イナズマイレブンHEROS!!!   作:月兎タンク

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今回で遂に90話到達!100話まで目前ですね〜!いやーめでたい!





…どうしようエイリア編で100話近くかかるなんて、コレ完結まで300話近くいくぞ…。


会いたかったよ僕のヒーロー

♢side ???

 

ずっと夢を見るんだ。

 

『この野rグギャッ!?』

 

『テメェ…!後悔しやがアギィ!?』

 

僕と同い年の男の子がたった1人でいじめっ子(悪者)達をこらしめる夢を。

 

『この野郎…!こ、コーチに言いつけてやるからなっ!覚えていろ!」

 

人は誰しも1度は英雄(ヒーロー)に憧れる時がある。

 

『ハァハァ…、ヘッ!おとといきやがれッ!!!』

 

僕にとっての英雄(ヒーロー)は彼だった。

 

『だ〜か〜ら〜!もう泣くなって!ほら、おぶってやっから帰ろうぜ!」

 

ちょっぴりドジだけど…

 

『やっばい…!おいライト!俺が皿を割ったことマミーにはぜったいに内緒だかんな!』

 

いつも明るくて…

 

『おいおいライト?何しけたツラしてんだよ、勝負はこれからなんだぜ?俺の必殺シュートでズババ〜ンと逆転してやっからよぉ!』

 

とっても優しくて…

 

『おいライト、明日からすぐに泣く癖を直す特訓をすんぞ。オマエも上級生から泣き虫弱虫って言われんのはいやだろ?』

 

そんな君のことが…

 

『さぁーて…俺の“レグルス”とそっちの“レグルス”…。果たしてどちらが強ェかな?』

 

僕は大好きだったんだ。

 

 

「しゃあ!前半も残りちょっと!最後まで気ぃ抜かずにガンガン行こーぜ!」

 

『応ッ!!』

 

 雷牙と不動の活躍により先制点を獲得した雷門イレブンは更に士気を高めて次のプレーに挑む。

 雷牙がDFに入っている現在、前半戦終了までレグルスの攻撃を耐え切るのはそう難しい事ではない。

 

 彼らにその気があるのならの話だが…。

 

「“真サンダーストーム”!!!」

 

 『互いに全力でぶつかり合った上で勝つ。』それが雷門イレブンの信条だ。

 そんなチームのキャプテンマークを背負う男が耐久勝ちというしょっぱい手段での勝利を認めるわけがないだろう。

 

『ボールを確保した稲魂!自分の役割など知らんと言わんばかりにガンガン前線に上がって行くぞォォォッ!!!その姿はまさに“自由(リベロ)”だァァァァッ!!!』

 

 円堂と同様にリベロとしてプレーする雷牙だが彼の場合は一味違う。

 雷牙の無尽蔵のスタミナと圧倒的な瞬発力を持ってすれば攻撃に参加しつつもすぐに防御に入る事が可能だ、つまりFWとMFに1人ずつ選手が追加される事と同義なのだ。

 相手からすれば13対11人での試合を強制されるようなものだ。やられる側はたまったもんじゃないだろう。

 

「ちゃんと俺に合わせろよアッキーッ!!!」

 

「テメェが俺に合わせるんだよクソライオン!!」

 

 不動と合流した雷牙はまるでシュートと見間違う程の高速パスワークを駆使しレグルスのディフェンスを切り崩していく。

 それでも流石はエイリア1の防御力と断言するマスターランクチームだ。すぐに雷牙達の動きに対応しパスカットに成功するが、それすらも見越していた吹雪の必殺技によって僅か数秒で奪い返されてしまった。

 

「稲魂君ッ!」

 

「ナイスディフェンス!吹雪!」

 

 再び怪物にボールが渡った事によりレグルスは作戦をボールの奪取からこれ以上の失点を抑える方向にシフトしゴール前に選手を集め始めた。

 

 たった1人の選手を除いて。

 

「アケボシだ!アケボシが雷牙のマークに付いたぞ!!」

 

 目が眩む程の閃光と共に雷牙の前に現れたのはもう1人の“レグルス”ことアケボシだった。

 11人いるチームレグルスの中で別格の強さを誇るアケボシを前にしても雷牙は余裕を崩さない。

 それどころか不敵な笑みを浮かべならリフティングを始めた。

 

「よっほっほ!どーよアケボシ?俺ちゃんのリフティング捌きは?」

 

「……。」

 

「ダンマリかい、まぁいいや…本命の質問に答えてくれればそれでいいからよぉ!!!」

 

 アケボシの不意を突くようにリフティングを中断し急加速する雷牙。常人ならば一瞬で抜かれるだろうが、なんとアケボシは彼の動きにピッタリと付いて行き突破を阻止する。

 

「なんでオメーは“キンレオ”を使える!?あの技は見よう見まねで覚えられる程簡単(イージー)じゃねぇ!!だがオメーが使ったキンレオは完璧に近い完成度だった!筋肉の使い方、蹴り出すタイミング、必要なスピード…その全てがだ!」

 

「……。」

 

 先日の饒舌さが嘘のように無言を貫き通すアケボシ。これ以上の追求は無意味だと判断した雷牙は本気で彼を抜きにかかる。

 

「いい加減に…!答えやがれェェェェェ!!!」

 

 本気を出した雷牙はこれまでの比ではない反射速度と瞬発力を用いてアケボシを抜き去ろうとする。

 

 だが…

 

「何!?」

 

「……。」

 

 結論から言おう。雷牙はアケボシを抜く事ができなかった。

 雷牙の反射速度に掛かれば0.1秒の思考停止すらも十分すぎる隙になる。しかしアケボシは正確に彼の動きを捉え、絶対に雷牙の突破を許さない。

 

 (んだよコイツ…!どんなにカマ掛けても確実に付いて来やがる…!)

 

 彼らが対峙した時間は20秒にも満たない時間だったが、並外れた突破力を持つ雷牙にとってここまで長時間足止めを喰らうのは初めての経験だった。

 まるで無限に続く迷宮に迷い込んだかのような感覚に陥る雷牙だが彼の強みは反射速度だけではない。

 

 (…!へへ〜ん…いい事思いついた…!)

 

 IQ100(四捨五入)を誇る脳味噌をフル回転させた雷牙は木暮を思わせる悪い笑みを浮かべると身体に稲妻を纏わせ地面を力強く踏み込む。

 

「“イナビカリステップV3”!!!」

 

 得意技のイナビカリステップを用いて抜き去ろうした瞬間、アケボシはそれも読んでいたと言わんばかりに雷牙の進路を塞ぐ。

 

 それこそが雷牙の作戦だと知らずに…

 

「かかったなぁ!!!ふんぬっ!!!」

 

 土でできたキャンパスに稲光を描く直前。雷牙は胸にあるボールを足へ移動させ身体を大きく捻り進行方向を左から右へ急転回させた。

 要するに雷牙はイナビカリステップすらもフェイントに使ったのだ。

 

『ヘッ!俺の勝ちだなぁアケボシィ!!!』

 

 フェイントの成功を確信した雷牙はアケボシに向けて勝利宣言を行う。

 

 筈だった(・・・・)

 

「勝ちを確信するにはまだ早いんじゃないかな?」

 

 やっとの思いでアケボシを抜き去った雷牙の前に立っているのは抜いた筈のアケボシであった。

 …いやその表現は正しくない。抜き去ったと思い込んでいた(・・・・・・・)アケボシと評するのが正しいだろう。

 

 しかも余裕のある立ち振る舞いで雷牙の前に立つアケボシは先ほどまで意地でも開かなかった口を開き軽口を叩いている。

 

「そんな…!稲魂がアケボシ1人に完封されているだと…!?」

 

「そんな事ができる選手がこの世にいたのか…!?」

 

 日本一の突破力を持つ雷牙を1人で完封するアケボシの粘り強さにギャラリーとチームメイト達は驚きを隠せない様子だ。

 

 そしてそれは雷牙も同じだった。

 

 (ありえねぇ…!1万歩譲ってアイツがこれまでの動きに付いて来れたのはまだ理解できる…!だが今のは話が別だろ…!?今のは100%決まるフェイントだった筈だろ…!?)

 

 流石の雷牙も渾身のフェイントが通用しない事実に焦りを感じ始めているが一呼吸しなんとかトレードマークである薄ら笑いを維持する。

 

「ヘッ…!ようやく口を開いたようだなぁ!俺と似た声をしてるのはムカつくが、流石のアケボシさんも今のフェイントはギリギリだったと見「指の動き。」…ッ!?」

 

「君は“イナビカリステップ”を使う時左手の薬指がピクッと動く癖がある…違う?」

 

「あいつら…さっきから何を喋っているんだ…?」

 

「おい稲魂!こっちパスを出せ!後は豪炎寺達が決める!」

 

 アケボシが雷牙のマークに入ってから既に5分もの間膠着状態に陥っている。チームメイトは雷牙にパスを要求するがアケボシとの会話に集中している雷牙の耳には届いていない。

 

「…ご忠告どーも…。だけどいいのかい?本人も知らなかった癖をペラペラ喋ってよぉ?言っとくが“理解”した俺に「同じ手は二度と通用しないでしょ?」…んなっ!?」

 

 鬼道ですらも予測できない雷牙の台詞をアケボシはまるで彼の心を読んでいるかの如く答える。

 

「僕はね…君の事ならなんでも知っているんだ。君の癖、君の秘密…なんでもね。だって僕達は“2人揃えば最強(・・・・・・・)”なんだから。」

 

「おい…今なんつった…?」

 

 “2人揃えば最強”その言葉はかつて尊敬する父から贈られた言葉である。だが…雷牙は次第にその言葉を使う事は無くなっていった。

 

 “最強”の片割れはもうこの世にいないのだから。

 

 この瞬間全ての謎が1本の糸で繋がる。何故アケボシが“キングレオーネ”を使えたのか、何故アケボシが自分でも気づかない癖を知っているのか、何故アケボシが死んだ父に言われた言葉を知っているのか。

 

「違うッ!!!!」

 

 気がつけば雷牙は雷鳴を思わせる声で否定していた。

 

「違うじゃないよ。君はもう気づいているんだろ?でも現実を受け入れたくなくて現実逃避しているだけだ。」

 

「そんな筈がねぇ!!!アイツは…!もうこの世にはいない筈なんだっ…!!だって…だってあの日に死んだんだから(・・・・・・・)…!!!」

 

 雷牙は生まれて初めて神に祈った…

 

 自分が導き出した仮説が外れている事を…

 

 その為なら自分の全てを差し出してもいい…

 

 そう思ってしまう程に追い詰められていた…

 

 それでも現実は残酷だった。

 

「…ねぇ雷牙(・・)。人はなんで夢を見ると思う?」

 

 錯乱する雷牙を宥めるかのようにアケボシは『人は何故夢を見るか』という哲学的な質問をする。

 

「現実から逃げるため?嫌なことを忘れるため?まぁその答えは人それぞれだから正解はないんだろうね。でも僕の答えはね…」

 

 アケボシは鉄仮面に備え付けられたボタンを軽く押す。すると鉄仮面は軽い音を立てながらロックが解除される。

 

「夢は…覚めるためにあると思うんだ。」

 

 自分だけの解答(正解)を答えながらアケボシは勢いよく仮面を脱ぎ捨てると鈍い金属音と共に地面に叩きつけられる。

 

「稲魂さんと張り合うんでゴリラみたいな顔と思ってたらめちゃくちゃ美人じゃないっスか…!」

 

「レグルスのキャプテンが女の子だったなんて想像の斜め上すぎて理解が追いつかないでやんす…!」

 

 露わになったアケボシの素顔はやや癖毛が目立つもののまるで星の輝きのように黄金に煌めくショートヘアー、快晴を彩る雲のように透き通るように白い肌、幼さが残る顔立ちは真の性別を惑わせる。

 

「あれがアケボシの素顔…!」

 

「アケボシ…。何故貴方は今その決断をしたのですか…。」

 

 アケボシの素顔は雷門は元よりチームメイトであるレグルスですらも初めて見るものであった。

 初めて見る主人の顔を見た部下達は脳の処理が追い付かずにその場に固まっている。

 

 グラウンドが沈黙に包まれる中、あまりに残酷な現実を受け止められなかった怪物の絶叫が響き渡る。

 

「嘘だ…嘘だァァァァァァァァァッ!!!!!!」

 

 絶叫を終えた怪物は膝から崩れ落ちる。

 そして残酷な現実に打ちのめされた哀れな怪物に対してアケボシだった者は天使のように無邪気に微笑み優しく答える。

 

「やっほー雷牙!久しぶり!…でもないよね?」

 

「なんで…なんでオマエがそこにいるんだよ…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ライト(・・・)…!」

 

 謎に包まれていたアケボシの正体。それは死んだ筈の兄、稲魂雷斗だった…。




アケボシの正体は死んだと思われていた雷牙のお兄ちゃんライト君でした〜!
まぁ福岡で雷牙の線が消えた以上該当しそうなキャラは彼しかいないので薄々気づいていた人もいたんじゃないでしょうか?
ちょくちょくライト生存の伏線を張っていたので暇でたまらない人は探してみてください。

稲魂雷斗
 謎に包まれていたアケボシの正体にして死んだと思われていた雷牙の義理の兄。
 何故か生きており、何故かエイリア学園の一員となり、何故か弟である雷牙と敵対した更に謎が深まってしまった人物。
 果たして彼の真意とは?
 余談だがちょくちょく声について言及があったがアケボシの声は鉄仮面に搭載されたボイスチェンジャーによるもので地声はかなり高く少女を思わせる顔立ちも相まって初見では女子にしか見えない。
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