸「大丈夫か?珍しく随分とうなされていた様子だったが……」

 

鬼道「もしや風邪でも引いたか?“何ちゃらは風邪を引かない”という格言は、出鱈目だったようだな」

 

雷牙「……ケッ、なワケねェだろ! ちと、疲れが溜まってただけだっての〜」

 

豪炎寺「それはそれで、アスリートとして問題大有りな気もするがな」

 

 どこか様子のおかしい雷牙に不審な視線を向けつつも、『雷牙がおかしいのはいつもの事か』と納得した雷門イレブン。

 彼らは気持ちを切り替えると、ウォーミングアップを行う為、大勢の観客が押し寄せ熱気が満ち溢れるグラウンドへと向かう。

 

 その時ーー。

 

雷牙「……なァ、守……」

 

円堂「ん〜?どうしたんだ、雷牙?」

 

 ふと思い立ったように、雷牙は最高の戦友である円堂の背中に問いを投げかける。

 

雷牙「……俺の妹の名前って……『鬼乃子』で合ってるよな?」

 

 あまりにも当然すぎる問いかけに、円堂は『何を当たり前のこと言ってるんだ?』と言わんばかりに不思議そうに首を傾げた。

 

円堂「そうだけど……。急にどうしたんだ?」

 

雷牙「……いんや、何でもねェさ」

 

 ようやく“いつもの現実”である事を確認出来た雷牙は、ニッと笑って円堂の背中をポンと叩くと、そのまま大歓声が待つグラウンドへと足を踏み出した。

 

 

 

ーーーーー

《数時間後》

ーーーーー

ーーピッ!ピッ!ピーーッ!!!

 

王将『試合終了ォォォ!!! 日本少年サッカー史上初となる注目の親善試合、なんと10対0で雷門イレブンの圧勝だァァァ!!! 流石は世界一のキャプテン・円堂守率いる日本最強のイレブンッ!!!その強さは圧倒的だァァァァァ!!!!!』

 

 10対0という文句なしの圧勝で親善試合を終えた雷門イレブン。

 興奮止まないサポーター達の大歓声を背に受け、彼らは控え室へと戻っていた……のだが。

 

半田「……どうしたんだよ、お前ら? フランスのユースチーム相手に圧勝だってのに、全然嬉しくなさそうじゃないか?」

 

 喜びを爆発させる周囲とは対照的に、一部のメンバー……特にイナズマジャパンとして世界を戦い抜いた者達は、複雑な表情のまま沈黙していた。

 

染岡「いや……何だかなぁ……」

 

風丸「フランスの名門ユースチームだって聞いたから、期待してたが……」

 

雷牙「言葉選ばずに言えば、無味無臭」

 

 今回の親善試合を終え、先日のFFIで『イナズマジャパン』の一員として世界と戦い抜いた者達は、一様に同じ思いを抱いていた。

 

ーーー『つまらない』と……。

 

 確かに敵のユースチームは強かった。『名門』の看板は伊達ではないと思えるほどに。

 ……だが、今の雷門イレブンからしてみれば、主力選手を全員フル出場させるまでもなく、余裕で捻り潰せる程度の実力でしかなかった。

 

 結局、今回の試合でフル出場した元イナズマジャパンの選手は、キーパーである円堂だけ。

 豪炎寺・風丸・壁山は前半のみ、雷牙・鬼道・染岡に至っては後半からの途中出場だ。

 

 舐めプにも等しい選手起用を行った上での、10対0という圧勝劇であった。

 

染岡「クッソ〜!せっかく、久しぶりに本気を出せると思ってたのによー!!!」

 

 一見すると、どこぞの“怪物”を彷彿とさせるような不遜な言葉ーー。だが、染岡の嘆きも尤もだった。

 

 現在の雷門中サッカー部は、名実共に帝国学園をも超える日本最強の存在。

 国内でフルメンバーの雷門と対等に渡り合えるチームなど、帝国、世宇子、永世といったごく限られた強豪校くらいのものだろう。

 

 故に、彼らは『苦戦』に飢えていた。

 ほんの数ヶ月前まで『落ちこぼれ』だの『弱小サッカー部』だののレッテルを貼られていた彼らが、今や『苦戦』を求めて渇望しているのだから、皮肉としか言いようがない。

 

雷牙「まっ、強くなっちまったモンは仕方ねェさ。んじゃ!俺ちゃんはおっ先〜!」

 

豪炎寺「相変わらず帰る準備は早いな……。このまま、特訓でもするのか?」

 

雷牙「たりめーだろーが!“世界一”になったからって、俺の挑戦は終わらねェ!!まずは“地平線(ホライゾン)の領域”を極めて、鬼乃子にリベンジするッ!!それが俺の目標だ!!!」

 

染岡「相変わらず、稲魂は稲魂だな……。だけど、今だけはそのポジティブシンキングが羨ましく思えちまうぜ……」

 

 “世界一”の称号を手にしてもなお、留まることを知らず前だけを見据える雷牙。

 彼は特訓場へ向かうべく、控え室のドアノブへと手を掛けた。

 

 その時ーー。

 

響木「帰るのは少し待て、稲魂。お前……いや、お(・)前(・)達(・)に話があるそうだ」

 

雷牙「ヌオォ!!? か、監督……いつからそこに……!?」

 

 威勢よく扉を開けた瞬間、そこに立っていた響木が壁のように立ち塞がり、雷牙の帰宅に急ぐ足を止めさせる。

 

円堂「監督。雷牙だけじゃなくて、俺たちにも話があるって、どういうことですか?」

 

響木「……正確には、元『イナズマジャパン』のメンバーにのみ話がある、という事だ」

 

鬼道「元『イナズマジャパン』の俺達に……?」

 

 突如突きつけられた選別に、元イナズマジャパンの面々が疑問符を浮かべる中ーー。

 

夏未「詳しい説明は向こうで受けるわ。対象のメンバーは私に付いていらっしゃい。既に送迎車を手配してあるから」

 

 雷門イレブンのマネージャーである雷門夏未が、淀みない動作で割り込んでくる。

 

 夏未の登場にますます困惑を深める雷牙達だったが、二人の真剣な眼差しから、件の『話』が只事ではない事だけは直感的に伝わってきた。

 

 何より……今や少年サッカー界の重鎮である響木と、協会に太いパイプを持つ夏未が揃って動いているのだ。ただの連絡事項で済む筈がない。

 

 特に拒否する理由もない雷牙達は、今回ばかりは素直に夏未の指示に従い、スタジアムのエントランスへと向かう。

 

 そこに待っていたのはーー。

 

雷牙「オ、オイ……! ア、アレって……テムジンだよな……!?」

 

鬼道「……リムジンだ、稲魂」

 

壁山「お、俺……なんだか急にお腹が痛くなってきたっス……」

 

 鬼道や豪炎寺あたりはともかく、大半のメンバーにとってはフィクションの画面越しでしか見た事がないような、重厚な黒塗りのリムジンがドスン、と停車していた。

 

 ほんの1少年サッカー選手でしかない自分たちに対する破格のVIP待遇。

 不穏な緊張感が漂うものの、もはや事態は引くに引けないところまで来ていた。

 

 雷牙達は腹を括って車内へと乗り込む。

 そして、黒塗りのリムジンに揺られて辿り着いた先はーーー

 

???「よくぞ来てくれたッ!!!『イナズマ世代』の諸君ッ!!!」 

 

雷牙「声デケ〜……」

 

 ーー少年サッカーの総本山、『日本少年サッカー協会』本部であった。

 

 係員に案内されるまま応接室の扉をくぐると、入室早々、立派な顎髭をたくわえた大柄な男性が雷牙達をダイナミックに出迎えた。

 

雷牙「……誰だ? このやたら声がデカくて暑苦しいオッサンは……??」

 

夏未「言葉を選びなさい、稲魂くん。この方は轟伝次郎さん。日本少年サッカー協会の総括チェアマンよ」

 

雷牙「ソーカツ……なに??? ちぇあ……??」

 

鬼道「稲魂にも分かるように言えばーーサッカー協会の会長である雷門総一郎さんより偉い人、という事だ」

 

円堂「そんな偉い人が……どうして俺たちに……?」

 

 総括チェアマン・轟伝次郎は、雷牙の無礼な物言いを咎めるどころか豪快に笑い飛ばし、応接室の革張りソファへと深く腰を下ろした。

 

轟「単刀直入に話そうッ!今や新たな伝説を切り開いた『イナズマ世代』の君達に………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『サッカー強化委員』の話を持ってきたッ!!!」




ちなみに、作者はこの章を書く為だけに割とお高いライメイ版を買って、ストーリーを再履修してたり。
攻略中は、覇者の聖典の章でのプロトコル・オメガ2.0戦が一番苦戦しました。逆に一番楽だったのはラスボスだったり。

【オリキャラ解説】
■明星雷夢(あけぼしらいむ)
性別:♀
年齢:12
≪概要≫
冒頭にて雷牙が迷い込んだ(?)並行世界における鬼乃子その人。
この世界線の鬼乃子は至極真っ当な方法で生まれている為、実兄(オリジナル)に対してヤンでるデレとはまた違ったクソデカ感情を抱いていた本編とは異なり、良くも悪くも普通の兄妹関係に収まっている。
名前の由来はズバリ『ライムグリーン』から。
ちなみにこの名前を思いついた時、思いっきりガッツポーズをかましました(笑)。
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