でも92・93話の文字数ってそれぞれ1万字くらいあるんですよ。
つまり1話だけで3万字超える可能性があったんですよ。
この作者本当に文章を簡潔にまとめる力無さすぎません?
「親…父…?」
『おいおい雷牙?なんつー顔してんだよ?せっかくパパとの感動再会ってのにそんなしけた顔はよくないぜ?笑顔で迎えてくれよ、こんな風になー。←(*ˊᗜˋ*)」
「なんで…なんで親父がここにいるんだよ…!?まさか…親父も生きt…ッ!?」
豪炎寺にも勝る存在感と反比例するようにステラの肉体は僅かに透けており、前にいる豪炎寺とライトの姿が見えている。
おまけに雲一つ無い空から発せられる太陽光を受けても地面に彼の影は無い。
それだけで目の前の父が普通の人間ではない事はバカでも分かる。
「幽霊…なのか…?」
『ん〜…、まぁそうみたいだなー。あんまし自覚は無いけど。』
驚愕する息子とは対照的に父は能天気に答える。
胡散臭さこの上ないがどんな時でも余裕を崩さず太々しさすら感じる態度はまさに自身の記憶にある稲魂ステラそのものだ。
♢
雷牙が父の魂と再会している同時刻。夏未は雷牙の奇行を怪しんでいた。
「稲魂君…、どうしちゃったのかしら…?独り言を呟き始めて…。」
どうやらステラの姿は本人にしか見えていない様子でそれ以外の人間には雷牙が独りで何かブツブツ言っているようにしか見えないようだ。
「ステラ…?」
「監督?何かこころ当たりでも?」
珍しく唖然とした表情を見せる“雷帝”に対して夏美は訝しむ。
彼女の問いで我に返った“雷帝”は目を擦ると僅かに見えていた幻影が消え去っていた。
「…いや、どうやら気のせいだったみたいだ。ハッハッハ!困ったねぇ〜!40を超えると一気に視力が悪くなっちゃうんだから歳は取りたくないもんだよ!」
高笑いで誤魔化す“雷帝”だったが、夏未は見逃さなかった。まるで霞のように掴みどころがなかった“雷帝”が初めて見せた嘘の表情を。
♢
「幽霊…。まさか…!」
雷牙は首に掛けられた綺麗な宝石が付いた首飾りを握りしめる。
この首飾りはある島で出会った不思議な友人から譲り受けた物だ。
そして友は首飾りを渡す際にこう言った。
『これはお守りさ、いつか君に何かあった時は必ずコレが君を助けてくれる筈さ。』
確証はない。だが雷牙には父の魂が目の前に現れた事とこの首飾りが無関係には思えなかった。
「ハハハ…本当に最っ悪だ…。1番尊敬する人に1番見られたくねぇ姿を見られちまった…。今日は人生で2番目に最悪な日だ…。」
『そうか?俺はもう会えないと思ってた息子に会えたんだ。俺にとって今日は人生で2番目に最高な日だけどな。もう死んでるけど。』
自身の記憶と全く変わらない父の姿を見た怪物は何か憑き物が落ちたかのようにポツリポツリと誰にも明かさなかった本心を語る。
「俺さ…ずっと親父たちとの“繋がり”を求めてサッカーをやってたんだ…。親父たちとは血は繋がってなかったけど…サッカーをやってる時だけは魂で繋がっていられる気がしたんだ…、でも…。」
弱音を吐く息子に対し、父は否定せずに穏やかな顔で息子を見るだけだ。
「ライトが生きてた…。それもサッカーを悪ぃことに使うエイリア学園の手先になって…。アイツが正体を明かした瞬間…俺…目の前が真っ暗になってさ…そっからは最悪の気分だった…。ライトを見る度に親父たちがいなくなった時の記憶が鮮明に蘇るし…ボールを見ると足がすくんで動けなくなるし…。」
今だってそうだ。父の顔を見ただけでも発狂しそうになりそうだが何とか根性で抑え込んでいる状態だ。
「ハハハ…本っ当に情けないよなぁ…。意気揚々と親父の跡を継ぐって言ってたのにこんなところで立ち止まっちまってるんだからな…。」
今まで無言で息子の話を聞いていた父は静かに口を開いた。
『なぁ雷牙。俺にとって人生で最良の日っていつだと思う?』
「…分かんね。ライトが産まれた日か?」
『あ〜、それは殿堂入りだからノーカンで。あと雷夏ちゃんとの結婚式の日も殿堂入りだかんな!』
「んじゃあもう分かんねぇよ…。さっさと答えを言ってくれよ…。」
『な〜んだもうちょっと遊んでたかったけど仕方ないか。俺にとって最高だった日はな、初めて
「…えっ?」
予想外の答えに雷牙は唖然とする。
確かに雷牙からすればその日は人生でもトップ5に入る忘れられない日であったがまさか父にとってその日が最良の日とは夢にも思っていなかったからだ。
『おっと雷牙の間抜け顔発見〜。ハハハ!意外だろ?でも本当さ。オマエがライトと初めて試合に参加した日、楽しそうにサッカーをする2人を見て羨ましく思っちまった。』
「なんだよそれ…。なら親父はサッカーをしてる時楽しくなかったってのかよ?」
『楽しくなかったって厳密には違うな。確かにサッカーをしてる時は楽しかったし俺よりデカいヤツをぶっ飛ばした時の快感は忘れられないさ。でも…ふと気づくと強烈な疎外感に襲われるんだ。』
「疎外感…?」
『例えるならマラソンで俺だけが永遠に先行しているような感覚だな。確実に後方にランナーはいるが誰も俺に追いつく事は出来ないんだ。同時に俺もゴールに辿り着く事は出来ないんだ。』
初耳だった。
少なくとも父はいつも楽しそうにサッカーをしていたし、友人だってたくさんいた。
私生活を除けば人生を楽しんでいるように見えた父がそのような悩みを抱えていたとは考えた事もなかった。
『この悩みが贅沢で理不尽なモノだって事は理解している。プロになりたくてもなれないヤツも世界中にはゴマンといるだろうし下手すれば俺もそっち側だっただろうからな。』
かつて父から彼の身の上話を聞かされた事がある。
ステラは歴史ある靴職人の家系に生まれ本来なら彼は父の跡を継ぎそこで一生を終える予定だった。
だが彼の才能がたまたまイタリアを訪れていたプロサッカー選手の目に止まり、両親との話し合いの末勘当同然で喧嘩別れして以来両親とは連絡を取っていないとの事だった。
『それでも俺はサッカーを辞めるという選択肢はなかった。サッカーをやればやるほど俺はサッカーをするために生まれてきたんだと心の底から思えたんだ。でも生涯俺の隣に立ってくれる選手はいなかった。』
父の表情は少し悲しそうだった。
『だからオマエらが羨ましく思えた。ライトは泣き虫だが強い。だから俺と同じ悩みを抱えないかずっと心配だったんだ。けどライトには雷牙がいた。2人が楽しそうにサッカーをしている時、俺にも張り合えるヤツがいればもっとサッカーを楽しめたんだろうなって思ったんだ。』
「親父…。」
『でもな、同時に嬉しくなったんだ。オマエとライトの2人なら俺が見れなかった景色を見る事ができる。俺が辿り着けなかった領域にも行ける。あの日を試合を見た俺はそう確信したんだ。』
そう語る父の瞳はまるで子供のように輝いており、彼の言葉が嘘偽りのないものだとわかる。
『だからさ雷牙、オマエがライトを救ってやってくれ。んで俺と雷夏ちゃんに見せてくれよ“怪物”の意志を継ぐ者のサッカーじゃなくて、“稲魂雷牙”だけのサッカーってヤツを。』
「…俺にできんのかな?今までずっと
『な〜に言ってんだよ?オマエは俺の息子なんだぜ?』
「でも血は…。」
『血の繋がりなんて関係ないさ、大昔俺の師匠が言ったんだ。「血の繋がりなんてものは所詮生物学上の目安でしかない。大切なのは魂で繋がっているか否かだ」ってな。』
「魂で繋がっているか…。」
『その理論でいくならオマエら大家族だよな〜。』
「えっ…?」
『前を見ろよ雷牙。今のこの瞬間にもオマエと魂が繋がっているヤツはごまんといる筈だぜ?』
雷牙は周囲を見渡す。そこにいたのは苦楽を共にしてきた仲間達の姿だった。
彼ら既に体力の限界を迎えているにも関わらず目は死んでいない。
「みんな…。」
『アイツらは信じているんだよ。オマエが絶望から立ち直れるって。それはギャラリーも同じ気持ちだろうな。』
「鬼道…風丸…守…!」
父の言う通りだった。不甲斐ないプレーを見せたのにも関わらず“友”達は皆、自分の事を信じてくれている。
「ハハハ…俺って本当にバカだなぁ…。なんでこんな当たり前の事忘れてたんだろ…。」
雷牙は思わず笑みを溢す。だがその笑みは先ほどまでの乾いた笑いではなくほんの少しだけだが“喜”の感情が混じっていた。
「親父、俺もう行くよ。こっから先は前だけを向いて生きる。多分墓参りに行く頻度も少なくなるけど夢に出てくんなよ!」
『ハッ!だったらもう俺を現世に呼び戻すなよ。…ズババーンと行ってこい!雷牙!』
雷牙は地面を一歩一歩力強く踏み締め前へと進む。
未来に向かって進む息子の姿を父はただ静かに見守るだけだった。
『雷牙。パパからの最後の言葉だ。“敬礼を。未来を生き抜くキミに幸運を。”もう俺…いや俺達にはオマエらの選択が上手くいくように祈る事しかできないけどさ。俺達はいつもオマエらを見守っているからな。』
息子の旅立ちを見届けた父は次第に粒子となって消えて行く。しかしその表情には未練は一切なく充実感だけが表れていた。
♢
「そろそろ体力が切れてきたみたいだね!よく頑張ったと思うけどもう終わりだよ!」
「ハァ…!ハァ…!グッ…!」
ライトと激戦を繰り広げた豪炎寺だったが遂に体力の限界を迎えライトの突破を許してしまう。
DF陣も全力を持ってライトの攻撃を防ごうとするものの実力差の歴然だった。
「邪魔。」
『グァァァァア!!!』
DFが吹き飛ばされ機能不全になった事により必然的にライトは立向居と対峙する。
「立向居君…だったよね?最後の忠告だよ、今からボクは全力でシュートを放つ。怪我をしたくなければ逃げた方がいい。」
「諦めるもんか…!俺は雷門のキーパーなんだ…!」
「…そっか。」
立向居に何かを見出していたのだろう。ライトは立向居に最後の慈悲を見せたものの彼はそれに応じる事なく立ち向かう意志を示した。
覚悟を決めたライトは青空に獅子座の軌跡を描き“星を喰らう獅子”を顕現させる。
「“スターダストレオーネ”!!!」
顕現した星を喰らう獅子はこれまでとは比較にならない大きさと威圧感を持って立向居に襲い掛かる。
流石の彼の本能も命の危険を感じたしまうがそれでも立向居には“逃げる”という選択肢は無い。
「逃げるもんか…!“ムゲン・ザ・ハン…えっ?」
覚悟を決めた瞬間、金色の“怪物”が彼の前に立つ。
“怪物”は怯む事なく獅子へ立ち向かい、凄まじい轟音と共に大爆発を起こした。
「大丈夫か立向居っ!?」
「お、俺は大丈夫です…!でも…稲魂さんが…!」
「なんだと…!?」
一連の“怪物”の行動を見た者なら誰しも無謀極まりない判断を精神崩壊による自殺と断定するだろう。
だが少し待って欲しい。砂煙が発生してから数秒経ってもボールはゴールに向かう気配がない。
人間1人が肉壁になったところで砲撃と同じ威力のシュートが止まるだろうか?
答えは“NO”だ。
しかしだ。現実にボールは砂煙の牢獄の中にある。それは何故か?
もう答えは言うまでもないだろう。
砂煙が晴れた先にいたのは“獅子”を屈服させた“怪物”だった。
「スゥ… ウォォォォォォォッ!!!!」
“怪物”は雷鳴の如き雄叫びを天に向かって上げる。まるでそこにいる誰かに感謝の念を送るように。
『稲魂(さん)!!』
「信じていたぞ…!相棒っ!!!」
彼の雄叫びを見た仲間達は“怪物”の復活を確信する。
そして“怪物”は不敵な笑みを浮かべ宣言する。
「さぁ〜てと…第二ラウンド始めっかっ!!」
ドリブルを開始した“怪物”は以前とは比較にならないスピードでフィールドを突き進む。
その表情はこれまで以上にイキイキしており、心の底からサッカーを楽しむ者にしか出来ない笑顔だった。
次々とレグルスの選手が“怪物”を仕留めに掛かるが止まらない。巨漢のタックルはパワーで潰し、スピードによる翻弄も稲妻の如きスピードで正面から突き破る。その姿はもはや災害と評しても過言ではない。
『強い!強い!強ーーい!!!一体どうしたと言うんだ稲魂ーーッ!!?前半…いや今までの彼とはまるで別人かと思うほど洗練されたプレーを連発していくゥゥゥゥ!!!』
♢
「す、凄い…!稲魂君にまだこんな力があったなんて…!」
覚醒した雷牙の実力に普段は辛口評価の夏未でさえも舌を巻いている。
「それは少し違うよ夏未クン。アレが稲魂クンの本来の実力なんだろうねぇ。」
「あれが…?」
「恐らく過去のトラウマにより無意識のうちに力をセーブをしていたんだ。それが解消された事によりセーブしていた力が解放された…ってとこかな。」
「でも…何故急にトラウマが払拭されたのかしら…?」
「『血の繋がりなんてものは所詮生物学上の目安でしかない。大切なのは魂で繋がっているか否かだ』か…。」
「えっ…?」
「…いやなんでもないさ。今は彼らの勇姿を見守ろう。」
♢
「その目だよ雷牙…!長かった…!ボクはずっとこの瞬間を待ち侘びていたんだ!!!」
ライトは狂気に満ちた笑みを浮かべながら雷牙へ襲い掛かる。
前までの雷牙ならば彼の姿を見ただけで過去のトラウマがフラッシュバックし足がすくんで動けなくなっただろう。
だが今はどうだ?兄弟の顔を見てもただ懐かしさによる笑みが溢れるだけだ。
「勝負だ!雷牙!」
「ハッ!いいぜ…!お望みとあらば何十、何百、何千とでも相手になってやるよ!
雷牙は初めてライトの名を呼び彼を本当の兄弟と認める。
覚醒した雷牙を持ってしてもライトからの追跡を逃れる事は容易ではない。
雷牙がフェイントをかけて抜こうとすればライトは彼の癖、目線、呼吸を完璧に読みとり先に進路を塞ぐ。
「ああ…!楽しいなぁ!!!キミとのサッカーはいつもボクをワクワクさせてくれる!次はどんなプレーを見せてくれるんだい!?ボクに全てを曝け出してくれ!!!」
興奮のあまり周囲からドン引かれるような台詞を恥ずかしげもなく言うライト。
それを聞いた雷牙はゲンナリしたような顔をし溜め息を吐くと突如として警戒態勢を解いた。
「ハァ〜…。やめだ。もう飽きた。」
「ど、どうしたの雷牙…?もっとボクとサッカーをしようよぉ…!あっ…もしかしてさっき台詞が嫌だった…?あ、謝るからこんなとろこで止めないでぇ…!」
「バーカ、勘違いすんな。オメーとの勝負に飽きたわけじゃねぇ。
「パパのサッカー…?」
「さてと…、先に言っとくぜライト。こっからは…“俺だけ”のサッカーだ。」
「?」
雷牙は見た事もない新しいスタイルを取ると彼の身体中から凄まじい稲妻が発せられる。
すると稲妻は次第に彼の姿を人型から四足歩行の獣へと姿を変化させ遂に稲妻で構成された獅子となった。
『グルルルルル…!』
「おっと〜…、これは…ちょっとヤバいかも…?」
獅子はボールを口に移動させると地面に稲妻の紋章を描きながらグラウンドを駆け回る。
そのスピードはライトの動体視力を持ってしても捉える事は不可能だった。
「速っや…!!!」
「へっへ〜ん!い〜い技だろライト?名付けんなら…そう“雷獣義牙”ってとこかな?」
「うん!いい技だね雷牙!」
人に戻った雷牙は即席で新必殺技に名前を付けライトもそれに賛同する。
その光景は戦争とは程遠い純粋な笑顔で溢れていた。
「ボールを寄越せ!稲魂雷牙ァ!!!」
「おっと危ない。思いの外ライトの突破に時間が掛かっちまったかんなー戻りが速えーや。」
雷牙は前見ると先ほど抜いた筈のレグルスのメンバー達が集結し防御の陣形を組み終えている。
「こりゃ俺ちゃんでも苦戦しそうだ。う〜ん何かいい手は無ェかな〜。」
「おいクソライオン!俺にボールを寄越しやがれ!」
「おっ!アッキー発っ見ー!おーいアッキー!どーせならどっちのパス回しが速いか勝負しよーぜ!」
「ヘッ!上等!テメェに吠え面かかせてやるよ!」
雷牙の挑発に乗った不動はもはや喧嘩と見間違うほどに速く荒々しいワンツーで次々とレグルスのディフェンスを突破していく。
それでも確実に時間を稼いでいくレグルス達はまるで無限に湧き出てくるゾンビのようにしつこく雷牙達に襲い掛かる。
「チッ!キリが無ェ!おいクソライオン!このパスは取れるかよ!!」
何故か不動はボールを遥か上空に蹴り上げる。一見すると意味不明な行動であるが雷牙は躊躇せずにボールを空まで追いかける。
雷牙がボールに追いついた事を確認した不動は指笛を鳴らすと地面から巨大なペンギンが1羽空に向かって射出され嘴にボールを咥えると雷牙を背中に乗せレグルス達の頭上を通り過ぎて行った。
「ハッハー!最高だぜェアッキー!“ペンギン・ザ・ハイウェイ”はよぉ!!!」
“ペンギン・ザ・ハイウェイ”によってシュートの射程範囲まで到達した雷牙はペンギンの背中を足場にして更に跳躍する。
「ヘッ、来ると思ってたぜ…。相棒!!」
彼の真横には炎の旋風を纏いながら跳躍していた豪炎寺の姿があった。
「行くぞ雷牙!!」
「タイミングちゃんと合わせろよー!」
雷牙と豪炎寺は左右対称で“ファイアトルネード”を発動した息のあったタイミングでツインシュートを放つ。
「「“超ファイアトルネードDD”!!!」」
雷門を全国優勝に導いた伝説のシュートが今ここに再臨する。
心の底から信頼し合うコンビによって放たれたシュートはその威力を1+1ではなく何十倍にも増幅させながらゴールへと向かう。
「“パラレルディメ…何!?グァァァァア!!!!」
最高のシュートはケイワクに技を出させる隙も与えずに彼の身体ごとゴールへ叩き込む。
ピピーッ!
『ゴーール!!!やりましたァァァァ!!!稲魂と豪炎寺の“ファイアトルネードDD”が炸裂し遂に追加点を獲得ーーッ!!!』
「雷牙。」
「ん?何だよ豪炎寺?」
自陣に戻る途中、突如豪炎寺は雷牙を呼び止める。雷牙はまさかまた説教か?と恐る恐る彼の方を向くと豪炎寺は左手を挙げていた。
彼の要求を察した雷牙はスカした顔で右手を挙げる。
2人の友情のハイタッチによる軽快な音がフィールドに鳴り響いた。
「やっぱり凄いよ…雷牙は。強いし…優しいし…かっこいいし…。それに比べてボクは…。」
追加点を取られたライトはずっと独り言を呟いている。すると1つの人影が彼に近づく。
「…どうしたの雷牙?キミの陣地はここじゃないでしょ?」
「…いつまで遊んでるつもりだ?もっと俺の本気を引き出したいのならオメーもさっさと本気を出す事だな。」
「…やっぱりバレてたか。審判さーん!ちょっといいですかー!」
ライトは軽く舌を出して笑うとおもむろに審判を呼ぶ。
「ケイワクのポジション交代お願いしまーす!」
ライトは審判からケイワクのポジション交代の許可を得るとユニフォームに備え付けられた胸のボタンを押し、ユニフォームの色を変化させる。
「確かにお前の話ではそうだったな。」
「ああ。アイツの得意なポジションはMFなんかじゃねぇ。アイツ本来のポジションは…
キーパーだ。」
こんだけ密度あってもまだ後半10分しか経ってないっす。
〜オリ技紹介〜
雷獣義牙
山属性のドリブル技であり“イナビカリステップ”の正当進化系。雷牙が雷を纏い獅子そのものと化し“イナビカリステップ”以上のスピードで敵を抜き去る。
名前の由来は『鳥獣戯画』から。
ペンギン・ザ・ハイウェイ
林属性のドリブル技。不動が呼び出した巨大ペンギンの上にもう1人の選手が乗って敵の頭上を飛び越える。
名前の由来は映画『ペンギンハイウェイ』から。