イナズマイレブンHEROS!!!   作:月兎タンク

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奇跡の炎雷よ 燃え上がれ!!

「“合体”だと…?」

 

「ああそうだ。俺の“レグルス”とオメーの“ガザード”の2つの化身を合体させる。そうすりゃライトの化身にも勝てる超強ぇ化身が完成する筈だ!」

 

「…なるほど確かに世宇子との決勝戦で発動した“イレブン”のパワーは凄まじかった。もしかしたら2体合体でも足し算以上のパワーを出せるかもしれないな…。」

 

「んザッツライト!溶け合えば奇跡のパワーってヤツだ!」

 

「雷牙、“イレブン”を発動した時の感覚は覚えているか?」

 

「一応な。あの時はまさに俺たちの心が完璧に1つになった感覚だった。」

 

「俺も同じだ。つまり中途半端なシンクロ率では成功しないという事だ。レグルスを倒す為という意志の元で心を1つにするぞ!」

 

「応ッ!」

 

 場面は変わりディフェンスに回った3rd雷門は絶体絶命のピンチを迎えていた。

 雷牙の無茶振りを聞き入れ文字通り死ぬ気でライトの侵攻を食い止めたはいいが既に体力は限界を迎え今立っているのは立向居1人になってしまった。

 

「本当に凄いよキミは。何度もボクに負けているのに目は死んじゃいない。キミのような人間をボクは心の底から信頼するよ。キミが望むならエイリア皇帝陛下に頼んでボクたちの一員に加えてもいいくらいだ。」

 

 絶望的な状況でも逃げ出そうとしない立向居に対してライトは心の底からの賛辞を送る。

 

「ふざけるな…!たとえ俺は腕を折られてもサッカーを悪用するお前たちに屈したりはしない…!血の最後の一滴になるまで戦うだけだ…!」

 

「…本当に凄いよキミは。」

 

 狂気とも言える立向居の覚悟にこれ以上の慈悲の彼にとって侮辱にあたると悟ったライトは敬意を持って全力で潰す事にする。

 

「“スターダストレオーネ”!!!」

 

 星を喰らう獅子の咆哮がグラウンドに鳴り響き、立向居の守るゴールへ向かう。

 

「立向居!」

 

「立向居くん!」

 

「立向居ッ!」

 

 皆が彼の名を呼ぶ。

 

 当たれば最悪死の可能性もあるライトのシュート。

 

 体力・肉体共に既に限界を超えている今の状況でこのシュートを喰らえば死は避けれても後遺症の残る大怪我は必至だろう。

 

 しかしだ。

 

 耳にタコができると言われても何度でも言おう。

 

 立向居には“逃亡”という選択肢はない。

 

 憧れの円堂がどんな時でも諦めなかったように。

 

 師である雷牙が常に勝利への希望を見失わないように。

 

 偉大なる先人達の歴史が今の彼のココロを支えているのだ。

 

 さあ立向居よ。お前はこのままでいいのか?

 

 いつまでも先人達の後ろを追いかけるだけの存在になりさがるのか?

 

(…なんだろうこの感覚…。目に映る全ての景色がスローになっているように感じる…。)

 

 お前にはその権利がある。

 

(まるで世界が俺中心に回っているような高揚感だ…。)

 

 強欲になれ立向居よ。円堂守も円堂大介をも超える力を追い求めるのだ。果てしなく続く“最強”への道を駆け抜ける為に。

 

(確かに俺は心のどこかで遠慮してたのかもしれない…。本来円堂さんが覚える筈だった大介さんの技を奪ってしまった後ろめたさ…。そして…あくまで円堂さんの代理という立場…。)

 

 限界だった筈の立向居の身体から溢れんばかりの力がみなぎる。

 

(ごめんなさい円堂さん…。ほんのちょっぴりだけ“傲慢”にならせてください。俺は…あなたを超えさせてもらいますッ!!)

 

 立向居は両手を天高く上げる。すると背後から神々しい光と共に8本の腕が出現し、立向居は高らかに名を叫ぶ。

 

「“ムゲン・ザ・ハンドG3”!!!」

 

「…! この土壇場で…進化した…!?」

 

 更に進化した“ムゲン・ザ・ハンド”はただ腕の数が増えただけじゃない。一見貧弱そうに見える腕の1本1本のパワーも格段に上がっており“G2”の“ムゲン・ザ・ハンド”を一瞬で破った獅子は逆襲と言わんばかりに一瞬にして押し潰され立向居の両手にボールが完璧に収まった。

 

『止めたァァァァァ!!!キーパー立向居!“ムゲン・ザ・ハンド”を更に進化させて手も足も出なかった“スターダストレオーネ”を完璧に防いでみせたぞォォォォォォ!!!』

 

「ハァ…ハァ…!…稲魂さぁぁぁぁん!!!お願いしまぁぁぁぁぁす!!!」

 

 息も絶え絶えの立向居はボールを遥か前方に飛ばし師にボールを回す。

 

「やっば!みんなー!頑張ってボクが戻るまでの時間を稼いでー!」

 

 雷門に訪れた絶好のチャンス。ライトのスピードを持ってすれば数秒もあればゴールに戻る事が可能だろう。

 だがそんな時間を与えるほど雷牙は甘くはない。雷牙は豪炎寺とアイコンタクトを取ると残り少ない体力を振り絞って同時に化身を発動する。

 

「“マキシマム・オブ・レグルス”!!!」

 

「“マキシマムファイア”!!!」

 

 2人の全力(マキシマム)が爆炎と豪雷と化し守護神を不在のゴールへ向かう。

 そのシュートがゴールラインを割るのに要する時間は約2秒。どうあがいてもライトはシュートに間に合わない計算だ。

 

「させるかッ!!!」

 

 シュートの前に立ち塞がったのは副キャプテンのケイワクだった。本来彼程度の実力では立ち塞がる前にボールを起点に発生する暴風によって吹き飛ばされてしまうだろう。

 しかし今の彼は違った。突風を前にしてもボールに立ち向かい、灼熱の炎に肌を焼かれても、稲妻が身体を走っても強靭な精神力で耐え抜きボールに喰らい付いた。

 その執念が天に届いたのだろう。彼は1秒だけ時間を稼ぐ事に成功した。僅か1秒、されど1秒。

 

 その時間はチームレグルスの運命を変えた。

 

「ありがとうケイワク。キミの犠牲は絶対に無駄にしないよ。」

 

 “怪物”は更に自身の限界の壁を破った。

 限界を超えた“怪物”の速度は光すらも超え英雄(レグルス)と共に拳を突き出す。

 

「“スターダストブレイカァァァァァァ”!!!」

 

 英雄の拳は炎雷すらも消し飛ばす。

 

 それは雷牙と豪炎寺でさえも例外ではない。

 

 だが…

 

「まだだァ!!!」

 

 既に跳躍していた雷牙が吹き飛ばされたボールを胸でトラップする。ライトが本気で殴り飛ばしたボールの威力は強靭な肉体を持つ雷牙を持ってしても喉から鉄の味のする液体が漏れかけるがなんとか飲み込む事に成功する。

 

「ココロォ合わせるぞ豪炎寺!!!」

 

「絶対に俺達がライト(お前)を倒す!!」

 

 再び雷牙と豪炎寺は同時に化身を発動するとそれぞれの化身が混ざり合い通常の倍のオーラが溢れ出る。

 

「グッ…!」

 

 しかし混ざりかけた化身は一瞬にして飛散してしまい“合体”が失敗してしまう。

 

「駄目だ雷牙!まだ完璧に気持ちを合わせられていない!」

 

「クソッタレが…!だったら…!」

 

 雷牙は体制を立て直す為にボールを外へ出し試合を中断させる。

 

「クッ…!マズイぞ雷牙…!体力の底が見えてきた…!もう俺は力を振り絞っても1回しか化身を出せない…!」

 

 どうやら先ほどの“合体”で体力を大幅に使い切ったようで豪炎寺は立っているのもやっとの状態だ。

 つまり雷牙達に与えられた試行回数は残り1回。その1回で合体化身を完成させなければならない。

 

 流石の雷牙もこの状況で未完成の技術に博打を打つほどバカではない。最低でも50%まで成功率でなければ運命を託す気にはなれないのだ。

 

 だが0に近い確率から一気に50%にまで引き上げる方法などあるわけがない。

 それでも雷牙は自称IQ100(四捨五入)を誇る脳をフル回転させ方法を探る。

 

「……!」

 

 もう博打を打つしかないのか…。そう覚悟しかけた時に雷牙はかつて父から教わったある言葉(・・)を思い出す。

 

「なぁ〜豪炎寺〜…絶対に心を1つにできる魔法の呪文があるって言ったらオメーさんは乗るか?」

 

「乗る。みんなの未来を守るためなら人の道に外れる事以外は何でもやってやるさ。」

 

「んじゃあお耳を拝借。ゴニョゴニョゴニョ…。」

 

 雷牙は耳打ちをし魔法の言葉を伝授する。それを聞いた豪炎寺は唖然とする。

 確かにこの方法なら格段に成功率を高められるだろう。

 

 その代償として豪炎寺の尊厳が少し削られるが。

 

「…分かったやる。この状況では贅沢は言っていられないからな…。ハァ…。」

 

 恐らく“理性”の上では覚悟を決めていても彼の“魂”は拒絶しているのだろう。

 豪炎寺は誰にも見せた事のないほど複雑そうな顔をすると少しの間目を閉じ遂に豪炎寺の“魂”も覚悟を決めた。

 

「稲魂君!」

 

 なんとかスローインを制した吹雪は即座に雷牙へボールを回す。

 

「しゃあ!豪炎寺!いっちょかまそうぜ!!!」

 

 雷牙と豪炎寺は互いに並列に並ぶと雷牙が先に口を開く。

 

「天丼っ!」

 

「カツ丼っ!」

 

「「親子丼っ!!!」」

 

 雷牙直伝の魔法の言葉を言い終えると“覇王(レグルス)”は黄色の、“炎魔(ガザード)”は紅色のオーラと化して螺旋を描きながら混ざり合い周囲を白金の光で包み込んだ。

 

 完全に混ざり合った化身は生誕と同時に衝撃波を発生させチームレグルスのメンバーは怯んでしまう。

 

「よっしゃーーーっ!!!」

 

 光が晴れた先にいたのは“覇王(レグルス)”でも“炎魔(ガザード)”でもなく、白金の鎧を身に包み巨大な槍を携えた全く別の化身だった。

 

「“レグルス”と“ガザード”が合体して…“神滅の凶戦士 ロンギヌス”ってとこかな…。」

 

「…俺は突っ込まんぞ。」

 

 “レグルス”と“ガザード”とは一切関係の無い名前にはなったものの、化身から感じるパワーは圧倒的だ。

 現に敵味方関係無く、“ロンギヌス”から放たれる威圧感により動く事も憚られている様子だ。

 

 だがそんな状況の中でもライトだけは歓喜の笑みに満ちていた。まるでこの状況すらも楽しむかのように。

 

「切り札降臨…って雰囲気だけどただ化身のパワーを足しただけじゃボクには勝てないよ。」

 

 兄に煽りに対して弟は不敵な笑みを浮かべながら鼻で笑い返す。

 

「ハッ!そうかよ?だが肝心な事を1つ忘れてんぜ?“合体(ロマン)”は理屈すらも超越するんだぜ?」

 

「…そうかもね雷牙。ハァ!!!」

 

 ライトも“レグルス”を顕現させると“凶戦士”は右手に持っている槍を構える。それに反応したのか“レグルス”も臨戦態勢に移り雷鳴の如き雄叫びを上げた。

 チームメイトは既に体力の限界を迎え、両者の切り札が出尽くした現在。

 長きに渡って繰り広げられた雷門(人類)VSレグルス(エイリア学園)との最終決戦…。その決着の時は近い。




ヴィクロの人気に便乗して雷牙の子供達を主役にした『イナズマイレブンMONSTERS!!!』の連載を開始しました。
ぶっちゃけこういう二世モノって前作が完結するかせめて世界編まで終わらせてから始めるべきなんでしょうけど創作意欲が湧きまくった結果我慢できずに始めちゃいました。
デュエマや逆転裁判と違って失踪する気はないんで頑張ります。
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