イナズマイレブンHEROS!!!   作:月兎タンク

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前回の真・帝国戦は原作見ながら書いていたんですけど、闇堕ち佐久間の声があまりにも息の荒い壁山すぎて集中出来ませんでした。


一時の休息

「おっ!やっと見えたぞ稲妻町だ!!」

 

真・帝国学園との試合の後、今の所イプシロンの襲撃予告がない為、一旦稲妻町に帰還した雷門イレブン達。久々の故郷という事もあり、円堂はいつもよりも元気そうだ。

 

「あ、あれって杉森じゃないか⁉︎」

 

見慣れた河川敷に通りかかるとグラウンドで御影専農のキャプテンである杉森が、雷門のジャージを着ている白髪の少年とPK戦を行っていた。少年が放った“ファイアトルネード”にも似たシュートは杉森の“シュートポケット”を突き破り、ゴールネットを激しく揺らす。

 

「凄いな今のシュート!それに杉森も久しぶり!」

 

「久しぶりだな円堂!紹介する、こいつの名は闇野カゲト。シャドウと呼ばれているらしい。」

 

「……よろしく頼む。」

 

杉森の話によるとシャドウはエイリア学園が襲撃してきた日に雷門に転入してきたそうだ。本人はFFで優勝したサッカー部目当てだったそうだが、肝心の雷門サッカー部が全国を回っていた為途方にくれていた所、ある目的の為に実力のある選手を探していた杉森に声をかけられたそうだ。

 

「俺はエイリア学園に対抗する為の“バックアップチーム”を設立したんだ。」

 

「“バックアップチーム”?」

 

「ああ!雷門が打倒エイリアの為に頑張っていると聞いてな、いても立ってもいられなくてな、俺も何か出来ないかと思って立ち上げたのが“バックアップチーム”だ。」

 

杉森が設立した“バックアップチーム”にはエイリアに学校を潰されたサッカー部達が主に所属しており、木戸川清修の監督の二階堂がコーチを務めているそうだ。

 

「ありがとう杉森!すげー元気もらったぜ!」

 

「ああ!頑張ってくれ雷門イレブン!」

 

お互い熱い握手を交わし、目的地の雷門中へ向かうのだった。

 

〜数分後〜

 

ジェミニストームによって破壊された校舎は既に瓦礫が撤去され、新たな校舎に建て直している途中だ。

 

「パパ!久しぶり!」

 

「おお夏未!帰っていたのか!」

 

工事の経過を見る為に雷門中に来ていた理事長を見つけた夏未は、顔を綻ばせて年相応の姿を見せる。

 

「諸君!よく戻ってきてくれた!夏未から報告を受けて、エイリアの手が影山にまで伸びていた事は驚かされたが、きっと君達ならば必ず戦いぬけると信じている!…とはいえ休みも大切だ、短い休息になると思うが存分に羽を伸ばしてくれたまえ!」

 

「みんな、これからは自由行動よ。各自家に帰ったりして次の戦いに備えなさい。助っ人組は私がホテルをとっておいたから、メールの場所に行きなさい。」

 

「そうだ!今から雷牙のお見舞いに行こうぜ!もしかしたら目を覚ましているかもしれないしさ!」

 

円堂の提案に雷門イレブンは乗り気であったが、気まずそうにしている理事長を見た瞳子は雷牙の見舞いに行く事を禁止させる。

 

「駄目よ、稲魂君のお見舞いに行く事は許可しないわ。」

 

「え…、なんでですか監督?雷牙は俺たちの大切な仲間なんです!今は意識が無くても、声をかけてあげたいんです!」

 

「貴方達の気持ちはよく分かるわ。でも、先日の真・帝国学園の件で稲魂君にもエイリア学園の魔の手が伸びる可能性が出てきたわ。だから現在、彼の病室は鬼瓦刑事の指示で、関係者以外の立ち入りは禁止されているわ。恐らく貴方達でも入る事は出来ないでしょうね。」

 

瞳子の言葉は強い説得力のあるものだった為、雷牙のお見舞いは諦める事になった。すると木野がある提案をする。

 

「あっ!じゃあお手紙を書くのはどうかしら!稲魂君が目を覚ました時に私達が書いた手紙があったらきっと喜ぶわよ!」

 

「ええ、それくらいなら大丈夫と思うわ。」

 

「手紙かぁ〜!なんか新鮮でいいな!鉛筆取ってくる!」

 

手紙を書く為に円堂がキャラバンに行くと、他のメンバーも続いて行く。誰1人手紙を書かない人間がいないあたり、雷牙の人望がよく分かる。

 

「皆に愛されているのだな稲魂君は。」

 

「少し違うわパパ。稲魂君は信頼されているのよ、医者から目を覚まさないと言われても彼ならその“常識(ルール)”すらも破ってくれるって…、彼には私達にそう思わせる何かを持っているのよ。」

 

雷牙の事を話す夏未はどこか嬉しそうだ。雷牙宛の手紙を書き終わった雷門イレブンは各自、自由時間を過ごす。といっても殆どは練習しているのだが。

しかし、皆が河川敷で練習している中、熱也だけはその場にいなかった。

 

「え〜と…205号室ってどこだ…?」

 

「意外じゃねぇか、お前が病院にいるなんてよ。」

 

声に反応した熱也はすぐに後ろを振り向くと、そこには入院用の服を着た染岡がいた。不動から受けた足へのダメージはかなりのものだったが、風丸があれ以上染岡に無理をさせなかったおかげで、重大な怪我にはならなかったようだ。それでも数日は入院しなければならないそうだが。

 

「…別に、染岡がしけた面をしてねぇか見に来てやっただけだ。」

 

「へっ!よく言うぜ、俺が倒れた時に不動に殴りかかろうとしてた癖によ。」

 

「あれはモヒカン野郎の態度が気に食わなかっただけでお前の為じゃねぇ!」

 

「病院ではお静かに!」

 

看護師さんに怒られた事で、立ち話は他の患者に迷惑だと判断し、2人は病院の屋上に場所を移した。いつとは話す度に口喧嘩になる2人だが、今はどうしても軽口を叩く気にはなれなかった。しばらく沈黙が続いたが、それを破ったのは染岡だった。

 

「なんかさお前が俺の為に怒ってくれた時、少し嬉しかったんだよ。なんやかんや言ってお前も俺を仲間だと認めてくれてたんだって分かってさ。」

 

「染岡…。」

 

「だからそんなにしけた顔すんなって!風丸が止めてくれたおかげで少し安静にしてれば治るって言われたんだ、すぐに復帰するさ。それまで雷門のFWを頼むぜ!」

 

「… へっ!誰に言ってんだ?俺は天下の“熊殺し”だぜ?イプシロンなんざ、俺の“エターナルブリザード”で纏めて凍らせてやるよ!!!」

 

染岡の喝をもらった熱也はいつもの調子に戻る。

 

熱也にとって染岡は初めて自分の隣にいる事を許したFWだった。兄の士郎も稀にFWをする事もあるが基本はDFだ、自分と対等の実力を持ち、ましてや連携技を放つ選手など白恋にはいなかった。だからこそ染岡が怪我で離脱した事はショックだったのだ。

 

元気を取り戻した熱也は河川敷に向かい、練習に参加する。全てはイプシロンにリベンジする為に…。

 

〜2日後〜

 

稲妻町を出発するのは明日であるが、雷門イレブンは瞳子に呼び出されイナビカリ修練場に集まっていた。

 

「瞳子監督…急に俺たちを呼び出したけど、どうしたんだろうな?」

 

「もしかしたらイプシロンの次の襲撃予告が届いたかもしれないな。」

 

瞳子からは特に内容を聞かされていない為、もしかしたらリストラの宣言か⁉︎などと一年を中心に騒ついている。

 

「集まったようね皆。」

『監督!』

 

指定された時間となりようやく姿を現した瞳子だが、その手にはいつも試合でスタメン発表時に使っているボードを持っている。

 

「今日集まってもらったのは今の雷門メンバーを再編成する為よ。」

 

「さ、再編成…?どういう事ですか監督?」

 

「何人か助っ人が入ってくれた事でキャラバンも手狭になってきたからね。杉森君が“バックアップチーム”を作ってくれたから、抜けたメンバーはそっちに入ってもらうわ。」

 

予想通りのリストラ宣言であるが、豪炎寺の時とは異なりアフターフォローが明言されている分まだ動揺は少ない…気がする。実際、最近は女子はまだしも男子陣は狭い中で壁山のいびきに悩まされていた為、そこまで拒絶反応はないだろう。

皆が静かになった事を確認した瞳子はスタメンを発表する。

 

「まずはFWに吹雪熱也、吹雪士郎!」

 

「はい!」

「へ〜い。」

 

「次にMF、鬼道有人、一之瀬一哉、鳳凰院或葉、財前塔子!」

 

『はい!』

 

「DF、風丸一郎太、壁山塀五郎、土門飛鳥、木暮夕弥!」

 

「「「はい(っス)!」」」

「えっ俺も⁉︎」

 

「最後にGK、キャプテン円堂守!」

 

「はい!」

 

「そして控え選手として、半田真一、松野空助、影野仁、栗松鉄平採用するわ。」

 

今回抜けたのは、怪我で離脱した染岡を除くと宍戸と少林の1年組だ。

 

「宍戸君と少林君は惜しくも不参加だけど、先ほども言った通り“バックアップチーム”に移動してもらうわ。響木監督に頼んで“バックアップチーム”はこれから帝国学園で二階堂監督とイナズマOBの皆さんがコーチについてもらう事になったわ。そこで帝国イレブン達と特訓をしなさい、いつか必ず貴方達の力が必要になる場面がある筈だからしっかり鍛えてもらうのよ。」

 

「「は、はい!」」

 

「あの〜僕はどっちに入ればいいのでしょうか…?」

 

雷門にもバックアップチームにも呼ばれていない目金は恐る恐る瞳子に質問すると、彼女は軽い笑みを浮かべ答える。

 

「目金君には情報分析を活かして、マネージャー業に参加してもらうわ。もしかしてバックアップチームがよかったかしら?」

 

「い、いえ〜!精一杯頑張らせていただきます〜!」

 

無駄にプライドが高い目金も瞳子の前ではただの子供だ。どっちみち、彼の実力ではこれ以上の戦いについて行けないから彼の能力を活かすのがいいだろう。

 

「それと次の目的地は大阪に決まったわ。」

 

先日、理事長の調査でジェミニストーム、イプシロンの両チームが大阪で目撃情報が出ていた事が判明した。大阪に奴らのアジトがある可能性がある為、調査をしに行くというわけだ。

 

「大阪っスか〜!お好み焼きにたこ焼き…美味いもんがいっぱいあるっスね〜!!!」

 

「壁山…旅行に行くんじゃないでやんすよ…。」

 

まるで旅行に行くかのように呑気な考えをしている壁山に突っ込みを入れる栗松、そんな彼らを見て雷門イレブンは笑う。

新天地の大阪にはどんな出会いが待っているのだろうか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

______________

 

ここはエイリア学園の本拠地の訓練場。雷門との決戦に備えてイプシロンは激しい練習を行っている。

その様子を遠くから見つめる鉄仮面の男がいる。新マスターランクチーム“レグルス”のキャプテン、アケボシだ。

 

「おい“新入り”ちょっと面貸せよ。」

 

「……。」

 

イプシロンの練習を見学する彼に、バーンが話しかけた。普段から刺々しい言葉使いの彼だが、アケボシと話す時はより一層荒っぽい。

 

「へぇ、無視かよ?このバーン様直々に話しかけてやってるってのに失礼な奴だな?」

 

最初からバーンに興味は無いのか、はたまた鉄仮面のせいで喋らないのかは定かではないが、アケボシはバーンに返事をしない。苛立つバーンだが、後ろから声が聞こえる。

 

「困りますねぇ。彼への会話には私を通してもらわないと。」

 

「誰だテメェ?」

 

突如現れた糸目の少年はバーンに対してお辞儀をした後、自身の自己紹介をする。

 

「申し遅れましたバーン様。私の名はケイワク、我らのキャプテンであるアケボシの言葉を皆様に伝える者です。」

 

自己紹介をされて初めてバーンは、ケイワクの存在を思い出す。確か彼はイプシロンメンバー候補のファーストランクだった筈だ。だが、彼の口ぶりからして今は“レグルス”に所属している選手の筈だ。

 

「解せねぇなぁ。テメェは確かファーストランクの補欠にもなれねぇ中途半端な落ちこぼれだった筈だろ?そんな奴がなんでマスターランクに昇格していやがるんだ?」

 

「おや聞いていないのですか?アケボシが率いるチーム”レグルス”のメンバーは全員元セカンドランクかファーストランクで構成されているのですよ。」

 

「はっ!要するに人員が足りねぇから人数合わせで作られた即席チームって事だろーが!そんなチームがマスターランクを名乗るなんて笑わせるぜ!!」

 

「……。」

 

「ふむふむ。バーン様、アケボシのお言葉です。『英雄は語る。“落ちこぼれでも必死に努力をすればエリートに勝てるかもよ”』との事です。」

 

「だったらテメェの実力を俺に見せてみな!!!」

 

アケボシの言葉を聞き、青筋を立てながら声を荒げるバーン。彼は口より先に身体が動くタイプの性格の為、次のアケボシの返答次第では拳を飛ばす事も厭わないだろう。

 

「いかがなさいますかアケボシよ?ふむふむ…、おお!ならば私もお供します!」

 

「おい!結局受けるのか受けないのかどっちなんだよ!」

 

「これは失礼バーン様。我々は至急大急ぎの用事あるのです、アケボシとの勝負はまた次の機会に…。」

 

「ふざけてんじゃねぇぞ!テメェの都合なんざ関係ねぇ!今すぐ俺と勝負しやがれ!!!」

 

やる気を感じられずこの場から去ろうとするアケボシを見て、遂に堪忍袋の緒が切れたバーンは彼に向かって殴りかかる。だが、その拳は彼に届く事はなかった。

 

「よくないなバーン。“父さん”はいつも言っているだろう?揉め事は暴力ではなくサッカーで解決しろって?」

 

「離しやがれグラン…!」

 

バーンとアケボシの喧嘩を仲裁したのはグランであった。彼の口ぶりから察するにどうやら彼はアケボシの方に立つらしい。

 

「本当に君はアケボシの事が嫌いなんだね。たまには拳じゃなくて言葉で語り合ってみたらどうだい?意外と気が合うかもよ?」

 

「俺が嫌いなのはアケボシだけじゃねぇ!テメェもだグラン!テメェは誰よりも“父さん”の寵愛を受けていやがるからなぁ!」

 

自分の目の前に嫌いな人間が2人も登場した事で、ますます声を荒げるバーン。余程彼には興味がないのかアケボシはケイワクを連れてその場から離れてしまう。

 

「待ちやがれアケボシ!俺と勝負をしろ!!!」

 

グランの静止を振り切りアケボシを追いかけるバーン。気がつくとイプシロンも既に練習を終えており、広い練習場にはグランだけが取り残されている。

 

「やれやれ、やはりこうなるか…。」

 

正直に言うとグランはアケボシがマスターランクチームに加入する事により、最も反発するのはバーンであると確信していた。

そもそもグランはアケボシの昇格を“父さん”に助言こそしたが、それは“プロミネンス”か“ダイヤモンドダスト”のどちらかに加入させるべきという意味だった。

バーンとガゼルは絶対に否定するだろうが、現在4つあるマスターランクチームの中で、チームの総合力はグラン率いる“ガイア”が頭一つ抜けている。

だが、その要因はバーンとガゼルの実力がグランよりも劣っているのではなく防御力不足が原因である。

特に両チームのキーパーは“ガイア”のネロと比べると明らかに実力は劣るどころか、純粋な実力はファーストランクのデザームと同等…なんなら総合力ではデザームの方が上回っているだろう。

だからこそ、アケボシを加入させる事により彼らの弱点を補ってやろうと考え父に推薦したのだ。

だが、父はあえて第4のチームを設立する事を選んだ。それもチームメンバーの選出をキャプテンであるアケボシに一任して。

 

「俺としてはもっと彼とサッカーをしていたかったけど、“父さん”の決めた事ならしょうがないか、それに彼と同じくらい面白い子も見つけたしね。」

 

グランは雷門イレブンのキャプテンである円堂守の顔を思い浮かべると、自然と口角が上がってしまう。

 

「楽しみだよ、いつか君とサッカーするのがね…円堂君。」

 

グランが浮かべた笑みは、円堂と同じくらい純粋な微笑みだった。




最初はシャドウをキャラバンに加えようと思っていましたが、原作での活躍が少なすぎて、どんな口調なのか分からなかった為今回は保留にしましたが、今回一時的に離脱したメンバーも含めて後々活躍の場を設けます。
あと、割とガチで栗松を控えに入れるか悩みましたが実力的にはいらなくても、抜けたら抜けたで盛り上がりにかけるので仕方なく補欠にしました。

〜オリキャラ〜

ケイワク:チーム“レグルス”の副キャプテンであり、アケボシの通訳。ポジションはGK。他のマスターランクチームとは異なりキャプテン事は呼び捨てだが、これはケイワクに限った事ではなくチーム“レグルス”自体が階級差の無いフラットな関係であるため基本は呼び捨て。名前の由来は火星の異称である熒惑。
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