No side
飾り気の無い無機質な廊下に雷門イレブン達は集まっていた。
彼らの目線の先には大きな扉があり、その上には『手術中』と書かれた赤いランプが光っている。
雷牙が倒れた後、彼は稲妻総合病院に運ばれ現在手術を受けている。
だが既に手術が始まって数時間が経過していた。雷門メンバーは全員雷牙の手術が成功する事を祈っている。
パチッ!
赤色のランプが突如消えた。すると大きな扉が開き中から豪炎寺の父である豪炎寺勝也が現れた、どうやら雷牙の手術担当は彼であったようだ。
「父さん!雷牙はどうなったんだ⁉︎手術は成功したのか…⁉︎」
息子として、雷門イレブンを代表して豪炎寺が結果を聞く、だが勝也の表情はかなり複雑な顔をしている。まるで
「先に言っておく。手術は成功だ、なんとか彼の命を救う事は出来た…」
手術の成功の知らせに雷門一同は歓喜する。だが豪炎寺は父の顔を見て素直に喜ぶ事は出来ない。その予想は的中し、勝也から出た言葉はその喜びをかき消した。
「だが…脳へのダメージは深刻なものだ…。もしかしたら目を覚まさない可能性がある…。」
目を覚ます事はない。つまり雷牙はもうサッカーが出来ないと言っているのと同義である。
今日、豪炎寺の妹である豪炎寺夕香が昏睡状態から奇跡的に目を覚ました。だがその釣り合いを取るかのように稲魂雷牙が昏睡状態に陥ってしまった。運命とはなんて残酷なものであろうと思わずにはいられない。
長い沈黙の中、響木は監督としての責任を取る為にその場を離れようとする。
「…俺は稲魂の保護者にあいつの現状を知らせてくる。お前達は稲魂の側にいてやってくれ。」
本人としても雷牙の下にいてやりたいが、どのみち誰かがこの事実を知らせなければならないのだ。その時風丸が手を挙げた。
「待ってください監督、俺に伝えに行かせてください。それがあいつに命を救ってもらった俺に出来る唯一の罪滅ぼしだと思うんです…。」
「…分かった、だったらこの住所に行け。稲魂が住んでいるのはそこのアパートだ。」
響木は雷牙が住む住所のメモを風丸に渡す。するとメモを見た木野が反応した。
「あれ…?この住所私知ってるわ、ここって『木枯らし荘』でしょ?」
「『木枯らし荘』…聞いた事がないな。どうして木野はそこを知っているんだ?」
「だって……そこの管理人さんは私の親戚なんだもん。」
____________
「なぁ木野、本当にその人は稲魂の祖母ではないのか?」
「うん…、さっきお母さんに電話したけどヨネさんの孫に稲魂の姓の子はいないって言われたし間違いないと思う…。そもそも親戚の集まりで稲魂君を見た事がないし…。」
「…そうか、考えてみれば俺たちって稲魂の私生活の事は何も知らないんだな。」
風丸が知っているのは、雷門一のトラブルメーカーであり、自慢の仲間である稲魂雷牙の姿。
だが、何度も見ていた筈の仲間の姿は氷山のほんの一角であった事を嫌でも実感してしまう。
そんな事を考えているうちにメモに書かれた住所の前…『木枯らし荘』に到着していた。
「ここが『木枯らし荘』か…。言っちゃ悪いがまさに名前通りのアパートって感じだな…」
「ま、まぁ築50年くらい経つって聞いた事があるしそんなものじゃない…?」
『木枯らし荘』のレトロな雰囲気に若干冷や汗をかきながら入口の扉に手をかける。恐る恐る扉を開けるとギリギリと甲高い音を鳴らしながら開いた。
そして中にある管理人室と抱えたドアをノックすると白髪のアフロにピンクのハートの髪飾りをしたファンキーなお婆さんが現れた。
「は〜い、今行きますよ〜。あら!秋ちゃんじゃないの⁈久しぶりねぇ〜!そちらのイケメンはまさか彼氏?」
「ち、違うわよヨネおばさん!この子は風丸君、ここに住んでいる稲魂君のチームメイトなの。」
「あら、そうなの?でもどうしてこの子がここまで?もしかして雷牙くんが何かしたのかしら…?」
遂に雷牙の名前が出た事で風丸は覚悟を決める。今すぐにでも逃げ出したい気持ちでいっぱいだが、当然そんな事をする訳にはいかない。
「俺は…稲魂……稲魂君のチームメイトの風丸一郎太と言います。ある報告をしにここまで来ました。」
風丸の口は今までない程重かった。自分のせいであなたの知り合いが目を覚まさなくなったと言うのは誰だって簡単では無い。
「稲魂君は今、病院の一室で眠っています…。彼は俺を庇って落ちてきた木片にぶつかったんです。」
ヨネは風丸の言葉を聞き、雷牙は家に戻ってこない事を察したのか立ち話もなんだしと、管理人室に彼らを上がらせる。
「…事情は分かったわ。風丸君だったかしら?そんなに責任を感じなくていいのよ。あの子は普段はツンツンしているけど本当は誰よりも他人の事を考えている子なの。きっとあの子行動は本心からだったに違いないわ、それにもしあの子がここにいたら『心配すんな!』って笑って励ますと思うわ。」
風丸から一連の流れを聞いたヨネはあくまで不慮の事故だとし風丸を一切責めない。だが、本人にとっては雷牙の悲劇は自身の力不足が原因であると思っている為ヨネの励ましが逆に苦しくなる。
「…ありがとうございます。だけど今日の試合…俺はいや俺たちはあいつに助けられてばかりでした。今でもずっと頭に浮かぶんです。もっと俺に力があったなら…俺もあいつみたいに強くなれたならこんな事は起こらなかったんだって。」
風丸の表情にはヨネにも見覚えがあった。それは嘗てあの忌まわしき事故があった時に雷牙もしていたどうしようもない理不尽に打ちのめされた時に誰もがする顔だ。
「…ちょっとついて来てくれるかしら?あなた達に案内したい場所があるの。」
そう言ってヨネが案内したのは雷牙が住んでいる部屋だった。当然部屋には鍵がかけてあったがヨネは管理人権限のマスターキーを使い扉を開け、彼らを中に案内する。
「ここは稲魂の部屋ですか…。なんというか…想像よりも片付いていますね…。」
雷牙が住んでいる部屋は普段のエキセントリックな言動をする彼とは180度異なる、几帳面にキチっと整理されており、写真立てには家族と思わしき人達と満面の笑みで写っている雷牙がいた。
「ね?意外でしょ?昔からあの子のお母さんが整理整頓には厳しかったらしくてね〜、本人曰く指定の場所に物を片付ける癖がついちゃったんだって。」
「お母さん…。そういえば私、稲魂君が家族の人と一緒にいるところ見た事ないわ…。」
秋の言葉を聞いたヨネは少し悩んだが、彼が信頼するチームメイトになら話していいと考え、風丸達に雷牙の過去を話した。
彼はステラの養子である事、彼が小学3年生の時に飛行機事故で稲魂一家は亡くなった事、新たに養子に入るのでなく稲魂の姓を継いで父の故郷のイタリアに留学する決意をした事、どれも風丸達には初耳の情報ばかりだった。
「なんというか…俺はあまりにも稲魂の事を知らなかったと今気付かされました。これじゃチームメイトとして失格ですね…」
風丸は弱々しく自分を嘲笑しているが、ヨネは部屋の机の引き出しを開けて何かを探していた。
「え〜と…確かここにしまっているのを見た事があるのだけど…。あったわ!風丸君、これを貴方に託すわ。」
彼女が手渡したノートは綺麗な字でこう書かれていた。『俺の最強必殺技ノート』と…
「これは…?」
「雷牙くんが書き留めた必殺技ノートだそうよ。もう目を覚まさないかもしれないけど、せめて彼の意志をあなたが継いでちょうだい。」
雷牙の意志を自分が継ぐ…、本当に自分にそんな権利があるのか?と風丸はつい考えてしまう。彼の考えを察したヨネは微笑み彼を諭す。
「あら?もしかして自分にそんな権利があるのかって思っているでしょ?フフ…、あの子も最初はそうだったわ。でもね私は思うの、いなくなった人の意志を継ぐのを決めるのは他者ではなく自分の心だってね。」
「自分の心…。」
まだ自分の決意は固まっていない。だが、風丸の身体はノートを手に取る事を選んでいた。
その時木野のスマホから着信音が鳴る。
「はい、もしもし?え……用事が終わったら一度雷門に戻れって?分かりましたすぐに行きます。」
「どうした木野?もしかして稲魂に何かあったのか…?」
「ううん、響木監督が話があるから一度学校に戻って来いって…。もしかしてエイリア学園の情報を掴んだのかしら…?」
これ以上考えても彼らには何も出来ない為、一旦雷門に戻る事となった。
〜数十分後〜
地下の秘密基地に着くと既に彼ら以外の雷門イレブンは全員集まっていた。先ほどはいなかった一之瀬と土門も一緒だ。
風丸と木野が合流し、雷門イレブンが集合した事を総一郎が確認すると彼らに向かってある提案をした。
「よくぞ集まってくれた“イナズマイレブン”よ!!!私はここで先ほどのジェミニストームとの試合を見て確信した!!君達なら必ずエイリア学園を倒す事が出来ると!!」
総一郎の言葉は今の雷門イレブンにとってはあまりに重い言葉だった。何せ殆どのメンバーはなす術もなく奴らに蹂躙されるだけだったのだ、こうなるのも当然だろう。
「俺たちがジェミニストームを倒すって…、今日の試合がなんとかなったのは殆ど稲魂と豪炎寺と鬼道と円堂の4人のお陰だし…あんま誇れないな…。」
雷門イレブンの総意を凡人代表の半田が無意識のうちに伝える。その時どこからか聞き覚えのない女性の声が聞こえた。
「がっかりだわ。エイリア学園に善戦したチームと聞いていたから期待していたけど、結局一部の選手に引っ張られているだけのワンマンチームだったなんてね。」
「だ、誰だテメーは⁉︎いきなり俺たちを馬鹿にしやがって!!」
染岡が声の方向を向くと、そこにいたのは綺麗な黒髪が似合う長身の美女であった。
「パパ、この方は?この学校の職員ではないみたいだけど。」
「この方は吉良瞳子。雷門の新監督だ。」
『新監督〜〜〜!!!?』
まさかの響木ではなく知らない女性が自分達の新たな監督だと聞かされ驚く雷門一同。
円堂は急いで響木の方を向くと、彼はにやりと笑っていた。
「ひ、響木監督はついていってくれないんですか⁉︎」
「俺は裏方に回る事に決めた。それに彼女なら必ず俺以上にお前達の力を引き出してくれる筈だ。なぁに気にするな、経歴が一切不明な事以外は監督としては完璧だ、俺が保証する。」
「1番知らなきゃいけない所が不明な時点でかなり不安なんですけど…」
「こほん…。取り敢えずエイリア学園と戦うなら覚悟しておく事ね、私のサッカーは響木さんとは違うわよ?もし覚悟のない人がいるなら今すぐ家に帰る事を勧めるわ。」
「俺たちは逃げません!努力して次は必ずエイリアに勝ってみせます!」
「それは頼もしいわね。だけど私には決意ではなく結果で示してみせなさい。」
「言われなくともそうするつもりだぜ!俺たちが死ぬ気で特訓すれば絶対ェ奴らをぶっ飛ばせる!!」
染岡は瞳子に対して円堂以上の凄味を見せるが彼女は冷ややかな顔をしている。
「最初に断言しておくわ。貴方達だけではエイリア学園に勝つ事は不可能よ。」
「なんだと⁉︎そんな事やってみなくちゃわからねぇだろーが!!!」
当然染岡は彼女の言葉を否定するが、瞳子は話を続ける。
「あら?そこにいる半田君は言っていたじゃない?自分達がなんとかなったのは円堂君、豪炎寺君、鬼道君、そして稲魂君のお陰だって。私に言わせるとそれは事実よ。貴方達ではどんなに努力しても彼らの一歩後ろを歩くだけが関の山ね。」
一応自分が今の雷門の監督だというのに、まるで彼らの力を信用していない、その時響木が口を挟んだ。
「残念だが瞳子監督の言う通りだ。雷門イレブンだけではエイリア学園に勝つ事は難しいだろう。だからこそ、新たな仲間を集めるしかないのだ。」
「新たな仲間を集めるって一体どうやって…?」
「簡単な事だ。みんなグラウンドまで移動するぞ。」
エレベーターでグラウンドに上がるとなんと隠されたハッチが開き中から巨大なキャラバンが現れた。
「す…スッゲェーー!!!雷門中にこんなキャラバンがあったなんて!!!」
「なんて大きさだ…!帝国の移動用のバスでもここまでの大きさは見た事ないぞ…。」
「これはイナズマキャラバン。君達はこれに乗って全国を旅し、エイリア学園に対抗できるチーム…『地上最強イレブン』を揃えるのだ!!!」
まだ見ぬ実力者を探す為に全国を回る事になった雷門イレブン達。
取り敢えず、両親の許可を得る為に今日は解散し、明日の朝出発する事になった。
皆が帰宅した後、瞳子と響木は地下室に戻り今日の事について話し合っていた。
「就任早々ならなか手厳しい事を言うじゃないか瞳子監督。」
「私はあくまで今の現状を言ったまでです。エイリア学園と戦う道を選んだ以上甘い考えは不要です。」
「そうか…、ならば君は円堂達以外でエイリアに対抗できる選手はもう雷門にいないと断言出来るのか?」
「……いえ、彼らに追いつく事が出来ると判断した選手は1名だけいます。」
「その選手の名前は?」
「………
風丸一郎太です。」
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「そうか…、にわかには信じられないが今のニュースを見ていると冗談ではなさそうだな…。分かった、雷門にはお前の力が必要ならば仕方ない。宇宙人に地球人の力を見せつけてやれ!」
「お兄ちゃん頑張って!!宇宙人なんてお兄ちゃんのシュートで蹴散らしちゃえ!!!」
父の説得と妹の見舞いを兼ねて再び病院に戻った豪炎寺は2人からの熱い応援を貰った。
特に昔の元気を取り戻した妹の声援は豪炎寺により力をくれる。
親の許可を得た事で明日に備え家に帰宅する事にする。だが彼の帰り道の途中で大柄なスキンヘッドの男達が豪炎寺の前に立った。
「…誰だ?」
「豪炎寺修也だな?我々はエイリア学園の者だ、貴様に話がある。」
男達の正体はエイリア学園が放った刺客だった。
嫌な予感がした豪炎寺は思わず身構えてしまうが、男達は豪炎寺に危害を加えようとする気配はない。
「ククク…、そう身構えるな我々はお前に危害を加えるつもりは無い。だが
「何だと…!まさか俺にあいつらを裏切れと言うのか…⁉︎」
「さぁな?ただこれだけは覚えておけ、俺達は常にお前を見ている事をな。」
そう言うと男達の姿が突如消える。あまりに不穏な言葉を投げかけられた豪炎寺の闘志の炎は揺らめいていた。
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「稲魂……、俺は本当にお前の意志を継ぐ権利はあるのかな…?」
両親の許可を貰った風丸は何故かスーツケースを引きながら歩いていた。
約束の時間は明日の朝6時である、
さらに不可解な事に彼が向かっている方向は雷門中とは逆方向だ。歩き続ける事数分、彼が到着したのは河川敷だった。
ベンチに座り、ヨネから貰ったノートを開き友が残した必殺技を確認する。
ノートに書かれた字は円堂大介が残した秘伝書とは比較にならない程綺麗なものだった。
ご丁寧にシュート、ドリブル、ディフェンス、キーパーの4つの章に分けられ、そこそこ分かりやすい図と共に技の概要が書かれている。
『やっぱり速度が足りない?』
『多分これは連携技向きだな。』
『なんで“マカロニスパゲッティ”を技名にしたんだ俺は?』
本人が書いたであろう脚注はどれも生き生きとしている。どの技もあの悲劇が無ければ彼が習得していたであろう可能性の数々だ。
ふとグラウンドに目をやると試行錯誤している雷牙の幻影が見えてしまった。
「稲魂……!!いや、幻か…。駄目だなこんなんじゃお前に顔向け出来ないな…。だから見ていてくれ、俺がお前の意志を継ぐのに相応しい選手かを…!」
風丸は恐らく雷牙が練習中であったであろう何度も開かれた形跡のあるページに書かれた必殺技を穴が開くほど見つめると、彼はジャージを脱ぎユニフォーム姿になる。
そして、無人のゴールに向かってシュートを打ち始めるのだった。
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「でりゃぁぁぁぁぁぁあ!!!」
円堂はいつもの鉄塔で日課のタイヤを用いた自主練を行なっていた。
「やはりここにいたか。どうやら既に考えは決まっているようだな?」
円堂が後ろを見ると声の主は鬼道だった。どうやら彼は円堂を探していたようだ。
「まぁな。多分エイリアの奴らを放っておいたら雷牙みたいな罪の無い選手がきっと傷つくからさ。誰かがやらないといけないんだと思う。」
「強いな円堂は。あくまで稲魂の敵討ちの為ではなくこれ以上悲劇を起こさない為に戦えるなんてな。」
「そんな事ないさ。確かに雷牙が倒れた時はどうしようもなくエイリアの奴らが憎くてしょうがなかった。けどさ、救急車で運ばれて行く雷牙を見て思ったんだ。きっとあいつなら復讐の為じゃなくてサッカーの為に戦えって言うって、だから俺はサッカーの為に戦うって決めたんだ。」
「だったら1日でも早くジェミニストームに勝てるように特訓しなければな。明日また会おう円堂。」
「ああ!!またな鬼道!!!」
明日に向けて家に帰る鬼道。鬼道との会話でさらに闘志が沸いたのか円堂のタイヤを殴る力を強めている。
だが、彼は気づかなかった。鉄塔の上から彼を見下ろす人影がいる事に。
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〜翌朝〜
約束の時間までまだ1時間以上もある中、雷門のグラウンドに人の姿が見える。
そこにいたのは雷門中一の遅刻魔である円堂守だった。彼は既に決意を固めている。それは眠った親友の仇を討つためではなく、彼が大好きだったサッカーをこれ以上、惨劇の道具にさせない為にジェミニストームを止める為だ。
「珍しいなお前が一番乗りとはな。」
「へへへ…!雷牙の事を考えたらいても立ってもいられなくなってな!そういう鬼道だって、普段ここまで早くは来ないだろ?」
「フッ、まあな。」
円堂と鬼道に続いてぞくぞくと雷門イレブン達が集まっていく。だが、その中に風丸の姿は無い。
「風丸さんまだ来ないですね…?もしかして不参加って事はあるんでしょうか…?」
「……それは分からないわ音無さん。でも私は信じてる、風丸君はきっと来るって。」
雷門イレブンは風丸を待つが10分、20分、30分…いくら待っても風丸はやって来ない。とうとう約束の時間まであと5分前になってしまった。
「あと5分か…。風丸がいなければDFの連携が乱れる可能性があるが、あれだけの事があったんだあいつを責める権利は俺たちには無い。」
すると正門の方面から人影が現れた。その人影は遠目からでも分かる鮮やかな青髪とポニーテールを結んでもよく目立つ長髪の美少年だった。
だが、少年はまるで喧嘩でもしたかのように身体中が傷と痣だらけであった。
「遅れて悪かったなみんな!」
『風丸(さん)!!』
「でも、なんでこんなにボロボロなんですか?もしかして行く途中でこけたんですか?」
「いや…少し特訓をしていてな、心配かけてすまなかった。」
「ようやく揃ったようね。では、今から私達はエイリア学園を討伐する為の旅を始めるわ!戦う覚悟が無い者は最後のチャンスよ、本当に覚悟ある人だけキャラバンに乗り込みなさい!」
瞳子は最後の確認をとるが誰1人キャラバンに乗らない人間はいない。雷門イレブンの覚悟は既に決まっていた。
「よーーし行くぞみんな!!俺たちがエイリア学園を倒すんだ!」
『おう!!』
雷門イレブンの大声がキャラバンの中に響き渡る。彼らに待ち受ける運命がどのようなものであるのかは、まだ誰にも分からないだろう。
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場面は変わって雷牙が入院している稲妻総合病院に移る。彼は相変わらず眠っているが一つだけ不可解な現象が起こっている。もう夜だというのに彼の病室から光が漏れ出しているのだ。それも
「おや…なんだあの光は?なぜ稲魂君の病室からあのような光が漏れ出ているのだ?」
彼の様子を見るために病室に向かっていた勝也はあり得ない光を見て不審に思い、急いで病室のドアを開ける。
そこには雷牙以外誰もおらず、先ほどの光は自分の見間違いだったのだと勝也は思ってしまう。
「…見間違いか。私ももう歳だな…いや、ここ最近色々ありすぎて流石に疲れているのだろうな…。」
自身の加齢を実感しながら勝也は簡単な検査を行った後病室を後にする。
しかし、彼が見た光は見間違いではなかった。それを証明するかのように再び雷牙1人になった病室のベッドの下から
謎の人物は手に持っている
Q.なんで風丸はギリギリまで来なかった?
A.責任を感じた風丸が自分は雷牙の意志を継ぐ権利があるかを試す為に雷牙のノートに書いてあった“ある技”を徹夜で練習してたのが原因です。もしも時間までに完成しなかった時は自分に継ぐ権利は無いと判断し、キャラバン乗りを辞退した後サッカー部を辞めるつもりでした。
Q.ジェミニストーム弱すぎじゃね?
A.大体アルファのせい。プロトコル・オメガの介入により雷門イレブンの強さがインフレしてしまい、それに比例するように“神のアクア”の性能が跳ね上がった事がジェミニに善戦できた大きな原因。(だがエイリア学園が弱体化したとは言っていない。)
Q.天馬が沖縄で雷牙と出会ったって言ってるからどうせ復活するんだろ?
A.あくまでアレはプロトコル・オメガが介入しなかった歴史、つまり正史での出来事である為あまり信用しない方がいいです。実際、正史では雷牙はジェミニストーム戦で脱退してません。