イナズマイレブンHEROS!!!   作:月兎タンク

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遂に来ましたイナイレ2屈指の鬱章“福岡編”。イナイレ二次創作はここをどう料理するかでその後の物語が大きく変わるイメージがあります。


福岡に潜む妖怪

「爺ちゃんのもう1つのノートを手に入れに行くぞぉ!!」

 

『おおー!』

 

今、イナズマキャラバンが向かっているのは福岡の陽花戸中という学校である。イプシロン戦を終えて少し経った後、福岡に円堂大介が残したノートがあるとの情報が入り急遽そこに向かう事となったのだ。

 

「一体どんな事が書いてあるんだろうな!もしかしたら“マジン・ザ・ハンド”を超える必殺技が書いてあったりするのかも!」

 

「“マジン・ザ・ハンド”を超えるって…、あの技以上のキーパー技なんてそうそうないだろ…。」

 

口ではそう言う土門だが、あの大介が遺したもう一つの秘伝書に期待している。久しぶりにエイリアが絡まない移動に雷門にも心の余裕があるのだろう。

 

〜数時間後〜

 

「よう来んしゃったね〜。話は聞いとるよ〜、君が大介の孫の守君じゃな?ほほほ!大介にそっくりじゃわい!」

 

ようやく目的地の陽花戸中に到着した雷門は陽花戸校長から手厚い歓迎を受けた。どうやら夏美の父総一郎とは大学の後輩であるらしく、その縁で総一郎に大介に裏ノートの存在を教えたとの事だ。

 

「ほら!これが大介が遺した“裏ノート”たい!」

 

校長が遺した大介の裏ノートは秘伝書と同様に古ぼけていた。中を開くとこれまた解読不可能な字と絵で書かれた内容を見た円堂はその技の数々に感動する。

 

「確かに爺ちゃんの字だ…!“正義の鉄拳”、“ムゲン・ザ・ハンド”、“ジ・アース”…!秘伝書にも載っていなかった技がいっぱいだ!」

 

「大介曰く“究極奥義”らしいばい。でもこの技は大介でも習得する事が出来なかった技ばい、そう簡単に習得する事は出来んよ。」

 

「やってやりますよ!俺が爺ちゃんの意志を継いで“究極奥義”を完成させてみせます!」

 

そう言う円堂の姿に大介の面影を見出した校長は微笑み、この学校のサッカー部と会う事を勧めた。

 

「本当ですか⁉︎楽しみだなぁ!爺ちゃんの母校のサッカー部ってどんな感じなんだろう⁉︎」

 

陽花戸サッカー部に会う為に校長室から出ようとすると、校長は何かを思い出した様子で円堂達を引き止める。

 

「あぁ、そうそう。暫くここに滞在するつもりなら夜の学校に気をつけりぃよ〜。」

 

「どうしてですかおじ様?もしかして不審者の目撃証言でもあるのですか?」

 

「いやいや、そんな事はなか。ただこの学校には出るんよ〜…“妖怪”が。」

 

「「よ、妖怪〜⁉︎」」

 

突然不穏な事を言い出した校長に円堂は苦笑いをする。だが、校長は本当に“妖怪”が出ると信じているようだ。

 

 

 

 

 

_____________

 

「ようこそ雷門イレブンの皆さん!俺は陽花戸サッカー部のキャプテン戸田といいます!俺達陽花戸サッカー部は皆さんのファンなんです!」

 

「そう言ってくれると嬉しいよ!みんなもよろしくな!」

 

『よろしく!』

 

「あっそうだ!おーい立向居!憧れの円堂さんが来ているんだぞー!会わなくていいのかー?!」

 

戸田が“立向居”という名を呼ぶと、手と足の動きがシンクロする珍しい歩き方をする童顔の少年が円堂に向かって歩き出した。少年は円堂の前に立つとガチガチに緊張しながら話す。

 

「よ、よ、よ、陽花戸中1年の!た、立向居勇気と言います!!!お、俺!こ、この前のFFでの円堂さんの活躍を見てからずっと円堂さんに憧れていたんです!!!実物の円堂さんに会えてか、感動です!!!!」

 

「立向居は前はMFだったんですけど、円堂さんに憧れてGKに転向したんですよ。いや、立向居だけではありません、弱者サッカー部だった俺達も皆さんのFFでの活躍を見て頑張ろうと思えたんです!」

 

自分達の活躍を見てくれた事に思わず感動してしまう円堂。すると立向居は照れながら円堂にあるお願いをする。

 

「あ、あの円堂さん!俺が習得したキーパー技を見てくれませんか?」

 

「キーパー技?いいぞ、お前の力を見せてくれ!」

 

ゴール前に立つ立向居に一之瀬がシュートを放つ。ノーマルシュートといえど鋭いキレのあるシュートは並大抵のキーパーでは止める事は出来ないだろう。

立向居は陽花戸イレブンとは次元の違う一之瀬のシュートに驚きつつも右手に気を溜めて放出する。

 

「“ゴッドハンド”!!!」

 

なんと立向居が放ったのは円堂の得意技である“ゴッドハンド”であった。

 

「スゲェ…!“ゴッドハンド”だ…!まさか俺以外に出来る奴がいたなんてな!!凄いじゃないか立向居!!!」

 

まさか自分以外にも大介が残した“ゴッドハンド”を使える人間いるとは思っていなかった円堂は興奮して立向居の手を握り、何度も上下に振る。憧れの人に褒められた立向居は照れながら語る。

 

「お、俺…円堂さんに憧れてから何度も試合の映像を見て特訓したんです!でも…やっぱり映像だけじゃ行き詰まっちゃって…、その時ある人(・・・)にコツを教えてもらったんです!」

 

「ある人?」

 

「は、はい!その人は…「おい立向居!その話は絶対にするなって本人から言われてただろ!」 …! そ、そうだった…、ごめんなさい円堂さん!やっぱりこの話は忘れてください!」

 

「お、おう…。」

 

戸田に叱られ“あの人”の話を打ち切る立向居。何やら事情があるようなのでこれ以上は詮索しない事にした。

その日は裏ノートに書かれてあった最強のパンチング技である“正義の鉄拳”

の練習を行い1日を終えた。

 

______________

 

「う〜んトイレ…でやんす…。」

 

寝ている中で尿意を催した栗松は皆を起こさないように、そっとキャラバンから降りて、近くの茂みで尿を足す。

 

「ふぃ〜、あれ…?何か光ってるでやんす…。」

 

何やら月明かりに反射されて淡く光る宝石のようなものが見える。するとその宝石は突如動きだす。不審に思った栗松は光を追いかけると開けた場所に出る。光の持ち主は、緑色の風呂敷を包み、赤色の猫の仮面をつけたまさに“化け猫”と形容してもいい恰好をした不審者であった。

 

「見〜た〜ニャ〜…!」

 

「うぎゃぁぁぁぁあでやんす〜!!!!」

 

“化け猫”が声を発した事により、命の危険を感じた栗松は大声で叫んでしまう。栗松の絶叫を聞きつけた雷門イレブン達は眠りから覚め、急いで彼の声がする方向に向かう。

茂みを抜けた先にいたのは腰を抜かして動けなくなった栗松だった。

 

「どうしたんだ栗松⁉︎まさかエイリアがいたのか⁉︎」

 

「よ、よ…妖怪が出たでやんすよ〜!!!」

 

「へっ?妖怪…?」

 

栗松はそう言って“化け猫”がいた場所に指を指すが、そこには誰もいない。

 

「あ、あれ…いないでやんす?で、でも確かに見たでやんす!この世の者とは思えない恐ろしい声で俺を食べようとしたバカでっかい赤猫が〜〜!!!」

 

現実的では無い栗松の主張に皆苦笑いをしている。壁山より少しマシなくらいにはビビり癖のある栗松の事だ、別のものを見間違えたのだろうと皆が決めつけている。

 

「…流石に冗談がすぎるぞ栗松。妖怪は昔の人が作り出した幻だ、本当にいる訳が無いだろう。」

 

エイリア学園と名乗る宇宙人と戦っていながらも妖怪の存在は否定する鬼道。

 

「信じてくれでやんす〜!!本当に見たでやんすよ〜!!」

 

結局栗松の主張を信じる者はおらずその場から離れる。だが、彼らは気付かなかった…、栗松が見た“化け猫”は彼らのすぐ近くの木の上にいた事に…。

______________

 

「いくぞ円堂!“ペガサス・ウィングV3”!」

 

「うぉぉぉぉお!“正義の鉄拳”!!! ぐわぁぁあ!」

 

今日も“正義の鉄拳”の特訓をする円堂だが、中々上手くいかない。裏ノートに書かれていた内容は“ グッと握って、ダン!そしてギューン”。相変わらず擬音語ばかりで訳が分からない内容だ。この場に翻訳係の雷牙がいない事を惜しんだが、円堂は彼の力ではなく自分の力で“正義の鉄拳”を習得すると決め、特訓に勤しんでいるという訳だ。

 

「痛ってて…、駄目だ…!上手くいかない…!」

 

コツを掴めずに地面に寝転がる円堂。“グッと握って、ダン!”までの意味はなんとなく分かるが、“ギューン”の意味が分からずにこの技の難易度を上げているのだ。

すると戸田が円堂に提案をする。

 

「すみません円堂さん。少しいいですか?」

 

「ん?なんだ戸田?」

 

「よかったら俺たち陽花戸サッカー部と練習試合をしませんか?もしかしたら試合を通して“正義の鉄拳”のコツを掴めるかもしれませんし!」

 

「確かに!よーし、やろうぜ練習試合!いいでしょ瞳子監督?」

 

「ええ、大丈夫よ。でも貴方達はいいの?恐らく雷門との実力差は貴方達が考えている以上にあるわよ?」

 

「大丈夫です!FF優勝校の雷門と試合出来るチャンスなんて滅多に無いんですから!それに俺たちも必死に特訓したんです、そう簡単には負けませんよ!」

 

という訳で“正義の鉄拳”の練習がてらに陽花戸イレブンと練習試合をする事となった雷門イレブン。ここ最近の試合は責任感を伴う試合ばかりであった為、よい息抜きにもなるだろう。

 

「雷門イレブンの皆さんの胸を借りさせていただきます!」

 

「おう!俺たちも全力でいくからな!!」

 

ピッピー!

 

キックオフ早々雷門は手加減せずに速攻を仕掛ける。一瞬で抜けると思ったが、思いの外自分達の動きに付いてきている。

 

「ほぅ…少しはやるようじゃないか。」

 

自ら弱小サッカー部と言っていた割には中々良い動きをする陽花戸イレブンに感心の声を漏らす鬼道。実力的にはFF地区予選相当と言ったところか。

鬼道はすぐに陽花戸のマークを振り切り熱也にパスを送る。パスを受け取った熱也の前にはDFの石山が立ちはだかった。

 

「石山!お前の特訓の成果を見せてやれ!」

 

「分かったモ〜!“ザ・ウォール”!!!」

 

「何⁉︎あれは壁山の技だろ⁉︎」

 

「いや、少し違う!」

 

なんと石山が発動した技は壁山が使う“ザ・ウォール”と名前は同じだが、壁山は背後に巨大な岩山を発生させるのに対し、石山の“ザ・ウォール”は自身の前方に文字通りの巨大な壁を出現させる技となっている。

 

「少し驚かされたが俺には通用しねぇよ!」

 

壁が倒れる前に軽快な動きで石山のディフェンスを突破する熱也。まさか初見で“ザ・ウォール”が破られるとは思っていなかった石山は反応が遅れてしまい、あっさり抜かれる。

 

「止めてみせる!」

 

「へっ!少しは俺を楽しませてくれよ?“エターナルブリザードV4”!!!」

 

熱也は容赦無く得意技の“エターナルブリザード”を発動する。凄まじい冷気を纏いながら自分に向かってくるボールを見て、立向居は一瞬怖気付くがすぐに気持ちを切り替えて右手に気を溜める。

 

「“ゴッドハンド”!!!」

 

円堂からお墨付きを貰った“ゴッドハンド”で“エターナルブリザード”に対抗するが、成長した熱也の前では一瞬で右手を凍らされそのまま粉砕されてしまう。

 

「うわぁぁぁぁあ⁉︎」

 

「へっ!残念だがまだ円堂には及ばねぇなぁ!“マジン・ザ・ハンド”じゃなきゃ俺の“エターナルブリザード”は止められるねぇよ!!!」

 

「これがFF準優勝校の白恋中のエースストライカーの実力…!同い年なのに凄いシュートだ…!」

 

「立向居ドンマイ!まだ試合は始まったばかりだ、きばっていこう!」

 

戸田は立向居に激を送る。ミスを責めずに鼓舞出来るあたり彼のキャプテンとしての適正がよく分かる。

 

「「“ニニンサンキャク”!!」」

 

陽花戸のドリブル技により、何とか雷門のディフェンスを突破する。突破した戸田はFW2人を自身の前方に行かせると、口笛を吹いた。

 

「“皇帝ペンギン”!!」

「「“2号”!!」」

 

「今度は“皇帝ペンギン”まで…!」

 

今度は帝国の必殺技である“皇帝ペンギン2号”すらも使いこなしている。ちなみに陽花戸の“2号”は色がオレンジ色だ。

鮮やかなオレンジのミサイルが円堂目掛けて襲いかかる。円堂はニカっと笑うと拳を握りながら右手に気を溜める。

 

「“グッと握って、ダン!そしてギューン”!!」

 

臆さずに“正義の鉄拳”を試す円堂。練習とは異なり実戦では緊張感がある為か不完全ながらも発動させる事に成功した。

 

「おお!これが“正義の鉄拳”か!確かに凄い威力だな円堂!」

 

「…いや違う。多分これはまだ不完全だ、やっぱり“ギューン”が肝なのか…?」

 

直感でまだ完成とは程遠いと感じた円堂は浮かない顔をしている。それと同時にベンチにいる半田は陽花戸のサッカーに怒りを感じていた。

 

「なんだよコイツら…、結局は俺たちのコピーチームってことじゃないか…!」

 

半田本人も自分が感じている怒りは理不尽だとは思っているものの、それでも御影専農の時とは違いコピーした技を主戦力にしている彼らが許せないのだ。しかし、瞳子は半田の考えを否定するように首を横に張る。

 

「…彼らを単なるコピーに頼るだけのチームだと思ったら痛い目を見るのはこっちの方でしょうね…。」

 

「…どういう事ですか監督。」

 

「試合を見ていれば分かるわ。これが終わったらきっと貴方の意見も変わるでしょうね。」

 

試合は更に進み前半もラストワンプレーだ。陽花戸イレブンも中々に頑張っているが、やはりエイリア学園と渡り合ってきた雷門との実力差を埋める事は出来ずに、既に9点を取られていた。

 

「「“ツインブースト”!!!」」

 

10点目を取る為に、鬼道は連携技の“ツインブースト”を放つ。“ゴッドハンド”では止められないと判断した立向居は身体を大きく捻ると彼の周囲から軽い気の嵐が発生する。

 

「“グイッと身体を捻ってあとはドンガラガッシャン…そしてバーン”!!!」

 

大介のノートみたいな台詞を吐きながら気を放出した立向居の背中から青色の“マジン”が出現し、“エターナルブリザード”と対峙するが、一瞬にして消え去ってしまう。どうやらまだ立向居の“マジン・ザ・ハンド”は未完成なようだ。

 

「不完全とはいえ“マジン・ザ・ハンド”まで出したぞ⁉︎あのキーパーはどうなってんだ⁉︎」

 

「もしかしたら今俺達は目撃しているのかもな、円堂守を超えるキーパーの誕生に…。」

 

不完全とはいえ“マジン・ザ・ハンド”を使える立向居の才能を見て鬼道は思わず笑みを溢す。そのまま前半が終了した。

 

 

______________

 

試合は大差で陽花戸が負けているものの、FF優勝校と戦える事が嬉しいのか、それほど悔しがっていない様子だ。

 

「やっぱり強いな雷門は!流石はFF優勝校なだけあるな!」

 

「ああ!俺たちだって負けちゃおらん!陽花戸のチームワークを見せてやるばい!!!なぁ立向居!」

 

祭利田が立向居に話を振るが、本人は浮かない顔をしている。どうやら10点も点を取られた事を気にしているようだ。

 

「もしかしてあの人(・・・)がいたらって考えているんじゃないだろうな立向居?」

 

「! い、いえ…!そんな事は…」

 

分かりやすく動揺する立向居。戸田は溜め息を吐くと、立向居の両肩を掴み彼を説得する。

 

「いいか立向居、あの人も言ってただろ?『いつまでも自分に頼らずに俺たちの力で勝利を掴むのが大切だ』って。いつまでもあの人に頼りっぱなしだったら成長は出来ないぞ!」

 

「わ、分かってます…。つ、次は“マジン・ザ・ハンド”を完成させれるように頑張ります!だから先輩方は攻めに徹してください!」

 

「よく言った立向居!それでこそ陽花戸っ子ばい!」

 

「…すみません先輩方、遠くから笛の音が聞こえませんか?」

 

ピ~ヒャララ~ ピ~ヒャララ~ ピ~ヒャララ~

 

志賀の指摘通り、どこか遠くから軽快な笛の音が聞こえる。その音はまるで祭りの催しでもあっているかのようだ。

 

「ん?なんだこの音?どこかでお祭りでもやってるのか?」

 

雷門も同じ音に気付き疑問の声を漏らす。しかし現地民である陽花戸イレブンにも今日祭りがあるとは聞いていない。

正体不明の祭囃子はどんどん大きくなっていく。すると、巨大な神輿を背負った屈強な男達が突如グラウンドに乱入してきた。

 

「な、なんだよあれ〜⁉︎」

 

当然の出来事に思わず慌てる雷門イレブンだが、陽花戸イレブンはその神輿の正体に気づく。

 

「やっぱり…!来てくれたんですね!」

 

神輿を見た立向居は何やら感激しているようだ。すると神輿の上から、陽花戸のユニフォーム姿で風呂敷を被り、赤い猫の仮面をつけた少年が姿を現した。

 

「あっ〜〜〜!!!あいつでやんすよ!俺が昨日見た“化け猫”は!!」

 

「ええ⁉︎本当に“化け猫”が存在したんスか⁉︎」

 

栗松は昨日の“化け猫”が自分が見た幻ではなく本当にいた事に驚きつつも、何故か嬉しそうだ。

 

“化け猫”は懐からマイクを取り出すと、お決まりの決め台詞を言う。

 

「ニャ〜ハッハッハ!!!さぁ〜さぁ〜皆様方!よってらっしゃい、見てらっしゃい!失敗続きでしけた顔をする現代人の皆様に、ミャーが愉快ニャ大逆転劇を見せてあげましょう!この世は楽園、料金100円!細かい悩みニャんざぶっ飛ばせ!その救世主の名は〜〜…」

 

少年は大ジャンプをし、軽やかな動きで何回転もしながら華麗な着地を決めてみせる。あまりに綺麗な着地にその場にいた全員が思わず拍手をしてしまう。そして遂に少年はその名を叫ぶ。

 

自縛猫(じはくびょう)(リン)様ニャ〜!!!」

 

『………』

 

あまりに多すぎる情報量に雷門イレブンはフリーズしてしまう。何故神輿に乗って来たのか、何故猫のゆるキャラのような仮面を被っているのか、そもそもこいつは人間なのか。

 

「ニャハッハ!いい反応ニャんね〜!期待通りの反応ニャ〜!」

 

「え、え〜と君も陽花戸中の生徒なのかな…?」

 

「そうとも言えるしそうじゃないとも言えるニャ!普段は野良猫、時には悩めるサッカー部の救世主!報酬は1日3食のご飯と寝床!それが自縛猫鈴様の生き様ニャ!」

 

今まで会った選手の中で1番癖の強い自縛猫鈴と名乗る変質者に流石の円堂も言葉を失ってしまう。そこに立向居が彼のフォローをする。

 

「た、確かに見た目はあれですけど鈴さんは凄いサッカー選手なんですよ!俺たちもこの人に鍛えられて強くなったんですから!…見た目はあれですけど…。」

 

微妙にフォローになっていない立向居の言葉だったが、引っ込み思案な彼がここまで言うのなら実力は本物なのだろう。…多分

なんやかんやあり、助っ人として後半から陽花戸イレブンに入る事になった鈴はDFと交代した。

 

「意外だな、さっきの身のこなし方からてっきりFWかMFかと思っていたがまさかDFとはな…。」

 

「へっ!誰が相手だろうが関係ねぇ!俺と兄貴の“オルトロスブリザード”でDFごとゴールにぶち込んでやるぜ!」

 

「怪我だけはさせないようにね熱也。」

 

ようやく後半が開始する。熱也は開始早々戸田からボールを奪い、トップスピードで攻め上がる。

 

「テメェの実力見せてみな!“エターナルブリザードV4”!!!」

 

先ほど兄から怪我をさせるなと言われたばかりなのに十八番である“エターナルブリザード”を手加減無しで鈴に向かって放つ熱也。本人としては鈴がどんなブロック技を使うのかを見たいだけなのだが、彼は動く気配がない。

 

「何⁉︎おい避けろ!怪我するぞ!」

 

ボールが彼に激突する…誰もがそう思った瞬間、目にも止まらぬスピードで鈴は一回転をし右脚に凄まじい気を集中させる。

 

「ほっ!“覇王の斧”ニャ!」

 

右脚が巨大な斧のオーラの塊となり熱也の“エターナルブリザード”を打ち返した。今の熱也のシュートを蹴り返せる選手など全国を探してもそうそういない、それだけで鈴が非常に高い実力を備えている事が分かるだろう。

“エターナルブリザード”を撃ち返した“覇王の斧”は凄まじい威力でゴールに向かっている。

 

「ニャハッハ!ほれほれ、早く止めないとゴールにぶち込まれるニャ〜!」

 

「俺たちを舐めるなよ!“ボルケイノカット”!!…何⁉︎」

 

土門が新技の“ボルケイノカット”でシュートブロックを試みるが、“覇王の斧”の威力はDFゾーンから放ったのにも関わらず、一向に落ちる気配がない。“ボルケイノカット”の薄い衝撃波の壁では止める事が出来ずに突破されてしまう。

 

「だったら俺が!“ザ・ウォール改”!!!」

 

壁山も必殺技で対抗するが呆気なく突破される。だが、壁山もDFの意地を見せシュートの威力を落とす事に成功する。

 

「ナイスだ壁山!あとは俺に任せろ!!」

 

「油断するな円堂!奴は既にゴール前に来ているぞ!!」

 

雷門が“覇王の斧”に集中している隙を突いて、鈴はゴール前まで上がっていた。どうやら初めからシュートの威力を落とされる事を予想していたようだ。シュートに追いついた鈴は、緑色のオーラをボールに込め縦横無尽に連続蹴りを叩き込む。

 

「ニャハハ〜、止められるもんニャら止めてみニャ〜“オーバーサイクロン”!!!」

 

最後に両足でボールを蹴ると、数多の猛獣を模したオーラ達と共に円堂目掛けて駆け出した。

 

「止める!“真マジン・ザ・ハンド”!!!」

 

現時点での円堂の最強技が猛獣の大群と激突する。だが、イプシロンの“ガイアブレイク”すらも止めてみせた“マジン・ザ・ハンド”を持ってしても、鈴の“オーバーサイクロン”を止める事が出来ずにゴールを許してしまった。

 

『ゴーール!!!な、なんと謎の仮面プレイヤーの自縛猫鈴!見た事ない必殺技で円堂からゴールを奪ったぁぁぁぁあ⁉︎これほどの選手が福岡に潜んでいたのは驚きだぁ!』

 

「す、凄いなお前!今の技は間違いなくイプシロンを超えてたぞ!」

 

「ニャハッハ!ミャーのシュートは世界一ニャ〜!」

 

まさか円堂からゴールを奪える選手がエイリア以外にいる事に驚きつつも、次のプレーに向けて気を引き締める。

ボールを受け取った一之瀬は“スカイウォーク”でDFを突破するが、そこに鈴が立ち塞がった。

 

「いい読みだ、でも俺を止められるかな⁈」

 

一之瀬は鈴との攻防に心を躍らせているが、なんと鈴は彼を素通りして走り去って行った。

 

「なんだ?素通りしていったぞ…? ん?」

 

足元に違和感を感じた一之瀬は足元を見ると自分が持っているのはサッカーボールではなく“爆弾”だった。

 

「ば、爆弾〜⁉︎」

 

「ニャハハ!“フェイクボンバー”ニャ〜!!」

 

数秒後大爆発を起こした爆弾は一之瀬の身体を爆発で包み込む。

 

「大丈夫か一之瀬⁉︎…ぶっ!」

 

「けほけほ…大丈夫だよ土門。 …どうして口を抑えているんだい?」

 

土門は口を抑えて一之瀬の方を見ないようにしている。その原因は一之瀬の頭にある。今の一之瀬の髪型はイケメンフェイスを掻き消すアフロとなっているのだ。

 

「わ、わりぃ…気にすんな、プッ…。」

 

「そ、そうかい…?ならいいけど…。」

 

結局一之瀬が自分の悲惨な頭に気づいたのはその日の風呂の時間だった。

 

話は戻して一之瀬からボールを奪った鈴は雷門のディフェンスをものともせずに攻め上がっていた。その途中、昨日彼と出会った栗松は怒りを露わにしながらディフェンスに入る。

 

「よくも昨日俺をビビらせたでやんすね!壁山、アレをやるでやんすよ!」

 

「おお!いくっス!」

 

すると栗松は壁山の方に走り出し、彼の腹を踏み台にして跳躍する。普段2倍以上の距離を飛んだ栗松は鈴に目掛けて急降下をする。

 

「これが俺の新技“シューティングスター”でやんす!」

 

自分に恥をかかせた“化け猫”を成敗する為にライダーキックをかます栗松だが、直撃する瞬間鈴の姿が消える。

 

「ど、どこに行ったでやんす⁉︎」

 

「鬼さんこっちら〜手〜のニャる方へ〜。」

 

なんと鈴は既に栗松の後方まで移動していたのだった。

 

「今度は俺が相手だ!」

 

栗松が抜かれる事を予測していた風丸はすぐにディフェンスに入る。だが、鈴の圧倒的な瞬発力の前では自慢のスピードでも追いつくのは簡単ではない。

 

「くっ…、だったらこれだ!“分身ディフェンス”!!!」

 

3人に分身した風丸は巧みなディフェンスで鈴のボールを奪おうとする。しかし、鈴は猫のように軽やかな動きでボールをキープしていく。事実上の3対1だというのにいつまでもボールを奪えない風丸は次第に焦りの表情が浮かぶ。

 

「風丸君、僕も手助けするよ!“アイスグランド”!!」

 

苦戦する風丸を見て士郎は彼の手助けに入った。4対1の状況では流石の彼も突破する事は難しいと感じたようで、近くまで上がっていた戸田にパスを送った。

 

「やるニャンねぇ君たち、ミャーが抜けなかったのはおミャー達が初めてニャー。」

 

「ふふ、君もね。そんな視界の狭そうなお面をつけているのに僕が来る事に気づくなんて凄いよ。もしかして背中に目が付いているのかな?」

 

互いの実力を認め合う鈴と士郎だが風丸はどうしても彼らとの間に入って行く気にはなれなかった。何故なら自分には彼らと対等に話す権利は無いと感じていたからだ。

 

「ハチマキ君!もう一度“皇帝ペンギン”ニャ!」

 

士郎との会話を終え戸田の元に向かった鈴は“皇帝ペンギン2号”を放つ事を指示した。しかし陽花戸の“2号”が円堂には通用しない事は先ほど証明された筈である。何か彼に策でもあるのだろうか?

 

「はい!“皇帝ペンギン”!」

「「“2号”(ニャ)!!」」

 

新たに鈴が加わった“皇帝ペンギン2号”だが特に目立った変化は無い。

 

「これ以上は行かせないっス!!“ザ・ウォ… ひっ!さ、サメがいるっス〜!」

 

壁山が見たのはペンギン達と共にグラウンドを泳いでいるサメのような背鰭だった。小心者の壁山は思わずビビってしまいシュートコースが空いてしまう。

すると水飛沫の代わりに大量の砂煙をあげて出て来たのはなんと“サメ”ではなく“イルカ”であった。

 

「い、イルカ〜?」

 

「ニャハハハ!引っかかったニャ〜、名付けて“feat ドルフィン”ニャ〜!」

 

「へへ!本当に面白いサッカーをする奴だな!だけど俺も負けないぞ!“正義の鉄拳”!!!」

 

あまりにも自由な鈴のシュートに笑みを浮かべて対峙する円堂。彼が繰り出したのは最強のキーパー技である“マジン・ザ・ハンド”であるものの、イルカが加わった事により更なる強化を果たした“皇帝ペンギン”の前では未完成の“正義の鉄拳”では太刀打ちする事が出来なかった。

 

「どわぁぁぁあ⁉︎」

 

「やりましたね鈴さん!」

 

「おミャー達のお陰ニャ!こっからドンドン点を取っていくニャ!」

 

まさかあんなふざけた技でゴールが破られるとは思っていなかったメンバー達は驚いている。

 

「さっきのシュートといい、なんであんなシュートを打てる奴が今まで無名だったんだ…?未完成の“正義の鉄拳”とはいえ、かなりの威力が出てた筈だぞ…?」

 

「さっき『普段は野良猫』って言ってたし、俺達と同じように全国を歩き回っているんじゃないか?」

 

土門の疑問にアフロ一之瀬が考察を挟むが、鬼道は鈴に対して強烈な違和感を抱いていた。

 

「(…土門の言う通りだ。何故あそこまでの選手が今まで無名でいたのだ…?明らかに奴の実力は他の陽花戸のメンバーと比べてもレベルが違う…。少なくともイプシロン…いやそれ以上の実力を備えていると見ていいだろう…。)」

 

吹雪兄弟や木暮の件で、FFに出場している学校以外にも強者は存在している事は理解しているつもりだったが、鈴に関してはあまりにも無名がすぎる。そもそもここまでの実力者ならば、もっと早い段階で瞳子の情報網に引っかかっている筈だし、彼女もスカウトの為に福岡に向かう筈だ。

ならば何故なのか、考えられる理由は大きく分けて2つ。

1つは彼がエイリア学園が秘伝のノートを奪う為に送り込んだスパイである事、それならばここまで強いのも納得がいく。だが、円堂に裏ノートが渡った以上その線は消えてしまう。

ならば2つ目、彼の正体が元から名の知れた実力者(・・・・・・・・・・・)である可能性だ。

 

「急に黙り込んでどうしたんだ鬼道?腹でも痛いのか?」

 

「…次のプレー、自縛猫のマークにだけ付かせてくれ。どうしても確かめたい事がある。」

 

数分後、遂に自縛猫にボールが渡り彼は両手を広げて走り出す。

 

「またまた猫又登場ニャー!」

 

「少し俺に付き合ってもらおうか自縛猫!!」

 

鈴と1対1になった鬼道は彼と互角の攻防を演じる。その中で鬼道は鈴の動きを見て強烈な既視感を感じる。頭によぎった彼の正体を確認する為に、ほんの一瞬だけ意図的(・・・)に隙を作った。その隙は時間にして0.5秒。常人からすれば、とても隙とは言えない時間だ。

 

「…! めんたいこ君に任せるニャ〜。」

 

突然、無理矢理パスを送ってしまった為雷門にパスカットされてしまう。彼ほどの選手があのようなパスミスをするのは考えられない。余程焦っていたのだろうか。

 

「何故俺を抜かなかった…?お前は明らかに俺が出した0.5秒の隙に反応していただろう?それなのにわざわざパスを出すとはどういう事だ?」

 

「…何言っているか分からないニャ。ミャーは自由にプレーするのが信条ニャ。あの時パスコースが空いているように見えたから、つい身体が反応してあっちにパスを出しただけニャ。」

 

今までの陽気さがどこに行ったのか低い声を出して鬼道の指摘を否定する鈴。どうやら意地でも隙に気づいた事を認めるつもりはないらしい。

 

「…そうか。すまないな、お前のプレーが俺の仲間に似ていたものだから、つい疑ってしまった。」

 

「…間違いは誰にでもあるニャ。あまり気にすんニャ。」

 

互いに距離を取る2人だが、鬼道は自分の考えが的中している事を確信していた。

 

そんなこんなで鈴のプレーに翻弄されつつも試合はラストワンプレーまで進む。

 

「残り時間もあと僅かだ!悔いを残さないように全力を出すぞ!」

『おう!』

 

キャプテンの戸田はチームメンバーに喝を送る。それでも雷門との実力差は埋められずに熱也1人で突破されてしまう。

 

「最後の勝負だ化け猫野郎!吹き荒れろ…!“エターナルブリザードV4”!!!」

 

今試合何度目になるか分からない熱也の“エタブリ”がGKの立向居ではなくDFである鈴に向かって放たれる。

しかし、鈴は熱也のシュートを無視しゴールに向かって走り出した。

 

「り、鈴さん⁉︎」

 

「立向居!ミャーが教えた“マジン・ザ・ハンド”の極意を言ってみろニャ!」

 

「え、え〜と…。1つ!『大量の気に耐えられる鋼鉄の心臓』、2つ!『嵐の中でも一歩も動かない強靭な足腰』!」

 

「…本当に大介さんのノートにそんな事が書いてあったのか円堂?」

 

「いや〜…そんな事は書いてなかったと思うけど…。」

 

「3つ!『どんな時でも諦めない“イナズマ魂”』!!!」

 

「よく言ったニャ!今のおミャーに足りないのは1つだけニャ!それを自分の手で見つけてみせニャ!!!」

 

そのまま走り去る鈴。その姿を見た立向居は唖然としながらも、すぐに鈴が自分に伝えたい事を理解する。

 

「(そうか…、鈴さんは俺を信じてくれているんだ…!俺が“マジン・ザ・ハンド”を完成出来るって…、ありがとうございます鈴さん…!だから見ていたください…俺の“マジン・ザ・ハンド”を…!)」

 

すると立向居は今までとは異なり身体を捻らずに拳法のような構えをとった。すると彼の周囲に気の嵐が発生し心臓に気が高まる。それは円堂が使う進化させた“マジン・ザ・ハンド”と同じ構えだった。

 

「これが俺の“マジン・ザ・ハンド”だぁぁぁぁぁあ!!!」

 

遂に“マジン・ザ・ハンド”を完成させた立向居は今まで止める事が出来なかった“エターナルブリザード”を完璧に止めてみせた。そして最後の力を振り絞り、鈴にボールを送る。

 

「よくやったニャ立向居、おミャーの想い確かに受け取ったニャ!」

 

ボールを受け取った鈴は、雷の如し咆哮をあげるとボールにエネルギーがチャージされる。そのまま空中に飛び上がりシュートを放った。

 

「ミャーの全力を受けてみニャ!“イナビカリブレイカー”!!!!」

 

“イナズマブレイク”以上の稲妻を発しながらシュートを撃つ鈴。どうやらこれが彼の最強シュート技のようだ。“オーバーサイクロン”以上のプレッシャーを感じる円堂だが、それ以上にまだ見ぬ強敵の登場に心を躍らせていた。

 

「まだこんなスゲェ技を隠し持っていたのか…!よしこい!俺も全力で受け止めてやる!“正義の鉄拳”!!!」

 

闘志を燃やした円堂は、拳を握った“ゴッドハンド”を出現させる。互いの技がぶつかり合った結果、凄まじい稲妻を発生させる。だが、まだ未完成の“正義の鉄拳”では鈴の“イナビカリブレイカー”を止めるにはまだ遠く及ばない威力である為、吹き飛ばされてしまった。

 

その瞬間、円堂は目に入った鈴の立ち姿に強烈な既視感を覚えてしまう。病院で眠っている筈の“親友”の姿を…

 

「…雷牙?」

 

そんな筈はないと思っていながらも自然と口から親友の名が溢れ落ちる。自分の独り言を拾った鈴も首を傾げてキョトンとする。

 

「雷牙?ミャーは自縛猫鈴ニャ〜。」

 

「あぁ…ごめん。ちょっと似てたからさ、お前の立ち姿が俺の親友に…。」

 

ピッピッピー!

 

試合の結果は10対3で雷門イレブンの勝利。だが、後半は明らかに鈴のプレーに圧倒され、ハットトリックを決められた挙句明らかに彼は手を抜いていた。

 

「本当に凄い奴だったな自縛猫って奴!なぁ風丸! …風丸?」

 

まだ見ぬ選手の登場に円堂は目を輝かせて風丸に話すが、風丸は下を俯いたまま反応しない。

 

「…(俺は…ずっと努力を重ねてきた…。誰よりも速く…誰よりも強くなる為に…。だが今日の試合はどうだ…?あの自縛猫という奴にいいようにされた挙句手まで抜かれた…しかもポジションは同じDF…、何故だ?俺と奴とは何が違うんだ…?)」

 

「おい風丸って!」

 

「! す、すまない円堂。少し考え事をしていた…。」

 

「なぁ風丸…、お前最近大丈夫か?何が悩み事があるなら俺に相談してくれよ。俺はいつでも相談に乗るぜ!」

 

太陽のようにニカッと笑う円堂の姿を見て風丸は咄嗟に顔を逸らしてしまった。自分でも理由は分からない。だが、今の円堂の顔は風丸にとってあまりに眩しすぎる光だった。

   

その時突如上空から黒いボールが出現し、空中にホログラムが浮かび上がる。そこに映っていたのはエイリア学園のユニフォームを着ているが、レーゼとのデザームとも違う青髪の少女だった。

 

『我々はエイリア学園最強のチーム“ジェネシス”。今日から1週間後の12時に我々はこの学校に舞い降りる。当然棄権も敗北と見做す、貴様らの学校を壊されなくなければ我々に勝利する以外に道は無い。』

 

「じぇ、“ジェネシス”だって…!まだエイリア学園にチームがいたというのか…!」

 

「ひぇ〜…。なんでエイリア学園がFFに出た事もない俺たちの学校に来るん⁉︎わけわからんばい〜!」

 

「で、でも!円堂さん達だって力の差がありながらも初戦で一矢報いてみせたんです!俺たちも必死に特訓すればなんとかなる筈です!」

 

エイリアの襲来に気落ちする仲間を励ます立向居。1年の立向居が名前通りエイリアに立ち向かう勇気を示す姿を見て、陽花戸メンバーも奮起した。

 

「そうばい!陽花戸っ子の底力を見せてやるばい!」

 

「エイリアなんて俺たちがぶっ飛ばしちゃるー!」

 

「ふっ、いい意気込みだな。だが覚悟しておけ、俺達の特訓は優しくないぞ。」

 

打倒“ジェネシス”の為に雷門に特訓をつけてもらう事になった陽花戸イレブン。皆が闘志を燃やしている中1人だけ姿を消した者がいた。

 

「よっしゃー!今から特訓…あれ?鈴がいないぞ?」

 

いつの間にか鈴が姿を消した事に円堂は疑問の声をあげるが、立向居曰く鈴は自分達が気づかない間に姿を消す事が多いという。

鈴ほどの選手と共に特訓すれば自分達ももっと強くなれると思っていたが既に帰ってしまった事を残念がる円堂。しかし、また明日会えるだろうとすぐに気持ちを切り替え練習を再開した。

 

だが円堂は気づかなかった。鈴と入れ替わるように現れ、校舎の屋上から彼らを見下ろす銀獅子の影がある事に…




或葉以来のオリキャラである自縛猫鈴。彼の正体は何者なんでしょうね?もし正体を察しても感想欄で言及するのはやめてください。
ちなみに鈴がつけている赤色の猫のお面は要するにジ●ニャンです。

〜オリキャラ紹介〜
自縛猫 鈴:最近、陽花戸に出没している不審…もとい謎の選手。癖の強すぎるキャラと恰好だが実力は確かであり、陽花戸イレブンに雷門の技を教えたのは彼。一応ポジションはDFだが、ポジションに縛られない自由なプレーが持ち味。イプシロンと引き分けた雷門と比べても見劣りしないどころか彼らを上回る実力を持っている為、試合の後に本当に妖怪なんじゃないかと密かに噂された。
習得技:覇王の斧(S)、フェイクボンバー(B)、オーバーサイクロン(S)、イナビカリブレイカー(S)、???(?)

覇王の斧:山属性のシュート技。モーションはエドガーの“エクスカリバー”と一緒。分類はシュート技であるが、鈴は専らシュートブロックに使っている。素の威力は“トリプルブースト”に匹敵する。

イナビカリブレイカー:山属性のシュート技。モーションは“スクリーム・オブ・エデン”の咆哮と“サンシャインストーム”のモーションを合わせたようなもの。威力は“爆熱ストーム”に匹敵する。

皇帝ペンギン2号 feat ドルフィン:名前が長すぎる…。名前からわかる通りオリオンで登場した“feat シャーク”のイルカ版。本来の威力は“皇帝ペンギンOG”よりも劣るがシュートメンバーに鈴が加わる事で尋常ではない威力が出た為、未完成の“正義の鉄拳”を打ち破った。
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