「いよいよだな守!」
「あぁ!一体どんなチームになるかワクワクするな!」
エイリア学園から宣戦布告を受けてから翌日の早朝。
雷門イレブンは帝国学園のグラウンドに集められていた。グラウンドには雷門だけでなく帝国、世宇子、バックアップチームから選出された何名かの選手が集まっている。
雷門中ではなく帝国学園のグラウンドに集められた理由は至極単純、機密情報が漏れないようにする為だ。
「皆、集まったわね?」
指定された時間になった瞬間瞳子が姿を現す。騒ついていた選手は皆静まり瞳子に注目する。
「ではこれより対マスターランクのチーム分けを発表するわ!」
『はい!』
「監督〜俺を対レグルスのチームに入れてくれないと一生拗ねるっすからね〜。」
雷牙の言葉にガン無視を決め込み瞳子は対ダイアモンドダストのチーム分けを発表する。
「まずは対“ダイヤモンドダスト”のメンバーを発表するわ。まずはキャプテンDF風丸一郎太!」
「はい!」
キャプテンに選ばれたのはまさかの風丸だった。他にキャプテンを経験した事のある人材はいるというのにもかかわらず彼を選出したのには瞳子に意図があるのだろうか?
「次にFW、染岡竜吾、吹雪熱也!」
最初に名を呼ばれたのは2人をある者はこう言った“水と油の擬人化”と、またある者はこう言った“美男と野獣の凸凹コンビ”と。
だが今は皆が口を揃えてこう言う“日本が誇る最強のコンビ”と。
「ヘッ!早速お呼びか!熱也!パワーアップした俺たちの実力をエイリアの奴らに見せてやろーぜ!」
「応!凍てつく闇かなんか知らねーが、熱也様の吹雪の激しさには敵わねぇって分からせてやるぜ!」
「MF!亜風炉照美、鳳凰院或葉、一之瀬一哉、半田真一!」
MFに選出されたのはそれぞれの異名に“天空の支配者”、“北国の蒼い頭脳”、“フィールドの魔術師”、“65点の男”といったビッグネームを持つ名選手達だ。
「よろしく頼むよ皆。」
「或葉と同じチームか…。これは忙しくなりそうだ…。」
「うぇ〜〜!こんな凄い選手と一緒なのかよ〜!足引っぱらないように頑張ろ…。」
「肩の力を抜いてプレーすればいいさ半田。君も雷門の始まりのメンバーなんだろ?きっと大丈夫さ!」
「DF、土門飛鳥、西垣守、影野仁!」
風丸、土門、西垣といった華のある選手の中に放り込まれた影野。持ち前の影の薄さは彼らに挟まれても健在なのか?
「おお!アメリカ組久々の集結だな!」
「ああ!ジェミニストームとの試合のリベンジだ!」
「フフフ…日本屈指のDFの中で唯一放り込まれる俺…。もしかしたら逆に目立つようになるかもね…。」
「最後!GK歩星呑一!」
最後の砦を任されたのは現時点で5本指に入る名キーパーポセイドン。“神のアクア”すらも超えた本物の実力はダイヤモンドダストにも引けを取らないだろう。
「おう!進化した世宇子の守護神の力、エイリアの野郎共に見せてやる!」
「このチームの監督には私、吉良瞳子が担当するわ。」
先日のガゼルとアフロディの一戦からダイヤモンドダストはスピードに優れたチームと踏んだ瞳子はスピードと防御力に優れた選手を中心に構成したようだ。
対ダイヤモンドダストのメンバーを発表し終わった瞳子は響木と交代する。
「次は対プロミネンスのメンバーを発表する。監督は俺、響木正剛だ。」
「ふ〜ん…つーことは対レグルスの監督は誰になるんだろうな?」
「木戸川の二階堂監督とかじゃないか?あの人バックアップチームのコーチを担当してたらしいし。」
しかし肝心の二階堂は姿を見せない。雷牙達は少し怪しく思うがとりあえず響木の発表を聞く事にした。
「まずはキャプテン、MF鬼道有人!」
キャプテンに選ばれたのは元帝国イレブンのキャプテンである鬼道だ。日本屈指のゲームメイカーはプロミネンスに相手にどのようなゲームメイクを見せてくれるのか。
「フッ、まさかもう一度キャプテンマークを付ける日が来るとはな。」
久しぶりのキャプテンという事もあり、鬼道はどこか嬉しそうだ。
「FW。浦部リカ、佐久間次郎、寺門大貴。」
選ばれたFW陣は豪炎寺や熱也といった天才ストライカーには劣るものの、それでも名門帝国のスタメンを張っていた男達だ。
エイリア石による洗脳から脱した佐久間はどのような成長を遂げているのだろうか。
『はい(はーい)!』
「MF。財前塔子、洞面秀一郎。」
鬼道を含めたMF陣は対ダイヤモンドダストと比べると攻撃力の高い選手で構成されている。
帝国イレブンお得意の連携技はプロミネンスの炎を打ち破れる可能性を秘めているだろう。
「やったー!私一度帝国のユニフォーム来てみたかったんだよなー!」
「おおっと?咲山先輩や辺見先輩を押し退けて俺がスタメン?これは帝国の歴史変わっちゃうな〜!」
調子に乗った洞面は冗談混じりにベンチ入りとなった先輩2人を煽り、首を絞められている。
なお帝国勢は全員スルーしている為、この光景は日常茶飯事のようだ。
「DF。五条勝、万丈一道、大野伝助、円堂守!」
先日の瞳子の提案によりDFへの起用となった円堂。よりにもよってその初戦の相手がプロミネンスであるものの、彼の予測不能のサッカーはどのような化学反応を引き起こすのであろうか。
「ククク…!まさか宇宙人とサッカーをする日が来るとは夢にも思いませんでしたよ…!人生何が起こるか分からないものですねぇ…。」
「よっしゃあ大伝!宇宙人相手でも帝国が最強だって事を思い知らせてやろうぜ!」
「応!」
「よろしくなみんな!頑張ろうぜ!」
「最後にGK!源田幸次郎!」
「…!はいッ!」
最後に名を呼ばれた源田であったが、一瞬だけ返答が遅れていた。源田程の男が珍しく気を抜いている事に鬼道は違和感を覚えつつもプロミネンス戦に向けて気を引き締めるのであった。
対プロミネンスチームの発表も終わり、残るは全てが謎に包まれたチームレグルスと試合するメンバーだけだ。
しかしこの段階になっても未だに彼らの監督が現れる気配を見せない。
「瞳子監督〜残りのチームの監督はまだ来ないんですか〜?」
「…どうやら3人目の監督は少し遅れるそうだから代わりに私が発表するわ。」
瞳子の言葉に何か事情を察した雷牙はこれ以上の詮索は止め、口を閉じる。
皆が静かになった事を確認し、瞳子はチーム分けを再開する。
「最初にキャプテン!MF稲魂雷牙!」
「しゃあ!待ってやがれアケボシ!テメーの鉄仮面引っ剥がしてデジタルタトゥーを付けてやんぜ!」
因縁のあるアケボシの討伐隊の隊長に任命された雷牙は意味不明な言葉を発しながら、レグルスとの試合への闘志を燃やす。
「FW!闇野カゲト、豪炎寺修也!」
「…“レグルス”とは獅子座の中の最も強い光を放つ恒星に与えられる名…。果たして俺の闇とどちらが勝つかな…?」
「…とりあえずよろしく頼む。」
中学2年生に該当する年代に一部の少年少女にのみ発表する病に侵されている闇野に豪炎寺は少し引いているものの流石は稲妻町一の名医の息子。
彼の趣向に触れる事なく挨拶を交わすのだった。
「MF!松野空介、吹雪士郎!」
「おっとこれは凄いメンツじゃん。こりゃ気を抜いてられないな〜。」
「MFをするのは初めてだな。うん、新しい風を感じられそうだ。」
攻撃、防御と共に一級品のスペックを有する士郎はMFとして起用される。同じポジションの松野もまだサッカーを始めて1年にも満たないものの自らを器用と評するだけあり、既にテクニックは帝国のメンバーに引けを取らない実力だ。
「……。」
「どうしたの?お兄ちゃん?」
「…いや少しな。」
音無には誤魔化したものの鬼道はある違和感を抱いていた。
(稲魂のチームのMFは3人か…。現段階でアケボシのみ際立った動きを見せていないからDFの人数を厚くして様子を見るつもりか…?それともこれは3人目の監督の指示なのか…?)
未だに姿を見せない監督の意図が読めない鬼道であったが、僅か数分後にこの違和感の正体を理解する事になる。
「DF!木暮夕弥、綱海条助、壁山塀五郎、栗松鉄平!」
「うげぇ〜!よりによって俺スタメンかよ〜!」
「ハッハッハ!よく分かんねーけどレグルスって確か星座かなんかの名前だろ?たまには星を乗りこなすってのも悪かねぇな!」
「頑張るっスよ!栗松!」
「パワーアップした俺の実力を見せてやるでやんす!」
まだまだ荒削りだが体力と運動神経はピカイチの木暮とロングシューターの綱海を起用し、初期から雷門のディフェンスを支えてきた壁山と栗松のコンビが復活する。
「最後にGK、立向居勇気!」
「は、はい!精一杯頑張ります!」
先日円堂から正GKの座を受け継いだ立向居の初戦はレグルスに決まった。
「…以上で対レグルスのスタメンの発表を終えるわ。」
「…ん?」
ここでようやく雷牙が自分のチームの違和感に気づく。
「あれ?監督、俺のチーム10人しか揃ってないんすけど?」
当たり前だがサッカーは11人で行うスポーツだ。ベンチ入りする選手が数多くいるとはいえ10人では試合を行う事は出来ない。
「…もうじき来るわ。」
「もうじき?」
その時観客席の最上段から鋭いシュートが放たれた。そのシュートが向かう先は雷牙…ではなく鬼道有人だった。
鬼道は間一髪のところでボールを受け止める事に成功し、即座に観客席の方向に睨み付ける。
「誰だ!まさかエイリアの者か⁉︎」
「おー怖い怖い。ちょっと挨拶しただけじゃねぇか。この程度怒るなんて帝国の元キャプテンは器が小さいねぇ。」
「貴様は…!」
少年は階段を降りる度に照明に照らされ徐々にその姿が明らかとなる。
髪を一部分だけ残しそれ以外を全て刈り上げるモヒカンと呼ばれるヘアースタイルの少年に雷門イレブン達は嫌という程見覚えがあった。
その少年の名は…。
「不動…明王…!」
「久しぶりだねぇ鬼道ク〜ン!覚えててくれて嬉しいねぇ〜!」
雷門の前に姿を現したのはエイリアと同等…否それ以上に冷酷な狂気のゲームメイカー、不動明王であった。
「…誰コイツ?なんか声がスゲー一之瀬に似てんだけど。」
不動の事を知らない雷牙は彼が登場してからずっと頭に『?マーク』を浮かべている。
一応福岡で合流してから不動の事は聞いていた筈だが、脳の容量が非常に小さいこの男はもうその事を忘れているようだ。
「はぁ…まったく…、彼は不動明王。真・帝国学園のキャプテンよ。」
夏美は呆れながら彼の事をもう一度話す。
不動明王。エイリア学園の手助けにより脱獄した影山が設立した真・帝国学園のキャプテンを務めた選手。
鬼道に匹敵するゲームメイク能力を持っているものの、その性格はまさに悪魔そのもの。エイリア石によって佐久間と源田を洗脳しただけでなく彼らに禁断の技を習得させ限界まで使い潰すという戦術により雷門を大いに苦しめた。
「えぇ〜!めっちゃ悪いヤツじゃん!」
「だから皆驚いているの!」
事実、試合終了後に影山同様行方不明になっていた為、誰もが爆発に巻き込まれて死んだとばかり思っていたのもあって驚きを隠せない様子だ。
特に鬼道は仲間を危険な目に合わせた元凶という事もあり普段のクールさが微塵も感じられないほど怒りに震えている。
「何故貴様がここにいる⁉︎」
「そりゃ俺がそこの金髪のチームの11人目の選手だからだよ。なぁ瞳子監督〜?」
「…ええそうよ。」
「か、監督…!正気ですか⁉︎こいつは佐久間と源田をあんな目に合わせた奴なんですよ!それに奴は影山とも繋がりがある!行方不明になった影山に雷門の妨害をするように指示されている可能性だってあります!」
「…チッ、あんな奴の名前を出すんじゃねーよ。」
影山の被害者である世宇子の事は許せても、自らの意志で影山に従った挙句自分の仲間を傷付けた不動は流石の鬼道も受け入れられないようで必死に彼を否定する。
「落ち着け鬼道。不動の参加は俺も認めた事だ。少なくともこの総力戦に勝つ為には不動の能力が必須だと判断した。」
「し、しかし…!」
「1ついい事を教えてやるよ鬼道クン。俺はもう影山の部下じゃねぇ、今の雇い主は別さぁ。」
「貴様に意見は求めていない!雇い主が変わろうとも貴様の罪は変わらん!」
ワザと鬼道をイラつかせる言葉選びをする不動に鬼道は我慢の限界のようだ。
その光景はまさに一触即発。恐らく鬼道の拳がモヒカンを靡かせるのも時間の問題だろう。
「おい落ち着けって鬼道。そこのモヒカンとオメーのチームは違ェだろ?」
「へぇ〜意外だねぇまさか俺の肩を持ってくれるとはなぁ。」
「少し黙っててくれ稲魂!これは俺とあいつの問題なんだ!」
雷牙な静止すらも聞かずに不動に殴りかかろうとする鬼道だったが、その願いは叶う事はなかった。
「よくないなぁ君達。試合前に喧嘩するのは。」
「…誰だお前は?」
鬼道の前に立ち塞がった謎の男は人工芝で覆われたスポーツマンの戦場には似つかわしくない白衣を身に包み、丸フチの眼鏡の奥には蒼く光る瞳を有している。
「お、お前は…!」
「こ、この人って…!」
突然の部外者の乱入に皆が混乱する中、唯一反応したのはアフロディとマネージャー達のみだった。
何故なら彼らはこの男こそが世宇子が引き起こした罪のもう1人の元凶である事を知っているからだ。
「紹介するぜ鬼道クン!こいつが今の俺の雇い主、そして俺のチームの監督さ!」
「どーも皆さんご機嫌よう。不動君のご紹介の通り、今日から稲魂君のチームの監督に就任する“雷帝”です。以後お見知り置きを。」
今まで舞台の裏での傍観に徹していたミステリーに包まれた天才科学者“雷帝”。
そんな謎めいた男が遂に表舞台に姿を現した。果たしてこの天才の目的は⁉︎不動と“雷帝”という2つの爆弾を背負う事となった稲魂君の胃は持つのか⁉︎
……というところで今回はお話はおしまいだよ。画面の前の読者の諸君、改めまして以後お見知りおきをシーユー♪
現時点での日本のキーパーTOP5
円堂≧立向居>>ポセイドン>源田>杉森
あくまで現時点なのでここから先の展開次第では変動します。
ちなみに各チームのユニフォーム/マネージャー分けは以下の通りです。
チーム風丸(仮)=旧雷門2Pカラー/木野秋
チーム鬼道(仮)=帝国ユニフォーム/音無春奈
チーム雷牙(仮)=通常の旧雷門ユニフォーム/雷門夏美
マージでいい感じのチーム名を思いつかないんで何か案がある人は感想に書き込みお願いします。