ここ最近、もはやサッカーじゃなくて格闘技の間違いだろって展開が多い気がするし、もしかしたら近い内にオリジナル必殺技を募集するかもです。
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CHARACTER SELECT
▶︎INATAMA RAIGA
???
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《No side》
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雷牙「親……父……?」
ステラ「………」
亡き父と瓜二つーーどころかどう見ても同一人物にしか見えない男の素顔を前に、雷牙は全身の震えが止まらない。
夏未「どうして……? 稲魂ステラは、数年前に起きた飛行機事故で亡くなった筈じゃ……?」
確かに……稲魂ステラはあの事故によって、妻と共にその生涯を終えた。ーーそう、誰もが思い込んでいた。
……だが、実際には彼の遺体は未だ発見されていない。ならば、“怪物”があの惨事を生き延びていた可能性も、十分に考えられる。
事実、あの事故の当事者であり彼の実子でもある稲魂雷斗は、記憶を失いながらも奇跡的に生還を果たしていたのだから。
ライト「パパ……? 本当に……パパなの……?」
ヒロト「ライト……」
周囲の衝撃から1テンポ遅れて、目の前の情景が示す『現実』を脳が認識した瞬間、ライトの瞳からポロポロと涙が溢れ出した。
目の前に立つのは、二度と会えないと思っていた愛する父親。
その面影を追いかけるように、ライトは縋りつくような手つきで一歩踏み出し、父の胸へと駆け寄ろうとする。
……
ーーパシッ!
ライト「え……?」
ステラ「……
伸ばしかけた幼い腕は、容赦のない力で冷酷に弾き飛ばされる。
ライト「パ……パ……?」
ステラ「……二度も言わせるな。オレはオタクらの父親なんかじゃねェ。ましてや……『稲魂』でもない、ただの……『
父が実の息子の手を容赦なく払い除けるーーそのあまりに衝撃的な光景を前に、伝聞でしか『稲魂ステラ』を知らない者達はもちろんの事、かつての優しかった父の面影を誰よりも知るライトまでもが、言葉を失い静まり返っていた。
そしてーーー
雷牙「ふざっっっけんじゃねェェェェェェ!!!!!」
“雷撃の怪物”による、大地を揺るがす大噴火の如き怒号が炸裂した。
雷牙は激しい勢いで『稲魂ステラ』ーーいや、ただ父の面影を宿すだけの『男』の胸ぐらを掴み上げると、鬼気迫る相貌で問い詰めた。
雷牙「オイ、クソ野郎ッ!!! テメェ……自分が何したか分かってんのかァ!!? ライトはなァ……!誰よりも、“親父”に会いたがってたんだぞッッッ!!!!!」
雷牙は知っている。兄がどれだけ父に会いたいと願っていたかを。
だからこそ、雷牙は『男』を許せなかった。
だからこそ、雷牙は激怒した。
『男』が行った行為はーー兄に対しての何よりの“侮辱”なのだから。
ーーーだが。
ステラ「……それがどうした? オレはただ事実を述べたまでだ。悪意0%でな」
『男』は一切悪びれる様子もなく、ただ無感情と見紛うほどに冷ややかな眼差しで、淡々と吐き捨てるだけだった。
雷牙「こんの……ッ!!!」
雷冥「おやめなさい、ひいお祖父様。彼が言っている事は紛れもない事実です」
感情を爆発させた雷牙の拳が『男』の顔面を打ち砕こうとしたその刹那、青髪の魔王が割り込んだ事で、間一髪のところで最悪の衝突は回避された。
雷牙「……どーゆー事だよ、雷冥……。俺でも納得のいく説明をしやがれ……。じゃなきゃ、俺は今スグこのクソ野郎に鉄槌を下す」
雷冥「彼は……時空管理局が並行世界から連れて来た『並行同位体』と呼ばれる存在。要するに、貴方達がよく知っている“稲魂ステラ”とは姿形が同じなだけのまったくの別人なのです」
極めて簡潔な言葉でありながら、目の前の『男』が父と同じ容姿と名を持つ理由が明かされた。
……それでも、雷牙が『男』の胸ぐらを締め上げる手から力が緩む気配は、一向にない。
雷牙「……やっぱり、納得がいかねェ。どうしてオマエさんは、こんなクソ野郎をワザワザ連れて来た?」
雷冥「……彼は、我々にとっての“切り札”だからです」
雷牙「“切り札”だァ……?」
雷冥「現在、我々の手には
雷牙「………チッ!」
ーードスンッ!!!
ステラ「痛ってェ……」
一先ずひ孫の説明を聞き入れた雷牙は、理解してもなお未だ収まらぬ怒りをぶつけるように、胸ぐらを掴んでいた手で『男』ーーステラ・オーロを力任せに床へと投げ飛ばした。
雷牙「……とりあえず、理解はした。理解だけだがな。 ……んで、その“切り札”ってのは何だ?」
雷冥「片方はコレから説明するところでしたが……。申し訳ありません、ステラ様の役割だけは今、お話しする事が出来ません」
雷牙「ケッ!んな事だろーと思ったぜッ! でも、残念だったなァ!!俺ちゃんは頭が良いんだよ。大方、コイツを俺達のコーチに据えて、更に鍛え上げるとかそんなトコだろーがッ!!!」
雷冥「……
雷牙「そうかい、そうかい!んなら……普通に断る。こんなクソ野郎の指導なんて、まっぴらゴメンだね」
胸を張り、ベーッと舌を出してあからさまに徹底拒絶の意を示す雷牙。
……だが、その威勢の良さを鼻で笑う事すらなく、投げ出された床の上から緩慢な動作で立ち上がった『男』は、底の知れない無機質な瞳で雷牙を見下ろした。
ステラ「……だったら、試してみるか?」
雷牙「あン……?」
ステラ「オイ、青髪の未来人。このひよっこドモをトレーニングルームに案内しな」
……………
…………
………
……
…
雷牙「……んで、何をするつもりだ?クソ野郎……いや、ゲロのおっさん」
風丸「“ゲロのおっさん”……?ーーああ、オーロ=嘔吐って事か……」
ステラの意向通り、時空管理局が保有するトレーニングルームーーその一つである広大なサッカーピッチへと踏み入ったイナズマジャパンの面々は、既に支給された無地のトレーニングウェアへと着替えを済ませていた。
彼らの視線の先にいるのはーー変わらずボロボロのフード姿で気怠げに佇むステラ・オーロだ。
ステラ「
雷牙「その言葉に……二言は無ェな?」
フェイ「ステラ・オーロ!? 何を勝手にーー」
雷冥「待ってください、フェイ殿。ココは様子を見守りましょう。それに……
フェイ「……分かりました」
ルールの確認を終え、イナズマジャパンにとっては己の実力を証明する
……だが。イナズマジャパンは大した間を置かずにーー
雷牙「最後に確認だ。俺らの勝利条件は、アンタからボールを奪う事ーーそれでいいな?」
ステラ「……いや、
雷牙「あン……?」
ステラ「特別ルールだ。
『な……ッ!!??』
自らが口にした言葉が、どれほど正気を疑う無謀なものであるかーーこの男は理解しているのだろうか。
まだ中学生の身でありながら、目の前に集う者達は世界の頂を極めた“最強”の選手達だ。
既にプロの領域でも十分以上に通用する逸材がズラリと揃っている。
そんな精鋭達を相手に……ステラは、赤子扱いどころではない破格の勝利条件を突きつけたのだ。
これはもはや、舐めプなどという生温い次元ではない。
ステラ「何なら、全員で掛かってきてもいい。スタメンの11人だけじゃない、BWから控えにすら入れない選手も含めての文字通りの『全員』だ」
染岡「こいつ……ッ! どんだけ、俺達をコケにすれば気が済むんだ……ッ!!」
鬼道「……いや、ここは敢えて
雷牙「鬼道ッ!!?」
鬼道「あっちから破格のハンデをくれているんだ、無下にする理由も無いだろう? それに……“
雷牙「……ケッ、勝手にしやがれ」
ステラ「話はまとまったか? 二分の一人前のハーフエッグ共」
雷牙「上等だ……ッ!
ステラ「……それは鏡に向かって言ってるのか?」
こうして、
FW:染岡、熱也、豪炎寺、ヒロト、虎丸
MF:佐久間、雷牙、鬼道、不動
DF:綱海、雷電、壁山、木暮、風丸、飛鷹、吹雪
GK:ライト、立向居
改めて見渡せば……あまりにも歪、と評する他ない光景だ。
この
鬼道「……豪炎寺。少し来てくれ」
豪炎寺「……何だ?」
開始直前、司令塔たる鬼道は豪炎寺を手元へと呼び寄せると、他者の耳には届かぬ極小の声量で耳打ちを交わす。
鬼道「ーーーー」
豪炎寺「………」(コク…)
鬼道からの指示を聞き届けた豪炎寺は、ただ一度深く力強く頷き、己の守備位置へと散っていく。
フェイ「それでは、これよりステラ・オーロ対イナズマジャパンの模擬試合……始めッ!!!」
ーーピーーーッ!!!!!
審判を務めるフェイの笛がピッチ全域に鋭く鳴り響き、ついに緊迫の火蓋が切られた。
この勝負の
豪炎寺「まずは俺を超えてみせろッ!!!稲魂ステラッ!!!」
日本の絶対的エースストライカー・豪炎寺修也だ。
豪炎寺「“バーニングフェーズ3”ッ!!!」
試合開始から10秒にも満たないにも関わらず……。豪炎寺は迷いなく、己の
その背後から溢れ出した膨大なオーラは、瞬く間に天を突く煉獄の紅蓮へと姿を変え、荒々しい重圧と共にその威容を顕現させた……!
豪炎寺「“炎魔皇 ガザード・レクイエム”ッ!!!」
フェイ「“ガザード・レクイエム”……! これが、この世界の豪炎寺修也が辿り着いた到達点……!」
雷冥「さァ……。
“
『単体』という条件に限るならば、雷牙やヒロトを抜き去り日本最強の座に君臨する炎魔皇は、一切の手加減なく猛々しい業火を撒き散らしながら、ボールを保持する“怪物”と呼ばれた男へと襲いかかった。
ステラ「……だから、オレはもう『稲魂』じゃないっての……」
……だが、『男』の表情には“驚愕”も“想定外”も存在しない。
そこにあるのはーー地平線いっぱいに広がる“虚無感”だけだ。
雷牙「いいぞ、豪炎寺ッ!!そのまま、飲んだくれの出鼻をボッキボキにへし折ってやれッ!!!」
豪炎寺「ハァァァァァ!!!!!」
ステラ「………」
ーービュンッ!!!!!
豪炎寺「ッ!?」
一心不乱にボールを奪わんと、最高の
その直後……彼は言葉を失う程の
豪炎寺(なん、だ……!!?)
視界に広がるのは、“天”が地となり、“地”が天へと躍り出た摩訶不思議な光景。
世界の上下が完全に逆転したにも関わらず……重力の法則だけが、不気味なまでに“常識通り”に身体を引きずり下ろしていた。
豪炎寺(まさか……これは……ッ!!)
ーーズシャァァァァ!!!!!
その異変の正体に気づいた時には、全てが手遅れだった。
豪炎寺は受け身を取る猶予すら与えられず、天ーーいや、反転した地面へと力なく叩きつけられる。
加えて……あれほど強大な存在感を放っていた筈の“炎魔皇”は、音もなく影すら残さず消滅していた。
ステラ「……まァ、45点ってトコか」
虎丸「豪炎寺さぁぁぁぁん!!!!!」
豪炎寺(到底信じられ、ないが……。俺は……自分でも認識出来ない速度で、吹き飛ば、されていたという、のか……?)
朦朧とする意識の底で、豪炎寺が導き出したその戦慄の仮説はーー無慈悲にも的中していた。
豪炎寺が至近距離からスライディングを仕掛けたまさにその瞬間、ステラは重心を極限まで沈め、ただ力任せにピッチを蹴り上げた。
断じてそれは必殺技などではない。サッカー
……しかし、その何気ない基本動作すら、真の“怪物”の手にかかれば凶悪無比な破壊兵器と化す。
豪炎寺を打ち砕いたのはーー“怪物”が爆発的に地を蹴った事で生じた、規格外の『風圧』そのものだったのだ。
ステラ「少しの間、そこで寝てな。脳シントーが悪化する前にパッパと終わらせてやる」
鬼道「……まさか、ここまでとはな……!」
雷牙「クソ……ッ!!クソォ……!!!」
一連の攻防を目の当たりにした雷牙は、全身の血を沸騰させる程の凄まじい憤怒と悔しさを剥き出しにする。
……だが、その感情の根源は、単に豪炎寺が破られた事に対して向けられたものでは
“超次元”すらも生温い、あまりにも“異常”な個の力。
僅かな接近すら許さぬ『男』の圧倒的なプレーは、皮肉にも雷牙が全力で否定したかった筈の真実ーー目の前の『男』が、あの亡き父と同一の存在である事の何よりの証明に他ならなかったからだ。
熱也「豪炎寺を突破した程度で俺達が怖気付くと思うなよォ!!!」
染岡「行くぜ、熱也ッ!!! 最強コンビの力を“怪物”に見せつけてやろうぜェ!!!」
虎丸「豪炎寺さんの努力は、ムダにはしない……っ!!!」
ヒロト「皆!稲魂ステラ相手には『個』の力は通用しないッ!4人での連携を意識するんだッ!!!」
だが、豪炎寺一人を破った程度で、ステラの勝利が決まった訳ではない。
ピッチには未だに4人の猛者たるFW陣、そして総勢14人もの選手が控えているのだ。
彼らは豪炎寺の散り様を無駄にはすまいと、すぐさま気勢を上げ、迫り来る“怪物”の前に立ち塞がった。
ーーーしかし。
ステラ「どうでもいいが……やや隙だらけやしねェか?」
熱也・染岡・虎丸「「「な……ッ!!??」」」
またしても、必殺技すら用いない単純な初速ーーただそれだけ。
久遠によって徹底的に叩き込まれた筈の連携を披露する猶予すら与えられず、彼らはただの置き物のように容易く置き去りにされた。
……ただ一人を残して。
ヒロト「まだ俺がいるッ!!!」
他の3名が置き去りにされたその一瞬ーーただ一人、ヒロトだけは初速の次元の違いを冷静に計算し、ステラの進行ルート上へと先回りして滑り込んでいた。
ステラ「……いい判断だ。見る限りーー豪炎寺ってガキ以外だと、
『ボールにほんの一瞬でも触れれば勝ち』ーーならば、正攻法の奪取にこだわる必要などどこにもない。
ましてや現在、ステラは動きが著しく制限される空中に身を晒している。
そこに叩き込まれるのは、ヒロトの全身全霊を懸けた奇襲ーー常識的に考えて、避けられる余地など存在しないも同義。
加えてーーヒロトは敢えて、己の精神レベルをかつての
無論、過剰なラフプレーでステラを傷つける意思など毛頭ない。
ただ……自らの過去を一度乗り換えなければ、目の前の“怪物”に届く事すら叶わないと判断した故の決断であった。
ヒロト「そのボール……貰ったァァァァァ!!!!!」
一切の油断も慢心もなく、ステラの足元に収まったボールのみを完璧に捉えたヒロトは、最硬にして最速の一蹴を間髪入れずに叩き込む。
空中故に回避行動が制限されている以上、ヒロトのこの蹴りを回避出来る術など存在する筈がないーーそう誰もが信じ、誰もがイナズマジャパンの勝利を確信した。
……
ーータッ!
ヒロト「な……ッ!!?」
しかし……本来なら聞こえる筈がない
何せーーー
ステラ「その身のこなしと判断力……。オタクーーどちらかと言えば、
振り抜かれたヒロトの右脚の上にーー170センチ台半ばはある筈のステラの体躯が、まるで質量そのものが存在しないかのように、静かに乗せられていたのだから。
風丸「あれは……!オルフェウスとの試合で鬼乃子が見せたーー重心の操作……ッ!?」
そう。ステラは
ヒロト「まるで小鳥の羽毛のような質量……!フィジカルやパワーだけじゃない……!テクニックすらも……現人類とは
ステラ「……それは“褒め言葉”のつもりか?ならーー残念な事に最大級の“侮辱”だぞ。……
ーータンッ!!!
ステラは一切の余計な負荷を掛ける事なく、ヒロトの右脚を静かに足場として蹴り上げると、天高く跳躍してみせた。
それはーーイナズマジャパンにおける前線の完全な崩壊を意味する。
地へと降り立った“怪物”の双眸に今、映り込んでいるのは……もう一人の“怪物”が鎮座する、次なる中盤層。
鬼道「行くぞ、不動ッ!! 進化した俺の戦略に付いて来られるかッ!?」
不動「ハッ!誰に物を言ってやがるッ!!テメェこそ、俺の足を引っ張んなよッ!!!」
イナズマジャパンが誇る二大司令塔ーー鬼道有人と不動明王。
二人は示し合わせたかのように同時に激を飛ばすと、すぐさま佐久間と雷牙へ精緻な合図を送る。
一瞬の隙もなく連動した4人のMF陣は、“怪物”の着地点を完璧に読み切り、その四方を完全に塞ぐ強固な包囲網を展開した。
秋「この陣形は……もしかして……!」
音無「ええっ!!あれは間違いなく、ビッグウェイブスの必殺技タクティクス……!!」
鬼道「これが新たな“ボックスロックディフェンス”……。その名も“ボックスロックディフェンスver2.0”ッ!!」
ピッチ中央に、目に見えない異質な威圧感を伴った巨大な『
『ボックスロックディフェンス』ーーこれはオーストラリア代表チーム・ビッグウェイブスが主軸としていた防御型の必殺タクティクス。
一度発動すれば内部へ閉じ込めた者を完全に無力化する強力無比な戦術である一方、肝となる守備側の密接な連携を乱されれば、途端に瓦解するという明確な弱点を孕んでいた。
しかし、鬼道が編み出した“ver2.0”は一味違う。
更に、反射神経に優れる雷牙を配置する事で頭上からの立体的な逃げ道すらも鉄壁の蓋で塞いでみせたのだ。
冬花「完璧にステラさんの逃げ道を塞いだ!これなら……!」
夏未「……どうかしら……」
上下左右、あらゆる退路を絶たれたその『箱』の中心ーー死角なき包囲網の真っ只中に“怪物”は囚われながらも、不思議と夏未の胸には形容し難い『不安』が渦巻いていた。
事実ーー獄中のステラの表情には、
彼は追いつめられた者特有の不快なプレッシャーすら欠片もみせず、退屈そうに首を小さく鳴らすと、どこか冷めた瞳で鬼道達を見回す。
ステラ「……オタクらは、オーストラリアに伝わるこんなコトワザを知ってるか?ーー“
雷牙「ユーキャン……何だって?」
ステラ「……尤もーー今の場合は『蜘蛛の巣』じゃなくて『箱』だがな」
ーードンッ!!!!!
刹那ーー『箱』の内側から解き放たれた凄まじい衝撃波が、ピッチ全域どころか空気そのものを大きく揺らし穿つ。
鬼道「ガッ……!? 今度は何ーーー」
“怪物”の一踏みが引き起こした余波に、ほんの一瞬ーー時間にして僅か『0.01秒』にも満たない刹那、鬼道の身体がわずかに強張る。
……だが、常人の感覚においては、それはおおよそ『隙』と呼べるような時間などではない。
しかしーー即座に思考を立て直し、正面へ視線を戻した瞬間、鬼道は完全に言葉を失った。
何故ならーーー
ーーポンッ!
ステラ「そう悲観すんな。オタクのタクティクスは完璧だった。ただ……敗因は『箱』の強度不足だな」
完璧な
佐久間「何が……起こった……?」
目の前で起きた事象を全く飲み込めないMF陣は、まるで未知の何かに誘われるかのように、“怪物”が立っていた痕跡へと視線を落とす。
そこに刻まれていたのはーー直撃した衝撃波の凄まじさを物語る、深さ60センチはあろうかという巨大な足痕の
不動「そういう事か……ッ! 稲魂ステラは……俺達の“
『須臾の時間』ーーそれは、人間が認知すら叶わないとされる時間の最小単位。
一節には一瞬の何千兆分の一とも称されるその概念は、本来ならば人間が利用する事など絶対に不可能な『不可侵の領域』である。
……しかし“怪物”は、天より与えられた規格外の
不動「稲魂ステラは爆音で俺達の意識を分散させる事で、“須臾の時間”を『0.01秒』前後まで
ステラ「大正解。やるねェ、モヒカンの坊主」
事もなげにそう言い捨てると、ステラは一切振り返る事すらなく、静かにボールを転がしながらDFラインへと足を向けた。
一切の悪意も、煽りすらもないーーただ『次の試練』へ向かう為だけに自分達をイチ通過点として通り過ぎて行くその背中。
だが、そのあまりに何気ない動作こそがーー“雷撃の怪物”に強烈な屈辱と焦燥を植え付けていた。
己の存在すら視界に留められていないかのような、圧倒的な無関心。
それが何よりも、雷牙の
雷牙「この俺を……!無視してんじゃねェェェェェ!!!!!」
ステラ「………」
怒りと誇りに身を焦がす雷牙は、全身から眩い金色のオーラと激しい紺碧の稲妻を噴出させると、『父』の並行同位体たる“怪物”へ怒涛の真っ向勝負を挑む。
ーーーしかし、それでも……。
夏未「嘘でしょ……!? 稲魂君の攻撃が……
雷牙がこれまで血の滲むような鍛錬で培い、進化させてきた筈の“サッカー”の全てが、ステラの前には一切通用しなかった。
雷牙「クソッ……タレがァ……!!!」
ステラ「……前々から、バカだとは思ってたがココまで頭が悪ィとは夢にも思わなかったな。オタクに基本的な技術を教えたのは、どこの誰だ?」
雷牙「んな事……!決まってらァ……!!俺にサッカーを教えてくれのは……ッ!! いつだって、親父ーー“稲魂ステラ”ただ一人だ……ッ!!!」
ステラ「ああ、そうだ。その通りだ。
あまりにも残酷な現実……。
“雷撃の
ステラ「隙あり」
雷牙「ガ……ッ!!?」
死力を尽くした連撃の合間に生じた、僅かな精度の乱れ。
その隙を逃さずステラが踏み込んだ一歩ーーそこから生じた猛烈な突風にただ煽られただけで、“雷撃の怪物”は呆気なく地表へと転がり落ちていった。
ライト「雷牙……っ!」
雷牙「チク……ショウ……ッ!!!」
ステラ「オタクみてーな未熟
たとえ並行世界の存在とはいえ、息子へ向ける言葉とは到底思えない無情な一言が、倒れ伏す雷牙の胸を容赦なく射抜く。
ステラが前線から中盤層を完全に突破するまでに要した時間は、僅か『9秒』。
あの“雷撃の怪物”すらも文字通り子供扱いして踏み台にした上で、叩き出した驚愕のタイムだ。先に置き去りにされた前線の選手達は、誰一人として未だに“怪物”の背中に追いつく事すら叶っていなかった。
ステラ「……さァてと。ココいらで、オレの必殺技を魅せてやるか……」
その言葉と同時に、途方もない質量を持った圧迫感が、最終ラインに構えるDF陣とGK達の全身を容赦なく襲う。
どうやら……ステラはもう、自力で後衛の陣形を突破する気など毛頭ない。ーーというよりも、中盤層を力でなぎ倒した時点で、彼にとって後衛を『突破する意味』など
ライト「この圧力……このプレッシャー……!間違いない……!!“アレ”がくる……っ!!!」
実の息子たるライトが“それ”の発動を確信した刹那ーー“怪物”の背後から噴き出した凄まじい気が、巨躯を持ちながらも幾多の死線を潜り抜け、傷を刻まれた老いた『黄金の獅子』へと姿を変える。
王の威厳と絶対的な強者としての証を纏うオーラ。
ーーそしてステラは躊躇う事なく、宙へと浮かべたボールへ間髪入れぬ二連撃を叩き込み、その名を呼ぶ。
ステラ「“キングレオーネ”」
ーーズゴォォォォォンッッ!!!!!
直後、轟いたのはもはやシュート音などではない。
まるで……空間そのものが破砕したかのような破壊音であった。
必殺技の構えを取るDF陣ーー風丸も、壁山も、綱海も。
そしてゴール前で極限の集中を研ぎ澄ませていた二人のGKも。
文字通り……誰一人として、迫り来る球体どころか『予備動作』を視認する事すら叶わなかった。
彼らの視界を焼き尽くしたのは、ただ一条の過酷なまでの黄金の閃光。
ーーシュンッ……
次の瞬間、衝撃波の遅れてやってくる暴風が最終ラインを鋭く薙ぎ払う。
立ち塞がる筈だったDF陣とGK達は、反応速度の『遥か手前』で完全に置き去りにされ、固まったまま微動だにする事すら出来ない。
ライト「……え?」
彼らが背後を振り返った時にはーー既にボールはゴールネットの最奥を破らんばかりにめり込み、激しい回転音を上げながら網を揺らし続けていた。
風丸「
立向居「俺たちは……確かに構えていたのに……」
ライト「触れることすら……できなかった……?」
ーーピッ!ピッ!ピィィィィィ!!!!!
後方の“
開始のホイッスルが鳴り響いてから早『15秒』。ここに……勝敗は決した。
紛うことなき勝者となった“
ステラ「コレで分かったか?オレとオタクの間に開いたーー
雷牙「……ああ。口ン中が辛い酸の味でいっぱいだよ……ッ!!」
そう鋭い眼差しで“怪物”を見上げる雷牙の、固く噛み締められた唇からは紅の液体が伝い、青々と生い茂るピッチへポタポタと滴り落ちていく。
そして……僅か15秒という時間で、世界最強の18人全員が完膚なきまでに叩きのめされたピッチにはーーただ冷たく重い静寂だけが支配していた。
ちとメアリー・スー染みてますがイナヒロにおける強さの天井は、“
んなら、REONとの戦いにステラを参戦させればオールオッケーやんけと思われるかもしれませんが、そこらへんは複雑な事情があるので彼はベンチの板を温める仕事に徹しなければなりません。
【オリキャラ解説】
■ステラ・オーロ
性別:♂
年齢:40歳
《概要》
世界編終盤から本章序盤にかけて雷冥と行動を共にしていたフードの男その人。その正体は稲魂兄弟の父親・稲魂ステラーーではなく、彼の並行同位体。
しかし、こちらのステラはハッキリ言って最悪の一言。常に気怠げであり、口を開けば皮肉ばかり、オマケにアル中であり、ほとんど洗わない全身からはアルコール臭が酷く、尊敬していた父を知る雷牙からは失望されている。
特に息子である稲魂兄弟には当たりが強く、到底父親と同一人物には見えない。だが時空管理局のデータによれば数年前までの姓は『稲魂』であったらしいが……?