イナズマイレブンHEROS!!!   作:月兎タンク

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すっごい難産でしたがプロトコル・オメガ編完結です。


俺達のサッカーを守れ!対決プロトコル・オメガ!後半

天馬side

 

「優一…さん?」

「君が天馬君だね…。」

 

突然現れた優一さんは俺がよく知っている優一さんとほとんど同じだった。ただ一つ自分の足で歩いている所を除けば。(・・・・・・・・・・・・・・・)

 

「優一さんもう歩けるんですか?」

 

「その話は後だ。今はあいつらと戦おう。」

 

「は、はい!俺うれしいです。優一さんとサッカーができるなんて。」

「俺もだよ。それに円堂さんに稲魂さん、伝説の雷門世代筆頭の2人といっしょにプレーできるなんてね。」

 

俺が知っている優一さんとは恐らく違うけどあの人は味方だというのだけは分かる。剣城から優一さんのことを少しだけ聞いたことがあるけどすごい才能を持ったサッカープレイヤーだったって言っていた。この人なら後半もなんとかなるかもしれない…いや、なんとかしてみせる!

 

「誰だあの人?」

 

「分からねぇ、だがアイツから強者のオーラがビリビリと伝わってくるのを感じるぜ…。」

 

「剣城優一…。パラレルワールドから来た強い味方だよ。」

 

 

 

「…あの男の正体が判明。剣城京介のインタラプト修正によって生じたエラーだ。」

 

「新たな流れを生み出す存在ということですか。」

 

「エラーならば正すまでです。」

 

優一さんの乱入によって敵味方問わずに空気が変わっていくのを肌で感じる。今まではどこかロープ一本の上に立っているそんなギリギリの状態でなんとか成り立っていた試合だったけど優一さんが加わることでどんな影響があるかそれは俺には分からない。けど今は信じるしかないんだ俺達のサッカーを守るために…!

 

No side

 

『ここでテンマーズは剣城優一をチームに加え後半戦に挑む!これは見逃せない戦いになりそうだーっ!』

 

「まずは一点を取り返す。」

 

「はっ!そうはさせるか!ハンティングセンス!」

 

後半開始のホイッスルが鳴り、プロトコル・オメガボールで試合が始まる。プロトコル・オメガは前半の最後で取られた点を取り返すために開始早々速攻を仕掛けるが雷牙のブロック技によってテンマーズはボールの確保に成功する。

 

「とりあえずアンタの実力を見せてもらうぜ!」

 

「任せてください!稲魂さん!」

 

雷牙が優一にパスを送り優一の元にボールが届く。そのまま優一はトップスピードで敵陣に突っ込むと前方に行手を阻む者が現れる。

 

「お前は再修正される。」

 

「それはどうかな?」

 

アルファが冷淡にしかし円堂達と同レベルの敵意がこもったセリフを突きつけても優一は笑みを浮かべて得意げな顔をして煽り返す。前半と変わらないパワーでブロックするアルファに対し優一は華麗なテクニックで抜き去る。

 

「うまい…!これが優一さんのサッカー!」

 

兄弟だけあって親友の剣城京介と似たプレーながらも弟よりも洗練されたテクニックを見せた優一に天馬は思わず賞賛の声が溢れる。

 

「天馬君化身だ!!一気に決着をつける!俺についてきてほしい!」

「は…はい!」

 

そう言われると天馬は風の如きスピードで優一のフォローに回る。

 

(優一さんのプレーは確かにすごい…でも俺の化身技でも相手キーパーの化身技を破ることができなかった…。優一さんはどうやってアレを突破するつもりなんだ?)

 

天馬の化身技ジャスティスウィングは雷門中のシュート技の中でもトップクラスの威力を持つ強力な技であり、明確に超える威力を持つ技は自分と神童拓人と剣城京介の合体化身である魔帝グリフォンしか存在しない。先ほど時空共鳴現象による強化ありとはいえ雷牙のノーマル化身シュートが打ち勝っているあたり相手のGKの化身技の威力はドラゴンリンクのGK千宮路大和よりは劣る。そう天馬は結論付けている。

 

「どうやってあのGKから点を奪うのか?そう考えている顔をしているね。その答えを今から見せてあげるよ!」

 

その瞬間優一の背後から今まで幾度となく発せられた紫のオーラが溢れ出し、巨大な剣を持ち黒い鎧を身に包んだ戦士が姿を現す。

 

『魔戦士ペンドラゴン!』

 

「これが…優一さんの化身…!」

 

「驚くのはまだ早いぞ!」

 

「まさか…!」

 

「そのまさかさ!アームド!」

 

魔戦士ペンドラゴンが再びオーラとなり優一の体に張り付き形を再形成する。再形成されたオーラは元の化身の面影を残した漆黒の鎧となる。

 

「優一さんも化身アームドを!」

 

「“サウザンドスピアー”!」

 

「キーパーコマンドK03!」『ガーディアンシールド』

 

オーラを纏ったボールが千本の槍となりゴールに襲いかかり守護者の盾で応戦しようとするが雷牙の時とは異なり拮抗する間も無く盾が砕け散る。後はガラ空きになったゴールネットにボールが入るだけであったがそこに一羽の鳥…いや鳳凰が割り込む。

 

「くっ!ここで点を取られるわけにはいかない!ボスからのミッションを成功させる!それが私の使命だ!」

 

化身アームドをしたアルファがシュートを蹴り返そうとするが優一のシュートは自分の脚力を持ってしても簡単に打ち返すことができなかった。しかしエルドラドへの忠誠心か、はたまた今まで存在しなかった別の感情(・・・・)か限界以上の力を見せたアルファはなんとかシュートの方向をずらすことに成功する。

 

「惜しかったな。後少しで点が取れたのに。」

 

「優一さん凄いです!化身アームドできるだけじゃなくて、あのアルファでも簡単に打ち返せないレベルのシュートを打てるなんて!」

 

「化身アームドができるようになったのは比較的最近のことだけどね…。でも天馬君。恐らく君もできるはずだ。」

 

「俺が化身アームドを…?」

 

自分が化身アームドをできる。その言葉を聞いた天馬は実感が湧かなかった。確かに過去の沖縄からこの時代にくるまでの間にワンダバから化身アームドの原理を教えてもらったが全く理解することができなかったため今まで化身アームドをしようとも思わなかったからだ。

 

「一応ここにくるまでに原理は教えてもらいましたけど、俺には理解できなくて成功するビジョンが見えてきません。この試合は絶対にミスが許されないんです。失敗するかもしれないなら今できる範囲でやれることを精一杯やったほうがいいと思うんです。」

 

「それも一理あるな。じゃあ一つ質問をしよう。君は今サッカーを楽しんでいるかい?」

 

「サッカーを楽しむ…。」

 

確かに今の天馬はサッカーを楽しむ余裕がない。本来の天馬はサッカーを親友のように愛する心を持った少年だ。しかし、フィフスセクター以上の脅威となったプロトコル・オメガとの試合は今の天馬にサッカーを楽しむ余裕をなくさせてしまっていた。

 

「別にいいんじゃねぇか?失敗しても?」

 

優一からの質問に悩む天馬に雷牙が声をかける。

 

「たとえオマエが失敗したとしても俺がフォローする。俺がフォローに失敗してもフェイとデュプリがフォローする。それも失敗したとしても円堂がきっとゴールを守ってくれる。メンバーがみんなを支えあって初めてサッカーってスポーツは成立するんだって俺は思うぜ。」

 

「雷牙さん…。」

 

「そうだぞ!天馬!相手のシュートは全部俺が止めてやる!だからお前は安心して化身アームドってやつに挑戦してくれーー!」

 

「円堂さん…。わかりました!俺やってみます!」

 

「答えは出たようだね。」

 

テンマーズのコーナーキックからゲームがスタートし天馬は化身アームドに挑戦するために化身を出現させる。今の天馬には先ほどのような使命感で固められた表情は見当たらない。全力でサッカーを楽しむためにプレーをするその決意に満ちたスッキリとした表情だった。そんな中自分の中のサッカーの原点を思い返していた。

 

『大丈夫か坊主⁉︎』

 

サッカーと初めて出会った日。

 

『このサッカーボールはオマエに預ける。』

 

『いいの⁉︎』

 

『ああ!!だがこれだけは覚えといてくれ。このサッカーボールは俺の大切な相棒の熱い思いが込められているモノだってな。』

 

憧れの人から大切だと言うボールを預かった日。

 

『なぁ天馬?一流のサッカー選手にとって大切な物ってなんだと思う?』

『うーん?ドリブルで相手選手を抜く力とかかな?』

 

『ブッブー残念不正解。正解はどんな状況でも諦めないハート、らしいぜ。』

 

『ハート…。』

 

『まっ、あくまで受け売りの言葉だけど要するに負けそうになってもなんとかるさ!の精神でプレーしてろってことだよな!』

 

『じゃあ兄ちゃんが豪炎寺さんのボールを力加減間違えてパンクさせちゃったことがバレてもなんとるなるさってこと?』

 

『ごめんそれはなんとかならないかもしんない。』

 

中学卒業後もたまに沖縄に来て自分の師となってくれた憧れの人と交わした何気ない会話。しかしそれが天馬にとって今の自分を作り出した原点だった。それだけじゃない。中学に入って憧れの雷門中に入学し尊敬できる先輩達と親友との出会い。管理されたサッカーとの戦い。ある島で出会った不思議な少年との特訓と試合。1年にも満たない期間ではあったものの雷門での思い出が天馬の頭を駆け巡る。

 

「俺もできる!化身アームドができる!いくぞっ!魔神ペガサスアーク!アームド!」

 

魔神ペガサスアークがオーラに戻り天馬の体に張り付き鎧となる。その姿はまさにペガサスそのものであり、純白の鎧はチームメンバーに希望を与えてくれる。

 

「ホントだ!できた!俺にも化身アームドできました!」

 

「よーーし!いっけーー!天馬ーー!」

 

「俺達のイナズマ魂ってやつを見せてやろうぜ!」

 

「お前達が化身アームドの力に目覚めようが関係ない。勝つのは我々プロトコル・オメガだ。」

 

ボールを受け取った天馬の前にアルファが立ち塞がる。

 

「へー?化身アームドができない俺に2点も奪われてリードされているのはどこのチームだっけ?」

 

天馬が化身アームドを成功させても焦りの表情を一つも見せないアルファに上がってきた雷牙はテンマーズが得点をリードしている事実を挑発気味に突きつける。実際、素の身体能力はプロトコル・オメガが上でも化身アームドをできる人数はこちらの方が上回っており時空共鳴現象によって円堂と雷牙も強化されている。戦況は五分五分どころかテンマーズの方が明らかに上であるのは誰の目から見ても明らかである。

 

「確かに今のまま(・・・・)では我々が負ける確率が高いだろうな。だが我々にはその確率を覆す手段が存在している。」

 

「それってまさか!」

 

嫌な予感がしたフェイが頭上を見上げるとフィールドの上空にドローンが出現していた。ドローンにはプラスとマイナスの記号が入った銃口が装備されており向きは明らかにプロトコル・オメガに向いていた。

 

『ターゲット補足。対象プロトコル・オメガメンバー全員。ミキシマックス(・・・・・・・)を開始します。』

 

「まずい!ワンダバ!僕にもミキシマックスを!」 

 

嫌な予感が的中したフェイは対抗するため代理監督を務めているワンダバに聞きなれない単語を要求する。

 

「もう遅い。」

 

銃口からエネルギーのビームが発射されると一本の線から複数に分裂しプロトコル・オメガのメンバー全員に降り注ぐ。その瞬間目の前のアルファの容姿が、いやプロトコル・オメガ全員の容姿が変化していく。

 

『ミキシトランス鳳凰コンプリート』

 

「これが我々の奥の手ミキシトランス。」

 

「ミキシトランス?」

 

「化身アームド以外にもまだ切り札を隠してやがったのか!」

 

「ミキシトランスとは他人のオーラをミキシトランスガンって言うアイテムを使って吸収することで別の他人にオーラを移し替えてパワーアップする技術のことさ。」

 

後ろからフェイの説明が聞こえて雷牙が振り返るとそこにいたのはフェイの面影こそあるがピンク色の髪を持ち、目も恐竜を思わせるほどに鋭くなり、肌が褐色の少年だった。

 

「え?誰?新しいデュプリってやつ?」

 

「ああこの姿じゃわからないよね。僕もアルファに対抗するためにミキシマックスで恐竜のティラノレックスのオーラを融合させたんだ。」

 

「フェイ・ルーン。貴様が使用したオーラはかつて地球上にいた古代生物の一個体でしかないが我々は違う中国の伝説に伝わる神獣鳳凰だ。生物としての格が違う。」

 

「本当はいないから伝説の神獣なんじゃないの?」

 

あくまで神話の存在でしかない生物のオーラを使ったというアルファに対した秋の疑問にワンダバが答える。

 

「いや、正確には鳳凰という存在が実在するパラレルワールドから採取したオーラなのだろう。確かに行き来するのは難しいが物語や神話の世界そのもののパラレルワールド自体が存在しているのは確認されているためエルドラドの力を使えば不可能ではないだろうな。」

 

「今度こそ一点を取り返す。アームド!」

 

鳳凰にミキシマックスしたアルファが化身アームドの重ねがけを行い。天馬に襲いかかる。天馬も負けじとそよ風ステップを発動し抜き去ろうとするがさらに向上したパワーとスピードに加え、洗練されたテクニックが加わった結果ブロックされる。

 

「「天馬(くん)!」」

 

「ここは俺がフォローする!」

 

「邪魔だ。」

 

負けじと雷牙がフォローに入るが叶うはずもなく無惨に吹き飛ばされる。

 

「アルファのマークに入れ!やつに絶対シュートを打たせるな!」

 

「お前達が先ほど言った言葉を返してやる。サッカーは1人でやるものではない。」

 

「なっ⁉︎」

 

今のアルファにシュートを打たせてはまずいと判断したフェイがデュプリに指示を出すがアルファは先ほどと異なり力押しに抜こうとはせずに上がってきたFWのエイナムにパスを送る。前半まではアルファが化身アームドを解禁したことによる身体能力にメンバーがついていけずワンマンプレーが中心となってしまいそこが弱点となりテンマーズに苦戦していた。しかし、メンバー全員がミキシマックスすることでアルファほどとはいかないが身体能力がアップしたことにより連携を取れるだけのプレーは可能になった。

 

「殲滅を開始する。シュートコマンド02!」『鳳凰聖火』

 

旋風を纏ったシュートを放つスピニングトランザムとは異なり、眩しいほどの烈火を纏ったシュートを放つアルファ。しかし、何としてでもシュートの威力を下げようとするディフェンス陣が立ちはだかる。

 

「ディメンションカット!」

「フラクタルハウス!」

「古代の牙!」

 

テンマーズは渾身のディフェンス技とシュートブロックを放つも、放たれたシュートの威力はそれらを最初から存在していなかったように烈火の炎で焼き尽くされる。

 

「みんなの想いは無駄にしない!はぁぁぁあ!魔神グレイト!」

 

再び降臨した黄金の魔神は雷を纏わせながら円堂の動きとシンクロし右手を突き出す。

 

「グレイト・ザ・ハンド!」

 

烈火 対 稲妻。先ほどとは異なりそこまで威力が下がっていないアルファのシュート本来ならばグレイト・ザ・ハンドを打ち砕く威力は十分にあるはずだが円堂もこれまでに以上に力が漲っていた。そして結果は…

 

「くっ!」

『おーーとッ!キーパー円堂!化身技を破られはしなかったがボールはポストに当たり上空にーーー!ボールはまだ生きているぞぉーー!』

 

「またしても時空共鳴現象か。だがその現象も想定内(・・・)だ。」

 

「シュートコマンド06!」『プラズマボール』

 

空中に留まっていたボールにいち早く反応したFWのエイナムがすぐさまシュートをキーパーとは真反対との方向に蹴り放つ。2度目の化身技使用による体力の消耗と初めての試合によるキーパーとしての経験が圧倒的に足りていない現在の円堂には反応が一瞬遅れてしまい飛び出した頃にはもうすでにボールはゴールラインを割っていた。

 

『ゴーール!プロトコル・オメガ、エイナム!空中で生きていたボールを見逃さず円堂の隙をついた見事なプレイングだぁー!これで2対2の同点!まだ試合の結果はわからないぞぉぉお!』

 

「ごめんみんな!俺また点を許した…。」

 

「大丈夫です円堂さん!例え100点取られても俺たちが101点取り返してみせます!」

 

「その通りです円堂さん。点を取られた以上は仕方ありません。俺と天馬くんで点を取り返します。」

 

自分の油断により点を取られたことを悔しがる円堂とそれをカバーできなかったと反省する雷牙と優一は次のプレーに向けて気持ちを切り替える。その時雷牙がフェイに対して何か思いついたように語りかけた。

 

「なぁフェイ?あのミキシマックスってやつ俺にもできねぇか?」

 

「無理じゃないけど今僕たちが保有しているオーラはティラノサウルスのオーラだけだ。とてもじゃないけど奴らのミキシマックスに対応できるほどの強さじゃない。」

 

「別に俺はティラノのオーラを使いたいなんて言ってねぇよ。ここにいるじゃねぇか!アイツらよりも遥かにサッカーを愛してる日本一のサッカーバカがな!」

 

そう言って雷牙は円堂の方に顔を向ける。円堂自身はキョトンとした顔で雷牙が顔を向けている意味がわからないでいる。

 

「この時代の円堂守と⁉︎それならできると思うけど今の円堂守と君じゃミキシマックスしても奴らに対抗できる力を得れるとは思わな…!いや、そうか今の君たちは時空共鳴現象によって強化されているんだ!だったらなんとか奴らに対抗できるかもしれない!ワンダバ!」

 

「話バッチリ聞こえていたぞぉぉぉお!ミキシマックスガン装着!円堂守そこを動くなよぉぉお!」

 

「へ?なんて?」

 

ワンダバがミキシマックスガンと呼ぶ銃を構えるとマイナスのマークが付いた銃の銃口を円堂に向けビームを発射する。

 

「うわぁぁ!アレ?痛くない?」

「よーーし!稲魂雷牙!今度はお前だ!」

「OK。ズババーンときな!」

 

今度はプラスのマークが付いた銃の銃口を雷牙の方向に向けビームを発射する。すると雷牙が激しい光に包まれ数秒後に姿を現すと髪型が円堂特有の尖った髪が追加され、オレンジのバンダナを巻き、獅子の如く鋭かった目つきはいくらか穏やかとなり本当に円堂と雷牙を足して2で割ったような容姿となった雷牙がその場に立っていた。

 

「ミキシマックスコンプリート!!!」

「え?アレが雷牙か⁉︎」

「すごーい!本当に円堂くんと稲魂くんが合体したみたい!」

 

円堂と木野が雷牙の変化に驚きと興奮の声を上げる一方で、雷牙本人は自身の変化を明確に感じとっているのか数秒自分の手を動かした後両手の拳を合わながらチームに向かって叫ぶ。

 

「さぁ決着をつけようぜ!」

「「「「応(はい)!」」」」

 

プロトコル・オメガのキックオフから試合が再開する。後半も残り時間半分を切っていることによりお互いに全力を出してプレーをしている。現にアルファと天馬と優一はキックオフした瞬間から化身アームドを発動しMFに下がっていたフェイと雷牙も前線に上がっている。両チームのGKは強力なシュートを受け続けたことにより限界を迎えている。恐らくあと一点でも取ったチームが勝つ。そのことを本能で理解していたFW陣は何としてでも点を取ろうと必死にプレーする。アルファの相手は天馬と優一に任せ、雷牙とフェイはそれ以外のメンバーの相手をする。永遠とも言える攻防の末最初にシュートを打ったのはプロトコル・オメガのエイナムだった。

 

「シュートコマンド06!」『プラズマボール』

「今度こそ点は渡さない!絶対に止めてやるんだぁぁあ!」

 

帯電したボールを受け止めるために円堂は正面から対峙する。しかしエイナムの狙いは円堂ではない。

 

「シュートコマンド03。」『ガウスショット』

 

虹色の波紋を発生させながら円堂とは真反対の方向にシュートを打ち返すプロトコル・オメガ3人目のFWレイザ。確実に一点を取るために彼らがとった判断は円堂守とまともに相手をしないこと。先ほど完全に止められなかったとはいえ化身技でミキシマックスと化身アームドを重ねがけしたアルファのシュートを防いでみせた円堂守に起きている時空共鳴現象は不確定要素でしかない。しかし時空共鳴現象によって強化されていても経験だけは現時点の実力相応であることは先ほどの一点が証明している確定要素である。ただそれだけのことだ。

 

「まだだ!諦めるもんかぁぁぁあ!グレイト・ザ・ハンド!」

 

またしても不意をつかれた円堂だったが最後の力を振り絞ってなんとか化身を発動させ不足しているリーチを補う。しかし不意をつかれたことと円堂自身の体力がもうすでに限界であることが原因威力は全開時の10分の1にまで落ちまたしてもボールを取り損なってしまう。溢れたボールを拾ったのは…

 

 

 

 

「今度こそ終わりだ円堂守。」

 

アルファだった。しかし同時に彼の前を阻む姿も存在した。

 

「シュートは打たせないぞアルファ!」

「俺たちが時間を稼ぎます!円堂さんは体勢を立て直してください!」

「オフェンスコマンド04。」『スピニングアッパー』

 

無慈悲なドリブル技が天馬と優一を吹き飛ばし何度目かの円堂とアルファが対峙する。もう円堂には体力が残っておらず立っているのもやっとの状態である。だがその目に宿った闘志の炎はまだ消えていない。

 

「シュートコマンド02」『鳳凰聖火』

「俺たちは必ずこの試合に勝つ!勝って絶対にサッカー部を作るんだぁぁぁあ!」

 

この試合にかける想いを叫んだ円堂は右腕を天に掲げ黄金の右手を出現させる。

 

「貴様は本当に自分の能力を判断できない人間のようだな。ゴッドハンド如きでは私のシュートを止めることなど不可能だ。」

 

円堂が選択した技は確かにゴッドハンドだった。しかし、黄金の右手は通常時とは比較にならないほど巨大化しアルファのシュートを鷲掴みにすると次第に威力が下がり始める。

 

「なんだと…!ばかな!円堂守が使用しているのはただの(・・・)ゴッドハンドのはずだぞ!いくら時空の共鳴現象が発動中でも化身技でもない限り私のシュートを止めるのは不可能のはずだ!」

「確かに円堂守1人(・・)の力なら止めることは不可能かもね…。」

 

絶対にありえない状況に困惑しているアルファを嘲笑うかのようにフェイが発言する。

 

「先ほど稲魂雷牙にミキシマックスを行った際に円堂守にも細工を施したのか!答えろ!フェイ・ルーン!」

 

普段の冷静さがどこにいったのかフェイに向かって声を荒げるアルファ。

 

僕達(・・)はただ彼に貸しただけさ、ハッキリ言ってかなり大博打だったけどね。」

 

「悪いなアルファ!確かにコレはただのゴッドハンドじゃない。雷牙、天馬、フェイ、優一、テンマーズみんなの気を俺に分けてもらって放ったゴッドハンドだ。名付けるなら“希望のゴッドハンド”ってとこかな?」

 

フェイが使った作戦はテンマーズ全員の気を円堂に送るそれだけのシンプルなものだった。まず最初にデュプリを通して少しずつ円堂に気を送り、気に気付いた他のメンバーもフェイの行動の意図を瞬時に理解し気を送る。しかしこの作戦には1つの大きな欠点があった。それは11人分の気の量に円堂守の体が耐えることができるのか。そこのみが唯一にして最大の懸念点であったが円堂は見事に乗り越えてアルファのシュートを止めることができた。

 

「円堂さん俺にパスを!」

「受け取れ天馬!」

 

円堂からパスを受け取った天馬は優一との綺麗なワンツーで一気に前線まで駆け上がりさらに前にいるプレーヤーにパスを送る。

 

「決めてください!雷牙さん…いや先生(・・)!」

「任せられた!いくぜフェイ!」

「ああ!」

 

雷牙とフェイがそれぞれ気高き王者の象徴(ライオン)希望を守るための力の象徴(ティラノサウルス)のオーラを呼び出しツインシュートを放つ。

 

「「“獅子王の牙”!!」」

 

2匹の王者の牙がキーパー諸共ゴールネットに噛み砕こうと激しくバウンドしながらゴールに向かう。

 

「ハァハァ!俺は…俺達は負けん!エルドラドのためにも!我が同胞アルファのためにも!俺はこのシュートを止めてみせる!重機兵バロン!」

 

プロトコル・オメガGKザノウも最後の力を振り絞り化身を発動しシュートに備える。しかし彼自身も分かっていた。今の自分では時空共鳴現象によって最大まで高まった稲魂雷牙のシュートを止めることは不可能だと。ならここのままおめおめとゴールを明け渡すのか?答えは…否だ。ならばどうしたらいい?答えは簡単だあの力(・・・)を今ここで完成させればいい。

 

「ハァァァア!アームド!」

 

この土壇場で化身アームドを発動しようとするザノウの行動はプロトコル・オメガのメンバー全員に衝撃を与えた。ザノウはメンバー内でもアルファの次に冷静で賭け事を好まず、最も成功する確率の高い行動を選択する人間だったからだ。それに先ほどの発言も冷静な彼らしくない感情の籠った叫びだった。一か八かの賭けに出た彼の行動はどうなるのか?その結果は……

 

 

「キーパーコマンド06!」『ラヴドヴォイス』

 

ザノウ…彼は不完全ながらも化身アームドに成功した。それだけでなく新技をも生み出し王者の牙と希望を潰す外道から同胞を勝たせるための男に成長した咆哮は互いに相殺しあい円堂の時と同じくボールは空中に留まった。

「くそ!」

「そんな!」

 

しかしまだボールは死んでない天馬と優一はボールを取ろうと跳躍するが先にボールに到達するのは彼らでは伝説の神獣鳳凰そのもの見間違えるオーラを纏ったアルファであった。

 

「ザノウよくやってくれた。後は私がこの試合を終わらせる。」

「くそ!後一歩なのに!」

「天馬くん!諦めるなアルファもまだボールに届いちゃいない!勝負は何事も最後まで諦めないものが勝つんだ!」

 

15m、10m、5m、アルファの身体はどんどんボールに近づいていき反対側にいる天馬達はあと1m届かない。残り0.5mボールが自身の足の射程距離に入ったことを確信したアルファは円堂がいるゴールにシュートを打ち込む。

 

 

 

 

 

 

 

 

…ハズだった。アルファがシュートを打とうとする瞬間突然下方向から出現した緑色のエネルギーで構成された巨大な左手(・・・・・)が天馬達を押し上げて自分よりも早くボールを奪った。誰だ?色こそ違うがあれは間違いなくゴッドハンド(・・・・・・)だった。円堂守?いや、ありえない。奴は体力の限界を迎えてゴールポストに肩を乗せることでやっと立っていられている状況だ。では誰が?アルファが緑のゴッドハンドが噴出されたであろう場所の直線上を見るとそこにいたのは

 

 

 

 

 

 

 

拳をグラウンドに振りこぼした稲魂雷牙の姿(・・・・・・・・・・・・・・・・・・・)だった。

 

「優一が言ったろ?勝負は最後まで諦めなかった奴が勝つって。」

「先生…!」

「最後のチャンスだ!いくぞ天馬くん!」

 

緑の左手が腕を開くとボールにエネルギーがチャージされ天馬と優一が渾身のシュートを放つ。

「「“ザ・ギャラクシー”!!!」」

「キーパーコマンド06!ぐぉぉぉお!」『ラヴドヴォイス』

 

まさに銀河から放たれた隕石の如しシュートをGKザノウは己の咆哮で止めようとする。しかしいくら化身アームドに覚醒したと言っても所詮は未完成。完成された化身アームドを使用している2人の合体技を止めることはできず隕石は咆哮を貫通した。

 

『ゴーール!そして試合終了のホイッスルが鳴ったぁぁぁあ!円堂守と稲魂雷牙の雷門サッカー部設立をかけたこの試合!勝ったのはテンマーズだぁぁぁぁあ!』

 

円堂side

 

「勝った…?俺達勝ったんだぁぁぁあ!」

 

実況のおじさんが俺達テンマーズが勝ったことを一瞬遅れて頭の中で理解した俺は自分でも驚くくらい大きな声が叫んでしまった。

 

「我々が負けた…?」

 

自分達が負けたことが信じられないのかアルファ達は唖然としていた。すると携帯の着信音みたいな音がアルファから聞こえてきた。

 

『アルファ残念だったな。』

「議長…。」

『撤退だ。』

「…イエス。」

 

会話はよく聞こえなかったけどあるアルファは悔しそうな顔をしてた。するとまた空から謎の飛行物体が飛んできた。今度はドローンじゃなくて明らかに宇宙船って感じの船だ。

 

「んだよっ⁉︎アレは⁉︎」

 

雷牙が驚く声が聞こえてきた。あっ!見た目が元に戻ってる!試合が終わると元に戻る仕組みなんだな…。

 

「…議長からの命令だ。撤退する。」

 

アルファがそう言うとプロトコル・オメガ全員の姿が一瞬でいなくなった。終わったのかな…?俺がそう思っているとフェイが感動したように

 

「守ったんだ…。円堂守達がサッカー部を作る流れを僕たちは守ったんだよ!天馬!」

「てことは勝ったんだよね!やったぁ!」

「なんかもう話のスケールが大きすぎてまた脳内の処理が追いつかなくなってきたぜ…。」

 

その気持ち分かるよ雷牙…。ハッキリ言って俺も自分のサッカーを守るって気持ちだけで戦っていたからな。

 

「あっ!俺たちがこの試合に勝てたのは優一さんのおかげです!ありがとうございました!」

「うん。でも少し話を聞いてみないとね…。」

 

なんかわかんないけどあっちはあっちの世界に入っているみたいだな…。若干気まずくなった俺は何気なく雷牙の顔を見ると雷牙は天馬のことをジッと見つめていた。やることがなくて暇だったし明日のことを考えていたら、天馬達が話しているから制服に着替たら?って木野に言われたから着替えることになった。俺たちが着替え終わるころには天馬達の話が終わっていてどうにも俺たちがサッカー部を作ることが210年後の未来人にとって都合が悪いらしいけどそこらへんは未来が変わるとまずいからって説明してくれなかった。まぁとりあえずここにいる全員サッカーが大好きってことは確かだし大丈夫だろ!一通り別れと感謝をして天馬達が未来に帰ろうとするとずっと黙っていた雷牙が口を開いた。

 

「なぁ天馬?後半の途中からオマエは俺のことを先生って呼んでいたが俺とオマエはどういう関係なんだ?」

 

そういえばそうだったな…でも雷牙だって途中俺のことを名前で呼んでいたしな。

 

「えーと…、ごめんなさい!あまり過去が変わるかもしれないから詳しくは言えないんですけど!俺と先生は近い未来会うことになるんです!そこで先生は俺にサッカーを教えてくれました。俺!貴方ともう1人の選手に憧れて雷門中サッカー部に入部したんです!…コレが俺と先生の関係です。」

「なるほどね…俺とオマエは将来運命の出会いを果たすと…。OKわかった。心の中のモヤモヤは大体晴れた。俺が知りたかったのはただそれだけだ。」

 

試合が終わってからどこか浮かない顔をしてたけど雷牙は天馬に何か思うことがあったのかな?あっそうだ!俺も天馬に言わなきゃいけないことがあるんだ!

 

「天馬!俺いや俺たち雷門サッカー部絶対作ってみせる!約束するぜ!」

「円堂さん…!俺もサッカーを守るためにがんばります!」

「おう!んでもってもしどこかでまた会えたら!」

 

「サッカーしようぜ!だろ?」

「「おう(はい)!」」

 

こうして天馬達は空飛ぶバスで俺達を元いた場所まで送ってくれた後に元の時代まで戻っていった。またな天馬いつかお前と会える日を楽しみしてるぜ。

 

雷牙side

 

「よーーし!とりあえず明日からゴッドハンドを超える必殺技を生み出すために特訓だ!」

 

アレだけ色んなことがあったって言うのに守は俺が言った次の目標のことで頭がいっぱいらしい。まっ、俺もウカウカしちゃいられないな。とりあえずあの化身って奴使えるようになりてぇな、カッコよかったし。

 

「そういえば?稲魂君はサッカー部の入部届けを提出したの?」

 

あっ!そう言えば今日は一日中守を探してたから忘れてたぜ…。明日学校行って手続きするか。とりあえず今日は疲れたしとっと寝て明日にそなえるとすっか…。俺は途中の道で守たちと別れて今俺が住んでいるやたらと年季が入ったアパート、『木枯らし荘』に入る。さぁって明日からどんな中学生活が待っているか楽しみだ。

 

 

 

 

未来を勝ち取った2人の英雄は自分達の未来に期待を膨らませながら帰路に着く。だが、彼等はまだ知らない。未来からの襲撃者というイレギュラーは彼等の世界に決して小さくない歪みをもたらしたことに。




始まりは2人の少年の夢だった。

「みんな!サッカーやろうぜ!」
「オマエがサッカーを諦めた今日は、誰かがサッカーをしたかった明日だって考えたことはあんのか⁉︎」

やがてその夢は周囲を巻き込み
「悪いな、サッカーはもう辞めたんだ。」
「…デスゾーン開始。」

埋もれていた伝説を呼び起こし
「お前のその気合い乗った!」
「噂の雷門中ってのはその程度か?ショボい奴らだな!」

新たなる伝説を生み出す序章となる
「まだだ!まだまだ終わってねぇぞぉぉぉお!」
「神々からの祝福を…君は受けたことがあるかい?」

イナズマイレブンHEROS FF編近日公開。
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