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CHARACTER SELECT
▶︎INATAMA RAIGA
???
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《No side》
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ステラ「だから言ったろ?こんなロートル*1如きにいいようにやられるような輩が、SSCに勝てるワケがないって」
冷たく言い放たれたステラの言葉に対し、誰一人として言い返す事は出来なかった。
あまりにも無慈悲で残酷なその指摘を、否定出来るだけの根拠など何一つ存在しないのだから。
ステラ「……興醒めだ。いい感じにアルコールも抜けた事だし、飲みに行ってくる」
ライト「待って……パパ……!」
ステラ「……だから何度も言ってんだろ。オレは……オマエの父親なんかじゃない」
並行世界の実子の静止も虚しく、ライトの顔を一瞥する事もなく“怪物”はピッチを後にしていく。
雷牙「………」
夏未「稲魂君……」
“怪物”が姿を消したサッカーコート。そこに残されたイナズマジャパンの面々はショックのあまり、言葉を失っていたがーーその中でも雷牙は重症であった。
豪炎寺「……無理もないか。事実上の別人とはいえ、尊敬していた父親からあれだけ手厳しい言葉を突きつけられたんだ」
風丸「ましてや……REONとの敗戦で負った心の傷が癒えていない段階だからな……」
ライト「いや……。多分、
風丸「え……ッ?」
ーーガバッ!!!
立向居「どわぁ!!? ど、どうしたんですか、稲魂さん……!!??」
ライトの訂正が入ったと同時に、絶望の底に沈み、膝を突いてうなだれていた筈の“雷撃の怪物”が、爆発的な勢いで地を蹴り跳ね起きる。
そして、全身の血を沸騰させるかのように胸を大きく張り、息を深く深く吸い込むとーーー
雷牙「ス~……。こんちきしょうめェェェ〜〜〜〜!!!!!」
悔しさに満ち溢れーーけれどもどこか清々しさすら感じさせる、稲魂雷牙渾身の魂の叫びがトレーニングルーム一帯に激しく木霊する。
雷牙「悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい悔しいッ!!!悔゛し゛い゛〜〜〜〜!!!!」
ようやく叫び終えたかと思いきや、今度は芝生の上を超高速でゴロゴロと転がり回るその様は、まさに駄々をこねる幼児そのものだ。ーーいや、一応彼はまだ中学生なのだからギリギリ子供の範疇ではあるが……。
染岡「な、なんだ急に……?まるでガキみてーに悔しがって……」
ライト「……ボクにとっては、“
ヒロト「いつもの……?」
ライト「うん。パパと勝負して負けちゃった時の雷牙は……いつもこうだったから……」
ヒロト「……そうか……」
ハッキリ言って、全身で感情を爆発させて身悶える雷牙の姿は、とてもではないがこれから中学3年になろうかという人間のそれではない。
……だが、彼の悔しがりが響き渡るにつれ、イナズマジャパンを重く支配していたあの空気は、幾分か確実に和らいでいくのだった。
雷冥「どうやら……日に二度の敗北を経てもなお、その“闘志”までは折れていないようですね」
雷牙「あっ、雷冥」
風丸「うわぁ!いきなり落ち着くな!」
雷冥の声が聞こえた途端、数秒前の大暴れなど最初から無かったかのように、雷牙は澄まし顔でサッと立ち上がってみせる。
雷冥「……いかがでしたか?始祖の“
雷牙「……想定以上に想像以上。世界一になって、ようやく名実共に“怪物”になれたと思ったがーーどうやら、俺が目指すべき壁はまだまだ高ェみてェだ」
直後に「尤も……アイツがクソ野郎な事には変わりねェがな」と即座に吐き捨てるように補足するが……その瞳にはどこか嬉しげな熱が宿っている。
フェイ「……それで、No.666。試験の結果はいかがでしたか?」
雷牙「試験……?」
雷冥「ステラ殿の人格破綻者ブリと独断での模擬試合は、完全にコチラの想定外の
鬼道「それでは、その結果を聞かせてもらおうか」
雷冥「そこまで警戒なさらずとも問題ありませんよ。試験結果は当然……“合格”とさせていただきます」
雷牙「しゃあッ!!! それじゃあ……待ってろよ、守ッ!!!パッパッと封印されたオマエさんを助け出してやっからよォ!!!!!」
鬼道「………」
円堂救出への資格を得たことで歓喜の声を上げるイナズマジャパンーーだが、鬼道だけはどこか
雷牙「それでェ?さっきから、横槍ばっか入ってやたらと後回しになってるオマエさんらの言う“切り札”って結局、何なんだよ?」
雷冥「その“切り札”とはーー『コレ』です」
雷冥がいつの間にか右手に掲げ持っていたのはーー1冊の古びたノートだった。
ノートそのものは、どこのコンビニでも簡単に手に入るような、ごくごくありふれた代物。だが、その特異性は表紙に油性ペンで刻まれた『文字列』にあった。
そこにあるのはーーまるで古代の象形文字を思わせる、解読不能な文字の羅列。
……だが、イナズマジャパンの面々は、その異様な文字列に対して非常に強い見覚えがあった。
雷牙「オイ、その字は……!ちょっと貸せッ!」
雷牙は雷冥の手からノートを半ば奪い取るように引ったくると、焦るようにパラパラとページを捲っていく。
捲った先の一枚一枚には、表紙と同じく古代の象形文字めいた『文字列』が、びっしりと意味ありげに書き記されていた。
その様式、その独特のタッチはまさにーーー
雷牙「間違いねェ……!この字、この筆跡……!コレは、守が書いたモンだ……ッ!!!」
円堂がバンダナと同じくらい大切に肌身離さず持っていた、祖父・円堂大介の“特訓ノート”と全く瓜二つの代物だった。
雷冥「お察しの通り、そのノートはーー円堂守その人が晩年、“ある秘伝書”を参考に書き上げた幻の書物。その名も『王者の聖典』」
雷牙「王者の聖典……ッ!」
『王者の聖典』を手にした雷牙は、込み上げる熱に当てられたかのように、無意識のうちに全身を震わせる。
雷牙は、円堂一族が書いた秘伝書のニュアンスを理解出来ても解読する事までは出来ない。
……それでも、意味の解釈すら超越しページを捲る指先から伝わってくるーーその一枚一枚に込められた、途方もない『サッカーへの情熱』だけは、魂で理解した。
雷冥「その
冬花「でも……そんなに凄い書物なら、とっくに最強のサッカーチームが作られている筈じゃ?」
至極もっともな冬花の疑問には、雷冥の代わりにフェイが答える。
曰く、『王者の聖典』とは、祖父・大介が記した『覇者の聖典』と呼ばれる秘伝書に触発されて執筆された代物である事。
そしてーーかつてその『覇者の聖典』に導かれ、SSCの脅威を打ち破った時空最強のサッカーチームこそがーー【クロノストーム】である事を。
そこから堰を切ったように、フェイは時空最強イレブンを巡る真実を次々と明かしていく。
歴史の狭間を渡る『タイムジャンプ』、そして未来の融合技術『ミキシマックス』ーーイナズマジャパンの運命を塗り替える為に必要な、全ての重要情報が語られる。
雷牙「……要するに、コレから俺達がしなきゃなんねェのは、原作と同じ展開の焼き直sーーゲフン!ゲフン! 間違えた。天馬達と同じ旅をするって事かァ?」
フェイ「……厳密には違います。私が保管していた偉人達の生命オーラは、先程のREONとの一戦で
雷牙「消滅って……!ーーあの“英雄殺し”ってタクティクスの影響か……ッ!」
本来ならば、時空の彼方より採取した偉人達の生命エネルギーは、適切な管理下において自然消滅するなどあり得ない。
だがーーREONとの一戦にて、イナズマジャパンを救う為に【クロノストーム】のオーラが解放された事……。それこそが、REONの計画の一つであった。
彼はこの日のために開発した掟破りのタクティクスーー“
しかもーーもう一度過去へ飛んでオーラを入手しようにも、偉人達の生きる時代の進路には強力な妨害電波が展開されているという、最悪のオマケ付きだ。
雷冥「唯一の幸運は、あのタクティクスは対【クロノストーム】に特化した代物ーーだからこそ、『王者の聖典』の出番なのです」
要するにだ。イナズマジャパンと時空管理局、その双方に共通する目的である『REONの討伐』。
それを成し遂げる為、彼らは円堂流の【時空最強イレブン(仮)】を完成させなければならないという事だ。
しかしーーー
鬼道「……一つ聞きたい。俺達がそのチームを完成させたとしてーー確実にREON相手に通用すると思うか?」
新たな【時空最強イレブン】という希望の光が見えたその瞬間、これまで沈黙を貫いていた鬼道が静かに口を開いた。
フェイ「そうですね。ミキシマックス抜きの単純な技能に限るならば……当時の【クロノストーム】とほぼ互角かやや上くらいでしょうか? ミキシマックスの力を完璧に扱える切れれば、通用するとは思いますが……」
フェイの慎重な返答を聞いた鬼道はーー「やはりな……」と言わんばかりに顎に手を当てて思案に耽ると、数秒の沈黙を置いた末に、満を持して自身の考えを一同に告げた。
鬼道「……皆、聞いてくれ。俺はーーこの提案を
雷牙「・・・は???」
一同『はぁぁぁ〜〜〜〜!?!?!?』
案の定ーーと言うべきか、広間に響き渡ったのは仲間達の驚愕に満ちた大合唱だった。
それも無理はない。鬼道のその言葉は、円堂救出のチャンスを自ら先延ばしにするも同然なのだから。
雷冥「……マズは、貴方のお考えをお聞かせください」
鬼道「先程のステラ・オーロとの試合で確信した。彼の言う通り……今の俺達がどんなに特訓を重ねたところで、REONに勝てるビジョンが見えない」
染岡「何言ってやがる、鬼道ッ!!俺達はこれまでも、絶望的な実力差のある敵にだって、特訓を重ねに重ねまくってリベンジしてきただろーがッ!!!」
鬼道「人の話を最後まで聞け。今回ばかりはーー
染岡「んだとッ!!?」
鬼道「そうだな……雷冥、何か書く物をくれないか?」
要求が通ると、鬼道は雷冥からホログラムのホワイトボードを受け取り、整った達筆な字でスラスラと数式を書き連ねていく。
鬼道「取り敢えず……ここは稲魂を例に出そう」
雷牙「俺?」
鬼道「先ず、稲魂の“強さ”を現す数値を『1000』と仮定する。基準は『100』だから、稲魂の強さは常人の10倍という事だ」
【稲魂:1000】
鬼道「そして……稲魂はあの土壇場で切り札である“
雷牙「10倍だァ?“
鬼道「……あくまでも仮定の話だ」
【稲魂+“
鬼道「間違いなく、この状態となった稲魂は【イナズマジャパン】の中では最強の選手だろう。それに対し……REONの数値はーーー」
【REON:10000】
鬼道「大体……こんなところか」
豪炎寺「肉体強化に頼らずとも、単純な身体能力だけでほぼ同格……流石といったところか……」
鬼道が掲げた数式に、その場の誰もが納得せざるを得なかった。
確かに、REONが覚醒した雷牙すら圧倒する規格外の存在である事は否定しようもない。
……だが、ここで風丸はーーこの数式に潜む“ある違和感”に気付く。
風丸「……待てよ? 確かにこの数値は正しいように見えるがーー要するに“
誰よりも早く風丸が指摘したその“致命的な矛盾”を前に、室内の空気がピリと張り詰める。
思い返せばーー“
そして……最終的にボールを奪取したのは、紛れもなく雷牙だ。
傷付き疲弊した大半の選手は目で追うだけで精一杯の超高速戦闘だったがーー少なくとも、あの瞬間においてREONが手を抜いていたようには見えない。
つまりーーあの時の雷牙は、間違いなく僅かながらもREONを凌駕していたという証明に他ならない。
だが……突如としてREONの全身から禍々しい閃光が爆ぜたと思った刹那ーー気付けば雷牙は、地面へと叩きつけられ敗北を喫していたのだ。
鬼道「そこが肝だ。風丸の言う通り、間違いなくフィジカルではREONを圧倒した筈なのに、結果は稲魂の敗北……。つまりーー奴には己の“非力”を補う『秘策』を持っているという事だ」
【REON:10000+不明(最低値10000)】
鬼道「俺はーーその『秘策』がある以上、“ミキシマックス”も簡単には通用しないと見ている。ただ……誤解の無いように言っておけば、“ミキシマックス”や“
染岡「だから……ッ!今までみてーに、特訓して地力を底上げすりゃあ……ッ!!」
鬼道「それも無理だな。何せ……
鬼道の口から容赦なく放たれた残酷な事実に、部室の空気が凍りつくように全員が絶句する。
だが……その言葉の重みを誰よりも理解していた一部の者達は、抗う事の出来ない現実を噛みしめるように、ただ静かに黙り込んでいた。
鬼道「厳密には、俺達の肉体はピークを迎えた訳じゃない。歳を重ねていけばその分だけ強くなる余地は生まれるだろう。……だが、現時点の俺達の肉体は成長の臨界点を迎えている。残酷だがーーこれが“現実”だ」
染岡「ク……ッ!」
歯噛みする染岡の姿が、その“現実”の重みを全て物語っていた。
鬼道の名誉の為に補足するならば、彼とて円堂の救出を諦めた訳ではない。本心を言えば、誰よりも自身のその手で戦友を取り戻したいと願っている。
だが……今回の“敵”は、もはや人の枠組みから完全に外れた規格外の存在。
その理不尽に聳え立つ“格”の壁を打ち破り、己の手で友を取り戻すにはーー今の彼らに与えられた時間は、あまりにも足りなさ過ぎた。
鬼道「……つまりだ。これから俺達が更に強くなる為には、単純な肉体強化とは違う方向でのパワーアップが必須となる。そうしなければ、円堂を取り戻す事は絵空事で終わってしまう」
熱也「でもよォ。ドーピングならいざ知らず、そんな都合のいい特訓法があるってのかよ?」
ある熱也の投げかけに、大部屋の空気が再び重く沈む。
イナズマジャパンの面々には初めから『
仮にそんな手段で目的を達成出来たとしても、一番悲しむのはーー他ならぬ円堂その人なのだから。
かといって、成長性の臨界点を超えて一気にその差を埋めるような都合の良いパワーアップ手段など、そう簡単に見つかる筈もない。
その焦燥感だけが、貴重な時間を容赦なく削っていくその最中ーーー
雷牙「……いや、待てよ……?」
硬く険しかった雷牙の表情が、ふと一変する。
頭の片隅で点と点が繋がり、彼の中で確かな“心当たり”がひょっこりと顔を出す。
雷牙「ーー
豪炎寺「本当か、雷牙ッ!?」
雷牙「いや……正確に言えば、新しい特訓法を知ってそうなヤツを知ってる……」
その“心当たり”に、現時点ではまだ客観的な証拠など何もない。……だが、既に雷牙の胸中には、言い知れない確信の火が灯っていた。
雷牙「オイ、雷冥。今から俺らの世界に戻る事は出来っか?」
雷冥「その点については問題ないかと。既にREONが該当時代から発っている事は確認されています。加えて、特定の人物だけに特化させた妨害電波を展開している以上、ヤツが再度貴方の時代に襲来する事は不可能である筈です」
ひ孫から言質を取った雷牙は、胸中の確信を更に燃え上がらせると、不敵に口角を吊り上げて笑ってみせる。
雷牙「うっし!こうなりゃあ、早速行くっきゃねェな……!今や懐かしのーーー
“
イナズマジャパンの次なる目的地はーーーサッカーの神が住まう、絶海の孤島。
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CHARACTER SELECT
INATAMA RAIGA
INATAMA RAITO
▶︎STELLA ORO
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《No side》
ーーーーー
ステラ「……コッチの世界じゃ、まだ
イナズマジャパンの次なる目的地が決まった、まさにその同時刻。
彼らの元を去ったステラは、雷牙達が生まれ育った現代の時空へと降り立っていた。
当然、ここへ向かう途中でエージェントからは幾度となく制止された。
だが、折り紙付きの人格破綻者であるこの男が素直に聞き入れる筈もなく、契約解除をちらつかせ強引に来訪を果たしたのだ。
そうして、彼が真っ先に向かった先はーー並行世界の己が静かに眠る墓地、などでは毛頭もない。稲妻町の下町にひっそりと暖簾を掲げる、古びた一軒の居酒屋だった。
思えば、こちらの時空ではイナズマジャパンがREONに敗北を喫してから、まだ1時間余りしか経過していない。
街にはまだ宵の口の風が吹いている程度だが、店内に目を向ければ、既にそれなりの客足で賑わっている。どうやらくたびれた印象とは裏腹に、中々の繁盛店のようだ。
ーーガラガラ……
大将「らっしゃい!お好きな席どうぞ!」
店内に入ったステラは、その素顔を周囲に悟られぬようフードを深々と被り直すと、奥のカウンター席へと静かに腰を下ろす。
女将「お客さん、ご注文は?」
ステラ「……だし巻き卵を一つ。それと日本酒を熱燗で」
大将「はいよー!!!」
注文を終えた途端、ステラは手持ち無沙汰な静寂に陥る。
あくまで晩酌の為の軽い注文ではあるが、いかんせんだし巻き卵は注文を受けてから焼き上げるため、提供までに少々時間がかかる料理だ。
スマホすら持たされていない今のステラにとって、それは必然的に手持ち無沙汰な空白の時間となった。
ステラ「………」
手持ち無沙汰な空白の時間の中。ステラの視線に留まったのは、壁に飾られた一枚の色紙。
店の外観よりは幾分マシという程度の、黄ばんで古ぼけたその色紙。そこには当然のように、油性ペンでデカデカと豪快なサインが走り書きされていた。
大将「おッ!お客さん。やっぱり、そのサインが目に付きますかい?何を隠そう、あの“悲劇の怪物”・稲魂ステラ直筆のサインでさぁ!!!」
ステラ「……ああ、知ってる」
大将「そうでしょ! いやあ、ステラの旦那には生前、本当に贔屓にしてもらいやしてねぇ! お陰でサッカーファンの間じゃちょっとした聖地扱いですよ。何を食っても美味いって、あの旦那が言ってたもんだからーーー」
手際よくフライパンを振り、料理を仕上げながらも自慢げに語り続ける大将。だが……ステラの耳にはその言葉のほとんどが届いていなかった。
既に知っている情報だから聞き流しているのではない。ただただ……耳に差し込むその一言一言を、
大将「今や、このサインはウチの家宝ーー「……告だ」・・・へ?」
ステラ「善意100%の忠告だ。んな、特級呪物はとっと捨てな。口コミサイトに『不世出の天才を
大将「は、はぁ……」
氷のように冷え切ったステラの声には、相手を文字通り凍りつかせるだけの異様な威圧感が籠もっていた。
元々、気性が荒いで有名な大将だがーーあまりの剣幕と、フードの陰から覗く鋭い眼光に気圧され、それ以上言葉を続ける事が出来ず、引きつった笑みを浮かべてただ頷く事しかできない。
大将「ケッ!何でぇ!急に家宝を捨てろだとか抜かしやがって。変な客が来ちまったもんだ!!」
大将が冷や汗を拭いながら、気まずそうに厨房の奥へと引っ込んだその時ーーー
ーーガラガラ……
女将「いらっしゃいませー!……あら?」
???「失礼。一名だが……見ての通り車椅子が必須でね。悪いが、入店を少し手伝ってもらえないかな?」
女将「ええ。構いませんよ」
まるで、わざわざ見計らったかのようなタイミングで、車椅子の客は女将に手を借りながら、無機質なモーターの稼働音を低く響かせながら入店してきた。
決して不快なほどの音量ではない。だが、その規則的な音は少しずつ、確実にステラの背後へと接近しーーー
???「失礼、隣いいかな?」
ステラ「……どうぞ」
何の躊躇もなく、そのすぐ隣でピタリと動きを止めた。
車椅子の客はーーステラと同年代に見える、40代ほどの男だった。
両脚が不自由なため車椅子に体を預けてはいるものの、元々のガタイはいいのだろう。腰掛けた状態であるにも関わらず、その肩の位置はステラとほぼ変わらない高さだ。
ステラ「……オレに何か?」
車椅子の男は、肘をカウンターに突き頬を支えると、フードの陰にあるステラの顔をじっくりと覗き込んできた。
その瞳に込められた
???「おっと、失礼! いや〜、君は数年前に死んだ“
車椅子の男が投げかけた言葉には、明らかに
……だが、当のステラは眉一つ動かす事なく、出された冷たい水をグラスごとひと啜りするとーーまるで相手の挑発を嘲笑うかのように、低く静かな声を紡ぎ出した。
ステラ「……奇遇だな。オレもアンタとまったく同じ人相を持っていた人間を知ってるよ」
???「ホォ!それはそれは……さぞかし、ナイスミドルな色男なんだろうねェ」
ステラ「……ソイツは、サッカーが好きで好きでたまらなかった。……だが、肝心の
???「………」
ステラ「しまいにゃあ……“怪物”の二文字に取り憑かれて、自分の息子まで捨てたロクデナシだ。……いや、それはオレも同類か」
???「ロクデナシと罵る割には……随分と“
ステラ「……ああ。残念ながら、今でもしょっちゅう夢に出てくるよ。
ーーー
“雷帝”「奇遇だね。私もだ」
二人の男が交わした、あまりにも歪で、あまりにも残酷な邂逅。
下町の片隅にひっそりと佇む古びた居酒屋のカウンター席で、時空を超えた再会した『友』との不穏な共鳴しーー夜の帷はその濃度を増す。
外部の喧騒をよそに、泥と狂気と哀愁を混ぜ合わせたような重苦しい沈黙だけが居心地悪く漂いーーそして、宵は回っていく。
何というか、今回はどれだけ鬼道の存在が物語の潤滑油になっているかを魂で理解出来た回だった気がしますね……。
マ〜ジで彼の有無で、話の整理しやすが違い過ぎる。
ごめんね鬼道。ジェネシス戦で存在を忘れかけちゃって。