イナズマイレブンHEROS!!!   作:月兎タンク

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最強の助っ人!その名はアフロディ!

「久しぶりだね。雷門イレブン。」

 

「あ、アフロディ…!お前…!」

 

 まさかの助っ人に円堂は言葉を詰まらせてしまう。

 アフロディが助っ人に来てくれた事もそうだが、今の彼は自身の記憶にあるアフロディとは雰囲気が大きく異なっていたからだ。

 

 自身の目に映る者全てを見下すように冷たかった瞳は温かみのある温厚なものへと変化し、気品がありながらも傲慢さを隠しきれなかった口調もどこか落ち着きのあるものへと変わっている。

 

「間に合ってくれたか亜風炉君!」

 

「お父様⁉︎無事だったのね!」

 

 遅れて来た理事長は事の経緯を皆に説明する。

 アフロディをここに呼んだのは自分だという事、既に世宇子は影山の支配下から脱している事を。

 

「アフロディ…確か神の名を騙る狂人共の長だったな。失せろ、地に堕ちた神に興味は無い。」

 

「…確かに僕達は神じゃなかったかもしれない。でも僕は雷門とあの人に出会って変わったんだ。そして僕はもう一度歩みを進める為にここに来た。今度は“見習いの神様”としてね。」

 

「へッ!だったら俺たちが教えてやるぜ!どんな神も俺様の灼熱の炎の前には無力だって事をな!」

 

 バーンはアフロディを潰す為にサッカーバトルを開始する。 

 早速燃え盛る炎のように激しいタックルをかましたバーンだが、アフロディは紙一重で躱わす。

 

「へぇ!中々やるようだな!だったらもっとスピードを上げるぜ!」

 

 更に本気を出すバーン相手にも互角に立ち回るアフロディに皆舌を巻いている。

 

「す、凄えなアフロディの奴…。あのバーンと互角に渡し合ってるぜ!」

 

「流石はあの影山に才能を見出されただけの事はあるな。」

 

 するとバーンとアフロディを狙うかのように氷の槍が彼らに襲い掛かった。

 

「何しやがるガゼル⁉︎」

 

「時間を掛け過ぎだバーン。いい加減遊びは止めろ。」

 

 槍の持ち主はガゼルだ。彼は槍をボールに戻すとバーンに加わるようにアフロディに襲い掛かる。

 

「チッ!せっかく面白くなってきたってのによぉ、まぁいいか、さっさと終わらせるぞ!」

 

「これは…流石にキツいかもね…。」

 

 彼の言葉通り流石のアフロディもガゼルとバーンの前ではやや劣勢となってしまう。

 

「“アトミックフレア”!」

 

「“ノーザンインパクト”!」

 

 2人の最強シュートがアフロディに襲い掛かる瞬間、神の前に金色の怪物が神を守るように立ち塞がった。

 

「大丈夫か〜?ア・フ・ロ君?」

 

「稲魂君…!」

 

 アフロディを守ったのは雷牙だ。雷牙は化身を発動させて2人のシュートを何とか相殺する事に成功していた。

 

「アフロディを守ったつもりか稲魂雷牙?だが1つ忠告するぜ!その場から一歩でも動いた瞬間、俺はテメェに攻撃を行う!その覚悟は出来てんだろうな!」

 

「はッ!アフロディを助けるだと…?冗談キツいぜビューン。」

 

「何?」

 

 予想外の答えが返って来た為バーン達は困惑してしまう。

 彼らの様子に満足した雷牙は不敵に微笑み“獅風迅雷”を発動する。

 

「オメーらをぶっ倒しに来たんだよ!!!アフロディと一緒になぁ!!!」

 

 雷牙は手を差し出しアフロディを立たせどっちと戦うか決める。

 

「おいアフロディ、オメーはどっちと闘りたい?選択権はオメーに譲るぜ。」

 

「ならば僕は白髪の彼と闘らせて貰おうかな。」

 

「つーわけだチューリップ頭のビューン!オメーは俺とだ!」

 

「俺の名前は“バーン”だ!いいぜ、俺様の名前が頭から離れないくれぇ痛めつけてやらぁ!」

 

「やれやれ…。これだから単細胞は嫌いなのだ。だが試合前のウォーミングアップがてらに貴様と勝負してやろう。覚悟はいいな?」

 

 互いに標的を見定めたかつての宿敵(ライバル)達は目の前の脅威を排除するべく駆け出す。

 

 雷牙とバーンのサッカーバトルはまさしく純粋なパワーのぶつかり合いだった。

 

「“カイザーレオーネ”!」

 

「“アトミックフレア”!」

 

 稲妻を纏った獅子皇と灼熱を纏った小太陽が衝突し凄まじい衝撃波を発生させる。

 2つのシュートは相殺され再び獅子と太陽の足元に収まる。

 

「へいへいへ〜い!オメーの言う灼熱の炎ってのはその程度の熱さなのかよ⁉︎こんなんじゃ豪炎寺の方が100億万倍熱いぜ!」

 

 雷牙お得意の挑発だと分かっていてもバーンは雷牙の挑発に苛立ってしまう。

 だがその理由は彼の挑発によるものではなく、雷牙の姿がどうしても忌み嫌う同僚と重なってしまうからだ。

 

「ハッキリ言うぜ稲魂雷牙!俺はテメェの事が大っ嫌いなんだよ!テメェのその減らず口を聞くとあの野郎(アケボシ)を見てるのと同じくれぇムカッ腹が立つんだよ!」

 

 雷牙は明らかに似ても似つかないアケボシと比較された事に少し驚くが、すぐにこれ幸いとばかりに持ち前のマウスを急加速させる。

 

「おいおい俺ちゃんをあの無口野郎と一緒にしないでくれよ。それによ〜、戦闘中のお喋りは“強者”だけの特権だぜ?それともなんだ?もしかして天下のマスターランクチームのキャプテンともあろうお方がまさか見下す地球人相手に軽口を叩ける余裕も無い程追い詰められてんのかい?」

 

「俺が追い詰められただと…?分かってねぇなぁ!テメェにはこのくらいの火加減で丁度いいんだよ!」

 

「はッ、上等!この俺ちゃんに本気を出させた事を後悔するなよ!」

 

 本気を出したバーンは太陽を思わせる紅のオーラを、雷牙は“獅風迅雷”の倍率を高め更に激しく金色のオーラを立ち昇らせる。

 

「フフ、相変わらず本当に楽しそうにサッカーをするんだな君は。」

 

 自分もガゼルとの勝負の途中だというのに雷牙の様子を見ていたアフロディに笑みが溢れる。

 

「余所見をしている場合か?地に堕ちた神とは随分と能天気なのだな?」

 

「フッ、強い人間とは常に心の余裕を持つものだよ。覚えておきたまえ宇宙人君。」

 

 雷牙とバーンが“(パワー)”の頂上決戦と評すならば、こちらは“(スピード)”の頂上決戦と評すのに相応しい。

 

 目にも止まらない速さでガゼルがアフロディの正面に移動したと思えばアフロディも同等のスピードでガゼルの攻撃を躱わす。

 

「は、速い!FFでのアフロディのスピードも凄かったけど今のあいつはそれ以上だ!」

 

「だがガゼルの奴に匹敵する程の速さだ。もしかしたら風丸にも匹敵するかもな…。」

 

 数々の激戦を潜り抜けた雷門イレブンでも少しでも気を抜けば彼らの動きを捉えられなくなる程にハイレベルな戦いだった。

 

「そろそろこの勝負を終わらせようか!“ノーザンインパクト”!」

 

 勝負のケリをつける為にガゼルは必殺シュートを放つ。それに対抗する為にアフロディは背中から純白の翼を出現させ飛翔する。

 

「あれは…“ゴッドノウズ”だ!」

 

 アフロディの得意技の“ゴッドノウズ”はまさに神の名を冠するに相応しい必殺技だ。

 しかし今回の“ゴッドノウズ”は雷門が見慣れたものとは様子が少し違った。

 以前は“ゴッドハンド”に収まる程度の大きさだったエネルギーの塊は10mは優に超えている。

 

「…! い、いや違う!あれは…!」

 

 アフロディは怯む事なくその中に突入し、中心に存在するボールを蹴り込む。

 

「“ゴッドノウズ・インパクト”!!!」

 

 進化した“ゴッドノウズ・インパクト”は“ノーザンインパクト”に勝るとも劣らないスピードで激突し、雷牙と同様に衝撃波を発生させる。

 2人の勝敗はボールの消滅による事実上の引き分けという結果で終わってしまった。

 

「…ほぉ。少しはやるようではないか。…ようやくお出ましか。」

 

 ガゼルは何かを感じ取ると、上空から黒と黄色の2色で構成されたサッカーボールがグラウンドに落下し、その場から指示を模った鉄仮面の少年が姿を現した。

 

 彼こそがマスターランク最後のチーム“レグルス”のキャプテン、アケボシである。

 

 アケボシはまだ決着の着いていないバーンと雷牙の間に立ち勝負を中断させる。

 

「アケボシ…!やっと現れやがったな!」

 

「……。」

 

「そこをどけアケボシィ!!!まだ稲魂雷牙との勝負は終わってねぇぞぉ!」

 

 バーンは忌み嫌う人間が全員揃った事によりこれまでにない程の怒りの炎を立ち昇らせるが、アケボシは無視する。

 

「フン、まぁいい。今日のところはこれくらいで済ませてやろう。ではさらばだ雷門イレブンよ。精々無様な姿を晒さないようにするのだな。」

 

 ガゼルは勝負を続けようとするバーンを連れてその場から消える。

 

「待てよアケボシ。」

 

「……!」

 

 帰ろうとするアケボシを雷牙が静止すると、僅かに反応する。

 

「最初に言っとく!オメーは俺の獲物だ!試合の日は絶対ェ逃げんじゃねぇーぞ!!!」

 

「……。」

 

 アケボシは雷牙の宣戦布告に返事をする事なく、自分達の本拠地に帰って行った。

 

「(アケボシ…。)」

 

 瞳子は彼らの様子をどこか複雑そうな目で見るのだった。

 

 

「アフロディ…。」

 

 事を終えたアフロディは改めて円堂の前に立つ。円堂はそんな彼を少しの警戒を持って出迎える。

 

「もう雷門理事長から話は聞いているみたいだね。彼の言う通り僕達はもう影山の支配下にはない。今日君達の前に現れたのはあの日の事を謝罪する為だったんだ。」

 

「謝罪?」

 

「済まなかった雷門イレブン。“神のアクア”という偽物の力に溺れ、君達を痛めつけてしまった事を心から謝罪する。」

 

 アフロディは深く頭を下げて謝罪をする。

 

「…その気持ちに嘘はないんだな?」

 

「ああ。もし気に入らなかったら殴ってくれてもいい。」

 

 許せないのなら自分を殴れというアフロディを円堂は見つめる。その瞳には一切の嘘は混じっておらず、本当に自分達のした事を後悔している目だ。

 

「…分かった!お前のその言葉、俺は信じる。雷門のキャプテンとしてお礼を言わせてもらう。秋を助けてくれてありがとう。」

 

 完全にアフロディを信じる事にした円堂は改めて木野を助けてくれた事に感謝を述べる。

 すると雷牙はグラウンドの周囲をチラチラと身始める。

 

「んで?まさか謝罪だけして帰るってつもりじゃねぇだろ?さっきからグラウンドの至る所にデケェ気が隠れてらぁ。そろそろ姿を見せたらどうだ?」

 

「へぇ、気を読めるようになったって噂は本当だったんだね。」

 

 これ以上隠す意味はないと判断したアフロディは指を軽く鳴らすと世宇子イレブン達がグラウンドに集結した。

 久しぶりに雷門イレブンの前に姿を現した世宇子メンバーには誰1人例外なく身体中に無数の擦り傷や痣がある。

 

「円堂君。僕達世宇子もエイリア学園との戦いに参加させて貰うよ。」

 

「本当か⁉︎お前らがいれば百人力だよ!これからよろしくな!アフロディ!」

 

 アフロディの参加に明るい笑みを浮かべる円堂とは対照的に何人かのメンバーは浮かない顔をしている。

 

「あれ…?どうしたんだ?みんな?」

 

 状況を飲み込めない円堂が不思議そうにしていると、土門が一般人を代表して自分達の考えを円堂に伝える。

 

「…悪い円堂。俺は簡単にアフロディ達を100%信用をする事は出来ない…。」

 

 土門の口から出たのは拒絶の言葉だった。

 

「な、なんでだよ土門⁉︎さっきアフロディは秋を助けてくれたじゃないか!それだけじゃない!あいつらに刻まれた傷が見えないのか⁉︎あれは間違いなく必死に努力してきた証だ!それでも信じられないっていうのかよ⁉︎」

 

「…悪ぃ…。」

 

 円堂は必死にアフロディ達を擁護するが土門達の考えは変わらないようだ。

 

 こことは異なる並行世界に存在したある人物は円堂に向けてこう言った事がある。

 

『みんながお前のように強いわけじゃない』と…。

 

 円堂は強い人間だ。肉体的にも精神的にも。

 だからこそ相手が罪を犯しても地平線よりも広い心で受け入れ程の器の広さを持っている。

 でも殆どの人はそうはいかない。特にドーピングによる力に溺れて自身を神と名乗った者達を…。

 

「敢えて言うぜ円堂。多分このまま世宇子と一緒に戦ったら俺達の中にある不信感は何処かで致命的なミスに繋がっちまうと俺は思う…。俺達に世宇子が信頼するに値する人間だと証明してくれないと俺は奴らと一緒に闘う事は出来ない!」

 

 光は眩しすぎると影すら無くす。今のメンバーにとって全てを包み込む円堂の光はあまりに眩しすぎた。

 だからこそ、光を弱める“+α”がなければ雷門は分断されてしまうかもしれない。

 

 幸いな事にその役割を果たす人物は雷門にいる。

 

「だーーーっ!!!もうっ!めんっどくせーーっ!!!」

 

 いつまでも過去の事にグチグチ言う土門達に剛を煮やした雷牙は突如叫び出す。

 

「ど、どうしたんだ稲魂⁉︎急に叫び出して⁉︎」

 

「そ も そ も だ!オメーらは過去の事をグチグチ言ってるけどよー!この場にいる全員、本当にアフロディを責められる立場なのか?答えてみろ土門!」

 

「そ、それは…。」

 

「あえてハッキリ言う!今エイリア学園と戦ってるのは雷門屈指の問題児とつい最近までサッカーに向き合わなかった愚か者(おろかんちゅ)達!しょーもない思い違いをしてサッカーを諦めた精神科医!どっかのマフィアから雷門を潰す為に派遣された元スパイ!んでもって一時期そのマフィアに従っていたシスコンゴーグル!どうだ?これでも本当に私達は何一つ汚れていない聖人ですって言えるか⁉︎ええ⁉︎」

 

『うぐっ⁉︎』

 

 雷牙が全員の痛い所に容赦なく言及する。実際、雷門の殆どのメンバーは過去に黒い所持ちの選手が何名がいる為、助っ人組を除いたメンバーで潔癖な部員は一之瀬くらいしかいないのではなかろうか。

 

「一応言っとくが俺は別にアフロディ達がやらかした事を許してるわけじゃねぇ!だがなぁ…少なくともさっきの共闘でアイツが昔とは違うってのは分かった!」

 

 雷牙自身も自分の意見が100%正しいとは思っていない。

 それでも雷牙は彼らを…アフロディを信じているのだ。FF決勝戦の後に彼が見せたあの表情が嘘ではなかったと…。

 

「じゃあ俺たちはどうやってアフロディの事を信じればいいんだよ⁉︎」

 

「試合だ。」

 

『はぁ⁉︎』

 

「俺たちにとってサッカーは会話と同じ事だろ?だったら本当にアフロディ達を信じるに値すんのかはサッカーをして見極めればいいじゃねぇか!丁度この場に世宇子の面々が全員揃っているわけだしな!」

 

「…僕達は君達の判断に任せるよ。」

 

「妹を大切に思っているだけなのにシスコン呼ばわりされたのには納得がいかんが、試合をするのは賛成だ。奴らの想いを確かめるにはサッカーが1番だろうからな。」

 

「あーーもう!分かったよ!試合を受けてやるよ!ただし、手を抜いたら今度こそ信じないからな!」

 

「よーーし!それじゃあ試合開始だァーーッ!!!」

 

 皆の賛成を受けた事で雷門VS世宇子のリベンジマッチが幕を開ける。

 練習試合といえど試合の内容はFFの決勝戦以上に素晴らしいものだった。

 “神のアクア”を克服し本当の強さを得た世宇子イレブンは雷門と互角の戦いを繰り広げ、雷門もそれに全力で応える。

 世宇子が点を取れば雷門も点を取り返し、一進一退の攻防を繰り広げられる。

 

ピッピッピー!

 

「ハァハァ…!スゲェよアフロディ…!俺たちもFFの決勝からパワーアップしたってのにお前らもこんなに強くなってるなんてな…!」

 

「ハァハァ…!君もね…円堂君!化身を合体させずに“マキナ”のシュートを止めるとは思わなかったよ…!」

 

 試合の結果は敢えて言及しないでおこう。

 

 1つだけ確実なのは土門を筆頭とする反対派もこの一戦を通して、アフロディ達が信頼に足るチームであると確信し、彼らを受け入れた事だ。

 

「絶対にマスターランクチームに勝つぞぉーーっ!!!」

 

『おおーっ!!!』

 

 決戦の日はすぐそこまで迫って来ている。




なんか最近土門が一般人枠になってる気がする…。まぁ原作でも土門と一之瀬は染岡が抜けた後に瞳子の反発役に抜擢されてたしあまり不自然じゃないかな…、この小説の一之瀬は中立派だけど。

あとここ最近一話に話を詰め込みすぎている気がするのでしばらくは分割して投稿します。
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