イナズマイレブンHEROS!!!   作:月兎タンク

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もうすぐ“彼ら”との再戦が待っていますがその前にちょこ〜とだけ脱線します。これもこれで前々からやりたかった事なのでどうかお付き合いください。


南国の地に襲来せし来訪者 前編

おーっす画面の前のみんな、雷牙さんだぜ!大海原と試合して早数日…守もだいぶサーファー特有の腰の動きの感覚を覚えて“正義の鉄拳”習得まであと少しってところまできたぜ!これならエイリア学園をぶっ倒すのも時間の問題だな!

 

えっ?なんで俺のモノローグから話が始まってるんだって?それはだな〜…

 

「貴様らを潰しサッカーを消去する…!」

 

「はッ!やれるもんならやってみやがれ!そう簡単に俺たち“テンマーズ(・・・・・)”に勝てると思うなよ!!!」

 

「が、頑張りましょう先生!」

 

こーゆーこと♡

 

〜数時間前〜

 

「エッホ、エッホ、もっとスタミナをつけなきゃ。」

 

今日の練習も終わり現在は自由時間なった。まぁ自由時間つっても殆どのメンバーは自主練に励んでいるんだけどな。俺も今綺麗な海を沿うように走り込みをしてるし。

 

「それにしても沖縄ってどことなく“神鳴り島”と雰囲気似てるよなぁ〜、どっちもデケェ島だし当たり前っちゃ当たり前か。…ん?」

 

そんな事を考えながら何気なく近くの砂浜を見ているとさっきまで俺以外人がいなかった砂浜に2人の人が立っていた事に気づいた。

 

1人は雷門中の制服に似た学ランを着たクルクルパーマがよく目立つ茶髪の少年。

もう1人はなんと或葉だった。

 

「あれ〜?さっきまで或葉は熱也と一緒に自主練してたよなぁ…?それにあんな服着てたっけ…?」

 

或葉?が着ている服はピッチピチの黒塗りのストレッチスーツ…。なんだろう…どっかで見た覚えがある気がすんだよなぁ〜…。

 

『無駄だ。雷門中にサッカー部は出来ない。』

 

『“天空の支配者 鳳凰”。アームド…!』

 

思い出した…!アイツは…あのヤローは…!!!

 

厳密には+半年が付くけど、あそこにいる或葉似のヤローは間違いなく1年前FFスタジアムで試合をしたプロトコル・オメガのキャプテンでルートなんちゃらってののアルファだった。

 

「なんでアイツがここにいるんだよ…!こうしちゃいけねぇ!ちょっくらぶっ飛ばしてくっか!」

 

まぁぶっ飛ばすのは流石に冗談だが、200年後の未来から俺と守を潰そうとしたイカれたヤローだ、一言何か言わねぇと納得がいかなかった。

 

「これよりお前にとってのサッカーは消滅する。」

 

「なんだって…!」

 

なんか遠くでゴチャゴチャ聞こえるがイマイチ聞き取れね〜なぁ。

 

その時、アルファ達の近くにあった木材置き場に1人の男の子が子犬を追いかけて近づいていた。運が悪い事に子犬が木材に軽くぶつかった事で木材のバランスが崩れ男の子目掛けて倒れてきた。

 

「危ねぇ!くそ!!!間に合え…“獅風迅雷”!!!」

 

俺は咄嗟に“獅風迅雷”を発動させたが“限界突破(オーバーハンドレッド)”まで気を高めるのにあと数秒くれぇ時間がかかる。

 

もう駄目かと諦めかけた時…1人の救世主が現れた。

 

「…! “ファイアトルネード”!」

 

たまたま俺と反対方向にいたフードの男がシュートを打って男の子を救おうとしたんだ。だが俺が最初に感じた感情は安堵じゃなくて驚きだった。

 

「な!!!今のシュートはまさか…!」

 

何故ならフードの男が放った技は間違いなく“ファイアトルネード”だったから。正直色んな感情がごちゃ混ぜになって気絶しそうだ。

 

まぁ何はともあれ男の子も無事だし、“炎のストライカー”の正体も判明したしで一件落着だな!

 

 

 

 

 

 

 

…そう思っていた俺が甘かった。

 

「これより歴史修正を開始する。」『インタラプトモード』

 

或葉よりも冷酷な声が俺の耳に響いたと同時、アルファは“ファイアトルネード”目掛けてシュートを放った…。

アルファによって放たれたシュートの威力は恐らく咄嗟に放ったであろう“ファイアトルネード”の威力を遥かに超えており呆気なく救いの手を弾いてしまった。

 

「これで修正完了…。ただちに本部へ帰還する…。」

 

あのヤロー……、あの時少しは分かり合えたと思ったのに罪も無ェ子供を傷つけようとしやがって…!!!

 

今の俺の頭には事故で死んだ家族の記憶が流れていた。この世界にはサッカーがしたくても満足にできねぇまま死んじまった人がたくさんいる…。だからこそどんな理由があろうともサッカーを使って他人を傷付けるヤツだけは許せなかった。

 

…来た!

 

「まだだぁぁぁぁあ!!!」

 

「何⁉︎」

 

「こ、この声は⁉︎」

 

ギリギリのところで“限界突破”まで気を高める事に成功した俺は文字通り弾かれたボールの元に瞬間移動し、フードの代わって救いの手を差し伸べる。

 

「“超キングレオーネ”!!!」

 

万が一に備え全力の“キングレオーネ”をぶっ放したが、どうやらアルファは未来人のくせに俺がこの場に乱入して来る事が予想外だったみてーだ。

 

まっ、何はともあれ俺の“キングレオーネ”は誰にも妨害される事なく木材をぶち壊して男の子を救う事に成功した。

 

「稲魂雷牙だと…⁉︎あり得ない…!雷門イレブンがこの地に訪れるのは今から1週間後の筈…!」

 

「久しぶりだなぁアルファ…。1年前振りか?今度は沖縄で何を企んでんのか知らねぇ〜がこの雷牙さんの目に入った以上は黙っておけねぇぜ!」

 

「1年前…?何の事を言っている…?」

 

…なんだこの会話が噛み合ってない感じは?確かに俺の目の前にいるのは1年前、FFスタジアムで俺と守の未来を賭けて戦ったアルファその人だ。だが俺の事は実際に会った事の無ェみてーな反応をしてやがる…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「先…生…?」

 

1年前に聞いた覚えのある声が聞こえたから俺は後ろを振り向く。予想通りそこにいたのは1年前俺と守を助けてくれた天馬だった。

 

「おぉ⁉︎天馬じゃね〜か!久っさしぶりだなぁ〜!」

 

「えっと…あなたは中学生の時の先生ですよね…?なんで俺の事を知っているんですか…?」

 

「いやなんでって…、オメーが1年前にそこのダッッッッッサイストレッチマンに襲われかけた俺と守を助けてくれただろーが。そんで?またプロトコル・オメガが俺たちに何かしようとしてんだろ?だったら俺も戦うぜ!」

 

「ご、ごめんなさい俺未だに状況が飲み込めてないんですけど…。」

 

…あれ?なんか俺変な事言ったか?アルファといい、天馬といい、なんでここまで会話が噛み合わねぇんだ…?

 

 

「了解…。どうやら稲魂雷牙と円堂守は既にパラレルワールドの我々と交戦している模様…。歴史修正の権限をルートエージェント01“アルファ”に移行完了…。これよりエルドラドの名の下にインタラプトを開始する…。」

 

“パラレルワールドの我々”?やべぇな…話が見えてこねぇ…。

 

混乱してきた俺の頭に更なる負担を掛けるように、アルファの周囲にぞろぞろとプロトコル・オメガのメンバーがやって来た。

 

「ど、どうしましょう先生…?」

 

天馬が俺に助けを求めるが俺にそんなに期待しないでくれよ。だって俺ちゃんはちょ〜とサッカーが上手いだけの一般100年に1人の天才ピーポーなんだぜ?

流石にこの状況を2人で覆せるほどの力はないって。あっそうだ(唐突)

 

「おい天馬!フェイは今どこにいるんだ⁉︎アイツがいれば五分までもってける!」

 

「フェ、フェイ?だ、誰ですかそれ⁉︎」

 

駄目みたいですね(諦め)

え〜と…つまり天馬とアルファの反応を見るにこんな感じか?

 

俺目線:1年前にFFでアイツらに襲われる→天馬とフェイが助けにきてくれる→アイツら試合して勝つ→そのまま今日まで過ごす→今日天馬と再開する(イマココ!)

 

だけど…天馬からしたら…。

 

天馬目線:今まで普通に過ごす→突然アルファに拉致られて何故かこの時代の沖縄まで連れてこられる→なんやかんやしている時に俺が乱入(イマココ!)

 

こんな感じか…。…いや待てよ?天馬はまだこの時代の稲魂雷牙…つまり俺には初めて会ってフェイの存在も知らねぇ…、でも俺は天馬とフェイの存在を知っている…。

 

つまり“今日俺と天馬が会う→なんやかんやあってフェイと合流する→なんとかアルファからの追跡を逃れる→その後天馬は1年の頃の俺と守を助けに1年前(天馬からすれば11年前)にタイムスリップする→試合に勝つ→以降ループ。”みてーな時系列になってんじゃねーの?

 

という事はだ…、今俺に出来る事はフェイが助けに来るまでなんとか耐久しなくちゃならねぇって訳だよな、エイリア学園に匹敵する身体能力を持つ11人相手に。

 

いや〜流石にムズいって、“イナズマ魂”とか言ってる俺が言うのもなんだけど精神論じゃどうにもならねぇ事もあるって。

 

もうこうなったら奥の手を使うしかねぇなぁ…。

 

「おい天馬…」

 

「は、はい!」

 

「逃げるぞ。」

 

「わかりました… え?」

 

俺はすぐさまアルファから背を向けてガンダッシュをかました。どうやら天馬はあのまま戦うと思ってたみてーでやや反応が遅れた後俺についてきた。

 

「逃がさない…。追えお前達…。」

 

『ラジャー!』

 

「追ってきてますよ〜!先生〜!」

 

「走れ天馬!諦めなければなんとかな〜る!!!」

 

1年前みてーに2対1ならまだしも2対11は勝負する気にもならねぇよ。とりあえずキャラバンまで戻ってなんとか対策を練らねぇとなぁ…。

 

 

 

 

 

〜数分後〜

 

「サッカーを捨てろ稲魂雷牙…。」

 

駄目でした〜。

 

おい即落ち2コマつった奴出てこい。いやさ、俺も天馬もケッコー頑張ったのよ?でもアイツら11人じゃん?オメーら鬼11人のかくれんぼした事ある?俺はした事ないけど、もししたら数分でゲームが終わるって事だけは理解出来た。

 

で今はアルファのお仲間さんたちの囲まれてるってわけよ。いや〜ど〜すっかな〜

 

「先生…俺、戦います…。俺にとってサッカーは命と同じくらい大切なものなんです…!だからサッカーを否定しようとするあいつらを絶対に許せないんです…!」

 

天馬…。…なんとなく未来の“俺”がオマエに目をかけたのが分かる気がするぜ…。だってオメーは既に持ってるからな…、どんな時でも諦めない“イナズマ魂”をよぉ!!!

 

「待てよ天馬、俺も戦うぜ。俺とお前でサッカーエアプ勢のアイツらに雷門サッカーの“魂”を見せてやろうぜ!」

 

「“サッカー”など必要無い。お前達が築き上げてきた歴史は間違いだったと思い知らせてやろう…。」

 

「はい!はぁぁぁぁあ…!“魔神 ペガサス・アーク”!」

 

1年ぶりに見る天馬の化身に懐かしさを覚える。1年前から思ってたけど天馬の化身と俺の“レグルス”ってちょこっとだけ似てるよな。

 

まぁいいや…、俺もアイツに負けてらんねぇからな、いっちょ魅せますか…!

 

「はぁぁぁぁぁあ!!!こい!“雷鳴の覇王…「ちょっと待ったぁぁぁあ!!!」…この声は…!」

 

上空からやってきたのは天馬と同じく1年前に俺たちを助けてくれたウサギみてーな見た目の緑髪の少年のフェイだった。

 

「サッカーは必要だ…。そうでしょ?天馬、雷牙さん?」

 

「フェイ!よく来てくれたなぁ!いや〜オメーが来てくれなかったら俺たちおっ死んでたぞ!」

 

「き、君が先生が言っていたフェイ?」

 

「そうだよ。天馬にとっては初めましてだけど雷牙さんにとっては久しぶりって感じかな?君達と同じサッカーを必要としている者さ!」

 

「私もいるぞぉぉぉぉぉお!!!」

 

「鬼道⁉︎オメーも来てくれたのか⁉︎」

 

「違ーーう!私の名はクラーク・ワンダバット!フェイと同じく君達の味方だ!!!」

 

あ〜そうだ、確かにいたなドラえも●みてーなクマ型ロボット。…にしても声はマジで鬼道とくりそつだな…アイツに酒が入ってテンション高くなったら多分こんな感じになるんだろなぁ…。

 

「さてと…、相変わらず卑怯だねエルドラドのやり方は。11人で2人を甚振ってそんなに楽しいかい?」

 

「…“サッカー”を無くす。それが我々ルートエージェントに課せられた使命だからだ…。使命の為なら手段は問わない…。」

 

影山、秋葉名戸、世宇子、エイリア学園…今まで手段を選ばすに俺たちを潰そうとしてきた奴らはたくさんいたけど、奴らの汚さはレベチだな…。この前のジェネシスが可愛く見えらぁ。

 

「だったら僕たちとサッカーで決着をつけないかい?歴史の影響力を考えればサッカーの試合による負傷という体の方がエルドラドにとっても都合がいいと思うけど?」

 

おいなんか物騒な事を言ったぞコイツ。ほら天馬を見てみろよ、若干顔青くしてんじゃん。まだコイツ1年坊なんだからビビらせてやんなよ。

 

「…いいだろう。敢えてお前の提案に乗ってやる…。だが人数はどうするつもりだ?貴様と合わせて3人しかいないようだが?」

 

「分かってねぇなぁオメーはよぉ。さぁフェイ!いっちょオメーさんの力を見せてくれ!」

 

「OK、雷牙さん。みんな!出ておいで!」

 

そう言うとフェイの身体から化身と同じ紫色のオーラが溢れ出ると、8つに分裂して化身とは違う、人型の形に変化する。完全に実体化するとだいたいフェイと同じ年齢の男女が現れた。

 

「す、凄い!これがフェイの力なの⁉︎」

 

「彼らはデュプリ!簡単に言うと化身の発展系さ。さっ!試合を始めようか!」

 

フェイが指パッチンをすると俺たち全員の服装が1年前と全く同じ服装に変化した。…アレ?あの時は普通に着替えたよな?なんであの時ついでに変えてくれなかったんだ?

 

「それじゃこのチームのキャプテンを決めようか。」

 

「だったら先生にお願いします!伝説のイナズマイレブンの一員のあなたならきっと勝てますよ!」

 

「あっそ…だったら答えは“NO”だ。」

 

「えぇ⁉︎な、なんでですか⁉︎」

 

いいリアクション。分かりやすいくらい素直なのも俺に選ばれた理由なんだろうな、だって弄り甲斐があるもん。

 

「ん〜なんつーか直感?それにこれはオメーの未来を守る戦いだろ?俺は自分から首を突っ込んだだけ。ならキャプテンマークを付けるのはオメーが適任なんじゃね〜か?」

 

「…分かりました!俺がこのチームのキャプテンを務めさせてもらいます!」

 

いい返事だ。俺の直感は言ってるぜ、オメーの中に眠るキャプテンとしての才能は守に匹敵するってな。

 

「…ではお願いする。」

 

「おう!任しとけぃ!」

 

あん…?アレって1年前にもいきなり現れた実況のおっさんだよなぁ?いつの間に呼んだんだ?まぁこっちの時代も角馬が至る所に現れるからアイツがサッカーに実況は不可欠って言いたくなる理由も今なら分かる…いや分かんねーわ。

 

「さて…我々は“プロトコル・オメガ”というチーム名で登録したがお前達は不明のままになっているが…?」

 

「そっか、じゃあ天馬がキャプテンのチームだから“テンマーズ”だ!」

 

「て、“テンマーズ”⁉︎ はは…。」

 

なるへそ、ここで“テンマーズ”の名付けの親はフェイだったのね。危ねーもし俺がキャプテンになってたら“ライガーズ”って名前になってたんかな…。…意外とイカす名前だな。

 

さぁさぁ、そんなこんなで始まったテンマーズVSプロトコル・オメガの一戦!(角馬の声真似)

 

我らが誇るテンマーズのスタメンはこの通り!

 

FW:キモロ、フェイ

MF:マント、天馬、俺、ドリル

DF:ウォーリー、スマイル、ストロウ、デブーン

GK:マッチョス

 

へぇ〜〜、フェイのデュプリのGKってこんな奴だったんだ。(角馬の声真似終了) 体格は染岡にも負けてねぇな、アイツFWだけど。

 

さぁ〜てと、この1年で俺もパワーアップしたんだ。そう簡単に倒せるとは思うなよ?

 

 

__________

ピッピー!

 

「開始する…。」

 

試合開始早々速攻を仕掛ける“テンマーズ”に対してアルファ率いる“プロトコル・オメガ”は冷静に対処しボールを奪取する。

 

『おーーっと!早速プロトコル・オメガがカウンターを仕掛けてきたぞぉぉぁぉお!!!圧倒的なスピードで攻め上がる彼らに“テンマーズ”はどう立ち向かうのかぁぁぁあ⁉︎』

 

「は、早い!」

 

「大丈夫、目が慣れてないだけだよ。君達ならきっと追いつけるさ!」

 

そう言うとフェイはまるでウサギのように小刻みにジャンプを繰り返し、“プロトコル・オメガ”からボールの奪取に成功する。

 

「やるなぁフェイ!俺も負けてらんねぇぜ、天馬上がるぞ!」

 

「はい先生!」

 

プロトコル・オメガの隙を突いたフェイはゴール前まで辿り着くと、ボールと共に兎の如くジャンプを繰り返し、オーバーヘッドキックを放つ。

 

「“バウンサーラビット”!」

 

「“キーパーコマンド03”!」『“ドーンシャウト”』

 

満月に住む兎は未来から来た咆哮によってかき消されてしまう。流石にそう簡単に点を取れない事を察知したフェイはカウンターに備えてデュプリ達に指示を送る。

 

「“フォーメーションα”開始…。」

 

『ラジャー!』

 

ボールを確保したプロトコル・オメガは再び凄まじいスピードで攻め上がるが、デュプリ達はなんとか食らいつく。

 

『なんとハイレベルな攻防だぁぁぁあ!!!私でも目で追いきる事が出来ません!』

 

「アルファ!」

 

長い攻防の中、遂にエースストライカーであるアルファにボールが渡ってしまう。だがそれを見越していたDFは彼を囲むと三角形の結界が発生する。

 

「「「“フラクタルハウス”」」」

 

「無駄だ。」

 

しかしアルファはそれすらもものとはせずに自力で打ち破ると空中でシュートに体制に入った。

 

「“シュートコマンド01”。」『“スピニングトランザム”』

 

これがアルファの得意技である“スピニングトランザム”だ。その威力はまだ1年生だったとはいえ円堂を幾度となく苦しめた恐るべき威力を持っている。

 

『アルファの必殺シュートが炸裂ぅ!キーパーのマッチョスは彼のシュートを止められるのかぁ⁉︎』

 

マッチョスは必殺技で対抗しようとした瞬間、本体であるフェイから指示が送られた為、急遽行動を停止する。

 

彼の異常な行動を見たアルファは何か策があるかと思いつい身構えるがそのまま“スピニングトランザム”はマッチョスに激突してしまい大量の砂煙が発生した。

 

「(なんだ今のデュプリの行動は…?明らかに途中で本体の命令が入った挙動だった…。フェイ・ルーン…一体何を企んでいる…?)」

 

「アルファ!あれを見ろ!」

 

砂煙が晴れる事によってアルファが感じたフェイの疑念はすぐに判明する事となる。

 

「いや〜相変わらずスゲェ威力だ。だが残念だなぁ…オメーのシュートは1年前と全く変わっちゃいねぇ。この程度じゃ俺ちゃんに勝つにはまだまだだな。」

 

「稲魂雷牙…!」

 

そこにいたのは本来ゴールラインを割っていた筈のボールを足元に置いた雷牙だった。

マッチョスにシュートが放たれた瞬間、雷牙は気配を消してシュートコースの間に入り、持ち前の脚力でアルファのシュートを止めたのだ。

 

「さぁ〜てとそろそろオメーらのスピードにも慣れてきたことだし…、反撃といこうぜ!!!」

 

『おう!』

 

アルファからボールを奪ったテンマーズはカウンターを開始し、全員で攻め上がった。アルファのシュートを雷牙に止められた事に衝撃を受けたプロトコル・オメガは僅かに連携が乱れてしまい、テンマーズの攻撃を止める事が出来ない。

 

「おいおい?オメーらの実力はその程度かよ⁉︎それとも俺ちゃんが強くなり過ぎちまったのかな!」

 

「舐めるなよ“怪物”が!いくら貴様が偉大なサッカー選手でもこの時代の貴様では我らプロトコル・オメガには敵わない事を教えてやる!」

 

雷牙の十八番である“挑発”にまんまと引っかかったMFのクオースは必殺技を使い雷牙からボールを奪い取ろうとする。しかし…

 

「ほい天馬。」

 

「何だと⁉︎」

 

雷牙はクオースに相手する事なくアッサリと天馬にパスを回してしまった。

 

「駄目だねぇ君タチ〜。そ〜んな簡単に俺の挑発に乗っちゃあエージェント失格だなぁ〜。どうだ?いっそのことアルバイトからやり直したら?」

 

「あはは…、先生の口の軽さは昔から変わらないみたいだね…。」

 

「まぁ、彼の死後に試合中に放ったジョークを纏めた本が10冊ほど出版されたって記録あるみたいだし、生まれつきなんだろうね。」

 

殺伐とした試合に似つかわしくない会話を交わしているとプロトコル・オメガ屈指の巨漢DFであるガウラが天馬の前に立ち塞がった。

 

「ここから先には行かせん!」

 

その巨大な体格を活かして強引にボールを奪い取ろうとするガウラだったが突如天馬の姿が彼の視界から消えてしまった。

 

「消えた⁉︎」

 

「何処を見ているガウラ!右を見ろ!」

 

チームメイトに言われて彼の横を見ると、天馬はそよ風のように軽やかな動きでガウラを抜き去っていた。

これが天馬の得意技である“そよ風ステップ”だ。

 

「お願いします先生!」

 

天馬の活躍により遂に敵が守るゴールに辿り着いた雷牙。自身の目の前にいるのは何度も自分の渾身のシュートを防いでみせたプロトコル・オメガの正GKであるザノウだ。

1年前のリベンジを果たせる事に喜びを感じた雷牙は彼への敬意を込め、自分の全力で彼を打ち砕く事に決めた。

 

「天まで轟けぇ!!!“雷鳴の覇王 レグルス・マキシマム”!!!」

 

遂に出現した“覇王”にプロトコル・オメガは全員騒つく。否、彼らだけじゃない…、未来の雷牙の弟子として彼の事をよく知る天馬でさえも“覇王”の存在に大きな衝撃を受けていた。

 

「“レグルス・マキシマム”だって⁉︎先生の化身は“雷鳴の王 レグルス”だった筈じゃ…!」

 

「…理解。この世界の稲魂雷牙は1年前に我々が修正に失敗した事により全く異なる歴史を歩んでいる模様…。これによりパラレルランクを“C”から“A”に上昇…。」

 

「くっ…、こい!」

 

「おいおいオメーも化身を出さなくていいのかよ?舐めプで俺に挑んだ事を後悔させてやらぁ!“マキシマム・オブ・レグルス”!!!」

 

“覇王”の斧が襲撃者を断罪する為に振り下ろされた。あまりに予想外の状況だったがザノウは逃げる事なく必殺技で立ち向かった。

 

「“キーパーコマンド03”!!!」『“ドーンシャウト”』

 

ここまで追い詰められても化身ではなく必殺技で対抗している辺り現在の彼はそもそも化身が出せないようだ。数秒程抵抗したものの彼の咆哮は“覇王”の威厳の前では無力であり呆気なく得点を“テンマーズ”に与えてしまった。

 

『ゴーール!!!まさかの稲魂雷牙が私の脳データベースにインプットされていない化身を発動させ先制点を奪ったぁぁぁあ!!!ここから先の試合の展開に目を離せません!!!』

 

「凄いじゃないですか先生!あんなまさか化身を使えるだけじゃなくて俺と同じで進化させてるなんて!」

 

「あん?その口張りからしてそっちの時代の俺はまだ“レグルス”のまんまなのか?」

 

「はい!でも前に一度だけ相手をさせてもらった時は手も足も出ませんでした!」

 

「それはドヤって言う事じゃねぇだろ…。」

 

「ほらほら!早くポジションに戻って!もうアルファ達は待ちくたびれているよ!」

 

フェイに急かされて雷牙と天馬は各々のポジションに着く。雷牙の先制点により“テンマーズ”が勢いづいたものの、そう簡単にはプロトコル・オメガとの力の差を覆す事は難しく、試合は膠着状態となってしまう。気づけば前半も残りラストワンプレーまで時間が進んでいた。

 

「おっと!これ以上先は行かせないぜぇ?」

 

「邪魔だ、稲魂雷牙…。」

 

現時点での得点は1対0でテンマーズのリードだ。しかし何故か雷牙は少し焦っている。その証拠にいつもならガンガン攻める姿勢を取る彼だが、今日の試合はディフェンスに集中している。

 

「稲魂雷牙…、その様子を見るにお前は気づいているようだな?私にはまだ切り札がある事を…。」

 

「チッ、オマエら!絶対ェアルファにボールを渡すな!間隔の短いパス回しでパスカットを警戒しろ!」

 

「警戒したところでもう遅い。“天空の支配者 鳳凰”…アームド…。」

 

突然アルファが化身を発動したと思うと、眩い光を発生させ化身が再びオーラとなりアルファの身体に張り付く。

 

「け、化身を身に纏った…⁉︎」

 

「くそったれが!とうとう使いやがったな!!!」

 

眩い光が収まるとフィールドには鳳凰の意匠が施された鎧を身に纏ったアルファが立っていた。この形態こそが200年先の未来に存在する化身の最高到達点、“化身アームド”である。

 

「…ここからは手は抜かない…。完膚なきまでにお前達を叩き潰す…。」

 

大幅なパワーアップを遂げたアルファは先ほどまで互角だったデュプリ達すらも蹂躙しゴール前に到達する。

 

「“シュートコマンド01”。」『“スピニングトランザム”。』

 

アルファが放った必殺技は今まで変わらない“スピニングトランザム”。だが決定的に異なる点が1つだけある。

 

その回転(スピニング)は天災を思わせる暴風を纏っているのだ。

 

「“エクセレントブレス”!!!」

 

マッチョスは今度こそ必殺技を使い対抗しようと試みたが、力の差は大きく一瞬にして吹き飛ばされてしまった…。

 

『な、な、な、なんとぉおーーー⁉︎プロトコル・オメガ、キャプテンのアルファ!まさかここまで凄い切り札を隠し持っていたとはぁぁぁあ!!!そしてここで前半戦が終了ォーー!!チームテンマーズはここから巻き返す事は出来るのかぁーー⁉︎』

 

最後の最後で今までのリードを取り返されてしまったテンマーズ。この1プレーにより天馬と雷牙の実力は自分に及ばないと判断したアルファはこれ以上の試合は時間の無駄だと判断し彼らにある提案を行う。

 

「最後の警告だ…。今すぐサッカーを捨てろ。そうすればこれ以上の危害は加えないと約束しよう…。」

 

エルドラドの目的はあくまで歴史の分岐点となった人物である松風天馬と円堂守、稲魂雷牙をサッカーから引き離す事。

フェイの提案に乗ったのも負傷による引退ならば殺害するよりも歴史への影響が小さいからに過ぎない。

その気になればどんな手段も問わない…、それがルートエージェントであるアルファのやり方だった。

 

だが、胸にどんな時でも諦めない“イナズマ魂”を秘めたこの男達がそんな提案に乗る訳がなかった。

 

「相変わらず覚えが悪りぃヤローだなぁ!俺たちは最後の1秒になるまで戦う!それが“イナズマ魂”なんだよ!!!」

 

「そうだ!俺たちは絶対にこの試合に勝って神童さんたちを元に戻す!」

 

せっかく自分が最後にチャンスとして提示した条件すらも簡単に拒絶する愚者達を見たアルファは自分の考えが甘かった事を実感する。

 

「…そうか。どうやら聞いていたよりもお前達の理解力は低次元だったようだな。ならば後半戦は覚悟しておく事だ…。」

 

容赦なく“化身アームド”を発動され、圧倒的不利なまま前半戦を終えてしまった“テンマーズ”達…。

果たして彼らは自分達の“未来(サッカー)”を守る事が出来るのか…?




またヴィクロが発売延期しましたね。自分はあくまで二次創作を書かせてもらっている立場である以上あーだこーだ言う資格はないため、気長に11月まで待ちます。でもここまで発売延期を繰り返したゲームって世界でも数えるくらいしか存在してない気もするので(自分が知ってる限りだとMOTHER3くらい?)シンプルにレベル5の今後が心配になりますね。
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